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高齢者が住み慣れた地域で生き生きと暮らせる社会づくり

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3 高齢者が安心・安全に暮らせる社会づくり

3-1 高齢者の住まいの確保

(1)高齢者の住まいの確保・充実 平成 26 年版「高齢社会白書」によると、「高齢者の9割(89.3%)は現在の住居に満足しており、 体が弱っても自宅に留まりたい人が多い」との調査結果が出ています。 その一方で、「高齢者は家庭内事故が多く、最も多い事故時の場所は「居室」」との調査結果が出 ています。 このように、自宅での生活継続を希望する高齢者が多い一方で、加齢に伴う身体機能の衰えも見ら れることから、今後高齢化が急速に進展する中での高齢者の住まいのあり方を考える際には、住み慣 れた自宅に住み続けたいという高齢者の意向を最大限尊重しながら、身体機能の衰えた高齢者等が安 全に、かつ安心して暮らせる住環境を確保することが重要と考えられます。 このため、県では、平成 24 年3月に策定した「愛媛県高齢者居住安定確保計画」等に基づき、自宅 のバリアフリー化を推進するとともに、サービス付き高齢者向け住宅など高齢者に配慮した住宅の整 備促進に努めています。 なお、サービス付き高齢者向け住宅については、県内の登録数は 3,084 戸(平成 26 年 12 月末時点) で、既に平成 32 年度までの計画目標 3,000 戸に達しており、順調に確保できています。 ①愛媛県高齢者居住安定確保計画 「愛媛県高齢者居住安定確保計画」の概要 高齢者向け住宅の効率的な供給の促進等を目的とする「高齢者の居住の安定確保に関する法律」 (以下「高齢者住まい法」という。)が、平成21年5月の改正により国土交通省と厚生労働省の共管 とされたこと等を踏まえ、県では、高齢者に関する住宅及び福祉の一体的な施策を総合的かつ計画 的に推進し、高齢者が安心して暮らせる社会の実現を目的として、平成24年3月、高齢者住まい法 第4条に基づく「愛媛県高齢者居住安定確保計画」を策定。 計画期間:平成23~32年度までの10年間(平成27年度を中間年度) なお、「愛媛県高齢者保健福祉計画・愛媛県介護保険事業支援計画」等の計画 見直しに合わせて必要に応じた見直しを実施。 高齢者に対する賃貸住宅の供給目標等

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高齢者に対する賃貸住宅の供給目標等 ※要配慮高齢者世帯 本計画では、要介護(支援)高齢者・二次予防事業対象者のうち、①施設・居住系サービス 等を利用している高齢者以外で、②借家に居住し、③生活基盤が脆弱な単身及び夫婦のみ世 帯を「要配慮高齢者世帯」と位置付け。 ⇒ 日常生活に外部の支援を要するため、サービスが提供される住宅を確保する必要性の高 い高齢者世帯を指す。 【主な施策(抜粋)】 1. 高齢者向け住まいの供給促進 1)高齢者向け賃貸住宅の供給促進 ①サービス付き高齢者向け住宅の供給促進 ・ 平成23年10月20日の改正法施行に伴い、これまでの高円賃、高専賃、高優賃が廃止され、 「サービス付き高齢者向け住宅」(バリアフリー化され、かつ安否確認や生活相談などの 生活支援サービスが提供される住宅)に一本化されました。 ・ 県では、これまで高齢者向け住宅を供給してきた事業者に対し、サービス提供施設の併 設によるサービス付き高齢者向け住宅への移行を促すとともに、新たな事業者に対しても サービス付き高齢者向け住宅整備事業の活用等による整備を積極的に促し、高齢者が安心 して暮らせる住まいの供給量の確保に努めます。 ② 公的賃貸住宅の供給推進 ○公的賃貸住宅の既存ストックを活用した高齢者生活支援機能等の充実 ・ 公的賃貸住宅においては、地域の実情やニーズ等を踏まえつつ、地域の協力や支援団体、 事業者等との連携のもと、生活相談や食事サービス、介護関連サービス、診療・看護等を 提供する高齢者生活支援機能の充実を図るなど、高齢者が安心して暮らせるための住まい の環境づくりを促進します。

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・ 民間事業者と連携しながら、公的賃貸住宅の建替え等に際して創出した余剰地を活用し た地域交流スペースや介護保険サービス拠点、医療サービス拠点等の併設、高齢者福祉施 設やサービス付き高齢者向け住宅などの整備を促進します。 (安心住空間創出プロジェクトの活用など) ・ 既存の公的賃貸住宅においても、市町と連携しながら、高齢者支援施策の展開を検討し ます。 ○シルバーハウジング・プロジェクトの整備促進 ・ バリアフリー化された公営住宅に、日常の生活指導・安否確認等の生活支援を行う生活 援助員(LSA)を配置するシルバーハウジング・プロジェクトの環境づくりを推進しま す。 ・ シルバーハウジングへのLSA24 時間配置を検討します。 【シルバーハウジング・プロジェクト】 ・昭和62年度に制度化された、高齢者が自立して生活することのできるような設備を 備えた公営住宅のこと。 具体的には、住宅のバリアフリー化、ライフサポートアドバイザー(生活援助員) による安否確認、生活相談・緊急時の対応・疾病時の一時的サポートなどの生活支 援など、ハード・ソフトの両面から福祉サービスを利用者に供給します。 公的住宅供給主体(地方公共団体、住宅・都市整備公団、地方住宅供給公社など) がサービスの供給主体であり、入居対象者は日常生活で自立可能な60歳以上の高齢 単身世帯、高齢者のみの世帯、または高齢夫婦世帯、障害者世帯です。家賃は公営 住宅に準拠しています。 ③その他の高齢者向け民間賃貸住宅の供給促進 ・ 高齢者等の入居を受け入れることとする民間賃貸住宅である「えひめあんしん賃貸住宅 (仮称)」の登録制度を設け、賃貸住宅を斡旋する宅建業者や、入居を支援するNPO法 人などとの連携によるネットワーク体制の構築や情報提供のシステム化を進めるとともに、 登録情報の普及に努めます。これにより、高齢者等の入居の円滑化と安心できる賃貸借関 係が構築され、住宅セーフティネットとしてこれら高齢者向け民間賃貸住宅の供給量が増 加することが期待されます。 ■えひめあんしん賃貸支援システム(仮称)イメージ図

