要 旨
本研究は、服飾品ブランド態度に対する店舗立地高級感とブランドのラグジュアリー性、
服飾品購買関与、及び、感情的・計算的ブランドコミットメントの影響を考察するものであ る。2 つの消費者調査に基づく ANOVA の結果、ブランド態度に対する立地高級感の効果は ラグジュアリーの場合にポジティブ、非ラグジュアリーの場合にネガティブであり、服飾品 購買関与やブランドコミットメントの水準に関わらず、これらの関係は頑健であることが示 唆された。この結果は、購買関与やコミットメントが低水準に留まる消費者に対し、ブラン ド本来の立地を変化させてアプローチするという服飾品企業の店舗開発手法に疑問を投げか けるものである。服飾品企業は消費者の購買関与やコミットメント水準に関わらず、自社ブ ランドのラグジュアリー性水準に応じた店舗立地戦略を推進すべきだろう。
1.はじめに
今日、コモディティ化(恩蔵,2007)が進む服飾品市場では、製品の属性やマーケティ ングコミュニケーション、店舗設計や店舗における接客等、ブランドそのものに関する中心 的情報(青木他,2012)のみによる差別化には限界があると考えられる。コモディティ化 市場では、服飾品各社は自ら管理可能な中心的情報のマネジメントに凌ぎを削って注力して おり、既に同質化が進んでいる(杉原・染原,2017)からである。従って、今日の服飾品 市場において、ブランド周辺に存在しブランドに対して影響すると同時に独自の連想を有す るブランドの周辺的情報(青木他,2012)や周辺的手掛かり(Petty and Cacioppo, 1986)(以 下、まとめて周辺的情報)の重要性は、従来以上に高まっているとみられる。
服飾品企業の店舗立地戦略においては、店舗から直接得られる期待利益だけでなく、店舗 を設置する商業施設や商業地域(以下、まとめて店舗立地)の高級感がしばしば重視される
(Kumagai and Nagasawa, 2017)。消費者が知覚する店舗立地の高級感は、立地独自の連想で あるとともに、当該立地で店舗を運営する服飾品ブランドのイメージに影響するとみられる
服飾品ブランド態度に対する
店舗立地の高級感とラグジュアリー性の影響
熊谷 健
─ 服飾品購買関与とブランドコミットメントの効果に注目して ─
(木下,2004)ことから、ブランドの周辺的情報と位置づけることができるだろう。店舗立 地の高級感を重視する時、服飾品企業は周辺的情報としての店舗立地イメージに基づく二次 的ブランド連想(Keller, 1993)のエクイティ効果(Keller, 1998; 青木他,2011)を期待し ていると考えられる。
消費者行動に関するこれまでの研究では、消費者は中心的情報と周辺的情報の両方に影響 をうけながら態度を形成することが明らかになっている(清水,1999)。また先行研究では、
態度形成に対するこれらの情報の影響は、消費者の動機づけの水準によって変化することが 示唆されている(例えば、Petty and Cacioppo, 1986)。関与概念を動機づけの代理変数とし てみると(青木他,2012)、消費者のブランド態度に対する店舗立地イメージの影響は、当 該消費者の服飾品全般に対する関与や、特定ブランドに対する関与(即ち、ブランドコミッ トメント)の水準によって変化する可能性があろう。
実際のビジネスにおいても、服飾品企業は、消費者の服飾品に対する関与や自社ブランド に対するコミットメントの水準を考慮して店舗を開発しているとみられる。例えば、ラグ ジュアリー服飾品企業は、自社ブランドの上顧客に対し、高級な立地に設置した店舗で特別 な接客を行い、これらの顧客によるブランド評価の向上を目指す一方で、服飾品の購買に対 する関心が低い消費者や自社ブランドに馴染みのない消費者を顧客として取り込もうと、空 港の免税店等、気軽に来店しやすい立地へ出店する場合がある(1)。また、低価格のカジュア ル衣料を主力とするファーストリテイリングは、ニューヨークの五番街のような高級立地に 出店することで、自社ブランドであるユニクロにあまり関心をもたない一般消費者に対して 好ましいブランド連想の構築を図っている(長沢・菅波,2012)。他の多くの産業と同様に、
服飾品企業は事業成長を求める投資家からの圧力に晒されていることから、関与やコミット メントが高水準の消費者はもとより、これらが低水準の消費者に対してもアプローチし売上 拡大を図ることは、経営者にとって自然な試みだといえよう。
服飾品企業が店舗立地の高級感を重視しているにも関わらず、これまでの店舗と消費者行 動に関する研究では、消費者のブランド評価に対する立地イメージの直接的影響に関する報 告が不足していた(熊谷・長沢,2018)。これを踏まえ、Kumagai and Nagasawa(2017, 2018)、熊谷・長沢(2017)は首都圏において実証研究を行い、一般消費者の服飾品ブラン ド態度に対する店舗立地高級感の効果を確認するとともに、当該効果がブランドのラグジュ アリー性水準によって変化する可能性を示唆している。しかしながら、一連の実証研究では、
当該効果が消費者の関与水準やコミットメント水準によって変化する可能性について検討さ れていない。従って、服飾品ビジネスの状況に鑑みると、これらの研究結果を以て店舗立地 戦略の実務的指針とするには未だに十分とはいえない。
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(1) 三菱商事ファッション(株)の常務執行役員、古賀英孝氏(2018 年 4 月 18 日)。
斯かる研究の不足に鑑み、本研究では、2 つの消費者調査(2)に基づき、店舗立地高級感の ブランド態度形成インパクトとブランドのラグジュアリー性、消費者の服飾品全般に対する 購買関与、及び、ブランドコミットメントの関係について考察する。これらの要素の関係を 考察する研究はほとんど行われていないことから、当該リサーチギャップに対する本研究の 貢献を期待したい。また、服飾品ビジネスの状況を踏まえると、本研究の結果は、服飾品企 業における店舗立地戦略の精度向上に有用な実務的示唆として期待できよう。
2.先行研究のレビュー
2.1 ブランド態度に対するブランドのラグジュアリー性と店舗立地高級感の影響 これまでのラグジュアリー研究では、ラグジュアリーブランドは機能性以外の価値が大き く(Heine and Phan, 2011)、経済力や社会的地位の高さを示す社会的価値や審美性・官能 性等の快楽的価値が大きいことが指摘されている(Kapferer and Bastien, 2012)。立地の高 級感はブランドの社会的価値や快楽的価値の連想に繋がり、エクイティ効果が期待される
