マネジメントとシステム理論 (1)
その他のタイトル The Theory and Management of Systms (1)
著者 中辻 卯一
雑誌名 關西大學商學論集
巻 8
号 3‑4
ページ 287‑308
発行年 1963‑10‑30
URL http://hdl.handle.net/10112/00021628
従来経営学では︵経営︶組織に関する研究は数多く展開され
てきた︒しかしそれらは経営の骨組の構成の合理性についての
むしろ静態的な研究にとどまり︑その組織を構成する各ュニッ
トが周囲の環境︑入出力︑意思決定にもとづく各指令等によっ
て︑お互にどのように働くかという動態的な面の研究にまで及
んでいないという不満が残っていた︒
経営組織は︑元来その目的達成に向って︑各成員に仕事を割
振って協働させるための合理的な行為の仕組であり︑各構成ュ
ニットの仕事の内容︑役割またユニット相互間の関係も組織論
研究の発展によって明らかとなっている︒ところが実際の経営
マネジメントとシステム理論
は じ め
に
m
︵中
辻︶
マ ネ ジ メ ン ト と シ ス テ ム 理 論
九七
活動をみる場合︑時々刻々これらのユニットが速動的にしかも
継続的に活動を行っておるのであり︑更にそれら各々の相互の
関連︑影響などは極めて複雑であり︑錯綜したものである︒組
織の各部分についての役割︑性格についてのみでなく︑それら
が全体となって打ち出す動きについては従来の組織論的思考だ
けではどうしても充分把握することができない︒そこに新しく
① 注目されるのがシステム論的研究方法であると考える︒
システム論的アプローチは今日の大企業の複雑性︑多様性の
増大︑活動範囲の拡大に対してシステム概念を適応させ︑特に
経営の動的な活動面に注目し︑それらの活動をより効果的に綜
合できる体制を提供せんとするものである︒
システム理論は新しいものではなく︑その多くは何年も前か
( 1 )
中
辻
卯
①
できればその将来性との関連に及びたいと考える︒ 関連した新しい事例︑研究方法に対するテクニックを検討し︑ マネジメソトとシステム理論ら自然科学の分野では発達し利用もされてきたものである︒更
に︑経営に於てもある特殊な場合にはある程度使用されてきた
︵例特定の軍事防衛組織の計画の立案と管理︑建設計画の如
き単一の投資的計画︶︒しかし現在﹁ジステム﹂という概念に
ついても種々な定義が存在し︑いまだ明瞭な確定的な規定をみ
ない状態でもあり︑特に経営理論の中に完全になじませるまで
にほいたっていない現状と思われる︒それ故︑ここでは主とし
て︑システムの理論をマネジメントの理論に関連させて系統化
し︑その特色を明確なものとする努力のみられる
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~よりながら、
際的な検討を行うため︑マネジメントの基本的機能である計画
機能︑組織機能︑コントロール機能︑コミュニケーショソ機能
に対してシステム概念を適用した場合を考察し︑更にそれらに
磯部喜一︑石田武雄著﹁現代企業と産営咀嘩﹂︵金原出版昭糾︶ 後それらとマネジメソトとの応用的関連についてより詳細な実 まづ一般的﹁システム﹂概念に対する若干の説明を行い︑その 田︵中辻︶
一四
九頁
涌田宏昭稿﹁経営組織と事努組織﹂︵コウナンケイニイケンキュ
ウ第
一巻
第四
号︶
拙稿
﹁シ
ステ
ム研
究に
つい
て﹂
︵商
学論
集第
七巻
第五
号︶
シ ス テ ム 概 念 と マ ネ ジ メ ン ト
﹁システム﹂概念については多くの研究者が種々の表現を用
いているが︑ここでは一番理解されやすいと考える︱つの説明
をまつあげよう︒それは
Ri
ch
ar
d
B•Kershner
! J .
