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入院患者への服薬指導の充実を試みて

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Academic year: 2021

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(1)

入院患者への服薬指導の充実を試みて

上村 美保,金木 敦子,次重亜有美(現6階北病棟),佐藤 貴子 北海道社会保険病院 5階南病棟

Key Words:

服薬指導 薬剤管理指導料

      要  旨

 A病棟では入院患者から薬に対する不安の訴えを聞く機会があったが、薬剤師による服薬指導件数が低 い現状であった。そこで、薬剤師との協力により、麻薬系鎮痛剤・化学療法剤・ステロイド剤は依頼箋を 提出しなくても薬剤師が服薬指導を実施する体制に変更し、その他、服薬指導実施のチェック強化や服薬 指導勉強会の実施をおこなった。

 その結果、服薬指導件数が増加し、患者の不安解消という視点・経済的視点で有効であることがわかっ た。看護師と薬剤師の情報共有により患者ひとりひとりに合った指導方法を実施し、指導の質の向上を目 指すことが大切である。

         はじめに

 A病棟では入院患者から薬剤に対する不安の訴え を聞く機会があったが、薬剤師による服薬指導件数 が低い現状であった。そこで、服薬指導実施のチェ ック強化・薬剤師との協力により、一定の効果を得 ることができたので報告する。

         目  的

 服薬指導充実による、患者の不安軽減への効果を

明らかにする。

         方  法

1.研究期間:平成18年7月8日〜平成19年3月31日

2.研究方法:服薬指導が充分に行われていない要  因に対して、それぞれ改善策を実施。実施前後の  服薬指導件数と患者の反応を比較した。

要因(1)服薬指導依頼箋を提出した患者にのみ指導    が実施されており、服薬指導依頼箋の提出忘    れがみられた。

  (2)看護師のコスト意識が低いことが依頼箋提    出漏れに繋がっている。

  (3)病棟の担当薬剤師が1名のため、指導でき    る患者数に限界がある。

改善策(1)患者が服薬に不安を感じやすい麻薬系鎮     痛剤・化学療法剤・ステロイド剤に関して     は、医師の同意を得、依頼箋を提出しなく     ても薬剤師が服薬指導を実施する体制に変     更した。更に、患者ごとに服薬指導の必要     性を見直す目的で、依頼心提出有無のチェ     ック欄をクリニカルパス・カーデックスに     設け、看護借間で情報を共有した。

   (2)薬剤部と服薬指導勉強会を実施。

   (3)担当薬剤師が休暇の場合は代理者を立て、

    10月の一ヶ,月間薬剤師の協力を得て、終日     服薬指導に専念してもらう。

         結  果

1.服薬指導実施率の変化(図1参照)

(1)病棟の担当薬剤師が他業務の合間に指導を行   つた場合、病棟の全入院患者に対する服薬指導  実施率は、平均24.6%から37.4%に増加した。

(2)終日服薬指導に専念した!0月は、病棟の全入   院患者に対する服薬指導実施率は、88,8%にな

一4一

(2)

入院患者への服薬指導の充実を試みて

100%

80%

60%

40%

20%

0%

り薬剤管理指導料は29,950点となった。(83件

×350点+退院時加算14件×50点+麻薬加算4

件×50点)

4月  5月  6月  7月  8月  9月 10月 11月 12月

  業務の合間に服薬指導を実施   午後の殆どの時間服薬指導を実施

  終日、服薬指導を実施

     図1 服薬指導実施率

2.患者の変化

(1)薬剤指導用紙が配布され、それに基づいた指   導が行われる事で、服用する薬剤に対する患者   の感心が高まった。

(2)患者からは「安心した」 「こんな分かりやす   い説明をしてもらったのは初めて」という声が

  聞かれた。

(3)患者から薬剤に対する不安の訴えを聞く機会   が少なくなった。

         考  察

 改善策実施後の服薬指導件数が平均37.4%、10月 に関しては88.8%であり、今回の改善により服薬指 導件数が増加し、経済的波及効果もあった。改善策 実施後の服薬指導件数平均37.4%という数字は、予 想よりも低い結果であった。これは、当病棟が外科・