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・ 平成23年の法改正により廃止された高円賃、高専賃のうち、基準を満たすものはサービ ス付き高齢者向け住宅への移行を勧め、それ以外のものについても「えひめあんしん賃貸 住宅(仮称)」への登録を勧めることにより、高齢者の入居の円滑化を図ります。 ・ 生活支援サービスを提供する施設が充実しているまちなかなどでは、事業者に高齢者の 受け入れを積極的に働きかけるとともに、バリアフリー化の整備を促します。 ・ サービス付き高齢者向け住宅以外で、高齢者が安心して暮らすための居住環境が整備さ れるとともに、介護や生活支援などのサービスが提供され、高齢者住まいのモデルとなる ような民間の高齢者向け賃貸住宅に対して支援を検討します。 ・ 多様なニーズに対応しながら、高齢者の所得や貯蓄額の範囲で良質な高齢者向け住宅に 居住できるよう、居住環境や生活支援サービス、住宅管理等について、事業費や運営費等 のコスト面を考慮した住宅モデルの検討を行います。 ・ 入居制限の解消など高齢者の円滑な入居の促進、高齢者向け住宅の十分な供給量確保を 目指し、今後は、国の制度の活用だけでなく、本県の地域特性に応じた、高齢者が円滑に 安心して入居できる住宅市場の形成を図ります。 2)老人ホーム等の適正な供給促進 ①施設・居住系サービスの計画的な整備等 ・ 施設系サービス(介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、地域密 着型介護老人福祉施設)及び居住系サービス(特定施設入居者生活介護、認知症高齢者グ ループホームなど)については、市町の「介護保険事業計画」に基づく計画的な整備を支 援します。 ・ 要介護状態となっても、可能な限り住み慣れた自宅や地域での生活を継続したいという 本人や家族の意向を実現するため、小規模多機能型居宅介護などの地域密着型サービスや 既存の様々な在宅サービスの充実強化を図るとともに、医療との連携による在宅介護の充 実を図る観点から、24 時間対応の定期巡回・随時対応型サービス及び看護小規模多機能型 居宅介護(旧:複合型サービス)の普及に努めるほか、グループホームなどの居住系サー ビスを拡充します。 ・ また、身近な市町の区域内で提供される地域密着型サービスについては、その効率的・ 効果的な施設整備等を進めるため、公的賃貸住宅の空き住戸の活用や公共施設との一体的 な整備などについての検討を支援します。 ②その他居住施設の充実 ・ 養護老人ホームや軽費老人ホームについても、地域の実情やニーズに基づき、その役割 の重要性等を十分に踏まえ、適切なサービス量の確保や充実に向けた市町の取組みを支援 します。 ③ケア付き民間施設の充実 ・ 有料老人ホームについては、入居者の尊厳確保と福祉の向上などを基本姿勢とする「愛 媛県有料老人ホーム設置運営指導指針」に基づいた施設整備が実施されるよう助言・指導 するとともに、「有料老人ホーム該当施設判断基準」をもとに有料老人ホームの届出を促 進し、有料老人ホームのサービスの質の向上を促します。

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2.良好な居住環境の整備 1)高齢者に配慮した住宅性能の確保 ①バリアフリー化の促進 ▼バリアフリー化の促進 ・ 高齢者等が地域において安全・安心な暮らしを営むことができるよう、個人住宅や民間 賃貸住宅、公的賃貸住宅のバリアフリー・ユニバーサルデザイン化を進めます。 ・ 自宅に住み続けることを望む高齢者が多いことから、長期にわたり住宅を使い続けるこ とができるように、断熱性能やバリアフリー性能等が確保された長期優良住宅の普及促進 を図ります。 ▼県営住宅におけるバリアフリー化の推進 【~H27】 ・ 階段の昇降による負担のない1~2階住戸において、手すりの設置(玄関、浴室、便所) を行います。(エレベーターが設置されている棟においては、3階以上の住戸にも手すり を設置。) ・ 階段昇降による負担軽減のため、4階建て以上の片廊下型住棟については、エレベータ ーの設置を順次進めます。 ・ 片廊下型の住棟にはスロープを設置し、共用部分の段差解消を図ります。 【H28~H32】 ・ 引き続きバリアフリー化を推進するとともに、高齢者世帯の低層階への住み替えを行い ます。 ▼普及・啓発と相談体制の充実 ・ 高齢者が住み慣れた住宅において安全・安心に住み続けるためには、心身状態の変化に 応じたバリアフリー化を図ることが重要です。よって、「人にやさしいまちづくり条例」 などの活用により、バリアフリー化の必要性を広く県民に普及・啓発します。

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・ 建築・福祉の専門家の連携強化により、バリアフリー化に関する情報を共有し、相談体 制の充実を図ります。 ・ バリアフリー化など住宅改造の工夫や福祉用具の展示などにより、広く県民に情報提供 を行います。 ・ 社会福祉法人愛媛県社会福祉協議会との連携を強化し、バリアフリー化や福祉用具など に関する講習会の開催や情報提供を行います。また、社会福祉法人等と連携を図りながら、 県民の知識習得、福祉・介護の知識を有し高齢者のニーズに応じた提案ができる建築士、 大工・工務店等の人材育成などに努めます。 ・ 高齢者が在宅で安心して日常生活を送れるように、介護保険制度等を活用したバリアフ リー化の支援を図るとともに、市町にバリアフリー化に関する支援制度の拡充を働きかけ ます。 ・ 住宅のバリアフリー化の促進に向けて、高齢者向け返済特例制度(※)など各種制度に 関する情報提供を行います。 【※高齢者向け返済特例制度】 住宅金融支援機構ホームページより ・ 満60歳以上の高齢者の方が自ら居住する住宅にバリアフリー工事または耐震改修工事 を施すリフォームを行う場合について、返済期間を申込本人(連帯債務者を含みます。) の死亡時までとし、毎月のご返済は利息のみをお支払いいただき、借入金の元金は申込 本人(連帯債務者を含みます。)が亡くなられたときに一括してご返済いただく制度の こと。 ▼バリアフリー化の成果目標 ・ 愛媛県住生活基本計画に示すバリアフリー化の成果目標は以下のとおりです。

【現況値と成果目標(愛媛県住生活基本計画より)】

●高齢者(65歳以上の者)の居住する ●高齢者(65歳以上の者)の居住する 住宅の高度のバリアフリー化率 住宅の一定のバリアフリー化率 現状(H20) 目標(H32) 愛媛県 7.3% ➭ 20% 全国 9.5% ➭ 25% ●共同住宅のうち、道路から各戸の玄関まで 車椅子・ベビーカーで通行可能な 住宅ストックの比率 現状(H20) 目標(H32) 愛媛県 10.5% ➭ 21% 全国 16% ➭ 28% 現状(H20) 目標(H32) 愛媛県 32.9% ➭ 50% 全国 36.9% ➭ 75%