(熊谷・長沢,2018)ことから、ラグジュアリーブランドのマーケティング戦略(以下、ラ グジュアリー戦略)では、店舗立地の高級感が重要なマーケティング要素とされる(Kap- ferer and Bastien, 2012; Som and Blanckaert, 2015)。
一方、ラグジュアリー性水準が低位に留まる一般のブランド(以下、非ラグジュアリーブ ランド)の中核的価値は機能性であると指摘される(Heine and Phan, 2011)。しかしながら、
同質化が進むコモディティ化市場においては、消費者が機能性に注目しても、製品属性だけ ではブランド間の差異は知覚しづらいと考えられる。従って、こうした市場では、消費者は 機能的価値とともにブランド製品の入手コストを気にするとみられる。ゆえに、非ラグジュ アリー製品を扱う店舗に関する研究では、買物コスト低減に繋がる立地利便性が店舗評価に 貢献する要素だと指摘される(例えば、Blackwell et al., 2001; Pan and Zinkhan, 2006)。非 ラグジュアリーブランドは身近で利便性の高い立地で店舗を設置・運営すれば、経済的、物 理的、あるいは、心理的な買物コストは低減され、買物コスト 1 単位あたりの機能的便益が 向上し評価が向上すると考えられる(熊谷・長沢,2018)。
こうしてみると、高価格を特徴とするラグジュアリーブランドの店舗が所在するような高 級立地は、買物コスト増大を連想させ、非ラグジュアリーブランドの評価を毀損する可能性 が浮かび上がる。斯かる視点から、Kumagai and Nagasawa(2017, 2018)、熊谷・長沢(2017)
は複数回にわたり店舗立地の高級感とブランド態度の関係について実証研究を行った。その 結果、立地高級感はラグジュアリー性水準が高いラグジュリーブランドに対する消費者の態
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(2) 本研究の分析は、Kumagai and Nagasawa(2018)における消費者調査で得られたデータを用いている。
度(以下、ラグジュアリーブランド態度)を向上させる一方、当該水準が低い非ラグジュア リーブランドに対する消費者の態度(以下、非ラグジュアリーブランド態度)を低下させる ことが示唆された。一連の研究で確認された結果を図 1 に示す。この結果は、ラグジュアリー ブランドにとってエクイティ効果が期待される店舗立地に非ラグジュアリーブランドが店舗 を設置しても、当該効果は期待できず、むしろ、ブランドエクイティを毀損する可能性があ ることを示している。
2.2 ブランド態度に対する関与と周辺的情報の影響
関与とは消費者の意思決定に影響する重要な要因の 1 つであり、特定の状況において消費 者が知覚する重要性や関心を意味する(Blackwell et al., 2001)。関与水準が高い時、消費 者は目標志向的で対象に対して動機づけられた状態にあると考えられる(青木他,2012)。
消費者行動研究における関与の概念は、対象によって製品関与、購買関与、コミュニケーショ ン関与等に分けることができる(杉本他,1997; 守口他,2012)。
意思決定時の情報処理における関与の影響については様々な報告がなされている。池尾
(1999)によれば、消費者は、購買関与が高い時に対象製品に関する情報を主体的に探索す る一方、関与水準が低い時は限られた情報探索しか行わない。ブランドに対する態度形成の 観点からみると、購買関与が高い消費者は情報探索を活性化させ、ブランドの中心的情報だ けでなく周辺的情報も積極的に参照すると考えられる。これに従えば、購買関与の水準が高 い消費者は、低関与の場合よりも周辺的情報に影響されやすくなると考えられる。
一方、Petty and Cacioppo(1986)は消費者の態度変容に関する精緻化見込みモデル
(ELM:Elaboration Likelihood Model)を提案し、説得的コミュニケーションに関する情報 処理について動機づけが高い場合、消費者は主に当該コミュニケーションに基づく中心的
図 1 ブランド態度に対するブランドのラグジュアリー性水準と店舗立地高級感の影響
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注:Kumagai and Nagasawa(2017, 2018)、熊谷・長沢(2017)に基づき著者作成
ルートによって認知的情報処理を行い、動機づけが低い場合、主に周辺的手掛かりに基づく 周辺的ルートによって感情的情報処理を行うことを示している。これに従えば、関与を動機 づけの代理変数として(青木他,2012)みると、説得的コミュニケーションに対する関与 水準が低い消費者は周辺的情報に影響されやすくなる可能性がある。
他方、これまでの消費者行動研究では、消費者の動機づけによって関与のタイプや情報処 理の仕方が異なることが報告されている。清水(1999)によると、消費者が対象を属性や 特徴で捉える場合には認知的関与が高まり、イメージで捉える場合には感情的関与が高ま る。当該研究では、消費者の情報処理は認知的関与水準が高い時には中心的ルート、感情的 関与水準が高い時には周辺的ルートで行われることが示されている。従って、感情的関与水 準が高い場合、消費者のブランド態度に対する周辺的情報の影響は大きくなると考えられる。
以上から、服飾品ブランド態度形成に対する周辺的情報としての店舗立地高級感の影響 は、関与水準だけでなく、関与の対象やタイプによって変化すると考えられる。
2.3 ブランド態度に対するブランドコミットメントと周辺的情報の影響
ブランドコミットメントは関与概念の 1 つで、特定のブランドに対する対象特定的関与と 位置づけられ、ブランドと消費者の心理的な結びつきの程度を表す概念である(青木他,
2011)。ブランドコミットメントには主として 2 つの源泉があると考えられている。1 つは、
消費者のブランドに対する愛着や情緒、フィーリングに基づく感情的コミットメントであ り、もう 1 つは知覚リスクやブランド間の知覚差異に基づく計算的コミットメントである
