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色の見えの変化における物理的要因に関する研究 —展示照明による検討— [ PDF

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Academic year: 2021

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(1)色の見えの変化における物理的要因に関する研究 −展示照明による検討― 安部. はじめに. 友啓. 90. 美術館等における絵画などの展示計画や照明計画にお. 9. いて、実際の絵画の展示状態(展示物がどのように見え. ①. ②. ③. ④. ⑤. ⑥. ⑦. ⑧. ⑨. 9. 絵画の色の見えは照明の方法によって変化するが、そ. 18. るか)を把握することは重要である。. のが大きく、物理的な判断要素が乏しい。本研究は、物. 18. 90. の変化を予測するには照明計画者の経験や感性によるも. 計画が行えるようにすることを目的とする。. 18. 9. 理的な判断指標を用いることによって、より容易に展示. 9. 本研究では、展示空間の輝度や色度の測定を容易にし、 色の見えの物理的要因の分析方法を提案する。また、照. 9. 明パターンの変化によって色の見えの変化がどのように 起こっているかを観察し、絵画の性質に応じて、どの照. 18. 9. 18. 9. 18. 9. 白色部が色票、黒色部が台紙。単位は cm。. 明パターンが適切であるかを物理的な要因より提案する。. 図 1 色票の概要図. 美術館で一般的に用いられている 7 種類の照明パターン 実験 1:デジタルスチルカメラを用いた輝度・色度の測定. (表 2 参照)で色票を照明した。各照明パターン下で色彩. □実験機材. 色差計を用いて各色票の中心点の輝度・色度を測定し、. デジタルスチルカメラは Nikon COOLPIX990 を採用し、. 同時にデジタルスチルカメラで撮影した。. 輝度・色度を測定するための色彩色差計には MINOLTA 色. 表 2 照明パターン. 彩色差計 CS-100 を採用した。色票は照明による変質が少. No. ないと考えるミューズコットンから、色相の異なる 9 色. 1. 全般照明のみ. (あか、みどり、こいあお、そら、とき、れもん、くろ、. 2. ウォールウォッシャのみ. しろがね、しろ)を選び、1辺 18cm に切り取り、それを. 3. ウォールウォッシャ+小型スポットライト×2. 黒色の台紙に貼り、透過光の影響を少なくした。照明器. 4. 小型スポットライト×2. 具とランプは美術館で一般的に用いられているものを使. 5. 全般照明+ウォールウォッシャ. 用した。詳細は表 1に示す。. 6. 全般照明+小型スポットライト×2. 7. 大型スポットライトのみ. 表 1 照明器具とランプの種類. パターン. 照明方法. 照明器具. ランプ. 全般照明. 非常用蛍光灯器具. 3波長昼光色蛍光灯. ウォールウォッシャ. ウォッシャライト. 美術・ 博物館用蛍光灯. カメラは中央の色. 小型スポットライト. スポットライト. ダイクール電球. 票(⑤)と対面する. 大型スポットライト. スポットライト. ミニハロゲン電球. よう高さを 1.5m と. 色彩色差計およ びデジタルスチル. □実験方法. し、台紙からの距. 9 種類の色票をそれぞれ台紙の 9 箇所に配置した。各色 票間は 9cm とし、台紙に配置した 9 枚の色票のうち、中 心に位置する色票(⑤)の中心点が、床面から 1.5m の高さ に位置するように設置した。詳細は図 1 に示す。. 44-1. 離を 1.2m とした。 (図 2参照). 図 2 実験風景.

