地 域 企 業 経 営 に お け る環 境 問 題 認 識
Loc a lbu s i ne s s e sa ndt he i rr e c o g ni t i o no ft hee nv i r o nme nt
井 手 義 則
t DE
.Yo s hi n o r i
1
.問題の所在企業を取 り巻 く経営環境 は、近年、その変化 が著 しい。 さまざまな経営環境それぞれの内容 が変質す るとともに、企業が対応すべ き範囲が 従来 より拡大 している。 そ うした変化を象徴す るのが環境問題である。従来の経済的要素か ら だけではな く、地球環境問題 に対す る企業 とし ての取 り組み方、 また考え方の如何が問われて いるのであ り、国内的視点か らばか りではな く 国際的視点か らも環境調和型経営が求め られ、
企業 にとっては、環境問題を組み込んだ新 たな 経営戦略の構築が不可避 となっている。
もちろん、 この環境問題の発生 は、企業経営 にとっては決 して突発的な経営環境変化ではな い1)。環境問題への社会的関心 は、
1 9 6 0
年代 の 公害問題か ら、1 9 8 0
年代 に顕在化 したグローバ ルな地球環境問題へ と拡大 して きたが、それ と ともに、企業が考慮すべ き経営環境 としての環 境問題の範囲 も拡大 し、深化 して きた。 こうした環境問題への社会的関心の高 まりは、企業経 営 にとっては、従来か ら存在 した課題である環 境問題‑の、新 たな取 り組みを促す契機 ・要因
とな っている。
その意味で、現在の環境問題 は、企業経営 に とって は古 くて新 しい経営課題 なのであるが、
従来型の公害問題 に対す るわが国企業の対応を、
公害発生防止技術、環境保全技術の開発 と保有 とい う面か ら見れば、その後の環境問題への対 応の重要 な技術的基盤 として高 く評価 されてい
る2)。 しか し、現在の、多様化 と広域化 が進 む 環境問題への対応 とい う面か ら見れば、公害対 策期 に主流 であ った事後 的対策 ・排 出源対 策 (ェ ン ド・オブ ・パイプ) で は不十分 であ り、
事業活動全般 にわたる環境配慮型経営へ という 経営理念の確立、経営戦略の発想転換が、緊急 かっ不可欠 にな って きている。
では、 こうした経営環境面での変化 に直面 し ている企業 自身 は、新たな課題を突 きつけてい る環境問題 に対 して、 どのような意識を持 って いるのであろうか。本稿の課題 は、各種実態調 査結果を手がか りに しなが ら、地域 に存立す る 中小企業の、環境問題 に対す る意識 ・認識状況 を明 らかにす ることにある。以下、環境問題 と 企業経営 との関連性を整理 した上で、各種実態 調査 に現れた企業の環境意識、環境問題への取 り組み状況や環境問題取 り組みに対す るメ リッ
ト・デメ リッ ト意識等々を検討 し、問題点 ・課 題を明 らかにす る。
2.
企業経営 と環境問題現代社会 における経済活動 の急速 な拡大 は、
主要 な活動主体である企業 ・産業側の意図の如 何 に関わ らず、結果的には環境問題を引 き起 こ
した。つまり、環境破壊 は、 これまでの経済諸 活動の結果であるともいえ るのであ り、そ うし た従来型の経済活動3)の枠組み (システム) そ の ものへの問いかけが、現代 の環境問題なので ある。
井手義則
さまざまな環境問題 に対 して、原因の科学的 解明、技術的対応、法的規制等 々の要求が社会 的に拡大す るとともに、企業 ・産業に対 しては、
「市場」 を通 じた環境対策 の実行 が求 め られて いる。企業 ・産業側 にとって は、環境 リスクへ の対応能力の強化、 コス ト計算基準 の見直 し、
情報開示 の強化等 々を経営戦略に組 み込み、環 境問題への対応策 を確立す ることが、重要かつ 緊急 な課題 とな っている。 こうした段階 にある ことか ら、環境関連産業 ・環境 ビジネスの量的 拡大 と質的変容が不可避 となっているのである。
この環境 ビジネスの成長 ・展開を促 した背景 と して は、 おおよそ
3
つの ものが考え られ る。その第
1
は、現代社会が今後長期 にわた って 担 わざるをえない課題、その解決 に向けての方 策 を探 り続 けざるを得 ない課題の出現である。具体的 には、今後 の世界人 口爆発問題 と、 この 人 口爆発 に付随す る資源 ・エネルギー多消費問 題 との両者を基底 に して必然的に生起 した環境 問題 である4)。 この環境問題への対応不可避性 と緊急性が、環境 ビジネス成長 ・展開の直接的 契機 とな った。
第
2
