ロールプレイングにおけるウォーミングアップの効 果
著者 鈴木 洋子
雑誌名 教育実践研究指導センター研究紀要
巻 3
ページ 27‑35
発行年 1994‑03‑31
その他のタイトル Effect of "Warming Up" in Role Playing
URL http://hdl.handle.net/10105/4416
J:j ィ、・T I'
(家庭科教育教室)
Effect of "Warming Up" in Role Playing
Yoko Suzuki
(Department of Home Economics Education)
The spontaneity of participants is more important in role playing and so"warming up is taken steps to raise the spontaneity. In this study, the effect of"warming up'was examined
in the lessons in home economics education in junior high school.
The results indicated that (l)the pupils took up a positive attitudes by"warming up" ; (2)there were more number of participants and conversations in"warming up"class than in"non warm‑
ing up class.
key words: role playing, warming up
ii ';
学習指導法としてのロールプレイングの特徴は、自己を与えられた役割に投入し演技することで、
自己を客観視できるとともに、他人の立場を理解するなど、学習課題(問題)を具体的に理解して 学習できる点にある1)。これらの利点から、家庭科教育では、家族員の関係や理解を深める学習に、
その効果が期待され、中学校の技術・家庭科に新設された「家庭生活」領域の学習指導法のひとっ にあげられている2)。家族の学習は、学習者が生活する家庭が様々で、学習内容や学習方法の受け とめ方も個々の学習者によって多様であることを推察するなら、家族の学習にロールプレイングを 導入する際は、学習目標を達成するために設ける数種の学習指導法の一方法として位置づけるのが 良策と考える。
ロールプレイングの手順の中で、ウォーミングアップは、活動への潜在的なェネルギ‑を漸次に 活性化し、自発性を高めるはたらきとして重要視されている3)。時田4)は、ロールプレイング演習
の3分の1は、ウォーミングアップに費やすべきであろうと述べているが、実際の授業場面では、
不足気味な授業時間数との兼ね合いで、ウォーミングアップが短時間に行われるか、もしくは省略 されることが予想される。現に、ロールプレイングによる家庭科の授業実践報告には、その授業過 程の中に、ウオーミングアップのための時間を取っている様子は伺えない5)6)。
これまでに、学習指導法として、特に限られた授業時間内にロールプレイングを行った際のウォ‑
ミングアップの効果については調べられていないことから、本研究では、中学校技術・家庭科「家 庭生活」領域の、家事分担をテーマにしたロールプレイングによる授莱(90分)で、ウオーミング
表1 授業の実施方法
場 所 N 中学校 小体育館 (ダンスルーム)
指導者 本学 4 回生 (ロールプ レイ ング講習会参加経験あ り、
(監督 ) 対象 クラスでの授業経験あ り)
時 1992年10 月13 日 1 ・2 限 199 2年10月13 日 3 ・4 限 授業対象者 N 中学校第 1 学 年 (39名) N 中学校 第 1 学年 (39名)
(演者) A 組 :ウオーミングア ップあ り B 組 :ウォーミングア ップな し 対 象授業 学習計画 教科 技術 ・家庭
領域 家庭生活
題材 私 たち と家族 (全 5 時 間)
様 々な家 族と家庭生 活 2 時間 家庭 生活 の意義 1 時間
私 と家族 (家事分担) 2 時間…本時 (4 .5/5)
*監督は、本時のみを担 当
本時の ・家族 の一員 としての家事分担 を再認識する。
学習 目標 ・家庭 生活に対する家族員 としての意識を高める。
配
家 族 父親 :会社人間で帰 りはいつも遅 い。たまの休みの 日で も居間でゴロゴロ した り、ゴル フの練習に行 き、家庭サー ビスをあまりしない。
