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九州大学学術情報リポジトリ Kyushu University Institutional Repository 韓国の非熟練外国人労働者の韓国語教育とその課題 春木, 育美早稲田大学韓国学研究所 出版情報 : 韓国経済研究. 19,

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Kyushu University Institutional Repository

韓国の非熟練外国人労働者の韓国語教育とその課題

春木, 育美

早稲田大学韓国学研究所

https://doi.org/10.15017/4772422

出版情報:韓国経済研究. 19, pp.1-16, 2022-03. 九州大学韓国経済研究会 バージョン:

権利関係:

(2)

Korean Language Education by Unskilled Foreign Workers in South Korea and its Challenges

春 木 育 美

HARUKI Ikumi

1 はじめに

近年、日本では外国人労働者政策の大転換が なされた。2019年4月に改正出入国管理法を施 行し、新たな在留資格「特定技能」が導入され た。これまで原則的に認めてこなかった単純労 働に門戸を開き、新たな在留資格「特定技能」

により、一定の技能と日本語能力のある外国人

(特定技能労働者)に日本での就労を認めた。新 制度にともない、政府は外国人への生活支援を 中心とした「受け入れ・共生のための総合的対 応策」を打ち出し、全国100ヵ所に在留外国人の 相談窓口となる「多文化共生総合相談ワンス トップセンター」を設置することや、日本語教 育の充実と教育体制の整備を掲げた。

日本が最近になってこうした制度的枠組みの 整備を打ち出したのに対し、韓国は既に類似の 取り組みを、2000年代中盤から矢継ぎ早に推進 し て き た。2004年 に「 雇 用 許 可 制 (EPS:

Employment Permit System)」を導入し、非熟練 外国人労働者を正式に受け入れる政策転換に踏 み切った。雇用許可制に特化した「韓国語能力 試験(EPS-Test of Proficiency in Korean、以下、

EPS-TOPIK)」を作成し、ビザ取得の要件とし

て試験に合格することを課した。

本稿で言及する非熟練外国人労働者とは、何 らかの専門技術や技能を持たない、あるいは専 門的知識を必要としない労働に従事する者を指 す。< 表1> にみるように、具体的には、韓国政 府が雇用許可制のもとで受け入れている非専門 職の外国人労働者である。これに対し専門職は、

一定の訓練や教育を受け、高度で専門的な技術 力や知識を有する労働者を指す。研究者や技術 者、専門家といった専門職には、専門人材とし ての在留資格(E1~E7)を付与している。

雇用許可制とは、国内で韓国人労働者を雇用 できない韓国企業に対し、合法的に非熟練外国 人労働者を雇用することを政府が許可する制度 である。雇用許可制は、韓国政府との間で覚書

(MOU)を交わした16ヵ国 1)の送出国の非熟練 外国人労働者に発行される「非専門就業ビザ

(E-9)」による「一般雇用許可制」と、中国や旧 ソ連地域(CIS諸国)など11ヵ国の韓国系外国

* 早稲田大学 韓国学研究所

Waseda University Institute of Korean Studies

1 ) 2020年時点で、フィリピン、タイ、インドネシア、

スリランカ、ベトナム、モンゴル、ウズベキスタン、

カンボジア、パキスタン、中国、バングラデシュ、

キルキズ、ミャンマー、東ティモール、ネパール、

ラオスの16ヵ国である。2019年の入国実績では、ベ トナム、カンボジア、ネパール、インドネシアの順 に多く、この4ヵ国の合計でほぼ5割を占めた。e- 国家指標、

https://www.index.go.kr/main.do、2021年

4月2日アクセス。

(3)

人(在外同胞)のみを対象にした「訪問就業ビ ザ(H-2)」による「特例雇用許可制」の2種類 がある。一般雇用許可制で就労できる分野は、

製造業、建設業、農畜産業、サービス業、漁業 の5業種に限られるのに対し、特例雇用許可制 はサービス業など38業種を就業対象とし、事業 所の移動に制限がない。

非熟練外国人労働者の合法的な受け入れに踏 み切ったとはいえ、韓国政府はこうした労働者 の定住化を進める移民政策に舵を切ったわけで はない。韓国の非熟練外国人労働者政策は、一 部の高度人材を除き、「 移民政策 (migration policy)」ではなく 「循環型政策(rotation policy)」

を採っており、帰国を前提とした短期の労働力 の受け入れであると明示している。

韓国政府は、2007年に公布した「在韓外国人 処遇基本法」を法的根拠 2)として、非熟練外国 人労働者らの相談窓口となるワンストップ支援 センターである「外国人労働者支援センター(以 下、支援センター)」を全国に設置し、非熟練外 国人労働者への生活支援策を行っている。政府 は支援センターの事業予算として、2021年度は 70億ウォンを計上した 3)。事業の目的として、非

熟練外国人労働者が早期に韓国での生活に適応 できるよう支援を行い、円滑な就労活動を促進 することが挙げられている。一連の関連法制定 に基づき、韓国政府は非熟練外国人労働者政策 を前へ進めてきた。その過程で韓国が取り組ん できた制度改編や試行錯誤は、先行事例として 日本の政策にさまざまな有益な示唆点を与える と思われる。

日本では、2019年6月に「日本語教育推進法」

を制定されており、同法は、国や自治体には日 本語教育を進める責務、企業には雇用する外国

2 ) 「在韓外国人処遇基本法」(2007年5月17日制定)

の第11条(在韓外国人の社会適応支援)には、「国 および地方自治体は、在韓外国人が大韓民国におい て生活するのに必要な基本的素養および知識に関す る教育、情報提供並びに相談等の支援をすることが できる」とあるが、韓国語教育を提供するとは明記 されていない。対照的に第12条(結婚移民者および その子の処遇)には、「国および地方自治体は、結 婚移民者に対する国語教育、大韓民国の制度および 文化についての教育並びに結婚移民者の子に対する 保育および教育支援等を通じて、結婚移民者および その子が大韓民国社会に速やかに適応するよう支援 することができる」と明記されている。

3 ) 企画財政部財政情報公開システム、https://www.

openfiscaldata.go.kr/portal/service/mainFinanceStat

Page.do

、2020年4月16日アクセス。

< 表1> 就労区分別の在留資格と業種

区分 レベル 在留資格の種類と業種(職種) 規模    

(2020年)※1

非専門職 非熟練

【一般雇用許可制】非専門就業(E-9)

25.1万人 製造業、建設業、農畜産業、漁業、サービス業(冷凍倉庫、リサ

イクルなど5業種)

【特例雇用許可制】訪問就業 (H-2)