(Amine, 1998; 青木他,2011,寺本・西尾,2012)。感情的コミットメントはブランドに対 するポジティブな態度の状態を示すのに対し、計算的コミットメントは他ブランドへのス イッチに伴う経済的、心理的コストやリスクを回避したいといった消極的な動機を背景とし たコミットメントといえる(Fullerton, 2005; 寺本・西尾,2012)。従って、動機の積極性 について差異はあるものの、いずれのタイプのコミットメントも総合的には肯定的なブラン ド態度的概念と捉えることができる(井上,2009)。
コミットメントは特定ブランドを対象とする関与概念であることから、関与と同様に、消 費者が対象を属性や特徴で分析的に捉えるか、感情的にイメージで捉えるかによって、ブラ ンド評価時の情報処理が変化すると考えられる。感情的コミットメントだけでなく計算的コ ミットメントについても、対象をイメージで捉えてリスク回避等の動機を高めている場合に は、周辺的ルートにより感情的情報処理が行われ、周辺的情報としての店舗立地高級感の影 響が強まる可能性があるだろう。
3.仮 説
前項のレビューに基づくと、消費者の服飾品ブランド態度に対する店舗立地高級感の影響 は、ブランドのラグジュアリー性水準や服飾品全般に関する購買関与、及び、対象となる特 定ブランドに対するコミットメントの水準によって変化すると考えられる。これらの要素の 関係について考察する本研究のフレームワークを図 2 に示す。
3.1 服飾品購買関与の影響
消費者の情報処理と関与の関係について、池尾(1999)が高関与消費者に対する周辺的 情報の影響の高まりを示唆する一方、Petty and Cacioppo(1986)による ELM は低関与消 費者に対する周辺的手掛かりの影響の高まりを示唆している。但し、これらの研究では、池 尾モデルが本研究が注目する購買関与について考察しているのに対して、ELM は主にコ ミュニケーション関与の考察に基づき構築されている点に留意すべきだろう。
また、本研究が対象とする服飾品は、ラグジュアリー性水準に関わらず、単なる機能性だ けでなく身に付ける人の人となりを示すもの(OʼCass and Frost, 2002)であり、他の製品 カテゴリーにも増して情緒的・自己表現的便益(Aaker D., 1996)が期待され、イメージで 捉えられる場合が多いと考えられる。一方、ELM の構築に用いられた実証研究では、実験 設定(3)に鑑みると、被験者は評価対象を分析的に捉えている可能性がある。
従って、服飾品購買関与は感情的な側面が大きいと考えられ、当該関与水準が高い消費者 は低水準の消費者と比べて情報探索を活性化させ、周辺的情報としての店舗立地高級感を盛
図 2 本研究のフレームワーク
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注:著者作成
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(3) ここで考察された動機づけは学生に対する卒業テストや評価者に対するテストマーケティングに基づく もので、ここで高められた個人的関心は認知的関与(清水,1999)に近いとみられる。
んに参照し、周辺的ルートによる感情的情報処理を行うと考えられる。以上から、本研究で は、ラグジュアリーブランド態度に対する店舗立地高級感の影響がポジティブであり、非ラ グジュアリーブランド態度に対する店舗立地高級感の影響がネガティブであるというこれま での実証研究の結果(図 1)を踏まえ、以下の仮説を提案する。
H1a: 服飾品購買関与の水準が高い消費者のラグジュアリーブランド態度に対する店舗立地 高級感の影響は、当該水準が低い消費者よりも正に大きい。
H1b: 服飾品購買関与の水準が高い消費者の非ラグジュアリーブランド態度に対する店舗立 地高級感の影響は、当該水準が低い消費者よりも負に大きい。
3.2 ブランドコミットメントの影響
ブランドコミットメントは特定ブランドを対象とする関与であり、ブランドと消費者の心 理的結びつきを示す概念である(青木他,2011)ことから、コミットメント水準が高い消 費者は、感情的関与が高水準の場合と同様に周辺的情報を盛んに参照し、周辺的ルートによ る情報処理を行うと考えられる。また、本研究が対象とする服飾品については、その性質か ら、消費者は情緒的・自己表現的便益を期待し、ブランドをイメージで捉える場合が多いだ ろう。従って、感情的コミットメントだけでなく、計算的コミットメント水準が高い消費者 もブランドをイメージで捉え、他ブランド選択による失敗リスク等に基づき当該水準を高め ている可能性があり、周辺的情報による影響が大きくなると考えられる。
以上から、図 1 に示された先行研究の結果に基づき、以下の仮説を提案する。
H2a: 服飾品ブランドコミットメントの水準が高い消費者のラグジュアリーブランド態度に 対する店舗立地高級感の影響は、当該水準が低い消費者よりも正に大きい。
H2b: 服飾品ブランドコミットメントの水準が高い消費者の非ラグジュアリーブランド態度 に対する店舗立地高級感の影響は、当該水準が低い消費者よりも負に大きい。
4.調査・分析Ⅰ : 服飾品購買関与の影響
4.1 調査・分析の方法
調査・分析Ⅰでは、店舗立地高級感のブランド態度形成インパクト、及び、ブランドのラ グジュアリー性水準と服飾品購買関与に基づく当該インパクトの変化を分析する。ここで は、先ず、消費者の服飾品ブランドや製品全般に関する購買関与について調査し、消費者を 高関与グループと低関与グループに分類した。次に、消費者に対して 6 つの特徴が異なる店 舗立地(以下、立地フレーム)を設定し、これらの立地フレームから知覚される高級感につ いて調査した上で、高級感が高い立地と低い立地に分類した。次に、これらの立地フレーム に基づき、ラグジュアリー性水準が異なる 2 つの服飾品ブランドに対する消費者のブランド
態度を調査した。最後に、高級感が異なる立地フレームに基づく消費者のブランド態度変化 について ANOVA を用いて分析し、ブランドのラグジュアリー性水準や消費者の購買関与 水準の影響を考察した。
調査・分析Ⅰで対象とした服飾品ブランドはラグジュアリーブランドのルイ・ヴィトンと 非ラグジュアリーブランドのユニクロである。先行研究において、これらはそれぞれラグ ジュアリーブランド、及び、ラグジュアリーとは異なる大衆ブランドとして考察されている
(例えば、Kim and Ko, 2010; Lee et al., 2014)(4)。
