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Academic year: 2022

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(1)

多孔質の天然素材を利用した底泥浄化法に関する研究

電源開発(株)技術開発センター 茅ヶ崎研究所  正会員 ○中村  智

〃    正会員  新庄 高久

1.目的  

 本研究は,当社が考案した多孔質,透水性の素材である火山礫などを 現位置で底泥に混合する底泥浄化法1)について,現場実験を通して様々 な素材の現場適用性の調査を実施したものである.本技術は,多孔質の 素材を底泥に混ぜることで湖水を底泥中へ浸透させて溶存酸素を供給 することに加え,多孔質の素材の孔に微生物が棲みつくことで,底泥の 好気性分解が促進し,さらには底生生物が移入することにより,底泥が 本来有する生態系を通じた物質循環による自浄作用が発現することを 期待した技術である. 

 平成 15 年 7 月より浜名湖の引佐細江湖の湖岸水域(図−1 参照)に て実験を実施しており,各試験区において底泥内の好気性細菌数の増加 が認められ,高い浄化効果が期待できることを,前回報告している2).   本報告では,各試験区の底生生物調査を行い,結果を纏めるととも に,本方法の底泥の改善効果について前回報告の結果と合わせて評価 したものである. 

2.実験設備  

 本実験では,湖岸水域を 6 区画に分けた試験区(長さ 30m×幅 10m×

水深約 0.5〜1m,沖合い約 20m)を使用した.実験設備の写真を図−2 に示す.各試験区の幅を 5m とし,底泥を層厚 20cm 以深まで塩ビ製の 仕切板で区画分けした.各試験区は,浜名湖の潮汐変動によって水位 は変化するものの,常時水没した環境で実験が行われた. 

3.実験ケース  

 対照試験区を除く 5 区画についてそれぞ れ横 4m×縦 8m の範囲で底泥を改良した.

各試験ケースの内容を表−1 に示す. 

4.底泥の底生生物調査  

(1)調査方法 

 底生生物調査は,底泥改良作業前の 7 月上旬に事前調査を実施し,底泥改良作 業 5 ヶ月後の 12 月に追跡調査を実施した.

スミスマッキンタイヤにより各試験区 3 点ずつ採泥し,1 つに混合したものを分析 試料として用いた. 

(2)調査結果および評価 

 平成 15 年 7 月の事前調査と,平成 15 年 12 月の追跡調査における各試験区の単位面積あたりの底生生物  キーワード:閉鎖性水域,底泥浄化,多孔質,天然素材 

連絡先:〒253‑0041 神奈川県茅ケ崎市茅ケ崎 1‑9‑88 電源開発株式会社 茅ケ崎研究所 TEL:0467‑87‑1211(代表) 

表−1 試験ケース

試験区 概要  内 容 

底泥のみ 底泥浄化工法を施さない対照試験区 

2 炭シート 底泥に炭シート(1 枚当り 50cm×60cm を 2 つ折)を 1mピッチの千鳥配置で 77 枚設置 

3 流木炭杭 底泥にφ10cm×h20cm のネットに入れた流木炭(1 本 当り 171.5g)を 1mピッチで 77 本設置 

4 ゼオライト 底泥とゼオライトを層厚 20cm で混合 改良率 5% 

5 火山礫 底泥と火山礫を層厚 20cm で混合 改良率 5% 

6−1  岸側 

多孔管  (ゼオライト) 

多孔塩ビ管φ75mm を底泥に貫入長さ 20cm で貫入 し(20 本),塩ビ管内にゼオライトを投入 

6−2  沖側 

多孔管  (流木炭) 

多孔塩ビ管φ75mm を底泥に貫入長さ 20cm で貫入 し(20 本),塩ビ管内に流木炭粒を投入 

実験場所

図−2 実験設備全景  図−1 現地実験場所

(2)

個体数を図−3 に,底生生物種類数を図

−4 にそれぞれ示す. 

 炭シート,流木炭,ゼオライト,火 山礫,多孔管ゼオライトの試験区では,

個体数が対照区と比較して大幅に多く なっている. 

 これらのうち,ゼオライト,火山礫,

多孔管ゼオライトの試験区において,

種類数が事前調査,対照区と比較して 同等,もしくは多くなっており,底泥 が底生生物の移入に適した環境へ改善 された可能性があることが示唆された.

特に火山礫の試験区は,節足動物門の 個体数,種類数が他の試験区と比較し て多くなっており,比較的清浄な水域 の底質に棲むとされている Corophium  sp.(節足動物門/ドロクダムシ科)が 主要種となっている(個体数の組成比 率 38.8%).また,前回の報告2)にも記 載したが,好気性細菌数が著しく増加 したことからも,好気性分解による高 い底泥浄化効果も発現している.以上 のことから,火山礫の試験区は,底生 生物の移入に適した環境に改善された 可能性が他の試験区と比較して高いと 評価できる. 

 一方,試験区の中で個体数が最も多い炭シートの試験区は,軟体動物門のカワグチツボ(個体数の組成比 率 63.4%)とエドガワミズゴマツボ(同 33.9%)が主要種となっている.これら優占種 2 種の個体数の組 成比率が 97.3%を締めており,本試験区の底泥においては,生物の多様性が保たれているとは言いがたい状 況にある.また,エドガワミズゴマツボは,有機汚染の影響を受けた水域に棲むとされており,このことか らも,炭シートの試験区は浄化効果が認められないことが示唆される. 

5.結論 

 ゼオライト,火山礫,多孔管ゼオライトを底泥に混合することにより,底泥が底生生物の移入に適した環境 に改善された可能性がある.特に火山礫による方法は,底泥の好気性細菌数の著しい増加が見られ,さらには 底生生物調査の結果も良好であることから,ゼオライト,多孔管ゼオライトによる方法と比べても底生生物の 移入に適した環境に底泥を改善する効果が高いといえる. 

6.今後の予定 

 これまでの実験から底泥浄化効果が高いと判断した火山礫による方法について,最適な効果をあげる施工条 件,施工方法等を把握することを目的とし,平成 16 年 5 月より当実験設備にて混合率,粒径,効果の持続性 等に関する実験を実施中である。これについては,結果が纏り次第,報告することとする. 

参考文献:1)汚濁底泥の原位置直接浄化工法の評価研究 電源開発㈱社内研究報告書(2002.3) 

2)中村・喜多村:天然素材を利用した簡易底泥浄化法に関する研究 土木学会第 31 回関東支部技術研究発表会(2004.3) 

0 5000 10000 15000 20000 25000

事前調査 H15/7 試験区分

個体数/m2

図−3 各試験区の単位面積あたりの底生生物個体数 

0 5000 10000 15000 20000 25000

試験区1 対照区

試験区2 炭シート

試験区3 流木炭杭

試験区4 ゼオライト

試験区5 火山礫

試験区6‑1 多孔管 ゼオライト

試験区6‑2 多孔管 流木炭

試験区分

個体数/m2

軟体動物門 環形動物門 節足動物門 そ の 他

0 5 10 15 20 25 30

試験区1 対照区

試験区2 炭シート

試験区3 流木炭杭

試験区4 ゼオライト

試験区5 火山礫

試験区6‑1 多孔管 ゼオライト

試験区6‑2 多孔管 流木炭

試験区分

種類

軟体動物門 環形動物門 節足動物門 そ の 他

0 5 10 15 20 25 30

事前調査 H15/7 試験区分

種類数

図−4 各試験区の底生生物種類数 

参照

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