母親 :仕事 を持ちなが らも、家庭 をき りも りして いる。
布 姉 :中学校 1 年生。家事の手伝いは姉の仕事になっている。
プ 弟 :小学校 3 年生。フ ァミコンが大 好きで暇 さえあればフ ァミコンで遊 リ
1ント
んでいる。家事は手伝わない。
設定場面 ある日曜 日。母親は平 日働きに出ているため、 日頃た まっている仕事 に楕 を出 している。今は掃除を している。父親 は新聞を読みながら居間でゴ ロ ゴロして いる。姉 は昼か ら友達 と遊び に出かけよ うとしている。弟 は居間 に置いて あるテレビでファミコンゲームを している。さて、そろそろ友達 を誘って遊びに出かけようとしている姉に、母粗が言った。
最 初の 母親 : 「お姉 ちゃん、洗濯物、干すのを手伝 って。洗濯物を干すのが終わ せ りふ ったら、玄関 とお風呂の掃除 もしてち ょうだい。」
アップを実施しないクラスとウォーミングアップを実施したクラスの2クラスを設け、その学習状 況ならびに学習効果を比較することでウォーミングアップの効果を検証した。
方 法
1 授業の実践
授業の実施方法の概要を表1に示した。監督役の指導者は、本学の4回生が担当した。この学生 は、ロールプレイングの講習を受講しており、また対象クラスでの授業経験がある。授業対象者は、
中学校1学年の、ウォーミングアップありのクラスと、ウォーミングアップなしのクラスの2クラ スで、対象授業は、「家庭生活」領域の私と家族(家事分担)の2時間扱いの学習である。
授業時に生徒らには、登場する人物のプロフィールと、設定場面、最初のせりふを書いたプリン トを配布した。
学習過程を図1に示した。「ロールプレイングの説明」では、ロールプレイングが演劇とは違う こと、演技の上手下手は関係がないことを説明し、4、5名の代表者による電車の中を想定した、
簡単なロールプレイングを演じてみせた。そして、恥ずかしがらない、ふざけない、からかわない、
の3つの注意事項の確認を行った。ウォーミングアップは、声を出す、体を動かす、グループを組 むの順で約20分間行った。
ロールプレイングでの態度の変容には、演技の観察やグループでの討論より、演技をする方が効 果があるというこれまでの研究結果7)から、今回は、男女各2名の4人グループを編成させ、全員 が演技する方法にした。そして、最初に父親役を演じた生徒は、次に母親役といった具合に、役割 を取り替える役割交換の技法を取り入れ、ロールプレイングを2[司ずつ行わせた。
2 学習効果の分析
学習の効果については、授業の事前、並びに事後に作成させた「父親の役割に対するイメージ」
「母親の役割に対するイメージ」のイメージマップの分析をもとに検討した。イメージマップの生 徒の記入例を図1に提示した。イメージマップの作成は、最初に思い浮かんだ言葉の一つを第1円 上に書き、その言葉からイメージされる言葉を第2円上に書き、また第1円上に戻る手順とした。
イメージマップの分析は、三宅8)の方法を参考に行った。
流暢性:イメージマップ上に書かれた言葉の総数で、イメージの量的な広がりを表す。
拡散性:イメージマップの第1円上に書かれたことばから帰納的に設定したカテゴリーの出現頻 度数で、イメージの質的な広がりを表す。
分析の対象は、事前、事後の両方のイメージマップが揃った生徒のみとした。
3 ウォーミングアップの効果
授業後に生徒らに、自分が言ったせりふを想起、記述させ、各グループごとに、メンバー全員の 記述を突き合わせることで、ロールプレイングのプレトコールを行った。ロールプレイングでのせ りふ数、参加人数からロールプレイングの成立状況を調べた。セリフの数え方は、1人が1回に続 けて言ったものを1つとみなした。例えば、姉役の生徒のセリフで、「私出かけるから、帰ってき たらやる。でも、弟にやらせば? とうさんにやらせば?」の3つのフレーズをセリフ1つとして 数えた。こちらで用意した最初の母親のセリフも、参加人数1、セリフ1として数えた。セリフが
ロールプレイ ンクの説明
オーミンクアップ
ウオーミングアップあリ
………−…・ウオーミングアップなし
ウオーミングアップ 1声をだす.
「自分の体で一別7きなところはどこですかJ
「今、一番行きたいところはどこですか」
2休を動かす.
・ある場所にいると想像しながら歩く.
・そばにいる人と按拶を交わす.ベアになる.
3グループを組む
・自分過のベアーと似ているベアーを探す.(4人)
・自分達のグループと迎うグループを探す.(8人)
・グループに名前をつける.
・グループ内で、削り管を鉛狐に見立てて回す.
・グループ内で、削り箸を何かに見立てて回す.