は、生起 した環境問題 その ものの性格変 化か ら生 じて い る。 つ ま り、 当初、 いわゆ る"公害問題" として意識 された環境問題 は、世 界的なェネルギー危機への対処 としての ̀̀省 エ ネ ・省資源問題"へ、次 いで、現在 の "地球環 境問題"へ と変化 して きた。 こうした変化 の中 で、環境問題 は、個別産業 ・企業や限定 された 地域 の問題か らよ り広範 な国民的課題‑、更 に は世界的な課題へ と変化 し、 それに伴 って、環 境 ビジネスもまた拡大す る背景 を与え られた。
第
3
は、経済 システムをめ ぐる理念 の変化が もた らした ものである。従来の大量生産 ・大量 流通 ・大量消費 に基づ く市場 メカニズムを支え た経済理念、すなわち規模 の経済性 の追求 とい う理念が、環境問題意識 の拡大 とともにその限 界 に突 き当た り、代 わ って、循環型経済 システ ムへの移行が不可避であるとの認識が、産業界において も共通化 しつつある。
こうした背景の もと、環境 ビジネスは急展開 を遂 げ、対象範囲の拡張 と市場規模 の拡大が続 いている。 いわゆ る公害時代 と石油危機後 の省 エネ時代 の環境 ビジネスは、事業範囲が限定的 で、水質汚濁防止、大気汚染防止、騒音 ・振動 防止、 ゴ ミ処理装置等、 エ ン ド・オブ ・パ イプ 型 の公害防止装置 ビジネスが中心であ ったこと か ら、 "狭義 の環境 ビジネス''とも呼ばれ得 る。
それに対 し、国際的 に も国内的に も環境問題‑
の関心が拡大す るなかで、環境問題対象の産業 分野 も拡大 し、従来型 の環境 ビジネス分野 を越 えて環境修復 ・創造関連分野、環境調和製品関 連分野、 さ らにはサー ビスを含 めた環境支援関 連分野等 々の、 いわば "広義 の環境 ビジネス"
が成立 し成長 している。
この環境 ビジネスの区分 については、 さまざ まな基準 に基づいた考え方 が あ るが、 「平成
6
年度環境 自書」 に示 された分類がその代表例 と いえ る。①環境負荷 を低減 させ る装置の製造、②環境‑の負荷 の少 ない商品の製造、(卦環境保 全 に資す るサー ビスの提供、④社会基盤 の整備 等、 とい う
4
つの領域 に分類 され、以後、 これ が流布 し一般化 している5)。 この うち、 上述 の"狭義 の環境 ビジネス" にはぼ該 当す るのが
"(9環境負荷を低減 させ る装置の製造"で、 こ れを含 めた
4
つの領域全てを含むのが "広義 の 環境 ビジネス''に当てはまると考え られ る。他 方、 "技術系環境 ビジネス (ハ ー ド系) " と"人文系環境 ビジネス (情報 ・ソフ ト系) に大 別す る考え方 もあ り6)、環境 ビジネスの対象範 囲が拡大 していることを象徴 している。
ところで、環境問題 は、 その全てが同時並行 的に発生 し、展開す るので はない。 したが って、
環境 ビジネス もまた、 その全てが市場 において 同時並行的 に成立 し、発展す るわけではない。
その意味で、「環境 ビジネスの市場 は、 右肩上 が りに成長 してい く市場 とい うよ りは、 さまざ まな環境問題 が出現 しそれを解消す るために市
場 が形成 され、
5
年 か ら1 0
年 のサ イ クルで社会 システムに ビル トイ ンされ ることによ って、市 場 が縮小 して い くとい った ライ フサ イ クルの ビジネスが多 く出現 す る
」
7)ことにな る。そ こで当然、個 々具体 的 な環境 ビジネスは、
環境 問題 の消長 に伴 う市場 の発生、発展、成長、
成熟、 そ して消滅 とい うライ フサ イ クルをふ ま えつつ展開 され ざ るを得 ない。 したが ってまた、
環境 問題 に取 り組 む企業 には、環境 問題 の内容 変化 の的確 な把握 と対応、 そ して対応姿勢 の柔 軟性 が、常 に求 め られ ることにな る。
いずれ にせ よ、今後 の企業経営 は、環境問題 抜 きには成立 しない とい って も過言 で はない。
企業 の経営環境変化 が激 しい中、環境問題へ の 対応 こそが最重要課題 だ と喧伝 され、今後 の企 業 の存立条件 と して、従来最 も重要祝 されて き た 「経 済 性
」
(成 長 や効 率 )、 それ を補 完 す る「社会性」 (文化 や社会貢献)、 「人 間性
」
(ゆ と りや福利厚生) に加 えて、新 しく 「環境性」視 点 の不可欠性 が指摘 され る8)の も、 そ の点 を踏まえての ことで あ る。
で は、 この環境問題 と今後 の企業経営 との関 連 は、現実 の経営 の中で どのよ うに意識 されて い るのであろ うか。以下、 その実態 を検討 し課 題 を析 出す る。
3.
