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炭酸ナトリウムを用いた腐食耐候性鋼材の補修に関する基礎的実験

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Academic year: 2022

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炭酸ナトリウムを用いた腐食耐候性鋼材の補修に関する基礎的実験

三井造船鉄構エンジニアリング 正会員○成清 允 山口大学大学院 正会員 麻生稔彦 日鉄住金防蝕 正会員 今井篤実 日鉄住金防蝕 正会員 佐野大樹

1. 序論

耐候性鋼材は,鋼材表面に緻密なさびを生成するこ とによって鋼材の腐食速度を低減でき,塗装された構 造物に比べLCCの縮減が見込める.しかし,厳しい環 境に曝されることや,腐食促進因子である塩分が過剰 に供給されることで,本来の防食性能が発揮できず腐 食が進行し,異常さびが発生する事例がある.本研究 では,腐食が進行した耐候性鋼材について,炭酸ナト リウムを使用し,腐食の進行を抑制する補修方法の開 発を目的として,耐候性鋼材の試験片を用いた曝露実 験を実施する.

2.実験概要

腐食が進行した耐候性鋼材に対して炭酸ナトリウム による処理をおこなうにあたり,さび層に塩分が多量 に含まれる場合には,腐食の進行を抑制することは困 難である.そこで,さび部分を取り除いた後に炭酸ナ トリウム処理をおこなう.まず,腐食が進行した試験 片に対して,鋼面露出度が50%程度になるまでハンマ ーおよびグラインダー(ダイヤモンドツール)により 素地調整をおこなう.素地調整後,表-1に示す実験条 件で炭酸ナトリウム処理および後処理をおこなう.こ こで,処理期間として設定した1~3日間は実橋梁で の補修を想定している.また,実橋梁での補修を想定 した際,長期的に炭酸ナトリウムが存在すると悪影響 を及ぼす危険性があるため後処理をおこなうこととし た.後処理後は曝露実験を2014年9月3日~2015年 1月23日の期間でおこなった.さらに,比較対象とし て無処理(素地調整のみ)の試験片を設ける.試験片 は条件ごとに4枚づつの計52枚設け,山口大学でお こなう密閉箱内曝露と沖縄でおこなう日陰大気曝露を 実施した.条件ごとの4枚の試験片のうち,それぞれ

表-1 実験条件

処理方法 処理期間

水拭き カップワイヤ処理

水拭き カップワイヤ処理

水拭き カップワイヤ処理

水拭き カップワイヤ処理

処理液を含ませた 水拭き

ガーゼの設置 カップワイヤ処理 水拭き カップワイヤ処理 無処理

(素地調整のみ)

炭酸ナトリウム処理

はけによる塗布

1日間

2日間

3日間

- -

後処理

2日間

3日間 1日間

(a) 素地調整前

(b) 素地調整後

(c) 曝露日数140日目

写真-1 ガーゼ,3日間,水拭きの外観写真

キーワード 耐候性鋼,さび,補修,維持管理

連絡先 〒755-8611 山口県宇部市常盤台2-16-1 山口大学工学部 TEL 0836-85-9323 土木学会第70回年次学術講演会(平成27年9月)

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Ⅰ‑434

(2)

の曝露環境下で2枚づつ曝露する.ここで,ガーゼの 設置により炭酸ナトリウムを3日間供給し,後処理と して水拭きをおこなった試験片の外観写真を写真-1 に示す.なお、山口大学(密閉箱内曝露)の曝露期間中 の平均気温は20.6℃,平均湿度は70.9%であり,沖縄 (日陰大気曝露)の曝露期間中の平均気温は25.9℃,平 均湿度は 72.4%,平均飛来塩分量は 0.42mdd(2014 年9月~2014年10月の平均)である.

3.実験結果

山口大学内(密閉箱内曝露)および沖縄(大気曝露)の 平均さび厚の経時変化を図-1に示す.図-1に示す試験 片の平均さび厚は,同条件の2枚の試験片の平均値か ら初期表面粗さをひいた値である.図-1(a)より,密閉 箱内曝露では曝露日数 56 日目までのさび厚は増減を 繰り返しているが,それ以降は顕著な増減はみられな い.一方,図-1(b)より,沖縄での大気曝露では曝露日 数 49 日目までの平均さび厚の増加量に比べ,それ以 降の平均さび厚の増加量は緩やかであることがわかる.

これより得られる平均さび厚の増加量を図-2 に示す.

ここで,素地調整のみの平均さび厚の増加量を赤線で 示す.なお,山口大学(密閉箱内曝露)は曝露日数 140 日目,沖縄(日陰大気曝露)は曝露日数142日目におけ る平均さび厚の増加量である.図-2(a)より,山口大学 (密閉箱内曝露)のいずれの試験片の平均さび厚の増加 量は素地調整のみに比べ小さいが,図-2(b)より,沖縄 (日陰大気曝露)の平均さび厚の増加量は素地調整のみ に比べ大きい試験片が存在する.飛来塩分が存在する 環境下では腐食の進行を抑制する効果は小さくなるも のの,素地調整を施し,炭酸ナトリウム処理をおこな った後に,後処理をおこなうことで耐候性鋼材の腐食 の進行を抑制できると考える.今回の実験では、最も 効果的な方法を見出すことはできないが、相対的に見 ると,素地調整をおこないの炭酸ナトリウム液を含ま せたガーゼを 2~3 日間設置した後に水拭きをおこな った場合に、さび厚の増加量が小さい.

4.結論

腐食が進行した耐候性鋼材において,さびを取り除 くための素地調整を施し,炭酸ナトリウム処理をおこ なうことで耐候性鋼材の腐食進行を抑制できる場合が あり、新たな補修方法として適用できる可能性が得ら れた.

0 50 100 150 200

0 30 60 90 120 150

平均さび厚(μm

曝露日数(日)

はけ,1日,水拭き はけ,1日,カップワイヤ はけ,2日,水拭き はけ,2日,カップワイヤ はけ,3日,水拭き はけ,3日,カップワイヤ ガーゼ,1日,水拭き ガーゼ,1日,カップワイヤ ガーゼ,2日,水拭き ガーゼ,2日,カップワイヤ ガーゼ,3日,水拭き ガーゼ,3日,カップワイヤ 素地調整のみ

(a) 山口大学 (密閉箱内曝露)

0 50 100 150 200

0 30 60 90 120 150

平均さびμm

曝露日数(日)

(b) 沖縄 (日陰大気曝露) 図-1 平均さび厚の経時変化

0 30 60 90 120 150

はけ,3,拭き ガーゼ3,カップワイヤ はけ,2,拭き ガーゼ3,水拭き ガーゼ2,水拭き ガーゼ2,カップワイヤ ガーゼ1,水拭き はけ,2,カップワイ ガーゼ1,カップワイヤ はけ,3,カップワイ はけ,1,拭き はけ,1,カップワイ

素地調整のみ

さび厚の増加m)

(a) 山口大学 (密閉箱内曝露)

0 30 60 90 120 150

ガーゼ3,水拭き はけ,3,水拭き ガーゼ3,カップワイヤ ガーゼ2,水拭き ガーゼ1,水拭き はけ,2,水拭き はけ,1,水拭き はけ,1,カップワイ ガーゼ2,カップワイヤ はけ,3,カップワイ はけ,2,カップワイ ガーゼ1,カップワイヤ

さび厚の増加m)

(b) 沖縄 (日陰大気曝露) 図-2 平均さび厚の増加量 土木学会第70回年次学術講演会(平成27年9月)

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参照

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