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﹃英和対訳袖珍辞書﹄

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(1)

日本最初の刊本︑

刷・再版第三刷︑

さらにいわゆる薩摩辞書など十余本ほどが

蔵されている︒さ

しあたって︑江戸時

代に刊行されたものは十二本あり

書誌的な点を考察するうえからは

きわめて好条件ということができる︒おそら

日本の大学や古い図書館で

これだけ質量ともにそろっているところは珍

しく︑十分に誇るに足る︒しかしこれま

でその内容について考察した論考を知らない︒﹃英和対訳袖珍辞書﹄

いて

是非とも報告しておくことが

学界への義務かとも思う︒ちょっと数日

来館

して︑

その

内容を詳細に知るこ

とは外部の研究者には困難でもあろう︒その点も考慮

して︑

誌的な点での問題点に

しぼって以下考察しておく︒論述の都合上

総称

して︿早大本﹀と呼び︑

それぞれの版は函架 番号や略称で区別することにする︒また初版本と再版本とは考察の結果で断定できることであるが

︑クイトルページ

に刻された刊年ーー上又久二年・慶応二年・

慶応

一︳

一年

︑奥付の明治二年の四種ーー'によって︑

大ざっばに区

別するこ

とができる︒この点を改めて考えてみる︒

﹃英和対訳袖珍辞密﹄の一考察

は じ め に 早稲田大学図書館には

早稲田大学 図 書 館 蔵

﹃英和対訳袖珍辞書﹄

チェックボイントでわたしの気づいた要点を公表

し ︑

書 の史的

価値 や意義を考えると

︑ ﹃英和対訳袖珍辞書﹄が︑

の一考察

初版

・再版第

一刷

再版第二

この十二本

につ

(2)

︿早大本﹀を考察する前に︑

されたことや底本のこと︑

底本との関係・補訂 によったことが確定

した︒わたし

もこれに賛成する

し ︑

これに対する反対説はない︒しか

し ︑

これには補訂を要する

ことがわかった︒すなわち︑﹃対訳辞書﹄の︿初版本﹀において︑H.︒ヒカード第二版︵旧開成所蔵

︑現

国立国会図書

館蔵︶と比較すると︑

確かに収載の英語とアルファベット順に排

列された点は両者で一

致す

る︒

くと︑各単語に付された品詞の略称が︑H.︒

ヒカ

ドの第二版と﹃対訳辞書﹄の︿初版本﹀とでは異なることも

明白

である︒参考までに︑︿A﹀の部から若干を選んで次にあげてみる︵訳語は直接比較に関係ないので省略する︶︒

o H . 

Pi c ar d: 

0﹃塗哭禁疇﹄i

e t   ad

v . 

ad

v .  ﹃英和対訳袖珍辞書﹄︵以下︑

﹃対

訳辞

書﹄

と略

称す

る︶

の研究において︑

さらにわた

しの 調査で補訂できたことなど

︑若干を以下に述べて序論とする︒

底本については︑

岩崎克己氏の研究により

︑これまでの説︑ これまで明確に

H・ビカード

Pi ca rd

の英蘭

辞書の初版本

(

年刊本︶を底本に使用という説は否定されA窒︑

同書の第二版

︑ 一

八唇

刊本

A, 

an ,  a r t \ . 

Ab ac

k , 

ad

v ¥ . 

Ab al ie na te

  , ed'ing \ , 

Ab la ti

ve as

nd

  a\ . 

Ab ou

t , 

pr ep .  an d  A"

  an ,  a r t .   \  Ab ac

k , 

ad

v\ . 

Ab al ie na te 'e d'

mgva\ .. , 

Ab la ti

ve s

e t a\ . . 

Ab ou

t , 

pr ep . 

比較して判明することは︑

とで

ある

H.︒ ヒカードの第二版で示されている品詞名の略示が﹃対訳辞書﹄とは異なっているこ

ことに接続詞に︿

an

d﹀をやめて︿

﹀を用いているなど︑H・ビカードの第二版とあわない︒そこで東e t

京大学綜合図書館所蔵の

H.

︒ヒ

ードの初版本をみると︑︿et﹀を

用いているので︑どうも

H・ピカートの初版本も参 しかし仔細にみてい

‑ 2 ‑

(3)

右のように

︑両 者は似ているが︑そのままではない︒

﹃英和対訳袖珍辞書﹄の一考察 すなわち︑堀としては英蘭

対訳 では必要な︑f

OH. Picard 2版 ABBREVIATIONS.  adj. ... ・adjective.  adv.・.. ・...  ad.. verb.  COilJ.  ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・COilJUnct10n.  f ... femmme. 

int. ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・m・ ter1ect1on.  m. ・ ・.. ・ ・.. ・..  ・masculine.  part.  ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・part1c1ple.  n ... neuter.  pl.  ... plural.  prep. ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・prepos1t10n.  pret. ... .pretente.  prn. .........pronoun.  s ... ・... ・ ・ ・ ・ ・ ・substantive. 

................................................................ 

0『対訳辞書』

EXPLANATIONS OF  ABBREVIATIONS. 

