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津久井導水路改修工事(内巻きコンクリートによる補強)

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Academic year: 2022

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津久井導水路改修工事(内巻きコンクリートによる補強)

神奈川県企業庁相模川水系ダム管理事務所 鶴井 正幸 株式会社奥村組 津久井工事所 正会員 ○須田 博幸

1.はじめに

相模川河水統制事業により昭和 18 年に完成した津久井導水路(内径:6.0m,延長:6,294m,コンクリート造) は,沼本ダムで取水した水を津久井分水池まで導水し,各水道事業者(神奈川県,横浜市,川崎市)へ原水を供 給し,また,津久井発電所を通して発電を行うほか,城山ダム下流の河川流量調整を行うなど重要な役割を担 っている施設である(図-1).完成から 65 年以上が経過した本導水路は老朽化が進み,内部のコンクリート のひび割れや漏水が著しく,用水の安定供給のため補修・補強対策が必要となっている(写真-1).しかし,

本導水路の断水可能期間は,水運用上の制約で 11 月からの約 2 ヶ月程度と限られるため,補修・補強対策区 間を数年間にわたり計画的に改修工事を実施する予定である.

本工事は津久井導水路改修工事の初年度にあたり,事前調査の結果から最も緊急性が高いと判断された区間 (立坑から上流側約 2,300m 地点の延長 22.5m 区間)(図-1)に内巻きコンクリートによる補強(図-2)を実施 したので以下に概要を報告する.

2.工事概要

工事概要を表-1に示す.

3.内巻きコンクリートの施工 3.1 施工方法

現場作業ヤードに到着した生コンクリートは,トラックアジテータからコンクリートバケット(2.5m3)に投 入して立坑(深さ 34m)から吊り降し,立坑下で待機しているアジテータカー(3.0m3)に積み替える.その後,バ ッテリー機関車で坑内を約 2,300m 上流の打設箇所まで運搬する.「バッテリー機関車+アジテータカー」を 2 編成使用してトラックアジテータ 1 台分の生コンクリートを 2 回に分けて運搬し打設するが,坑内の軌条設備 キーワード 導水路,トンネル,リニューアル,補強,補修,覆工コンクリート

連絡先 〒108-8381 東京都港区芝 5-6-1 (社)奥村組 東日本支社 環境技術部 リニューアル課 TEL:03-5427-8231 津久井導水路 延長 6,294m

津久井分水池 立坑

城山ダム 沼本ダム

津久井発電所

約 2,300m

津久井湖 内巻き工 L=22.5m

神奈川県

津久井湖

相模川 酒匂川

図-1 津久井導水路写真平面図 写真-1 導水路内部の状況

図-2 内巻き工断面図

施工場所 神奈川県相模原市城山町谷ヶ原~中沢地内 工   期 平成21年9月8日~平成22年1月31日

断水期間 平成21年10月30日~平成22年1月18日(80日間)

施工数量 コンクリート内巻き工 L=22.5m(7.5m×3回)  配合:27-18-20H  覆工厚:35cm 主筋(内側D29,外側D13,@175mm) 配力筋(内側D16,外側D13,@250mm)

特   徴

80日の断水期間内に坑内仮設備(照明,軌条,排水管等)の設置撤去,補強区間の既設 コンクリートはつり,スライドセントルの搬入・組立・解体・搬出,補強鉄筋組立,内巻きコ ンクリート打設(3回)を完了させる必要があり厳しい工程管理が要求される工事である.

表-1 工 事 概 要

土木学会第65回年次学術講演会(平成22年9月)

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は単線で離合箇所が 1 箇所のため,トラックアジテータ 1 台分の生コンクリートを打ち終えるまでに約 55 分を 要する.セントルの延長は 7.5m,1 スパン当たりのコンクリート打設量(設計)は 37.3m3である.打設箇所で はセントル手前に設置したコンクリートポンプ(35m3/h)を使用してコンクリートを圧送し,通常のトンネル覆 工同様,側壁部からアーチ肩部までは左右の作業窓から打設しアーチ部は天端吹上口から打設する.

