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第9章 ガスインジェクションサイクルの制御方法

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(1)第9章. 第9章 9.1. 概. ガスインジェクションサイクルの制御方法. ガスインジェクションサイクルの制御方法. 要. 省エネルギーや高暖房能力化に有効な方法として,ガスインジェクションサイク ルがある.そこでスクロール圧縮機を用いたガスインジェクションサイクルを適用 したルームエアコンディショナの研究開発を行い,その効果について第 8 章で述べ た.ガスインジェクションサイクルの特徴は,凝縮器の出口と蒸発器の入口との間 に,第 1 電子膨張弁と気液分離器と第 2 電子膨張弁を設け,気液分離器で分離した 中間圧力のガス冷媒を圧縮機の圧縮室内に注入することにより,省エネルギーおよ び冷暖房能力の増大を図るものである.このサイクルにおいて十分な効果を発揮さ せるには,2 個の電子膨張弁によって気液分離器内の冷媒圧力を適正に制御する必 要がある. 本章では,第 8 章で述べた R 410A およびスクロール圧縮機を使用したガスイン ジェクションサイクルの制御方法について述べる. また開発した制御方法を,ルームエアコンディショナに適用し,さらにパーソナ ルコンピュータによってサイクル制御を行う実験システムを構築して動作確認を 行い,制御動作が良好に行われることを確認し,2001冷凍年度ルームエアコンディ ショナで実用化した.. 9.2 9.2.1. 膨張弁開度とサイクル特性 実験装置. ガスインジェクションサイクルでは,気液分離器内の冷媒圧力すなわちインジェ クション圧力を制御する必要がある.この制御は,2 個の電子膨張弁によって行う. 制御方式の検討にあたって,まず 2 個の電子膨張弁の開度によってサイクルの特性 や性能がどのように変化するのかを把握しておく必要がある.そこで,電子膨張弁 の開度を変化させたときの性能,サイクルの温度・圧力等を測定した. ここで以下に出てくるサイクル各部の温度は,管や容器の表面にT熱電対を取り 付けて測定した値であり,特に管の表面温度は熱交換のないところで測定したもの で,内部を流れる冷媒温度と同等である.. - 125 -.

(2) 第9章. ガスインジェクションサイクルの制御方法. 供試機のサイクル構成を図 9.1 に示す.室内外機は 2001 冷凍年度用試作機(定 格冷房能力 2.8 kW)を使用し,これに気液分離器や電子膨張弁を取り付けた.ス クロール圧縮機については,2000 冷凍年度用のものを改造して 1 個のインジェク ションポートを設けた. なおインジェクション配管には二方弁を設けて,必要に応じて二方弁を閉じるこ とによりインジェクションを停止できるようにした.. Outdoor unit. Outdoor unit. Compressor. Indoor unit Indoor unit. Heat Heat exchanger exchanger Four Four way way valve valve. Heat exchanger. Injection pipe Two way valve Sight glass Sight glass. Electronic Electronic expansion valve expansion valve. Electronic Electronic expansion valve Gas-liquid separator. Fig.9.1. Refrigeration cycle of room air conditioner for experiment. 圧縮機の構造を図 9.2 に示す.インジェクションポートは固定スクロールの図 9.2 の位置に設けた.このポート位置は,従来の圧縮機の構造を大幅に変更することな く,しかもインジェクション量を多くできるような位置に定めた. 気液分離器の構造を図 9.3 に示す.この気液分離器の構造は,種々の構造を検討 した結果決定したもので,直径 40 mm の円筒形で,底部から仕切り板を立てて, 冷房,暖房の流れに対して対称に作られており,どちらの運転でも気液を分離する ことができる.冷房の場合を説明すると,図の左側から二相冷媒が流入し,ガスを. - 126 -.

(3) 第9章. ガスインジェクションサイクルの制御方法. 分離してガスは上部のパイプから圧縮機にインジェクションされる.液冷媒は図の インジェクション弁 右側のパイプから抜けて下流側の電子膨張弁に至る.気液分離器には,覗き窓を設 φ6 φ 5.5 3-φ 1 けて内部の状態が観察できるようにした.. φ 1~1.5 2. 0.254. 0.5. 2.5. インジェクション配管 Injection pipe. 5. インジェクションポート Injection port. Fixed scroll. 固定スクロール Orbit scroll 旋回スクロール. 2.0. 17.5. Fig.9.2. Injection-type scroll compressor. 図3.3 圧縮機の構造. [ Cooling ] Gas Two phase. Liquid. Cu pipe. (150). Liquid refrigerant Partition. (20). 25°. φ3. (φ40). Fig.9.3. Gas-liquid separator. - 127 -.

(4) 第9章. ガスインジェクションサイクルの制御方法. 電子膨張弁は,表 9.1 に示す仕様のものを用いた.. Table 9.1 Electronic expansion valve. 9.2.2. Items [Items]. Specifications [Specifications]. Maker. FUJIKOKI. Model. REVE1194 zCAM-B30YGHT-8U-A. Port diameter. 1.8 mm. Total pulse numbers. 500 pulses. 下流側膨張弁開度とサイクル特性. 表 9.2 に示す冷房定格条件と暖房定格条件の下で性能を測定した.下流側膨張弁 の開度を変化させて,能力,COP,圧縮機吐出温度,圧縮機吸入温度,気液分離器 温度等を測定した.. Table 9.2 Experiment condition Drive condition. Indicated capacity. Indoor temperature. Outdoor temperature. Rated cooling. 2800 [W]. 27 ℃(DB) / 19 ℃(WB). 35 ℃(DB) / 24 ℃(WB). Rated heating. 4200 [W]. 20 ℃(DB). 7 ℃(DB) / 6 ℃(WB). 冷房定格条件の測定結果を図 9.4 に示す.図の膨張弁開度のパルス数は,大きい ほど開くように定義している.実験では,圧縮機吐出温度がほぼ一定になるように 上流側膨張弁開度を調節した.ただし,下流側膨張弁を絞っていくと,ある開度以 下では上流側膨張弁による調整が効かなくなる.この領域については,上流側膨張 弁開度を一定にした場合と,上流側膨張弁を開いた場合の両方について調べた. 図 9.4 において,下流側膨張弁を絞っていくと,ある絞り量(ここでは 263 パル ス)以下では急激に COP が低下している.上流側膨張弁を一定開度にした場合は, 下流側膨張弁を絞るに従って圧縮機吐出温度が一旦上昇してから下降する.圧縮機 吸入温度は下流側膨張弁を絞るにしたがって上昇する.冷房能力は下流側膨張弁を. - 128 -.