企業 の環境 問題意識 の現状直接 的か間接 的かの違 いはあれ、環境 問題 が 今後 の企業活動 に とって不可避 的 な対応課題 と な る中で、企業 自体 は、環境問題 に対 して どの 程度 の関心 を持 ち、 どの よ うな環境 問題 に取 り 組 んで いるのか、また、対応策実施 によるメ リッ トやデ メ リッ トを どのよ うに意識 しているのか。
ここで は、全国各地域 で実施 され た環境関連 の実態調査報告書9)を素材 と して、 そ の現 況 を 明 らか にす る。 もちろん各調査 は、具体 的 な調 査 日的、調査時期、調査対象、調査項 目等、統 一 された もので はない。 しか し、 そのいずれ も が、各地域 に存立 す る企業っ ま り地域 中小企業 を調査対象 と し、調査主体 は地域 の公的調査機 関 (各 自治体 の公社 や情報 セ ンター) で、地域 企業 の環境対応状況 の把握 を 目的 と して いる点
は共通 であ る。
で はまず、企業 が、環境 問題 その ものに対 し て どの程度 の関心 を持 って い るのか、 とい う点 か ら検証 す る。表
1
に示 された結果 か ら、各地 域間で若干 の幅 はあ る もの の、 「非 常 に関心 が あ る」 と 「多少関心 が あ る」
を合計す るとそれ ぞれ ほぼ8
割〜 9
割 に達 し、各地域 に存立 す る 中小企業 が、環境 問題 を強 く意識 して いること が明 らかであ る。表 1 環 境 問 題 へ の 関 心
非 常 に 関 心 が あ る 多 少 関 心 が あ る あ ま り な い 全 く な い
長 崎
24. 6 55. 3 1 7. 9 2. 0
佐 賀 (診
40. 3 55. 6 3. 6 0
.4宮 崎 ‑
29
.349. 6 1 9. 9 1 . 2
福 岡
35. 6 56. 7 7
.50. 2
千 葉
42. 7 37. 6 1 7. 1 2. 6
注(1):表 に示 した県名 は、下記 の資料名 を省略 した ものである。以下同 じ。
長崎
‑
「容器包装 リサイ クル法 に関す る調査報告書」長崎県中小企業振興公社 平成10年3月 佐賀③‑
「佐賀県中小企業地球環境問題実態調査」佐賀産業技術情報 セ ンター 平成6
年3
月宮崎
‑
「宮崎県 の事業所概況 とェネルギー環境問題‑の対応 に関す る実態調査報告書」 宮崎県産業技術情報 セ ンター 平成7年3月 福岡‑
「中小企業 における地球環境問題実態調査報告書」 福岡県中小企業情報 セ ンター 平成6年3月千葉
‑
「企業活動 と リサ イクル実態調査報告書」
千葉県 中小企業振興公社 平成9
年3
月 東京①‑
「中小企業 の環境 ビジネス実態調査報告書」 東京都中小企業振興公社 平成10年3月 (2):無回答 (不明を含 む) を入れて いないので、合計 は100%にな らない。井手義則
表
2
関 心 の あ る環 境 問 題地 球.温 暖 化 オ ゾ ン 層 破 壊 大 気 汚 染 水 質 悪 化 廃 棄 物 問 題 ,リサ イ クル 佐 賀 (D
5. 2 1 2
.4 ‑‑ 6 0. 7 3 5. 2
大 分1 2
.49. 5 1 4. ̲ 6 1 7. 5 54. 7 3 2. 1
注(1):表 に示 した県名 は、下記 の資料名を省略 した ものである。以下同 じ。
佐賀①
‑
「佐賀県内製造業 における地球環境問題実態調査報告書」 佐賀県産業技術情報 セ ンター 平成8
年3
月 大分‑
「省 エネルギーの意識 と実態 に関す る調査報告書」 大分県地域掲載情報 セ ンター 平成8
年1
月 東京②‑
「中小企業等の省 エネルギーに関す る実態調査報告書」 東京都中小企業振興公社 平成8
年3
月(2):各調査の調査項 目は統一 されていないので、中心 となる項 目を抽出 して作成 した。 また、調査 によ っては、 これ らの項 目以 外 の選択 肢 も挙 げ られているが、 ここで は他の項 目は省略 した。 なお、
では、具体的 にどのよ うな環境問題 に関心 を 持 っているのであろ うか。表
2
に、 【佐賀①】、【大分】、 【東京②】 の