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②その他の住宅性能確保 ▼木造住宅における耐震化の促進 ・ 高齢者の住宅に対するニーズとして、地震等に対する安全性が高く望まれています。 また、老朽化した木造住宅(特に旧耐震基準である昭和56年5月以前に着工した築30年以 上の木造住宅)は、大地震による倒壊の危険性が高いため、耐震化を早期に図る必要があ ります。 こうしたことから、市町が行う木造住宅耐震診断補助事業や耐震改修補助事業を積極的 に支援し、木造住宅耐震化の促進を図ります。 ・ 県、市町及び建築関係団体で組織された愛媛県建築物耐震改修促進協議会が実施する「愛 媛県木造住宅耐震診断マニュアル」、木造住宅耐震診断事務所の登録、耐震診断評価制度 等に関する情報を広く県民に提供し、木造住宅耐震化の促進を図ります。 ▼リフォームの促進 ・ 外壁や窓の断熱改修など、既存住宅における断熱性能の向上を促進します。 ・ バリアフリー化や耐震化をはじめとするリフォームを円滑に行うための支援として、リ フォーム瑕疵保険登録事業者の紹介や国土交通省が採択したリフォーム事業者選択支援サ イトを始めとするリフォームに関する情報の提供や、リフォームに対する相談体制の充実 を図ります。 ・ また、リフォーム瑕疵保険を利用してリフォームを行う場合に、金利優遇を行う金融機 関の紹介等により、安心してリフォームができる環境の整備を進めます。 2)高齢者向け住まいの適正管理 ①サービス付き高齢者向け住宅の登録基準 ・ 本県が独自に定めるサービス付き高齢者向け住宅の登録基準(抜粋) 【居室の床面積】 ①各居住部分の床面積は、壁芯方法で 25 ㎡以上とする。 ②居室内の台所、便所、収納設備、洗面所及び浴室を除いた日常の生活に有効な部分の 床面積は、壁芯方法で13㎡以上とする。 【構造及び設備の基準】 ①各居住部分が、台所、水洗便所、収納設備、洗面設備及び浴室を備えたものであること。 ②公的賃貸住宅の適正管理 ▼公共賃貸住宅の適正管理 ・ 公共賃貸住宅については、「愛媛県住生活基本計画」や「愛媛県公営住宅等長寿命化計 画」などに基づいて、計画的に建替えや改善を行います。 ・ また、多様な世帯に対応した住戸改善や敷地内の公園整備、子育て支援施設や福祉施設 の整備などにより、多世代居住による団地コミュニティの再生を図るとともに、地域に開 かれた公的賃貸住宅団地の形成を図ります。 ・ 地域の老人クラブや自治会等との協力、高齢者支援に取り組むNPO等の支援団体や市 町との連携により、公的賃貸住宅団地内の高齢者に対する見守りや声かけなどの生活支援 サービスの提供を図ります。

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▼公共賃貸住宅における高齢者への配慮 ・ 県営住宅における特定目的住宅の優先入居制度や市町住宅における優先入居制度等を活 用し、高齢者等の入居に配慮します。 ・ 別枠募集や抽選倍率優遇などを実施し、低所得高齢者の住まいを確保していきます。 ・ 高額所得者や収入超過者の自主退去を促すことにより空き住戸を確保し、高齢者が公的 賃貸住宅に入居できる機会を創出します。 ・ また、身体的に階段の利用が困難な高齢者に対しては、低層階への入居やエレベーター が設置された棟へ入居できるよう配慮します。 ・ 介護等のための親子の同居や隣居・近居ニーズなどに対し、同一住戸や同一団地内住戸 への住み替えに対する配慮を行います。 ▼認知症高齢者グループホーム等への活用 ・ 公営住宅制度の改正により、公営住宅を認知症高齢者グループホーム等に活用するため の要件が緩和されたことから、県営住宅の空き住戸について、小規模多機能型居宅介護や 認知症高齢者グループホーム等への活用について、今後、関係機関との協議を行いながら 検討します。 ③民間賃貸住宅の適正管理 ・ サービス付き高齢者向け住宅では、登録基準への準拠を厳格に指導していきます。 ・ また、既に登録された施設に対しても、登録内容と実態に乖離がないかを確認するため、 必要に応じて検査や質問を行い、高齢者が安心して住み続け、必要最低限のサービスが提 供され続けるよう適正な管理を行います。 ・ 行政・事業者・NPO団体・社会福祉法人等の連携による居住支援協議会の設置を始め、 高齢者等の民間賃貸住宅への円滑な入居の支援や民間賃貸住宅の適正管理に関する体制づ くりを行い、高齢者等への住宅セーフティネットの実現に努めます。 ・ 福祉などのサービスを提供する施設では、「高齢者居宅生活支援サービスに係る指針 (H12.8厚労省・国交省告示)」などを活用し、事業者に対して適切な助言や要請を行います。 3)情報提供と相談等の支援 ①住まいや介護等に関する情報提供 ▼情報提供の充実 ・ 高齢者向け賃貸住宅や老人ホーム等、また、これら施設内での介護サービスの提供など、 多様化している高齢者向け住まいに関して、高齢者や家族、ケアマネジャーなどが必要と する情報を円滑に入手できるように、それぞれの情報管理者と連携し、情報のネットワー ク化を図るとともに、パンフレット等による普及啓発を行います。 ・ サービス付き高齢者向け住宅について、今後の高齢者の住まいの一つとして認識しても らうため、住宅の見学会や体験会などの開催を事業者等に働きかけます。 ・ 情報提供については、インターネットを利用しない高齢者等もいることを踏まえ、様々 な媒体による情報提供に努めます。 ・ 平成18年に義務付けられた介護サービス情報の公表について、高齢者や家族などへの普 及を図るとともに、公表が円滑に行われるよう、調査員の養成に努めます。 ・ 福祉・保健・介護に関する情報を一体的に提供する福祉保健医療情報ネットワークシス テムの導入、福祉人材や介護保険に関する情報など県独自のデータベースの充実に努め、 高度情報時代にふさわしい地域福祉推進体制づくりを推進します。 ・ 保健・医療・福祉など介護に関する情報が、地域包括支援センターにおいて入手できる 体制整備を支援します。

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▼入居支援 ・ 高齢者の世帯や心身の状況に応じた住み替え、高齢者が所有する広い住宅の子育て世代へ の賃貸、定期借家制度(※1)やリバースモゲージ制度(※2)の活用など、高齢者等の住 み替えに関する情報提供を行うとともに、住宅分野と福祉分野の連携強化によるワンストッ プ型の相談体制を構築し、円滑かつ柔軟な住み替えを支援します。 ・ 自宅資産を賃貸住宅として借り上げ、円滑な住み替えや生活資金を確保するため、「マイ ホーム借り上げ制度」(移住・住みかえ支援機構)の活用促進を図ります。 ・ そのため、事業者等と連携し、制度の説明会や資産活用相談会などを開催し、制度の普及 啓発を図ります。 ・ バリアフリー化された住宅を高齢者が終身にわたって安心して賃貸できる「終身建物賃貸 借制度(※3)」の普及・啓発を図り、高齢者の居住の安定を確保します。 【※1 定期借家制度】 ・ 定期借家制度とは、賃貸人の方及び賃借人の方双方の合意に基づき契約で定めた期間の満了により契 約の更新がなく終了する賃貸借関係のことです。本制度により、借地人は、より安い価格で持ち家を購 入でき、土地所有者は、契約期間・収益見通しが明確化するとともに期間満了時には土地が無償で更地 の状態で戻ってきます。 【※2 リバースモゲージ制度】 ・ 自宅を担保とした金融商品の一つ。住宅や土地などの不動産を担保として、年金または一時金を受け 取り、死亡や相続などによって契約が終了した時点で担保不動産を処分し、元利一括で返済する制度。 【※3 終身建物賃貸借制度】 ・ 終身建物賃貸借制度とは、「高齢者の居住の安定確保に関する法律」による制度であり、バリアフリ ー化基準など高齢者に適した良好な居住環境が確保され、都道府県知事の認可を受けた賃貸住宅につい て、高齢者が生涯にわたって賃貸する契約を結ぶことを可能とする制度です。入居者は60歳以上に限定 され、一代限りの契約となります。