よるもの
①
であ
る︒
﹁シ
ステ
ムと
は︑
一連
の事
象・
事物
︵生
物・
無生
物を
問わ
ず︶
の集合体であり︑それはあるインプットを受け取り︑それらイン
プットにはたらきかけてあるアウトプットを生み出すように挙動
し︑しかもそのインプットとアウトプットとの間のある函数を極
大化
する
こと
を目
的と
して
挙動
する
もの
であ
る︒
﹂こ
の定
義に
は︑
システムズ・エンジニアリングの対象についていくつかの重要な
特性
を︑
かな
りハ
ッキ
リと
示唆
して
いる
︒
第一に︑インブットに﹁慟きかける︵
a c t
u po n
が重要な意味をもっている︒システムはダイミナックなものであ ﹂という言葉)
る3まった<静体的
( s t a
t i c )
な事物は︑シスエムではありえな
ぃ︒
たと
えば
通常
︑人
にと
って
は︑
1
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石は
シス
テム
では
ない
が︑これを地質学的観点より︑泥土←石←砂というプロセスにむすびつければ︑この石は少なくともダイナミックな性格をもって
いる
とい
える
︒
1個の建物は︑それ自体としてはシステムではな
九八
289
マネジメントとシステム理論
(1)
︵ 中 辻 ︶
いが︑これをホテルと見れば︑従業員があり︑営業ルールがあっ て︑またイソ︒フットとして顧客食料品燃料水道︑あるいは 請求書顧客の苦情・注文等が考えられ︑これらを処理してアウ ト︒フット︵たとえば料理"厨介暖房宿泊代請求書等︶を生み出す ッステムと見なすことができる︒そして目的は利益を最大にする ことであり︑多くのサブ・システム︑たとえば冷暖房システム配 水システム会計システム等を含んだ複雑な大システムといえよ う︒このようにシステムは本質的にダイナミックなものであり︑
ジステムズ・ニソジニアリングではダイナミックな数学的手法が きわめて霞要なものとなるのである︒
次に︑重要な点は︑前の定義中の﹁目的として
( w t i h t h e
o b
e j
c t
i v
e o
﹂という言葉である︒つまり︑われわれの考慮の f ) 対象のシステムは︑つねになんらかの人間の目的︑意図を内包し ているのである︒雷雲群は︑インプット︑アウト︒フットを持ち︑
なるほどその挙動はダイナミックである︒したがって数学的解折 の対象には当然なりうる︒しかし︑そこには人間の意図や統制と いう要素はまったくないので︑システムズ・エンジンニアリング の諸手法は︑ほとんど応用の余地がないのである︵人工衛星は対 象となりうる︶︒それ故︑ダイナミックな要素を含む事物の体系 はすべてシステムズ・ニンジニアリソグの取り扱う対象だと考え ることぱ適当でなく︑やぱり︑対象の挙動に人間の意志目的が反 映するようなときにのみ︑システムズ・エンジニアリングが問題 となると考えるべきである︒
最後に︑上記定義で︑﹁イソプットとアウトプットとの問のあ る函数を極大化する﹂ことが﹁目的﹂と述べたが︑これはやや問
九九
ントの場に適用するとき︑どのようなことが理解され認識され
題をせまくしぽりすぎたかに思えるかもしれない︒しかし︑実際 上どんな目的目標値もインプットとアウトプットの値いに関連 づけられるものであるし︑その点を﹁函数﹂という言葉で表現し たわけである︒かつ︑この極大化さるべき函数は︑いわばシステ ムの価値尺度と考えられよう︒システム最適化
( s y s t e m s
o p
t i
m i z a i t o n )
のプロセスは︑結局次の
2つの部分プロセスにわけ
られる︒すなわち︑第
1に︑この︵価値︶函数の設定︑第
2
に 設 定された函数を極大化するようにシステム構成システム挙動を
変化させることである︒この第 1
の ︒ フ ロ セ ス の 方 が 第
2
よ り ず っ とむずかしいことがしばしばあるわけである︒﹁最適化﹂は︑つ ねにいくつかの制約条件下に︑ジステム構成システム挙動の可 変要素を操作することによって遂行される︒しかし実際上︑可変 要素のあるものは変動させることができない場合が多く︑したが って﹁最適化﹂は多くの場合︑﹁狭次最適化
