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写真を用いた絵画制作についての研究

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Academic year: 2021

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《Memory recall》 キャンバス 油彩 各727×606 (mm) 私は修士課程で若い女性を対象に取り上げ制作をしてきた。制作では日頃から作品を介し

た第三者とのより高度な視覚的、心情的共有をすることを目標としている。そのために人 物、モチーフ、色彩を画面上の空間にどのように構成することがより第三者にとって分かり やすく、かつ、魅力的な人物画になるかを自身の制作体験を通して検証することとした。な ので、修了制作では自分自身の心情を反映しやすい同年代の女性をモチーフとして描いてい る。美術の世界では人物を主題とした絵画は多い。特に女性を描いた作品は多く、日本画で は美人画と呼ばれるジャンルが存在するほどで、日本画における人物画での背景及び空間 は、作品の中でもっとも重要な要素である。描かれた人物がいつ、何処で、どういった状況 にあるかを語るものでなくてはならず、日本画的な余白と色彩や簡略化された形を構成する ことで、現代に生きる人物を魅力的に表現することを課題として制作に取り組んだ。

本稿は二章構成となっており、第一章では、学部4年間と修士課程2年間の過去作を取り 上げ、修了制作《ありていの月》の動機とその経緯について述べている。

第二章では、本制作における構図と色彩について考察および実証していく。考察の部分で は自身が影響を受けた長沢芦雪の構図に注目して、本修了制作の構想について考察していく とともに構想、小下図、草稿での色彩と構図の変遷、意図についても述べている。また、技 術的な面で自分のイメージしている表現に近づけるために、本画に入る前の段階で洋金箔、

銀箔の腐食具合を比較した実験パネルを複数制作した。それにより、本修了制作が構図、色 彩の面において、より意図した表現に近づいたと考えている。

おわりにでは、今後の日本画制作において、より高度な次元の作品を制作していくために 本修了制作の総括と今後の展望を示した。

《Memory recall》

写真を用いた絵画制作についての研究

~〈図像〉的な絵画を目指して~

《Memory recall》

A Study on Paintings Using Photographs

~ Searching for “Figure” Painting ~

湯谷 友貴

Yuuki YUTANI

崇城大学大学院芸術研究科美術専攻 Division of Fine Art, Graduate School of Art, Sojo University

212 崇城大学芸術学部研究紀要 第 14 号 213

(2)

現在、スマホの普及やSNSの発達によって私たちの日常には、画像や写真が溢れかえっ ている。スマホなどの通信機器にはカメラが付いていることが当たり前になっており、写真 を撮るという行為自体が身近なものとなっている。そのこともあり、美術の作品制作におい ても写真を使用することは普通のこととなっている。中学高校の美術の授業内でも描きたい 対象をカメラで撮ってその写真を資料として使い、作品制作を行うという指導が行われてい る。1839年に写真が発明されてからたくさんの画家が絵画制作に写真を使ってきた。ま た、それ以前からもカメラの前段階に当たると言えるカメラオブスクラ(camera obscura)

などの光学機器は 17世紀ごろから絵画制作に使われてきたと言われている。フェルメール もまたその一人であると言われており、デビット・ホックニーによるとカラヴァッジョや シャルダンもまた光学機器を使っていたのではないかとみられている。これらのことからも 美術史的な視点から見ても写真を使用して制作を行うことは珍しいことではない。筆者もま た絵画作品の制作において写真を用いていた 1人である。ただ学部4年次からは意図的に写 真を使うようになっており、修了制作でもまた意図的に写真を用いている。本稿では、自身 が制作に写真を用いた経緯を説明・考察し、その上で今回の修了制作作品である《Memory recall》について考えていく。

《Memory recall》は、同じ写真をもとに同じキャンバスサイズ(F20号)に複数制作を 行った連作の作品である。作品に使った写真には自身が幼い頃の家族の集合写真を選んだ。

自身の制作のテーマは「匂い」の表現であり、ここで使っている「匂い」は、哲学者ジル• ドゥルーズの『感覚の論理学』に出てくる〈図像〉に繋がると考えており、そのキーワード をもとに本作品を制作した。

今回連作という形式をとったことで、数点ではあるがジル・ドゥルーズの言う〈図像〉的 な絵画を制作することができた。何枚も描くことで〈図像〉に必要である〈図表〉的な要素 をうまく画面に取り入れることができたのではないかと感じている。そのため、本作は自身 が目標にしていた〈図像〉的な作品に近づいたと考える。

ロング・テイクによる現実と幻想の共存の映像表現

~ホームレスをテーマにした短編映画《萋萋》の制作~

The coexistence of reality and fantasy by long take

-A short film about homeless “The dream of ruins”-

韋 禹西

Yi YUSAI

崇城大学大学院芸術研究科デザイン専攻 Division of Design, Graduate school of Art, Sojo University

214 崇城大学芸術学部研究紀要 第 14 号 215

参照

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