・グループ内で、ジェスチャーで品物を回す.
図1 学習過程
記述されていても、会話が成立していない場合は加算せず、その段階で、ロールプレイングの終結 とみなした。
4 授業の評価
5段階評定尺度法による授業後の生徒らの感想をもとに検討した。特に肯定した回答を5点、全 く否定した回答を1点とし、点数化して集計した。
結果及び考察
1 学習の効果
イメージマップに記された言葉の分析結果を表2、表3に、流暢性と拡散性を調べた結果を図2 に示した。表2(父親の役割に対するイメージ)では、両クラスとも第1円上のカテゴリー「仕事」
表2 イメージマップに記された言葉の分析(父親の役割に対するイメージ)
第 1 円上 の カテゴ リー
第 2 円上 の カテゴ リー
第 2 円上の言葉数
ウオー ミングア ップあ り ウ ォー ミングア ップな し
事前 テス ト 事 後テス ト 事 前テス ト 事後テ ス ト
男子 女子 全体 男子 女子 全体 男子 女子 全体 男子 女子 全体
18人 16人 34人 18 人 16人 34人 20人 16人 3 6人 20人 16人 36人
仕事 救 業 5 6 1 1 7 8 15 g 8 17 11 8 19
給 料 8 7 15 8 8 16 7 5 12 11 6 17
労 働 15 12 27 18 14 32 6 12 18 18 14 32
通 勤 4 2 6 4 3 7 4 1 5 6 3 9
その他 4 2 6 6 4 10 0 2 2 0 2 2
小 計 ( 3 6) (2g) ( 65) (43) ( 37) (80) ( 26 ) ( 28) (54) ( 46) (33 ) ( 79)
家事 掃 除 0 0 0 0 0 0 3 0 3 3 1 4
洗濯 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
炊事 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
買 い物 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
労働 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
その他 1 2 3 7 10 17 4 6 10 10 10 20
小 計 (1) (2) (3) (7) (10) ( 17 ) (7) (6 ) (13) (13 ) (11) ( 24 )
育児 子供 の世話 2 1 3 2 1 3 9 4 13 11 5 16
勉強 1 1 2 1 1 2 1 0 1 1 0 1
その他 0 1 1 0 1 1 4 1 5 4 1 5
小 計 (3) (3) (6) (3) (3) (6 ) (14) (5) ( 19) (16) (6) ( 2 2)
趣 味 3 3 6 4 3 7 0 0 0 0 0 0
その他 4 0 4 9 7 16 4 0 4 9 2 11
に関した言葉が多く、その中の第2円上の「労働」にグールービングした言糞には、「しんどい」
「疲れる」などの言葉が目立った。表3(母親の役割に対するイメージ)では「家事」に閲した言 葉が多かった。図2に示したイメージの量的な広がりを表す流暢性においては、ウオーミングアッ プなしの方が事前テスト、事後テストとも、ウォーミングアップありのクラスに比べると値は高く、
イメージの豊かさがみられるが、事前テストから事後テストにおける広がりは、ウォーミングアッ プありのクラスの方が大きく、ウォーミングアップの効果が推察される。両クラスの流暢性と拡散 性に、事前テストから事後テストにおける広がりがみられたことから、両クラスの授業効果を確認 することができた。
表3 イメージマップに記された言葉の分析(母親の役割に対するイメージ)
第 1 円上 の カテゴ リー
第 2 円上 の カテ ゴ リー
第 2 円上 の言葉数
ウォーミングア ップあ り ウオー ミングアップな し
事前 テス ト 事後 テス ト 事前 テス ト 事 後テス
男子 女子 全体 男子 女 子 全体 男子 女子 全体 男子 女子 全体 18人 16人 34人 18人 15人 34人 20人 16人 36人 20人 16人 36人
仕事 職業 3 5 8 3 6 9 9 4 13 9 4 13