立地フレームの選定にあたっては、服飾品店舗開発に携わる実務家にインタビューを行っ た。その結果、服飾品企業では、流通チャネルのタイプ別に代表的な立地を店舗立地戦略に おけるベンチマークとしていることが確認された。ここで代表的なベンチマーク立地として 示されたのは、伊勢丹百貨店新宿店(以下、新宿伊勢丹)、丸の内ビルヂング、イオンレイ クタウン、ららぽーと東京ベイ、銀座地区、及び、池袋地区である(5)。新宿伊勢丹は東京都 新宿区に所在する、我が国で最も年間売上高の大きい百貨店で(繊研新聞,2015)、ラグジュ アリーブランド店舗や中高級ブランド店舗が多数出店している。丸の内ビルヂングは東京都 千代田区に所在し、商業フロアとオフィスフロアの両方を有する複合ビルで、流行の服飾品 を販売する店舗等が所在している。銀座は、東京都中央区内の商業地区であり、土地の価格 が日本で最も高い(日本経済新聞,2017)ことで知られており、多くのラグジュアリーブ ランドや非ラグジュアリーブランドの旗艦店舗が当該地区に所在している。イオンレイクタ ウンは埼玉県越谷市に所在する大型商業施設で、多くのカジュアル衣料店舗、及び、日常の 食品等を販売する大型スーパーマーケットが所在している。ららぽーと東京ベイは千葉県船 橋市に所在する大型商業施設で、多くのカジュアル衣料店舗が所在している。池袋は東京都 豊島区内の商業地区であり、多数のカジュアル衣料店舗が所在するとともに、池袋駅付近に は複数の百貨店が所在している。調査・分析Ⅰではこれらを立地フレームとして設定した。
服飾品企業ではチャネル戦略を検討する際、これらの立地における事業性を参考とするケー スが多い(6)ことに鑑みると、これらの立地フレームに基づく調査結果は、今後の店舗立地戦 略における戦略的示唆として期待できる。
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(4) Kumagai and Nagasawa(2016, 2017)は首都圏で消費者調査を行い、Millward Brown(2014)におい てブランド価値評価が高い服飾品 10 ブランドのラグジュアリー性水準を測定した。その結果、ルイ・
ヴィトンのラグジュアリー性水準は高くユニクロのラグジュアリー性水準は低いことが繰り返し確認さ れた。
(5) 大手服飾品企業、(株)ストライプインターナショナルの店舗開発部長、遠藤健氏によると、新宿伊勢丹
(百貨店)、丸の内ビルヂング(都心型商業ビル)、イオンレイクタウン(量販店運営の郊外型モール)、
ららぽーと東京ベイ(大手不動産運営の郊外型モール)、銀座地区(高級路面立地)、及び、池袋地区(カ ジュアルウェア店舗向け路面立地)は、服飾品業界においてチャネルタイプ毎の代表的立地とされてい る(2016 年 6 月 27 日)。
服飾品購買関与の測定には、Mittal(1989)を参考として 4 項目を用いた。また、店舗立 地の高級感の測定項目は Donvito et al.(2013)による 4 項目を用いた。ブランド態度は Adaval and Monroe(2002)による 3 項目を用いて測定した。店舗立地フレームを用いた設 問文は、Graeff(1997)を参考として設定した。本調査における設問は、全て 7 点尺度のリッ カートスケール(1:全くそう思わない〜 7:非常にそう思う)に基づく設計とした(7)。 データ収集は、我が国最大のオンラインリサーチファーム、マクロミルを起用して実施し た。マクロミルは学術調査だけでなく、政府機関による調査やビジネスリサーチ等を手掛け るリサーチファームで、国勢調査におけるデモグラフィクスに近い 2 百万人以上の登録モニ ターを擁している(マクロミル,2013)。回答者はこのモニターから首都圏(東京都、神奈 川県、埼玉県、千葉県)に在住する 20 代〜 60 代の一般消費者(男女)を無作為に抽出した(8)。 回答者は予めスクリーニングにおいて、分析対象とした 2 つのブランド、及び、店舗立地フ レームとした 6 つの店舗立地を全て知っていることが確認された一般消費者である。本研究 では、富裕層に限らず一般的な消費者の行動について調査する為、回答者の所得は考慮して いない。本調査は、データに欠測が生じぬよう、回答者が全ての設問に回答しなければ集計 されない設計とした。調査は 2016 年 7 月 1 日〜 2 日に行われた。
4.2 調査・分析の結果
回答は、モニターが保有するパーソナルコンピューター等からインターネットを通じて回 収された。本調査では、312 の有効回答が得られた。回答者の属性を表 1 に示す。
調査データに基づき、消費者の服飾品ブランド・製品購買関与、店舗立地の高級感、ブラ ンド態度の各構成概念について Cronbachʼs Alpha を計算した所、.830 〜 .955 と十分な値が 得られた(Peterson, 1994)。更に、確証的因子分析(CFA)を行った結果、各項目の因子 負荷量は .540 〜 .954 となった。各構成概念の Construct Reliability(CR)は .832 〜 .955、
Averaged Variance Extracted(AVE)は .560 〜 .876 となり、いずれも先行研究で望まし いとされる値を上回った。また、各構成概念の AVE は、それぞれ、構成概念間の相関係数 の平方を上回った。従って、各構成概念について、内部一貫的信頼性、収束的妥当性、弁別 的妥当性が認められ、構成概念妥当性が確認された(Hair et al., 2014)(表 2、表 3)。
本調査では、目的変数と独立変数を単一の回答者に尋ねる方法を採用しており、Common Method Bias が生じる可能性あることから、Harmanʼs One Factor Test を行った(Podsakoff
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(6) 例えば新宿伊勢丹で事業性が認められると、百貨店チャネルにおいて事業性があるとみなされる場合が ある。
(7) 測定項目については文末付録参照。
(8) 国勢調査に基づく男女・年齢別比率を目安として、性別・年齢のセグメント毎にマクロミルのモニター から無作為に回答者を抽出した。
表 1 回答者属性(調査・分析Ⅰ)
回答者属性 n %
性別 男性
女性
159 153
51.0 49.0 年齢
(単位:歳)
20 - 24 25 - 29 30 - 34 35 - 39 40 - 44 45 - 49 50 - 54 55 - 59 60 - 64 65 - 69
