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池 田 恵 子 Keiko IKEDA

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(1)

開発教育 における「国際協力」再考 一 教材への参加型 開発概念の導入をめ ぐって

Rethinking 'International Cooperation' in Development Education

:

Fixing Concepts of Participatory Devetopment in Activities

池 田 恵 子 Keiko IKEDA

(平 成 14年 10月 7日 受理

)

は じめに

本稿 は、 「 国際協力」に関する開発教育の教材 に示 されている開発観、および国際協力観 または援助 観を、近年の開発教育 に関する研究 における「開発 とは何か」 に関する議論を受 けて再検討す ること を目的 としている。

拙稿 (2002)で 、貧困の構造的原因を理解するための開発教育教材 について、的確な地域理解 と、参 加型学習である開発教育が目指す技能、態度や価値観の形成をどうす り合わせればよいのかについて 論 じた。本稿 はその続編 として、開発問題の構造的理解の次のステップである問題解決を考 えるため の教材を取 り挙 げる。開発教育は、開発途上国社会や南北問題、開発問題を知 ることにとどまらず、そ の解決 に向けて考え、行動することを目的 とした教育活動である。従 って、問題の解決を正面か ら扱 う「 国際協力」は、問題の構造的理解を社会参加へとつなげるためにも、重要な役割を果たす ことが で きるテーマである。中心的に取 り挙げる教材は、 「開発 とは何か」、 「援助国になる」、 「有効 な援助」

などである。

まず、近年 の開発教育 における「開発」概念の再検討をめ ぐる議論を、開発途上国の国際協力にお ける参加型開発の登場 に焦点をあてて紹介する。そ して「国際協力」に関す るカ リキュラムを概観 し、

その特徴を考察 して教材 に示 されている開発観や国際協力観を明 らかにする。 それ らを踏 まえ、国際 協力 に向けて社会参加を促す際に、開発教育 としてどのような開発観や国際協力観を提示 しえるのか

を内容 自体 と教材が採用す る学習手法の持つメ ッセー ジ性の両方か ら検討 したい。

なお、開発教育の概要 (理 念や目的、 カ リキュラム内容の広が り、学習手法や教材の特徴、担 い手 な ど )に 関 しては、既に紹介 しているので繰 り返 さない。

1.開 発教育 における「開発」再考

(1)参 加型開発の登場の開発教育への影響

日本 における開発教育の草分 け的推進団体である開発教育協議会では、 1998年 か ら 3年 間、開発 ビ

(2)

ジョン研究会 (1998年 は開発問題研究会 )が 立 ち上げられ、開発教育が目指す開発の方向性の整理が 試み られてきた (齊 藤 :2001)。 むろん、開発教育が 日本に導入 されて以来「開発 とは何か」は問い続 けられてきた。 この時期 に改めて再検討 された背景には、1990年 代以降、開発途上国の現場において 住民参加型開発が普及 し始 め、開発概念や国際協力の手法が大 きく変化 しようとしていることがある と思われ る。 それによって、開発教育が目指す「知 り、考え、行動する」ための教育活動 という理念 のなかで、特 に「行動する」際の方向性を改めて考え、明確化 して再提示することが必要になった。

では、住民参加型開発 とは何なのか。一般的には、開発途上国における地域開発の うち、住民が主 体 とな って進 める開発を指す。村落開発や都市のスラム開発など、対象地域や対象 となる受益者が特 定 しやすい開発事業で多 く実施 されているが、大規模なイ ンフラ整備などで も導入 され始めている。

また、 よリマクロ的な視点か ら、国家や政府 として民主化を推進 し、社会的弱者の参加を促すための 法の整備および組織、制度を改善することも指す。 (久 保田 :2002)

