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用語ザ言語感覚∫の概念 大島 隆

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Academic year: 2021

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用語ザ言語感覚∫の概念

大島 隆

1学習指導要領における「言語感覚」            ・  学習指導要領において、「言語感覚」という用語が初めて使われたのは:昭翻22年公示のr学

習指導要領国語科編(試案)」においてである。その第4章中学校国語科学習捲導の第四節駿i みかた」のf一般目標」に次のような事項がある。

  正.しい言語感覚をやしない、標準語を身につける。、

 次にこの用語が使われるのは、昭和35年公示の「高等学校学習指導要領」古典甲・古典乙で

・豆においてである。それぞれに「2 内容」の指導事項として次のような記述がある。

   『古典甲』   力 古典に親しんで。国語に対する愛惰を育て、言語感覚をみがくように        努めることe

   『古典乙1・醜ケ 古典としての古文に親しんで、国藷に対する愛情を育て、言語感覚を        みがくこと。

 翌年発刊の「高等学校指導要領解説一1には.ヂ・・…  吉文の学習において、現代の国語に 至るまでには、国語が過去においてさまざまな歴史的経過をたどってきたことを理解させるなら ば、国語に対する愛情や言語感覚も、単に現代魑語だけからの平面的なものでなく、厚みや深み のあるものとなるだろう。・・ ・ゴとあり、言葉の歴受的背景を認識することにより、厚み や深みのある書語感覚がみがかれることを示している。

 このように、昭和22年の試案や昭和35年の高等学校学習指導要領では,、それぞれにr読み かたjr古典」という狭い範囲の意味合いで縄墨感覚」が使われている。また1はっきりした 概念規定がされておらず、国語科め用語としての定着は期待できなつかた。

  ヂ言語感覚」が蟹農科の用語としてはっきりした地位を占めるのは、昭和43年からの学習指 導要領第3次改訂からであるe小・中・高の具体冒標として次のように述べられるe

  小学校 4 国語に対する関心を深め、言語感覚を養い、国語を愛護する態度を育てる,e   中学校 5 国語の特質を理解させ、露語感覚を豊かにし、国語を愛護してその向上を図る        態度を養う。

  高等学校5 国語に対する認識を深め、言藷感覚を豊かにし、国語を愛護してその向上を図        る態度を養う。

 それぞれについて、指導書や解説では次のように説明している。

小学校

串学校

高等学校

ギ…  ことばに対する鋭敏な感覚を養いながら、国語を大事にして、国語その ものをいっそうよいものにしていこうとする態度を育てることは、きわめてた いせつなことである。… j

r…  嗜語感覚を豊かにし」とあるのは、言語に対する感覚や意識を養って 豊かにし、圏語に愛情をもち、よいζとばを選んで使うようにするという意瞭 である。・一」

ギ…  嗜藷感覚を豊かにし」とあるのは,、霧藷に対する感覚や意欲を養い、

言語を用いる上での思いやりや心づかいをもち、場藤に応じて適切なことばを

一大島レー

(2)

        選んで使うようにするという意味である・文蘇に応じたことばの適切な使罵・

        深い理解は。言語感覚を豊かにすることによって成り立つのである。また、い         わゆる慶嘉の乱れや不必要な外国語の使用などは。この国語に対する感覚の欠         麺からくることが多い。日常の国語をより有効なもの.より美しいものにして         いくためには。ことばに対してつねに意識し,、そのよしあしを見分けるごとが         できるようにすることがたいせつである。…  」

ここにおいて渥魔物目標として「言語感覚拶粒置付けられるが・その概念1こついてはや や明快さに欠ける・ことばのよしあしを見分けごよいこζば・適露なことばを選んで使用:(表現