16 38 32 42 35 30 35 20 36 28
5.1 12.2 10.3 13.5 11.2 9.6 11.2 6.4 11.5 9.0 世帯年収
(単位:円)
2,000,000未満 2,000,000-3,999,999 4,000,000-5,999,999 6,000,000-7,999,999 8,000,000-9,999,999 10,000,000-11,999,999 12,000,000-14,999,999 15,000,000-19,999,999 20,000,000以上 無回答
11 53 67 47 33 16 8 3 4 70
3.5 17.0 21.5 15.1 10.6 5.1 2.6 1.0 1.3 22.4
表 2 構成概念に関する CFA の結果(調査・分析Ⅰ)
構成概念 測定項目 因子負荷量 CR AVE
服飾品購買関与 注意深く選ぶ
違いがよく分かる 選択は重要である 結果が気になる
.741 .540 .868 .804
.832 .560 .830
立地高級感 上流階級
一流 高価 高所得
.912 .897 .928 .921
.953 .836 .953
ブランド態度 魅力
好ましい 好き
.954 .944 .909
.955 .876 .955
表 3 構成概念に関する弁別的妥当性(調査・分析Ⅰ)
構成概念 服飾品購買関与 立地高級感 ブランド態度
服飾品購買関与 .560
立地高級感 .008 .836
ブランド態度 .025 .061 .876
注:表は構成概念間の相関係数の平方を示しており、対角線には各構成概念の AVE を記載している。
and Organ, 1986; Jakobsen and Jensen, 2015)。購買関与、店舗立地高級感、ブランド態度 を構成する 11 項目を用い、回転のない主因子法に基づく探索的因子分析(EFA)を行った 所、固有値が 1 以上の因子が複数抽出され、第 1 因子の寄与率は 50%を下回ることが確認 された。従って、ここで Common Method Bias は問題とはならないことが確認された。
服飾品購買関与に関する構成概念の妥当性が確認されたことから、構成項目の平均値を当 該概念を示す合成変数として用い(Hair et al., 1998)、Median Split により回答者を関与水 準に基づき次の通り分類した:高関与グループ:184(男性 81、女性 103);低関与グループ:
128(男性 78、女性 50)(単位:人)。
同様に、Median Split を用いて店舗立地を高級感が高いグループと低いグループに分類し た(図 3)。ここでは、ユークリッド距離に基づく分類でも同様の結果が確認された。
これらの結果に基づき、高級感が異なる立地フレームに基づく消費者のラグジュアリーブ ランド(ルイ・ヴィトン)態度、及び、非ラグジュアリーブランド(ユニクロ)態度の変化 について、それぞれ店舗立地の高級感(2 水準)と回答者の購買関与水準(2 水準)に基づ く 2 × 2 の 2-way ANOVA(mixed design)を行った(表 4、図 4)。ここでは、ラグジュアリー ブランド態度に対する店舗立地の高級感と服飾品購買関与の交互作用が 5%水準で確認され
た(F1,310= 5.316, p < .05, Partial 2= .017)。一方、非ラグジュアリーブランド態度に対
する店舗立地の高級感と服飾品に対する購買関与の交互作用は確認できなかった。これらの 結果は、ラグジュアリーブランド態度を形成する時、服飾品購買関与水準が高い消費者は、
当該水準が低い消費者よりも店舗立地高級感の影響を正に強く受ける一方、非ラグジュア
図 3 店舗立地フレームの高級感(調査・分析Ⅰ)
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2.5 3.0 3.5 4.0 4.5 5.0 5.5 6.0
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リーブランドの場合は店舗立地高級感の影響が変化しないことを示している。従って、調 査・分析Ⅰでは、H1a が支持され、H1b は棄却された。
5.調査・分析Ⅱ : ブランドコミットメントの影響
5.1 調査・分析の方法
調査・分析Ⅱでは、店舗立地高級感によるブランド態度形成インパクト、及び、感情的・
計算的ブランドコミットメントとブランドのラグジュアリー性水準に基づく当該インパクト の変化について分析する。ここでは、先ず、ラグジュアリー性水準が異なる 2 つの分析対象 ブランドに対する消費者の感情的・計算的コミットメントについて調査し、回答者をそれぞ れのコミットメント水準が高いグループと低いグループに分類した。次に、消費者に対して 2 つの店舗リストを立地フレームとして提示し、知覚される高級感について調査した。次に、
図 4 店舗立地高級感に基づくブランド態度の変化(調査・分析Ⅰ)
4.945
4.002 4.306
3.639 3.5
4.0 4.5 5.0
H L
㧗㛵䜾䝹䞊䝥 ప㛵䜾䝹䞊䝥 䝷䜾䝆䝳䜰䝸䞊䝤䝷䞁䝗䠄䝹䜲䞉䞂䜱䝖䞁䠅 䝤䝷䞁䝗ែᗘ
4.298
4.899
3.953
4.460
3.5 4.0 4.5 5.0
H L
㧗㛵䜾䝹䞊䝥 ప㛵䜾䝹䞊䝥 㠀䝷䜾䝆䝳䜰䝸䞊䝤䝷䞁䝗䠄䝴䝙䜽䝻䠅 䝤䝷䞁䝗ែᗘ
注: H:高級感が高い店舗立地フレーム、L:高級感が低い店舗立地フレーム。多重比較(Bonferroni)の結果、全ての ブランドタイプ、消費者グループにおいて店舗立地高級感に基づくブランド態度変化は 0.1%水準で有意。
表 4 店舗立地高級感のブランド態度に対する影響
(2-way(2 × 2)ANOVA)(調査・分析Ⅰ)
ブランド 要 因 df F value Partial 2
ラグジュアリー ブランド
(ルイ・ヴィトン)
店舗立地高級感(主効果)
購買関与水準(主効果)
立地高級感×関与水準(交互作用)
(1,310)
(1,310)
(1.310)
182.113***
10.854**
5.316*
.370 .034 .017 非ラグジュアリー
ブランド
(ユニクロ)
店舗立地高級感(主効果)
購買関与水準(主効果)
立地高級感×関与水準(交互作用)
(1,310)
(1,310)
(1.310)
97.328***
8.348**
.708n.s.