従来、途上国政府や先進国の援助機関が主導 して開発事業を推 し進め、そこに地域住民の意見が反 映 されなか ったという反省か ら、参加型開発 という概念が生 まれてきた。住民の参加がなか ったため に、開発事業が真にそれを必要 としている人々のニーズと合致 しない内容のものとなった。 ニーズに 沿 っていて も、住民が消極的 な受益者 としてのみ位置付 けられていたために事業の計画や実施に一切 関与せず、国際協力の期間終了後 に成果が続かなか った。 または、住民が援助 に依存的になって しま

った。 このよ うな事例は枚挙に暇がない。

一方、住民参加が提唱 されてきた思想的背景には、剥奪やエンパ ワーメ ントといった人間開発分野 での概念の登場がある。すなわち、開発途上国の地域社会や日常生活をめ ぐる問題に関 して もっとも 考慮すべきは、問題の渦中に暮 らす途上国住民、それ もこれまで発言権を与え られて こなか った社会 的弱者 にとっての現実である。開発の専門家 と呼ばれる先進国および途上国の人々の知見だけが考慮 された り、先進国の政府や市民に何ができるかが優先 されたりするべきではない。開発の主体は外部 者ではな く、問題の中に暮 らす人々自身である (チ ェンバース :2000)。 住民参加型開発 とは、開発の 専門家や行政が、開発計画を作 る際に住民か ら形ばか りの意見聴取を した り、 まして開発事業に住民 が労働力を提供するだけの もので もない。何が自分たちの問題の原因なのか、問題解決の障害 となっ ているものは何か、 どうすれば障害を取 り除けるのか、問題解決に必要な資源、資金、または技能は どこで どうや って得 られるのか。問題を自分たちで主体的に解決 していく能力を獲得すること、それ がエ ンパ ワーメ ントであ り、開発 とは貧困や不利な立場にある人々のエ ンパ ワーメン トの過程に他な

らない。

開発現場 で は この よ うな概念 に沿 い、PRA(Participatory Rural Appraisal)、 また は PLA

(Pttticipation Learning and Action)と いった、住民自身が活動を起 こす ことを念頭に起 いた実践 的手法が発達 してきた。 自らの生活の状況や知識を共有 し、分析 し、 さらに計画 して実行 し、評価す ることを可能 とする一連のアプローチである。その主な手法は、地図や季節カレンダー、社会関係の 相関図、年表、 ランキ ングや将来構想図などの作成を取 り込んだ参加型学習であり、読み書 きができ ない人々 も参加できるよう工夫 されている。住民は視覚的に暮 らしの現状に関する情報を共有 し、計 画、交渉、行動、評価の際に活用 していくのである。まさに、身の回 りの現実を参加型学習で分析、共 有 し、それが社会参加 につながる過程が参加型開発だといえる。 (チ ェンバース :2000)

つま り開発を人間中心の活動 として捉え、途上国の人々の主体性 と知識を尊重 し、人々自身が力を

つけることで自らの状況の改善をはかること (エ ンパ ワーメ ント )を 目指す理念が住民参加型開発で

ある (斉 藤 :2002)。 その導入はまた、国際協力に関わる先進国側の人々に途上国の人々との関係性や

(3)

自らの社会の開発の問題 とのかかわ りについて、根本か ら問い直す ことを迫 るものである。 この根本 的な課題は、開発教育にとって も決 して無縁では済まされないものとなったのである。

(2)新 たな開発観 と国際協力観の提示

上記 の開発 ビジョン研究会は、開発概念の再検討の結論 として、①西洋社会 =先 進国 モデルではな い地球社会の開発 ビジョン、② 日本社会に特化 した新 しい開発 ビジョンを提示 してい くとしている。

それは、 「南 と向き合 い、 日本社会を変える」 (赤 石 :2000)と いう方向性であ り、まず自分たちが日 本社会の開発 に積極的に関与 し、その経験を通 して望 ま しい開発や国際協力のあ り方を考えてい くと

されている。

次のような認識 に基づいて、 この方向性が打 ち出された という。開発が、工業化の遅れや市場経済 への不十分な参加の問題 として東西対立 という構図の中で西側先進国か ら提示 された ものであること を忘れてはな らない。欧米主導の開発主義 その ものが もた らした弊害 にまず目を向ける必要がある。