給料 0 2 2 0 3 3 3 0 3 3 1 4
労働 4 1 5 8 1 9 1 0 1 2 0 2
通勤 0 2 2 0 2 2 0 0 0 0 0 0
その他 0 0 0 1 0 1 0 0 0 0 0 0
小計 (7) (10) (17) ( 12) (12) ( 24) (13) (4) ( 17) (14) (5) (19)
家 事 掃除 14 8 22 14 9 23 16 23 39 18 24 42
洗濯 12 8 20 13 12 25 2 7 24 51 2 7 25 52
炊事 17 12 2g 19 12 31 21 29 50 2 1 30 51
買い物 1 4 5 3 4 7 13 7 20 15 7 22
労働 3 3 6 8 8 16 1 3 4 3 3 6
その他 3 2 5 5 3 8 1 1 2 1 3 4
小計 ( 50) ( 37) ( 8 7) (62) (48 ) ( 110) (79) ( 8 7)(165) ( 8 5) (92) 177)
育 児 子供の世話 5 5 10 8 8 16 5 5 10 6 8 14
勉強 0 0 0 0 0 0 0 1 1 0 1 1
その他 0 1 1 0 2 2 3 0 3 3 1 4
小計 (5) (6) (11) (8) (10) ( 18) (8) (6) ( 14) (9 ) (10) (1g)
趣味 2 0 2 2 0 2 0 0 0 0 0 0
そ の他 1 3 4 1 4 5 1 2 3 1 2 3
ゥトミングアップあり霊 ウトミングアップなし霊
1)イメージマップ上に書かれた言葉の縁凱イメージの豊的な広がりを表す0 2)マップの第1円上に書かれたことばから帰納的に求めたカテゴリーの出現
頻度。イメージの質的な広がりを表す0
3)Iト・Pく0.01事…Pく0・05
図2 イメージマップテストの結果 2 ウォーミングアップの効果
1回目のロールプレイングでの参加人数とセリフ数を図3に示した。ウォーミングアップなしの クラスに比べ、ウォーミングアップありのクラスの方に、3人以上参加しているグループが多い。
ウオーミングアップあり
各軸脅
餉融H T コ 命令軋 − 7 コ
魯朝か 6 ] 魯舶飢 6 ] 各軸⊂=:]
魯脅 ⊂==]
命令 ⊂三コ 命令 ⊂二王コ 魯脅[二王]
合計 30人 53コ
崩蒜骨
母 姉 弟 父
男トミンクアップなし
軸涌⊂ ̄ヤリ欄10 」 餉奇骨⊂ 6 巨 令書骨⊂:工==]
命令 ⊂三三コ 命令 ⊂=亡:]
舎魯 ⊂=]
命令 ⊂互コ
舶 」
魯争[=コ 魯各 にコ
合計 25人 42コ ホ…監督役の教師(学生)が参加
図3 ロールプレイング(1回目)の参加人数とセリフ数 表4 ロールプレイング(1回目)の役の取り方とセリフ数
ウ オー ミ ン グ ア ッ プ あ り 日 ウ オー ミ ン グ ア ッ プ な し I l
0 コ 1 コ 2 コ 3 コ 4 コ 0 コ 1 コ 2 コ 3 コ 4 コ
父 5 人 4 人 1 人 0 人 0 人 7 人 2 人 1 人 0 人 0 人
母 0 0 6 4 0 0 3 4 2 1
姉 0 6 2 1 1 0 6 3 1 0
弟 5 4 1 0 0 8 2 0 0 0
‡I・‥ Pく0.01
ロールプレイングでの役の取り方とセリフ数の関係(表4)をみると、両クラスとも父親役、弟役 では、セリフなしが多く、逆に母親役のセリフ数が多くなっていた。このことより、役の取り方に
よって、セリフ数に片寄りが生じることがわかった。
演じた家族(図4)では、「否定的な家族」すなわち意趣に反する家族のあり方を演じた割合が
% l即
断 88 7日 印 58 48 38 29 18 日
ウォーミングアップあり ウオーミングアップなし ゥォ
[=]自分の家族 [二ヨ理想の家族 匡週否定的な家族
図4 演じた家族
田自然 国おもしろく 田演じやすい団テレビなど 圏その他
*り・Pく0.05
図5 演じた理由
高かった。有意差は生じていないが、ウォーミングアップありのクラスでは、ウォーミングアップ なしのクラスに比べると、「自分の家族」や「理想の家族」を演じた割合が高く、演じた家族に若 干の広がりが見られた。演じた理由(図5)については、両クラスとも「自然(にそうなった)」