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②関係機関の連携強化と相談等の支援 ▼関係機関の連携強化 ・ 保健・医療・福祉・住宅の関係機関や団体などとの連携構築を支援します。 ・ 各種手続きは各法令で異なることから、建築・福祉・消防など関係部局の連携強化を図り、 事業者等への円滑な情報提供・相談体制の充実に努め、高齢者向け住まいの安全性を確保し ます。 ・ 県庁内の横断的な連携、市町との連携や情報交換の強化を図ります。 ▼相談等の支援 ・ 「介護」「医療」「予防」「住まい」「生活支援」の総合的な観点から情報提供ができる ような地域包括支援センターにおける相談体制の充実を支援します。 ・ 愛媛県社会福祉協議会に設置されている愛媛県高齢者相談センターにおいて、高齢者及び その家族が抱える各種の心配事や悩み事等を解消するため相談に応じるとともに、市町に対 し各種の情報を提供することなどによりその相談体制の支援等を行います。

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(2)多様な施設等サービスの提供 第5期計画期間における、高齢者福祉施設等の整備状況は次のとおりです。(表 4-12) 表4-12 福祉施設の整備状況 (単位:箇所、人) 区 分 24 年度 25 年度 26 年度 施設数 入所定員数 施設数 入所定員数 施設数 入所定員数 養 護 老 人 ホ ー ム

23

1,520

23

1,520

23

1,520

軽 費 老 人 ホ ー ム ( A 型 )

1

50

1

50

1

50

軽 費 老 人 ホ ー ム ( B 型 )

1

50

1

50

1

50

ケ ア ハ ウ ス

51

1,578

51

1,578

51

1,578

生 活 支 援 ハ ウ ス (高齢者生活福祉センター)

11

116

11

116

11

116

在 宅 介 護 支 援 セ ン タ ー

67

67

67

資料:長寿介護課調査(各年度4月1日現在) ①養護老人ホーム 養護老人ホームについては、①入所者の自立支援や社会参加を促進し、住み慣れた地域に戻り自 立した生活を送ることが可能な者に対する環境調整を行うこと、②地域で生活を送る老人等の社会 生活上の課題を解決するため、アウトリーチを積極的に実施し、必要な支援を行うこと、③地域に 戻って自立した生活を送ることが困難な入所者に対する質の高い個別的・継続的な伴走型支援を提 供すること、等の役割が期待されています。 高齢化の進展に伴い、生活困窮や社会的孤立の問題等が顕在化しており、今後、介護ニーズ以外 の面で生活の問題を抱える老人が増加することが見込まれる中で、養護老人ホーム以外の施策では 十分な対応が難しい老人も増加することが見込まれており、養護老人ホームの果たすべき役割は重 要性を増していることから、必要な定員を確保する必要があります。 このことを踏まえて、各地域において環境上の理由(入所措置基準によるもの)及び経済的理由 により居宅において養護を受けることが困難な者を把握し、適当な量を見込むこととします。 (表 4-13)

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圏 域 26 年度末の整備定員数 29 年度の整備見込数 宇 摩 100 100 新居浜・西条 220 220 今 治 220 220 松 山 400 400 八幡浜・大洲 320 320 宇 和 島 260 260 県 計 1,520 1,520 資料:長寿介護課調査 ②軽費老人ホーム 軽費老人ホームについては、老人福祉法制定時から存続するA型に続き、B型、ケアハウスが制 度化され、職員配置や居室などの基準が異なる三類型が併存してきましたが、平成 20 年6月から、 これら三類型に係る設備及び運営に関する基準は、ケアハウスに統一されました。 このため、既存のA型とB型(「軽費老人ホームの設備及び運営に関する基準」(平成 20 年厚生労 働省令第 107 号)附則第2条においては、経過的軽費老人ホームとして規定。)については、建て替 えの機会などに、円滑にケアハウスに移行していくことが必要です。 また、養護老人ホームの入所者が地域に戻って生活する受け皿を確保するうえで、小規模なケア ハウスが整備されることも必要です。 さらに、日常生活や介護に不安を抱く低所得の高齢単身世帯等が、可能な限り住み慣れた地域で その有する能力に応じて自立した日常生活を営むためには、住宅と生活支援サービス等が組み合わ された形での支援が必要となっており、地域ニーズにあった柔軟な支援機能の確保の観点からも、 軽費老人ホームの担う役割は重要であることから、必要な定員を確保する必要があります。 軽費老人ホームの設置数については、経過的軽費老人ホーム(A型、B型)からの移行、養護老 人ホームや特別養護老人ホーム、介護老人保健施設からの退所者数を把握するとともに、必要な利 用者数を踏まえ、適当な量を見込むこととします。(表 4-14、4-15、4-16) 表4-14 軽費老人ホーム(ケアハウス)の整備見込み(単位:定員数) 圏 域 26 年度末の整備定員数 29 年度の整備見込数 宇 摩 110 110 新居浜・西条 287 287 今 治 273 273 松 山 634 634 八幡浜・大洲 200 200 宇 和 島 74 74 県 計 1,578 1,578 資料:長寿介護課調査

(13)

表4-15 経過的軽費老人ホーム(A型)の整備見込み(単位:定員数) 圏 域 26 年度末の整備定員数 29 年度の整備見込数 宇 摩 0 0 新居浜・西条 50 50 今 治 0 0 松 山 0 0 八幡浜・大洲 0 0 宇 和 島 0 0 県 計 50 50 資料:長寿介護課調査 表4-16 経過的軽費老人ホーム(B型)の整備見込み(単位:定員数) 圏 域 26 年度末の整備定員数 29 年度の整備見込数 宇 摩 0 0 新居浜・西条 0 0 今 治 0 0 松 山 50 50 八幡浜・大洲 0 0 宇 和 島 0 0 県 計 50 50 資料:長寿介護課調査 ③生活支援ハウス(高齢者生活福祉センター) 一人暮らしに不安を感じている高齢者や介護保険施設からの退所者など、生活支援を要する高齢 者が居住できる施設として整備が進められてきました。生活支援の必要な者を把握し、適当な量を 見込むこととします。(表 4-17) 表4-17 生活支援ハウスの整備見込み (単位:定員数) 圏 域 26 年度末の整備定員数 29 年度の整備見込数 宇 摩 6 6 新 居 浜 ・ 西 条 12 12 今 治 30 30 松 山 22 22 八 幡 浜 ・ 大 洲 20 20 宇 和 島 26 26 県 計 116 116 資料:長寿介護課調査