解 之 語 暑

adj. ・・... :.adjective.  榮 絆 批

adv ... .・・・.. ・adverb.  届 批 art. ・ ・.. ・ ・ ・ ・.. ..article.  恨批 conj ... conjunction. ~ 誕批 interj. ………interjection. 匡函 批 irr.  .... ・ ・...  i.rregural.  怜眠蚕 part.  .. ... participle.  ¢W;: 

pl.  ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・plural.  認菜

prep. …... …preposition.  溢 蘊 批

pret.  .. ... ・preterit.  索捐

pron. ………pronoun.  起 や 批

reg ... ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・.. regural.  感盃

s. ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・substantive. 樹 や 批

v. a ... ・... ・ ・ ・verb active. 幸盆 批 v.n.・・  verbneuter. {II]盆 批

本とも関係な

v

ー を と っ て い る こ と も

従来

︑不問にふされているようなので補訂しておく︒参考までにまず︑次 に底本としたH. ~

カ ードニ版本の品詞名の略示と︑﹃対訳辞書﹄の初版本の

︿暑

之解﹀とを並べてあげて

みよ う︒

さらについでをもって︑品詞略示の点で︑ より︿et﹀の方が簡単で︑ 知られているので︑ の訳編責任者︑

おそらくその初版本をも使用したと推定することは妥当するであろう︒ 照︑使用していると考えるべきである︒﹃対訳辞書﹄

略示するにも︑ 一種の記号代行であるから︑これを選択したのだと思う︒この点を補訂し

てお く︒

︿a

nd

﹃対訳辞書﹄がそれなりに独自の方式ー

│̲ H.︒

ヒカ

ードの初版本や二版 堀達之助はこの初版本を所蔵しており︑現存も

(4)

これをすべてけずったわけである︒

が︑日本人の外国もの受容の︱つのパタンをかいまみせている︒その代りというわけでもなかろうが︑上掲の品詞名

の具体的な比較で判明するように︑底本のH.

︒ ヒ カ

ードニ版本では動詞の場合︑過去や分詞形を与えているものの︑

そこで堀は︑︿

i r r

.(不規則動詞)

re g. 

(規

則動

詞︶

﹀と

を新

しく略示

し ︑

に︑本文中に用いている︑︿

V o a o

﹀を他動辞︑︿

vn

﹀を自動辞と訳出し

て 略 示

した︒また底本で欠落の︿a

rt

.

というわけである︒こうして自分たちに使用しやすく改良していくことが︑ あり︑蘭語学では一般的なものであったから︑それを踏製したと思われる︒これなどは堀の蘭語学の腕のみせどころ

日本人の手である︒

次は﹃対訳辞書﹄の︿初版本﹀の英文序ーー'堀達之助によるーーよか

る︒わたしも異論はないが︑ さら

日本人によるはじめての英文とされる点であ

しかし再考は必要であろう︒次にH・ビカードの二版本︵初版本︶の序文と︿初版本﹀の

(w

oo rd t

( ‑t "

 

‑ ;, , )  

Se de rt  d

e E

ng

el

sc he  t a a l  me er a   lg emeen 

i n  on s  l an d  b eo ef en d  wo rd

t , 

i s   me n b

ed

ac ht  g ew ee st

(v

an

o m    in de   be ho ef te   a

an   go de

wo or de nb oe ke n te 

vo or zi en

As  th e s tu dy o f    hte 

En gl h lisa

ng ua ge is  

no w  ra pi dl y  be co mi ng  g en er al i n     o ur   co un tr y 

we 

ha ve   ha d  fo r  s om et im e  th

de si re   to  pu bl is 'Ph  a ^

oc ket  Di ct io na ry o   f  th e  E ng li sh n  a d  Ja pa ne se   la ng ua ge

" s

as

 an a

s s i sta nc e  t o  o ur c   s ho la rs

.  0﹃湘苔淫琵室憑蒋鴫﹄

PR EF AC E.

はじめの第一文において比較してみよう︒ /冠詞︶﹀も補った︒こうした工夫をほどこしたのである︒

  いうまでもなく︑

︶翌

i︿営︸志汁﹀代O熔涸や引斗° OH. 

Pi c a rd

"  

VO OR BE RI GT

英文

とを

︿va/

>n

﹀などはH・ビカードにも 自動詞他動詞の区別は示していない。 m

︵男

性名

詞︶

.n︵中性名詞︶が英日対訳では不必要なので︑小さ

いよ

うである

‑ 4 

(5)

手元にそなえるべく準備をすることになった:・・:﹀

というような意で書きはじめられている︒

辞書﹄でも︑︿わが国において︑今や英語の勉強は急速に一般的になってきたので︑学者︵学習者︶への手助けとして︑

ボケット英日辞典の出版を望んでいる⁝・:﹀とあって︑発想的に類似する︒もっともさらに内容的にみていくと︑

H.

︒ヒカードには辞典を

刊行する上での理念とか目的などの思想はない

︒しかし﹃対訳辞書﹄には︑

く英文で︿世界のあらゆる異域の風俗

習・ 慣・

国際︶関係などを正しく十分に知るため﹀に︑言語の知識を獲得する

ことが必要であって︑そのために辞書を訳編するよう命じられたと述べている︒

いわば国家的見地からという目的や

考えがあり︑思想かある︒当時の日本の意気ごみである︒これを堀達之助が英文でつづっている点で︑

カードを参考にしたであろうが︑堀独自の英文といってよかろう︒堀は前々年の万延元年

( A

︿0)に開成所で刊行した

M ょ ^ ar

in , 

Ge me nz am e  L ee rw iz e  F am il ia r  M et ho d  f o r   th os e  w oh  b e g i n   t o   le ar n  th e  Engli

sh   La ng ua ge

"の 複刻版にも︑英文の序をよせている︒そこでも︿ほとんど全世界の国民が英語を話している﹀というように︑英語の 必要性を認識した序文を書いている。堀のそうした英語観•英語認識がどこからとり入れたものか。旧長崎通詞であ ったことにふかいかかわりがあろう︒嘉永六年︵一八翌︶の