、理解)できることが.豊かな言語感覚であり、適切な表現や深い理解を成立させるための条件 であるということになる 。  当時の露語闘係の雑誌等にf贈爵感覚」に関する実践報告が晃当たら ないのもこの用語の概念のとらえにくさが糠塵となっていると思われる。

 r言藷感覚i.麟現場で意識さSt ,、若干め紐究報皆が見られるようになるのは.昭和53難から の学習指導要領第魂次改訂の頃からであるeこの改訂では、f言語の教育としての國語科のあり 方を一綬と環蓬にしながら.… 抜本的な改革をし、… 」(指導書 麗三編 まえがき)

とあるように,、琶標、内容等が大きく変わった。f言語感覚」は、小・中・高の全体目標に位置 付けられている。以下にそれぞれの目標を記すe

小学校

.中学校

高等学校

「蟹藷を正確に理解し表現する能力を養うとともに、国語に対する闘心を深め。

言語感覚を養い.人語を尊重する態度を育てるej

出頭を正確に理解し表現する能力を高あるとともに.国語に対する認識を深め 言語感覚を豊かにし、露語を尊重する態度を育てる、」、

「選藷を離確に翠解し遡劔に表現する能市を身緯つ聲させるとともに。言語文化 に対する塾風を深め.言語感覚を豊かにし.国語を尊重してその向上を図る態 度を育てる、」

それぞれについて、揖導書や解説では次のように説萌している。

小学校

中学校

「言語感覚とは、いわ晦る語感より広い玉壷で,、言語に対する鋭い感覚のことで

.ある・議活動の異体的な場藤ζおい℃調え嫉騰億図縦って表現す

る場合には。どのようなき葉を選んで表現するのが適切であるかを薩観釣に判 断したり.また.話や文章を理解する場合には.そこで使われている言葉が醸 し出す味わいを。感覚的にとらえたり,、遼甥に評論することなどができること であるa小学校の段躇においては、平生の表現・理解などの活動において、そ の適否,、正誤、美醜などについて折に懸れ気付かせたり反省させたりすること を繰り返し指導する必要がある乙また.優れた作晶を窺写させたり暗唱させた

むすることも。磨要に応じて取り上げて髭嘉するとともに、EII常生活における 護藷に磁心を持たせたり。騒護を尊重する態度を育てたりすることも大切であ

る。ま

 ギヂ言認感賞を豊かにし」とは.一一の言語落命の具体的な場面に当たって、

どのような表現活勤をするのが適切であるかを判断し、また理解活動において 与えられた表現を遜窮に評懸しあるいは味わうことのできる龍力を養うことで

一大轟2一

(3)

      ある。新藷感覚を豊かにしていく.ζとは1決して容易なことではないが層『その       ことを目標として努力することによって、澗々の生徒たちの言語生活や言語活       動が一層充実し、かつ偲性的なものとなる。一国の書語生活の豊かさは.国民       ひとりひとりの言語感覚がどのような水準にあるかによって評価される寛とも       少なくない6」

高等学校  「f言語感覚を豊かにし」臨小学校以来の學標である。特に高等学校では、

      警語活動における表現と理解の具体的な場面を通して、言葉の適切さや美しさ       についての感覚を養い,、・表現の効果についても適切な判断ができるようにする       ことが、一層大切になるであろう、」       、.

前回の3次改訂よりも累累感覚まについてより詳しい説明がなされている。表現の際の言葉 の適切な選択、理解の際の言葉の適切な評価∵これらの龍力を言語感覚と定義している。また,、

その鋳囲を「…  いわゆる語感よりも広い鏡囲で」ととらえている。

平成元年の第5次改訂でも華語感覚」はそのまま引き纏がれている。小・中の目標は次のと おりである。〈高校はギ解説」が未刊のため省く)

 小学校  r国語を正確に理解し適切に表現する能力を育てるとともに、思考力や想像力及        び言語感覚を養い.国語に対する関心を深め國護を尊重する態度を育てる。!

