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グ叫デンベルクの蟄用理論と生産理論

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(1)

693   グ叫デンベルクの蟄用理論と生産理論   ‥ノ.ノ♪・  

研究ノート   

グ十テンペルクの費用理論と生産理論  

一収益法則の論争に関連して−−   

平  林  喜  博  

Ⅰ問題の所在  

現今の経営数用理論の研究において,グーテンペルクの幾用理論はど良く検討されてい   るものほ.ない。しかし,その理論をとのように理解し,その特質をどこにみるかについて  

は各論者によって異なり定説ほない。例えば,宮本氏によれほ,グーグーベルクの費用理   論は構成論約性格をもち,その特徴は「適応の理論」にあるといわれるgl)また,小林氏   は,グーテーベルクの費用理論には,第1に,費用作用因の明確な体系とそれに伴う各費   用作用因相互間の厳密な孤立的考察方法があり,第2紅,生産諸要素の投入・産出の蜃的   依存関係に関する現実的な,しかも厳密な生産理論的分析があり,第3に,経営指導者の   主体的な観点ないしそ・の処理決定の作用を広範に考慮しようとする立場がある。而して,  

第3に挙げた立場がグーテンベルクの費用理論的認識を体系づける場合の基本的な見方で  

あるといわれるS2)   

これに関して,筆者は既にグーテンベルクの費用理論が伝統的費用理論(より厳密にい   えはメレログィッツの費用理論)と比較した場合に,「理論の厳密性」を深く志向してい  

るところにその特色があり,そこからグーテンペルクの費用理論が「費消函数の原理に基  

(3) づく生産理論的費用理論」であることを指摘した。別言すれば,小林氏の指摘されるグー  

デーベルク費用理論の基本的特質の第2をヨリ蚤要祝する立場である。現在のところ,この  

理解ないし認識がグーテンベルクの費用理論を理解するのにもっとも適切であると考えて   いる。而して本小文ほこの†り易をヨリ明確に示すために,グーテンペルクの費用理論にお  

111宮本巨費稿「近代費用理の一側面」】 ̄経済研究」第13弓,】38貫。同稿「登用理論    における経営規掛こついて−−ト「経済研究」第25号26貫(139頁)  

:21小林唇■夫如「蟄用理論における管理論朝恩考」】,会計_=紳拍巷第2号244頁。  

13,拙柄1 ̄グーテベンルク費用理論の基底_「香川大学経済論蔵」餞36巻第3号138頁。   

(2)

用36.巻 第5弓   694  

¶jβ0−−  

ける生産理論的考察の意味・内容を若干検討することを目的とする。それを特に収益法則   の論争に関連づけて究めたいと思・う。   

ところで,生産理論が工業の蓮避退梓を対象としていることほいつまでもない。ところ   が,グーチッベルクほこの生産過程を一つの結合過程,すなわち生産諸要素が結合される  

(4)  

過程と解している。従って,そ・の立場匿おいてほ,生産諸要素を結合し,経営の成果を碁   み出すことを示す何らかの関係が明示されねばならない。しかし,一・般にそれほ要素投入  

量と産出量との量的依存関係を示すところの生産函数を明示することであると考えられて   いる。また,工業における生産法則を明るかにすることであるとも解されている。従っ   て,こ.ここでいうグーテンペルクの生産理論とは,工巣における生産法則またほ生産函数    をさすものであることを留意せねほならない。  

ⅠⅠ生産函数の基本的諸概念  

さて,生産函数は,前述の如く,要素投入盈と産出量(生産物)との量的依存関係を示す   ものである。いま,ある経営の生産鼠を方で示し,要素奴<屈を㌢1,7■2,7 ねで示せほ,  

生産函数ほ次のようにあらわされる。  

方==/(㌢1,γ2,   ,γ・殉)  

(1)  

【1)式におい1て,生産盈光は企業の収益とも考えられるところから,この生産函数を「収  

(S)  

益函数」と呼称する場合もある。しかしそれはともかく,この函数が,生産要累の投入量   が変化すると産出量がそれに対応していかはど変化するかという,産出盈と要素投入愚と   の間の函数関係を示すものであり,これについてはいまさら説明する必要ほないと考えら   れやすい。   

しかるに,この小文においてほ,この生産函数についてヨリ吟味する必要がある。とい   うのは,後述する如く,グーーテンペルクがこの生産函数をA塾生産函数(P工Oduktions董un   ktion vom TypeA)とB型生産函数(Produktionsf11nktion vomTypeB)とに区別してい  

(6)  

るがその区分の基準を生産函数紅おける要素の性質に求めているかるである。いま,その要  

(41G11tenbeIg,E。,Grundlagen der BetTiebswirtschaftsIchrc,Bd IDic Produktion  6Aufl1961.Sh190r高田・溝口共訳「経営経済学原理」昭和32年。197毘Gutenberg,   

EりりZum Methodenstleit ,ZfhF.]953.S33Jl  

(51Kilger,Wい,Produktions〜und Kostentheorie,1958.S11  

】6、】Gutenberg,E.,Grundlagen,S195択書202真。   

(3)

グ−テンペルクの蟄用理論と生産理論   冊Jβノー  695   

素について究めると,キルガーーほこれ限定的生産要素(LimitationaleProduktionfaktoren)  

し7)  

