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平成30年度神戸女子大学大学院家政学研究科 修士論文要旨

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(1)

平成

30 年度

神戸女子大学大学院家政学研究科

(2)

運動習慣と体組成・食生活との関連

博士前期課程 食物栄養学専攻

小森園和恵

【背景・目的】 身体活動(生活活動・運動)は生活の質や体力の改善をもたらすだけでなく,心血管疾患 や2 型糖尿病,乳癌や結腸癌などの非感染性の発症リスクや総死亡率を低下させることが, 多くの疫学研究で示されている。しかしながら,身体活動不足が多くの国で増加しており, WHO では,身体不活動による死亡率は,世界の死亡者数の

6%

であり

高血圧(

33%

),喫 煙(

9%

),高血糖(

6%

)に次ぐ危険因子として位置づけられている。 日本でも身体活動不足は,肥満や生活習慣病の危険因子であり,健康日本

21

(第二次)で は,

2022

年度までに歩数を男性で

9000

歩,女性で

8500

歩に増加させることを目標として いる。しかし,歩数は増加するどころか減少している。また,1 回

30

分以上の運動を週

2

回以上行い,

1

年以上継続している運動習慣者の割合は20 歳代女性では最も低く

11.6%

で ある(平成

29

年国民健康栄養調査結果)。本研究では,女子大学生を対象に運動習慣の現状 を把握するとともに,運動習慣と体組成,食生活・生活習慣との関連について調べるために 調査を実施した。また,運動習慣のない者に

1

ヶ月間の運動介入を行い運動による効果につ いて調べた。 【方法】 兵庫県下の女子大学生

131

人を対象として,運動や睡眠時間等を含めた生活習慣や食習慣 及び心身の状態に関する質問紙調査を実施した。同時に

Inbody

720 Biospace

)により体 重・体組成を調べて,脂肪量,除脂肪量等を測定した。安静時エネルギー代謝(

RMR

)は メタボリックアナライザー(

MedGem+

)により測定した。 運動介入では,健康な運動習慣のない女子大学生

13

人を対象として,運動介入群と対照 群に分けて体組成の変化を調べた。なお,運動プログラムは心拍数

125/

分程度の軽い運動を

40 – 50

分/回, 週

2 – 3

回行うものとした。 統計処理は

SPSS

Ver.21.0

)を使用した。運動習慣がある群とない群の

2

群の有意差検 定は,対応のない

検定を用い,クロス集計にはx2検定を用いた。運動介入による効果の 検定は,群と運動介入を

2

要因とし,測定項目を従属変数とした

2

要因分散分析を実施した。 交互作用が有意な場合には,下位検定として単純主効果の検定を,交互作用が有意でない場 合は,各要因(群・運動介入)の主効果の有意性を検討した。すべての統計処理において, 有意確率は

5%

未満とした。 【結果・考察】 運動習慣がある者は,対象者

131

人中

63

人(

48.1%

)であり,運動習慣がない者は,

131

人中

68

人(

51.9%

)であった。運動習慣がある者(以下,運動群)とない者(以下,非運 動群)との間に,体重,

BMI

において差は見られなかったが,運動群では除脂肪量は非運動 群よりも多い傾向がみられ,体脂肪率は有意に低かった。部位別の筋肉量は,運動群が非運 動群よりも多い傾向が見られ,特に右脚・左脚の筋肉量においては有意であった。一方,部 位別の脂肪量は,有意差は見られなかったが,運動群が少ない傾向であった。エネルギー摂 取量は運動群の方が非運動群より多い傾向ではあったが,有意ではなかった。食品群別摂取 量では,運動群は野菜やきのこ類,豆類の摂取量が有意に多く,食物繊維の摂取量が多く,

(3)

運動群は非運動群よりも良好な食生活であった。食生活,心身の状態に関して運動群は,混 合だし(かつお節と昆布を使用し作られるだし)を使用する頻度が高いこと,和風だしの素 を使用する頻度が少ないことが認められた。また,運動群はスポーツをすると楽しい気持ち になる者が多く,努力しても目標は達成できないと思うものが少なく,スポーツを好み自己 効力感が高かった。