11.7万人 一般雇用許可制で就業できる業種のほか、飲食、宿泊、家事、介

護、清掃などのサービス業を加えた38業種

専門職 高度 教授(E-1)、会話指導(E-2)、研究(E-3)、技術指導(E-4)、専 門職業(E-5)、芸術興行(E-6)、特定活動(E-7:企業役員、経

営・金融・情報通信管理者、IT技術者、デザイナーなど) 3.8万人 出所 : 統計庁・法務部「移民者滞留実態および雇用調査」2020年

※1 2020年12月20日時点

(4)

人に教育機会を提供するよう努める責務がある と明記している。日本政府は、外国人への日本 語教育の充実を促進する方針を打ち出しており、

日本語学習体制の整備は今後の大きな課題と なっている。本稿では韓国が進めてきた外国人 労働者への韓国語教育が、今後の日本で起こり うる類似の問題に対処する上で、どのような点 で参考になるのかを考察することに主眼を置く。

雇用許可制に関しては、日本でも研究が蓄積 されている (たとえば、宣元錫 2009、2013、 佐 野 2010、2014a、2014b、2020、春木 2011a、2011b など)。ただ、その多くは雇用許可制の実態や評 価に焦点を当てている。韓国の先行研究では、

大別して2つの傾向がみられる。第一に、外国 人労働者への韓国語学習について、言語教育論 の視点から論じたものである。主にEPS-TOPIK の出題内容への批判や、非熟練外国人労働者を 対象にした韓国語テキストの改善点などが指摘 されている (たとえば、キムジョンウン 2006、

チョハンロク 2008、キムジェウク 2012、チョン ホジン 2013、イミヘ 2016、カンシンヒ 2017、キ ムミョングァン 2017など)。

第二に、非熟練外国人労働者が韓国語教育か ら疎外されている点を批判し、国の責務として 非熟練外国人労働者への韓国語教育に取り組む べきという提言を趣旨とする研究である。具体 策として、社会統合プログラム実施機関の拡充 などが主張されている (たとえば、ユンインジ ン 2006、チョソンギョン 2006、ファンジン 2010、キムジェウク 2011、チョハンロク 2012、

2013、パクヘスク 2012、イユジン 2018、アンヒ ウン 2018、キムユジン 2020など)。これらの研 究では、非熟練外国人労働者にとって、韓国語 学習がどのような意味を持つのかといった点に ついてはほとんど関心が払われていない。

本稿では、2004年から既に非熟練外国人労働

者をフロントドアから受け入れてきた韓国を事 例として、雇用許可制で就業する非熟練外国人 労働者問題の中でも研究が手薄な「韓国語教育」

に焦点を当て、その現状と課題を明らかにして いく。非熟練外国人労働者への韓国語教育に着 目する理由は、前述したように2019年に「日本 語教育の推進に関する法律」が成立し、今後、

外国人労働者をはじめとする在住外国人への日 本語教育に本格的に取り組むことを政府が表明 しているからである。

まず、非熟練外国人労働者への韓国語教育に ついて、韓国政府はどう取り組み、具体的にど のような学習機会を提供してきたのか考察する。

次に、滞在期間の定めがある非熟練外国人労働 者にとって、韓国語学習はどのような意味を持 つのか、また、韓国語学習を促進するために、

韓国ではどのような手立てや制度を整備してき たのか明らかにする。さらに、非熟練外国人労 働者の韓国語教育の問題点と課題について指摘 する。結論として、今後の日本における外国人 労働者への日本語教育にどのような示唆点が見 いだされるのか検討する。

本稿では紙幅の関係上、雇用許可制の「非専 門就業ビザ(E-9)」で就労する非熟練外国人労 働者を考察対象とし、韓国語学習の現状と制度 的な問題に焦点を当てる。 研究方法として、

2005年から2019年にかけて断続的に行った「外 国人労働者支援センター」「多文化家族支援セン ター」の職員、非熟練外国人労働者を支援する NGOの実務者、非熟練外国人労働者へのインタ ビューデータ、および各種統計や政策文書や既 存の文献資料から得た知見に依拠する。本稿か ら導き出される韓国の非熟練外国人労働者への 韓国語教育の課題は、今後、似たような課題に 直面すると思われる日本への参照事例としても 意義を持つといえる。

(5)

2 非熟練外国人労働者の韓国語学習機会の 現状

雇用許可制のもとで入国する非熟練外国人労 働者には、どのような韓国語学習機会が提供さ れているのだろうか。入国前、入国後、帰国前 の3段階に区分し、具体的にどのような韓国語 教育の機会が提供されているのか、韓国政府の 取り組みを中心に考察する。

(1)入国前の韓国語教育

雇用許可制には「非専門就業ビザ(E-9)」に よる「一般雇用許可制」と、中国や旧ソ連地域

(CIS諸国)など11ヵ国の韓国系外国人(在外同 胞)のみを対象にした「訪問就業ビザ(H-2)」

による「特例雇用許可制」の2種類がある。特 例雇用許可制は韓国語の能力試験を課していな いのに対し、一般雇用許可制はビザ取得の要件 として、一律に韓国政府公認の資格審査である

EPS-TOPIKを受験し、合格することを課してい

る。つまり、韓国で就労するためには、入国前 に自力で基本的な韓国語能力を習得することが 求められている。

試験は「読む」「聴く」の2技能である。試験 内容は、韓国生活に必要な基本的な意思疎通能 力、作業現場で必要な語彙、韓国社会や産業安全 に関する理解等を測定するものである。200点満 点で80点以上の得点者を合格者とし、希望職種の 年間採用人数に合わせて高得点順に選抜する。

雇用労働部は試験対策の学習教材として

「EPS-TOPIKのための韓国語標準教材」を各国 に配布している。同教材は、試験問題集および 7言語で作成された自学自習用の韓国語入門テ キスト(e-book)とともに、韓国産業人力公団 のウエブサイトから誰でも無料でダウンロード できる。

入国希望者の韓国語教育は、基本的には送出 国の機関に一任されている。ネパールのように、

地元放送局でEPS-TOPIK試験対策講座を放映 している国もある。送出国の主要都市には、韓 国語教育機関として韓国政府が設置した世宗学 堂 4)があるが、教育内容は就労目的の非熟練外 国人労働者を教育対象としたカリキュラムとは なっていない 5)。そのため、韓国での就労を目 指す労働者は、送出国の政府から業務委託を受 けて運営する語学センター(ハングル学校)や、