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有料老人ホーム経営の基本姿勢としては、入居者の福祉を重視しつつ、安定的かつ継続的な事業 運営を確保するとともに、より高い水準の施設運営に向けて努力していくことが求められています。 特に、介護サービスを提供する有料老人ホームにあっては、より一層、入居者の個人としての尊厳 を確保しつつ、福祉の向上を図ることが求められています。 また、老人福祉法の帳簿の作成及び保存、情報の開示並びに短期間での契約解除の場合の前払金 の保全措置の規定を遵守するとともに、入居者等に対し、サービス内容等の情報を開示するなどに より施設運営について理解を得るように努め、入居者等の信頼を確保することが求められています。 こうしたことを踏まえて、有料老人ホームのサービス全体の質の向上に取り組みます。 ❖有料老人ホームの届出促進 有料老人ホームの把握及び届出等について、地域の様々なネットワークを活用し、積極的に取 り組みます。 ❖有料老人ホーム指導監督体制の強化、入居者保護の徹底 県における有料老人ホーム指導監督体制の充実を図り、入居者の処遇等について、法令遵守を 徹底するよう指導します。 具体的には、設置者に対する情報提供と指導、計画的な訪問指導の実施、有料老人ホーム職員 に対する研修会の開催、身体拘束廃止や権利擁護に関する研修の受講要請等に取り組みます。 (3)住環境の整備 ①テクノエイドサービス機能の強化 介護が必要になった高齢者が自宅で生活していくためには、継続したリハビリテーションの提供 とともに、福祉機器・用具や住宅改修などのテクノエイドサービスの提供が不可欠です。 ❖介護実習・普及センター事業の推進 高齢者の自立促進を図るうえで、福祉用具や住宅改修の必要性は高いため、介護実習・普及セ ンターが、福祉用具・住宅改造モデルルーム(ユニコム)を展示・運営するとともに、利用等に 係る相談や助言、情報提供を行います。 ❖福祉用具等の開発・改良・普及支援体制の充実 高齢化の進展に伴って、今後重要度が増すと考えられる医療、福祉、生活支援などのライフサ ポート産業の活性化を図るため、公益財団法人えひめ産業振興財団が実施する「ライフサポート 産業支援事業」による、ニーズを反映した質の高い福祉・生活用具の開発・改良・普及を支援し ます。 ②家族介護支援の推進 介護保険制度の実施により、介護は個々の世帯の問題ではなく社会全体の問題として捉え、社会 全体で支えるという仕組みになりましたが、要介護者等を抱える家族等にとって、身体的、精神的 及び経済的負担は全て解消されたわけではありません。 このため、地域包括支援センターでの介護家族への相談事業の充実や、市町が実施する地域支援 事業(任意事業)における家族介護教室の開催などを通じて、介護家族の負担軽減の取組みを支援 します。

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3-2 安全な暮らしの確保

(1)安全な暮らしを確保するための取組み 高齢者が地域で安心して暮らすためには、近年多発する高齢者を狙った振り込め詐欺などの特殊詐 欺や住宅侵入などの犯罪、高齢者が巻き込まれる交通事故、さらには津波などで多くの高齢者が犠牲 となった東日本大震災を始めとする自然災害など、これらの被害から高齢者を守る「安全」を確保す るための取組みが重要です。 このため、県では、平成 25 年4月1日に施行された「愛媛県犯罪の起きにくい安全で安心なまちづ くり条例」等に基づき、警察本部や市町などの関係機関と連携を図りながら、次の取組みを積極的に 推進します。 ①犯罪等被害の防止 ❖犯罪被害の防止 高齢者を対象として、特殊詐欺などの犯罪被害防止広報を実施しているほか、警察官の高齢者 方への訪問時や、高齢者が集まる会合等における各種犯罪被害防止の指導などを実施しています。 また、空き巣、強盗などの住宅侵入への対策として、主に各種会議・講話での広報啓発活動や イベント等でのチラシ配布などによる広報啓発活動を行っています。 引き続き、高齢者に係る関係機関・団体と連携を強化し、安全・安心に関する必要な情報が高 齢者に的確に伝わるようなネットワークの整備に努めます。 ❖悪質商法など消費者被害防止対策 平成 26 年9月に策定した「愛媛県消費者教育推進計画」に基づき、一人ひとりの消費者が自主 的かつ合理的に行動できるよう、ライフステージに応じた消費者教育に取り組むこととし、特に 消費者被害に対する配慮が必要な高齢者等には、見守りネットワークの活性化により、被害の未 然・拡大防止を図ります。 また、消費生活センター等の認知度向上に努め、消費生活相談員のスキルアップ等によりトラ ブルに遭ったときに安心して相談できる体制の充実を図るとともに、悪質な事業者に対しては、 厳正な指導・処分の実施等に取り組み、消費生活の安定・向上に努めます。 ②交通事故対策 高齢者を対象とした街頭での積極的な「声掛け活動」や、高齢者世帯への直接訪問により、具体 的な交通事故防止の指導を実施するほか、高齢者が集まる会合やレクリエーション等の場において、 交通安全教育車、歩行シミュレーター、自転車シミュレーターを積極的に活用した出前型の交通安 全教育も行っており、引き続き愛媛県交通安全計画等に基づき、参加・体験・実践型交通安全教育 を推進します。 また、身体機能の低下の自覚を促す交通安全教育や、「運転免許自主返納制度」 の更なる周知を図ります。 愛媛県イメージアップ キャラクター みきゃん

