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Title
企業はなぜ環境対策をするのか : ステークホルダーに
よる分析
Author(s)
杉江, 周平; 藤垣, 裕子
Citation
年次学術大会講演要旨集, 17: 337-340
Issue Date
2002-10-24
Type
Conference Paper
Text version
publisher
URL
http://hdl.handle.net/10119/6727
Rights
本著作物は研究・技術計画学会の許可のもとに掲載す
るものです。This material is posted here with
permission of the Japan Society for Science
Policy and Research Management.
2B01
企業はなぜ環境対策をするのか
一 ステークホルダ 一に ょ 6 分析 一0 杉江周平,藤墳裕子
( 東大総合 )1.
研究の動機と
目的 して扱っているなどの 問題点があ る。 そこで本研究で 近年、 企業を取り巻く 環境問題は公害問題から 地球 は前述の二つの 分類を明確化するために、 企業の環境 環境問題へとシフトしてきた。 そのような状況の 中で 対策を環境経営と 環境ビジネスに 分けた。 また、 環境 企業は環境問題に 対して規制対応型の 受身の環境対策 経営については、 その対策の内容により、 3 つに 分類 ではなく、 環境マネジメントジステムの 導入や、 製品 した。 その詳しい分類内容は 以下の通りであ る。 の環境負荷低減などの 自主的な対応を 尹るよ う になっ ●環境経営 てきた。 「企業はなぜ 自主的に環境対策をするのだろう ① 環境コミュニケーション : 自社の環境対策を 社 か」この問題の 追及が本研究の 目的であ る。 内外に情報公開すること。 環境報告書の 作成や 、 こ のような問題意識を 持った背景には、 企業側が環 環境ラベルの 採用、 環境教育の実施などがこれ 境 問題に重点的に 取り組み、 それをアピールしている にあ たる。 にもかかわらず 消費者側の意識というのはそれほどで ② 環境影響評価 : 自社の環境負荷を 低減させるた もないのではないだろうかとの 考えがあ る。 めに産業活動によりどれだけ 環境に負荷を 与え このような問題意識のもとで、 本研究では、 企業と ているかなどを 把握し改善してゆくためのツー ステークホルダー ( 利害関係者 ) との関係に注目する。 企 ル作り。 環境マネジメントジステムの 導入や 業 が環境対策をする 背景には、 さまざまなステークホ LCA の実施、 環境会計の導入などがこれにあ た ルダ一の影響があ る。 ステークホルダーとその 影響は る 。 企業が環境対策をする 際の制約条件となっていると 考 ③ 自社産業の環境負荷低減 : 実際に自社産業の 環 えられる。 そこで、 企業および企業の 行った環境対策 境 負荷低減㈲ために 導入した技術や 環境負荷の の 現状を調べることにより、 それらステークホルダー 少ない製品作りなどがこれにあ たる。 が 企業と環境問題の 接点にど う 関わり、 企業が自主的 ●環境ビジネス な 環境対策をする 際にどのような 影響を与えたかを 探 環境保護、 産業の環境負荷の 低減もしくはそれらの ることを目的とする。 この影響について、 業種ごとの 支援自体を自社の 産業として行っているビジネス 特徴づけや業種間の 比較を行 う ことも目的のひとつと 本研究の言 う 企業の自主的な 環境対策とは 上記の環 した 境 経営を指し、 環境ビジネ 、 スは ついては企業の 環境対 策 とはみなさなか。 よってこれ以後の 分析においても2.
研究の枠組み
その対象は環境経営だけとする。 2.1 企業の環境対策とは 企業の環境対策はどのように 分類されるだろうか。 2.2 企業とステークホルダー 既存研究としては、 環境省やシンクタシクによる 分類 本研究ではステークホルダーとは 企業に影響を 与え 枠組みは存在するものの、 企業の環境対策として、 白 る 主体と考え、 与える影響の 違いによって 次の 8 つに 社 産業の環境負荷低減を 図っているものと、 環境関連 分類した。 ①行政機関 ( 国内 ) 、 ②国際・国内社会情勢、 業務自体を自社の 産業としているものとを 同じ分類と ③消費者・取引相手、 ④従業員・潜在的就業者 ( 学生など ) 、 ⑤同業者、 ⑥投資家・金融機関、 ⑦ NGO.NPO 、 ⑧地域住民であ る。 ②の国際・国内情勢は 主体とは言 えないかもしれないが、 影響を無視できないため、 ス テークボルダーとした。 それぞれのステークホルダー が 企業に与える 影響を次の表 1 にまとめる。 表 1) 各 スデークホルダーが 企業に与える 主な影響 つかに分類し 表を作成する。 そしてその表についてス テークホルダーとの 関係を軸に傾向および 背後要因に ついて考察する。 この分析は定性的なものとなる。 自 社産業の環境負荷低減の 項目分類に関しては 環境対策 の 効果に注目して 分類する。 ② 業種問の分析 ステークホルダー l 企業に与える 影響 業種間の分析では、 項目数の分析と 項目内容の分析 I 行政機関 法 による直接・ 間接規制 l を受けて、 まず業種全体としての 特徴付けをする。 そ l 国際・国内社会情勢 l 世間の風潮 消費者・取引相手 消費行動、 情報開示要求 企業間取引 従業員・潜在的労働 環境対策の効率化 者 労働力 同業者 環境対策面の 競争・協力 投資家・金融機関 融資行動、 投資行動 NGO . N
Ⅲ
O 不買運動、 企業の格付け 地域住民 訴訟、 情報開示要求 してその特徴の 差異がなぜ生まれているのかについて 考察する。 業種の業務内容に 起因することが 多いだろ うが、 その業務内容の 特徴から生じるステークホルダ ーとの特有の 関係にも注目し 考察する。 ③ 全体の分析 最後に全ての 業種をまとめたデータについて 分析す る 。 ② 、 ③の場合にもそれぞれの 分析範囲に対応した 表 およびグラフを 作成して分析する。3.
