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(高橋法子)論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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(高橋法子)論文内容の要旨

主 論 文

Community Trial on Heat Related-Illness Prevention Behaviors and Knowledge for the Elderly

長崎県五島市における熱中症予防ランダム化地域比較研究

高橋法子、中尾理恵子、上田佳代、小野雅司、近藤正英、本田靖、橋爪真弘

International Journal of Environmental Research and Public Health 2015, 12(3), 3188-3214;

doi:10.3390/ijerph120303188 [27ページ]

長崎大学大学院医歯薬学総合研究科新興感染症病態制御学系専攻

(主任指導教員:橋爪真弘教授)

※主任指導教員が不在の場合は、教室主任代理を記入すること。

緒 言

近年、熱波が日本でも問題になっている。国や地方自治体では希望者に対する熱中 症予防情報の配信を毎年行っており、熱中症予防情報の配信により熱関連死亡者数が 減少することが先行研究で報告されている。しかし多くの研究が、熱中症予防情報の 配信開始前と後の年の熱関連死亡数または罹患者数を比較したものであり、熱中症予 防情報が対象母集団に確実に届いているか、熱中症予防に関する行動や知識の変化に どう寄与したか明らかにされていない。

対象と方法

対象

長崎県五島市福江島を行政区分に従い 3 地域に分け、2012 年 4 月 30 日時点で在住 する 65 歳から 84 歳までの高齢者を各地域から 508 人(計 1524 人)無作為抽出し、

HHW群(熱中症予防情報配信群)、HHW+W群(熱中症予防情報配信+ペットボト ル水宅配群)、および対照群に割り付けを行った。

介入の内容

HHW群:五島市が各世帯に設置した光回線による音声告知端末を通じて各世帯に 熱中症予防情報を配信した(2012 年 7-8 月の 9 週間)。HHW+W 群:熱中症予防 情報の配信に加え、宅配業者を通じてペットボトル水の宅配を行った(5 週間)。熱 中症予防情報は、環境省熱中症予防情報サイトを通じて暑さ指数(WBGT)予測 値の提供を受け、気象庁の気温予測も参考に一定条件を満たした場合に五島市役 所から各世帯に配信された。

(2)

質問票の送付と回収

2012 年 6 月下旬および 9 月上旬に熱中症に対する行動や知識に関する質問票を 対象者に郵送し、民生委員を通して質問票を回収した。

統計解析

熱中症に対する行動変容に関しては、介入前後の改善の有無を、各項目につい てロジスティック回帰分析を用いて群間比較した。また熱中症に対する知識に関 しては、平均正答率の差を用いてMann-WhitneyU検定により各群を比較した。

結 果

1524 人の対象者のうち、介入前後の2回の質問票に回答した 1072 人を解析の対象 とした。

HHW+W群では、夜間のエアコン使用時間(p=0.047)、水分摂取頻度(p=0.003)、

体を冷やす頻度(p=0.002)、および日中の活動の抑制(P=0.047)の各項目について、

対照群と比較して改善した者が有意に多かった。HHW 群では、帽子や日傘の使用頻 度(p=0.008)に関して、対照群と比較して改善した者が有意に多かった。またHHW

群と HHW+W 群を比較した結果、水分摂取頻度(p=0.067)および体を冷やす頻度

(p=0.095)において、改善傾向がみられた。

熱中症に対する知識については、介入による改善のエビデンスは認めなかった。全 体群で、扇風機使用の効果や慢性疾患と熱中症との関連についての正答率は低い傾向 があった。

考 察

HHW+W 群で夜間のエアコン使用時間が改善したのはペットボトル水に熱中症予

防のメッセージをつけて反復して配送することで、熱中症に対する予防意識が高まっ た結果と考えられた。さらに、HHW+W群では、配送業者や民生委員などによる訪問 を受けることで、熱中症対策意識が高まった可能性がある。また、HHW+W群で水分 摂取の頻度が大幅に改善したことは、ペットボトル水の配送自体が水分摂取の意識を 直接高めた可能性があると考えられる。

一方で多くの高齢者が、熱中症対策として扇風機使用のみで効果があると考えてい ることが示唆された。しかし、我が国のような高温多湿の気候条件では、扇風機のみ で十分な熱中症予防となるとは言い難く、エアコンとの併用を積極的に推進していく 必要がある。

熱中症予防情報の配信により、高齢者の熱中症予防に関する行動変容がみられた。

また、ペットボトル水の宅配を追加することで、新たな行動変容に結び付き可能性が 示唆された。地域レベルで熱中症予防情報を配信するだけでなく、個別に熱中症対策 を行うことで予防効果が期待できることが示された。

参照

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