民間の韓国語教室、あるいは独学で韓国語を学 び、試験に臨む。

EPS-TOPIKの難易度が低いことや、送出国で

の学習が試験対策に偏りがちなこともあり、試 験にパスしても、実際には韓国語運用能力の高 さは担保されていない。「試験」さえ課せば自主 的に勉強し、基礎的な語学力が身につけられる はず、という制度設計自体に無理があることは 自明である。マークシートによる択一選択方式 であるうえ、イラストを見て該当する単語を選 ぶなど、難易度が極端に低い問題も散見され る 6)。類似の問題が繰り返し出題され、標準教 材の反復学習で、ある程度の得点が可能なため、

試験に合格するテクニック対策に偏った学習に なりがちである 7)

受け入れ先となる事業所との契約締結後は、

韓国産業人力公団EPSセンターや送出国が指定 4 ) 2021年時点で世界82ヵ国、234ヵ所が設置されて おり、 約6万人が学んでいる。 世宗学堂財団、

https://www.ksif.or.kr/intro.do、2021年6月10日アク

セス。

5 ) ただ、新型コロナウイルス感染症の拡大を契機と して、2020年からバングラデシュにある世宗学堂が、

オンラインで「EPS-TOPIK」講座の提供を始めた。

今後の変化が予想される。

6 ) たとえば、十字印のついた病院の写真があり、ハ ングルで「病院」と書かれた単語を選ぶといった形 式である。カメラの写真を見て、カメラと書かれた 単語を選ぶ問題もある。

(6)

した教育機関で、45時間の事前就業教育を受け る。45時間の教育プログラムのうち、韓国語教 育の時間数は20時間で、生活に必要な基礎的な 会話や事業所で使用する用語を学ぶ。その他に は韓国の風習・文化、法律、産業安全などに関 する講義を受ける。

このように非熟練外国人労働者に対し事前の 韓国語教育を行う時間は極めて短く、EPS-

TOPIKを課して自学させることでコストを削減

し、合理化を図っているようにみえる。韓国語 試験を経て選抜されてはいるが、入国前の韓国 語教育を十分に受けずに入国するため、大半は 韓国語がほとんど話せないまま入国しているの が実情である。そのため、受け入れ企業では、

韓国語運用能力が著しく低く、職場や生活上の 意思疎通ができないとの不満が大きいという 8)。 事業所に配置される前に現地で集中的な韓国語 教育を行うべきだという提言が多くなされてい るものの、改善はされていない。

(2)入国後の韓国語教育

非専門就業(E-9)ビザで就業する労働者は、

入国後すぐに韓国政府の委託を受けた就業教育 機関や業界団体で、2泊3日(16時間)の「入 国後就業教育」を受けることが義務付けられて いる。韓国語教育の時間は、1時間程度の基本 会話がすべてである。

各職場に配属された非熟練外国人労働者に、

韓国語の学習が特に課されることもない。企業 や使用者に対しても、雇用する非熟練外国人労 働者に学習支援やその機会を提供することを義 務付ける法律はない。就業期間中の韓国語学習 は、あくまで労働者の自由意志と自助努力に任 されている。企業側が費用を負担して韓国語教 育を行うことは稀である 9)

一方、韓国政府は、非熟練外国人労働者の相 談窓口となる支援センターを全国43ヵ所に設置 している。各支援センターは、公募を経た民間 の非営利団体が、雇用労働部傘下の韓国産業人 力公団から業務委託を受け運営されている 10)。 支援センターでは、非熟練外国人労働者が勤務 時間外に韓国語を学べるよう、土日や夜間の時 間帯にレベル別の韓国語講座を提供している。

支援センターごとに違いはあるが、初級~上級 クラスや韓国語能力試験(以下、TOPIK)受験 対策クラスまで、ほぼ無料で受講できる。

ただ、支援センターの設立趣旨と業務委託さ れている内容は、送出国の言語による労働災害 や健康問題などの相談業務、法律支援、社会福 祉サービスや憩いの場の運営などを開設目的と しており、生活支援がメインとなっている。支 援センター設立の法的根拠となっている「外国 人労働者雇用などに関する法律」には、韓国語

7 ) そもそも意思疎通ができる語学力を有しているか どうかを、読解とリスニングの試験だけで測定する ことは困難である。少なくとも面接試験を導入し意 思疎通能力を測るなど、評価方法を見直すべきだと いう議論もなされている。だが、試験の難易度を上 げると合格者が減るという懸念から、EPS-TOPIKの 抜本的な変更は検討されていない。つまり、労働需 要に応えるため、EPS-TOPIKは形式的なものに留 まっているのが現状である。

8 ) 韓国外国人労働者支援センター(ソウル市九老区)

イヒョジョン教育文化チーム長へのインタビュー調 査、2018年12月21日。

9 ) 韓国道路公社の牙山天安建設事業団は、高速道路 建設工事外国人勤労者を対象に韓国語教育を行って いる。京畿道地下鉄建設公社では、安全な労働環境 をつくるためとして、独自に外国人労働者を対象に 韓国語教育に乗り出している。これらの事例は、企 業が進んで非熟練外国人労働者のために韓国語学習 環境を整えた特殊なケースといえるが、こうした取 り組みはモデルケースとして重要である。

10) 支援センターによって異なるものの、基本的には 16の送出国すべての言語で対応可能な相談窓口が設 けられている。内科や歯科などの無料診療所、海外 への送金所、憩いの場、シェルター、保育所、多言 語図書館などを設けたセンターもある。

(7)

教育の実施は明記されていない。韓国語教育の 提供は副次的な位置づけで、主たる業務とはさ れていない。あくまで生活支援事業の一環とし て支援センターの裁量により行われているので ある。韓国語教育に必要な人件費などの費用が 全額支給されることはないため、補助金に基づ く予算の範囲で経費を充当し、維持している。

他にも、2019年時点で、全国17の広域自治体 のうち13の自治体が独自に予算をつけ、外国人 労働者のための支援センターを設置しており、

一部では韓国語教育事業を実施している。

また、非熟練外国人労働者への韓国語学習支 援を精力的に展開するキリスト教系の宗教団体 や市民運動団体、福祉法人らが、ボランティア による韓国語講座を無料で開設している。

韓国政府は結婚移民者を主対象とした「多文化 家族支援センター」を全国228ヵ所(2020年1月 時点)に設置 11)し、極めて体系的かつ手厚い韓 国語教育を行ってきた。近年は、国際結婚が減 り、出産・育児期に入った結婚移民者が増えて参 加者率が低下していることから、韓国語教育の対 象者を非熟練外国人労働者にも広げつつある 12)