.239 .026 .002 注:***p < .001, **p < .01, *p < .05, n.s. = non-significant。
これらの立地フレームに基づき、ラグジュアリー性水準が異なる 2 つのブランドに対する消 費者のブランド態度を調査した。最後に、高級感水準が異なる立地フレームにおける消費者 のブランド態度の変化について ANOVA を用いて分析し、ブランドのラグジュアリー性水 準や感情的・計算的ブランドコミットメントの影響を考察した。
調査・分析Ⅱで対象とした服飾品ブランドは、調査Ⅰと同様にラグジュアリーブランドの ルイ・ヴィトンと非ラグジュアリーブランドのユニクロである。店舗立地フレームには、よ り実務的な示唆を得る為、これらのブランドの東京都における実際の店舗リストを用いた。
調査対象ブランド店舗が実在する立地をフレームとして、ブランド態度に対するブランドコ ミットメントの影響を考察することで、各ブランドがこれまで進めてきた店舗開発の妥当性 が検討できると考えられる。調査では、ブランドイメージによるバイアスを回避する為、 ブ ランド名は伏せ、2 つのブランドをブランド A、B として提示した(表 5)。
服飾品ブランドに対するコミットメントの測定には、井上(2009)による 5 項目を採用 した。店舗立地の高級感の測定項目は Donvito et al.(2013)による 4 項目を用いた。ブラ ンド態度は Adaval and Monroe(2002)による 3 項目を用いて測定した。店舗立地フレーム を用いた設問文は、Graeff(1997)を参考として設定した。本調査における設問は、全て 7 点尺度のリッカートスケール(1:全くそう思わない〜 7:非常にそう思う)に基づく設計 とした(9)。
データ収集は、マクロミルを起用し、調査・分析Ⅰと同様の方法を用いて実施された。回 答者は予めスクリーニングにおいて、2 つの分析対象ブランドを知っていることが確認され た一般消費者である。但し、回答バイアスを避ける為、調査・分析Ⅰにおける回答者は調査 対象から除外した。調査は 2017 年 7 月 28 日〜 29 日に行われた。
5.2 調査・分析の結果
回答は、モニターが保有するパーソナルコンピューター等からインターネットを通じて回 収された。本調査では、312 の有効回答が得られた。回答者の属性を表 6 に示す。
消費者の感情的ブランドコミットメント、計算的ブランドコミットメント、店舗立地の高 級感、ブランド態度の各構成概念について Cronbachʼs Alpha を計算した所、.739 〜 .965 と 十分な値が得られた(Peterson, 1994)。また、CFA の結果、各項目の因子負荷量は .658
〜 .967、各構成概念の CR は .762 〜 .965、AVE は .621 〜 .874 となり、いずれも先行研究 で望ましいとされる値を上回った。また、AVE はそれぞれ構成概念間の相関係数の平方を 上回った。従って、各構成概念について内部一貫的信頼性、収束的妥当性、弁別的妥当性が 認められ、構成概念妥当性が確認された(Hair et al., 2014)(表 7、表 8)。
───────────
(9) 測定項目については文末付録参照
表 5 店舗立地フレーム(調査・分析Ⅱ)
ブランド A 表参道店(渋谷区)
DOVER STREET MARKET GINZA(中央区)
松屋銀座店(中央区)
大丸東京店(千代田区)
新宿店(新宿区)
西武渋谷店(渋谷区)
日本橋髙島屋店(中央区)
三越日本橋店(中央区)
六本木ヒルズ店(港区)
小田急新宿店(新宿区)
新宿髙島屋店(渋谷区)
二子玉川店(世田谷区)
西武池袋店(豊島区)
銀座並木通り店(中央区)
ブランド B
昭島モリタウン店(昭島市)
足立入谷店(足立区)
北千住マルイ店(足立区)
ルミネ北千住店(足立区)
亀有店(足立区)
アリオ西新井店(足立区)
LaLa テラス南千住店(荒川区)
セブンタウン小豆沢店(板橋区)
板橋駅前本通り店(板橋区)
板橋四ツ葉店(板橋区)
稲城矢野口店(稲城市)
江戸川一之江店(江戸川区)
ホームズ葛西店(江戸川区)
西瑞江店(江戸川区)
青梅店(青梅市)
羽田空港第1ビル店(大田区)
アトレ大森店(大田区)
大森北店(大田区)
上池台店(大田区)
東急プラザ蒲田店(大田区)
羽田空港国際線ターミナル店(大田区)
葛飾奥戸店(葛飾区)
アリオ亀有店(葛飾区)
赤羽ビビオ店(北区)
王子神谷店(北区)
ダイバーシティ東京プラザ店(江東区)
アトレ亀戸店(江東区)
アリオ北砂店(江東区)
スナモ南砂店(江東区)
ららぽーと豊洲店(江東区)
セレオ国分寺店(国分寺市)
小平鈴木店(小平市)
ディラ大崎店(品川区)
アトレ大井町店(品川区)
アトレ目黒店(品川区)
五反田 TOC 店(品川区)
五反田駅東口店(品川区)
渋谷スペイン坂店(渋谷区)
新宿高島屋店(渋谷区)
渋谷駅中央口店(渋谷区)
渋谷道玄坂店(渋谷区)
飯田橋メトロピア店(新宿区)
新宿東口店(新宿区)
BIG BOX 高田馬場店(新宿区)
新宿西口店(新宿区)
ルミネ荻窪店(杉並区)
杉並下井草店(杉並区)
クイーンズ伊勢丹杉並桃井店(杉並区)
東京ソラマチ店(墨田区)
アルカキット錦糸町店(墨田区)
駒沢自由通り店(世田谷区)
下北沢店(世田谷区)
世田谷上町店(世田谷区)
二子玉川ドッグウッドプラザ店(世田谷区)
世田谷千歳台店(世田谷区)
浅草 ROX 店(台東区)
上野広小路店(台東区)
エキュート上野店(台東区)
御徒町店(台東区)
松屋浅草店(台東区)
ルミネ立川店(立川市)
ららぽーと立川立飛店(立川市)
ココリア多摩センター店(多摩市)
京王聖蹟桜ヶ丘店(多摩市)
銀座店(中央区)
マロニエゲート銀座店(中央区)
東京駅八重洲地下街店(中央区)
調布パルコ店(調布市)
仙川店(調布市)
東京駅京葉ストリート店(千代田区)
アトレ秋葉原1店(千代田区)
アキバトリム店(千代田区)
市ヶ谷駅店(千代田区)
東京駅一番街店(千代田区)
池袋東武店(豊島区)
池袋サンシャイン60通り店(豊島区)
池袋駅中央改札口店(豊島区)