と代替的生産要素(Substitutionale P工Oduktionfaktoren)とに区分して小る。   

ここでキルガーのいう限定的生産要素とほ技術的に計画された生産量と一の間に拘束的関   係が存立する要素をいう。すなわち一定の生産量を生産する場合,生産諸要素ほそれに対   応して技術的に規定された投入量のみが必要とされ,それ以上の要素投入ほ生産過程に入  

ることができないのである。これに対して−,代替的生産要素は,キルガL一によれほ,生産  

立との間に何らの拘束的関係もない要素であるというbそれが故に,代替的生産要素は生産  

(8)  

遥:を変化することなく相互に交替しうるのである。胤 余言であるが,ここでいう代替と   いう意味について−,後述する如く収益法則の論争において,ヴ詰ラアー・が誤った理解をし   ているので簡単に説明しておきたい。ここで代替とは,興った性贋をもつ生産諸要素の投   入によって,既存の生産諸要素が完全に代位され,他の生産条件への移行を意味する代沓  

(9)  

−グー・チッベルクはこれを選択的代替と名付て.し、るTではなく,盈的変化があって.も   共に投入量を形成し,ある要素単位ほ他の要素単位によって代替されるという意味の代替   である。従って,この代替はおのずから限界をもっているといえる。グーテンベルクはこ  

(10)  

の代皆を周辺的またほ限界的代替と名付け,選択的代替と峻別している。   

さて,本論にもどってみると,上記キルガーのいう2種の生産要素ほその投入屋を一般   に個数,ね,分,∽,J,点紺/カ,∽a等々の尺度単位で明瞭に測定される。しかしこれ以外に   そ・の生産寄与額が直接に給付支出盈に依存しないで,その給付が潜在して一定の時間自由  

にしうる生産要素がある。キルガ、−はこれを潜在的要素(PotentialfaktoIen)と名付けて  

し‖\  

いるが,例えば,労働者,機械設備がその適例である。従って,これを認めると,生産函   数を構成する生産要素ほ,厳密には限定的生産要素,代替的生産要素,潜在的生産要素の   3つが考えられる。しかし,この潜在的生産要素について,ラスマンは,潜在要素の給伺   支出量は具体的に測定が困撫であるという理由で,生産函数の生産要素として導入すべき  

(1J)  

何らの実践的可能性はみられないと論じているし,また,lrF年来神戸大学の交換教授とし  

L7)Kilger,W.,a、a‖0.,SS.12w13 

(81Kilger,W小,aa。0.,SS.12M13 

し9)Gutenberg,E。,aa0ル,0ル,S194l訳書201頁。  

(1O)Gutenberg,Eハ,aa 0.,S204・訳書212頁。  

仙 Ⅸilger,W.,aa.0¶,S】3。  

(12)Lassmann,G。,Die Produktionsfunktion undihre Bedeutung ftir die betriebs−   

Wi工tSChaftliche Kostentheorie,1958S25 

(4)

第36金 策5望   696  

ー′お2−一  

て来日されて:いたコンか−ルも,その講義において産出遠と要素投入嵐との純粋の盈的関   係を示す生産函数に,その純粋性を阻害する潜在的要素を導入することは適切でほないと   いわれていた。   

そこで,このような見解を考えると,姓産函数についてはなお検許すべき問題が残って   いると考えられる。しかし,これに.ついては後に再論するとして,ただ潜在的要素と生産  

函数との問題ほ,7−Nテンペルクにあってほ・彼のいう利用数非利用費(NutzkostenLeer・  

kosten)の概念に関連があることを指摘しておきたいと思う。   

ところで,グーテンペルクは既記の如く生産函数に.ほ,根本的に.2種類あるという。 

の軍ユは,4塾生産蘭数である。これほ要素投入蚤が〝・少なくとも或る限界内では−  

自由に変化しうるときに存在するものセある。換言すれば,代替的生産要実の盈的関係を   示すものであり,それが故にこの函数ほ代替的生産函数ともいえる。しかも注意すべきは,  

こ.のA型生産函数が経済理論でほ収益法則といわれている概念に−激するものと,グーデ  

(13)  

ンベルクによって指摘されていることである。さて,グ−テベルクのいう生産函数の節2   はβ塾生産函数であり,A型生産函数と対立する概念である0 これは要素投入遼を自由に   変化し得ず,産出物に.対して一哉的な関係をも/つている。換言すれば,限定的生産函数と  

いえる。   

ところで,  このような生産函数の一戯的概念を理解する紅際して−,若干検討し且つ確認   しておくべき問題があ考。その1つは,費用理論においては,この生産函数が直接にほう   かびあがってこないで,直接われわれの意識紅うつるのほ費用と操業度との関連あるいは   費用と経営規模との関連であり,具体的には費用経過それ自体である。換言すれは,費用   理論と生産理論とほ直接的に対応関連あるものとして理解されないのが一腰的な考え方な   のである。しかるに,グーテンペルクはこの費用理論に生産函数(生産理論)を接合しよ   うとする。従って,その可能性はどのように論証されるかという問題が生じるのである○   

しかし∴グーケンペルクによれば,これは費用函数と生産函数との関連を明示すること   であると考えている。すなわち,費用経過を基礎づけるものは費用と産出畳との量的関係   を示すところの費用函数であるから,この費用函数と生産函数との接合関係を論証するこ   とが,費†l叩乳論と丑産理論とが結合している証左償なるとグーテンペルクは考えるのあ  