地球環境問題の重要性、持続可能な開発や人間開発の概念は、定着 したかのよ うに見えるが、今 日で も開発 とは工業化を中心 とした経済開発が主流であ り、ただ環境、生態系、住民 に配慮する度合 いが 高 まっただけではないか。開発を単に経済開発の枠組みで捉えずに、幅広 く地球社会全体の生態系や 人間の存在のあ り方 という観点か ら捉えるべきである。開発の当事者は私たち一人 ひとりである。 ど のよ うな社会を創 り、 どのような生 き方を個人 として行 うかは、他者か ら押 し付けられるものではな いはずである。 自分の問題 として考えないといけない。 (赤 石 :1999)

この最後の点 こそが、まさに参加型開発の視点 と一致するものである。開発途上国の開発に住民参 加の実現を求 めるな らば、すなわち、貧 しい人々や女性たちが自らの課題を解決 していける力を身 に つ けていくことを支援 しようとするな らば、まず私たち自身が、 日本社会にある課題 に積極的に関わ るべ きである。 その経験を通 して こそ、望ま しい国際協力を作 り出 してい くことができる、 という主 張である。

経済開発中心主義を相対化することを強調 しつつ、単 に社会開発や人間開発 という他の「開発の視 点」 を もってそれに替えるのではな く、私たち自身 と開発途上国の開発、私たち自身の地域の開発 と の関係性を問題 に しようという視点が中心 に据え られたことは興味深 い。社会開発や人間開発の視点 とて、先進国側か ら押 し付 けられた場合、経済開発 と同 じ次元の問題を生 じさせ ることになるのでは ないか。実際 に社会開発や住民参加型開発でさえ も、国際機関や先進国の国際協力を行 う側か ら提示 されて きた ものである。近年は、民主化、よい統治、住民参加、女性の参加な どの推進が、援助供与 の コンディショナ リティーにされているということさえ聞かれる。そのような押 し付 けは、例え内容 が理想的であったとして も、望 ま しい国際協力ではないのではないか。

このような認識か ら、足元の日本 における開発のあ り方か ら出発 して、 自分たちが地域の問題を解 決する能力を得 る過程を通 し、地球社会全体の生態系や人間の存在のあ り方を考えようという発想は、

しごく順当に思える。 日本の私たち自身が日本国内の問題解決 に参加で きていない状況では、途上国 の住民参加を支援す ることは難 しいのではないだろうか。

2.「 開発」、 「国際協力」 に関する教材

(1)「 国際協力」 に関するカ リキ ュラムの概要

前節で紹介 した、新 しい開発 と国際協力の概念は、未だ開発教育の教材やカ リキュラムの中に十分

に組み込 まれているとは言 い難 い。国際協力に関わる教材を、実践者向け教材事例集 (開 発発教育協

(4)

表 1  国際協力 についてのカ リキ ュラム と教材

貧 困

移住労働者

ねらい 展開の概要 (学 習手法 )

・支援プロジェクトの選択を通して、何が良い援 助か討議する (ラ ンキン

。長期 /短 期支援の新聞記事からそれぞれの長所 短所を理解し、私にできることを考える (プ ラ ンニ ン

。地域の外国人の話を聞き、地球的視野で住みよ い町について市役所に手紙を書 く (プ ランニン

,ヽ

2000,『 いきいき開発教育   総合学習に向けたカ リキュラム と教材』 ,開 発教 育協議会。開発教育推進セミナー編 ,2000,『 新しい開発教育のすすめ方 Ⅱ:難 民』 ,古 今書院

.

開発教育協議会 ,1999,『 開発教育実践マニュアル   わくわく開発教育 :参 加型学習へのヒント』

,

開発教育協議会

.

