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Vol.4
最近は、国内大手の現場においても不良の改善が進んで おらず、特に大手などでは海外展開や人事異動によって経 験者が不足しているのと同時に、現場が離れた場所にある ため、すぐに確認対応することができづらい状態である。 またその現場でも、派遣社員や請負によって、積極的な改善 活動がなされづらい状態にある。中小企業においては、発 注元の指示以外の条件で実装することは許されないため、 昔のように共同作業や提案がしづらく、相変わらず同じよ うな不良が発生している。 このような状況が、いきおい、必要以上の検査システムの 導入に繋がっており、その原価償却がコスト競争を不利に している。一般的に、検査機 1台につき要員 1名が必要で あるといわれている。これは、検査基準を厳しくすると、不 良判定が多く出てラインが止まってしまうので、担当者が 再度基板をチェックし直すことになるからである。一方、 判定基準をゆるめると、最終工程からのクレーム多くなり、 修正作業が増えることになる。 検査機はあくまでも人の目では追い切れない部分の補助 として不良の選別を行うものであって、解析を行うもので はないので、同じ不良が毎回発生することになってしまう のである。 量産現場で検査機が弾き出した不良品の原因解析をすぐ に行い、簡単な再現実験などで確認後に修正を加えること によって、同じ不良が出てくることを抑えることが可能に なる。そこで重要なのは、特別な技能がなくても現場で初 期の良否判定と解析ができる現場要員を短期間で育成する システムの構築である。 これまで筆者は、本誌において、マイクロスコープを活用 して抜き取り検査での判定事例を紹介してきた。ハイロッ クス社製デジタルマイクロスコープ(以下マイクロスコー プと表記)は、品質管理部門や生産技術者だけが使用するの ではなく、現場の作業員専用としてラインフロアに設置し、
実装技術アドバイザー / 河合 一男
量産現場におけるはんだ付け技術
基本的な認識 フラックス①
図1 十分なはんだを供給した後で、ステンレス片を折り曲げると、はんだは折り曲げた部分が剥がれてしまう こて先で母材(ステンレス)をあたためて(予備加熱して)から、はんだを供給する— 2 —
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現場に自由に活用させるのが理想である。実際に、1,000 人以上の従業員のいる工場で、そのような導入をしたこと で、不良率2ppm以下を達成している事例もある。 筆者がこの工場を訪問した際には、ラインのそばに置かれ たマイクロスコープで、すでに撮影してある基板の写真を見 比べながら、担当者が現状と過去の不良事例についての解析 と対策を話し合っていた。不良対策ではまず解析時にいく つかの仮説を立てて、それに基づいて再現実験を行う。 この実験には簡単な道具を用い、理論的な可能性の確認 程度で十分であるが、ここで大切なのは成果を出すことで はなく仮説実験時の条件の変化がどのような結果の変化に 繋がるかを確認することである。 これにより、次に起こる不良に対するノウハウが蓄積さ れて、早く対応することができる。通常、これらの対策方法 は一つではないので、その時々、生産時の条件で根本的な対 策と応急処置と分けて行うことも可能である。不良率(部 品点数換算)が10ppm以下になると、発生した不良を検査 後に修正するのではなく、すぐにラインを止めて対応する 方が結果としてコストメリットがでるのと同時に、検査工 程の見直しに繋がる。
1.現場での人材教育事例
1.フラックスの効果と役割 はんだ付けの基本は手作業である。フラックスの役割や 効果を確認するには、糸はんだを使用して現場で簡単な実 験で確認する。実験時は、仮説を立てて理論的な説明が可 能かどうかを検証する。実際の現場では、前提となる部品 めっきや基板材質・品質及び設計が絶えず変わるので、特に 確定的な答えを求める必要はない。 フラックスは部品や母材表面の酸化物を除去して金属表 面を清浄にし、すずの母材への拡散を通して接合させるが、 母材の酸化状態が強いと十分なフラックス効果を得ること ができず、接合不良(いもはんだ・ル—ズはんだ)になる。 ①こてを先に母材にあてる(予備加熱を行う) こてを先に母材にあて、予備加熱を行うと、母材の表面酸 化が進み、フラックス効果が十分に得られない。こうなると、 はんだは溶けるものの、完全な接合ができない(図1)(前頁)。 ②はんだを先に供給しその上からこてではさみ込む (はさみはんだ) 本来、はんだ付けできないといわれてきたステンレスで も、図2のような手順であればはんだ付けが可能になる。 溶け出たフラックスが部品リード及びランド面をおお い、酸素を遮断した状態で過熱することで、フラックスの劣 化とランド表面の酸化を同時に防ぎ、短時間でのはんだ付 けを行うようにする。量産現場におけるはんだ付け技術
基本的な認識 フラックス① 図2 フラックスが母材表面に広がり、こて先の熱による再酸化を防ぐ。ステンレスを折り曲げても剥がれない はんだを先に供給し、その上からこて先をあてる(はさみはんだ)。通常の予備加熱は省かれているHiROX Technical Report SMT