(2) 露出によって測定できる輝度・色度は変化するため、. 表 4 回帰式の係数と相関係数. 撮影条件を表 3に示すように設定した。. シャッタースピード. 表 3 撮影条件. 1/4秒. 1/15秒. 1/30秒. b0x. -6.8754. -68.967. -107.34. 記録サイズ. VGA(640×480). 画質モード. FINE(圧縮率: 1/4). 係. b1x. 53.7153. 54.4414. 54.4186. スピードライトモード. 発光禁止モード. 数. b0y. -20.441. -84.125. -131.16. 露出補正値. 0. と. b1y. 58.4486. 60.4311. 61.3160. M:マニュアル. 相. b0z. -1.3695. -37.845. -76.969. 絞り: F4.4. 関. b1z. 59.4575. 57.1280. 54.8610. シャッタースピード: 2,1,1/4,1/8,1/15,. 係. Rx. 0.933. 0.951. 0.965. 1/30,1/60.1/125,1/250,1/500. 数. Ry. 0.940. 0.916. 0.925. Rz. 0.894. 0.695. 0.674. 露出モード. マニュアルフォーカス. 1.2m. 感度. ISO100. ホワイトバランス. 曇天. 実験 2:照明方式による色の見えの物理的な変化の観察. 階調補正. 標準. □実験機材. 輪郭強調. 標準. 使用した機材は実験 1 と同じであるが、色票を色相の 異なる 4 色(そら、とき、れもん、しろがね)とした。. 撮影された各画像ファイルで色票の中心箇所の RGB 値を求めた。RGB 値から輝度・色度を求めるには、以下. □実験方法 実験 1 と同様に、色票とデジタルスチルカメラを設置. の変換式を用いた。. し、実際の美術館で一般的に用いられる 18 の照明パター. RGB 表色系から XYZ 表色系への変換式 Xv=0.6067R+0.1736G+0.2001B. ン(表 5 参照)で各色票を照明した。照度は色票⑤の中. Yv=0.2988R+0.5868G+0.1144B. 央における鉛直面照度のことである。 (1). 表 5 照明パターン. Zv=0.0000R+0.0661G+1.1150B. No. 色彩色差計の Y,x,y 値から XYZ 表色系への変換式 Xs=(x/y)Y Ys=Y. (2). Zs=[(1-x-y)/y]Y XvYvZv 値と XsYsZs 値の関係式 Xv=b0x+b1x*Ln(Xs) Yv=b0y+b1y*Ln(Ys). (3). Zv=b0z+b1z*Ln(Zs) □結果 関係式(3)について重回帰分析により定数b0 とb1 を求 めた。シャッタースピードが 1/4 秒、1/15 秒、1/30 秒の ときに相関性が高いことがわかった。 詳細を表4に示す。 □考察 デジタルスチルカメラで測定した色度と色彩色差計で 測定した色度との相関性があったのは、シャッタースピ ードが比較的遅い場合のみであった。これは測定した反 射光が比較的低輝度(1000cd/㎡程度)であったためと考 える。従って、より高輝度のものを測定すれば、高速の シャッタースピードでも相関性が取れると考える。. 44-2. パターン. 照度(lx). 1. 全般照明. 100. 2. 小型スポットライト×2. 50. 3. 全般照明+小型スポットライト×2. 150. 4. 小型スポットライト×2. 150. 5. 全般照明+小型スポットライト×2. 250. 6. 小型スポットライト×2. 900. 7. 全般照明+小型スポットライト×2. 1000. 8. ウォールウォッシャ+小型スポットライト×2. 1100. 9. 全般照明+ウォールウォッシャ+小型スポットライト×2. 1200. 10. ウォールウォッシャ. 200. 11. 全般照明+ウォールウォッシャ. 300. 12. 大型スポットライト. 50. 13. 全般照明+大型スポットライト. 150. 14. 大型スポットライト. 150. 15. 全般照明+大型スポットライト. 250. 16. 大型スポットライト. 200. 17. 小型スポットライト×2. 200. 18. 小型スポットライト×2. 1000.