国際協カー般

1。 国際協力の必要性

・世界の格差の実態、途上国と私た ちの日常生活の相互依存関係を

。国際協力の必要性を考えるとと 理解する もに現実の援助について理解す る

「分け前はどの くらい ?」

「貿易ゲーム」

「教室の中の物のふるさと」

「世界か らやって くる私た ちの食べ物」

「国際協力は必要か ?」

「大ダッカ発電所」

。おやつを世界の資源配分によって分ける

。一次産品 /工 業製品生産国に扮 し貿易を体験す る (シ ミュレーション )

・教室にある物や朝食の材料の原産国について 調べる

。国際協力の必要性の判断と理由を出し合う (ブ レーンス

.ト

ーミンの

。大規模援助の事例について立場別に援助を評 価する (ロ ールプレイ

)

2.開 発 とは

・ 開発の概念 を理解する

。地域の開発を考え、身近な開発問 題 を理解す る

「開発 とは何か ?」 ・開発について何が重要か、優先順位をつけてみ る (ラ ンキング

)

。身近な地域開発について調査し、課題解決を考 える (プ ランニング

)

3.望 ま しい国際協 力

・国際協力の失敗の理由を理解す

。協カプロジェク トを成功 させる 要因を理解す る

「有効な開発」

「援助国になる」

「国際協力の現場か ら」

・プラン ト建設計画を成功させる方策を検討す る (プ ランニンの

0支 援策の選択を通し、何が良い援助か討議する

(シ ミュレーション

)

・国際協力従事者の話を聞く

4.私 た ち に で き る こ と

。私たちにできる国際協力につい て理解を深める

・世界の中の地域のあり方を理解 し、 地域で活動するための方策を 理解する

「理想の国際協力」

「世界の中の私たち」

「 NGOと 共に」

。これまでの学習か ら理想の国際協力を表現す る (プ ランニング

)

・世界の現実を踏まえた私たちの地域のあり方 を考える

。地元 NGOと 共同で地域作 りを検討する 特定分野の問題解決のための国際協力

「バングラデシュを救う 9つ

の方法」

(5)

議会 :2000、 1999a、 1999b、 開発教育推進 セ ミナー編 :2000、 1997)や 雑誌「開発教育」の各号 に 寄せ られた実践報告などか ら集めてみよう。 これ らの教材は、主 として欧米で 1980年 代 に作成 された ものの修正翻訳版であるが、独 自に教室での実践の中か ら作 り上 げられた もの も近年急増 している。

国際協力 に関する教材 は 2種 類のカ リキュラムの中に見いだす ことができる。一つは、国際協カー 般を扱 い、開発や望 ま しい国際協力の形態や しくみを考えるための ものである。 もう一つは、 「 貧困」

や「貿易」、 「難民」、 「環境」、 「貿易」など開発教育の多様なカ リキュラムの中に組み込 まれている、間 題の解決に関 して国際協力 に触れた ものである。 こちらは、特定分野の問題解決を通 して望 ま しい国 際協力のあ り方を考える教材 として、前者のカ リキュラムの後半 に組み込むことも可能である。

国際協カー般を扱 ったカ リキュラムは、次のよ うな構成内容である (表 1)。 まず、国際協力その も のが必要か どうかを様々な視点か ら考える。食糧や資源配分の不平等、垂直貿易か ら生 じる格差を擬 似的に体験 し、 または途上国か らの輸入品に依存 して成 り立つ自らの日常生活を理解することを通 し て、学習者 自身が国際協力 は必要か、その判断 と理由を出 し合い考えてみる。 また、発電所建設な ど の大規模事業を取 り挙 げ、援助事業の実施 により生 じる利害や弊害、恩恵を受 ける集団は実際のとこ ろ誰なのか という視点か らも、国際協力が本当に必要なのか考え る。次 に、カ リキュラムは「開発 と は何か」を考えるためにかな りの時間を割 く。 どのような国際協力が行われるか という内容 と手順は、