3
つの調査結果を示 し た. 【東京(参】で、 ここに挙 げた全ての項 目に 対 して高 い関心度 を示 しているのが目につ くが、それ とともに特徴的なのは、 「廃棄物 問題」 の 比率が これ ら
3
地域 に共通 して最大値 を示 して いることである。 また、 【佐賀①】 と 【大分】では、「リサイクル」 の比率 が 「廃棄物 問題」
に次 いで高 く、他 の項 目を圧 している。 当然 の
各調査 とも複数回答であるO
こととはいえ、企業 の "身近 な環境問題"への 関心が高 い。
主要 な関心 の対象 は、上述 のように企業 自ら の身近 な環境問題であるが、で は、実際に取 り 組んでいる、 あるいは取 り組 もうとしている環 境問題 は何か。質問事項 に共通項 目の多 い 【岐 阜】 と 【佐賀②】 をみ る (表
3)
と、表2
の結 果 を反映 して、「リサイクル」、「廃棄物処理」、「公害防止」等が、企業 に とって の現実 的 な環 境問題対策であることが示 されている。
表
3
取 り組 ん で い る 環 境 問 題リサ イ ク ル 廃 棄 物 処 理 公 害 防 止 汚 染 物 質 回 収 省 資 源 そ の 他 岐 阜
42. 9 41. 8 39. 9 36
.423. 2 21. 8
注 :(1)表 に示 した県名 は、下記の資料名 を省略 した ものである。以下同 じ。
岐阜
‑
「岐阜県中小企業の環境 にや さ しい企業‑の取 り組みに向けて」 岐阜県 シンクタンク 平成6年3月 佐賀②‑
「環境 マネジメ ン トシステム意識調査報告書」 佐賀県地域産業支援セ ンター 平成1 0
年3
月(2)【岐阜】での調査項 目は多 いが、表示 した もの以外 は 「その他」 に統一 した。 なお、 【岐阜】 は複数回答である。
表4 環 境 対 策 実 施 に よ る企 業 メ リ ッ ト
経 費 削 減 福 岡 社 会 的 責 任 の 達 成 イ メー ジ ア ッ プ 地 域 社 会 へ の 貢 献
6 5. 5 36. 5 6 4. 7
広 告 宣 伝 効 果 従 業 員 志 気 向 上 そ の 他取 引 先 拡 大 東 京 ① 売 上 増 大 技 術 蓄 積 人 的 ネットワーク形 成 企 業 イメ
‑ シ
●向 上37. 0 41 . 3 8. 7 34. 8
人 材 採 用 容 易 化 人 材 活 用 社 員 モ ラル1句上 特 に な し荏 :(1)県名 とその資料名 は前出の通 り。
( 2 )
各調査 とも複数回答である。こうした環境問題への対応 によ り、企業 はど のよ うな メ リッ トがあると意識 しているのであ ろ うか。表
4
に 【福岡】 と 【東京(》】 での調査 結果 を示す。両者間 に設問事項 の違 いがあ るた め一概 には云 えないので あ るが、 【福 岡】 で は 対 外 的 な メ リ ッ トが 強 く意 識 さ れ 、 【東 京 (丑】 で は内部的なメ リッ トが大 きい と意識 され ていると考 え られ る。 いずれにせ よ企業 は、 こ れ らを総合 した ものが、環境問題への対応か ら 生 じるメ リッ トと位置づ けている、 と云えよう。こうしたメ リッ ト意識 の反面、問題点 と して 挙 げ られている ものを、表
5‑1
および表5‑
2
に示 した。 まず表5‑ 1
の 【岐阜 】 で は、「資金負担」 の問題が他 の項 目を圧倒 し、 それ に次 ぐのが 「コス ト増
」
で、経済的側面 か らの 課題意識が強 い。 それに対 して 【東京(D】では、「技術開発費用
」
「開発 スタ ッフ確保」
「技術 開 発時間の長 さ」等、技術面か らの問題点指摘 が表
5‑ 1
問 題 点 (1)
大 き く、 その他 「販路確保」 や 「情報入手」 に ついて も、問題点 と して意識 されて いる。 この よ うに、環境問題‑の対応 に際 して企業 が意識 している問題点 は、主 と して経済面 と技術面 の
2
側面 か ら生 じてお り、 それを端的 に示 す とと もに、 もうひ とつの重要 な問題点 を明 らかにす るのが、表5‑ 2