1

ヶ月の運動介入により体脂肪率は有意に低下し,部位別では,右脚,左脚の脂肪量の低 下が大きかった。体脂肪が減少するとともに除脂肪量は増加傾向にあり,骨格筋量は有意に 増加した。運動習慣のない若年女性において,

1

ヶ月の軽度な運動でも体脂肪率が有意に減 少し,筋量は増加することが示唆されたことから,軽度な運動であっても習慣化させること で,良好な体組成にすることが期待できる。 【結論】 若年女性では運動習慣の有る者の割合が

48.1%

であり,運動習慣のない対照群と比べて, 体組成では体脂肪率が低く,除脂肪量が多い傾向が見られた。また,部位別の筋肉量は両脚 の筋肉量が多かった。食生活では,野菜,きのこ,豆類の摂取量が多く,非運動群よりも良 好な食生活であった。また,運動群は運動・スポーツを好み,自己効力感が高いことがわか った。

1

ヶ月の軽度な運動でも体組成は改善し体脂肪率の減少,筋量の増加が起こり,運動 習慣をつけることが体組成の改善につながることが示唆された。

(4)

片頭痛と生活習慣・食習慣の関連についての分析

博士前期課程 食物栄養学専攻

松 尾 奈 美

【背景・目的】

片頭痛は一次性頭痛のひとつであり、繰り返す頭痛発作や日常的な動作により頭痛が増悪 することが特徴である。Global Burden of Disease Study 2016 において Years lived with disability (YLDs)を増加させる主要な要因の 1 つとされている。片頭痛は、死に繋がる障害ではないも のの、患者にとって、日常生活への負担が大きいことが問題とされている。 片頭痛による負担を減らすために、様々な発作予防に関する研究が行われている。これま での研究で、特定の食品がトリガーとなる可能性があることが指摘されているが、必ずしも 発作要因になるわけではなく、その除去が片頭痛患者の苦痛を減らすかどうかは明確にはな っていない。 以前の私たちの高校生を対象とした分析では、食習慣や食に関する意識に関して、頭痛の 有無による違いがみられた。しかし、私たちの知る限りでは、これまでに片頭痛発作と食に関 する意識との関連は報告されていない。そこで、本研究では片頭痛の有無によって、日常生活 における習慣や意識の違いを見つけることを目的とした。女子大学生を対象とした横断調査 を行い、日常生活への片頭痛の影響度と生活習慣や食習慣等の違いの有無を調べた。 【方法】 平成 30 年 6 月から 9 月に神戸女子大学に通学する女子大学生のうち、研究への参加の同 意が得られた712 名を対象に調査を行った。アンケート調査は、片頭痛による日常生活の影 響度を評価する「あなたの頭痛についてのアンケート(HIT-6 Version1.1)」及び、生活習慣・ 食習慣アンケートの2 種類を行った。HIT-6 スコアの分布から、四分位数を基準に対象者を 4 群に分けた。アンケートの各項目について Fisher の直接確率法を用いて、頭痛の影響度と の関連を調べた。さらにアンケートの回答項目が連続変数であるものは、Jonckheere-Terpstra の検定により、片頭痛の影響度が大きくなるにつれて回答項目に変化がみられるかについて も分析を行った。有意水準は1%未満とした。 【結果・考察】 生活習慣についての項目のうち、睡眠に関する項目において、HIT-6 スコアが高くなるに つれて、睡眠時間が不規則である割合が増え、平均睡眠時間が短くなる有意な傾向がみられ た。そして、主観的な睡眠の質も悪くなる有意な傾向がみられた。このことより、睡眠習慣や 睡眠の質と片頭痛の影響度との間に関連があることが確認された。また、HIT-6 スコアが高 くなるにつれて、受動喫煙の機会の頻度も高くなる傾向がみられた。非喫煙者における受動 喫煙は片頭痛に影響を及ぼす可能性が報告されており、今回の対象集団においても同様であ ったと考える。 食習慣・食に対する意識についての項目のうち、朝食・夕食の欠食頻度、ファストフードの 利用頻度についての項目において、HIT-6 スコアが高くなるにつれて、頻度が高くなる傾向 が有意であった。先行研究においても欠食と片頭痛発作の関連について報告がされており、 今回の結果は先行研究の結果を支持するものである。これらを併せて考えると、欠食頻度を 減らすことは、片頭痛による影響を減らすことにつながる可能性があるといえる。HIT-6 ス