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東日本大震災等の教訓を踏まえ、土砂災害や津波などから高齢者等の命を守り、安全を確保する ため、避難場所の整備などハード面だけでなく、平時からの情報提供や避難訓練などソフト面での 対策を講じることにより、災害時の効果的な「援護」に努めます。 ❖土砂災害や津波などの対策 土砂災害等から高齢者等の命を守るため、災害のおそれのある区域に立地する施設等に対する 警戒避難体制の整備・指導や、危険箇所への施設等の新規立地の抑制などを推進しています。 また、津波に対して、できるだけ早く高台に避難することの重要性が東日本大震災を通じて再 認識されたことを踏まえ、緊急時の一時避難場所となりうる急傾斜地崩壊防止施設の擁壁の背後 地等へ住民が安全に避難できるよう、手すりを備えた階段等の整備を進めます。また、整備に当 たっては、住民が適切に津波から避難できるように地元説明会などを通じて、津波に対する知識 の普及に努めます。 ❖避難行動要支援者(※)対策への支援 災害対策基本法の一部改正により、市町は新たに、要介護高齢者等、避難行動要支援者名簿の 作成や名簿情報の避難支援関係者への提供等を通じて、避難行動要支援者の避難支援に取り組む こととされたことから、県では、情報提供等を通じて、こうした市町の取組みを積極的に支援し ます。 ※避難行動要支援者:高齢者、障害者、乳幼児等、特に配慮を要する方(要配慮者)のうち、災 害発生時の避難等に特に支援を要する方 ❖介護保険施設等における災害対策 特別養護老人ホームなどの介護保険施設等に対しては、入所者等を災害の危険から守るため、 施設の整備段階において予想される災害への安全対策の徹底及び防災計画の策定を指導するとと もに、既存の施設における状況把握、さらには法令で義務付けられた定期的な避難・救出訓練の 実施の徹底を指導します。また、災害など非常時における入所者の相互受入れなど、関係団体等 と協力し、施設間の連携についても取組みを進めます。 ❖福祉避難所の普及促進 福祉避難所とは、要配慮者(※)に対して生活支援・心のケア相談等を行ううえで専門的な知 識を有する生活相談職員等の配置など、要配慮者のために特別な配慮がなされた避難所であり、 平成 26 年4月末現在、県内では 20 市町が社会福祉施設など 167 箇所を指定し、災害時における 要配慮者の受入体制を整備しています。 県では、近い将来、南海トラフ地震など大規模災害の発生が懸念されることから、福祉避難所 の一層の普及促進を図ることとしており、引き続き市町や社会福祉施設等関係機関との連携の下、 新たな指定の促進と受入体制の強化、住民への周知等に積極的に取り組みます。 ※要配慮者:高齢者、障害者、乳幼児その他の特に配慮を要する者

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④ 人にやさしいまちづくりの推進 高齢者等に配慮したまちづくりを推進し、高齢者等の社会参加を促進するため、市街地における 高齢者等の快適かつ安全な移動を確保するための施設等の整備、高齢者等の利用に配慮した建築物 の建築の促進等を図ります。 このような人にやさしいまちづくりをより一層推進するため、平成9年4月に施行した「人にや さしいまちづくり条例」に基づく取組みを進めています。 ❖人にやさしいまちづくりに関する啓発及び情報の提供 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー法)や人にやさしいま ちづくり条例に関する情報の普及・啓発に努めます。 ❖まちづくり施設の整備 人にやさしいまちづくり条例に基づき、不特定多数の方が利用する施設などについて、高齢者 を始め、誰もがスムーズに利用できるよう整備・改善を求めていきます。

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平成 18 年4月の「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」(以下、この項 目において「法」という。)の施行に伴い、各市町では、高齢者虐待の防止に取り組んでいるところです。 県においても、各市町で虐待対応にあたる職員のスキルアップを図ることを目的とした「高齢者虐待対 応職員養成講座」を開催するとともに、高齢者虐待防止に係る関係機関・団体の連携や共通認識を図り、 有効なネットワークを構築するための「高齢者虐待防止連携会議」や圏域の担当者で検討する「高齢者 虐待防止担当者会議」を開催しています。また、平成 26 年3月に「家庭における暴力及び虐待の防止並 びに被害者の保護等推進条例」の施行により、切れ目のない支援体制の構築が推進され、県民が安心し て暮らすことができる社会の実現を目指すこととされました。 加えて、平成 26 年度からは、「養介護施設従事者等による高齢者虐待防止研修会」を開催しています。 平成 21 年度から平成 25 年度までの5年間に、各市町等で、事実確認・対応した高齢者に対する虐待 の状況は、次のとおりです。 【養介護施設従事者等による高齢者虐待の状況等】 ① 養介護施設従事者等による高齢者虐待の事実が認められた件数は、21 年度0件、22 年度1件、 23 年度1件、24 年度3件、25 年度3件でした。 ② 平成 25 年度の養介護施設従事者等による高齢者虐待については、県に0件、市町に 13 件の相談・ 通報が寄せられました。そのうち虐待の事実が認められたものは、市町に相談・通報が寄せられた 3件(身体的虐待、心理的虐待)で、虐待を受けた高齢者は、男性1人、女性3人となっています。 市町では、再発防止に向けて、職員教育・研修や組織管理等について指導を行っており、現在は 改善されています。(表 4-18) 表 4-18 養介護施設従事者等による高齢者虐待の状況等(21 年度~25 年度) (単位:件、人) 平成 21 年度 平成 22 年度 平成 23 年度 平成 24 年度 平成 25 年度 県への相談・通報件数 0 1 1 1 0 市町への相談・通報件数 8 11 7 7 13 虐待の事実が認められた件数 ※1 0 - 1 100% 1 100% 3 100% 3 100% 有料老人ホーム 0 - 0 - 0 - 1 33.3% 0 - 特別養護老人ホーム 0 - 0 - 1 100% 0 - 1 33.3% 介護老人保健施設 0 - 0 - 0 - 0 - 0 - 訪問介護、訪問入浴介護 0 - 0 - 0 - 0 - 0 - 短期入所施設 0 - 0 - 0 - 0 - 1 33.3% 認知症高齢者グループホーム 0 - 1 100% 0 - 1 33.3% 0 - 小規模多機能型居宅介護 0 - 0 - 0 - 1 33.3% 0 - 特定施設入居者生活介護 0 - 0 - 0 - 0 - 1 33.3% 被虐待者の性別 ※2 0 - 8 100% 2 100% 3 100% 4 100% 男 0 - 1 12.5% 1 50.0% 2 66.7% 1 25.0% 女 0 - 7 87.5% 1 50.0% 1 33.3% 3 75.0% 虐待の種別・類型の件数 ※3 0 1 1 3 5 身体的虐待 0 - 0 - 1 100% 1 33.3% 2 50.0% 介護等の放棄等 0 - 0 - 0 - 0 - 0 - 心理的虐待 0 - 1 100% 1 100% 3 100% 3 75.0% 性的虐待 0 - 0 - 0 - 0 - 0 - 経済的虐待 0 - 0 - 0 - 0 - 0 - 対応状況の件数 ※4 立入検査、指導等 0 - 1 100% 1 100% 3 100% 3 100% 改善勧告 0 - 0 - 0 - 0 - 0 - 改善命令等 0 - 0 - 0 - 0 - 0 - 資料:長寿介護課調査 ※1 1人の養介護施設従事者等が、複数の高齢者を虐待している場合も、1 件として計上している。