る。  

t13IGutenberg,E.,aaOい,S.196訳こ菖204頁。   

(5)

li97  グーサン、ベルクの虫用理論と生産理論   ・・ム;.フーl   

しかし,更に問題が残る。それは,ここでいうところの費用とほ何かとい・う問題である。  

グー・チッ  ベルクほこれについて特別な見解をもっていないがト山鹿的には,費用を経営が   生産の目的のため紅費消する則及び用役給付の貨幣価値的紅評価されたものであると理解  

している0しかし,これほ一応である  こと紅留意せねばならない。というのほ,この場合   費用は貨幣価佃的に把握されているが,それほ今日の経済社会にあっては貨幣経済細織が   確立していると仮定し,しかも生産のために鄭肖された財及び用役が貨幣価僧と等価関係   にあると共に・,両省が対立関係にあることを前提にしているからである。従って,ヨリ厳   密にいえほ,生産過程ほグーーテンペルクもいう如く結合過程であるが,それは自然的・物   理的な生産諸要素の一部または全部が結合される過程であり,各要素の利月]・費消の過程  

でもある。それ故に,その結合過程にあるところの各要素の利用・費消鼻が費用の娘底に   存するのもであり,−般にいわれる幾用はその仮現であることを看過してはならないと考  

(14)  

える。   

かくして,このような2っの基本的命題が確認されると,ここに艶用函数の問題が考え   られる。いま,任意の生産要素の市場価格をP∠で示すと,この要素の費用は㌢名♪£で示され   る。前記生産函数畑式にこの相場価格を附加すると次のようにあらわされる。  

・%=ノて㌢1♪1,㌢2♪2,   ,㌢殉β乃)  

(2)  

12)式で右辺の合計は生産鼠焉の総費用に/等しい。いまその総費用を∬とすると,(2)式は   次のように変形されるム  

.方==./−(∬)   (3J  

(l†)   

この函数をキルガ」−は貨幣的生産函数と名付けている。(3)式を更に∬で分解すると,貨   幣的生産函数の逆函数が数学的に導かれる。   

すなわち,  

∬=ダ(ガ)   14)   

この(41式は総費用と生産慮との函数的関連を示しており,この函数を総費用函数という。  

しかし,14J式においては3つの影響要因一生塵要素投入巌,要素賀,価格−が交互にまた   は同時にg庭作用すると考えられる。そこで一般にこの影響要因のうち要素貿と価格とを  

−・定と仮定して総費用画数を考察して−いる。   

そこでいま限定的丑産要素を地合過程底入れると,すなわち姓産要素が−儀的に技術的   

(Ⅷ 久保田音二郎著!  ̄原価構成諭._j昭和13年,同著「原価引算諭−!昭和32年,象!tくi。  

1151Kilger,W.,aa O.、,S.17   

(6)

第36怨 第5弓   698   一員知行一  

に規定されていると,総費用函数の盈的基礎ほ一儀的に生産函数によって規定される。こ   れに対して,代替的生産要素の場合に.は,総費用∬ほ種々の量的基礎をもつが故に,その  

量的構成を決定するべく選択の問題が生じる。換言すれば,唯一・の費用函数を導くために  

いくつかの要素結合の可能性から一つの要素結合を選択せねばならない事情に直面する。  

しかしその解決策として最小費用結合の原則があるこ.とほ叫般に知られて−いるところであ    る。   

さて,以上のことを約言すると,生産函数と費用函数との関係は,費用函数が生産函数   の逆函数であるということに帰着する。これを根拠にグーテンペルクが費用理論と生産理   論との接合を主張し,そこに彼の生産理論的に理辞された費用理論があると考え.られる。  

これほ一点至樹曽単なことであるが,グー・テンペルクの費用理論を考察する上においては   重要な点なのである。  

互lIA型生産函数(収益法則)と費用理論  

いうまでもなく,A型生産函数ほ要素投入畠が少なくともある限界内で白山に変化しう   るものである。かかる前提の下では,−一建の生産鼻を得るために多経の要素結合の可能性   が存し,ここ虹技術的虹可能であり,同時に経済的虹も最有利である要素結合を選択する   問題が生じる。これを−・般に既記の如く,最小費用結合の原則として論じているのである  

(16)  

が,グーケンペルクはこの最小費用結合を次のように説明している。すなわち,収益法則   の条件を満足する生産函数が一方=ノ(γ1,γ・2,㌢〇,7・乃)であると考えられているとき,個々の  

要素の変化に−・つの収益変化が一哉的に関係せしめられる。いま,この函数に偏導函数があ   ると仮定すると、,個々の限界生産力ほとして示され,限界収益は・かに等しい。   

ところで,多数の生産要素の給合紅属する一つの要素の限界生産力及び限界収益を取り   扱うときは,dなるラテン文字の代わりに∂なる記号を用い畠ので,個々の要素の偏限界生  

産力は;の形で示され,各要素の備州離・れdタ2  

;寛一d7・乃となる。l摘の馴、蟄用紙合服名要素の価格と限界′蛸力との比が等しいとき  

に決定されるから,その式は次のように示される。   

:=花王二方2:  :花乃(ポ価格)   

では,最小費用結合の原則によって選択された一つの要素結合をもつA型生産函数の曲  

116)Gutenbe工g,E.L,a aOn,SS 202.210訳逮:209〜218頁。   

(7)

グーテンペルクの出月ヨ理論と生産理論  

699    ーー〜∂β−  

線経過ほ如何に描かれるごあろうか。いま,その生産函数において,・−・要素のみを変動さ   せ(これを7・ひとする),他の全ての要素を一億(これを㌢¢とする)と仮定する。すなわち,こ   の生産個数においてほ生産風光は要素投入星㌢■Ⅵにのみ依存する。これを公式で示せば光=/  