(5)

コアが高くなるにつれて、嫌いな食べ物があると回答した割合が高くなり、食への興味関心 があると回答した割合が低くなった。食に関する意識の低い評価と片頭痛の影響度との間に 関連があることが示唆された。 健康関連愁訴に関する項目のうち、主観的健康観、疲れを感じる頻度、食欲がない頻度、 ストレスを感じる頻度、ストレスが原因で体調不良になる頻度についての項目において、 HIT-6 スコアが高くなるにつれて、良くない状態を回答する割合が、高くなる有意な傾向が みられた。頭痛のない人と比較して、頭痛のある人は、主観的な健康観が低いことがこれま で言われており、さらに、片頭痛患者においては疲れやストレスがトリガーとなることが報 告されている。今回の対象者においても同様に、片頭痛の影響によって主観的健康観が低く なり、疲れやストレスがトリガーとなっている可能性が考えられる。また、HIT-6 スコアが 高い群において、「食欲がない原因は頭痛である」「ストレスによる体調不良の具体的な症状 は頭痛もしくは肩こり・腰痛である」と回答する割合が高かった。片頭痛の影響は、頭痛だ けでなく随伴症状によるものも大きいのではないと考えられた。 【結論】 片頭痛の影響度と生活習慣・食習慣、また主観的健康観との関連が確認された。また、片 頭痛の影響度は、食に関する意識とも関連がある可能性が示唆された。

(6)

- 38 - 【背景・目的】 子どもの健やかな成長にとって、自由で豊かな遊びをすることは必要不可欠である。しかし少子高齢化により近年の子ども を取り巻く社会環境は、都市部、農村部に関わらず「生活の都市化」が進行し、子どもが自由で豊かな体験をする機会が少な くなっている。 そんななか、子どもたちに自由な遊びを可能にする「冒険遊び場」に対するニーズが高まっている。冒険遊び場の活動団体 は、全国に約500団体あるといわれており、地域住民が主体となる運営により、子どもたちの「やりたい」遊びが実現できる場所 となっている。 一方、「移動型遊び場」と呼ばれるプレーカーやプレイバスの活動が日本でも少しずつ注目を集めている。プレーカー等の活 動は、子どもが冒険遊び場を求めてその開催場所に行くのではなく、プレイワーカー(遊びを支援する大人)が、遊びを子ども の住む地域へ運んでいくことにより、外遊びの推進と子どもの居場所づくりにつながるアウトリーチ型の遊び場づくり活動であ る。この取組はヨーロッパを中心に発展してきており、なかでもドイツの「プレイバス」活動は開始から約50年の歴史がある。ド イツでは、「問題はより身近なところで解決されなければならない」という「補完性の原理」の考え方が一般的であるため、約 160のプレイバスのNPO団体がイニシアティブを取って活躍し、移動型遊び場活動が発展してきたといえる。 そこで本研究では、子どもの遊び場づくり活動のなかでも「移動型遊び場」に着目し、現在日本で活動している先導的な移 動型遊び場活動と、1970年代から移動型遊び場を展開してきたドイツの移動型遊び場活動の実態を明らかにする。そして調査 結果をもとに、移動型遊び場の有効性と今後日本で移動型遊び場活動を推進するための要件を検討することを目的とする。 【方法】 1. 日本の冒険遊び場づくり活動運営団体を対象とした遊び場箇所数調査 調査方法: 日本における冒険遊び場づくり活動団体の活動場所の箇所数の把握を行うことを目的に、特定非営利活動法人日 本冒険遊び場づくり協会が把握している日本全国の冒険遊び場の運営団体を対象にアンケート調査を行った。 調査期間:2018年11月~2019年1月(本調査は2018年度卒業生渡慶次莉音と共同で行った。) 2. 日本におけるプレーカーを用いた移動型遊び場づくり活動実態調査 調査方法: 特定非営利活動法人日本冒険遊び場づくり協会が把握している「プレーカー」を所有する6団体の活動内容を文 献・ヒアリング調査した。調査内容は冒険遊び場事業・プレーカー事業の概要、運営状況について、など。 調査期間: 【備前市】2018年5月22日,【四街道市】2018年5月28日       【仙台市】2018年9月5日,【気仙沼市】2018年9月7日        【東根市】2018年12月17日,【世田谷区】2018年12月30日(文献調査のみ) 3. ドイツにおける移動型遊び場づくり活動実態調査  調査方法: ミュンヘンとバイロイトの2都市において、子どもの遊びに関わる団体や関係機関を対象にヒアリング調査を行った。 調査期間:2018年9月19日~10月2日