韓国政府が提供する最も体系的かつ高水準の 韓国語教育は、2009年から始まった法務部管轄 の「社会統合プログラム」である 13)。社会統合

プログラムは、法務部の公募により選定され業 務委託を受けた非営利団体や大学機関などが運 営にあたる。2020年8月時点で、全国374ヵ所の 機関で開設されている 14)。同プログラムでは、

入門から中級までの5段階におよぶ最長415時間 の韓国語コースと、100時間の「社会・文化理解 講座」から成る学習プログラムを、各自の韓国 語の習熟度に応じて履修する。テキスト代や試 験費用を除き、受講費用はすべて無料である。

韓国における社会統合プログラムは、導入の 趣旨が移民者の韓国社会への早期適応支援にあ り、当初は対象者が結婚移民女性にほぼ限定さ れていた。内容的にも韓国語教育や韓国文化の 習熟による社会統合プログラムとして設計され ていた。その後、外国人居住者への韓国語教育 支援政策を社会統合プログラムに標準化する方 向へと政策転換し、現在では受講対象者は「外 国人登録証を有するすべての外国人居住者と国 民(帰化者)」と範囲が拡大されたものとなって いる。平日の昼間が中心だったが、平日の夜間

(3時間~3時間半)や週末(5~7時間)コー スが増設された。非熟練外国人労働者の場合、

休日を返上して日曜日に7時間の集中コースを 受けることが多い。

利便性が増したことで、近年、受講者の多様 化が進んでいる。2017年には社会統合プログラ ムに計4万1500人が参加し、うち結婚移民者が 1万8766人と全体の45.2%に相当するのに対し、

雇用許可制で就業する非熟練外国人労働者は 6976人と、全体の16.8%を占めている (法務部

『法務年鑑』2018年)。

11) 多文化家族支援ポータル「タヌリ」https://www.

liveinkorea.kr/portal/KOR/main/main.do、2021年4

月2日アクセス。

12) 多文化家族支援センター(ソウル市中区)セン ター長チャンギョンイム氏へのインタビュー調査。

2019年8月15日。近くに支援センターがないという 理由で、 非熟練外国人労働者の多くが遠方から

TOPIK

受験講座に通ってくるという。標準コースは

4時間の講義を12週間、合計48時間行う。

13) 根拠法となっているのは、2007年に制定した「在 韓外国人処遇基本法」第11条、第12条、「国籍法」施 行規則第4条、移民者社会統合プログラムおよびそ の運営などに関する規定、2012年の「出入国管理法」

第39条、第48条である。

14) 法務部「 社会統合情報網 」https://www.socinet.

go.kr/soci/main/main.jsp?MENU_TYPE=S_TOP_

SY、2021年5月15日アクセス。

(8)

(3)帰国前の韓国語教育

韓国政府は近年「ハッピーリターン・プログ ラム」と呼ばれる「EPS労働者教育プログラム」

に力を入れている。韓国での就労を終えた帰国 予定者が、自国にスムーズに再定着できるよう 支援する政策である。2010年から実施しており、

プログラムの対象者は、契約期間がもうすぐ満 了となる、母国への帰国を控えた非熟練外国人 労働者である。プログラムでは、韓国語能力試 験3級 15)以上の合格を目標とする韓国語教育

(60時間)、および帰国後の就職を見据えた自動 車整備、調理、製菓、製パンといった技術指導

(60時間)を無料で提供している。

プログラムでは、帰国後に韓国語能力を生か し、または韓国で得た貯蓄を基に事業を始めて 大きな成功を収めた多くの事例を紹介し、韓国 語をキャリアパスとして学んでおくことが後々 大きく役に立つことをアピールする内容となっ ている。プログラムの意図として、帰国への不 安を取り除くとともに、韓国に好印象を抱いて 帰国してもらうこと、また、韓国語能力を生か し、自国で新たな労働力となる人材の教育を担 う存在として活躍してもらいたいという思惑も ある。実際、帰国後に現地で韓国語教育の担い 手となるケースは多い。吹原らの調査では、入 国前に母国で韓国語を学んだ際、私設の韓国語 学学校の教師や家庭教師には、雇用許可制で働 いていた非熟練外国人労働者が少なくないこと がわかっている(吹原ほか 2016:128)。日本に 関しても、技能実習を終えてインドネシアなど に帰国した人材が、日本行きを目指す技能実習 生を訓練する学校で、日本語教師として働く事

例が見受けられる 16)。韓国のプログラムはそれ を制度として明示しており、雇用許可制で働く 労働者の再生産に役立てようとしている。

3 非熟練外国人労働者にとっての韓国語学習

前述したように、韓国では全国各地に、非熟 練外国人労働者向けの無料の韓国語講座が複数 設置されている。国家機関である国立国語院の 韓国語学の専門家が、支援センターや社会統合 プログラムで使用される韓国語テキストを作成 する。非熟練外国人労働者に特化したテキスト も作られている。国家予算で全国各地に支援セ ンターを設置し、無料の韓国語講座が開設され ている。支援センターでは、「韓国語教員資格」 17)

を持ち、外国人への韓国語教育歴が500時間以上 ある教師が教えている。どれも現在の日本には まだないもので、制度的な取り組みは日本の先 を行く。

ただ、学習機会は提供されていても、韓国語 教育を受けるかどうかは当事者の自主性に委ね られている。事業主に対しても、韓国語学習を 行う、または韓国語教育を受けさせることを責 務として課しているわけではないという点に限 界がある。また、雇用許可制は事業所の移動や 期間中の職種の変更を原則として禁じているた め、韓国語能力を高めることがよりよい事業所 や職業の移動につながるわけではない。

15) 6段階評価の下から3番目にあたる。日常生活を 問題なく過ごせ、さまざまな公共施設の利用や社会 的関係を維持するための言語使用が可能なレベルと される。3級以上の級にはライティングが課され、

読み書き能力が問われる。

16) 木本らの調査では、元技能実習生の多くが、新た に技能実習生を日本へと送出す機関や研修センター で「日本語教師」として働いていた。つまり、元技 能実習生が技能実習生を再生産するビジネスの一環 を担っているという(木元・東・藤倉 2018)。

17) 質の高い教育を確保するために、公的な資格とし て2005年に整備された。国語基本法に「韓国語教員 資格」の要件と基準が明示されており、文化体育観 光部が審査を通じて資格証を発給する。1級から3 級まであり、難易度は高い。

(9)