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平成 25 年度に虐待の事実が認められた3件は、市町に相談・通報が寄せられたものである。 ※2 被虐待者が複数の場合があるため、被虐待者の総数と虐待の事実が認められた件数とは、一致しない ことがある。 ※3 種別・類型が重複することがあるため、虐待の種別等の総数と虐待の事実が認められた件数とは、一 致しないことがある(割合について、21~23 年度は虐待認定数に対するもので、四捨五入している。24・ 25 年度は虐待認定した事例の被虐待者の実数に対するもので、四捨五入している。)。 ※4 対応状況は重複することがあるため、内訳の計と虐待認定数とは一致しないことがある(割合は、虐 待認定数に対するもので、四捨五入している。)。 【養護者による高齢者虐待の状況等】 ① 養護者による高齢者虐待の事実が認められた件数は、21 年度 231 件、22 年度 220 件、23 年 度 190 件、24 年度 155 件、25 年度は 149 件と年々減少しているが、依然多くの件数が認めら れています。 ② 平成25年度の養護者による高齢者虐待については、市町に272件の相談・通報が寄せられました。 このうち、虐待の事実が認められたものは、149 件でした。虐待を受けた高齢者は 153 人で、う ち女性が 118 人と約8割を占めています。また、虐待の事実が認められた件数の約7割に当たる 110 件に身体的虐待が認められました。 各市町は、虐待者からの被虐待高齢者の分離、介護サービスの利用支援、保健師の訪問指導等の 対応を行い、高齢者及び養護者双方の支援をしています。(表 4-19) 表 4-19 養護者による高齢者虐待の状況等(平成 21 年度~25 年度) (単位:件、人) 平成 21 年度 平成 22 年度 平成 23 年度 平成 24 年度 平成 25 年度 市町への相談・通報件数 ※1 311 291 301 295 272 虐待の事実が認められた件数 ※2 231 220 190 155 149 被虐待者の性別 ※3 231 100% 231 100% 191 100% 159 100% 153 100% 男 64 27.7% 50 21.6% 50 26.2% 31 19.5% 35 22.9% 女 167 72.3% 181 78.4% 141 73.8% 128 80.5% 118 77.1% 虐待の種別・類型 ※4 350 335 292 246 230 身体的虐待 144 62.3% 137 62.3% 137 72.1% 100 62.9% 110 71.9% 介護等の放棄等 55 23.8% 53 24.1% 47 24.7% 30 18.9% 36 23.5% 心理的虐待 79 34.2% 86 39.1% 61 32.1% 72 45.3% 53 34.6% 性的虐待 0 - 3 1.4% 0 - 1 0.6% 0 - 経済的虐待 72 31.2% 56 25.5% 47 24.7% 43 27.0% 31 20.3% 虐待対応策としての分離の有無※5 被虐待者を虐待者から分離した事例 93 40.3% 75 34.1% 70 36.8% 63 36.8% 67 41.6% 被虐待者と虐待者を分離していない事例 133 57.6% 130 59.1% 109 57.4% 96 56.1% 78 48.4% 対応について検討、調整中の事例 0 - 5 2.3% 3 1.6% 7 4.1% 3 1.9% その他 5 2.2% 10 4.5% 8 4.2% 5 2.9% 13 8.1% 資料:長寿介護課調査 ※1 県への相談・通報件数は、ない。 ※2 1 人の養護者が、複数の高齢者を虐待している場合も、1 件として計上している。 ※3 被虐待者が複数の場合があるため、被虐待者の総数と虐待の事実が認められた件数とは、一致しない ことがある。 ※4 種別・類型が重複することがあるため、虐待の種別等の総数と虐待の事実が認められた件数とは、一 致しないことがある。(割合について、21~23 年度は虐待認定数に対するもので、四捨五入している。24・ 25 年度は虐待認定した事例の被虐待者の実数に対するもので、四捨五入している。) ※5 虐待対応策としての分離の有無の内訳には、前年度に虐待の事実を確認したもので当該年度に対応し たものを含む。(割合について、21~23 年度は虐待認定数に対するもので、四捨五入している。24・25 年度は虐待認定した事例の被虐待者の実数に対するもので、四捨五入している。)

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法の適切かつ円滑な運営を確保するため、「高齢者虐待の発生予防・早期発見のための取組み」、「高 齢者虐待防止ネットワークの構築」、「専門的人材の確保等」の着実な実施について、市町の取組みを 支援するとともに、関係団体、関係機関等との連携強化に努めます。 ①高齢者虐待の発生予防・早期発見のための取組み 高齢者虐待の発生予防・早期発見のためには、地方公共団体を始めとして、介護サービス事業者、 関係団体、関係機関、地域住民等が、高齢者虐待に関する正しい知識と理解の下に、高齢者虐待を 発生させない体制整備に積極的に取り組むことが重要です。 このため、次のような観点から、市町等による取組みを適切に支援します。 ❖高齢者虐待相談等窓口の設置及び周知 法第 18 条に基づき、市町村は、養護者による高齢者虐待の防止、通報、届出の受理、虐待を受 けた高齢者の保護、養護者に対する支援等に関する窓口となる部局及び高齢者虐待対応協力者の 名称を明示すること等により、当該部局等を周知させなければならないことから、「対応窓口とな る部局の設置」及び「対応窓口部局の住民への周知」について、市町に対する支援に努めます。 ❖高齢者虐待に関する知識・理解の普及啓発 地域住民一人ひとりが高齢者虐待に関する認識を深めることが、高齢者虐待の発生予防・早期 発見の第一歩となることから、高齢者虐待に関する知識・理解の普及啓発は重要です。高齢者虐 待は特定の人や家庭において発生するものではなく、誰にでも、どこの家庭にでも起こりうる身 近な問題であるものと捉え、地域住民に対する高齢者虐待に関する知識・理解の普及啓発に、積 極的に取り組むよう支援します。 ❖認知症に関する知識や介護方法の周知・啓発 養護者により虐待を受けている高齢者の約半数が要介護認定における認知症日常生活自立度Ⅱ 以上の者でした。特に、認知症の高齢者を介護する養護者・家族等にとっては、親や配偶者が認 知症になったという事実を受け入れることが困難な場合であったり、あるいは認知症によって引 き起こされる症状への対応方法が分からないことなどにより、結果として虐待に至る場合などが 考えられます。このため、養護者・家族等を始めとする地域住民に対する認知症高齢者やその介 護方法等に関する知識・理解の普及啓発に関する積極的な取組みを支援します。 ❖通報(努力)義務の周知 法第5条では、高齢者の福祉に業務上関係のある団体や職員などは、高齢者虐待の早期発見に 努めなければならないものとされ、また、法第7条及び第 21 条では、高齢者虐待を受けたと思わ れる高齢者を発見した者は、速やかに市町村へ通報しなければならない(又は、通報するよう努 めなければならない)ものとされています。当該法の規定について、高齢者虐待の発生予防・早 期発見を推進するため、介護サービス事業者、関係団体、関係機関、地域住民等に対する積極的 な周知の実施を支援します。