に示 された結果であ る。 これ は、 【沖縄】 と 【東京2】 の省 エネルギー対策 関連調査結果である。 したが って、環境問題全 般への問題点 を示 した もので はな く、省 エネル ギー関連 とい うやや個別的対策 の際 に意識 され ている問題点 で はあるが、経済面、技術面 とと もに、「知識 ・情報不足」 が、 強 く意識 されて いることがわか る。ここか ら、環境問題‑の対応 に際 して、企業 が関連情報 の収集 に苦慮 してい る姿が浮かび上 が って くる。現代が情報化社会 とはいわれて久 しいが、新 しい経営環境 と しての環境 問題 に関
岐 阜 資 金 負 担 ブ ス ト増 価 格 転 嫁 の 困 難 消 費 者 の 理 解
49. 2 21 . 2 1 3. 6 1 2. 9
技 術 問 題 土 地 問 題 体 制 の 未 確 立 業 界 の 理 解技 術 開 発 時 間 東 京 ① 技 術 開 発 費 用 開 発 ス タ ッ フ 確 保 販 路 確 保
4 5. 8 4 0. 5 37
.4 情 報 入 手 資 金 調 達 売 上 不 振荏 :(1)県名 とその資料名 は前出の通 り。
(2)これ らの項 目以外 の選択肢 も挙げ られているが、 ここで は他の項 目は省略 した。 なお、各調査 とも複数回答である。
表
5‑ 2
問 題 点 (2)
知 識 .情 報 不 足 技 術 者 不 足 資 金 調 達 そ の 他
沖 縄
42. 1 1 5. 8 31. 6
(採 算 悪 化 =21.1)注 :(1)県名 (沖縄) は下記の資料名を省略 した ものである。「東京(塾」は前出の通 りO
沖縄‑「泡盛製造業の省 エネルギー、 リサイクルに関す る調査報告書」 沖縄県産業振興公社 平成
1 0
年2
月 (2)これ らの項 目以外の選択肢 も挙げ られているが、 ここでは他の項 目は省略 した. なお、各調査 とも複数回答であるo井手義則
表
6
環 境 問 題 に 関 す る 情 報 に つ い て佐 賀 (D 十 分 あ り 一 般 的 情 報 あ り 情 報 収 集 困 難 必 要 情 報 無 し
東 京 ② 十 分 あ り あ る程 度 あ り ど ち ら と も い え ず あ ま .り得 ら‑れ ず 全 くな し
荏 :(1)県名 とその資料名 は前出の通 り。
す る情報不足意識が強 い。表
5‑2
に示 されて いるよ うに、 いわゆる "本土''か ら地理的に遠 く、各種情報収集上 の制約があると考え られ る【沖縄】 の結果 はともか く、情報 に関 して も東 京一極集 中が進んでいると考え られている中で の 【東京(卦】 の結果 は、 この点 の状況 を象徴 し てお り、東京です ら例外で はない ことを示 して いる。
したが って、 表
6
に示 されて い るよ うに、「一般的情報」 (【佐賀】)が 「ある程度
」 (
【東 京(参】) は得 られ るものの、 「必 要情報 な し」(【佐 賀 】 ) あ るい は 「あ ま り得 られ な い」
(【東京②】 との結果が示 され ることになる。
で は、そ うした状況 に直面 している企業 は、
どのよ うな情報収集手段 に依存 しているのであ ろ うか。表
7
か ら、多様 な手段を通 じて関連情 報が入手 されていることがわか る。 もちろん、調査対象や設定選択肢が異 なるため一般化 は出 来 ないが、 【岐阜】 と 【東京②】 に共通 してい
るのは、「般情報 (マスコミ等、雑誌 ・書籍等)、 業界情報 (親企業 ・取引先等、団体 ・業界機関 誌等)、公的情報 (公的機関、 白書 ・広報誌等)
に大別 され、それ らの間に軽重 の大 きな差 はな い ことであ る。 なお、他 の調査報告書、例 えば
【大分】 (義(参の注 ((丑)参照)で もほぼ同様 の 結果で、情報入手手段 は多岐にわた ってはいる が、上記 の
3
区分 に大別 され、それ らの間の比 重 に大 きな差がないことは共通 している。以上 これ まで、環境問題に関する企業の認識、
意識状況 につ いて、各地域 の実態調査結果を素 材 にい くつかの側面か ら概観 して きたが、最後 に、行政への要望 についてふれ ることにす る。