そうした現状では、非熟練外国人労働者に対 し、学習意欲を掻き立てるような制度や自学を 促すきっかけづくりが必要となる。雇用許可制 が始まった初期の段階では、支援センターの職 員自ら非熟練外国人労働者の多い事業所を訪問 し、事業主や外国人労働者に韓国語教育を受け る機会があるので参加してほしいと呼びかけて いた 18)。各地域の支援センターでは、年間を通 じてサッカー大会、体育祭、小旅行、韓国文化 体験、各国の祝日や祭日に合わせた行事、新年 会などを開催し、精力的に来所を促している。

自分の職場以外の非熟練外国人労働者や地域の 韓国人と話したり、交流の場を提供したりする ことで韓国語学習の意欲を高めようと努めてい る。ソウル市九老区にある支援センターでは、

SNS利用して新規に開講される韓国語クラスの 案内繰り返し送信し、 受講するよう促して いる 19)

韓国政府は、韓国語を自主的に学ばせるため のインセンティブの付与を制度化している。雇 用許可制で就労する非熟練外国人労働者は、最 大で4年10ヶ月(基本滞在期間3年+延長1年 10ヶ月)の滞在期間が満了後、必ず帰国しなけ ればならない。ただ、再度来韓して就労する機 会が与えられる制度が2種類ある。「誠実労働者 制度」と「特別韓国語試験制度」である。前者 は、韓国語試験が課されない代わりに、農畜産 漁業および零細製造業で、事業所を変更するこ となく勤続した者に限定されるが、後者は、帰 国後に自国で「特別韓国語試験」 20)を受験して

合格すれば、再び入国が許可される。その場合、

再入国前の待機期間の短縮や手続きの迅速化、

出国前と同一の作業場への配属といった便宜が 図られる。

「特別韓国語試験」はヒアリングと読解だけの 択一選択方式という問題点はあるが、EPS-

TOPIKよりは難易度は高く設定されている。合

格点を超えた者の中から、高得点順に選抜する。

さらに、TOPIKで3級以上を取得していれば取

得級に応じて加算点が付与される。毎年の選抜 人数が年によって変動するため、点数が加算さ れる高得点者ほど再入国の可能性が高まる。韓 国での再就労を望む非熟練外国人労働者にとっ て、制度的には韓国語学習の大きなインセンティ ブとなるものである。

この制度は、事業主にとってはある程度の韓 国語能力が保証され、労働者にとっては就労を 継続するには言語能力が問われることがわかり、

韓国語学習の目標が立てやすくなるという利点 がある。再入国の可否がかかった韓国語試験は、

韓国滞在中にどれだけ熱心に勉強したかが問わ れるからである。

2008年には新たに、「 居住熟練技能工ビザ

(F-2-6)」 21)が、2011年 に は「 特 定 活 動 ビ ザ

(E-7-1)」制度が導入された。いずれも、4年以 上合法的に製造業、建設、農漁業分野に就労し た35歳未満の非熟練外国人労働者のうち、一定 の条件を満たした場合に変更が許可される。申 請要件としてTOPIK3級以上の取得、または 社会統合プログラムを3段階以上の履修が課さ れている。これらのビザに変更が認められれば、

ビザ更新に制限がないため長期間滞在が可能と なる。5年以上の滞在で一般帰化や永住権取得 に必要な在留期間要件が満たされるため、定住 18) 韓国外国人労働者支援センターのハンミエ韓国語

教育担当官へのインタビュー調査、2005年7月9日。

19) 外国人労働者支援センター(ソウル市九老区)の カンジヨン韓国語教育部長へのインタビュー調査、

2019年6月11日。

20) 「特別韓国語試験」は4択式で、読解問題とリス ニングの2技能を測る。200点中88点以上で合格と なる。

21) 同資格は、2019年に熟練技能点数制(E-7-4)に 統合された。

(10)

の道が開かれる。2012年から2107年までの6年 間で、1167名の非熟練外国人労働者が、これら の資格への変更が許可されている(法務部 2018)。

韓国での定住が可能となる資格制度の導入は、

非熟練外国人労働者の韓国語学習への機運が高 まる契機となった。この頃から各地の支援セン ターでは、居住資格の変更を目指す非熟練外国 人労働者のニーズに応えるべく、TOPIK受験の ためのクラスが多数設置されるようになったか らだ。

一方、合否が問われるTOPIKではなく、社 会統合プログラムを選好する非熟練外国人労働 者も少なくない 22)。「出入国管理法」第40条(社 会統合プログラム履修者に対する優遇)には、

法務部長官は査証発行、滞在関連の各種許可な どの際に、社会統合プログラム履修者を優遇す ることができると明記されている。社会統合プ ログラムを履修することで、各種のビザ変更時 に加算点として付与される仕組みとなっている。

2018年からはさらに、溶接や金型などの基幹 産業や農林畜産漁業に従事する熟練技能人材の 定住を許可する「熟練技能点数制ビザ(E-7-4)」

が導入された。「熟練技能点数制ビザ (E-7-4)」

の配点は「基本項目」(90点満点)と「選択項 目」(110満点)から成る。滞在期間中に、両項 目を足して50点以上になれば申請が可能となる。

基本項目の90点中、韓国語能力の配点は20点で ある。同ビザを取得すれば、更新に制限がない だけでなく家族帯同が許可され、配偶者と未成

年の子どもの呼び寄せが可能となる。滞在年数 が5年を超えれば永住権申請も可能である。た だし、年ごとに許可枠の上限が決められ、高得 点順に選ばれる。

熟練技能点数制ビザが導入されたのは、一部 雇用主から、韓国に定住し長く働いていてくれ る熟練労働者を求める声が高まったことが背景 にある。雇用許可制では合法的に仕事ができる 期間が限られ、熟練度が上がった頃には帰国し てしまうためだ。政府は熟練技能人材の確保の ため、現在、年間1250人の上限数を2025年度ま でに2000人にまで増やす方針を打ち出している。

こうした新しい滞在資格の導入は、非熟練外 国人労働者にどのようなインパクトを与えてい るのか。キムユジン(2019)は、雇用許可制で 入国した非熟練外国人労働者への聞き取り調査 に基づき、安定した滞在が許可されるビザへの 変更を目標にする非熟練外国人労働者が多いこ とを明らかにしている。

学歴や年齢は変えようがないため、点数を積 み増ししやすいのは、韓国語能力や技能資格取 得といった項目である。とりわけ韓国語能力は 取得級により得点が異なるため、TOPIKで高い 級を取得するか、社会統合プログラムの修了段 階を上げていくことでポイントを高めることが できる。