M

.C

・ ペ

Perryの浦賀来航にあたっても通訳しており︑

その優秀さはM

.C

・ペリの来航記に記されているところである︒ただ

︑御子孫の堀豊彦氏から直接おうかがいしたと

ころでは︑堀家の話として︑達之助は必ずしも英語がよくできず︑

やはりオランダ語をよくしたと語り伝えられてい るという︒そういえば幕末の市川文吉送行の際の﹃幕末洋学者欧文集﹄でも堀達之助は蘭文である︒その点

︑後に

﹃新体詩抄﹄の編集などでも有名になった外

山捨八

︵正一︶などは︑同じ開成所の教

師であるが︑

﹃英

和対

訳袖

珍辞

書﹄

の一

考察

H・゜

ヒカードの蘭文序は︑

︿わが国において︑

これに対して︑

上の引用につづ

やはりH

・ ピ

かなり長い英文をも

のしている︒また﹃対訳辞書﹄の再版に責任者をつとめた堀越亀之助︵愛国︶も英文でつづっている︒堀以外にも英語

Jれまでよりいっそう英語が実用的になってきたので︑

﹃対

よい辞典を

(6)

法でほぼ同一といってもいい︒︿早大本﹀でみると︑ に秀でていた人はいたであろう︒やはり堀の得意だったのは蘭文であろう︒

︿初版本﹀の問題点 以上︑これまで﹃対訳辞書﹄の研究でまだ言及されていない点を指摘し︑従来の考察の補訂

としておいた︒以下︑︿初版本﹀より考察していくこととしよう︒まず︿早大本﹀を概観す

ると、〈初版再版〉の二種に大別することができる。さらに再版は〈第一刷第二刷•第三〉のよに区別す

ことができる︒そして︿初版﹀と︿再版第一刷﹀は書誌的な点でもかなり明確であって︑俗に問題と

すべ

とこ

ろは

あまりない︒さらに再版第一刷と第二刷との間にもあまり問題はない︒しかし両者は書誌的な点で︑劃然と区別すべ

きものである︒︿初版本﹀・

︿再

版第

一刷

本﹀

・︿再版第二刷本﹀の三者の間には︑まず明白な区別としてタイトルページ

に︑それぞれ︿文久二年江戸開板

A T YE

DO186

/改正増補︑慶応二年江戸再版

SE CO ND

AND 

RE VI SE D  ED IT IO

N , 

AT  YE

DO1866 /改正増補︑慶応三年江戸再版, ︑

SE CO ND

AND 

RE VI SE D  E DI TI

ON , 

AT  YE DO

1867﹀と刊年・開板が刻されていることである︵いすれも刊記はない︶︒そして︑︿再版本︵第

一刷

ー第三刷︶﹀はいずれ

も︑英語と日本語で︿改正増補﹀︵右横書き︶と書名に冠されているので︑︿初版本﹀とは明白に区別

でき

る︒

細部にわ

まず以上の点で版種や版の異同を簡単に識別することができるのである︒たっての異同をぬきにして︑

上でもすこしふれたように︑

かりしたものである︒

板刷の和式に変更し

てい

る︒ 2 

︿初版本﹀と︿再版第一刷本﹀ま︑とi

洋装など背部は革を用い︑表紙は厚いボール紙に布張りのしつ

、〈再版第二本〉は、〈再版〉とはいえ、料紙製本•印刷において洋式をやめて木

いわば洋本が和本になったといえばわかりやすいであろう︒袋綴になったので︑薄手の 体裁ことに使用の料紙︵洋紙︶・製本・印刷

の方

‑ 6 ‑

(7)

1 I. 英和対訳袖珍辞書』間対照書誌一覧

﹃英和対訳袖珍辞書﹄の一考察

` 

版(改正増補版)巻末(本文)に,

英和対訳辞困大尾

1 2

a刊年bC

1862  文久二年

1866  脱応二年

1867  脱応三年

江戸開板 江戸再板 江戸再版

洋書調所

d

A POCKET DICTIONARY  OF THE 

ENGLISH AND JAPANESE  LANGUAGE  書辞珍袖訳対和

Printed  AT YEDO, 1862  板開戸江年二久文

*飾り揆様あり

開 成 所 開 成 所

*巻末にく開成所刊行〉 *巻頭にく開成所刊行〉

の朱印 の朱印

英文左同 英文左同 補 増 正 改

書辞珍袖訳対和英 SECOND AND  REVISED  EDITION  AT YEDO; 1866  版再戸江年二応慶

*左同

和文左同

AT YEDO, 1867  版再戸江年三応慶

*左同

f

体 製裁 料

~

g 1 u  

~-中央品籾畠髯 2 段

i

な し

印機 オラソダ製,スタ`ノホプ 式 印 刷機による

il 上 部 中 央 , 界 線 の 上 に ( ) で

付 i i

くく って洋数字で示す

台表 ージ右下に洋数字. 124 数示 ジ,1回刷り

e

200部十 a

横 本

(厚さ) 6cm  1.  紙(中国上海製) 2.  鳥の子

} 種

1. 洋字……和蘭製鉛活字 2.  和字•••…木版 (整版)

両面印刷

1000

同 左{5cm)  同 左 同 左 同 左 同 左 同 左 同 左

手 即 厚 澤 2

菊 和

L

 

未 詳 同 左

8cm  袋 綴

同 左 四周単辺

同 左

同 左

版心下方に漠数字 で示す

(8)