分析方法
本研究では企業の 環境対策を分析するにあ たり、 環 境報告書の分析とアンケートによる 分析を行った。 分 析対象は飲料業界、 自動車業界、 家電業界、 建設業界、 総合商社の 5 業種、 それぞれ 4 社ずつとした。3.1
環境報告書の 分析 まず環境報告書の 内容を表に分類し、 その後、 その 表について分析した。 対象とした環境報告書は 1998 年度版から 2001 年度版であ る。 環境報告書の 記載内容 を 、 環境コミュニケーション、 環境影響評価、 自社産 業の環境負荷低減に 分類して一社 は つき一つずつの 分 類表を作成した。 次に、 業種内、 業種 問 、 全体という 3 通りの捉え方でこれを 分析した。 ① 業種ごとの分析 環境コミュニケーション、 環境影響評価、 自社産業 の環境負荷低減のそれぞれについて 個別に分析した。 まず項目の数についてグラフを 作成し、 その傾向と背 後 要因を考える。 次に項目を対策の 内容に応じていく 3.2 アンケートによる 分析 アンケートは 環境報告書分析を 行った 20 社のうち 18 社に対して行い 回収率は 61%(11 社 ) であ った。 質問は次のようなものを 与えた。 「あ る環境対策をす るに当たって、 どのステークホルダーからどのくらい の割合で影響を 受けたかを考え、 持ち点を 1 0 点、 とし て、 この 1 0 点を割り振ってください。 」 アンケート中の 環境対策の項目は、 環境報告書をも とに一社 は つき 7 ∼ 10 項目用意した。 分析については、 項目を環境コミュニケージョン、 環境影響評価、 自社産業の環境負荷低減に 分け、 業種 ごと、 業種 問 、 全体について 考察した。4.
結果と考察
環境報告書分析とアンケートの 分析を行い、 業種ご と、 業種 問 、 全体についてどのような 環境対策を何の ためにやっているのかを 考察した結果、 いくつかの特 徴的な結果が 得られたので 以下にそれを 示す。4.1 企業の環境対策の 内容の変化 まず、 図 2 に飲料業界の 自社産業の環境負荷低減の また、 自社産業の環境負荷低減に 関しては、 グリーン 購入とバリーン 調達の増加が 特徴的であ る。 省エネの 項目数の推移を、 図 3 に家電業界の 自社産業の環境負 荷低減の項目数の 推移を示す。 増加分はオフィスでの 省エネによる 部分が大きい。 特 定化学物質に 対する対策や、 ダイオキシンに 対する 対 図 2 ) 飲料業界の自社産業の 環境負荷低減の 項目 数 推移 策は PRTR 法やダイオキシン 特別措置法が 制定された のにもかかわらず、 ダイオキシンでは 特に、 その 伸び はそれほど顕著ではない。 これは先進的な 企業は、 法 律の制定の以前から 対応をしていたことが 原因であ る。 笘 町口 図 項目 数 推移 図 2 と図 3 を比較すると、 飲料業界では 自社産業の 環境負荷低減に 分類される項目敏が 年を追 う ごとに 増 年度 図 4) 0 , 業種の環境 コぇュ @ ニケーン 、 コ ンの項目数の 推移 図 5) 5 業種の環境影響評価の 項目数の推移 表
2)
自社産業の環境負荷低減の 内容の推移 この結果、 近年企業が取り 組んでいる環境対策は 環 加 しているが、 家電業界ではほぼ 横ばいであ る。 家電 業界は以前から、 廃棄物の問題など 法律面からも 環境 対策を迫られていた。 また、 自動車業界や 建設業界で も自社産業の 環境負荷低減の 項目数は横ばいであ った。 ところが、 もともと環境負荷の 低い飲料業界では 自社産業の環境負荷低減の 動きが強まっている。 この傾向 境 コミュニケーションと 環境影響評価、 そしてオフ イ は 総合商社にも 見られた。 このことから、 近年、 自社 スでの環境負荷低減であ るといえる。 企業の中心であ 産業の環境負荷の 比較的小さな 企業が環境対策を 始め
る生産や製品については、
公害問題時代からの 規制対 たということが 示唆される。 応でやれることはほとんど 行っている。 よって現在 企 次に図 4 に 5 業種の環境コミュニケーションの 項目数 業 が新たに進めている 環境対策とは、 本業の周辺業務 の 推移を、 図 5 に 5 業種の環境影響評価の 項目数の推 であ るオフィスや 仕入れに関するものとなっている。 移を 、 表 2 に自社産業の 環境負荷低減の 内容の推移を 示す。 図 4 、 5 に見るよ う に、 近年環境コミュニケーシ 4.2 企業はなぜ、 どのように環境対策をするのか コ ン や 環境影響評価への 取り組みは増加してきている。 図 6 にアンケートの 結果であ る、 環境コミュニケーションをする 対象となるステークホルダー