(5) 第9章. ガスインジェクションサイクルの制御方法. 絞るほど低下する.下流側膨張弁を絞って行く時に上流側膨張弁を開いた場合は, 下流側膨張弁を絞ると圧縮機吐出温度は直ちに低下し,COP,冷房能力とも低下す る.このとき圧縮機吸入温度は上昇する.両場合とも,圧縮機吐出温度が低下して いる領域では,気液分離器内は液が一杯になっており,液混合インジェクションが 生じていた.このときに圧縮機吸入温度が上昇しているのは,冷媒が気液分離器に 溜まって冷媒不足気味になっているためと考えられる.一方,下流側膨張弁を 263 パルス以上に開いていった場合は,上流側膨張弁開度をほとんど調整しなくても, COP はほぼ一定で,圧縮機吐出温度や圧縮機吸入温度もほとんど変化しない.冷 房能力はなだらかに減少する. 暖房定格条件の結果を図 9.5 に示す.暖房でも,下流側膨張弁開度を絞っていっ た場合,ある所から COP が急激に低下する.ここでは,圧縮機吐出温度の低下, 圧縮機吸入温度の上昇が起こっており,液混合インジェクションが観察された.下 流側膨張弁開度を開いていった場合,COP の変化は小さく,暖房能力はなだらか に低下する.またこの場合,上流側膨張弁開度をほとんど調整しなくても,圧縮機 吐出温度,圧縮機吸入温度ともほぼ一定である.. - 129 -.

(6) COP ratio [%]. ä (%) COP‰. ‰) Td(‰. ‰) Ts(‰. (pulses). ä (%) Í ‰ \ ‰ [ ‰ ⠉ ‰. Compressor discharge Compressor suction Opening pulse of upstream Cooling capacity x[pulses] J ‰ ى ‰ £valve ¤ c‰‰ ¬‰ 㠉 ‰ ratio [(%] expansion [℃] temperature xtemperature x · ‰ · ‰ ‰ o ‰ ü[(℃] f ‰ ‰ z ‰ @ @‰ k ‰ k ‰ ³ ‰ ‰ ³ ‰ ‰. 第9章. ガスインジェクションサイクルの制御方法. 100 95. ●: Opening degree of upstream 㠉 ‰ ¬ valve ¤ ‰ ‰ c ‰ £is‰ Ùchange. J ‰ ‰ x ‰ Ï ‰ » expansion 㠉 ‰ ¬‰ ¤ ‰ c ‰ £‰ ى J ‰ x ‰ ê ‰ è Opening degree of upstream ■:. 90. expansion valve is constant.. 85 350 300 250 200 25 20 15 70 65. Liquid-injection is mixed. 60 100 90 80 70. 240. 260. 280. 300. 320. º ‰ ¤ ‰ ‰ c ‰ £‰ ى J ‰ x (pulses) Opening pulse‰ of¬downstream expansion valve [pulses]. Fig.9.4. Refrigeration cycle property vs. opening pulse of downstream electronic expansion valve (Cooling). - 130 -.

(7) COP ratio [%]. COP‰ ä (%). Td(‰ ‰). Ts(‰ ‰). (pulses). Compressor discharge Compressor suction Opening pulse of upstream Heating capacity x[pulses] ‰ x temperature x J ‰ · ‰ · ‰ ‰ ى ‰ ü [℃] ‰ o ‰ f ‰ ‰ z ‰ c £ @ [℃] @‰ ¤ ‰ k ‰ ¬‰ ³ k‰‰ ‰ ³ ‰ ‰ 㠉 ‰ temperature [%] valve expansion ä (%) Í ‰ ‰ \ratio [ ‰ g ‰. 第9章. ガスインジェクションサイクルの制御方法. 102 100 98 96 140 130 120 110 5 4 3 2 1 0 66 64 62. Liquid-injection is mixed. 60 1 58 101 100 99 98 97 96. 280. 300. 320. 340. 360. º ‰ ‰ ¬‰ ¤ ‰ c ‰ £‰ ى J ‰ x (pulses). Opening pulse of downstream expansion valve [pulses]. Fig.9.5. Refrigeration cycle property vs. opening pulse of downstream electronic expansion valve (Heating). - 131 -.

(8) 第9章. ガスインジェクションサイクルの制御方法. 冷房定格条件および暖房定格条件における下流側膨張弁開度に対する気液分離 器温度,気液分離器圧力の変化をそれぞれ図 9.6,図 9.7 に示す.気液分離器温度 と気液分離器圧力すなわちインジェクション圧力とは良く対応している.そこで, 気液分離器温度によってインジェクション圧力を制御することが考えられる.しか しながら,液混合インジェクションが始まる付近での気液分離器の温度変化は(上 流側膨張弁開度が一定の場合)1℃以内であり,温度センサの精度から考えると,. x (‰ · ‰ í ‰ £‰ ª ‰ t ‰ C‰ ‰ ‰). Í (MPa) ³ ‰ í ‰ £‰ ª ‰ t ‰ C‰ ‰. Temperature Pressure of gas-liquid separator [℃] of gas-liquid separator [MPa]. 気液分離器の温度で液インジェクションの有無を判断するのは困難である.. :Opening degree of upstream expansion valve is change. :Opening degree of upstream expansion valve is constant.. 2.4 2.2 2.0 1.8 1.6. 34 32 30 28. Liquid-injection is mixed. 26 240. 260. 280. 300. 320. º ‰ ‰ ¬‰ ¤ ‰ c ‰ £‰ ى J ‰ x (pulses). Opening pulse of downstream expansion valve [pulses]. Fig.9.6. Temperature and pressure of gas-liquid separator vs. opening pulse of downstream expansion valve (Cooling). - 132 -.

(9) [MPa] x (‰ · ‰ í ‰ £‰ ª ‰ t ‰ C‰ ‰ ‰). Í (MPa) ³ ‰ í ‰ £‰ ª ‰ t ‰ C‰ ‰. Temperature Pressure r a t oor f g[-la isq u i d s e p a r a t o r o f g-la isq u i d s e p a℃]. 第9章. ガスインジェクションサイクルの制御方法. 1.5 1.4 1.3 1.2 1.1 1.0 20 19 18 17 16 15 14. Liquid-injection is mixed. 280. 300. 320. 340. 360. º ‰ ‰ ¬‰ ¤ ‰ c ‰ £‰ ى J ‰ x (pulses). Opening pulse of downstream expansion valve [pulses]. Fig.9.7. 9.2.3. 考. Temperature and pressure of gas-liquid separator vs. opening pulse of downstream expansion valve (Heating). 察. 図 9.4,図 9.5 において,COP,能力が高く,最適と考えられる下流側膨張弁開 度が存在する.そこから下流側膨張弁を開いて行った場合,COP はほとんど変化 せず,能力の低下も比較的少ない.一方,下流側膨張弁を最適点から絞って行くと, COP,能力とも急激に低下する.制御の安定性を考えた場合,最適点よりも開き気 味のところに制御した方がよく,その付近では多少下流側膨張弁開度が変化しても 性能はあまり変わらない.そこであらかじめ下流側膨張弁開度を性能的にすぐれた 適正な開度に設定しておき,絞りすぎにより液インジェクションが発生した場合に 限ってこれを検知して補正するという制御方法が比較的容易である. 液インジェクションが起こっている領域では,図 9.4,図 9.5 から分かるように,. - 133 -.

