献
辞
吉田龍恵先生は本年1991(平成3)年3月末日付けで勧奨退職されました。そ れはちょうど:先生の還暦の年にあたり、定年まであと5年を残してのこ退宮は、 先生の強き信念と美学に基づくものと承りましたが、私たち滋賀大学経済学会 会員一同にとりましては、まことに残念の極みでございます。 先生は1930(昭和5)年、大阪府にお生まれになりました。この年まさにかの 世界恐慌が日本に波及して昭和恐慌と呼ばれた時のころでありました。その後 滋賀県長浜市にお移りになり、1953年滋賀大学経済学部をご卒業、1967年滋賀 大学経済短期大学部講師に迎えられ、1970年同助教授、1976年教授に昇任され ました。 経済短期大学部において先生は、「貿易実務」、「貿易通信」、「ビジネス英語」、 「国際コミュニケーション論」、「文化人類学」等の科目を担当され、その名講義 は受講学生たちに多大な感銘を与えたのみならず、経済学部にも非常勤講師と して多くの貢献をしていただきました。 その間研究業績の面におきましても、先生は「ビジネス英語論」から「言語 的・非言語的行為の文化人類学的アプローチ」に至るまで、実に多彩な著書、 論文を数多く発表され、斯界の注目をあびました。 先生のご功績は幅広く深い研究業績や名講義につきるものではありません。 先生は米国ビジネスコミュニケーション学会(ABCA)・国際委員会日本委員 として、1974年10月にはビジネスコミュニケーションの分野では日本で初めて の日米合同国際学会を成功に導くなど、国際的にも研究交流に大いに貢献され ました。現在長浜ユネスコ協会副会長としても活躍されております。 また大学行政面でも、短期大学部部長、滋賀大学評議員の要職に就任され、山積する難問の打開に指導性を発揮して事にあたり、短期大学部の充実・発展 に献身的な努力をはらわれました。事に当たっての先生は、その柔和で温厚、 仏のようなお顔立ちにもかかわらず、強い正義感と信念に基づく直情径行の人 としても畏敬され、たとえ意見を異にする場合でも先生の真意を邪推したりす る者は誰もいなかったときいております。 滋賀大学経済学会は、先生の研究教育両面にわたるご業績が短期大学部の枠 を越えて経済学部、滋賀大学に及んでいるのみならず、国境をも越えて多大の 貢献をされていることに想いを致し、ここに退官記念論文集を編み、その中に 深い感謝と敬愛の想いを込めて、先生に献げます。 先生にはひき続き長浜の地にて地域社会発展のためにつくされると承ってお ります。どうか健康には充分に留意されてご活躍下さいますよう心からお祈り いたします。 1991年7月31日 滋賀大学経済学会長 美 暗 皓