池袋東口店(豊島区)
アトレヴィ大塚店(豊島区)
中野サンモール店(中野区)
イオンモール日の出店(日の出町)
東伏見店(西東京市)
練馬駅北口店(練馬区)
リヴィン光が丘店(練馬区)
リヴィンオズ大泉店(練馬区)
セレオ八王子店(八王子市)
八王子台町店(八王子市)
ぐりーんうぉーく多摩店(八王子市)
東久留米クルネ店(東久留米市)
東大和店(東大和市)
多摩平店(日野市)
フレスポ府中店(府中市)
府中フォーリス店(府中市)
東京ドームシティラクーア店(文京区)
町田鶴川店(町田市)
ミーナ町田店(町田市)
三鷹新川店(三鷹市)
東京ミッドタウン店(港区)
エキュート品川サウス店(港区)
アトレ吉祥寺店(武蔵野市)
吉祥寺店(武蔵野市)
イトーヨーカドー武蔵境店(武蔵野市)
イオンモールむさし村山店(武蔵村山市)
ピーコック自由が丘店(目黒区)
八雲目黒通り店(目黒区)
注: ブランド A:ルイ・ヴィトン、ブランド B:ユニクロ。2017 年末の東京都における店舗リストに基づく。ブランド 名を付した名称の店舗についてはブランド名を外して提示した。
表 6 回答者属性(調査・分析Ⅱ)
回答者属性 n %
性別 男性
女性
159 153
51.0 49.0 年齢
(単位:歳)
20 - 24 25 - 29 30 - 34 35 - 39 40 - 44 45 - 49 50 - 54 55 - 59 60 - 64 65 - 69
17 35 30 34 41 37 32 25 36 25
5.4 11.2 9.6 10.9 13.1 11.9 10.3 8.0 11.5 8.0 世帯年収
(単位:円)
2,000,000未満 2,000,000-3,999,999 4,000,000-5,999,999 6,000,000-7,999,999 8,000,000-9,999,999 10,000,000-11,999,999 12,000,000-14,999,999 15,000,000-19,999,999 20,000,000以上 無回答
12 54 63 48 31 16 8 7 4 69
3.8 17.3 20.2 15.4 9.9 5.1 2.6 2.2 1.3 22.1
表 7 構成概念に関する CFA の結果(調査・分析Ⅱ)
構成概念 測定項目 因子負荷量 CR AVE
感情的コミットメント 信頼している 愛着や親しみがある
.658 .899
.762 .621 .739 計算的コミットメント 他ブランドを検討するのは面倒である
他のブランドで失敗したくない 何となくこのブランドにしている
.778 .788 .799
.831 .622 .830
立地高級感 上流階級
一流 高価 高所得
.923 .909 .967 .940
.965 .874 .965
ブランド態度 魅力
好ましい 好き
.949 .935 .908
.951 .866 .951
表 8 構成概念に関する弁別的妥当性(調査・分析Ⅱ)
構成概念 感情的コミットメント 計算的コミットメント 立地高級感 ブランド態度
感情的コミットメント .621
計算的コミットメント .480 .622
立地高級感 .008 .005 .874
ブランド態度 .394 .209 .018 .866
注:表は構成概念間の相関係数の平方を示しており、対角線には各構成概念の AVE を記載している。
更に、調査・分析Ⅰと同様に、Harmanʼs One Factor Test を行った(Podsakoff and Organ, 1986; Jakobsen and Jensen, 2015)。感情的ブランドコミットメント、計算的ブラン ドコミットメント、店舗立地高級感、及び、ブランド態度を構成する 12 項目を用い、回転 のない主因子法に基づく EFA を行った所、固有値が 1 以上の因子が複数抽出され、第 1 因 子の寄与率は 50%を下回ることが確認された。従って、ここで Common Method Bias は問 題とはならないことが確認された。
感情的・計算的ブランドコミットメントに関する構成概念の信頼性・妥当性が確認された ことから、構成項目の平均値を当該概念を示す合成変数として用い(Hair et al., 1998)、
Median Split により回答者をコミットメント水準に基づき分類した(表 9)。
同様に、構成項目の平均値を当該概念を示す合成変数として用い(Hair et al., 1998)、2 つの立地フレームの高級感を比較した。その結果ブランド A の立地がブランド B の立地よ り高級感が高いことが確認された(Mean = 4.966 versus 3.589, t311= 16.422, p < .001)。
次に、高級感が異なる立地フレームに基づく消費者のラグジュアリーブランド(ルイ・
ヴィトン)態度、及び、非ラグジュアリーブランド(ユニクロ)態度の変化について、店舗 立地の高級感(2 水準)と回答者の感情的・計算的ブランドコミットメント水準(それぞれ 2 水準)に基づく 2 × 2 の 2-way ANOVA(mixed design)を行った(表 10、図 5)。ここで は、ラグジュアリーブランド態度に対する店舗立地の高級感と感情的ブランドコミットメン トの交互作用が 5%水準で確認された(F1,310= 5.810, p < .05, Partial
2= .018)。一方、ラグジュアリーブランド態度に対する店舗立地の高級感と計算的コミットメントの交互作 用、及び、非ラグジュアリーブランド態度に対する店舗立地の高級感と感情的・計算的コミッ トメントの交互作用は確認できなかった。
これらの結果は、ラグジュアリーブランド態度を形成する時、感情的コミットメントが高 い消費者は、当該水準が低い消費者よりも店舗立地の高級感による影響を正に強く受ける一 方、計算的コミットメント水準によって影響は変化しないことを示している。また、非ラグ ジュアリーブランドの場合は、感情的コミットメント水準、計算的コミットメント水準に よって店舗立地高級感による影響は変化しないことを示している。従って、調査・分析Ⅱで