ものもあるが︑

いわゆる枕本と俗称されるように︑ちょうど箱枕の厚さにぶ厚くなってしまっている︵蒋手は厚さが約

三セ

ソチ

︑ふつうの版は厚さが約八セソチである︶︒以上の点を︑他の

事項情報とともに

一覧表にまとめてみると

前ページ

︿早大本

﹀の版種

わたしの調査

した諸版を函架番号で分

︑刊 年などをあげ て表にしておく︒以下︑小論ではいずれも略称によるので︑あわせ明示しておく︒いうまでもなく

︿早大本﹀は次ページの十二本であるが ︑最後の4︿再版第三刷本﹀(︑'︶はやや問題なので

︑改 めてそれだけをく わしく考えることとする︒︿初版本﹀とか

︿再版本﹀と呼ぶ場合は個別的でなく︑所蔵のものすべてをふくむ︒特にと り出す時には︑略称によることとする︒こう

た諸版の関連を知るためにも

基本となる︿初版本﹀の書誌的な点

はな

く︑

果︑所属分頬が変更する版もありうる︵表

2

照︶

次に小論の目的である︿早大本﹀を︿初版本﹀から版種によって分類してみよう︒精査という にはまだ内容を吟味していないが

印刷上の問題点を正確にしておかねばなるまい︒したがって︿表

1﹀の︿対照書誌

一覧﹀を十分に参照

し︑以下の論

証と比較参照してほしい︒まず︿表

2﹀をすこし補足しておく︒そこにあげた諸本は︑︿

M z ﹀をのぞいてはすべて奥付

したがって厳密には編集•発行など明確ではない。従来、簡単に、開成所とか洋書調所の発刊のように解説し ているが︑それも他の資料によることで

︑書物自体にはみえない︒

再版本がそれぞれ、〈洋書調所

開成所〉の堀達之助•堀越

亀之助を責任者として訳編されたことは

り︑

これまでの諸家の御研究からも疑う余地がない︒

のようになる︵表1参照

︶ ︒

さらに精査の結

かし上述のように

︑英

文序によって︑初版本・

ほぼ決定的であ しかし底本とした

H

・ピカードについて何故一言もふれていな

8 ‑

(9)

﹃英和対訳袖珍辞書﹄の一考察

てにあてはまるかどうかは断定できない︒

Jれまでわたしの調査は二十五本である︒

︿初版本﹀は洋書調所でおこな

るので︑

それでも区別することができそうである︒

1. 

4.  3.  2

本第 K3  K2  B2 

和 本 ・ 緒 紙 洋 本 洋 紙 ホ ホ

// 

     

// 

 

C  C  C  C  C  C  7  2  5  5  5  5  5  5  9

, 

1  1 

,  ,  , 

8  8  8  8  5 

8  5  3  2 

, 

8  7  6  5 

^ 手

、 蒋 ^ 、

△  △ 

B2 B2

M2  K3 K3 K3 K3 K3 K3  K2 K2 K2 

b  a 

* 

II  // 

― 

配          

はト

年'年' 

れ刊記△  *  * 

.  . 

年 ジ る 印 あ^

^  バ改

では 本 の

野 ン

あ吸 ^ も ドで 1イ

る応 版 のツ は 峰 あ'1f ジト

‑v 

に り

I

~ と^

 

,̲, 

MV 2 

え の

ら 無

︿凡

・題言﹀

本﹀も︿初版本﹀と同じく︑

そうした点が刻されて明示さ

れてはいないが︑︿初版本﹀

と異なり︑

朱.矩形︶が推星確定できる︒

厳密にいうと︑印顆のおされ

ている位置が︑︿

K z ﹀は巻末に

応﹀はタイトルページにあ

しかしこれは︿早大本﹀に限ってのことで

︑全体を調査してすべ

︿開成所/開成所刊行﹀︵陽

印顆があって︑ ましいことではない︒︿再版 の負担もかけることで︑

この

うした点は後人に余計な調査 ほしい事項が欠けている︒こ 体の不備や︑明示しておいて さなかったのかなど︑辞書自 い

のか

を付

(10)

│ 

01

(11)

の両名があげられて

いる

がた

われたことは他の資料から確定的であるのに

ある︒ただし︑︿

旧﹀はb

勝俣鐙吉郎所蔵本であるが

から改称して︑

ついにその証拠を辞書自体や奥

付•印顆からは見せな残念

新しくできた学校の

形は︿定廻調所﹀と読め

もう︱つは方形で︿済美館﹀と読める︵写真参照︶︒前者は未詳であるが

︑後者は炭応元年

ここで長崎での外国語書籍の取締

など諸学科の教授を

おこなったという︒おそらくそこで所蔵の故に︿済美館﹀の印顆がおされているのであろう︒

しかし刊行より後のこ

とでこれも洋書調所のことを直接語ることにはならない︒

Sc ho ol

f   o

Eu ro pe an  l an gu ag e'sマ i e s s

r s .

の英文序に︑︿

Th e te ac he rs  o f   t e h  

NI

C

SO ES KA Y 

TIMRA GOROTAKEHARA YOS

HI

ROM

IT

SKCORTE

IT

S!

RO  

e

t c .

)などとあるから︿洋書調所﹀のことは推定できる︒洋書調所は︿ヨ

ロッパ諸言語の学校﹀であったことは確か である︒しかしこれも厳密には協力

した洋書調所の教師

をあげたまでで︑そのまま洋所調所でこれらの人々が訳編に 従事したということにはならな

。西周助•千村五郎竹原与四郎箕作貞一

郎といずれも洋書調所の

有力構成員で

はある︒︿再版本﹀では堀越の英文序が新

しくつけ加えられていて︑

PR EF   ACE  FOR 

THE 

SE CO ND   ED IT IO

N .  のはじめに次

ようにみえる︒

Th e  f i r s t   e d i t i o o f n     t h   wi s or

k , 

u p bl is he d  i n   t e h   se co nd   yea

r  o f   t he   Ne ng o  B un ki uw

, b

ei ng n t   e i r e l y  

so l

d   ou

I t w, 

as o   rdd ree

t o  

re

i s ve  na d  ceorr

c t   i t   f o r   a  se co nd   e d i t i

o n . 