日本とドイツにおける移動型遊び場の活動実態に関する研究

博士前期課程(生活造形学専攻)

 白川未希子

(7)

- 39 - 【結果・考察】 1. 日本の冒険遊び場づくり活動運営団体を対象とした遊び場箇所数調査 本調査の有効回答数は301、現在活動している団体は274団体であった。「常設」の活動を行う団体のうち活動場所が「1箇 所」のみという団体の割合は58.8%(30団体)、「複数箇所」で活動を行う団体は41.2%(21団体)であった。一方「非常設」の 活動を行う団体のうち活動場所が「1箇所のみ」の団体は72.0%(157団体)、「複数箇所」活動場所を持つ団体は28.0%(61団 体)であり、「複数箇所」の割合を比較すると、「非常設」の遊び場を運営する団体よりも、「常設」の拠点をもったうえで複数 箇所の遊び場でも活動する団体の割合が大きいことが明らかとなった。この結果より、「常設」の遊び場を活動拠点として有す る団体の方が、複数の遊び場の運営が行いやすいと考えられる。 2. 日本におけるプレーカーを用いた移動型遊び場づくり活動実態調査 本調査では、日本でプレーカーを用いて移動型遊び場づくり活動を行う6団体の活動実態をもとに、日本における移動型遊 び場の利点と課題を検討した。結果を以下に記す。 【利点】移動型遊び場は「遊びの日常化」ができる活動である。プレーカーを活用することで広範囲に計画的に巡回でき、遊 びを提供できる。活動場所は都市公園だけでなく、小学校の校庭など、子どもの生活圏内に遊びを出前できる活動である。ま た、遊びの施設を設置せずプレーカーで遊具を運ぶため、需要に応じて場所を変えることができる。 【課題】移動型遊び場は、プレイワーカーと遊具がセットで遊びを提供する取組であるため、日本では遊び場の活動団体から 地域住民への「サービス」と捉えられる場合があり、地域の人を巻き込みにくい。従って、「遊び」が特別なこととして捉えられ ることがある。また、遊び場が地域に根付くための仕組みづくりとプレイワーカーなどの人材発掘や、活動を広く定着させるため の情報の発信を行うことなどが課題として考えられる。 3. ドイツにおける移動型遊び場づくり活動実態調査 本調査では、ドイツのミュンヘン、バイロイトの2都市に滞在し、子どもの遊びに関わる団体や関係機関を対象にヒアリング調 査を行った。 ドイツでは子どもにとって遊ぶことは、大人になる準備として重要であるという考え方が広まっているため、子どもの遊びに 関する活動に行政からの資金提供がされやすい。また、子どもの遊びに関わる大人が専門職(ソーシャル・ペタゴーなど)として 位置付いて活躍しているため、人件費も保証されることが多い。移民、難民支援や家庭に課題のある子どもたちも含めた「す べての子どもたち」に遊びを提供することを目的に移動型遊び場の活動を行っているため、公園や学校など多様な場所で活動 している。また、団体の活動内容が専門化されているため遊びの内容と車の種類が豊富であるということが明らかとなった。 【結論】 本研究では、日本の冒険遊び場箇所数と、国内外の移動型遊び場の先導事例の活動実態を明らかにした。プレーカーを用 いた移動型遊び場は機動性が高く公園などを有効活用でき、広範囲に遊びを届けられるアウトリーチな活動であることがわ かった。また、ドイツの調査からは、有資格者が子どもに関わるプレイワーカーとして雇用されていること、活動資金は行政から の助成金や寄付金が主であることがわかった。以上の結果から、今後日本で移動型遊び場を推進していくための要件として、 活動内容を地域住民・行政に周知すること、移動型遊び場の活動を行う団体による「プレーカーネットワーク」の構築などがあ げられる。 〔本研究は、日本科学協会の笹川科学助成による助成を受けたものである。〕

参照

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