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量産現場では、フラックス効果を減退させる作業方法は 可能な限り避けなければならない。そのような場合、はさ みはんだはフラックス効果を 100%引き出すことが可能 である。 フローでもリフローでも、無駄なプリヒートは避けるべ きであるが、大半はぬれ性が不足するとプリヒートを伸ば してしまう傾向にある。これは、フラックス効果という観 点から見た場合は基本的に間違いであり、本来は余分な溶 剤を気化させる程度で十分なのである。 大きな熱量を必要とする部品や基板のはんだ付け時はフ ラックスが劣化する前に必要な熱量を供給できる方法で対 応する。 単純にプリヒート温度を上げるのはフラックス劣化の原 因になるので、はんだこてやフロー槽では母材との接触面 積を大きくして短時間で熱供給する。量産現場におけるはんだ付け技術
基本的な認識 フラックス① 図3 プロファイルの設定次第で、大小の基板を同じ温度プロファイルで流すことが可能である ※データ提供:(有)コンコード電子工業 大型のICと小型の部品のリード温度は、はんだ付けしていなければ温度差がない 基板サイズ190×190×1.6mm 基板サイズ125×160×1.6mm— 4 —
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2.熱の移動 熱は基板表面やホール内部を移動する。大きな部品はそ の見かけから、熱量容量が大きいと思われがちであるが、リ フロー炉の大きさから見れば、部品の大小の差は問題にな らない。リードの数が多ければ、基板側に逃げる熱量が多 くなる。大小の部品に直接温度センサを取り付け、計測す ると、温度差はほとんどないことがわかる。 基本的に、プリヒートの目的を部品間の温度差(ΔT)を小 さくするためとするのは再検討が必要である(図3)(前頁)。 はんだ付けに必要な熱量=温度×時間×接触面積×その他 はんだが溶けていない段階で大小の部品の温度差を同じ にすることは意味がない。また、温度プロファイルの設定 の仕方によって、多少の基板サイズの違いについてもその 調整はコンベア速度で十分対応できる。 少量多品種の現場では温度の切り替え(機種の切り替え) が一番生産効率を阻害する。 ただし、使用するリフロー炉の性能に左右されるので、 個々に操作方法を確認する必要がある。 はんだ付けの要因は 基板・部品(サイズ・材質etc)×フラックスの特性×装置性能 の組み合わせで成り立つが、一つの条件が変われば得る結 果も変わる。
2.時間(タクト)
●事例 はんだの融点以下の耐熱性の低い部品のはんだ付けは、 熱が部品内部に移動する前にはんだ付けを終えることで可 能になる。 そのためには、短時間で十分な熱反応するフラックスと 母材に熱を伝える装置が必要になる。 (1)部品耐熱温度100℃以下にはんだ付け(光ピックアッ プ・網膜チップなど) はんだこて=部品側に接触する部分のこて先をめっき 処理して部品への熱伝達を抑える(トライテックジャパン (株)のこて先カタログをぜひ参照されたい) クリームはんだ=ホットバー(ロボット)を使用して部品 温度93℃に抑える ※バーの材質・形状・温度・時間・リードへのあてる位置が重 要である (2)部品耐熱温度130℃以下のはんだ付け(FPC) リフロー=熱反応の速いフラックスで高温・短時間での はんだ付け (3)部品耐熱温度140℃以下のはんだ付け(ボリューム) リフロー =ディスクリート部品のはんだ付けカバーを使 用し、下部ヒータメインではんだ付けする 高温はんだや放熱基板は、フラックスが劣化する前には んだが溶ける温度を供給する。下部ヒータのみを使用する か、逆に高温で短時間で母材表面温度を上げて(はんだこて に近い条件設定)フラックスの劣化前に終える。 クリームはんだも糸はんだも同じで、その違いははんだ 付けには余分な溶剤の存在である。はんだこてで作業(後 付け・修正)できる部品であれば、リフローやフローにおけ る急激な温度上昇は、飛散などの不具合がない範囲で可能 であり、決まりきったプリヒートに特にこだわる必要はな いのである。3.装置の操作方法
現場では、リフロー装置に関して、その性能や特性(上下 ファンの調整・各ヒータの温度差など)を確認していない ケースが多く、メーカーなどから指示された範囲での微調 整に終わっているのが現状であるようだ。しかし基本的に は、基板が絶えず変わることから、炉の操作もそれに合わせ て調整するのが本筋であるといえる。 ●事例 ①下部ヒータのみでのはんだ付け ②上部ヒータのみでのはんだ付け ③上下一部のヒータ使用 ④上下ヒータの調整可能な温度差 ⑤上下ヒータの個別調整 ⑥ファン回転数の調整範囲(特に低速領域) ⑦上下ファンの個別調整 ⑧その他 これらは導入時に十分な検討が必要な事項であり、最近の 高度な設計の実装では特に必須の確認事項になる。特に、リー ドレス部品の実装時のボイド対策には必要不可欠である。量産現場におけるはんだ付け技術
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