3.2 施工上の課題

コンクリートの坑内長距離運搬を伴うため,内巻きコンクリートの施工に関して以下の点が懸念された.

① 覆工巻厚 35cm でダブル鉄筋構造のため,流動性の低下による充填不良(空隙)の発生

② アジテータカーによる坑内運搬(約 25 分)に伴う生コンクリートの品質低下

③ 2 台目アジテータカーへの積み替えまでのトラックアジテータ待機中の生コンクリートの品質低下

④ 長時間にわたるコンクリート打設に伴う品質低下 3.3 コンクリート配合

本工事で使用するコンクリートは,坑内長距離運搬を伴うた め,練上りから打込み終了までに要する時間(約 70 分)を考慮 したスランプ保持性が極めて重要となる.土木学会コンクリー ト標準示方書[施工編],各種団体の規格および既往の施工例を 参考に,打込み完了時の最小スランプ 15.0cm に運搬に伴うス ランプの低下と荷卸しの許容差を加算した後,JIS A 5308「レ ディーミクストコンクリート」で規定されるスランプのうち最 も近い 18.0cm を荷卸し時(立坑上)のスランプ値に選定し,試 験練りを実施して配合を決定した.配合を表-2に示す.なお,

気温の変動や交通渋滞等による運搬時間の遅延等を考慮し,荷 卸し時のスランプの自主管理値を 18.0+2.5cm とした.

3.4 試験練りおよび実施工

試験練りは,実機ミキサで製造したコンクリートをトラック アジテータに投入し,練上りから 70 分間までの経時変化を測 定した.図-3にスランプの経時変化を示す.練上り直後から

のスランプロスは,生コンプラントから現場到着時間に相当する 15 分後で 1.0cm,1 台目の坑内アジテータカ ー打込み終了時相当の 40 分後で 1.5cm,2 台目の坑内アジテータカー打込み終了時相当の 70 分後で 2.0cm と なり,高いスランプ保持性能を有していることを確認した.実施工では,荷降し時のスランプが 19.5cm 程度 であったのに対し,打設箇所でのスランプは 18.5~19.0cm と想定通りの安定した値であった.これは,3 回 の施工が予定したタイムスケジュールで実施できたこと,導水路坑内での施工のためコンクリート温度が安定 していたことによるものと考えられる.打設状況を写真-2,脱型後の状況を写真-3に示す.施工時のコン クリートには材料分離もなく,バイブレータの加振によるスムーズな流動性が確保できた.また,硬化後の内 巻きコンクリートには,ジャンカやコールドジョイント等の欠陥は見られず良好な仕上がり状態であった.

4.おわりに

本工事では,坑内の長距離運搬を伴う厳しい施工条件下での内巻きコンクリートの打設に対し,施工条件を 考慮した配合設計を行い,荷卸し時の目標スランプを 18.0~20.5cm に設定,管理することで所要の品質を有 する内巻きコンクリートを工期内に施工することができた.今回の施工で得られた知見を今後の本導水路改修 工事における施工計画および施工管理に反映させていきたい.

参考文献

1)土木学会:2007 年制定 コンクリート標準示方書[施工編] 2008.3

2)ジェオフロンテ研究会:二次覆工コンクリートの適切な配合および施工方法について 2004.11.30

スランプの経時変化(試験練り結果)

19 20 21 22

0 10 20 30 40 50 60 70

経 過 時 間 (分)

表-2 配合表

図-3 スランプの経時変化

写真-2打設状況 写真-3脱型後の状況

セメント 細骨材 粗骨材 高性能 AE減水剤 52.6 49.3 175 333 867 910 3.16

単位量(kg/m3 水セメ

ント比

(%)

細骨 材率

(%)

練上り~打設完了の スランプロス:2.0cm

土木学会第65回年次学術講演会(平成22年9月)

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参照

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