(7−。・γ■℃)で示されることほいうまでもないが,この簡単に/示された生産函数の曲線経過は,  

節1図が示す如く,S字型のわん曲した曲線経過を示す。この曲線ほ総収益曲線と名句け   られるが,これから頭に限男収益曲線,平均収益曲線がそれぞれ導かれ,第1図において  

%ノ,βの曲線がそれを示している。  

第1図 4塾生産函数に基づく曲   線経過  

第2図 貨矧1勺生産函数の逆函数と   しての費用経過   

このようなA型生産函数の曲線経過が示されると,その逆函数である総費用函数の曲線   経過も必然的に示される。というのは,既述の如く生産函数の要素投入鼻に一定と仮定さ   れた価格をかけると貨幣的生産函数が得られるが,その貨幣的生産函数の逆函数が総費用   函数であり,それ偲グラフからみると,貨幣的生産函数(∬)を45度直線を軸として反映せ  

しめるものだからである。すなわち,第2区lから明白なように,5字型のわん曲した総費   用経過が描かれるのである。グーケンペルクは.これを根拠にして,伝統的費用理論は収益   法則に基いでその費用経過の5字型を主張して−いると論じるのである。   

しかし,周知の如く,伝統的費用理論の代表者であるメレログィソツは収益法則に法則  

(17)  

性を認めず,それほたんなる経験法則であり一つの傾向を示すものであると考えている。  

ここにグープーソベルクとメレログィソツとの間に収益法則に射する理肝認一概度の相違が端   的にあらわれている。と同時に,ここから収益法則に関する論争の火謂が切られたのであ  

L17?Mellerowicz,K,Kostenkurvenund Ertragsgesetz,Z董B1953SS343v−U344   

(8)

第36巻 第5号   700   一−J5d・l一  

る。   

グー】テツベルクによれほ,収益法則軋既述の如く,要熟投入蒐が少なくとも血走の限界   内で自由に変化しうるものであること,従って,一つの要素の投入量を他の要素の投入鼠   を−一定として変化せしめうることであると解釈している。その場合の曲線経過は既に第2  

図からも明らかなように.,まず上昇し,次いで下降し,更に一定要素投入屈に達しノた後は   収益増分はマイブ・スになる。しかるに,グーテンペルクほ,このような前提とそれに基づ  

く曲線経過が工業生産の技術的所ぢ(TechnischeGegebenheiten)と合致せぬこと.を綿密  

(18)  

な実証研究に基いて論証し,その結論を次のように論じている。すなわち,収益法則におい   て,固定要素−・定というのは,その要素の構造的一足性を要求するのみでほなく,要素投   入盈の一定性をも要求するのが前提とされてい畠。しカごし,現実の工業生産の生産過程を   検討すると,変動要素の投入ほ固定要素の態様に影響を及ぼし,固定要素以外の・一要素の  

投入崖が変化すれば,そのときどきの固定要素ほその態様を変化するという事実があろ。  

従って,収益法則が妥当するためにはその前提を修正しなければならない。すなわら,変   動要素の投入愚変化があっても,固定費素の態様に作用しない場合にほ,収益法則は妥当  

しないと前提されねぼならない。   

このようにしてグーケンペルクほ収益法則の工業生産への中心的妥当性を否定するので   ある。′ところが,ここに実は収益法則に関する論争の−・つがある。すなわち、収益法則に  おいて,固定費索の一定という意味が,グーテンペルクのいう如く要素構造の−・定性を要  

求するのみならず,その投入畳の−・定性をも要求するのであるかという論争である。いわ  

ば,収益法則の概念規定をいかにするかという問題である。   

これについて,ヤコブはまず収益法則に.関する従来の文献を丹念に検討し,固定要素の− 

定とほ,たんに要素構造のみならず,要素投入盈もまた一定とみなされるのが支配的な見解  

(19)  

であると述べ,グーケンペルクの見解を支持している。更に ヤコブは収益法則の最小費用結   合が,価格と限界生産力との比が等しい点に決るという事実は,固定要素の構造的一定性と  

(20)  

要素投入鼻の劇定性とを前提としてのみ可能であると論じ,自説の正当性を裏付けている0   u8)Gutenberg,Eい,aいaり0.,SS210−217訳晋219L一−226百。  

(19)Jacob,H.,Zur neueren Diskussion um das ErtragSgeSetZ,ZfhF,1957SSり598q    602.尚,最近ヤコブほ収益法則に関する論文を発表しているが,基本的な考えほ変っ   

ていない。Jacob H,D卑S ErtragsgesetzinderindustriellenProduktion,ZfB1960    S455.甘  

u20)Jacob.H。,Zur neueren,S601 

(9)

701   グーテンペルクの費用理論と生産理言論   −・【Jβ7−   

しかし,これら女配附な見解に雄髄液唱える‖霜諸として,われわれの知引取り,ヴュデ   ィゲン,ラスマン,キ.ユ−・ンの名を挙げることができる。   

まず,ヴエディゲンによると,収益法則ほ「十分なる弾力性」を基本的前提とする法則   であるとい・う。そして,この弾力性とは,生産諸要素の給付支出にみられる自動的変化で  

あり,変動要素の投入嶺が変化するに伴い,そ・のときどきの最高恩的関係(bestm相1icbe   WiIkungsverhaltnis)が得られるように諸要素を十分に自動的に適応せしめ,且つ再編成せ  