(10) 第9章. ガスインジェクションサイクルの制御方法. 圧縮機吐出温度が低下し,圧縮機吸入温度は上昇していることに特徴がある.これ を利用すれば,液インジェクション発生の検知が可能である. 9.2.4. 圧縮機回転数,外気温度と下流側膨張弁開度. 前項で,下流側膨張弁に対してあらかじめ適正な開度を与えておくという考え方 を述べたが,実際の運転では,適正な下流側膨張弁開度は圧縮機回転数や外気温度 によって変わってくると考えられる.そこで,圧縮機回転数や外気温度と下流側膨 張弁の適正開度との関係を調べた.ここで,適正開度とは COP が最も高くなる膨 張弁開度を意味する. 供試機としては,先の 9.2.1 項で述べた図 9.1 の試作機を用いた.また圧縮機, 気液分離器,電子膨張弁はそれぞれ図 9.2,図 9.3,表 9.1 のものと同じある. 冷房運転で圧縮機回転数が変化した場合の下流側膨張弁の適正開度を図 9.8 に示 す.このとき上流側膨張弁は,圧縮機吐出温度が適正になるように開度を調節して いる.圧縮機回転数と下流側膨張弁の適正開度とは,直線の関係にあることが分か る. 暖房運転で圧縮機回転数が変化した場合の下流側膨張弁の適正開度を図 9.9 に示 す.暖房運転でも圧縮機回転数と下流側膨張弁の適正開度とは,直線の関係にある ことが分かる. 冷房運転で外気温度が変化した場合の下流側膨張弁の適正開度を図 9.10 に示す. 外気温度と下流側膨張弁の適正開度との関係は,ほぼ直線で表される. 暖房運転で外気温度が変化した場合の下流側膨張弁の適正開度を図 9.11 に示す. 暖房運転の場合も,外気温度と下流側膨張弁の適正開度との関係は,ほぼ直線で表 される. 以上の結果より,下流側膨張弁開度を圧縮機回転数と外気温度による線形の式で 表すことにより,下流側膨張弁開度を適正に設定できることが分かる.. - 134 -.

(11) Proper opening pulse of x ‰ J valve ى £‰ c ‰ ¤ ‰ ‰ ¬expansion º ‰ ‰ [pulses] downstream. 第9章. (pulses). 300. 200 Indoor :27 ℃(DB) / 19 ℃(WB) Outdoor:35 ℃(DB) / 24 ℃(WB). 100 1500. 2000. 2500. 3000. 3500. 4000. -1. ³ ‰ ‰ k ‰ @‰ ñ ‰ ] ‰ (min ) Compressor rotation [rpm]. Fig.9.8. Proper opening pulse of downstream expansion valve vs. compressor rotation (Cooling). 300 (pulses). Proper opening pulse of downstream xvalve [pulses] J ‰ ى £‰ c ‰ ‰ ¤expansion ¬‰ º ‰ ‰. ガスインジェクションサイクルの制御方法. 200 Indoor :20 ℃(DB) Outdoor:7 ℃(DB) / 6 ℃(WB). 100. 2500. 3000. 3500. 4000. 4500. 5000. -1. ³ ‰ ‰ k ‰ @‰ ñ ‰ ] ‰ (min ). Compressor rotation [rpm]. Fig.9.9. Proper opening pulse of downstream expansion valve vs. compressor rotation (Heating). - 135 -.

(12) Proper opening pulse of downstream expansion valve [pulses]. 第9章. ガスインジェクションサイクルの制御方法. x (pulses) J ‰ ى £‰ c ‰ ‰. 200 180 160 140 Indoor:27 ℃(DB) / 19 ℃(WB) 120 Compressor rotation:2300 rpm 100 25 30 35. 40. 45. O‰ ‰ C‰ · ‰ x (‰ ‰). Outdoor temperature [℃]. Fig. 9.10. Proper opening pulse of downstream expansion valve. 200 (pulses). Proper opening pulse of [pulses] downstream x ‰ Jvalve ى £‰ c ‰ ¤ ‰ ‰ ¬expansion º ‰ ‰. vs. outdoor temperature (Cooling). 100 Indoor:20 ℃(DB) Compressor rotation:3200 rpm. 0. Fig. 9.11. -15. -10. -5. 0. 5. 10. O‰ ‰ C‰ · ‰ x (‰ ‰). Outdoor temperature [℃]. Proper opening pulse of downstream expansion valve vs. outdoor temperature (Heating). - 136 -.

(13) 第9章. 9.3. ガスインジェクションサイクルの制御方法. ガスインジェクション制御のアルゴリズム. 9.2 節の実験結果に基づいて,ガスインジェクションサイクルの制御アルゴリズ ムを構築した. 9.3,1. ハード構成. インジェクション制御に関連したハード構成を図 9.12 に示す.2 個の電子膨張弁 とインジェクションを止めるための二方弁(インジェクション弁と呼ぶ)の操作は, 室外制御装置に組み込まれたマイクロコンピュータによって行われる.制御に必要 な各部温度情報は,以下のセンサより得る.この中で新たに設けるセンサは,圧縮 機吸込温度検知サーミスタで,他のセンサは従来から設けられているものを利用す る.また温度 Td,T0,Ts,Tdef,Ti は配管や容器の表面にサーミスタを取り付けて 測定した温度である. ・上流側膨張弁を制御するための圧縮機頭部温度検知サーミスタ;Td 前節で述べた圧縮機吐出温度の変わりに圧縮機頭部温度を用いる.圧縮機頭 部温度は圧縮機吐出温度より多少低くなるが同様の変化傾向を示すため,圧縮 機吐出温度と圧縮機頭部温度との関係を予め求めておき,サーミスタで測定し た圧縮機頭部温度を使って 2 個の電子膨張弁を制御する.またこのサーミスタ は液インジェクションの検出にも使用する. なお圧縮機頭部温度検知サーミスタは,圧縮機の過度の温度上昇を防止して 信頼性確保するためにも使用される. ・下流側膨張弁開度を設定するための外気温度検知サーミスタ;To ・液混合インジェクションを検知するための圧縮機吸込温度検知サーミス タ;Ts ・暖房運転時に除霜の開始・終了を判定するための室外熱交換器温度検知サー ミスタ;Tdef また室内機において,以下のサーミスタも使用する. ・室温制御を行うための吸込空気温度検知サーミスタ;Ti. - 137 -.

(14) 第9章. ガスインジェクションサイクルの制御方法. Four way valve. Outdoor heat exchanger. Suction pipe Suction pipe thermistor (Ts ). Compressorhead head Compressor thermistor (T (Tdd)) thermister. thermister (Ts). Indoor heat exchanger. Outdoor temperature thermikster thermistor (T(T o) o) Compressor Injection pipe. Air. Outdoor Outdoor exchanger heatheat exchanger thermistor (Tdef) thermister (Tdef). Air. Injection valve Erectronic expansion valve. Indoor temperature thermistor (Ti). Erectronic Expansion valve. Refrigerant flow direction Cooling Heating. Gas-liquid separator. Outdoor control equipment. Microcomputer. Fig.9.12. Inverter. Gas injection cycle and control equipment. - 138 -.