雇用許可制は定住化を防止するためローテン ションシステムを基本原則としてきたが、一定 の所得などがあり、新たに韓国語能力や技能を 獲得した者には在留資格の変更を認め、家族の 帯同や定住化を認めるという制度改変が行われ た。韓国語能力の習得度合いを就労期間の延長 や滞在資格の変更の可否と紐づけることで、韓 国語学習への動機づけにつなげるようとする制 度設計ともいえる。

22) TOPIKはライティングが課されることもあり、自 学自習では合格することは容易ではない。「社会統 合プログラム」は段階ごとに進級試験があるが、出 席が重視され、試験に合格できなかった場合でも、

1年以内に同じ教育段階を再履修すれば進級が可能 となる(法務部「社会統合プログラム運営指針」2017 年)。また、TOPIKと異なり2年の有効期限がない ため、継続して韓国語能力証明書として使用できる というメリットがある。

(11)

4 問題点や課題

このように、日本と比較して、韓国では非熟 練外国人労働者を対象とした韓国語学習の枠組 みや制度自体は整っている。とはいえ、問題点 や課題がないわけではない。今後の日本でも起 こりうる、あるいは課題となりうる点も少なく ない。順にみていこう。

(1)韓国語教育への企業の責務

韓国では、雇用主である企業が被雇用者であ る非熟練外国人労働者の韓国語習得に関与して おらず、責任を持っていないという点に限界が みられる。非熟練外国人労働者に教育機会の提 供や学習に関する支援をするよう企業に義務付 けていないため、韓国語教育を受けるための交 通手段や学習時間の確保は、事業所の立地や業 務内容などにも大きく左右されてしまう。

「移住と人権研究所」が1178名の外国人労働者 を対象にした調査「移住労働者の労働条件と住 居環境実態調査」(2018年) 23)によれば、平均労 働時間は週当たり54.4時間で、休日は1.3日だっ た。さらに、休日は週に1日のみが49.5%と半 数を占め、2日は37.1%だった。学習意欲があっ ても、長時間労働や休日が少ないことは、韓国 語を学習する時間的余裕を持てなかったり、韓 国語学習教室に参加しても続かなかったりする 一因となっている。この点は事業所に対する管 理監督を強化し、法定労働時間の遵守を促して いくしかしかない。

韓国語の能力は、労働生産性を向上させる ツ ー ルとなりうるものである( アンヒウン 2018)。作業現場で意思疎通がとれずにトラブル や作業の遅延が起きれば、生産性に影響し業務

の質の低下を招くとして、使用者側の観点から の韓国語教育の必要性を主張する議論もある

(たとえば、キムミョングァン 2017など)。実際 に支援センターで韓国語教育を担う担当者は、

「韓国語の習得は非熟練外国人労働者、受け入れ 側の双方にとって重要な意義を持つ。意思疎通 が円滑になれば労働者は技能が向上し、企業の 生産性は上がり、双方にウインウインとなり、

経済発展につながる」と明言する 24)

こうした議論は経済合理性の観点に基づくも のであるが、労働力不足の解消という利益を享 受している企業に韓国語教育を求めるのではな く、もっぱら韓国語教育は国の責務であると主 張する。たとえば、非熟練外国人労働者の韓国 語教育の改善策として、各事業所に週に1~2 回、韓国語教師を派遣し、所定時間の韓国語学 習を受けることを制度化すべきという提言があ るが(コンナヒョンほか 2013:76)、それさえ も国の責務で行うという但し書きつきである。

韓国語教育を国の責務として拡充していくこ とが重要なのはいうまでもないが、今後は、受 益者である企業に負担の一部を課したり、学習 機会の提供や保障を義務付けたりする措置が必 要であると思われる。

非熟練外国人労働者に対する韓国語学習のア クセスは提供されているが、そうした韓国語学 習教室に参加するかどうかは、非熟練外国人労 働者個々人の自発性や意思に委ねられている。

つまり、学習機会は開かれているものの、雇 用主に対しても非熟練外国人労働者に対しても、

韓国語学習を義務として課しているわけではな く、あくまで当事者の努力に任せている。中小 零細企業にとり、雇用する外国人が韓国語教育

23) 「 移住と人権研究所 」、http://www. mihu.re.kr、

2021年4月1日アクセス。

24) 外国人労働者センター(ソウル市九老区)のカン ジヨン 韓国語教育部長へのインタビュー調査、2019 年6月11日。

(12)

を受ける時間を確保し、その費用の捻出するこ とは経営上、小さくない負担となるだろう。だ が、人材育成やリスクマネジメントの観点から 外国人労働者への継続的な韓国語教育は必要で、

雇用主の責任はもっと重くていいはずだ。政府 や自治体の協力のもと、受け入れ企業にも費用 負担を課すことが求められよう。

中小企業中央会が外国人労働者を雇用する 589ヵ所の中小企業を対象に2020年に行った調 査「外国人材雇用実態調査」 25)によれば、非熟 練外国人労働者の管理で最も困難に感じている 点として、56%の企業が「意思疎通の問題」を 挙げている。さらに、就労後1年未満の生産性 は韓国人労働者を100%とした場合、非熟練外国 人労働者は75%と低調で、3年経過後にようや く98%に達するという。

前述したように、非熟練外国人労働者への入 国後研修における韓国語教育は極めて不十分な 内容となっている。各勤務先に派遣される前の 入国初期に、ある程度の時間をかけて韓国語教 育を義務付けるか、就業開始後の最初の期間は、

集中的な韓国語教育を通じて意思疎通力を高め、

技術指導を行う実習期間に充てるといった思い 切った改善が欠かせない。

雇用許可制度とは、韓国人労働者が集まらず 採用できない企業を対象に、非熟練外国人労働 者を割り当てて人手不足を解消するシステムで ある。韓国人が忌避するような厳しい労働条件 の企業に投入され、事業所の移動は不可という 厳しい管理体制に置かれる。雇用難が解消され 安価な労働力が確保できた企業の多くは、労働 環境や生産性の改善がなされないままである。

非熟練外国人労働者が韓国語能力を獲得しスキ

ル向上につながれば、恩恵を受けるのは雇用す る企業である。非熟練外国人労働者雇用する上 で適正に支払うべきコストとしてその際の費用 は、企業と政府が分担するのが適切であろう。

(2) 空白地域の解消

次に、非熟練外国人労働者に対して、韓国語 学習の機会が物理的な面で必ずしも均しく開か れているわけではないという問題点がある。そ のため、非熟練外国人労働者の入国後の韓国語 の習熟度合いは極めて個人差が大きくなってい る。これは、支援センターの設置が首都圏に集 中しており、非熟練外国人労働者の分布状況と 必ずしもマッチしていないという制度設計上の 問題である。