第二版の改正増補を命じられたとあり

初版が売切れたともみえる︒もちろん主体は幕府であり

︑開成所であろこの序で︑協力者に︑︿

YANAGAWA

SU NS

AN , 

TANAKA 

YO SI WO

って

︿再版第一刷本﹀はこの

二人

がかなりあずかったと思われる︒

﹃英和対訳袖珍辞書﹄の一考察

りもおこなったという︒また

︑外国語のほか︑

またさらに重要なことは

序文

︵後

出参

照︶

かし

︿初

本版

︿歴

・地理・数学・物理

・化

学・天文・

経済

に︑

長崎で︿語学所﹀

︿済美館﹀かと思う︒

クイトルペ

ジに二つの注目すべき印顆がある︒

つ︱

(12)

ると

いう原則からいっても︑ ︿不規則動詞変化一覧表︑記号・略称の説明﹀が附録としてつけ加えられたこと

本文の前︑英文序の次のページに︿暑語之解﹀があるべきであるが︑︿B Z a

﹀ではこれ

初版本・再版本の問題点所ある︒ 〈初版本〉の欠陥として書誌•版種を考えるうえからも指摘しておかねばならぬ点が二か

︱つは︑内容的に八

〇ペ

ージと八︱ページの間に欠落があることである︒すなわ

︿B l

i s s f

u l ,

天幸ヲ受テ居ル﹀a d j . 

十五単語が欠落していることが判明する︒J

he ad

ed , 

a d j 愚昧ナル.鈍キ﹀である︒これは既に研究者間で指摘されているが︑アルファペットの順に排列すると. 

︿i﹀︵三字目︶の次に︿0﹀とくるのはぬけているわけで︑

︿B l

i s s f

u l l y

,adv

~B. lockhead

s. ,

﹀︵

同書

ニ︱

ペー

ジ︶

は対訳の蘭語の部分で語釈の文に長短のちがいがあって︑ ち︑八〇ページの最終語彙が︑

まで

底本のH.︒ヒカード第二版をみ

ちょうど十

九 行 分 い わ ば 初 版 本 の 左

・ 右 の い ず れ か 半

側と一致する分量となる︒要するに︑書誌的には組版が二分の

一ページ分だけ組落ちとなったと考えることができ

る︒これはすべての︿初版本﹀を検討しないと断定できないが︑おそらくこの二分の一の欠落は︿初版本﹀に通じての

欠落だと思う︒そして東京女子大学図書館所蔵の一本には︑この欠落部分だけを︑別紙に刷ってはさみこんでいる版

がある︒おそらく後になって気がついて︑その部分を別紙に刷って補いとしたのであろう︒いうまでもなく︑︿

B Z a .

b

﹀ともにこの欠落がある︒第二は九二七ページと九三五ページとの乱丁である︒すなわち︑九二六ペ

ジは

︿W

as

ps. ,

~Water

, ed in

gva. . , 

e t   ﹀となっているから︑次のn九二七ページはつづきとして︑︿Wat│. 

.﹀

の綴

とあ

り︑

次の八一︒ハージの最初の語彙が︿

Bl oc

k , 

が欠落している︒ で

ある

なお︿初版本﹀は︑ に言及されているとおり︑新しく︑

‑ 12 ‑

(13)

こうしたまちがいができたかは︑説明するまでもなく︑︿初版本﹀のミスを訂正して︑結局は左

・右が半面︵二分の一

ページ︶ずつくいちがっていたのに︑この部分は初版本のままにおいたので

︑結果とし

て排列順序に誤りが生じること

﹃英和対訳袖珍辞害﹄の一考察 ァベットの順からい

って も

ケル.水ヲ飲﹀の語釈で終っていることは

訳のうえからも不足している︒そこで点検

ると

︑九 三五 ペ ージ が︑

︿ マ

.水 二

入レル.小便スル/

t o  

wa

te

r  a 

h o

r s

e . 

馬二水ヲ飲ス﹀とあって︑九二六ページのつづきになる︒したがっ

て︑九

三五 ペ

ジを九二六ページの次に位置させればいいことになる︒また

︑九二七ページを九

三四 ペ

ージの次に入れると︑排列の

語彙はアルファペッ

の順に整理される︒これは念のために底本で調べても訂

正で

きるわけで︑書誌

的な乱丁現象で︑これは一ページずつだけの置換で解決できるわけである︒これも組版上のミスであろう︒校正など はしなかったであろうから︑

できあがってから見出

される欠陥である︒こうして︿

初版本﹀は二か所に決定的欠陥が

できて

まった︒そこで再版で

改正増補がお

こなわ

れた際︑

上の二つの欠陥は訂正されることになる︒

る︶︒逆にこの点で︿初版本﹀と︿再版本﹀とは区

することがでぎる︒

したがってこ

の部分が訂正されたものが︑︿再版本﹀ということになるのである︵いうまでもなく内容的にはスペリング・語釈の補訂があ しか し︑

︿ 再

版本

﹀は完璧かというとさにあらず

︑︿

再版 第 一刷 本

﹀はまた新しく三か所でミスが生じて

いる

すなわ

ち︿初版本﹀での欠落部分を訂正したのはいいが︑そのために︑

ー こ

狙> をもつ語彙がつづくべきである︒

八一

ジより二分の一ページずつ版面がずれるこ とになって︑それが四

0

ニページのところで︑破綻をきたした︒すなわち

︱ペ ー

ジの版面が︑訳語部分のみ左右入れち

がって組まれてしまったのである︒四

0

二 ︒

ヘージの左側に︿

I n d i

c t , 

e d ' i

﹀n g va. , , 

ではじまる部分がおかれ︑右

︿I

n d e p e n d e n t

l y ,

ad

v ﹀ではじまる部分がおかれることになった︒英語と訳語と対応 . 