(15) 第9章. 9.3.2. ガスインジェクションサイクルの制御方法. 制御仕様. (1) 上流側膨張弁 上流側膨張弁は,従来と同様に,ファジィ制御により,圧縮機頭部温度(Td)が COP の高い最適な温度になるように操作され,その開度 P1 は,圧縮機の潤滑等を 考慮して予め定められた初期開度で所定時間運転した後,以下のように設定される.. ΔP1 = kg fz ( e, Δe). (9.1). e = Td - Tds. (9.2). Δe = e(n) - e(n-1). (9.3). ここに,ΔP1;上流側膨張弁開度変更量 fz ;ファジィ制御関数(テーブル) kg ;ファジィ制御ゲイン Td ;圧縮機頭部温度 Tds ;圧縮機頭部温度の目標値 n :サンプリング番号 ここで,圧縮機頭部温度の目標値(Tds)は,式(9.4),(9.5)で表される.. Tds = ac 1 N + bc 1 To + cc1. (冷房). (9.4). Tds = ah1 N + ch1. (暖房). (9.5). ここに,ac1 , bc1 , cc1 , ah1 , ch1;定数 N;圧縮機回転数 To;外気温度 ガスインジェクションを行う時には,圧縮機頭部温度の目標値(Tds’ )を所定量 低い方へシフトする.. Tds’ = Tds ― dc1. (冷房). (9.6). Tds’= Tds ― dh1. (暖房). (9.7). ここに,dc1 , dh1 は正の定数.. - 139 -.

(16) 第9章. ガスインジェクションサイクルの制御方法. なお,式(9.6),(9.7)における Tds の値を変更する場合には,後述の図 9.14 および 式(9.16)にしたがって変更する. (2) 下流側膨張弁 (a) 通常制御 二方弁を開いてガスインジェクションを行う場合の下流側膨張弁開度 P2 は,9.2 節の知見に基づき,圧縮機回転数と外気温度による線形の式(9.8),(9.9)から求める.. P2 = Ac N + Bc To + Cc + SP(n). (冷房). (9.8). P2 = Ah N + Bh To + Ch + SP(n). (暖房). (9.9). ここに,N;圧縮機回転数 To;外気温度 SP(n);積算項 Ac , Bc , Cc , Ah , Bh , Ch;定数 積分項 SP(n)は,次に述べる液インジェクション検知制御において求められる. またガスインジェクションを行わない場合は,下流側膨張弁は全開とする. (b) 液混合インジェクションの判定 圧縮機頭部温度 Td が基準値 Tds’よりも低く,圧縮機吸込温度 Ts が基準値 Tss より も高い下式の場合には,液混合インジェクションが生じていると判定する.. Td < Tds’- α. (9.10). Ts > Tss + β. (9.11). ここに,Ts ;圧縮機吸込温度. α,β;正の定数 このような条件によって液混合インジェクションの判定が可能な理由は,液イン ジェクションが生じると液によって圧縮室が冷却されて圧縮機頭部温度 Td が低下 すると共に,気液分離器に冷媒が溜まることによってサイクルの冷媒が不足ぎみに なり,圧縮機吸入温度 Ts が上昇するからである. Tss は圧縮機吸入温度の基準値で,式(9.12),(9.13)で表される.. - 140 -.

(17) 第9章. ガスインジェクションサイクルの制御方法. Tss = -kc N + bc2 To + cc2 Tss = Tdef - kh N + ch2. (冷房). (9.12). (暖房). (9.13). ここに,N ;圧縮機回転数, To;外気温度 Tdef ;室外熱交換器温度(伝熱管表面温度) kc , kh ;正の定数,. bc2 , cc2 , ch2 :定数. 式(9.10)と式(9.11)が同時に成立したときには,. SP(n) = SP(n-1) + ΔP2a. (9.14). ここで,SP(n)は積算項,ΔP2a は定数(>0)で,積算項は下流側膨張弁開度を 求める式(9.8),式(9.9)において加算される.この結果,下流弁を開くことにより気 液分離器内の圧力が低下し,液インジェクションを終息させることができる. 液混合検知制御が行われた時は,その後の所定時間は液混合検知制御を禁止する. (c) 絞り速度 下流側膨張弁を絞る場合は,急激に絞るとインジェクション圧力が上昇して液イ ンジェクションが発生する恐れがある.そこで,一回に絞れる量を式(9.15)のΔP2L 以下に制限して下流側膨張弁開度 P2(n)を定め,これを繰り返して式(9.8),式(9.9) の P2 開度まで変化させる.. P2(n) ≧ P2(n-1) - ΔP2L. (9.15). ここで,n はサンプリング番号を表す.このときの絞りの動きを図示すると,図. Opening pulse of valve downstream pulse of lower Opening expansion (P 2) expansion (P2valve ). 9.13 のようになる.. ΔP2L ΔP2L ΔP2L. Really applied applied PP Really 2 2. Time Time. Fig.9.13. Close control of downstream expansion valve. - 141 -.

(18) 第9章. ガスインジェクションサイクルの制御方法. (d) 圧縮機吐出温度目標値アップの制限 下流側膨張弁で液混合インジェクション防止制御を行うときに使用する圧縮機 頭部温度の目標値は,式(9.6),(9.7)の上流側膨張弁制御で使用している温度 Tds’ を 共用するが,実機での圧縮機頭部温度上昇の遅れから,液インジェクションが発生 していないにもかかわらず,発生していると誤判定する恐れがある.これを回避す るため,下流側膨張弁で使用する Td に対する1回で上げられる量を式(9.16)のΔTdsL 以下に制限して,各場合の Td 目標値 Tds (n)を定める.. Tds (n) ≦ Tds (n-1) + ΔTdsL Target value of Compressor ue of compressor v a l temperature T a r g e t head g dse ) t e m p e dsr)a t u r e ( T d i s c h a r(T. (9.16). このときの Td の変化を図示すると,図 9.14 のようになる.. RReally e a l l applied y a p pTTldsdsi e d ΔTd s L ΔTd s L ΔTd s L. Ti m e. Fig.9.14 Open control of downstream expansion valve. (e) インジェクション弁を閉じる動作を行った後の開き速度制限 後述のように,外気温度等の条件によってインジェクション弁を閉じることがあ る.この時に下流側電子膨張弁は全開にするが,一回で全開まで開いてしまうと, 圧縮機頭部温度の急激な落ち込みを引き起こす.これを避けるために,一回で開け るパルス数を式(9.17)のΔP2UL以下に制限して,下流側膨張弁開度P2 (n)を定める.. P2 (n) ≦ P2 (n-1) + ΔP2UL この時の下流側膨張弁開度の動きを図示すると,図 9.15 のようになる.. - 142 -. (9.17).