2021年時点で支援センターは、9ヵ所の拠点 センター、34ヵ所の地域センターが全国に設置 されている。ただ、2020年時点で非熟練外国人 労働者は人数が多い順に、京畿道に約10万人、

釜山・蔚山・慶尚南道に4万2千人、大田・忠 清南北道に3万6千人が居住・就労しているが、

支援センターは、京畿道に17ヵ所設置されてい るのに対し、釜山・蔚山・慶尚南道には5ヵ所、

大田・忠清南北道にも5ヵ所しかない 26)。 社会統合プログラムを通じて韓国語教育を受 ける場合でも、状況はさほど変わらない。社会 統合プログラムは、進級テストの合否に関わら ず一定時間の履修で韓国語能力の証明書が得ら れるという点から、非熟練外国人労働者のニー ズは高い。だが、実施機関が近くにない、また は遠方にあって通えないといった不満が非熟練 外国人労働者からあがっており、需要と供給に 大きなミスマッチが生じている(キムユジン 25) 中 央 企 業 中 央 会、https://www.kbiz.or.kr/ko/

contents/bbs/view.do?seq=149335&mnSeq=207、

2021年4月21日アクセス。

26) 統計庁「移民者滞留実態および雇用調査」、

http://

www.kostat.go.kr/portal/korea/kor_nw/1/3/4/

index、2021年4月1日アクセス。

(13)

2019) 27)

社会統合プログラムの韓国語教育はほぼ無償 で提供されているため、身近に学習機関があれ ばモチベーションにつながる。だが、現状では 非熟練外国人労働者にとって、配属される就労 先がどの地域にあるかにより韓国語教育の機会 が大きく左右されてしまうことになる。韓国語 教育の空白地域の解消に向けて、外国人居住者 数や需要に応じて韓国語教育機関を設置してい くこと、訪問教育やオンライン講座を拡大する など、何かしらの対応策を講じていく必要があ る。

蔚山市では2018年から、地理的・時間的制約 などで韓国語教育に困難を経験する外国人労働 者のために平日の夜間と週末に事業所に10ヵ月 にわたり韓国語教員を派遣する「訪問韓国語教 育」に取り組んでいる。外国人労働者を15人以 上雇用する事業所、あるいは近隣の事業所と連 係して15人以上の対象者がいれば申請できる。

こうした支援策は極めて有用であると思われる。

ただ、原資は税金であるため、受益者である企 業に一部負担を課すことも必要となろう。

5 韓国の事例からみる日本へのインプリ ケーション

日本では、2019年に「日本語教育推進法」が 成立した。外国人労働者に対する日本語教育を 進める法的な裏付けができた意義は大きく、今 後、関連事業に予算をつけやすくなることが期

待される。同法は企業には雇用する外国人やそ の家族に対し、日本語教育の機会の提供といっ た支援に努める責務があると明示している。こ れは韓国より一歩踏み込んだ措置といえる。

ただ、企業に対し何をどう促していくのか、

体制作りや具体案の策定はこれからである。ま ずは、外国人労働者に対する体系的な日本語学 習体制の整備が課題であり、制度の中身を詰め ていく必要がある。

これまで、外国人労働者に対する日本語教育 は地方自治体任せであり、実態は地域のボラン ティア団体らによる日本語学習教室が担ってき た。教室への財政的支援はほぼなく、ボランティ ア団体の善意に頼ってきたのが実情である 28)。 政府は、自治体を通じて地域のボランティア に補助金を出すことで既存の日本語教室を活用 する計画を提示している。しかし、日本が外国 人労働者政策を転換し、事実上の移民受け入れ へ舵を切るのならば、地域社会に任せるのでな く国策として日本語教育を推進すべきであろう。

日本語教育の担い手や教材を拡充するための体 制整備が何よりも必要で、そのための予算を継 続的に確保することが求められる 29)

詳述してきたように、韓国政府は多額の予算 を投じ、外国人居住者が無料で韓国語教育を受 けられる公的機関を全国に設置して、韓国語学

27) 「社会統合プログラム」実施機関の選定基準は、施 設の規模や周囲の環境、業務を行う団体の運営能力 や人員などが評価基準となっており、設立地域の外 国人住民の過多は選定基準項目にない。つまり、非 熟練外国人労働者を含む外国人人口や集住地域を考 慮した上で、韓国語教育機関が設置されているとい うわけでは必ずしもない。

28) ただ、地域住民のボランティアによる日本語学習 教室は、外国人学習者にとって地域の日本人とのつ ながりや交流の機会となり、地域社会との接点とし て大きな役割を果たしてきた。こうした事例は韓国 ではあまりみられない。

29) 韓国では韓国語学習教室の空白地域を埋めてきた のは、主に人権運動団体などの

NGO

である。その 多くは会費や個人あるいは企業の寄付などで運営費 を調達し、韓国語教育を行ってきたが、資金不足や 財政難からこうした団体の存続が、困難になってい る。新型コロナ感染症の拡大により、会費収入や寄 付金などが落ち込み、活動を休止したり縮小したり する団体が増えた。

(14)

習支援体制を整備している。また、韓国語教育 の基準を定め、言語能力の評価から、外国人居 住者の属性に合わせた教材開発を行うなど、制 度設計にも深く関与している。

韓国では2005年に公的な「韓国語教員資格」が 整備され、全国の大学や大学院に外国語として の「韓国語」を教えるプログラムや教師養成課 程が設置された。そのため、外国人に韓国語を 指導する専門知識やスキル持つ有資格者の層が 厚い。つまり、既に韓国語を教える人材の質の担 保や量の確保はある程度なされているといえる。

これに対し、日本は外国人労働者への日本語 教育の需要に対応できる担い手が圧倒的に不足 している。高齢者へのリカレント教育を通じ、

日本語ボランティアとして活用するという提言 もみられるが、そもそもボランティアの高齢化 により既存の日本語教室の活動が維持できなく なっている現実がある。また、ボランティアで は技量や経験により教育内容やレベルに大きな ばらつきがあるという根本的な問題がある。

政府は、日本語教師の資質や能力を証明する 公的資格制度を設ける方針を掲げている。公的 資格制度の新設により、技量向上を促すととも に、日本語教師の雇用安定や待遇改善につなが ると説明する。ただ、既に公的資格が設けられ ている韓国の事例をみると、有資格者の韓国語 教師の大半は非正規職で、学期あるいは年単位 の不安定雇用である。時給制の一時雇用も多く、