の回答が大半を占めていたが、ウォーミングアップありのクラスでは「演じやすい」の回答が、ウォー ミングアップなしのクラスでは、「おもしろく(する)」が多く、ウォーミングアップありのクラス の方に、自然な状態で、まじめに取り組んでいた様子が推察される。
ロールプレイングの内容については、両クラスとも、姉の手伝いの拒否にはじまり、弟の拒否、
父親の拒否と、家事分担に発展するケースはなく、家族全員が仕事を拒否した段階でロールプレイ ングは終結していた。本実践では、日頃の使いなれた役割を演じた、ロールティキングの再現で、
気付きの段階で終結しており、問題を解決するプレイまでは至らなかった。
今回は、1回目のロールプレイングで取った役とは異なった立場の役を2回目に取らせることで、
両者の関係を理解させる役割交換の技法を採用したが、2回目のロールプレイングの参加人数、セ リフ数は、1回目に比べると両クラスとも低く、また、2回目のロールプレイングで、無意識に1 回目の友達と違うセリフになった者は全体の58%であったが、これらは表現が違うだけで、内容は
1回目と同様に、仕事を拒否した内容で、役割交換の効果を上げることはできなかった。
3 授業の評価
図6に、授業の感想を5段階による評定尺 度法で調べた結果を示した。ウォーミングアッ
プありのクラスの方が、得点の高い傾向にあ 再体脚)希望 るのは、「演技への積極性」「考え方の変化」
「授業の充実性」で、これらの結果からウオー
ミングアップの効果があったと判断した。な 授業の充実性 お、ウォーミングアップありのクラスの方が、
得点の低かった「説明の理解」は、ウォーミ ングアップを行った分の説明量の増加による と解釈した。
要約
授業の楽しさ
への績極性*
討論への参加
考え方の変化
ウォーミングアップあり 一一一一 ウォーミングアップなし YES:5点 NO:1点 *:Pく0.05
図6 授業の感想
ロールプレイングは、自己を客観視できるとともに、他人の立場を理解するなど、家庭科教育で は、家族員の関係や理解を深める学習指導法のひとつとして期待されるところが多い。ロールプレ イングの手法で重要なのは、演者をはじめとする参加者の自発性にあり、自発性を高める手段とし て、ウォーミングアップが行われるが、これまでに、学習指導法として、特に限られた授業時間内 にロールプレイングを行った際のウォーミングアップの効果については調べられていない。そこで 本研究では、中学校技術・家庭科「家庭生活」領域の、家事分担をテーマにしたロールプレイング
による授業(90分)で、ウォーミングアップを実施しないクラスとウォーミングアップを実施した クラスの2クラスを設け、その学習状況ならびに学習効果を比較することでウォーミングアップの 効果を検証した。その結果以下のことがわかった。
1)ウォーミングアップを行うことで、演技への積極性が増した。
2)ロールプレイングでの参加人数、セリフ数は、ウオーミングアップを行わなかったクラスに比 べ、ウオーミングアップを行ったクラスの方が多かった。
3)ロールプレイングによる学習効果を調べるために、父親の役割と母親の役割に対するイメージ を、授業の事前と事後にイメージマップ上に書かせ、比較した結果、両クラスとも、授業後のイ メージに広がりがみられた。
4)ロールプレイングの内容については、両クラスとも家事分担に発展するまでは至らず、気付き の段階で終結していた。
参考文献
1)細矢俊夫他:新教育学大事典、第一法規出版、587(1990)
2)文部省:中学校指導書技術・家庭編、開隆堂、61(1989)
3)金子 賢:教師のためのロールプレイング、学事出版、24〜25(1992)
4)金子 賢:教師のためのロールプレイング、学事出版、25(1992)より引用
5)工藤悦子:「家庭生活」領域の実践例、家庭科教育の実践Nn4、明治図書、22〜27(1992)
6)種子島弘子:「家庭生活」領域の実践例、家庭科教育の実践Nn4、明治図書、28〜33(1992)
7)Jains,I.L.etc.:Theinfluenceofroleplaying on opinion change、JournalofAbnormal andSoci9,1Psychology、49、211〜218(1945)
8)三宅正太郎:合科・総合学習における評価の手だてについて、日本科学教育学会研究会研究 報告4、5、53〜56(1990)