(19) ガスインジェクションサイクルの制御方法. Opening pulse of valve expansion downstream of lower Opening pulse (P 2) expansion(Pvalve 2). 第9章. Fullyopen open Fully ΔP2UL ΔP2UL ΔP2UL. Time Time. Fig.9.15. Open control of downstream expansion valve when injection valve is closed. (3) インジェクション弁開閉制御 初期運転やガスインジェクションの効果があまり期待できない条件,液混合イン ジェクションになりやすい条件では,インジェクション弁を閉じてインジェクショ ンを行わないようにする.そのような条件とは,圧縮機回転数が低く能力が低い場 合,冷房時で外気温度が低い場合,暖房時で外気温度が高い場合である.このよう な場合には蒸発圧力が高いため,ガスインジェクションしてもインジェクション量 が少なく効果があまりない上に,液混合インジェクションになりやすい. インジェクション弁を閉じている時は,下流側膨張弁を全開にし,上流側膨張弁 は式(9.1)~(9.5)に基づいた圧縮機吐出温度制御を行う. 冷房,暖房各運転における下流側電子膨張弁を開閉する条件をまとめると以下の ようになる. (a) 冷房運転 開く条件; 式(9.18)~(9.20)が同時に成立した時には,インジェクション弁を開く.. τ ≧τc1. (9.18). N ≧ Nc1. (9.19). To ≧ Toc1. (9.20). - 143 -.

(20) 第9章. ガスインジェクションサイクルの制御方法. ここに,τ;運転時間 N;圧縮機回転数 To;外気温度. τc1,Nc1,Toc1;定数 閉じる条件; 式(9.21),(9.22)のいずれかが成立した場合は,インジェクション弁を閉じる.. N ≦ Nc2. (9.21). To ≦ Toc2. (9.22). ここに,Nc2,Toc2 は定数. 以上の動作を図示すると図 9.16 のようになる.. Toc1. Nc1 Open. OPen Close. Close Nc2 Compressor rotation. Fig.9.16. Toc2 Outdoor temperature. Open-close control of injection valve. (b) 暖房運転 開く条件; 式(9.23)~(9.25)が同時に成立したときには,インジェクション弁を開く.. τ≧τh1. (9.23). N ≧ Nh1. (9.24). To ≦ Toh1. (9.25). ここで,τh1,Nh1,Toh1 は定数.. - 144 -.

(21) 第9章. ガスインジェクションサイクルの制御方法. 閉じる条件; 式(9.26),(9.27)のいずれかが成立した場合は,インジェクション弁を閉じる. また,デフロスト運転時にもインジェクション弁を閉じる.. N ≦ Nh2. (9.26). To ≧ Toh2. (9.27). ここで,Nh2,Toh2 は定数. 9.3.3. ガスインジェクション制御のアルゴリズム. 以上の制御仕様に基づいて作成したガスインジェクション制御のフローチャー トを図 9.17 に示す.図 9.17 は冷房運転の場合を示したが,暖房運転も同様であり, 各処理は以下のようである. Step1:変数の初期化等の初期化処理を行う. Step2:初期運転タイマをスタートする.初期運転はインジェクション弁を閉じて ガスインジェクションを行わずに所定時間運転するもので,このタイマはそ の時間を与える. Step3:上流側及び下流側電子膨張弁開度の初期値を設定する.下流側電子膨張弁 は全開にする. Step4:サンプリングタイムを与えるタイマをスタートする.このタイマは,圧縮 機頭部温度等のセンシングや2個の電子膨張弁の制御を行う間隔(サンプリ ングタイム)を与える. Step5:圧縮機頭部温度Td,圧縮機吸込温度Ts,外気温度To,室外熱交換器温度Tdef, 圧縮機回転数Nを読み込む. Step6:圧縮機頭部温度の(インジェクション無しサイクルにおける)目標値Tdsを 計算する. Step7:インジェクション弁が開かれているかどうか判断する. Step8:Step7でインジェクション弁が開かれている場合,式(9.6)により圧縮機頭部 温度のインジェクション有りサイクルでの目標値を求める.また下流側膨張 弁で使用する圧縮機頭部温度の目標値は,式(9.16)によって制限される. Step9:上流側電子膨張弁開度の変更量を,式(9.1)~(9.3)により算出する.. - 145 -.

(22) 第9章. ガスインジェクションサイクルの制御方法. Step10:初期運転時間が経過したかどうかを判定する. Step11:Step10で初期運転時間に達していない場合に,インジェクション弁を閉じ たままとする. Step14でインジェクション弁を開く条件を満足しない場合,インジェクショ ン弁を閉じたままとする. Step16でインジェクション弁を閉じる条件を満足した場合にインジェクシ ョン弁を閉じる. Step12:下流側電子膨張弁を全開にする.下流側電子膨張弁を絞った状態から全開 にするときには,一回で開くパルス数を式(9.17)のように制限する. Step13:Step10で初期運転時間経過後の場合に,インジェクション弁が開いている かどうか判断する. Step14:インジェクション弁が閉じている場合,インジェクション弁を開く条件を 満足しているかどうかを式(9.19),(9.20)により判定する. Step15:Step14でインジェクション弁を開く条件を満足した場合にインジェクショ ン弁を開く. Step16:インジェクション弁が既に開いている場合に,インジェクション弁を閉じ る条件を満足するかどうかの判定をする.閉じる条件式(9.21),式(9.22)が成 立する場合には Step11 に進んでインジェクション弁を閉じる. Step17:圧縮機吸入温度の基準値Tssを式(9.12)により計算する. Step18:インジェクションされる冷媒に液が混合しているかどうかの判定を式 (9.10),(9.11)により行う. Step19:Step18 において液混合インジェクションの条件が成立した場合,式(9.14) に従って,下流側電子膨張弁開度として積算項に所定量を加える. Step20:下流側電子膨張弁開度を式(9.8)により算出する. Step21:下流側電子膨張弁開度の変更量を求める.絞る場合,絞り量は式(9.15)に よって制限される. Step22:電子膨張弁にパルスを入力して,上流側及び下流側の電子膨張弁を動作さ せる. Step23:サンプリングタイムをカウントし,サンプリングタイムに達したら,Step4 に戻って一連の動作を繰り返す.. - 146 -.

(23) 第9章. ガスインジェクションサイクルの制御方法. Control of expansion valve (Cooling). Step1. Initialization. Step2. Start initialdrive drivetimer timer Startof of initial. Step3. Initial setting of expansion valve opening Step4. Start of sampling time timer. Step5. Read (Td , Ts , To , Tdef, N). Step6. Td target : Tds = ac1・N + bc1・To + cc1. Step7. Injection valve open ? N. Y Step8. Td target : Tds' = Tds- dc1 Step9. Calculation of opening modification on upstream expansion valve Step10. Initial drive time passed ? Y Injection valve open ? Y. N Step13 N Step14. N ≧ Nc1 and To ≧ Toc1 Y. N Step15. Injection valve open Step16. N ≦ Nc2 or To ≦ Toc2. Step11. Y N Ts reference : Tss = - kcN + bc2・To + cc2. Step17. Close injection valve. Step18. Td ≦ Tds' -α and Ts ≧ Tss + β ?. Y. N. Fully open downstream expansion valve. SP(n) = SP(n-1) + ΔP2a. Step19 Step20. Opening pulse of downstream expansion valve : P2 (n) = Ac・N + Bc・To + Cc + SP(n). Step21. ΔP2 = P2(n) - P2(n-1). Step22. Output ΔP2 Y. Sampling time passed ?. Step23. N. Fig.9.17. Flowchart of gas-injection control (Cooling). - 147 -. Step12.