(21) しめる能力を意味するのである。従って,これを収益法則の基本的前提とするプエディゲ  

ンが,グーテンペルクの収益法則に対する概念規定と対立することほ明白である。すなわ   ち,ヴエディゲンは固定費素にみられる給付支出愚の変化を収益法則の前提であると考え   ている。   

同様に.,ラスマンも固定要素にみられる要素投入恩の冊定性を収益法則の前提とする見   解ほ,伝統的費用理論にはほとんどみられないと述べ,常に,要素投入塩の分析をするこ  

とほ意義があり且つ有去左であることは勿論であるとして,グ−−テンペルクの研究を高く評   価しながらも,他面,収益法則の原理や出発点を前以って修正するならば,伝統的な収益  

(22)  

法則の客観的判断には到達することができないと批判する。   

さて,このような論点は,約言すると収軍法則という場合に固定要素の態様変化を容認   するか否かの問題に帰着する。キューンの提起した問題はこの対立に解決を与えようと試   みられたものである。すなわら,キューンもまた一方で,ヴュディゲン,ラスマンと同様   に,収益法則の前提が固定要素の態様変化を認めていると論じつつ,他方で,この間定要   素の態様変化を「層的適応」(qualitativeAnpassung)と考えることで,y−・Pケンペルク占   の対j−/二は解消するというのである。すなわち,一方で収益法則における固定要素の態様変  

化を「貿的適応」とし,他方で,グーテンペルクが工米生産でみられるという態様変化を  

(23)  

「懸的適応」と考えることによって,両者の断絶をうめようとするものである。   

しかしながら,このようなキュL−ンの主張に・対して,ヤコブは・「質的適応」の具体的な   定義が明確ではないがと断りつつ,仮りにこ甲「質的適応」とグーテンペルクのいう態様  

抑 Weddigen,W…,Die EItragStheoIieinder BetriebswiItSCha王tslehIe,ZfBl1960  S.4 

L22、ILassmann,G.,a00巾,SSh70−−71 

L23)Kuhn,u,Betrachauilgen ZurTheorie desKostenverlaufs und des Ertra写S一   

挙eSetZeS,BwFuPl1956lS410−−−−411   

(10)

702  

第36巻 第5弓   

【J5β−  

変化とが同一・概念であるとしても,次のように両者にほ根本的に異る点があると批判して.  

いる。すなわち,いま固定要素の要素投入螢の−・定性ほ別に.して,この要素の構造的−・定   性のみが収益法則の前提と認めても,生産的結合紅所属する要素投入塁間に,一要素の投   入鼻の変化によって,他の要素の投入審が変化するという打破ることのできない内的依存   関係が存在する時にほ,収益法則は妥当しない。例えば,グーテンペルクのいう「強度紅   よる適応」(intensitiitsm畠ssigeAnpassung)の場合を考えてみると,そこでは生産的結合   をなす要素投入恩は技術的に相互依存的に規定され,自由に変化することができないとい   う前提がある。これに反して,収益法則では要素投入盈ほある限界内で軌由に変化しうる   という前提がある。かくして,ここに.両名ほ本質的に区別されると,ヤコブは論じるので   

(24)  

ある。   

ところで,収益法則に関する論争の第2点は次のように要約できる。   

いうまでもなく,収益法則はある限界内で要素投入盈が自由に変化しうるこ.とを前提に   している。そこでほ,それが故紅最小費用結合の原則が必然的に随伴する。しかし,こご   に論尊の第2の論点があるのである。すなわち,グーケンペルクの収益法則の否定ほ,こ   の叡小費用結合の原則資で査定するものであるかという問題である。   

これを問題にしノたのはヴュラアーであるが,彼によれば,現実の企業者は最小費用結合   を求めている。符/つて,収益法則を否定するこ.とは許されないと諭し,いわば逆説的にグ  

(25)  

−テンペルクの収益法則否定の見解を論駁するのである。   

例えば,ある織物工場で時間単位当り5000メ・−・トルの織物の生産が最も有利であると判   断する場合に,そのために様々な技術化の段階が存する。ある場合にほ労働者を主体とす  

る手工的生産が考えられるし,またある時には自動機械を主体とする自動的生産が考えら   れる。従、つて,そこではそのいずれの生産方法を選ぶかという遺択の問題に迫られる。す  

なわち,上の例でほ,生産要素たる労働者と横械とは共に代沓的であるから,これをいか   に結合するかの問題が生じ,そこに最小費用結合の原則が働くこととなる。しかるに,グ   ーテンペルクほこの問題を−・方的に無明し,以って工業における収益法則の妥当性を否定  

していると,ヴJ・ラア巾・ほ.批判するのである。  

(24JTacob,H..,ala・0い,SS609一■613 

¢5)Weller,Jl・,EIreChnung der Minimalkostenkombination alsGrundlage ftir unt−   

ernehmerische Entscheidungen,ZfB1957.SS172・−→177 

(11)

グ十テンペルクの費用理論と生産理論   】J59一¶  

703  

(26)   

これに対する反論ⅥJラシュカによってなされているが,彼の見解をまつまでもなくヴ   ェラァーが収益法則でいうところの代替の意味を間違え,グーテンペルクのいう選択的代   替と解しているところにその誤解の根源がある。収益法則でいうところの代替とは,グー   テンペルクによれほ周辺的あるいほ限男的代替であって,選択的代替ではない。この点ヴ   