泌尿器科・耳鼻科の外科系混合病棟で、入院患者の 持参薬が多く、新たに処方される薬剤が少ないとい う背景のためであると考える。服薬指導の必要性が 高い患者に対して、看護師の服薬指導箋提出漏れに

より服薬指導を実施されないことが最も改善の必要 がある。今回、薬剤部との勉強会で看護師の服薬指 導への知識を高めたこと、クリニカルパス・カーデ ックスにチェック欄を設け情報共有に努めたことで、

看護師の意識向上につながり服薬指導箋の提出漏れ を減少することができたと考える。

 患者の反応としては、「安心した」「こんな分かり やすい説明をしてもらったのは初めて」という声が

多く聞かれ、薬剤師による服薬指導が患者の不安解 消につながった事がわかる。この理由として、当病 棟で使用する薬剤の中で不安を感じやすい麻薬系鎮 痛剤・化学療法剤・ステロイド剤に対し、確実に服 薬指導を行う体制に変えたことが大きく影響したと 考える。また、改善策実施後、患者によっては自ら 薬の作用を看護師と確認したり、薬剤師から配布さ れた薬の作用・副作用が記載されている用紙を見な がら薬を確認する姿も多く見られるようになった。

後川ら1>は「患者側が必要性を感じなければ自己管 理能力は上がらない」と述べている。専門的な知識 を持った薬剤師により、詳しい服薬指導を受けるこ とで、患者は自分の服用する薬剤に感心を高め、必 要性を感じ自己管理能力向上につなげる事ができた

のだと考える。

 更に、橋本2)は、「信頼関係を基盤にし患者の思 いや気持ちを傾聴した上で患者が自分の病気や受け ている薬物療法などの現状をありのままに理解し、

更に薬物療法上の問題を客観直し、じっくりと薬物 療法そのものと向き合っていけるように看護師は援 助していく必要がある」と述べている。患者が薬物 療法と向き合えるように、私達看護師が薬剤師と連 携をはかりそれぞれの専門性を生かしながらサポー トしていく事が大切であると考える。今回の研究で は服薬指導の質についての検討は行わなかったが、

逢坂ら3)が「看護師は患者の生活背景の情報を多く 持ち、現在の患者の治療の 身体的、精神的反応を 把握しており、薬剤師は内服薬の正しい知識を持っ ている。これらを生かしたカンファレンスを行う事 で、情報の共有ができ患者に適した支援方法を見つ け出す事ができる」と述べているように看護師と薬 剤師の情報共有により患者ひとりひとりに合った指 導方法を実施し、指導の質の向上を目指すことが大

切である。

         結  論

1.入院患者に対する服薬指導件数増加は、患者の  不安解消という視点で有効である。

2.薬剤師による服薬指導は、患者の薬剤自己管理  能力の向上につながる。

        おわりに

看護師と薬剤師の情報共有により患者の個別性を

一5一

(3)

北海道社会保険病院

第7巻 2008

ふまえた指導方法を検討・実施し、服薬指導の質の 向上を目指すことが今後の課題である。

       引用・参考文献

1)後川美保他:内服自己管理確立における介入の   ありかた,第37回日本看護学会論文集(成人看  護H),195−197,2006.

2)橋本恵美子:看護における薬物療法の意味、月

 刊ナーシング,18(9):52,!998.

3)逢坂真由美他:薬剤師と連携した服薬自己管理   支援の実際と評価,第36回日本看護学会論文集   (成人看護H),342−344,2005.

4)吉田秀美:薬剤関連看護業務から薬剤師と看護   師の連携を考える,日本薬剤師会雑誌,53(2):

  115, 2001.

一6一

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