( s u b o p t i m i z a t i o
n ) ﹂ と な る ︒
このように﹁システム﹂は︑ ﹁一っ︱つ組織された︑或は複
合 せ る 全 体
﹂ で あ る が
︑ 著 し く 変 化 複 雑 化 し て い る 外 と 内 の 環 境︑すなわちより大きなシステムとの関連︑逆にそのシステム 内 の 各 サ ブ シ ス テ ム と の 連 絡
︵ シ ス テ ム の 階 層 制 h i e r a r c h y )
︑
また全組織の動的な相互作用としての密接な統一的綜合集団の
R
速動的構造としてのメカニズムな観点が重要である︒
それ故︑このように考えられる﹁システム﹂概念をマネジメ
成︑動態的な活動にともなう行動を認識し︑意思決定のための
客観的な理解されうる環境を示すネットワークのよりよい姿を
④ 提供せんとするものである︵図1
参照
︶︒
このような観点をおしすすめて経営の組織構造や経営行動を
みて行く場合︑従来のものと大きな変化をもった構図があらわ
れるであろうか︒
サイ
モン
(H
er
be
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Si
mo
n)
は︑
サイ
バネ
テイ
ック
ス︑
れ故︑経営のためのシステム理論の目的は︑
﹁シ
ステ
ム﹂
概念
は︑
れた内部及び外部環境に対する︱つの体制を提供するものであ
り︑経営は﹁システム﹂概念を通じて︑一方︑その複雑さの幾
らかをときほぐすことが得られるだろうし︑他方︑経営者が複
雑な問題の性格を認識し︑それによって理解しえた環境内で活
⑧ 動することを助ける考察の一手段を育成するであろう︒
ところで典型的な経営システムは︑入力︑出力︑処理︑統制
機能をもち︑環境によって影響され︑また逆に影響を与えて動
態的
な均
衝状
態(
dy
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ui
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iu
m)
をた
もつ
開放
シス
テ
ム(
op
en
system)であり︑また更に︑数多くの目標を達成す
るためにお互に関連しつつ活動する部分システムでもある︒そ る
であ
ろう
か︒
複雑な全体の構 ︱つの綜合された全体として具体化さ マネジメントとシステム理論山︵中辻︶
ソ的な活動を指導するプログラム的な︑多分大部分がオートマ 自
動制
御理
論︑
電子
計算
機機
能︑
自己
啓発
的問
題解
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等の
最近
の発
展を
擬取
して
︑経
営組
織行
動︑
特に︑その代表的なものとみなされる意思決定の行動の研究の
進展
が︑
将来の組織構造に及ぽす見透しを予測し︑
しい経営組織図が一1︱つの層から構成されると指摘した︒すなわ
ち︑物理的な生産阪売過程の基礎的なシステム︑日々のルーチ 将来の新
テックなものとなる意思決定過程の層︑更に第一線の過程を監
視し︑再設計し︑媒介変数を変化させるノン・プログラム的な
意思決定過程の三つの層が︑なお階層的関係において︑主要な
部門に分割されてあらわれるが︑現在より製造部門が更により
重要なものとなると共に︑購買︑製造︑技術︑阪売等の部門間R の境界線が不明瞭なものとなるだろう︒
システム的研究からしてもこの将来図に本質的には同意され
うるが︑彼の意見の最後の部分にある﹁境界線が不明瞭なもの
となるだろう﹂という点に恐らく関連すると考えるが︑われわ
れはそれ以外に典型的な部門ラインを横切る基礎的な水平的組
織を考える必要がある
将来の組織は︑その基礎を提供するものとしては︑やはり生
産や販売過程が発達し︑その組織の基礎的な活動によく適合す
1 0
0
マ ネ ジ メ ン ト と シ ス テ ム 理 論 田
︵ 中 辻
︶
一
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NextS y s t e m .