 中学校  「国語を正確に理解し適切に表現する能力を高めるとともに、思考力や想像力を        養い言語感覚を豊かにし、国語に対する認識を深め蟹語を尊重する態度を育て         る。」

それぞれについて指導書では、次のように説明している、

小学校

中学校

ヂf言譲感覚を養い」とは、一つ一つの言語活動の場面で.何を、どのように理 解し、表現することが適切であるかを判断したり、言語表現を正確に評価し瞭 わったりするために必要な言語に対する感覚を育成することであるG言語感覚 とは。いわゆる語感より広い意味である。言語に対する知識や内容の理解にと どまらず.言語に対する豊かな感覚を育成していくことが、一人一人の言語生 活や言語活動を充実させ、掴性的なものにしていくためには重要である。ただ

こうした書語感覚は,、ある事誘を指導すればすぐに習得できるというものでは なく.国語科のより適切な指導を積み重ねることによって身に付けることが期 待される。」

r評語感覚を豊かにし」とは、言語活動の具体的な場面で、どのような表現活 動が適切であるかを判断し、また、理解活動においても、与えられた言語表現

を的確に評緬し.あるいは昧わうことの能力を支えるような言語に対する感覚 を養い豊かなものにしていくことであるa言語に対する知的な認識を深める踏.

けでなく,、このような書語に対する感覚を豊かなものにしていくことは.生徒 pa ffの言語生活や言語響動を一磨充実させ,、かっ特性醜なものにしていくため 極めて重要である・豊かな言語感覚は・どのよう律事樋を懸聴すればすぐさま 養えるというものではなく.警語科の適正な指導を積み重ねることによって身

に付くことが期待される。∵・ま

       鵡■

(4)

 前回の指導書では、言語感覚が言語の判断、評懸能力としてとらえられていたが、ここでは.

その言語の判断、評価多力の.rために必要なjf支えるようなj言語に対する感覚とされている また、指導については、魍語のより適切な指導」「国語のより適正な指導」の積み重ねによっ て言語感覚が身に付くことを期待している。.

 以上.学習指導要領によるギ言語感覚」の変遷を初出から現在に至るまで眺めてみた。そこに は・言語感覚が駅務こ重視されていく過程があった。そして・言語感覚についてのいくつかの示 唆も読み隠れる。しかし、残念ながら、そこに臨言語感覚とはf何か」に迫るような明確な概 念規定はされていない。

2 先行文献によるr言語感:麹の概念

  既存の露語辞典には、「言語感覚」の項目は一切取り入れられていない。しかし、国語科教育 に関する用語辞典の類にはいくつかの解読が見られる。その中でも、林大面の解説(@ i)は、

氏が当時文藻省の視学官の立場にあったためか、嗜語感覚」の解説の際によく引かれ、注騒さ れている。その内容は、昭和44年発行の指導書の解説に酷似している。以下に引く。.

    言藷に対するセンス、一一の言語活動の具体的な場面に当たって、どのような衰現活動を    するのが最も適靱であるかを毒断し、また理解活動について、与えられた表現を最も適切に    評鍾する能力であるe言語の選択と評懸の基準には、事実との対応性または事実への妥当性    (当否)、言語的標準への一致(正邪〉、美的感覚の満足(美醜)などがあって、それぞれ    にきあこまかな覇定のできることが、言語感覚を豊かにすることになるe.

    当否は主として意昧上の使い分け、正邪は主として発音や文法上の標準に闘する。美醜は    これを客観的に述べることは最もむずかしいが、意味に関して生活上ある婦ま道徳上から判    断ずることもあり(人前を考えるとか、よい記憶をよびおこすとか)、また、音声に関して   音楽的に毒断することもある。(以下略)

  ここでもやはり、「言語感覚」は表現活動の遍切な判断、理解の際の適切な評価の能力として とらえられている。r言語感覚とは、何か」という本質的な概念規定はされていない、

  r言語感覚」の類義語にヂ語感」がある。安藤正次氏のflE9感小論幽 (㊧2)は.この語感に ついての多くの論を引きあいにだし、その本質に回ろうとするものである。論及が藷法や表現の 様式にまで及んでいることを考えれば、言語感覚と詞質の概念ととらえてよいだろう。

  ここでは、語感の対象範囲として、言語の正誰関係、適否女陰、風尚関係を置いて。語感とい われるものは、r主として端的の感じであって、理知の判断によって得られるものではない、」