ェラァ−の批判が1一分に徹底していないといえる。しかし,収益法則檻関する論争の叫嚢   として,最小襲用結合の問題を取り上げたこと,あるいぼエ楽座産において生産方法(様   式)の選択が重要な課題であることを指摘したこと等々についてほ,われわれほヴェラァ   ーの見解に傾聴レなければならないと考える。   

ところで,グーテンベルクほ最小彗用結合の原則を無視しているのであろうか。ヤコブ  

(二:1  

ほ,この間に.対して,「それは費消函数に.よつて一塊定される」と述べ,決しで最小費用結   合の原則を否定してほいないと論じている。  

ⅠVJ朕益法則の論争についての卑見  

さて,この収益法則の論争において∴われわれは一つの重要な事実を見出しうる。すな  

わち,グーテンペルクの所説に反対している論者軋 グーテンペルクが解釈し規定した収   益法則の観念,すなわち要系の構造的一雇性と投入遍の一党性という前提に対してほ異論  

を唱えながらも,工業生産に.おいて固定要素の儲様変化のあることは,これを窮極的紅是   認して−いることである。その意味でほ,グーテンペルクの鋭い洞察力と緻密な実証研究は  

正当なものとして高く評価される。しかし,更に進んで考えてみると,この固定要素の唐   様変化を,グL−チッベルクほ,その変化が一十詭的に技術的に規定され自由に変化し得ない  

と考えている。別言すれば,要素投入盈の間にほ,一層素の投入盛が変化すれば他の要素   も作用を受けて変化するという相互依存性が存するのである。しかも,この実在をグーテ   

ンペルクは「費消函数」(Ver加aucbsfunktion)紅よって立証しているのである。   

これに対して,他の反グL−テンペルクの論者がいう固定要素の態様変化は,たしかにそ   の給付支出盟が変化するのであるが,それらの間にほ相互依存性がみられないのである。  

あるいほ,小なくともグーテンペルクの如く相互依存性の実在を論証していないのである。  

かくて,ここに同じく固定要素の態様変化が現実の工業生産に存立すると認めつつも,そ   郁)Blasshka,B..,BetrachtungenzurindustrieHenProduktionsfunktion・ZfB 1957・SS 

436→−447.吉田和夫著「グーテンペルク経営経済学の研究」昭和37年=115−117貢参照  

(271Jacob,Hい,aa0.,S607.   

(12)

704  

第36巻 第5弓   

J(;(フー  

の性格が本官的に異なっていることが判明する。このノ点が収益法則の論争を通じて明確に   なつたことほu八つの成果であると思う。   

ところで,グーテンペルクの固定要素の態様変化があるとい・う指摘は,なお重要視しな   ければならない。というのは,前記の如きグーテンペルクの収益法則に対する見解,更に   はその否定の根底に,われわれがグーーテンペルク費用理論の特質として指摘したところの  

き酎肖函数の原理に基づく生産理論的考察が顕在してこいるからである0   

被が生産過程を一つの結合過程とみていることは既に指摘した通りであるが,それが生   産理論的考察,すなわちエ業生産に特童な生産法則ないし生産函数を費用理論に導入する   契機となっていることも明らかである。而して,この立場から現実のエ米生産に傭有な生   産函数(=生産法則)を究めると,そこに一・つの法則,サーなわち各要素の投入塁間紅相互   依存性があり,血要領の投入騒が他の要素の投入患に作用し,しかもそれが−・義的に技術   的に規定される法則が見出されるのである。グ−・テンペルクの研究の出菓■点と方向は恐ら   くこのようなところにありたと筆者は推察する。従って,このような論理過程からすれ   は,収益法則の否定が先にあ1つたのでほなく,工米生産に特有な生産法別の洞察が先決で   あったと考えられる。これを別言すれば,グーテンペルクが生産理論的考察を費用理論の   基礎におくに至ノつた「理論の厳鮮性」に本来根だしている≒のといえるし,それ故に・,彼   の秀れた方法論的所産であるともいえる。収益法則が工業生産に中心的に妥当しないとい   うダークンベルクの批判は,ここにその基点があると筆者は考える。   

従って,これほ次のようにもいえよう。すなわち,メレログィッツの主張する総費用経   過のS字型に対するグーテンペルクの批判は,一メレログィソツが収益法則にその基礎をお   いているからではあるが,より深く考えれば,その理論が現実のユ業生産の生産儀別に.圭  脚していないが故の批判であると考えられる。また,ハイネソが,伝統的費用論者は収益  

(2S)  

法則に基礎をおいて費用経過を論じていないという指摘も,グーテンペルクの立場からす   れば,基礎をおいているか否かの問題から一歩進んで,費用理論が,現実のエ米生産に・妥  

当する生産法別に1■ど二脚しないこ.とそれ自体が批判の対象であることが理解される。従って,  

その照用理論が工業生産濫特有な生産法只りに基礎をおいておれば,その費用経過がいかな   るカ−プを輔こうと問題でほないのである。′巧言すれば,グーテンベルクのメレログィッ  

2g)Heinen,E.,BetIiebswirtschaftliche Kostentheorie,BdⅠGrumdlagen,1959SS   

129・−一130   

(13)

グーテンペルクの費用理論と生産≡理論   ,・ 丁dJ−・  

705  

ツ批判の論点ほ,メレログィッツが各要素投入脇間の相互依存憎=を看過したこと,換言す   れほ,費消函数の原理による生産函数の存在を洞察しえなか・つたことに帰着する。   