(24) 第9章. 9.4. ガスインジェクションサイクルの制御方法. 実機による制御動作の確認. 前節で説明したアルゴリズムの動作確認を行うために,パーソナルコンピュータ によってルームエアコンディショナを制御する実験装置を製作して実験を行った. さらに実機のマイクロコンピュータによっても,種々の条件について制御動作を確 認した. 9.4.1. 実験装置. 図9.18に示すように,実機の制御回路をベースとして,マイコン2種類の実験装 置の制御システムを構築した.(a)のシステムは,パソコンで制御を行うようにした もので,基本的な動作の確認を行うことができ,(b)のシステムは,制御を実機の マイコンで行い,動作状態をパソコンでモニタリングするようにしたもので,より 実機に近い条件での動作を確認することができ,これらを必要に応じて使い分けた. 図9.18において,白抜きの矢印は実機の配線を示し,グレーの矢印は追加した配線 を示している.また,×印は実機の配線を切断した部分を表す. この制御システムの特徴を以下に示す. 1) 電子膨張弁の動作をパソコンによって制御できる. 2) (a)のシステムの場合,圧縮機回転数,室外ファン回転数,室内ファン回転数 などもパソコンで制御できる. 3) (b)のシステムの場合,室内マイコンと室外マイコンの通信の内容をモニタす ることによって,通常のリモートコントローラ(リモコン)によって運転を行 った場合にも圧縮機指令回転数などをパソコンに取り込むことができる. 4) 室内外ユニットに設けられたセンサからのデータをパソコンに取り込むこと ができる. 5) 制御プログラムはC言語で組まれ,プログラムの変更に対して直ちにその動 作を確認できる. これらの制御システムにおいて,実機を改造した部分は以下の通りである. ⅰ) 実機の電子膨張弁駆動回路の代わりに,カウンタ付の電子膨張弁駆動装置を 接続し,パラレルインターフェイスボード(PIO)を介してパソコンによって 電子膨張弁の制御を行うようにした.. - 148 -.

(25) 第9章. ガスインジェクションサイクルの制御方法. ⅱ) (a)のシステムの場合,実機の室内外の通信部分を切断し,室外機のマイコン からPIOを介してパソコンに接続するように改造した.. 〔Outdoor unit〕. 室外機 センサ <Sensor > ※. ・外気温サーミスタ ・O.T. thermistor ・圧縮機吐出温度 ・Td thermistor サーミスタ ・H.E. thermistor ・熱交換器サーミスタ. 室内機. Comp 圧縮機 -ressor. Outdoor 室外ファン fan. Expansion 電動膨張弁 valve. 圧縮機 Compressor 駆動回路 drive circuit. Outdoor fan 室外ファン 駆動回路 drive circuit. Expansion valve 電動膨張弁 駆動回路 Drive circuit. 〔Indoor unit〕 センサ <Sensor※>. 室内ファン Indoor fan. 電動膨張弁 Expansion valve 駆動装置 Drive circuit. ・H.E. thermistor ・熱交サーミスタ ・I.T. thermistor ・室温サーミスタ ・Humidity sensor ・湿度センサ. Drive circuit 駆動回路. Indoor 室内マイコン microcomputer. Outdoor 室外マイコン microcomputer. <Indoor controller> 室内制御装置. 室外制御装置 <Outdoor controller> インターフェイス(PIO, Interface (PIO, A/D)A/D変換). パソコン Personal computer. ※ H.E. : Heat exchanger O.T. : Outdoor temperature I.T. : Indoor temperature. Unit wiring 実機の配線 Added wiring 追加した配線 Cut 切断した配線 wiring. (a) 〔Outdoor unit〕. 室外機 <Sensor> センサ. Comp. ・外気温サーミスタ ・O.T. thermistor ・圧縮機吐出温度 ・Td thermistor サーミスタ ・H.E. thermistor ・熱交換器サーミスタ. 〔Indoor unit〕. 室内機. Outdoor. Expansion. 圧縮機 -ressor. 室外ファン fan. 電動膨張弁 valve. 圧縮機 Compressor drive circuit 駆動回路. 室外ファン Outdoor fan 駆動回路 drive circuit. 電動膨張弁 Expansion valve 駆動回路 Drive circuit. 室内ファン Indoor fan. センサ <Sensor>. ・H.E. thermistor ・熱交サーミスタ ・I.T. thermistor ・室温サーミスタ ・Humidity sensor ・湿度センサ. Drive circuit 駆動回路. Expansion valve 電動膨張弁 Drive circuit 駆動装置. Indoor. Outdoor 室外マイコン. 室内マイコン microcomputer. microcomputer. リモコン Receptor 受光部. <Indoor controller> 室内制御装置. <Outdoor controller> 室外制御装置. Separation circuit 信号分離回路 of signal. Remote リモコン controller. インターフェイス(PIO, A/D変換) Interface (PIO, A/D). パソコン Personal computer Unit wiring 実機の配線. ※ H.E. : Heat exchanger O.T. : Outdoor temperature I.T. : Indoor temperature. Added wiring 追加した配線. (b) Fig.9.18. Cut wiring 切断した配線. Control system of gas-injection cycle using personal computer. - 149 -.

(26) 第9章. ガスインジェクションサイクルの制御方法. ⅲ) (b)のシステムの場合,実機の室内外の通信線から通信信号を分離し,PIOを 介してパソコンに取り込めるようにした. ⅳ) 室内機および室外機のセンサ類からの信号は,(a)の場合はパソコンに取り込 み,(b)の場合はパソコンとマイコンに取り込む. 9.4.2. 制御動作の確認実験. ガスインジェクション制御の基本的な動作確認の実験を行った.室内機,室外機 をそれぞれ恒温室に設置して,圧縮機回転数が変化した場合の制御動作,室内機の 風速が変化した場合の制御動作,液インジェクション検知制御の動作を行わせた. そして各実験において,圧縮機頭部温度が目標値に制御されるかどうか,液インジ ェクションを防止できるかどうかなどを確認した. (1) 圧縮機回転数目標入力の変化に対する応答 圧縮機回転数を変化させた場合の制御実験結果を図9.19に示す.下流側電子膨張 弁は,運転開始後徐々に絞るようにした.圧縮機頭部温度(Td)は次第に上昇して 目標値付近で安定する.圧縮機吸入温度(Ts)は運転開始後,やや上下してから基 準温度付近で安定する.運転開始後約80分後に圧縮機回転数を強制的に増加させ, 97分後に減少させた.圧縮機回転数の変化に応じて,下流側膨張弁開度,圧縮機頭 部温度の目標値などが変化している.これに対し,実際の圧縮機頭部温度は,目標 値に対してよく追従して変化している.なお圧縮機回転数の変化時にわずかな液イ ンジェクションが見られたがすぐ終息した. (2) 室内風速目標入力の変化に対する応答 室内風速をリモコンによって変化させた場合の結果を図9.20に示す.風速を強風 から微風に変化させ,次に微風から強風に変化させた.この場合,圧縮機回転数は, 風速を上げると増速し,下げると減速するように制御される.また室内側の恒温室 は,空調を止めて適当な負荷を与えた. 図9.20を見ると,室内風速変化に対応して圧縮機回転数が変化し,これに応じて 圧縮機頭部温度の目標値が変化すると共に下流側膨張弁の開度も変化している.こ の結果,室内風速を変えても室内機の吸込空気温度(Ti)は,ほぼ設定値になるよ うに制御されている.. - 150 -.