しないばかりか︑

アル

︿i﹀をふくむ語が︿e﹀をふくむ語より

前に位置したわけで︑

また〈Water〉は他動辞•自動辞の略称があるから

誤りである︒

どうして

︿水 ヲカ ケル

.源ク.光沢付

(14)

となったのである︵写真参照︶︒したがって組む時は二分の

一ペー

ジで

一単位に組まれたことが推定できよう︒これは

ている︒また︑五五︱ページの︿

on

e﹀の短文中に︿

I t )を︿

In )とミスしている︵後述参照︶︒さらにもう一か所は

じようなミススペリングである︒どうした

こと

︿再版本﹀は英文序︵堀の部分︶

で︑二行目

の︿

im po rt an to cc ur

 , 

re nc

es 

an d  c ha n g

﹀の︿se . 

im po rt an

﹀が︿t

in po rt an t﹀と綴られていることである︒

うっかり︑︿m

﹀と︿

n﹀とをまちがえたのであろうが︑同じ活字を用いて行間をつめ

︑ 一

行の字数を多くし

たー

l

局は組みかえによるミスである︒これも︿

M z ﹀まですべてに受けつがれていく︒この他

小さい点でこれまでの研究に

指摘がない欠点もある︒ふつうは再版の方が訂正されていて正しいはずであるが

意しておきたい

︒本文中でミススペリングは︿初版本﹀でもすくなくない︒これは

別の次元でとらえるべきですべて

た際にふれるところがあったが〈再版本〉は複製本もな<—|人初版本〉は複製本がある。

欠落などのミスについての吟味はないー︑序文にお目にかかりにくいので

ただ

し書誌的な点や︑

上にあげた部分につづくところをおわ

りまでぬぎ出して次に示す︒これによって︿改正増補

﹀の内容も推定できるであろう︒

Bu

t , 

ev er y  t hi ng b   ei n g  do ne   ve

ry   pr

ec i

p i t a t e l y a  nd   ha s

l y t i , 

i t   l e f t   me 

no u f   s f i c i e n t   ti

me , 

bu t  t o   c o r r e c t   so me c   on si de ra bl e  y h po gr ap hi ca l  e r r o r s a   nd  m is ta ke s    i n th e  t r a n s l a t i o n   an d  t ao   dd   tw o  t a b l

e s , 

sh ow in g  t he   conjugation

f     o th e  i r r e g u l a v r   er bs  a nd   explaining

h   t   seigns 

an d  a bb re vi at ur es   o m st ly s   u

ed . 

tA   sa me i   t me

  I 

f u l l u y   nd er st oo

d , 

th at   th e  Ja pa ne se n  a d  C hi ne se   n am es o f     P la nt

s , 

An im al s  a nd  

省略にし

たがう︒︿再版本﹀

での改正増補の実質的な点はさらに次の点である︒

Jれは上で︿再版本﹀の序文を吟味 つまらぬミスを生じている点︑注 ︿初版本﹀の組みかえの際に

︿再版第二刷本﹀にも受けつがれていく︒

ただ︿再版第二刷本﹀は丁付となるので︑

ニ O

丁一

ゥで

この現象がおこっ

‑ 14 ‑

(15)

る︒正式には

Mi ne a r ls   an d  t he   re d u c t i o n s   o f   M ea su re

s , 

We ig ht s  a nd   Spec ie

s , 

i n   wh ic h  t he re   we re

  a 

go od

  ma

yn   e r r o

r s , 

ou gh t  t bo   e  c o r r e c t d e

YANAGAWA 

th an

ks . 

など︑

SU NS

NATANA

K A  

Jれを堀は切りすてたわけで︑

Ap pe nd ix か

らぬき出したものと思う︒その証 しかし堀越は︑ ︿Correction

o f   r o e r r s  

" f l m M >

>  

ha ve d  on e  so w   it h  th   e ki nd  a s s t s i a n c e   o f   my 

le ar ne d  f r i e n d s  

YO SI WO  

No t  wi th   standi

ng l l   a   t h   i s th er e  w i l l   b e  f ou nd   a g oo d  m an y  f a u l   t s a s   y

et , 

an

d  I 

re qu es t ,  t h a t   he   wh o m

ay i n  f d   a ny w i     l l be   s o   ki d n   a s   t o   i n d i c a t e   t he   tm

o   me. 

YE

OD, 

Ja nu ar

1866 y ,  DU

CT

H﹀ ︵ . 

p.245 p251)

とあ る︒

ot he

I rs , 

mu st  s expre

s  HO

RI KO SI   KA ME NO SK A 

Y .  

訳語の改訂は内容に及ぶのでここでは割愛するが︑堀越が多量のミスがあるとしている博物学・度量衡関係の訳語 かなり訂正がおこなわれたようである︒また別に本文の末に に補訂を示し四単語があげられている︵今

i﹀まで受けつがれる︶︒しかしそれよりも︿再版本﹀の特色は

︑増補部に

ある︒引用の英文序にいう︿不規則動詞変化表︑記号

・略称の解﹀という二つの表の追補である︒底本の

H.

︒ ヒ カ

ドに なは く︑ むし ろ底 本に は今 ro pe rn am es an d  a d j e c t i v e s   de ri ve d  fr om   th em   ar e o     t be  f ou nd  i n   t he   li s t   a t   th e  en d  o f   h t e  vo lu me

. ﹀レ

J3

る よ

? に

︑国

i有

I詞︸とその形容詞形が巻末に

ストアップされているのであ

OC AB UL AR

Y  OF 

RP OP ER   N AM

ES , 

GE OG RA HP IC

AL

HI ST OR

IC

ALC¥ 

EN GL IS

  AND H

これも︱

つの見識である︒

wa rm es t 

として︑洋本風

重要と思われるものを増補

したわけで︑

これも︱つの見識であり

︑正し

い態度であった︒そ

してこの附録部分は何に

よる増補かというと

︑私見

では

ウェプスタ

ー の英語辞典にのる

拠として手元にある"

We bs te 'r s 

Un b a ri dg ed

¥ ︑   DI CT IO AN RY

¥ OF THE ¥ 

EN GL IS   LH AN UG AG

E¥ , 

TRAN 

﹃英和対訳袖珍辞書﹄の一考察

f o r   wh ic  h

th em

  my 

別に

(16)

SL AT ED   IN TO   JA PA NE SE  

¥ 

BY 

CO MM IT ET E ¥ 

AN

ED IT ED  BY 

¥ F. 