さて,この事惰ほ次のことからも推察される。すなわち,グーケンペルクは第3図を示   し,伝統的費用理論の主張する5字型費用経過匿ほ変動費について次のような仮定がなけ   ればならぬという。すなわち,いま「その作業手段が一定の質的傾斜を示す経営があると  

する。現有の4個の設   備ほいずれもー・定時閣   内では最大桝個の生産   単位を生産するとす  

る。設備ほここでは正   常給付をもって作業し   ているとする。変動費   を即1〝2γじが4とする。〝1が2   ぴu即4ほ,伝統的費用理   論に.よって主張される   費用経過を維持しよう   笥3図 伝統的費用理論の費用経過  

l25  

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1   1  

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l ___.....______ユ________」__‖.…__. 

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2刑   3仇   4〝2  

O   m  

とするならば,第1に異なった大きさでなければならず,第2に,それらは次々と投入さ   れる設備に.対し,最初ほ次第に小となり,次に−・定の設備において再び大とならなければ  

(29)  

ならない。」   

しかし,このような仮定は,費用理論の基本的仮定に反するものであるとグーーテンペル   クは.批判する。というのは,上の仮定から示されるS字型費用経過において−は,初めから   固定費は発生しているものと考.え.られているが,その固定費を形放する固定要素の態様変   化についてこはその有無を問わず無視している。すなわら,それほ要素投入恩間の相互依存  

性を看過していることを示す。換言すれば,伝統的費用理論が費消函数の原理を十分に考  

(30)  

慮しえないが故のグ・−ケンペルクからの批判である。   

ところが,このようなグL−テンペルクの論述は,彼の固定費に対する理解をある程度推   察できる。従来,固定費の増大は一厳に経営能力の凝固性を増大せしめ,経営の弾力性を   

(29)Gutenberg,E.,a aい0.,SS275−276・訳書278−279百。  

(3功 小林哲夫稿,「生産理論と費用理論の交渉」「国民経済雑誌」,第105巻筋5号64  

−66貰参照。   

(14)

mJ62〟−−   第36巻 簡5号   706   減i墨させるものと考え,その短所が強く認識されている。それほ現代紅おいてもいなめな   い事実であり,それが故に大なり小なり費用理論は固定賀をその研究課題としている。グ   ーテンペルクもまたこれに例外とはなりえザ、固定費の問題には深い関心を示している。彼  

(31)  

の固定費に対する基本的な考え方は,固定費を変動費的に把えようとする立場である。換   言すれほ,既述の如く,固短要素の態様変化を認めることにより,従来の固定費の硬直性   や適応能力の欠如という考え方に修正を試みようとしている。   

かく考えると,収益法則の論争ほ,固定費を各論者がいかに考え,それに対していかに   アプローチしているかの論争とも理解できる。そうであれば,たしか紅もともと収益法則   の論争ほ,グーーテンペルクの収益法則紅対する概念規定な・めぐってたたかわされた論議で   あるが,この論争の背後に実ほ各論者の固定費観が潜在し,しかもそれが費用理論の中心   的研究課題であるが故に,重要視しなけれほならない。収益法則の論争を検討する現代的   意義朋ここにもその一山つがあるのである。  

V B塾生産函数と費用理論  

さて,グーテンペルクの収益法則についての批判を考えてみると,帰するところ彼の批   判の根底に「費消函数」の原理があることは明白である。闇定要素に態様変化があり,し   かもそれが一・義的虹決定されるという彼の指摘偲,とりもなおさず「費消函数」の原理に  

もとづくものである。   

ところで,いま問題の費消函数とは,グー・テンペルクによれは,「要素投入量の費消と或  

(こじ)  

る作業手段の技術的給付との間の依存関係」であると定義する。従って−,要素投入濁′の費   消を決定するのほ設備と労傲場所の技術的特性であり,しノかも徹底的紅合法則的な,決し   て慈意的でない方法紅よって決定されるのである。それ故紅,・このことから,費消恩は直   接的にでほなく間接的に生産物に依存し,しかも「中間に挿入された」生産の場(作来手   段,労働場所,設備部分)を通して決定されることとなる。これを別言すれば,費消景は簡  

按に生産品(収益)の函数とみられないので,設備給付の函数であり,設備給付は更に生   産鼻の函数と考えられる。従って,費用を正しく計算しようと思えば,各種の給付におけ   る鄭肖函数すなわち技術的絡性から出発してゆくべきであり,直接に按菜皮から出発すべ  

(31)拙職「固定費と非利用費とについで▲i「六甲台論集」第9巷第3号参照。  

(32)Gutenberg,Eい,a a0一・,Sl195訳晋229頁   

(15)

707   グーテンペルクの費用理論と生産理論    」且㌢M  

きではない,とグ・−・テンペルクほ論じている。そして,従来の費用理論が,致用をば直接   に生産塵(操業度)の函数として把捉したことについて,かかるときに遭偶する困雉は,  

機械,労働場所,経営部分撃隠を,費消鼠と生産数量との関連のうちに入れることを怠る   しニーミ■・  

ところにあるとグーテンペルクほ批判する。   

このように工業生産匿おいてほ,全ての生産要素が同時に技術的所与によって−・義的に   決定される。一要素の変化は他の空尉こ作用し,それを変化せしめるという相互依存関係   を保持する。この関係を端的に明示するのが費消函数であり,それを基礎にもつ生産函数   が,グーテンペルクのいうβ型生産函数である。かくして,工業生産常特有な生産法則な   いし生産函数ほ,グーテンペルクによればβ型生産函数である。それが要素投入量を自由   に変化し得ず,産出物に対して一哉泊勺な関係をもつものであることほ,既紅綬返し述べた  

