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看護基礎教育における状況設定シミュレーションの学習成果 : 「バイタルサイン測定と療養環境を整える援助」の1 回目と2 回目の比較

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Academic year: 2021

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Ⅰ.はじめに

 シミュレーション教育は、実際の臨床場面や事象を再現した 状況の中で、学習者が看護を実施し、その経験を主体的に振り 返ることにより、知識・技術・態度の統合を目指す学習方法で ある1)。看護基礎教育では、タスク・トレーニングやアルゴリ ズム・トレーニング、ロールプレイ、ペーパーペイシェント等 によるシミュレーション教育が実施されてきた。近年では、教 育カリキュラムの過密による主体的に思考して学ぶ機会の減少 や、修得した知識を活用できない2)、臨地実習で獲得できる実 践能力には限界がある等の指摘がされている3)。一方で、少子 高齢化や医療技術等の進歩により、看護職に求められる実践能 力は高まっている。看護基礎教育においても、患者の状況をそ の場で判断し、修得した知識・技術を用い、かつ患者を尊重し た態度で看護を実践する人材の育成が求められる。 要旨  「バイタルサイン測定と療養環境を整える援助」の状況設定シミュレーションを繰り返し実施したことによる、 学習成果を検討した。対象は、「看護アセスメント学Ⅰ」を履修した看護学部1年生58名のうち、同意が得られた 29名(50%)の自己評価票とした。分析は、学習目標、学習意欲、学習項目の1回目と2回目を比較した。  その結果、学習目標の「患者とのコミュニケーション(問診)(P=.001)」「SBARを用いた報告(P<.0001)」、 学習意欲の「自信がついた(P<.0001)」等の自己評価得点の上昇、および学習項目の「問診結果の報告(P<.0001)」 「患者の症状に合わせた提案(P<.0001)」等の「できた」と回答した割合の増加がみられた。学習成果は、繰り 返しシミュレーションにより高まることが確認できた。学習成果の確認ができなかった項目は、デブリーフィング の視点を明確にし、シミュレーターの特性を考慮した学習目標を設定する等の課題が明らかになった。 キーワード  シミュレーション教育,状況設定シミュレーション,学習成果 Abstract

 Learning outcomes were studied by implementation of repeated situation-based simulations.

Twenty-nine (50%) consenting test subjects of the 58 first-year students who had completed “Nursing Assessment Studies I” filled in self-assessment forms. Analysis compared learning objectives, motivation and subjects during the first and second implementation. The results, Increases in self-assessment scores for learning objectives such as “Communication with patients (medical examination by interview) (P=.001)” and “Reporting using SBAR (P<.0001)” and learning motivation such as “Gaining self-confidence (P<.0001)” and the ratio of responses indicating “Success” in areas such as “Reporting the results of medical examination by interview (P<.0001)” and “Making proposals matched to patients’ conditions” of learning subjects were observed.

It was confirmed that learning outcomes increased through repeated simulations. In subjects where it was not possible to confirm learning outcomes by repetition, it was clear that measures such as clarifying the viewpoints upon debriefing and setting learning objectives that takes consideration to the characteristics of the simulator. Key words