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L ‑ ‑ ‑ ‑ ‑‑ ‑
M a t e r : a . I i n p u t s y s t e m
Output
図1.
An O p e r a t i n g ‑ S y s t e m Model
マネジメソトとシステム理論
るように︑セミオートマテックな︑またオートマテックな意思決
定が第二段階におかれ︑更にプログラム的でない高度の性格の 意思決定が組織の最も高い水準で遂行される︒しかし将来の注 意の焦点は︑組織内を通って流れるフローのパターンにより多 くむけられるようになりそうである︒例えば︑材料の流れが︑
材料処理に関係して行われる特定の活動よりもむしろ意思決定 のための焦点となりうる︒すなわち組織内を通り抜ける材料の 流れが最も重要な関心事となり︑各過程において材料が調節さ れ変形されるために行われる機能的な特定の部門活動の方が低 次元の関心事となるだろう︒同様に労働力や資本の如き他の資 源の流れも重視されうるし︑かくて従来の垂直ーー水平的考察
⑥
からフロー・プロセス的考察にその重点が移るだろう︒このこ
とは後述する実例︑
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st
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の如き軍事システム、ロークレマテックス(Rhochrematic~)、
ォートメーショソに使用されるニュメリカル・コソトロール︑
デーク・プロセッシング・システム︑ネットワーク分析の
PE
RT
/P
EP
テクニックに如実にあらわれる︒なお経営者の周 囲にあらわれた最も最近の情勢の進展もシステム概念をふくむ ものであることを示す多くの実例が存在する︒例えばォートメ
(1)
︵中
辻︶
モデルをもった一般的なシステム概念の適用の好例である︒特 ット—ーープロセッサーーー_アウト。フット及びフィードバックの ス ット︑アウト︒フット︑コントロールの各機能をもった自己制御シ
テム
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sy
st
em
)
であり︑周囲の大きなシス
テムの部分システムともみなされる︒石油精製所の如き完全に
オートメーショソ化された︒フロセスシステムは︑原材料のイソ
︒フットから最終製品のアウトプットまでのその全過程が︑作業
節されるように前もって計算されたコントロールによって自動
⑦ 的に行われる︒
インホメーションの流れにもあらわれる︒大型の電子計算装置 をもったデータ・プロセッジソグ・システムの導入は︑イソプ
に完全なオン・ライン
( on ,
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)装置として電子計算機を使用
したリアル・タイムコントロール
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ムは︑将来この分野で最も注目すべきものである︒普通考えら れるニレクトロニック・デーク・プロセッシングの場合は︑数 週間一週間一日等のバッチプロセス方式であるが︑リアル・タ イム・プロセス方式は︑その回数がどれ程多くとも︑すべての
システム概念はまたオートメーションの他の側面︑すなわち
それ自体からフィードバックされる情報によって必要ならば調 ーションに向う傾向がそうである︒オートメーツョソはイソプ
1 0
マネジメントとシステム理論山︵中辻︶
新のものとする方法である︒例えば︑卸売業者の在庫高がファ イルコソビュクーの磁気記憶装慨に︑完全に貯蔵されており︑
注文が受領され処理される毎に︑在庫状態が直ちに更新され︑
継続的な棚卸記録があらゆる時点に於て最新のもので保持さ れ︑品切れ状態に達した場合はその瞬間にその記録が抜粋され て印刷される︒また購入指図書は在庫高が発注点に達した場合 にはすぐに印刷される︒このような処理の水準が将来発展すれ ば︑それらが経営全体の場に拡大されて所謂﹁リアル・クイル マネジメソトコソトロールシステム
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﹂と呼ばれるものとなる︒現在はその活動例 はまだ開発設計段階にとどまっているが︑軍事部門に於ては若 干の例もすでにみられる︒最も有名な応用例が
SA
GE
のそれ
である︒軍事計画や宇宙計画が発達し︑
ha
rd
wa
re
そのものの