周知 のよ うに、環境問題 については法的規制が 多 くまたその変化 も急速であることか ら、企業 側 は、常 に行政機関 との連携を保 ちなが ら対応 せざるを得 ないか らである。 その一例が表
8
に 示 した 【佐賀②】である。筆頭 の 「情報提供」は もとよ り、
「 PR
活動」や 「相談 窓 口」 の設表 7 環 境 問 題 の 情 報 収 集 手 段
岐 阜
マ ス コミ
親 企 業 .業 界 団 体 等 雑 誌 .書 籍 等 団 体 機 関 誌 等51 . 0 49. 5 1 9. 5 1 7. 1
白 書 .広 報 誌 等 公 共 団 体 の 機 関 講 演 会 等 研 修 会東 京 ② 業 界 紙 等 公 的 機 関 取 引 先 同 業 他 社 設 備 メ ー カ ー 等
39
.435. 0 . 27. 1 21. 7 20. 3
展示 会 専 門 新 聞 等 書 籍 ̲親 会 社 異 業 種 交 流
1 8. 3 1 7. 3 1 5. 0 1 3. 7 8. 8
注 :(1)県名 とその資料名 は前出の通 り。
(2)これ らの項 目以外の選択肢 も挙 げ られているが、 ここで は他の項 目は省略 した。 なお、各調査 とも複数回答である。
表
8
行 政 へ の要 望佐 賀 ② 情 報 提 供
PR
活 動 補 助 制 度 率 先 実 行 相 談 窓 口 研 究 会 等 派 遣 事 業荏 :(1)県名とその資料名は前出の通 り。
(2)これ らの項 目以 外 の選 択 肢 も挙 げ られ て い るが 、 こ こで は他 の 項 目 は省 略 した。
置、 さ らには 「研究会等」 の開催要望等 々のい ずれ もが、企業の行政への期待が、 "情報提供"
と結 びつ いていることを示 していると考え られ る。企業が、対応すべ き新 たな経営環境である 環境問題 に対 して、重要かつ緊急 な課題だ と意 識す るの と同時 に、具体的な対応策 を模索 しつ つ もなお困惑 している姿を象徴 している、 と云 え るので はないだろ うか。
4.
問題点 と課題企業 は、経営環境変化 に対応 して経営戦略を 構築 し、 それに基づいた経営活動 を内部的に検 証 して、活動の結果生 じた問題点 を更 に新 たな 経営戦略 にフィー ドバ ックさせつつ運営 される.
その際企業が、「具体的 に どの よ うな経営戦 略 を策定す るかは、当該企業が どのよ うな環境 の もとで企業活動 をお こな っているか、 またその 環境 にどのような変化が生 じているかといった、
現実 の状況 と密接 に結 びつ いて い る」10)ので あるが、そ うした "現実 の状況" をどのよ うに 認識 しているかが、 まず問われなければな らな
い。
その意味か ら、本稿で は、環境問題 とい う新 たな経営環境変化‑の、企業、 とりわけ地域 に 存立す る中小企業の意識 ・認識状況を検証 した。
明 らかにな った点 の第
1
は、中小企業 といえど も環境問題 に対す る関心 は極 めて高 いとい うこ と、第2
は、その関心 と対応 は多岐 にわたるも のの、廃棄物問題や リサイクル問題等 の 日常的 な企業活動 に伴 う身近 な環境問題が中心である こと、第3
は、環境問題への対応 によるメ リッ トとして、対外的なメ リッ トと内部的なメ リッ トを共 に意識 していること、第4は、経済的負
担、技術上 の限界、更 に関連情報不足等 の問題点を抱 えていること、.などであ った。
もちろん、企業をめ ぐるあ らゆる経営関連要 因 は、業種間、企業規模間、存立地域間で異なっ てお り、環境問題 に対す る意識 ・認識 も、企業 の属す る業種、規模、地域 が異 なれば、他 の企 業 とは違 った ものになるのは当然である。 した が って、上述 の
4
点 にまとめた企業 の意識状況 は、現時点でのいわば概括的な一般化 に過 ぎな い。今後、更 に広 い範囲での実態調査が積み重 ね られ、詳細 な内実が解 明 され る必要がある。現時点では、 なおそ うした限界を内包 している のであるが、本稿で分析対象 とした素材か ら得 られ る今後 の課題 を、以下 の