 Simulation education, situation-based simulation, leaning effects

看護基礎教育における

状況設定シミュレーションの学習成果

-「バイタルサイン測定と療養環境を整える援助」の 1 回目と 2 回目の比較-

滝 恵津

*1

 髙山 詩穂

*2

 小倉 邦子

*3

 岩永 秀子

*4

The leaning effects of situation-based simulation

in basic nursing education

Comparison of First and Second Simulations -

TAKI,Etsu, TAKAYAMA,Shiho, OGURA,Kuniko and IWANAGA,Hideko



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Ⅵ.本研究の限界と課題

1.結果の一般化について  本研究は、「看護アセスメント学Ⅰ」を履修した1年生58名 のうち、同意が得られた29名(50%)の自己評価票を分析対象 としており、分析結果に、偏りのある可能性がある。  また、状況設定シミュレーション終了直後の回答を対象とし ているため、今後、学習成果が時間の経過とともに、どのよう に変化していくか、検討していく必要がある。 2.自己評価票の妥当性  自己評価票の学習項目の回答は、「できた」または「できない」 の2択としたが、『いかに自己の課題を見出し、次へ繋げてい く』学習過程を促すかを考えると、「できた」または「できない」 に焦点を当てるより、「考えが深まった」や「違う場面でも実 施できる」に変更するなど、自己評価票の回答内容を再検討す る必要がある。 3.全6回の状況設定シミュレーションの学習成果について  本研究は、事例A「バイタルサイン測定と療養環境を整える 援助」の1回目と2回目の学習成果を検討したものであるが、 状況設定シミュレーションは全6回であり、事例Aの1回目の 後は、事例Bおよび事例Cの1回目を実施している。事例Aの 2回目の学習目標や学習意欲に関しては、事例Bおよび事例C の影響が考えられる。

Ⅶ.結論

1.状況設定シミュレーションを繰り返し実施したことにより、 学習目標の「患者とのコミュニケーション(問診)」「SBARを 用いた報告」等および、学習意欲の「自信がついた」等の得点 の上昇、学習項目の「問診の結果を報告できた」「現在の患者 の症状に合わせた何らかの提案ができた」等のできた割合が増 加し、学習成果が高まることが確認された。 2.状況設定シミュレーションの繰り返しによる学習成果の向 上が確認されなかった学習目標および学習項目もあり、援助行 為のひとつひとつの意味づけをデブリーフィングで明確にし、 丁寧に振り返ることや、シミュレーターの特性を十分に考慮し た学習目標・学習項目を設定する等の課題が明らかとなった。 謝辞  本研究にご協力いただきました学生のみなさまに、心より御 礼申し上げます。  本研究は、第6回日本シミュレーション医療教育学会学術大 会にて、一部を発表した。 引用・参考文献 1)阿部幸恵.看護のためのシミュレーション教育.東京,医学書院,2014, 199p.,ISBN978-4-260-01764-0. 2)厚生労働省「看護教育の内容と方法に関する検討会報告書」.https:// www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000013l6y-att/2r98520000013lbh. pdf(2018年8月7日確認) 3)厚生労働省「看護基礎教育の充実に関する検討会報告書」.https:// www.mhlw.go.jp/shingi/2007/04/dl/s0420-13.pdf (2018年8月7日確認) 4)白鳥孝子.学生の主体性を促す教授法~本学アクティブ・ラーニング の現在~「シミュレーション教育」.聖徳の教え育む技法.聖徳大学・ 聖徳大学短期大学部,2015,10,217-222. 5)髙山詩穂,山田恵子,滝恵津,白鳥孝子,髙木初子,水戸美津子.わ が国の看護大学における状況設定シミュレーションの現状と課題.聖 徳大学研究紀要,2016,27,89-94. 6)神田知咲,小西美和子,藤本由美子.看護基礎教育初年次におけるフ ルスケールシミュレーション学習の検討.近大姫路大学看護学部紀要, 2012,5,49-55. 7)相野さとこ,森山美知子.終末期看護場面におけるシミュレーション 学習法を用いた実習前の学生のレディネス向上と臨床判断の育成に関 する効果の検討の試み.日本看護学教育学会誌,2011,21(2),45-56. 8)小西美和子,永島美香,藤原史博,掘理恵,岡谷恵子,増野園惠.看 護基礎教育における卒業前学生を対象としたフルスケールシミュレー ション学習プログラムの開発.近大姫路大学看護学部紀要,2012,5, 41-48. 9)森本美智子,山田隆子.インストラクショナルデザインに基づいた シミュレーション演習プログラムの学習成果と評価:看護実践を導く 思考過程を促進する取り組み.日本看護学教育学会誌,2017,27(2), 41-53. 10)増野園惠.看護基礎教育におけるシミュレーション教育の展望.近代 姫路大学看護学部紀要,2010,3,1-7.

参照

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