製作が全く複雑なものとなり︑種々の要素を綜合する必要が指 摘され︑しばしば極端に高度な確実性を要する生産性の問題が ふくまれると共に︑それを構成する個々の要素或はサブシステ ムの相互関連︑またハードウェア
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ar
dw
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e)
を使いこなす
ソフトウェア
( s o f
t w a r
e ) 等をより確実なものとするためシス テム・ニンジニアリングの活動範囲はますます重要性を帯びて
次にシステム概念の実例として耳新しい用語である﹁ローク
rh
oe
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リッ
ャ語
の川
︑水
蒸気
の如
き流
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レマ
テッ
クス
﹂︵
を︑
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ほ製
品︑
材料
等を
意味
し︑
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)
について
は科
学用
語の
末尾
につ
けら
れる
言葉
であ
る︒
述べておこう︒
過去十年間﹁新しいマーケノティソグ概念﹂に関して多くの 論説が展開されてきたが︑残念ながらこれらの概念は︑大体︑
最終製品の阪売のみに関してのものであり︑その前段階の流れ を含むものではなかった︒それに対してここでかかげる新しい 用語﹁ロークレマテックス﹂は︑システム全体を含ましめるた
販売面の基本的機能を包含し︑
製品
の輸
送︑
処理
︑ めに作られたものであり︑綜合されたシステムとして生産面︑
管理︑貯
蔵︑分配の如き個々の部分的機能の最も効果的な結合を選定で きるようなマテリアル・フロー管理についての科学的アプロー チとして定義されるものである︒すなわちロークレマテックス アプローチは︑原材料から最終消費者に至るまで材料の流れに おけるすべての活動をトータルシステムの要素と考え︑それら の各要素の選定︑配列及び活動をシステムとして処理するため に︑経営の目的にてらして機能の必要事項を再検討し︑他の必 要な機能との関係においてその費用と貢献度とを比較決定する ことである︒この場合各要素及びサブシステムの貢献度︑効率
⑧
取引ごとに変化する現状を記録し︑或はマスクーファイルを最くる
10
1
︱ ︱
マネジメントとシステム理論
は︑イソプットとアウトプットの比較測定によって確められ決
定される︒これによってその不適当な範囲を指摘することもで
きるし︑また状況の変化に適応するようにその作業を経営者が
調節することも可能にする︒典型的な生産活動のもとにおける
資材や情報の流れは︑企業全体を水平に流れ︑機能的権限の垂
直的な構造を横切るものであり︑従来の伝統的な機能別組織を
も っ た 企 業 で は
︑ ト ー タ ル プ ロ セ ス を 有 利 に 実 現 化
するようにできていないから︑経営者はシステム研究の価値を
自覚し︑組織を再評価し︑システムのネットワークとしてそれ
を改造するようにせねばならない︒
マテリアル
ソによるものである︒定義によって︑ロークレマテックスは資
材や情報の全体の流れに関するものであり︑また数多くの別個
システムの多様な機能を包含するものであるから︑トータル
を定めるための数学的方程式を作ることは非常に困難である︒
それに対してシミ.ュレーションは︑資材情報︑労働力の流れや
種々の水準をあらわすために作られた一連の簡単な代数方程式
を通じて︑研究対象としているシステムを研究者が再現するこ
とを許すものである︒もしシステムが数多くの簡単なかなり平
易な方程式であらわすことができたならば︑数十日問︑数週間 フローを研究する最良の方法はシミュレーショ
シス
テム
も︑莫大な数の変数や多数の方程式を含むので︑その処理には
計算機の助けがぜひ必要となってくる︒特に大規模の活動のシ
ミュレーションを行う場合には大型の電子計算装置を使用でき
なければ不可能である︒またオペレーションズリサーチの採用
もシミュレーション技法を補充するものである︒シミュレーシ
ョソによる方法はトータルシステムを記述し︑多くの場合よ なく︑また数多くの複雑な数学を使用するものではないけれど シミュレーショソの設計は過度に複雑なものでは 手がかりを得る︒ 営者はそれ以降の意思決定やより詳細な調査を行うための好い 最も敏感であるかを見出すために一定期間の実験を行うと︑経