4
点 にまとめてお きたい。第 1に、最 も重要 な点 として、企業 自身 にお ける 「環境問題意識 の滴養」が挙 げ られ る。今 後の企業活動 は、否応 な しに環境保全型 の経済 社会 システムの中で展開せざるを得 な くなる。
各 々の企業 自身が、経営活動の中で環境問題意 識を強化 し、 自主的 な対応を継続す ることが求 め られている。本稿で明 らかに したように、各 地域企業 とも環境問題への関心 その ものは極 め て高 い。 また、関心 を持っあるいは取 り組んで いる環境問題 は、 自らの企業活動 に伴 う身近 な 環境問題 を中心 とは しつつ も相当に幅広 い もの である。今後 の課題 は、 なお大量 に存在す る環 境問題への関心度 の低 い企業 に、事態の深刻 さ
と対応 の緊急性認識 を広 げてい くことであ り、
そのために、以下 の課題が浮かび上が る。
第
2
に、企業 の個別的対応を基礎 に した上で の、環境問題 に対応す るための 「ネ ッ トワーク の形成」が課題 となる。環境問題‑の対応主体 はあ くまで も個別企業であ り、 その自主的 ・自 律的な対応が基本である。 しか し、個別企業、井手義則
特 に本稿での主要対象である地域中小企業にとっ ては、環境問題 に関す る正確な各種情報の収集、
あるいは環境関連技術や ノウハ ウの開発 ・取得 等 には相当な困難がつ きまとう。 したが って、
環境問題 に関す るネッ トワークを形成 し、そ こ での情報交換や技術交流を通 じて、 自社の活動 のみでは限界のある部分を乗 り越えることが出 来れば、 よ り効果的な環境問題への対応策を実 現で きる可能性が生 じる。そのネットワークは、
異業種交流団体的な もの、地域交流団体的な も の、業界団体的な ものなどが考え られ、すでに さまざまな形態をとって動 き出 しているもの も ある日 )。今後 は、行政 も含 めた ネ ッ トワー ク の広域化が急務である。
第
3
に、環境問題意識を滴養 して定着 させ、より効果的な環境対応策を生み出すために、行 政や業界団体等 における 「情報提供」活動をよ り一層強化 す ることが求 め られ る12)。 本稿 で 明 らかに したように、企業側が、環境問題への 対応 に際 して問題点 としているのは、経済面や 技術面 と並んで情報不足であった。 もちろん こ れまで も、行政や関係諸団体 によって、環境問 題 についての啓蒙 ・啓発、環境関連法規や条例、
さらには関連技術等 についての情報提供が重ね られている。 しか し、素材 とした実態調査 に現 れているように、企業側への浸透 はなお不十分 だと判断せざるを得ない。
第
4
に、上記 の情報提供 も含めてではあるが、「公的支援」の強化が求 め られる。具体的には、
環境問題対応活動 のための予算措置の拡充、公 的融資制度 の整備や税制優遇措置、各種助成制 度の創設、 また、環境問題関連技術開発事業 の 拡充等 々の公的支援強化がそれである。本稿で も示 したように、環境問題 に関心 は持 ちっつ も 資金面や技術面でのネックに直面 している企業
は少な くない。 とりわけ、事業所の圧倒的多数 を占める地域中小企業がそ うした企業であ り、
その対応如何が、環境政策の成果を左右す ると いって も過言ではあるまい。 その意味で、国 レ
ベルでの支援強化 とともに、地方行政 レベルで の、各 々の地域 に存立す る企業、特 に中小企業 への各種支援の強化 とその継続が求め られる。
5. 小括
わが国における環境 ビジネス活動の主要 な担 い手 は、 これまで大企業であ った。 とりわけ、
従来型環境問題である公害問題関連 ビジネスに おいては、製造業関係大企業がその中心であ っ た。 しか もその対応動機 (モチベーション)は、
公害規制への受動的対応、 あるいは、 自企業の 社会的評価の保持などを中心 としていた。
ところが、近年の環境問題の質的変容 は、担 い手を中小企業 にまで拡大 させている
。
環境問 題が、企業の属す る業種や地域、 さらには規模 の大小を超えて対応すべ き課題 となっているか らである.
