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2. 試験供試体と概要

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Academic year: 2022

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キーワード 高力ボルト摩擦接合,ボルト軸力,ひずみゲージ

連絡先 〒558-8585 大阪市住吉区杉本 3-3-138 大阪市立大学大学院 工学研究科 都市系専攻 橋梁工学分野 TEL&FAX 06-6605-2765

ひずみゲージを用いた高力ボルト軸力の測定法に関する検討

大阪市立大学大学院 学生員 潘 超 大阪市立大学大学院工学研究科 正会員 山口隆司 宇都宮大学大学院 正会員 鈴木康夫

1. 研究背景と目的

鋼構造物に高力ボルト摩擦接合が施工性の点から よく使われている.高力ボルト摩擦接合部の力学性 能を正確に把握するために,高力ボルト軸力の変化 を正確にかつ容易にとらえることが重要である.高 力ボルト軸力の測定には一般に高力ボルト軸部にひ ずみゲージを貼って高力ボルト軸力を評価する方法 がよく使われている.しかし,軸部にひずみゲージ を貼る場合高力ボルト頭部に二つの穴をあける必要 がある.また,高力ボルト摩擦接合試験において,

多数のボルトがある場合,多く穴をあけなければな らない.また,高力ボルト摩擦接合部に対して,す べり後の性能を評価する場合,高力ボルトが支圧状 態になり,軸部に貼っているひずみゲージが断線す る可能性がある.したがって,高力ボルト頭部にひ ずみゲージを貼る方法も一案として考えられる.

本研究では,高力ボルト軸部にひずみゲージを貼 る場合と頭部にひずみゲージを貼る場合の

2

つの場 合について載荷試験を行い.これらの方法の得失に ついて検討した.

2. 試験供試体と概要

本試験では,M22 高力ボルト(F10T)を用い,高力 ボルトの頭部および軸部両方にひずみゲージを貼っ て試験を行う.高力ボルトの頭部に用いたひずみゲ ージは二軸積層型のゲージ長さ

2mm(写真-1(a))

とゲージ長さ

5mm(写真-1(b))の二種類である.

高力ボルトの軸部に用いたひずみゲージは単軸型の ゲージ長さ

5mm

のものである.

(a)

ゲージ長さ

2mm (b) ゲージ長さ 5mm 写真-1 頭部に用いた二軸積層型ひずみゲージ

本試験では写真-2に示す

2

種類の供試体を用意し た.試験体名の最初の英数字(K2/K5)が頭部ひずみ ゲージの長さ(K2:長さ

2mm,K5:長さ 5mm)を

表している.

(a) K2供試体 (b) K5供試体

写真-2 試験供試体

本試験は写真-3に示すように,上下の治具を万能 試験機により引張ることで,ボルトに引張力を作用 させる.試験では作用力(万能試験機で示される荷 重)およびひずみ(頭部と軸部

2

か所)を測定した.

(これをボルト軸力キャリブレーション試験と呼 ぶ).また,キャリブレーション試験の結果を用い,

トルクレンチで

100 N

m

から

800 N

m まで 100 N

m

ずつ漸増させ,トルクレンチによりボルトを締め 付ける試験も行った.

写真-3 キャリブレーション試験の状況 3.試験結果および考察

キャリブレーション試験で得られた荷重(ボルト 軸力)とひずみの関係を図-1および図-2に示す.

図 -1

は,頭部に貼付したひずみゲージによる結果であ り,

2

軸ゲージで計測される

2

方向のひずみ値の平均 値を絶対値で示している.図-2は軸部に貼付したひ ずみゲージによる結果である.なお,図中の凡例に 示す試験体名の後のハイフンに続く数字はキャリブ レーションの回数(各供試体につき

3

回実施)を表 している.また,これらの図の傾き(荷重/ひずみ値)

で求められる校正係数,標準偏差,および変動係数 を表-1にまとめる.