WA RR IN TG ON   EA ST LA KE

PH•

D . ,  

AND 

IC HI RO

  T A

NA HA SH

BIA. . ", , 

( 和 訳 字 痰

/ 明 治 二 十 一 年 刊

︶ を み る と

最 後 の

︿A

RB IT RA RY SI GN S  us ed

i n     RW IT IN G  A DN   PR NI TI NG

. 象形記号之解﹀は︿再版本﹀と同じ訳語である︒

内容的には第七番目に︿校正記号﹀があるが︑︿

GR AM MA TI CA L・

語学記号﹀などほとんど一致する︒架蔵本での 比較はやや厳正さを欠くことになるわけで︑

ば︑より証明が強固になろう︒

ことわっている点まで両者で一致する︒

るで

あろ

う︒

いうまでもなく慶応二年ともなれば︑万延元年

(

0)に渡米した一行が帰国A

して

もたらした英語辞書を

使用することは十分に可能である︒

ウェブスターの英語辞書がこの時に日本に持ちかえられたこともよく知られ ている︒堀越亀之助がこれのどの版によったかはともかく︑利用したことは確実であろう︒

︿再版本﹀の問題点

この慶応二年ごろに存在したウェブス

の英語辞書で比較すれ

しかし︿不規則動詞変化表﹀も同様で︑︿

*標ヲ附スル者ハ廃語或ハ俗語二係ル﹀

いかにこの﹃英和対訳袖珍辞書﹄が︑後々まで影響を及ぼしたかが推定でき 次に︿再版第二刷本﹀について考えておこう︒これは︿表

1﹀でふれたように︑

︿江 戸再 版 ﹀ とあっても︑︿慶応三年﹀のものである︒しかし実は︿表

2﹀でふれておいたとおり︑

タイ

トル

ペ ージに︿慶応三年﹀とあっても︑明治二年刊

のものがあることに注意しなければならない︒そして

︑︿脳・饂﹀との大きなちがいは︑

これまた上でふれたとおり︑︿

̀﹀が袋綴の和本形式︵四針眼︶であることであろう︒印刷も完

全に木版になって︑

匡郭︵四周単辺︶が設けられている︒ただ体裁としては改装されているものもあり︑包背装のものもあ

って

一見洋風のものもある︒この︿

'﹀

︿︑﹀と区別

するのは奥付の刊記によってのみであるから

︑逆に奥付が剣離 と

‑ 16 ‑

(17)

︿̀

す﹀

なわ

︿再版第二刷本﹀は四か所のミスが生じているも のと三か所にミスが生じているものと二種あることになる︒従来こ の点を確認しないところに版種誤認の失敗が生じたと思う︒常識的 に考えると︑三か所のミスをもつ方が後刷りで訂正されたと考えら れよう︒しかしこれまで考察したように︑後刷りが必ずしも改良さ

3 欠 陥 箇 所

して

いた

り︑

と︑次のようになる︒

(6)  (5(4)  (3)  (2)  (1

二五 / '   序 ニ四

七五 , 00 

幽L..

 

U

丁ペ 丁ペ

0  X  X  X  O  0 K2 

0  0 

K3 

X  O  O 

o   x l

K3 

0  0 

0 0/0/0 0  X M2 

備考:(!)  0印が該当することを示す。

(2)  <B2〉は,p. 80・81/p. 927  935に欠陥がある。この表から はのぞいた。

9● "'"● . . .  

I "

知 如,一...... ..函 缶 訳 嗣 や...●  印~,• ..., 亀 ●●

m翠,,,祐 必誤屯ヤ嘗'•: '"

,.. ',<.'  吋 舛 心 砕口砒ヽ•

! ‑ " ' ・ ' ' ' 砂 油

b釦...'

ih.,,..,,,,,;;.年街碕滋遵. " 枷 叩 , 叫

I...,,,"'1,t,,,;;

血四血ヽ・,,.'"'尋=>1!,•ゑヽ毛 匹"'"'"'

h""..., '

阿''"'如叫凸もふ心ヽ 1"", ..... , •.

国 か 呻 袖 . , 怜へゞ..'ef::.,•ぶ.. "'如血ヽ必.

I

出.,,e

. .

..

.

 ,,,. 

. '

.'聟 灰'E{衷"'' -叫,~.

hぃ邸,•'i

. . .

四 呻 ・ 亨 受 が 燐溶屯<c'くい語峠咽玉ヽ,;

呼 . . .

L

恥.' 'E~,\, ヽヤ' ""'邸""・ re 1'>,6<a

'I  ,¥!,,  出や血~.

, ' 1 : : :   こ~'.~· · ご~ =『

1 1

螂 渾 灼 碕

‑ . . .  

.も"., 叉.',",.,,"'".,,""'  蛤屯'"足 >r

苓寄,t:r,;(杷.

芽 ・ ,..... ペ咋瞑況ヤ

叶ヽ 令祁 導玲ぷざ~.!

,i,;;r

(«~--令x~\

茫と必ミ屯姦湖℃ヽ.... ぞ寸茫,:t,涼ヤ 忽告ヽ""¥.