(27) 第9章. ガスインジェクションサイクルの制御方法. また風速を上げた時に液混合インジェクションが一時的に起こったが,インジェ クションパイプに設けたサイトグラスに流れる液冷媒を目視した結果,問題のない. TSサーミスタ温度 (℃). -1. 膨張弁開度(min ). 4000 3000 2000 1000 0. OHサーミスタ温度 (℃). Td thermistor [℃]. Ts thermistor [℃]. 圧縮機回転数指令(min ). Opening pulse of Compressor rotation expansion valve [pulses] [rpm] -1. レベルであった.. 500 400 300 200 100 0. Upstream 上流側 expansion valve Downstream expansion valve 下流側. 40 30 20 10. 基準. Reference. 0 100 90 80 70 60 50 0. RAS-2811KXベース. 目標 Target. Fig.9.19. Compressor rotation 圧縮機回転数 2900 →1900min-1 圧縮機回転数 2900 → 1900 rpm Compressor rotation 2200 →2900min -1. 圧縮機:12.5cc/rev 冷房. 2200 → 2900 rpm ※Compressor swept volume : 12.5 (cm3). 50. 経過時間 (min) Time [min]. 100. Control at compressor rotation change (Cooling). - 151 -.

(28) 圧縮機回転数指令(min-1). 膨張弁開度(pulses). 膨張弁開度(pulses) 室温サーミスタ温度(℃) OHサーミスタ温度 (℃)TSサーミスタ温度 室温サーミスタ温度(℃) (℃) TSサーミスタ温度 (℃). 側 下流. 500. expansion valve 下流側 下流側 20 Downstream 400 側 基準温度 基準温度 上流. 温度. 基準. 30 20 25. 0 35 30. 10 20 90 0 25 80 35 20 70 90 30 80 60 25 70 50 60 200 5090 0. 60 50 0. 30. 設定温度 20 基準温度 25. 上流側. Upstream expansion valve. Setting temperature 設定温度 基準温度. 10 20 90 0 目標 目標 80 Target 35 Wind: 標 目 70 Strong 強風→微風 30 →Weak 強風→微風 強風 風 風→ 設定温度 設定温度 微 微 60 → RAS-2811KXベース RAS-2811KXベース 強風 0 25 Wind:Weak→Strong 10 圧縮機:12.5cc/rev Compressor swept 圧縮機:12.5cc/rev ス 微風→強風 微風→強風 ベー v50 3 X 0 K volume : 12.5 cm 1 8 冷房 e 冷房 -281 cc/r RA S 機:12. 5 60 ) 20 圧縮 in 40 0 20 80 100 0 20 40 60 60 20 40 60 80 100 房 ( 0 冷 4 時間 m 経過時間 (min) 経過時間 (min) 過 0 90 2 経 Time [min] 温度 設定. 80 70. 300 10 200 上流側 100 0 35 30. OHサーミスタ温度 (℃). 10. Ti thermistor Opening pulse of Compressor rotation [℃] expansion valve [pulses] [rpm] 圧縮機回転数指令(min-1). 20. 4000 3000ガスインジェクションサイクルの制御方法 第9章 2000 1000 0 500 下流側 下流側 400 4000 300 3000 200 上流側 上流側 2000 100 10000 300. Td thermistor [℃]. -1 圧縮機回転数指令(min ) 圧縮機回転数指令(min-1) 膨張弁開度(pulses) 膨張弁開度(pulses) OHサーミスタ温度 (℃) 室温サーミスタ温度(℃) OHサーミスタ温度 (℃)TSサーミスタ温度 室温サーミスタ温度(℃) (℃) TSサーミスタ温度 (℃). タ温度 (℃) ス ミ ー サ S ) T ミスタ温度(℃ ー サ 温 室 温度 (℃) OHサーミスタ. 0 0 0 00 0 00 400 300 200 100 0 30. 4000 3000 2000 1000 0 500 400 4000 300 3000 200 2000 100 0 1000 30 0 500 20 400 300 10 200 100 0 35 30. Fig.9.20. 目標. 目標. 80. Control when indoor wind velocity changes (Cooling) 70. 強風→微風. 60. 強風→微風. RAS-2811KXベース. RAS-2811KXベース. 圧縮機:12.5cc/rev 冷房. 圧縮機:12.5cc/rev 冷房. 20. 50 0 40. 微風→強風 微風→強風. 2060 40 8060. 経過時間 (min)経過時間 (min) - 152 -. 80 100. 100.

(29) 第9章. ガスインジェクションサイクルの制御方法. (3) 液インジェクション検知制御 本研究の制御方式は基本的には液インジェクションが発生しないように制御し ている.しかし,何らかの原因で液インジェクションが発生した場合は,極端な性 能低下を避けるために,液インジェクションを検知してそれを押さえる制御を行う ようにした. 下流側電子膨張弁を絞って強制的に液混合インジェクションを発生させたとき に,液インジェクション検知制御がうまく働くかどうかを調べる実験を行った.結 果を図9.21に示す.下流側膨張弁を強制的に絞ると,液インジェクションが発生し て圧縮機頭部温度(Td)が急激に低下すると同時に圧縮機吸込温度(Ts)が急激に 上昇している.これを検知して下流側電子膨張弁を開く制御が行われ,液インジェ クションは終息している.したがって液インジェクション検知制御がうまく動作し ていることが分かる.. - 153 -.

(30) Td thermistor [℃]. OHサーミスタ温度 (℃). TSサーミスタ温度 (℃). 上流側膨張弁開度. 下流側膨張弁開度. Ts thermistor Opening pulse of upstream Opening pulse of downstream expansion valve [pulses] expansion valve [pulses] [℃]. 第9章. ガスインジェクションサイクルの制御方法. 300 280 260 240 220 300 280 260 240 220. 強制. Forced. Control preventing 液混合制御 liquid injection. 30 20 10 80 75 70 65 60 55 50 0. RAS-2811KXベース -1. 圧縮機:1820min (12.5cc/rev ) 冷房. 目標. Target. ※Compressor rotation:1820 rpm swept volume:12.5 cm3. Fig.9.21. 20. 40. 経過時間[min] (min) Time (min). 60. 80. Detection of injection involved liquid refrigerant. - 154 -.