安定して収入の見込める職とはとてもいえない。

ボランティア頼みの状況を脱却するためには、

日本語教育に関わる人材育成が必要である。そ れが、安定した収入の見込める職とならなけれ ば、日本語教師を目指す者は増えないだろう。

日本語教育体制の整備には多額の予算が継続的 に必要となるだけに、政府の本気度が問われる。

ほかに、外国人労働者への現地語教育をめぐ

る課題として、学習意欲を引き出す動機付けが 重要となる。韓国語学習の動機付けは、学習環 境整備と両輪にならければならない。それには、

外国人労働者自身が韓国語の習得がなぜ必要か 実感することが欠かせない。

フィリピンから来韓し、帰国を前にしたある 非熟練外国人労働者は、「韓国を選んだのは賃金 が高かったから。韓国に来てよかったと思えた ことは、ただで韓国語を学べたことだ。暴言や 暴力があったとき訴えることができたのも韓国 語ができたからだし、読み書きの能力が身につ いて自分に自信が持てた」と言う 30)。彼は、韓 国語学習がエンパワーメントにつながったと実 感している。

韓国語が話せなければ、不当な扱いを受けて もそれを訴えることができず、韓国語の注意が 聴きとれなければ、危険を回避することも困難 になる。とりわけ非熟練外国人労働者の労働災 害による死亡率は高い 31)。自分の身を守るため にも、韓国語能力は必要不可欠である。

また、雇用許可制度は原則として就労先の変 更を認めておらず、賃金未払いや暴力など事業 主の責に帰すべき事由による場合のみ、事業主 への確認を経て変更が許可される。「雇用許可制 移住労働者実態調査」(2020年) 32)によれば、回

30) 外国人労働者センター(ソウル市九老区)でのイ ンタビュー調査、2019年6月11日。

31) 2019年に労災認定された外国人労働者は7315人 で、 うち死亡者は104名だ っ た。 死亡者のうち、

48.9%が建設業、40.4%が製造業だった。1万名当 たりの死亡率は0.86名で、韓国人労働者の0.46名よ り高い。韓国産業安全保険公団「産業災害統計」、

https://www.kosha.or.kr/kosha/data/industrialAccident Status.do、2021年5月1日アクセス。

32) 移住労働希望センターや民主労総、移住労働総が 655名の非熟練外国人労働者を対象に行った調査。

「雇用許可制移住労働者労働条件実態調査結果発表 資 料 集 」(2020)、

http://ijunodong.org/focus/4578、

2021年4月25日アクセス。

(15)

答者の57.7%は事業所を変更した経験があり、う ち96.5%が変更時に困難を感じていた。その理 由は「事業所の協力が得られなかった」(31.0%)

が最も多く、「韓国語ができないため」が26.7%

と続いた。就労先の変更制限は雇用許可制度の 最も大きな問題とされるなか、「韓国語能力」は 事業所変更の交渉のための重要な能力でもある。

韓国の事例では、前述したように、在留資格 ビザの切り替えの際に求められるポイントに、

TOPIKの資格級に応じた点数が加算される。長

期で働きたい外国人労働者労働者にとっては、

大きなインセンティブとなるものである。実際 にはビザの切り替えは容易ではないが、外国人 労働者対象のTOPIK受験クラスは受講希望者 が多く需要が高いため、年々増設されている。

受講料は無料で、TOPIK合格者には受験料の キャッシュバックを行うなど、合格率を上げる 取り組みをする支援センタ ー も少なくない。

TOPIKの合格者数が、支援センターの評価にも

反映されるためである。

日本でも、学習目標の明確化等を通じて外国 人労働者への日本語学習への動機付けを図るこ とが求められよう。だが、各自の目標に沿って 学習できる場が提供できるよう、受け皿となる 体制を整えなければ意味がない。

6 おわりに

雇用許可制のそもそもの導入趣旨は、3年サ イクルのローテーションで、安価でフレキシブ ルに使える労働力を導入するというものだった。

だが、実際には韓国語能力などの条件付きで再 入国を認め、通算で9年8ヵ月もの就労を許可 している。2020年時点で、雇用許可制のもと韓 国内で就労する非熟練外国人労働者のうち、再 入国者が36.7%を占めている 33)

さらに、定住と家族の呼び寄せを許可する「熟 練技能点数制ビザ(E-7-4)」などの資格制度は、

こうした基本原則を大きく修正するものであり、

移民として認め受け入れるという政策転換を意 味する。つまり、現状の非熟練外国人労働者政 策の方針と実態には、既に大きなずれが生じて いる。韓国政府は、「移民政策ではない、移民政 策は採らない」と言い続け、中途半端な姿勢を 維持している。実際には多くの非熟練外国人労 働者が、通算で10年近くの長期就労在で韓国経 済に寄与・貢献しているにもかかわらず、移民 とはみなされていない。

韓国では既に人口が減少に転じている。2020 年の出生率は0.84と、世界最低水準を更新した。

非熟練外国人労働者がいなければ経済活動に支 障が生じるということは、新型コロナウイルス 感染症の拡大により外国人の流入が止まり、農 漁業分野や製造業などの産業に多大な影響がも たらされたことからも明確になった。

一方、新型コロナウイルス感染症の拡大は、

日常生活を送る上で最低限の韓国語能力が必要 なことを非熟練外国人労働者に実感させる大き な契機になったともいえる。日々更新される新 型コロナウイルス感染症に関する最新情報はほ ぼ韓国語で、一部は英語と中国語で発信されて いるが、英語や中国語での情報発信は捕捉でき る範囲が限定される。それさえも翻訳が追いつ かず、公的な情報が届きづらい状況にある。非 熟練外国人労働者の母語は多様で、母語が異な る者同士の共通言語は韓国語である。正確な情 報の把握や各種の支援策、救済システムへのア クセスには、やはりある程度の韓国語能力が必 要となる。

33) 統計庁「移民者滞留実態および雇用調査」、

http://

www.kostat.go.kr/portal/korea/kor_nw/1/3/4/index.

board、2021年4月1日アクセス。

(16)

この先、韓国がいつまで非熟練外国人労働者 が就業を希望する、つまり選ばれる国でいつづ けられるかはわからない。このままローテーショ ン方式を堅持するのか、一時滞在ではなく定住 を前提とした移民の受け入れへと舵をとり、人 口減に対応しうる労働力の確保を目指すのか。

いままさに、韓国の非熟練外国人労働者政策は 岐路に立たされているといえる。

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関連したドキュメント

全国の 研究者情報 各大学の.

いない」と述べている。(『韓国文学の比較文学的研究』、

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