↓早担,(<;なヘレ、

-~ ぷ炉ヽ\

l+J,~、

4 ' ."', 出遠:,:,岱 品唸、各▲

七杉

か担油吋生遠し

また元来奥付がないものは両者の区別がしにくいことになる︒したが

って こ こ で か も の 二 本 と

︿

r﹀とを比較して内 容を検する要がある︒その結果は不思議なことが発見される︒すなわち

︑︿

︑同じ︿が生じていることと ﹀にはまた新しいミスM z

ス﹀以来のミ︿再版第一刷本K z ﹀でも︑上でふれた

が訂正されているものと︑そうでな いものとが存在することである︒また︿

﹀にない新しいミスが二か所も生じたのK z

であ る

︒ 具 体 的 に そ の 点 を 示 す

(18)

う一本が半分に版木を切ったため中央界線が残った線である︒

結果的に中央界線︵左右を分ける︶がこの丁︵裏︶のみ

れているとはいえない︒

しかも︿M︑﹀でまた新しくミスが生じている点を考えると︑簡単にミスのあるなしで後刷り

であるとか︑出版の前後が断定できないことになる︒要は担当したものの資質と関係する︒︽砂から蔵田屋という か第三者の介入を想定できるのである︒ことにこうした新しい英日辞典の訳編や印

刷刊行では︑よくわかる人とそう

上の表からも判明するように︑

ミスのすくない信頼のおける﹃英和対訳袖珍辞書﹄ということになる︒それでも上述のように

っている︒それはそれとして︑ここで問題にとりあげた︿

K z ﹀.︽砂と︿

M z ﹀のミスについて︑今後の研究者のため

にも明示しておきたい︒まず①のミスが訂正されている点を吟味すると︑写真版のように

︑板木を半分︑中央界線よ

りやや左寄りから裁断して、左右を入れかえて訂正したことが判明する。これは〈

BZ•Kz

〉のように英語の部が鉛の

活字印刷で︑訳の日本語の部分が木版というのではうまく処置しにくい︒しかし︿̀﹀は印刷上も他の版と異なって︑

すべて木版刷りとしたiこれはおそらく︑︿

﹀のかぶせぼりかと思うが︑なお吟味が必要であるー│ので︑和本K z

一般の訂正と同じく︑板木で埋木や左右入れかえなど︑

つまらぬミスをつく

かなり自由に処置できるわけである︒訂正された二

0

一丁

︵裏︶のところは︑

左側︵のどに近い部分︶に縦に二本線が出ている︵写真参照︶︒これは一本が本来の匡郭であり︑も なくなっている︒これで板木による訂正は明確である︒しかも英語部分のみのとりかえでいいのであるから

︑板木自

体は四つの部分に分けて︑その四部分を一枚の板のように修復して使用したわけで︑やはり手先の巧みな日本人の手

業をまたねばなるまい。〈早大本〉の今

2

〉は三対三の割で訂正•未

訂正ふ 2

〉が相半ばしている。なお明治大学

・東京女子大学図書館所蔵の一本で︑

︿幻﹀と同版と思われるものに︑やはり訂正された版があるので

︑今2﹀については

できる限りこの点に気をくばって点検する要がある︒そこでタイトルが︿慶応三年﹀とあっても︑

刊 行 は 明 治

二年

でない人との差がでてくるであろう︒事実︑

なかでは︑︿再版第一刷本﹀がもっとも

18 ‑

(19)

の版があって︑それには刊

記のあるものとないものとの二種があると分類しなおす方が正しいかもしれない︒︿ジ の分類はあくまでタイトルのそれによっているのであって︑厳密ではない︒明治二年︵奥付︶刊本でクイトルに慶応三 年とあるものが存在することが確認できるのであるから︑

2 5

﹀は二〇一丁の訂正

の な い も の に 限 る べ き で

︑他は︿

﹀の二分類とする方が妥当するかもしれないM z

︒すなわち

︑ ふ 砂 と

︿M

Za

︵無 記刊 本 ︶

.M

zb

︵明

治二

年刊

記本

︶﹀

である︒上の︿表2

﹀に︿*﹀で註記をしておいたのもそのためである︒

︿表

3﹀であげた欠

陥箇所の③のミスを次に考えてみよう︒これは六六丁の表と裏で︑訳文が入れちがっているの である︒これはこれまで指摘がない部分である︒すなわち︑︿

a t C l t e r ‑

ed

‑i

nngv. . ,

e t  

a. ガラ/\

鳴ル

. 騒

グ・

シャ

ル.

打チ

鳴ラ

1

Cl ea nl

y , 

a d j . 

e t  

ad v・ 麗奇 ナル

清浄ナル.

奇麗二.清浄二﹀︵表︶とある訳語の部分が

︑︿

Cl em en t cl em en tl

y , 

a d j

. 憐慾ァル湿和ナル~Climate,

l Z im

e気帯s.. , 

気侯﹀︵表︶とある部分の訳語と入れかわっている

ので

ある

︿C

le me nt

.﹀に︿ガラ/\

鳴ル﹀などの意味はないし︑逆に いのであるから︑

ケア レスミスといえそうであるが

組版でのまちがいと思われる︒そうすると︑木版刷りでも︑英 語部分と訳の部分との二つに分けて板木を作製し

︑印刷

ではそれを組んでいったのであろうか︒上の訂正にも適用で きる︒ともあれ︑

︿M z

﹀で新たにこうしたミスが生じたのは︑新しい板木にしたためでなく︑△砂と同じ板木を使用し

ていると思われるので︑

おそらく組版でのミスであろう︒次に④のミスを考えておく︒これも③のミスと同様に

︑七

九丁表の右側と七九丁裏の右側とが訳語において入れかわったミスである

前者 のは じめ が︿ Co ns ci on ab le,

ヲ付テ.念入レテ a d j 気. 

.神

妙ナル.

廉直ナル﹀︑後者のはじめが︑︿

Co nc d i er at e

l y ,

a d v . )  

だけでも︑

日本語の訳語︵語形︶からミスを判定することができる︒こうした例をみると︑やはり見

出しの英語部分と

和語部分とは︑別の板木であったように思われる

﹃英和対訳袖珍辞書﹄の一考察

した っが て一

︒ヘ ージ

︵分 半丁

︶は

とある︒これは品詞名を考えた 四つの板木から構成されている

︿C l

a t t e r . ﹀に︿憐悠ァル﹀

などの意味はな

参照

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'di ltar śiṅ mthoṅ ba las byuṅ ba'i rnam par rtog pa gcig gis don ci 'dra ba sgro btags pa de 'dra bar gźan gyis kyaṅ yin pa'i phyir śiṅ mthoṅ bas byas pa'i rnam par rtog pa

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