フロ
ー
田︵中辻︶
或は数年間の活動をシミュレートすることができ︑そしてその
結果を同期間の実際と比較する︒この方法で意思決定を行う人
は︑その︒フロセスの欠点を理解する︒また政策の変更がトーク
ルプロセスのどれか︱つの部分に加えられ︑この変化の影響
がシミュレートされた活動結果を媒介として評価することがで
きる︒この方法は新しいアプロトチを実際に施行する危険をお
かすことなく︑またシステム変更にともなう必要経費を使用せ
ずにその提案を試験し評価する機会を経営者に与える︒システ
ム全体の色々の部分の変化を計画し︑どの部分が変化に対して
10
四
りよい活動を行う方向を指示するのであるが︑目標の最適化の
ためには
O
R技術の助けが必要となる︒
これに関する研究では
Ja
W .
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教授の指導のも
とで
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田︵中辻︶ フィードバックの特色と
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ダイナミックス過去六年間行われてきた﹁インダストリアル
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u st r
i al
dy
na
mi
cs
)﹂の研究が重要である︒その研究モデ
ルは︑閉ループのイソホメーション
統合された意思決定の手続をもった正確な数学的形式で記述さ
れたものであり︑計数型電子計算機
( I B M
7 0 4 )
によるシミュ
レーショソ技術を使用したものである︒そこには材料の流れ︑
情報指令の流れ︑貨幣の流れ︑資本的設備の購入︑使用︑労働
カの使用︑変動を示す五つの相互関連のあるサプシステムがあ
り︑情報の流れ或は意思決定のネッートワークによって︑それ
⑨ らすべてが相互に連絡されている︒
Ha
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ev
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では︑生産ー販売システム
のシミューレーションモデルによって︑例えば消費者の購入率増
大にともなう小売店の発注量増加が︑中間販売業者の発注量︑在
庫蓋︑製造業者の在庫高︑生産高等に時間的遅れをともなって影
響する波動状態を種々の制約条件︵注文回数の不規則性︑生産能
カの
変化
︑限
界︑
事労
処理
活動
の陰
路障
害︑
広告
宣伝
の影
響等
︶
⑩
を加
味し
て検
討し
た研
究が
紹介
され
てい
る︒
マネジメントとシステム理論
で
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五
以上記述したこれらの諸例は︑システム概念の拡大と綜合的マネジメソトの必要がますます増大することを示す︒多くの湯合システムの重要性が明瞭に認識され︑そしてマネジメソトの過程に利用される︒そこでわれわれはシステム概念にもとづくマネジメソトの理論を考察し︑各サプシステムが全体的な企業目的のためにより効果的に作用できる体系を考え︑それを意義あるものとし︑如何に能率的に利用されるかを検討する必要がある︒そのためまづ主要なマネジメソトの機能の各々が如何にシステム概念と関連されうるかを示そう︒注①
R.B•Kershner,
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19 60
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19 60
. pp. 4950
石田
武雄
稿﹁
無確
定的
意志
決定
﹂︵
青山
経済
論集
第十
四巻
第二
号︶
296
ところでシステム論的に計画を考察することは︑企業を数多 計画は環境や内部の動きの変化に対して利用される資源︵資材︑ニネルギー︑情報︶を︑目的にそって最大の効果を発揮するように適合させようとする最も動態的な機能であり︑また他のマネジメソトの活動に対する確実な基礎を提供するために︑一番最初に効果的に遂行されねばならないものである︒企業をとりまく産業的︑社会的︑政活的環境はますます複雑化しつつあるので︑将来の不確定性を最小にせんとする計画は︑より一層重要な経営活動となりつつある︒急速に進歩する技術も亦計画の必要性を強調する︒
⑨ ⑦ ⑥
計画化とシステム概念
マネジメソトとッステム理論
R .