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②高齢者虐待防止ネットワークの構築 在宅で養護者による虐待が起こる背景としては、身体的、精神的、社会的、経済的要因等様々な 問題があるものと考えられることから、高齢者虐待の発生予防・早期発見、虐待を受けた高齢者や 養護者に対する適切な支援を行うためには、弁護士、社会福祉士により構成する「虐待対応専門職チ ーム」などの関係団体、関係機関等との有機的な連携・協力体制の構築が重要です。高齢者虐待防止 等の権利擁護業務を含めて、地域における高齢者の問題解決に向けて支援するネットワークを構築 することは、市町や地域包括支援センターの重要な業務であるため、県としてその積極的な取組み を支援します。 ③専門的人材の確保等 高齢者虐待の発生予防・早期発見、的確な援助が行われるためには、これらの支援業務が専門的 知識に基づき適切に行われるよう、専門的な人材の確保及び資質の向上を図ることが重要です。ま た、介護施設・事業所等の従業者に対する専門的知識の普及も重要です。このような観点から、地 方公共団体を始めとして、介護サービス事業者、関係団体、関係機関等の職員に対する研修等に積 極的に取り組みます。 (2)成年後見制度、権利擁護事業の推進 ① 地域包括支援センターにおける総合相談・権利擁護事業の実施 高齢者が地域において安心して暮らし続けるためには、身近なところに信頼をもって継続的に相 談できる拠点が必要です。近年、高齢者虐待や振り込め詐欺など、高齢者の権利侵害が疑われる問 題が頻発していますが、こうした高齢者虐待等の防止及び早期発見や、権利擁護に関する窓口とし ての地域包括支援センターの役割を、市町と連携して普及啓発に努めるとともに、地域包括支援セ ンターが行う総合相談・権利擁護事業の実施を支援します。 ②成年後見制度の利用促進 成年後見制度は、判断能力が十分でない人が様々な法律行為を行ううえで、本人の能力を補い、 本人の権利を保護する制度です。特に認知症高齢者が成年後見制度を有効に活用して、介護保険サ ービスの利用や財産管理などを行えるよう、制度の浸透を図るとともに、市町(地域包括支援セン ター)に対する助言その他の援助を行います。また、家庭裁判所等の関係機関や、弁護士や司法書 士、社会福祉士などの専門職、高齢者の権利擁護のための相談支援を行っている団体等との協力・ 連携の下で、その活用の一層の促進に努めます。 ❖市民後見人の育成支援 成年後見の担い手として市民後見人の役割が期待されていることから、その制度の浸透を図る とともに、市民後見人の育成に関して市町(地域包括支援センター)に対する助言・支援等を行 います。

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❖老人福祉施設等への措置 判断能力が低下している一人暮らしの高齢者や養護者から虐待を受けている高齢者等を把握し、 保護の必要がある場合には、老人福祉法に基づく措置により対応することが必要です。市町にお いて「やむを得ない事由」による介護サービスの提供や「環境上・経済上の理由」による養護老 人ホームへの入所など、適切かつ速やかな対応がなされるよう、地域包括支援センターにおける 総合相談や権利擁護事業の円滑な実施を支援します。 ❖日常生活自立支援事業 認知症高齢者など単独では金銭管理やサービス利用が困難な方(ただし、対象者は契約能力の ある方に限られます。)が適切に福祉サービスを受けることができるよう、社会福祉法人愛媛県社 会福祉協議会に福祉サービス利用援助センターを設置して、次のような日常生活自立支援事業を 実施しており、今後、事業の一層の利用促進を図ります。 ✎ 福祉サービスの利用援助(福祉サービスの利用手続きや利用料支払等) ✎ 日常的金銭管理サービス(税金や公共料金等の支払手続き等) ✎ 書類等の預かりサービス(預貯金の通帳等の預かり) ❖消費者被害の防止 近年、社会的弱者である高齢者・障害者を中心に悪質商法による被害が多発していることから、 地域全体で高齢者等を見守る体制を整備するとともに、相談体制や情報提供・啓発の充実を図り、 消費者被害の未然防止、拡大防止に努めます。 (3)介護サービス事業者における環境整備 養介護施設や養介護事業従事者等による高齢者虐待防止のため、身体拘束廃止などサービス事業者 に対して適切な指導を行います。 (4)介護保険施設等における環境整備 施設サービスの提供にあたっては、これまでの集団処遇的なサービス提供のあり方を見直し、入所 者の意思及び人格を尊重しながらその自立を支援するとともに、今後も引き続いて身体拘束の廃止に 向けた取組みを徹底していく必要があります。 ①ユニットケアの推進 高齢者介護の理念は「尊厳の保持」と「自立支援」であり、それは、個人の暮らし方を尊重し、 その人らしい生活を継続できるような個別ケアの実践と生活支援により支えられます。そのような ケアや支援を実現するため、高齢者が自分の居場所を確保でき、家庭的な雰囲気の中で自分のペー スで過ごせる個室型ユニットの普及を推進します。 ユニットケアの実践において重要な要素はハード(環境・住まい)とソフト(介護の質)です。 ハード整備に関してはプライベート、セミプライベート、セミパブリック、パブリックの空間構成 により、高齢者個人の居場所から社会とのつながりまでを段階的に確保することが必要です。ソフ

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トに関しては、たとえ介護が必要な状態になってもその人らしい生活が送れるようなケアが求めら れます。このハードとソフトが効果的に実践できることがユニットケアのメリットであり、望まし い個別ケアです。また、ユニットケアは、画一的な方法ではなく、個人の希望や状態に応じて柔軟 に対応する必要があります。 ○ ユニットケアを推進するに当たっては、ユニットケアに関する情報の普及が必要であるため、 その適切な情報の普及に努めます。 ○ 生活環境の改善に向けて、また、既存の特別養護老人ホーム全体で従来型多床室が約7割を占 める中、入所者の選択肢を確保する観点からもユニット型施設の整備の推進を図ることが必要で あり、既存施設のユニット型施設への改修等を促進します。 ②身体拘束廃止の徹底 指導監督等を通じて、各施設における身体拘束廃止の取組みに対して助言等の支援を行うほか、 実態の把握に努め、引き続き身体拘束を行わない処遇の徹底を図ります。 ③介護関連施設における感染症対策 介護関連施設内における感染症の発生及びまん延の防止については、各施設の運営基準等におい て衛生管理体制の整備及び発生時の報告手順を定め、また、入所予定者に感染症や既往があった場 合の適切な対応を徹底していく必要があります。 ○ 多数の高齢者が利用する施設等においては、感染症の集団発生が生じやすいことから、衛生主 管部局と連携のうえ、衛生管理の徹底と感染症の発生及びまん延の防止のために適切な措置が講 じられるよう努めるとともに、施設内の感染症対策体制整備に向けた支援を行います。 ④施設サービスの必要度による特別養護老人ホーム等における優先入所の推進 平成 27 年度からの制度改正により、特別養護老人ホームについては、居宅での生活が困難な中重 度の要介護高齢者を支える施設としての機能に重点化を図ることとされたことから、新規入所者は 原則要介護3以上に限定されることとなりました。 このため、制度改正を踏まえた新たな入所指針に基づき、適正な判定に基づく入所が行われるよ う、施設に対し引き続き指導・支援を行います。

参照

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