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論文内 容の要 旨

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Academic year: 2021

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(1)

氏名・(本 籍)

学位の種類 学位記番号 学位授与の日付 学位授与の要件

学位論文題目

論文審査委員

平  松  光  夫 工  学  博  士

工博甲第 13  号 昭和57年9月27日 学位規則第5条第1項該当

(静岡県)

電子科学研究科 電子材料科学専攻

電子受容体が配位したパラジウム錯体の合体および酸化還 元反応に関する研究

(霊員霞)井本 文夫 教 授 酒井 鋲美 助教授 尾形  強 助教授 稲垣 訓宏

教 授 藤村 全戒 教 授 島岡 五朗 助政授 松島 良華

論文内 容の要 旨

有機金属化学は,近年,著しい進歩を遂げているが,電気化学的性質に関する報告は少なく,そ の解明を必要としている。電気化学的性質は,有機金属の一つの重要な性質であるばかりでなく,

水素移動を含む酸化還元挙動とも密接な関係があり,また,錯体の構造,電導度等,電気的特性に 関する基礎的知見をも得ることができると考えられる。

本研究では,まず,三つの型の新規なパラジウム(0)錯体の合成法を確立した。第一は,一つ の配位子内にキノン等,電子受容性部位とジヒドロベンゼン等,供与性部位の両方を持つ5,8−ジヒ

ドロー1,4−ナフトキノン(DHNQ)および5,8,9,10−テトラヒドロー1,4−ナフトキノン(THNQ)の ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)錯体である。IRおよびNMRスペクトルによ って,孤立した炭素・炭素二重結合ではなく,共役した炭素・炭素二重結合がパラジウム(0)に 配位していることが明らかとなった。また配位子交換反応から,これらの錯体の安定性は,1,4−ナ フトキノン(NQ),DHNQ,THNQ錯体の順に大きいことがわかった。第二は,配位子としてホ スフィン塀を含まない(キノン)(ジェソ)パラジウム(0)錯体であり,1,5−シクロオクタジェ ソやノルポルナジェソ配位子のキレート効果が,錯体の生成に重要であることがわかった。また,

ジュpキノン錯体は,その弱い電子受容性のためか,相当するp−ペソゾキノン(BQ)やナフトキ ノン塀(NQ,DHNQ,THNQ)錯体とは異なったスペクトル的挙動を示した。第三は,キノン頼 のみが配位したパラジウム(0)錯体であり,第二の型の錯体合成において,キレート性ジュン配 位子が存在しない場合に生成することが兄い出された。すなわち,キノン配位子のみでパラジウム

−47−

(2)

(0)を安定化することが可能であることを示した。

次に,遊離キノン誘導体およびそたらのパラジウム(0)錯体の電気化学的性質をポrラログラ フィーおよびサイクリックボルタンメトリーによって解明した。遊離キノン誘導体の還元電位は,

7,7,8,8−テトラシアノーp−キノジメタン,BQ,DHNQ,NQ,THNQの順に易還元性であることが わかった。また,THNQ以外の遊離キノン誘導体は,可逆性を示したが,パラジウム(Q)錯体 はすべて非可逆性を示した。なお,錯体の解離現象が,水銀電極を用いた場合に観察され,測定を 妨害したが,白金電極を使用することによって解決した。そこで,錯体形成による変化を検討した ところ,遊離キノン誘導体の還元電位は,難還元側にシフトした。一九パラジウム(0)の酸化 電位は,テトラキス(トリフェニルホスフィン)′くラジウム(0)と比較して,難酸化側にシフト

した。ところが,これらの酸化電位は,(ジュン)パラジウム(0)錯体では,キノン塀の電子受 容性が増大するにつれて,より難酸化側にシフトしたが,相当する(ホスフィン)パラジウム(0)

錯体では,キノン類が配位したすべての錯体に対して,ほとんど一定であった。すなわち以上の実 験結果から,パラジウム(0)金属から電子受容配位子への電荷移動を確認評価し,さらに,この 電荷移動の度合とキノン,ホスフィンおよびジェソの構造との関係を明らかにした。

次に,得られた電気化学的知見に基づき,テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム

(0)あるいはビス(トリフェニルホスフィン)(p−ベンゾキノン)パラジウム(0)を触媒とす る1,4−ジヒドロフタル酸ジメチルとp−ペソゾキノンとの水素移動反応の機構を解明した。すなわ ち,この水素移動反応は,遊離のp−ペソゾキノンとビス(トリフェニルホスフィン)(p叫べソゾキ ノン)パラジウム(0)によって活性化された1,4−ジヒドロフタル酸ジメチルとの反応によって 進行することを明らかにした。

最後に,ノミラジウム(0)錯体を触媒とする反応では,ほとんど活性化できなかったメトキシジ ヒドロペソゼソの水素供与能を,化学量論のプチルリチウムを加えることによって,著しく高める ことに成功した。すなわち,中間体と考えられるリチオトメトキシジヒドロベンゼンは,カルポニ ル化合物のような水素受容体に対して,通常の付加反応を行なうカルボアニオンとしてより,むし ろ水素供与体として優先的に反応し,相当する水素化生成物が好収率で得られた。なお,水素供与 体が,リチオメトキシジヒドロベンゼンから生じる可能性のある水素化リチウムでないことも確認 された。また,本試薬は,生化学の分野における酸化還元補酵素モデルであるジヒドロピリジン誘 導体の特徴を取り入れた,芳香族性の回復を駆動力とする新しい還元剤であり,アミドからアルデ

ヒドが,温和な条件下で選択的に容易に得られるなど,興味深い新規な反応が兄い出された○

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