A .
J o h n s o n a n d o t h e r s ,
i b i d . p p 1 . 2 1 3 i b i d . p p . 5 1 1 7 . R i b i d . p p .
1 9
9 2
0 3
i b i d . p p .
1 5
1
7 ,
1 4
4 1
4 7
,
2 3
6 2
3 9
F•Helmut
W e y m a r , I
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b e t w e e n
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F i r m a n d i t s M a r k e t , i n M a r k e t i n g a n d t h e C o m p u t e r , 9 6 1 3 . p p .
2 6
9 2
7 3
F r a n k J . J a s i n s k i , A d a p t i n g O
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New
T e
c h
n o
l o
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, H
. B
. R
. J a n . , F e b . 1 9 5 9 . p p . 7 9 8 0
⑩
J a y W . F o
r r
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I
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u s
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l
D y n a m i c s , H . B . R
.
J u
l y
, A
u g
. 1 9 5 8 . p p . 7 3 6 6
(1)
︵中
辻︶
くの意思決定のサブシステムの綜合されたものとみなすことで
あり︑環境や内部活動の多くの重要な変化の結果に対応して展
開することである︒システム概念のもとにおいては︑計画過程は
システムの変化を遂行するための手段と考えることができる︒
計画なしではシステムは変化することができないし︑また変化
した環境の動きに適応することができない︒この点は社会的組
織が他の開放システムと巽るところであり︑この場合︑変化︑
革新に対する唯一の手段は人間の意思決定と計画過程である︒
また︑更に進んだ機械化やオートメーショソの出現は︑もは
や計画を職能的な基盤販売︑財務︑生産等ーで考えるこ
とを不可能にする︒むしろあらゆる機能的な活動を一つの一体
化されたシステムとして綜合的に計画することを必要とする︒
例えばオートメーショソでは︑個々の消費者の好みやその他の
数多ぐの変化に合うように製品の質や設計を容易に変えること
ができない︒これらの要素はある期間は不変の標準化されたも
のとなる︒それ故︑計画もマーケッテング︑財務︑生産等の全
体の機能が系統的な基礎をもって総合されねばならない︒
種々の機能的な領域の意思決定を綜合するための一つの考え
は︑企業内の情報︑指令︑資材︑労働力︑資本設備︑貨幣の流れ
の概念である︒計画は各機能個々の遂行に集中されるのではな
1 0
六
297
山︵中辻︶ ケーショソや意思決定の近代的技術の多くが流れの概念に利用される︒過去二十年間に計画や意思決定を行う経営過程の変化を予想する若千の重要な発展が生じた︒これらの革新は︑電子計算機︑数学的手法及びシステム概念を通じて可能となった︒これらの発展の意義をよりよく理解するのに︑サイモンが分類図示した伝統的な及び近代的な意思決定の方法が参考になる︵ 表
1参
照︶
︒
典型的な経営構造をシステムによる経営の悴組内に適合する
ように調整するとすると︑ある程度の組織的変化が必要となる
だろう︒トップマネジメントにおける相互関係のみについて示
してみると図2の如くになるだろうと考えられる︒この場合︑
計画は三つの段階において行われる︒まづ第一は︑主要計画委
員会で行う最高水準の計画であり︑企業の製品或はサービスに
関する決定を行うための広範な政策と目標を確立し︑活動計画
の設計︑その限度に関する一般政策事項を決定し︑新しい計画
マネジメントとシステム理論 の流れと一定の相互作用の動態的な性格が強調され︑コミュ 織は別々の機能活動の集合したものではなくして︑その中を流れる情報︑資材︑労働力︑資本設備︑貨幣の流れが︑企業の成長と繁栄を決定する基礎的な力となるシステムである︒これら く︑これらの流れに集められる︒この計画概念のもとでは︑組
表
1 Tradittional and Modern Techniques o f Decision Making
1 0
七