他方、 モチベーション面か らみると、従来やや もすれば軽視 されて きた企業倫理や企 業の社会的責任 とい う面が次第 に強調 されるよ
うになって きている。
もちろん企業 は、利潤動機 を捨ててまで環境 問題 に対応 し、環境 ビジネスに関与す るわけで はない。 しか し、環境 マネジメ ン ト推進のため のI
SO9 0 0 0
やI SO1 4 0 0 0
シ リーズの動 きに象 徴 され るように、国際市場ではもちろん国内市場 で も、 "環境"が企業の新 しい評価基準 にな り つつあ り、環境を経営 に組み込めない企業 は市 場か ら排除 されかねない状況が生まれつつある。とはいえ、本稿での分析対象である地域中小 企業では、新たな ビジネスチ ャンスとしての環 境関連 ビジネスに対す る関心 と期待 は高 い もの の、展開に必要な技術、人材、資金、 さらには 情報の不足などがネ ックとなっているのが現実 である。 その点を打開 し、環境調和型経済社会 構築 のための有効 な手段 として環境 ビジネスを 育成す るためには、企業 自らの個別的対応、 自 助努力を基底 としっつ、各種協同的対応の強化 と、政策的対応 の強化13)が、 緊急 かっ不可欠 になるのである。
注
(1
) しか しなが ら、企業経営 を分析対象 とす る経営学 において も、環境 問題 を経営環境 変化 の重要 な要 因 とす る考 え方 は これまで やや希薄であ った。例 えば、岩 田 智 (1 9 9
7)
、「グローバル戦略 と経 営環 境 」、 『経 営 戦 略 一創造性 と社会性 の追求 ‑』、有斐閣、PP‥ 2 1 1 ‑2 1 3
参照。また、戸田俊彦 (1 9 9 6 )
、「発展す る中小企業 ・没落す る中小企業」、
『新 中小企 業 論 を学 ぶ』、 有斐 閣、
P. 6 1
、"図
3 ‑ 2
環境 の変化 と中小企業経営の対応"参照。
(2)
井手義則 (1 9 9 7 )
、 「循環 概 念 の拡 大 と環 境関連産業 の成長」、『環境 と文化 』、 長 崎 大学人 間環境研究会、P. 3 9
参照。(3
)植 田和弘(1 9 9 8 )
は、従来型 の経済活動 の 性格 を "自然資源集約型 (多 くの場合、汚 染集約型)''で あ った と特徴づ けて いる。『環境経済学 への招待』、丸善 ライブラ リー、
P . 1 1 6 0
(4)
井手義則、前掲論文、P. 3 5
参照。(5)
環境庁 (1 9 9 7 )
、『平成9
年度 環 境 白書 (総説)』、大蔵省 印刷局、P. 3 3 9
において も、この
4
分頬が踏襲 されてい る。(6)
安藤 虞 (1 9 9 6 )
、『ェ コ ビジネス』、 ダイ ヤモ ン ド社、P.4
、 "図表1
あ らゆ る産 業 にまたが るエ コビジネス"参照。 また、木下英男 (
1 9 9
1)、『ェ コ ロ ジカル ・マ ーケ テ ィング』、P . 1 5
、 "図表Ⅰ‑2
ェ コ ・ビ ジネスの市場構成"参照。(7)
アーサー・D
・リトル社環境 ヒ1' シナ ネ ス・フ○ ラクテ イス(1 9 9 7 )
、『環境 ビジネス の成長戦略』、 ダイヤモ ン ド社、P. 2 2
0(8)
三上富三郎( 1 9 9 4 )
、 『共 生 の経 営 診 断 一 脱成長 のパ ラダイムー』、 同友 館 、P . 4 4
、̀̀図表
3 ‑ 1
新 しい企業存立条件の枠組み"参照。
(9)
その具体的 な報告書名 と調査機 関 は、本 稿 中の表1
、表2
, 表3
お よび表5‑2
の注 に示 した。
(
1 0 )
中村瑞穂 ・丸 山恵也 ・権 泰吉 (1 9 8 9 )
、『現 代 の企 業 戦 略 』、 ミネ ル ヴ ァ書 房 、
P. 1 0 4 。
(ll)横断的 な業界団体 (経団連 や中小企業団 体 中央会 な ど) による情報提供 ネ ッ トワー ク化 も進 んで いる。 また、情報提供 に とど ま らないさまざまな側面 の ネ ッ トワーク化 も盛 ん にな って きて い る。例 えば、容器包 装 リサ イ クル法への対応 と して、異業種企 業 が紙容器再利用 に向 けた企業連合 を結成 した り (日本経済新聞
1 9 9 8
年6 月 1 2
日版)、中小企業 の協 同組合 が環境管理面 で ネ ッ ト ワ ー ク化 し団 体 と して
I S O1 4 0 0 1
を 取 得 (環境新聞1 9 9 8
年6 月 3
日版)、 中小 の運送業 協 同組合 が共 同 して オ フィス古紙 の リサイ クル事業 を開始 (日本経済新聞1 9 9 7
年1 2
月1 9
日版) す るな ど、個別企業 の枠 を超 えて 環境問題 に対応 す る気運 が高 ま っている。(
1 2 )
行政 や業界 の情報提供強化 と並 んで重要 なのは、個別企業情報 の公開であ るが、 こ の情報公開の環境政策上 の重要性 につ いて は、植 田和弘 (1 9 9 6 )
、 『環 境 経 済学 』、 岩 波書店、PP . 1 0 5‑1 1 1
参照。( 1 3 )
環境 問題‑の政策 的対応 の強化 の重要性 と必要性 につ いて は、マルティン・イェニ ッ ケ、 ‑ルムー ト・ウナ ァィ トナー編 (1 9 9 8 )
、『成功 した環境政策』 (長尾伸一 ・長 岡延孝 監訳)、有斐閣、
PP . 1 2‑1 8
およびPP. 3 8‑
4 2
参照。(