と述べているe

 氏の論は・葦936年の第尋回国際言語学者大会発表のリンドロート論文を申心に展開されて いる、そこには、f語感」の定義として興味濠いものがあるeリンドロートの引用したいくつか の定義を纒条書きにする。

   r語感は.巨人の言葉を占いた場合において、また、我々自身に対する場合においても.端    的の満足もしくは不満是となってあらわれる、しっかりした知識の蓄積された総蜘 (フ     ラングシタット !9呈1)

一大轟4 .r一一

(5)

  ギある事を為すに当たって、それまでに要せられる階梯の準備もせず、あるいは、まつこれ    を繰り返してやってみなければならないのに。それもしないで、すぐにその:事を実行する

   能力」 (ポルテン)

  r語感といふのは,特殊の反憲を待たずに、正しい語詞を選び、かっこれを正しい方法で結    びつける、習慣によって熟達した能加 (サルモンゼン百科事典)

  r語感は、記憶と類推との共同活動に基づくものである」(ヘルマン 1931)

 安藤氏は、「その(語感)定義に関する最後的批判は、これを他の機会に譲る」と述べ、語感 の本質についての明確な規定はしていないが、随所に上に挙げた諸説の支持(ときに限定付の場 合もある)がみられる。

 こごには、語感についての本質的な定義があるe語感とは、過去の知識の記憶をもとに類推さ れるものである。そして、あくまで発動は、「端的」に「反省を待たず」、rすぐにその事を実 行」されるものである。この2つのとらえ方は、軍議の解説にはみられなかったものである。

以上、r国語感覚」を考える際に重要とみなされる二人の論を取り上げてみた。

3 言語感覚の概念規定

 言語感覚が「特殊な反省を待たず」に発動されるのは、前述の通りであるe反射的に発動され るには、言語についての認識が、言語主体に完全に体得され「主体化」されてなければならない それをもとに、ある言語現象に対して、評価を行う。これが、言語感覚である。無論その評価は 表現、理解双方の言語活動を対象とする。まとめれば次のようにいえる。

「壽葱;π主体化され儲について反臓繰縮醐

Lmu−moin.一ptww一一

 ここでいう「言語」とは、音声、文字、語彙、文法、文体などの言語要素を指す。これら、言 語諸要素の認識を深めて。主体化していくことが、書語感覚を養い、豊かにしていくことである 児童・生徒一人一人の言語経験を生かし、これらのスキーマ(枠組)を形成していくことが教育 現場に要請されるeそして、そのスキーマは、ヘルマンのいうr記憶と類推の共同活動」により 新たな組替えをされ、発展していく。

 言語が主体化されたときに初めて妥当性をもつ評価ができるfi評価は、時と場合などの状況に より規翻される。その枠のなかで、正誤(正しいか否か)、適否(ふさわしいかどうか)、美醜

(美しいかどうか,明るいかどうか、固いかどうかなどのイメージ)などを直観的に判断できる カが評価能力である。評価の基準には、長い言語の歴史のなかで育まれてきた社会に承認されて いる共通のものと.地域や男女、年齢層の違いによるもの、全くの鰯人差によるものとがあるe いずれも主体化という面では認められるべきものである。しかし、書語のコミュニケーシ9ンと

しての機能を考えれば、社会に承認され、共通の基準が最も中心となる。

 言語感覚は、元来自然に身に付くものであるが、意図的計画的指導により、さらに豊かに磨か れうるものである。ゼー一国の言語生活の豊かさは、国民ひとりひとりの言語感覚がどのような水

一大島9一

(6)

準にあるかによって評価される」ともいわれる.言語感覚の重要性を新たに認識し、教:育現場で の実践について真剣に考えていかなければならない。

㊧! 林大il 学習指導要領用語辞典忍 昭和46年 帝国地方行政学会

㊧2 安藤正次 r語感小論』 昭和14年  「台大文学 第4巻第3号」

一大島6一

参照

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