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Academic year: 2022

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氏 名 座間味 義人

授 与 し た 学 位 博士

専攻分野の名称 薬学

学位記授与番号 博甲第 3603 号

学位授与の日付 平成20年3月25日

学位授与の要件 博士の学位論文提出者

(学位規則第5条第1項該当)

学位論文の題目 神経性血圧調節に及ぼす高血糖および高インスリンの影響に関する 循環薬理学的研究

論 文 審 査 委 員 教授 川﨑 博己 教授 龜井 千晃 教授 黒﨑 勇二

学位論文内容の要旨

本研究では、中枢神経系の血圧調節の影響を排除した脊髄穿刺ラット (pithed rats) を用いて、各種刺激による血圧上昇反応および血圧 下降反応に及ぼす高血糖および高インスリンに影響をin vivo系において調べ、糖尿病における高血圧易併発機序を循環薬理学的に検討 した。

急性的な高血糖と高インスリンが共存する条件下では、交感神経性の昇圧反応が増大し、CGRP神経性の降圧反応は減少することが明 らかとなった。また急性的な高血糖単独の条件下では、交感神経性の昇圧反応のみが増大し、CGRP神経性の降圧反応は影響を受けない ことが明らかとなった。一方、急性的な高インスリン単独の条件下では、交感神経性の昇圧反応が増大し、CGRP神経性の降圧反応は減 少することが明らかとなった。また急性的な高血糖単独条件下における交感神経性昇圧反応の増大は抗酸化薬tempol存在下では観察さ れず、抑制された。一方、急性的な高インスリン単独条件下における交感神経性昇圧反応の増大およびCGRP神経性降圧反応の減少は AT1受容体遮断薬losartan存在下では出現せず、ほぼ完全に抑制された。さらに実験的1型糖尿病モデルラットでは重度の高血糖状態お よび低インスリン血症が認められたが、高血圧の発症は観察されなかった。また、その脊髄穿刺標本では交感神経性の昇圧反応は変化せ ず、angiotensin IIによる昇圧反応増大およびCGRP神経性降圧反応の増大が認められ、acetylcholineによる降圧反応が減少することが明 らかとなった。一方、実験的初期2型糖尿病モデルラットでは正常血糖状態にもかかわらず高インスリン血症を呈し、さらに高血圧を発 症した。また、その脊髄穿刺標本では交感神経性およびangiotensin IIによる昇圧反応が増大し、CGRP神経性の降圧反応は減少すること が明らかとなった。

以上の本研究の結果より、食後の高血糖を想定した急性的な高血糖と高インスリンが共存する条件下では神経性因子による血管緊張度 調節機構に影響し、高血糖は交感神経機能の亢進、高インスリンは交感神経機能の亢進およびCGRP神経機能の減弱を生じることが明ら かとなった。したがって、糖尿病患者や糖尿病発症前段階の糖尿病予備軍の食後に見られる一時的な高血糖とそれに伴うインスリン過剰 分泌により起こる血中インスリン濃度の上昇が交感神経およびCGRP神経による血管緊張度調節系の異常を引き起こし、これの繰り返し が高血圧発症の要因の1つになっている可能性が示唆される。

またtempolは高血糖による交感神経機能の亢進を抑制し、losartanは高インスリンによる交感神経機能の亢進およびCGRP神経機能の

減弱を抑制した。このことからこれらの薬物は、食後高血糖により惹起される高血圧の予防・治療に有用である可能性が考えられる。

一方、初期2型糖尿病モデルでは高血圧を呈し、実験的1型糖尿病モデルでは高血圧を発症しないことが明らかになった。この2つのモ デルでは血中インスリン量に大きな違いがあることから糖尿病における高血圧発症は高血糖より高インスリンの方が大きく寄与してい ると考えられる。すなわち、血圧調節機構は血糖動態よりも血中インスリン動態に強い影響を受けることが示唆される。

(2)

論文審査結果の要旨

本研究では、中枢神経系の血圧調節の影響を排除した脊髄穿刺ラット を用いて、各種刺激 による血圧上昇反応および血圧下降反応に及ぼす高血糖および高インスリンに影響を in vivo 系において調べ、糖尿病における高血圧易併発機序を循環薬理学的に検討した。急性 的な高血糖と高インスリンが共存する条件下では、交感神経性の昇圧反応が増大し、 CGRP 神経性の降圧反応は減少すること、また、急性的な高血糖単独の条件下では、交感神経性 の昇圧反応のみが増大し、 CGRP 神経性の降圧反応は影響を受けないことが明らかとなった。

一方、急性的な高インスリン単独の条件下では、交感神経性の昇圧反応が増また急性的な 高血糖単独条件下における交感神経性昇圧反応の増大は抗酸化薬 tempol 存在下では観察さ れず、抑制された。一方、急性的な高インスリン単独条件下における交感神経性昇圧反応 の増大および CGRP 神経性降圧反応の減少は AT

1

受容体遮断薬 losartan 存在下では出現せず、

ほぼ完全に抑制された。さらに実験的 1 型糖尿病モデルラットでは重度の高血糖状態およ び低インスリン血症が認められたが、高血圧の発症は観察されなかった。また、その脊髄 穿刺標本では交感神経性昇圧反応は変化せず、angiotensin II による昇圧反応増大および CGRP 神経性降圧反応の増大が認められ、acetylcholine による降圧反応が減少することが明 らかとなった。一方、実験的初期 2 型糖尿病モデルラットでは正常血糖状態にもかかわら ず高インスリン血症を呈し、さらに高血圧を発症した。また、その脊髄穿刺標本では交感 神経性および angiotensin II による昇圧反応が増大し、 CGRP 神経性の降圧反応は減少するこ とが明らかとなった。以上の本研究の結果より、食後の高血糖を想定した急性的な高血糖 と高インスリンが共存する条件下では神経性因子による血管緊張度調節機構に影響し、高 血糖は交感神経機能の亢進、高インスリンは交感神経機能の亢進および CGRP 神経機能の 減弱を生じることが明らかとなった。したがって、糖尿病患者や糖尿病発症前段階の糖尿 病予備軍の食後に見られる一時的な高血糖とそれに伴うインスリン過剰分泌により起こる 血中インスリン濃度の上昇が交感神経および CGRP 神経による血管緊張度調節系の異常を 引き起こし、 これの繰り返しが高血圧発症の要因の 1 つになっている可能性が示唆される。

以上本論文は、食後高血糖が引き起こす血圧調節機構の変化を明らかにした有意義な論文

であり,博士の学位に値すると判断した。

参照

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