とおりである。   

では,この「費消函数」の原理がグーテンペルク敢用理論において,いかに顕現してい   るであろうか。就中,彼が費用理論に導入した諸概念といかなる相互関連をもつのである   か。この問題についてわれわれほ考察しなけれほならない。   

そのために,ここそはグーテンペルクのい・う区間固定軋利用費,非利用費等々の概念   に限定して考察する。それは先に問題提起してあった潜在的要素の生産函数への導入の有   無にも関連するからである。尚,ここで区間固定費,利用費,非利用費の諸概念について   簡単に説明しておきたい。区間固定費とほ,操業度変動にしたがって増減するところの設   備に付随する費用であり,非利用費とほ,その設備がその能力の一部しか要求されないと   きにも成り立つ費用であり,利用費とほ,これに対してそのときどきの利用された能力の   費用をい・う。従って,いま区間固定費をQ,非利用費を」‰一 利月ヨ費を為るとすると,Q=  

」‰+鶴という等式が成二正する。すなわち,垢がゼロならば区間固定費ほ非利用数であり,  

(34)  

逆に」‰がゼロならば区間固定費ほ利用費となる。   

さて■,問題の費消函数との関連について考えると,いうま■でもなく区間固定費を構成す   るところの要素投入歪も,それが「郵肖函数」の原理にもとづく限り設備の技術的給付に   依存し,他の要素の投入景と相互依存の関係にあることとなる。しかるに,この区間固定   費ほ−・定の間隔では不変であるから,その要素投入もー虐の間隔では不変であり,従って−,  

他の要素投入量と相互依存性を保持していないことを意味する。それ故に,この限りにお  

(33)GutenbeIg,E一,aOり,S220訳書229貫  

(34)GutenbeIg,E・,UbeIden Verlauf von KostenkuIVen und seine Begriindung,   

ZfhF1953SS6−9   

(16)

一一鷹招一  第36巻 第5弓   708  

いて,「蟄消函数」の原理ほ何ら作用していないようにみられる。   

しかし,更に考えてみると,この区間固定費を構成する要素ほ既に述べたところの潜在   的要素である。すなわち,−・定の間隔では,その給付能力が潜在していかに変化するか明  

確でなく,従って,それと生産物との患的関係がいかなるものであるか測定困難なもので   ある。例えば,労働者の賃金,機械設備の減価償却費等々がこれに含まれる。   

このような測定困雑な要素投入量を直接生産物にかかわらしめることほ適切でない。し   かし,それは−・義的に規定できないということであって1これのある部分はたしかに生産物   に価億転換しているのである。では,これをどのように表現すれば良いのであるか。われ   われほこ.こに利用費・非利用費の概念の導入する契機が生れると考える。すなわち,区間  

固定費を構成する要素が潜在的要素であり,その投入盈を正確に測定することが困難な故   に,一応設備,すなわち生産能力に依存せしめて把握し,他方で,この投入澄も設備の技   術的給付によって生産物に価値転換するが故に,それを利用費・非利用費によって把捉し   ようとするのである。これを別言すれば,区間固定費を構成する潜在的要累の投入畳もl ̄  

費消函数」の原理紅よっで一哉的に規定され,他の投入藍と相互依存性をもつのである   が,・そ・の度合が明確に測定されぬ故紅,設備の単位に依存せしめてその全体投入恩をまず,  

把捉するのである。従って,ここでほ区間固定費ほ一定の間隔で規則的に生じることほい   うまでもない。これについてのメレログィッツの批判ほあるとしても,グーテンペルクの  

くB5)  

〕■ヱ場からほ認容されると筆者ほ恩う。   

さて,次に設備の単位で把握された要素投入鼻紅ほ,生産物に実際に価値廠換したもの   があるわけであるから,それを利用費と把捉し,また鄭肖されない投入患を非利用費と解   するのである。勿論その利用費部分と仮定されたものが,費消函数によって規定される投   入登部分と正確に.−敬するかは疑問の余地が残ると思う。しかし,このように考えると,  

区間固定費・非利用費・利用費という諸概念ほ,共に「費消函数」の原理がその基底紅あ   ることが理解される。麗来,区間固定費と利用費・非利用費とが対応関連的に用いられな   がら,その理論的解明はなされていなかった。われわれほこの「費消函数」の原理によっ   て,その有機的関連が説明できると考える。   

もともと,「費消函数」の原理が区間固定費紅も作用しているのであるが,直接湛.それ  

脚 Mellerowicz,K.,Kosten und Kostenrechnung,.BdⅠ3lAufl・1957lS‖303拙稿「   

グーチッベルク費用理論の基底」「香川大学経群論哉」第36巻欝3号137頁二参照?   

(17)

グーケンペルクの費用理論と生産理論   一札・・J65−−  

709  

が顕現しないで,利用費・非利用費というかたちで現われているのである。而して,区間   固定費と利用費・非利用費とは分離して考えられない。両者は「費消函数」の原理によっ   て統一萬紅まとめられているからである。そして,グーテンペルクの費用理論にあってほ,  

潜在的要素を生産函数に入れる理由も,以上のことから容認できることとなる。  

(1963.1031)   

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