表 9 コミットメント水準に基づく回答者分類(調査・分析Ⅱ)
ブランド コミットメント水準 感情的コミットメント 計算的コミットメント
ラグジュアリー
(ルイ・ヴィトン)
高 低
220(男性111、女性109)
92(男性48、女性44)
156(男性86、女性70)
156(男性73、女性83)
非ラグジュアリー
(ユニクロ)
高 低
187(男性89、女性98)
125(男性70、女性55)
188(男性94、女性94)
124(男性65、女性59)
注:単位:人
図 5 店舗立地高級感に基づくブランド態度の変化(調査・分析Ⅱ)
4.812
4.056
3.239
2.888 2.5
3.0 3.5 4.0 4.5 5.0
L H
ឤⓗ䝁䝭䝑䝖䝯䞁䝖:㧗 ឤⓗ䝁䝭䝑䝖䝯䞁䝖:ప 䝤䝷䞁䝗ែᗘ
4.752
4.141 3.944
3.282 3.0
3.5 4.0 4.5 5.0
L H
ィ⟬ⓗ䝁䝭䝑䝖䝯䞁䝖:㧗 ィ⟬ⓗ䝁䝭䝑䝖䝯䞁䝖:ప 䝤䝷䞁䝗ែᗘ
ࣛ ࢢ ࢪ ࣗ ࣜ ࣮ ࣈ ࣛ ࣥ ࢻ 㸦 ࣝ ࣭ ࣦ ࢺ ࣥ 㸧
4.225
4.923
3.243
3.808
3.0 3.5 4.0 4.5 5.0
L H
ឤⓗ䝁䝭䝑䝖䝯䞁䝖:㧗 ឤⓗ䝁䝭䝑䝖䝯䞁䝖:ప 䝤䝷䞁䝗ែᗘ
4.048
4.720
3.503
4.108
3.0 3.5 4.0 4.5 5.0
L H
ィ⟬ⓗ䝁䝭䝑䝖䝯䞁䝖:㧗 ィ⟬ⓗ䝁䝭䝑䝖䝯䞁䝖:ప 䝤䝷䞁䝗ែᗘ
㠀 ࣛ ࢢ ࢪ ࣗ ࣜ ࣮ ࣈ ࣛ ࣥ ࢻ 㸦 ࣘ ࢽ ࢡ ࣟ 㸧
注: H:高級感が高い店舗立地フレーム、L:高級感が低い店舗立地フレーム。多重比較(Bonferroni)の結果、全ての ブランドタイプ、消費者グループにおいて店舗立地高級感に基づくブランド態度変化は 0.1%水準で有意。
表 10 店舗立地高級感のブランド態度に対する影響
(2-way(2 × 2)ANOVA)(調査・分析Ⅱ)
ブランド 要 因 df F value Partial 2
ラグジュアリー ブランド
(ルイ・ヴィトン)
店舗立地高級感(主効果)
感情的コミットメント水準(主効果)
立地高級感×コミットメント水準(交互作用)
(1,310)
(1,310)
(1.310)
43.530***
114.955***
5.810*
.123 .271 .018 店舗立地高級感(主効果)
計算的コミットメント水準(主効果)
立地高級感×コミットメント水準(交互作用)
(1,310)
(1,310)
(1.310)
67.956***
42.362***
.110n.s.
.180 .120 .000
非ラグジュアリー ブランド
(ユニクロ)
店舗立地高級感(主効果)
感情的コミットメント水準(主効果)
立地高級感×コミットメント水準(交互作用)
(1,310)
(1,310)
(1.310)
84.075***
103.933***
.937n.s.
.123 .251 .003 店舗立地高級感(主効果)
計算的コミットメント水準(主効果)
立地高級感×コミットメント水準(交互作用)
(1,310)
(1,310)
(1.310)
85.354***
25.598***
.236n.s.
.216 .076 .001 注:***p < .001, *p < .05, n.s. = non-significant。
は、H2a が部分的に支持され H2b は棄却された。
6.考察とまとめ
6.1 考察とまとめ
本研究における調査・分析結果から、消費者のラグジュアリーブランド態度に対する店舗 立地高級感の影響は、消費者の服飾品全般に関する購買関与水準や評価対象ブランドに対す る感情的コミットメント水準が高い場合に、これらの水準が低い場合よりも正に大きくなる ことが確認された。この結果に鑑みると、社会的価値や快楽的価値が高いラグジュアリーブ ランドを評価する際、消費者はブランドをイメージで捉え、周辺的ルートによる感情的情報 処理を行っている可能性がある。Kapferer and Bastien(2012)によれば、ラグジュアリー 戦略では、感情的コミットメント水準が高いとみられる熱狂的支持者(enthusiast)には会 員制クラブのような社会的地位を象徴するマーケティング手法が重要とされる。本研究の分 析結果は、こうしたラグジュアリー戦略の指摘と一致する。
一方、本研究の結果から、計算的コミットメント水準は、消費者のラグジュアリーブラン ド態度に対する店舗立地高級感の影響とは無関係であることが示唆された。この結果を踏ま えると、計算的コミットメントが高水準の消費者は、ラグジュアリーブランドについても認 知的に捉えて評価している可能性があろう。
また、本研究の結果から、非ラグジュアリーブランドの場合、購買関与やコミットメント 水準は、ブランド態度に対する店舗立地高級感の影響を変化させないことが確認された。非 ラグジュアリーブランドの中核的価値は機能性であり、消費者が当該ブランドに関心をもつ 時、その関心は機能的価値に向かっていると考えられる。機能的価値は店舗立地とは無関係 であり、当該価値に対する関心の水準は、立地イメージの影響を変化させないと考えられる。
また、消費者は非ラグジュアリーブランドの機能的価値を認知的に捉え、ラグジュアリーの 場合と比べて中心的ルートによる情報処理を行っている可能性があろう。
本研究から得られる最も重要な示唆は、服飾品購買関与やブランドコミットメントの水準 に関わらず、ブランド態度に対する店舗立地高級感とブランドのラグジュアリー性の影響
(図 1)は頑健であるという点である。この結果は、ラグジュアリーブランドが低関与消費 者や低コミットメント消費者に対し、高級感が低い立地に出店してアプローチ性を高めた り、非ラグジュアリーブランドがこれらの消費者に対し、高級立地に出店してブランド連想 を向上させる等という店舗開発手法に疑問を投げかけるものである。
調査・分析Ⅱでは、ラグジュアリー性水準が高いルイ・ヴィトンの店舗立地は高級感が高 く、消費者のルイ・ヴィトンに対する態度に貢献しており、ラグジュアリー性水準が低いユ ニクロの店舗立地は高級感が低く、消費者のユニクロに対する態度に貢献していることが示