漢方製剤 の記載 を含 む診療 ガイドラ イン
日本東洋 医学 会EBM委員会 診療 ガイドラ イン・ タスクフォース
以下の記載は、表題の診療ガイドラインから漢方製剤に関する記述を抽出したものです。診療にお
いて漢方製剤を使用される場合には、必ず、ガイドライン全体をお読みになり、その位置づけを正し
く理解された上で行ってください。
A-24
男性下部尿路症状診療ガイドライン
日本排尿機能学会 男性下部尿路症状診療ガイドライン作成委員会
(委員長: 本間之夫 東京大学)
ブラックウェルパブリッシング、2008年9月20日 第1版第1刷発行
Grading Scale of Strength of Evidence (論文のレベル)
I: 大規模のRCTで結果が明らかなもの
II: 小規模のRCTで結果が明らかなもの
III: 無作為割付けによらない対照を有するもの
IV: 無作為割付けによらない過去の対照を有するもの
V: 対照のない症例集積研究、専門家の意見
Grading Scale of Strength of Evidence (根拠のレベル)
A: 2つ以上のレベルIの研究に裏付けられる
B: 1つのレベルIの研究に裏付けられる
C: レベルIIの研究に裏付けられる
D: レベルIIIの研究に裏付けられる
E: レベルIV, Vの研究に裏付けられる
Grading Scale of Strength of Recommendation
a: 行うよう強く勧められる
b: 行うよう勧められる
c: 行うよう勧めるだけの根拠が明確でない
c+: 行ってもよい
c-: 行うよう勧められない
d: 行わないよう勧められる
■
A24-1
牛車腎気丸
疾患:
男性下部尿路症状
漢方製剤 の記載 を含 む診療 ガイドラ イン
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引用など:
Zhang X, Ishizuka O, Tanabe T, et al. Effects of goshajinkigan (niu-che-sen-qi-wan) for
resiniferatoxin-sensitive afferents on detrusor overactivity induced by acetic acid in conscious
rats. American Journal of Chinese Medicine 2006; 34: 285-93.
CPG中のStrength of Evidence:
E: レベルIV, Vの研究に裏付けられる
CPG中のStrength of Recommendation:
c+: 行ってもよい
■
A24-2
牛車腎気丸
疾患:
男性下部尿路症状
引用など:
Ishizuka O, Nishizawa O, Hirao Y, et al. Evidence-based mata-analysis of pharmacotherapy for
benign prostatic hypertrophy. International Journal of Urology 2002; 9: 607-12.
CPG中のStrength of Evidence:
E: レベルIV, Vの研究に裏付けられる
CPG中のStrength of Recommendation:
c+: 行ってもよい
■
A24-3
八味地黄丸
疾患:
男性下部尿路症状
引用など:
Ishizuka O, Nishizawa O, Hirao Y, et al. Evidence-based mata-analysis of pharmacotherapy for
benign prostatic hypertrophy. International Journal of Urology 2002; 9: 607-12.
CPG中のStrength of Evidence:
E: レベルIV, Vの研究に裏付けられる
CPG中のStrength of Recommendation:
c+: 行ってもよい
<以上A24-1~A24-3の記載として>
有効性に関する記載ないしその要約:
その他の内服薬の漢方薬 (八味地黄丸・牛車腎気丸) の項に、下記の記載がある。
漢方製剤 の記載 を含 む診療 ガイドラ イン
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『検索では5編の論文があったが引用すべき論文はなく、基礎研究論文1編と総説論文1
編を引用した。
有効性を支持する根拠は乏しい。
牛車腎気丸は、ラットを用いた実験で、膀胱内酢酸注入によって誘発される排尿筋過活動を
抑制することが報告されており、八味地黄丸と同様に、男性の下部尿路症状の改善目的で
使用されている。しかし、ともに、臨床的に有効性を支持する根拠は乏しい。』
副作用に関する記載ないしその要約:
『有害事象はまれで軽微である。』
『有害事象はみるべきものはなかった。』
備考:
論文そのものは、レベルI (大規模のRCTで結果が明らかなもの) とされているが、この論
文は総説であり、他の薬剤が大規模のRCTであるため、レベルIに該当している。牛車腎気
丸や八味地黄丸についてではない。