荷重 荷重

試験体 軸部ゲージ

頭部ゲージ 頭部ゲージ

軸部ゲージ

土木学会第65回年次学術講演会(平成22年9月)

‑953‑

Ⅰ‑477

(2)

0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200

0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 1800 2000 2200 2400 2600 ひずみ絶対値(10-6

荷重

K2-1 K2-2 K2-3 K5-1 K5-2 K5-3

図-1 荷重と頭部ひずみの関係

0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200

0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 1800 2000 2200 2400 2600 ひずみ絶対値(10-6

荷重(kN

K2-1 K2-2 K2-3 K5-1 K5-2 K5-3

図-2 荷重と軸部ひずみの関係

図-1

と図-2を比較すると,荷重と頭部および軸部 で計測されたひずみとの関係は,いずれも線形にな っているが,頭部に貼付した場合,軸部に貼付した 場合と比べて,ばらつきが大きくなっていることが わかる.

表-1 キャリブレーション試験結果のまとめ

表-1

より,軸部のひずみゲージと頭部のひずみ ゲージによる測定結果の精度を比較すると,供試体

K2

の場合,荷重/軸部ひずみの標準偏差が

0.18,変動

係数が

0.0024

であり,荷重/頭部ひずみの標準偏差が

1.07,変動係数が 0.0073

なっており,軸部のゲージ による計測結果の方が,頭部のゲージよりばらつき が小さい(標準偏差で約

8

割,変動係数で約

6

割)

ことがわかる.また,供試体

K5

の場合は,荷重/軸 部ひずみの標準偏差が

0.14,変動係数が 0.0018

であ り,荷重/頭部ひずみの標準偏差が

0.98,変動係数が

0.0066

であり,軸部のゲージによる計測結果の方が,

頭部のゲージよりばらつきが小さいことがわかる.

また,頭部に貼付したひずみゲージの長さの影響に 着目すると,供試体

K2(ゲージ長 2mm)の荷重/頭

部ひずみの標準偏差および変動係数は,供試体

K5

(ゲージ長

5mm)の標準偏差および変動係数に対し

て,それぞれ約

2

割および

1

割小さくなっており,

頭部ひずみゲージが長い方が測定精度が若干高いと 言える.

次に,トルクレンチを用いたボルト締め付け試験 結果について,供試体

K5

を例に図-3に示す.図の 横軸は,トルクレンチに示されるトルク値(100 N・

m

から

800 N・ m まで 100 N

・m毎に計測)を表して おり,縦軸は,ボルト軸部あるいは頭部のひずみ値 に,表-1に示した校正係数の平均値を乗じて求めた 換算軸力を表している.

30 60 90 120 150 180 210 240 270 300 330

100 200 300 400 500 600 700 800

トルク値(N・m)

換算軸力kN

軸部ひずみ1 軸部ひずみ2 軸部ひずみ3 軸部ひずみ平均 頭部ひずみ1 頭部ひずみ2 頭部ひずみ3 頭部ひずみ平均

図-3 換算軸力とトルク値の関係

図-3

より,軸部ひずみと頭部ひずみにより得られ た

3

回の結果の平均値はトルク値が

600N・m(本試

験では標準ボルト軸力と同等)までよく一致してい るが,600N・m以後,頭部ひずみによる換算軸力は 軸部ひずみによる換算軸力より大きくなっており,

800N

m

で約

10kN

大きくなっている.したがって,

トルク値が

600N

m

までは頭部にひずみゲージを貼 る方法および軸部にひずみゲージを貼る方法の差異 は認められなかった.

3.まとめ

(1)ボルト軸部にひずみゲージを貼って軸力を測定 する方法は頭部にひずみゲージを貼って軸力を測定 する方法より精度が高いことがわかった.

(2)頭部に貼るひずみゲージのゲージ長さは長い方 が精度が良いことがわかった.

(3)標準ボルト軸力までの測定については,頭部に ひずみゲージを貼ることによる軸力の測定法を使用 することができる.

(4)標準ボルト軸力以上で締め付ける場合,軸部に ひずみゲージを貼る軸力の測定法が望ましい.

今後は,ボルト孔位置におけるボルトの位置を パラメータとして載荷試験を行い,実際の状態を考 慮した軸力測定法を確立する必要がある.

土木学会第65回年次学術講演会(平成22年9月)

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参照

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