(31) 第9章. ガスインジェクションサイクルの制御方法. (4) 外気温度-15℃時のガスインジェクションの効果 外気温度が-15℃のときの能力と入力の変化を図9.22に示す.インジェクシ ョン弁が開かれていてガスインジェクションが行われると,暖房能力が増加す るように制御されていることが分かる.定格冷房能力2.8 kWのルームエアコン ディショナにおいては,ガスインジェクションによって暖房能力が8%向上し た.. capacity, Input [W] Heating 暖房能力,入力(W). 5000 5000. 能力. 4000. Capacity ガスインジェクション開始 Start of gas injection 3000. 2000 入力 Input 1000. 0 0:00 0. 2:00 2. 4:00 4 経過時間. 6:00 6. Time [h]. Fig.9.22. Performance change at outdoor temperature -15℃. - 155 -. 8.

(32) 第9章. 9.5. ガスインジェクションサイクルの制御方法. 本章のまとめ. ガスインジェクションサイクルは,減圧部に気液分離器を挟んで 2 個の絞り機構 を設け,気液分離器で分離した中間圧力のガス冷媒を圧縮途中に注入するサイクル 構成を持ち,性能向上および能力増大に大きな効果がある.この場合,十分に効果 を発揮させるためには適切な物理量を検知して 2 個の電子膨張弁を適正に制御す る必要がある. 本章ではルームエアコンディショナにおいて,絞り機構として電子膨張弁を使用 し,次の特性に基づいて, ・上流側膨張弁に対しては,ガスインジェクションのない従来のサイクルにおい て使用されている圧縮機頭部温度を最適にするように弁開度を制御するとい う手法が使える. ・下流側膨張弁に関しては,比較的広い開度範囲で性能(COP)が最大になり, 厳密に制御しなくても最適に近い性能に制御できる. 以下のようなガスインジェクションサイクルの制御方法を開発した. ・上流側電子膨張弁は,従来のガスインジェクション無しの単段サイクルと同様 に,圧縮機頭部温度が適正になるように開度を制御する. ・下流側電子膨張弁は,圧縮機回転数と外気温度に応じて,COP や能力が高く なる適切な開度をデータベース化し,この開度になるようにする. ・液インジェクションが起こる場合には,圧縮機頭部温度の大幅低下と圧縮機 吸入温度の大幅上昇が同時に起こることから,これを検知して下流側電子膨張 弁を開くように制御し,液インジェクションを防止して,性能や信頼性の低下 を防ぐ. そして電子膨張弁を以上のように制御することにより,し,ガスインジェクショ ンの効果を十分引き出すように操作することができた. 以上より,パソコンによってサイクル制御を行う実験システムを製作して,開発 した制御方法の動作を確認すると共に,実際のルームエアコンディショナで制御動 作が良好に行われることを確認し,実用化した.. - 156 -.

(33) 第9章. 第3部のまとめ ガスインジェクションサイクルの制御方法. 第3部のまとめ 近年の省エネルギーや寒冷地でも使用可能といったニーズに対応して,R 410A 冷媒およびスクロール圧縮機を使用したルームエアコンディショナにおいて,省エ ネルギーと暖房能力の増大を狙って,ガスインジェクションサイクルの研究開発を 行った. ガスインジェクションサイクルは,単段サイクルの減圧部に 2 つの膨張弁とこ れらの間に気液分離器を設け,ここで分離された中間圧力のガス冷媒を圧縮機 の圧縮途中に注入するサイクル構成を持つ.そして冷凍効果の増大と低圧側冷 媒流路における圧力損失低減により,COP の向上と暖房能力の増大が可能に なる.また R 410A では R 22 に比べて液相線の傾きが緩やかで,気液分離器で の乾き度が大きくなることから,効果がより大きくなる. 本研究で使用したスクロール圧縮機では 2 つの圧縮室が同時に構成される が,構造を単純化してコストアップを少なくするためにインジェクションポー トを 1 個にして 2 つの圧縮室にガス冷媒を順次インジェクションするスクロー ル構造とし,このスクロール圧縮機を搭載したガスインジェクションサイクル の開発を行った.そして 1999 冷凍年度ルームエアコンディショナ(定格冷房能 力 4,5 kW)に搭載して効果を検討し,以下の結果を得た. (a) 1 インジェクションポートスクロール圧縮機でのインジェクション過程では,ガ ス冷媒が2つの圧縮室に順次インジェクションされるだけでなく,各圧縮室への インジェクションが瞬間的ではなく徐々に行われる.そこでこの圧縮過程をシミ ュレーションできるようにしてガスインジェクションの効果を評価し,適正なイ ンジェクションポートの仕様を検討した. (b) (a)に基づいて1インジェクションポート圧縮機を試作し,さらにこれを搭載し たガスインジェクションサイクル適用ルームエアコンディショナを試作し,実機 で効果を測定した.この場合,冷凍効果の増大に加えて低圧側の蒸発器や冷媒配 管での圧力損失低減効果も加わり,次の結果を得た. 1) 効果が最大となるインジェクション圧力での圧縮仕事低減率は,冷房能力 4.0 kW で 7.4 % (冷凍効果増大の効果 4.5 %,低圧側圧力損失低減の効果 2.7 %), 暖房能力 5.9 kW で 3.2%(2.6 %,0.6 %)となった.. - 157 -.

(34) 第9章. ガスインジェクションサイクルの制御方法 第3部のまとめ. またこの時の COP 向上率は,6.9 %/2.4 %(冷房/暖房)となった. 2) 外気温-15 ℃での暖房運転の場合,圧縮機回転数一定で暖房能力を 11.9 %増 大でき,能力一定で圧縮機入力を 8.5 %低減できた. またガスインジェクションサイクルは性能向上に大きな効果があるが,十分に効 果を発揮させるためには適切な物理量を検知して制御する具体的な制御方法が必 須であり,以下のような制御方法を開発した. (c) 2 個の電子膨張弁を次のように制御し,ガスインジェクションの効果を十分に引 き出せるようにした. ・上流側電子膨張弁は,開度を,従来の単段サイクルと同様に,圧縮機頭部温度 が最適になるように制御する. ・下流側電子膨張弁は,圧縮機回転数と外気温度に対してデータベース化され た,COP や能力が高くなる開度に設定する. ・液インジェクション発生時には,圧縮機頭部温度の大幅低下と圧縮機吸入温度 の大幅上昇が同時に起こることから,これを検知して,下流側電子膨張弁を開 いて液インジェクションを防止する. (d) 上記制御方法を実機に組み込んで実証試験を行い,制御動作が良好に行われる ことを確認し,実用化した. ガスインジェクションサイクルは省エネルギーや暖房能力増大に効果が大きい ため,今後とも制御方法も含めて更なる改善を進めて行く必要がある.. - 158 -.

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