(3) 撮影条件は実験 1より、シャッタースピードを 1/15 秒. 異なることがわかった。使用されているダイクール電球 の影響により、色票がときの場合は、照度が増えても Gsv. とし、その他の設定は実験 1 と同じである。 撮影された各画像ファイルにおいて、各色票をさらに. 成分と Bsv 成分はあまり増加しない。色票がれもんの場合. 正方形に 4 分割し、その中心箇所の RGB 値を求めた。実. は、照度が増えても Bsv 成分はあまり変わらず、Rsv 成分. 験1の結果を用いて測定画像から得たRGB値をXsvYsvZsv. と Gsv 成分が増加する。(図 4参照). 値(輝度・色度)に変換し、さらに、コンピュータ上で分. R平均中央. 析しやすいように RsvGsvBsv 値に変換した。RsvGsvBsv 値の. 70. 算出方法は以下の式を用いた。. 60. & Rsv # & 1.9107 ' 0.5328 ' 0.2882 #& X sv # $ ! $ !$ ! $ Gsv ! ( $ ' 0.9843 1.9986 ' 0.0284 !$ Y sv !   $ B ! $ 0.0584 ' 0.1185 0.8985 !$ Z ! % sv " % "% sv ". 50 40. (4). 30 20. 実験1の結果より XsvYsvZsv 値は. 10. & 0.6067 R ) 0.1736G ) 0.2001B ) 68.967 # X sv ( exp$ ! 54.4414 % " & 0.2988R ) 0.5868G ) 0.1144 B ) 84.125 # Ysv ( exp$ ! 60.4431 % ". 0. (5). siro- R. sora- R. toki- R. remon- R. toki- G. remon- G. toki- B. remon- B. toki- Y. remon- Y. G平均中央 35. & 0.0661G ) 1.1150 B ) 37.845 # Z sv ( exp$ ! 57.1280 " %. 30 25. 結果を次の 2 つの方法で分析した。. 20. a)照度を固定し照明方式だけを変化させた場合. 15. 美術館の推奨照度として、水彩画は 50lx、日本画は. 10. 150lx、油絵は 250lx である。よって、それに近い照度と、. 5. 保存に重点をおかなくてよい場合として1000lxで固定し、. 0 siro- G. sora- G. -5. それぞれ照明方式を変化させて観察した。. B平均中央. (ア)50lx 16. (イ)150lx. 14. (ウ)200lx. 12. (エ)1000lx. 10. b)照明方式を固定し照度を変化させた場合. 8. 美術館で一般的に用いられている照明器具と照明ラン プを使用して照明方式を構成し、それぞれ照度を変化さ. 6 4 2. せて観察した。. 0 siro- B. (ア)小型スポットライト×2. sora- B Y平均中央. (イ)全般照明+小型スポットライト×2 70. (ウ)大型スポットライト. 60. (エ)全般照明+大型スポットライト. 50. □結果. 40. a)照度を固定した場合. 30. (ウ)において色票がしろがねとそらの場合、ウォール ウォッシャ方式で蛍光灯を使用した方が、スポットライ ト方式で白熱灯を使用したときより、 Bsv 成分の割合がRsv. 20 10 0 siro- Y. 成分や Gsv 成分より大きくなっている。(図 3参照) b)照明方式を固定した場合. sora- Y. 10平均中央. (ア)において照度が高いときと低いときで色に見えが. 44-3. 16平均中央. 図 3 照度を200lxに固定. 17平均中央.

(4) □考察 a)同じ照度で照明する場合、ウォールウォッシャ方式で. R平均中央 350. 蛍光灯を使用すると、全体的に青色の割合が大きい作. 300. 品は、より青く見える。逆にダイクール電球などを使. 250. 用すると、青が見えにくくなる。. 200. b)同じ照明方式で照明する場合、小型スポットライト方. 150. 式でダイクール電球を使用すると、全体的に赤色もし. 100. くは黄色の割合が大きい作品は、照度の増加によって、 50. よりそれらの色が強まって見える。しかし、青色の割. 0 siro- R. sora- R. toki- R. 合が大きい場合は、照度が増しても、あまりその効果. remon- R. は得られない。. G平均中央 160 140. まとめ. 120 100. 実際の美術館における照明パターンを再現し、色票を. 80. 用いて輝度や色度の変化を観察した。また、これらを元. 60. に、展示物の種類によって、どの照明パターンが適して. 40. いるかを検討した。. 20. 1)植物や海、空など、比較的青色の割合が大きい絵画を. 0 - 20. siro- G. sora- G. toki- G. remon- G. 同じ照度で照明する場合、白熱灯よりも蛍光灯を用い た方が、より絵画が鮮やかに見えることが予測できる。. B平均中央 35. 2)日本画のように低照度で照明する必要がある場合に、. 30. スポットライトで白熱灯を用いれば、青色の割合が大. 25. きい絵画には影響が少ない。赤色や黄色の割合が大き. 20. い絵画には、高照度の場合と見えが変わってくるので、. 15. 注意が必要である。. 10. 本研究で、照明パターンによって色の見えは変化する 5. ことがわかった。本研究では色の見えを物理的要因に基. 0 siro- B. sora- B. toki- B. づいて分析したが、人間が色を知覚するときは生理的、. remon- B. 心理的要因も関係すると考える。また、実際の美術館で. Y平均中央 180. 展示されているような絵画を用いて分析することによっ. 160 140. て、より適切な照明パターンを導き出すことができると. 120. 考える。. 100 80. 参考論文. 60. 上谷芳昭,梅田眞三郎:RGB カラービデオによる測色法,照. 40 20. 明学会全国大会講演論文集,pp.292-293,1996.. 0 siro- Y. sora- Y. 2平均中央 6平均中央 18平均中央. toki- Y. 上谷芳昭: デジタルカメラによる輝度色度測定,照明学. remon- Y. 4平均中央 17平均中央. 会全国大会講演論文集,pp.128-129,1998. 大井尚行:普及型デジタルスチルカメラを用いた輝度分 布計測システムの構築,日本建築学会学術講演梗概. 図 4 照明方式を小型スポットライト×2に固定. 集,pp.409-410,2000.. 44-4.

(5)

図 3  照度を200lxに固定

参照

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