TYPES OF DECISIONS I DECISION‑MAKING TECHNIQUES T r a d i t i o n a l Modern Programmed: 1 1 . Habit 1 . O p e r a t i o n s
R o u t i n e , r e p e t i t i v e 1 2 . C l e r i c a l r o u t i n e : Research:
d e e c c i i s s i i o n s
IStandard o p e r a t i n g Mathematical O r g a n i z a t i o n d e v e l o p s ! procedures a n a l y s i s Models s p e c i : f i c p r o c e s s e s f o r 1 3 . Organization s t r u c t u r e : Computer handling them I C ommon e x p e c t a t i o n s s i m u l a t i o n
A system o f s u b g o a l s 2 . E l e c t r o n i c d a t a W e l l ‑ d e f i n e d i n f o r m a t i o n a l p r o c e s s i n g channels
Nonprogrammed:
ILJudgment, i n t u i t i o n , and O n e ‑ s h o t , i l l ‑ s t r u c t u r e d ! c r e a t i v i t y
n o v e l , p o l i c y d e c i s i o n s 1 2 . Rules o f thumb Handled by g e n e r a l 1 3 . S e l e c t i o n and t r a i n i n g o f p r o b l e m ‑ s o l v i n g e x e c u t i v e s
p r o c e s s e s
H e u r i s t i c problem‑
s o l v i n g t e c h n i q u e s a p p l i e d t o : ( a ) t r a i n i n g human
d e c i s i o n makers ( b ) c o n s t r u c t i n g
h e u r i s t i c computer programs
Source : H.A. Simon, The New S c i e n c e o f Management D e c i s i o n , 1 9 6 0 . p . 8
│ P r e s i d e n t │
I F i group n a n C l a I
II
Iplanning c Ma;ter │
―Idevt
霊孟盟需up │
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―I Market research g r o u p 1
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マネジメントとシステム理論
(1)
︵中
辻︶
図
2 The Systems Model: Top Management
を行う監督者を選定する︒これらの作業は︑製品調査︑開発︑
市場調査︑財務研究担当者︵セントラル
意思決定の多くは︑ノソ
奇な︑重要なものであり︑ スタッフ︶の援助と
助言によって︑外部及び競争者の情報を入手し︑内部からのフ
その場合経営科学
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t の新しい技術の若干のものは利用可能ではあるが︑
しかし経験に富む革新的な経営首脳の全般的情勢に対する熟慰
された評価に重要な信頼がおかれる︒これらの広範な計画が行
われたならば︑第二段階として︑設備や労働力の配分計画を行
い︑個々のシステム設計に対する技術援助を行う︒この計両段
階はプログラム的意思決定ー
0
Rや電子計算機を十分利用す
ることができるものである︒第三段階︑すなわち各計画或は設
備システムの活動計画は︑計画委員会によって確立された必要
掌項に適合するように︑各資源を適正に配分することに主とし
て関連するものであり︑これらは最も容易にオートマテソクな
デシジョンシステムとして計画できるものである︒しかし計'
画監督者は︑なお最的に取扱い得ない重要なインプットを処理
すると共に︑計画過程の邪開になるような多くの些細な冗長的
な情報を取除く責任がある︒ s c
i e n c
e )
︒フログラミングな︑非構造的な︑新 ィードバックされた情報と結びつけて行われる︒この段階での