国際協力を行 う側の開発観 に大 きく左右 されることを強調するためである。 ここで、学習者 は自らの 開発観 を問い直す ことになる。そ して、成功 または失敗 した国際協力事業の実例を調べた り、多様 な 支援 プロジェク トの選択を検討 した りして、 どのような国際協力が望 ま しいかを考える。最後 に、 こ れ らの過程をまとめる形で、国際協力をよりよいものに していくには自分たちに何ができるかを考 え る。

また、カ リキュラムの もう一つの展開 として、開発途上国での国際協力の事例を視野に入れなが ら、

途中か らは自分たちが暮 らす地域の開発課題一 ダム開発や高速道路整備などの公共事業はまさにタイ ム リーな課題だ と思われるが一 に焦点を移す ことも可能である。 自分が暮 らす地域の開発 とは何か、

地域社会の開発課題の望 ま しい方向性はどのような ものか、そのために自分たちには何がで きるのか を考える。 この展開では、開発は決 して途上国だけの問題ではな く、私たち自身の問題で もあること を理解する機会が得 られることになる。

(2)教 材

1に 示 した主な教材が共通 して持つ と思われる特徴をより詳 しく把握するために、 3種 類の教材を みてみよう。 その上で、開発観や国際協力観 に関する内容 と採用 されている学習手法の特徴を整理 し たい。

教材事例 1「 開発 とは何か ?」

まず、教材「開発 とは何か ?」 (図 1)を みてみよ う。 この教材は、それぞれ異なる視点か らの開発 の説明を学習者 に示 し、開発 とはどのような状態を指すのかを各 自が考え、その後 グループに分かれ て話 し合 って一つの結論を出 し、 さらにグループ間で結果を共有 して検討 し合 うというものである。

開発 とは何かの説明は、図 1に 示 したような Aか ら Iま での 9枚 の ランキ ングカ‐ ドに予 め書かれてお り、学習者がより賛成 または反対 と考える順にカー ドを並べる。優先順位を考える際 にはダイヤモ ン

ドラシキ ング (図 1)な どの ランキ ング手法が使われる。

(6)

図 1  教材「開発 とは何か ?」

ダイヤモンドランキング

[出 所 ]開 発教育協議会 ,2000,『 ぃきぃ き開発教育   総合学習に向けた カ リキュラム と教材』 ,開 発教育 協議会

.

カー ドの内容を見ると、①産業基盤の整備、農業工業生産の近代化と雇用拡大などを重視する経済 開発の視点 (A、 D、 E)、 ②教育や保健サービスの普及、貧困問題の解消などを重視する社会開発の視 点 (C、 H、 I)、 そして③住民の政治参加やエンパワーメントを重視する人間開発の視点 (B、 C)な ど が示 されている。また、④開発独裁と民主化 (G)や 、⑤援助依存か らの自立を想像させる脱開発の視 点 (F)な ども示 されている。

グループ内、グループ間で結果を考察する過程において、開発が進んだ状況とは何かについての意 見は多様であることを学習者は認識する。特に、グループとして一つの結論を出す際には、例えば経 済開発 と社会開発のどちらを重視するかについて議論する中で、自分自身の開発観を確認 し、様々な 開発観がよってたつ根拠や半 I断 理由について理解を深める 6正 解はなく、むしろ対立 した考えをどの ように受容 していくかが重視される。

教材事例 2「 バ ングラデシュを救 う9つ の方法」、「援助国になる」

望ましい国際協力を考えるための教材としては、複数の国際協力事業の中からどれを行うべきか学 習者が選択 し、または優先順位をつけ、その理由を検討 し合 うことにより理解を深めるものが最 もポ

ピュラーである。

選択肢は特定国の特定問題 (例 えば、バ ングラデシュの貧困、ケニアの保健医療、 コソボの難民間

題など )を 想定している場合 (図 2)と 、異なる課題を持う複数の国への援助案の中からどの国への支

援を優先するべ きか選ぶ場合 (図 3)が ある。個々の選択肢の中には、教材事例 1の 開発観を具体化 し、

それぞれ経済開発中心や社会開発中心の開発観が端的に表 されているものが含 まれている。 また緊急 援助、長期的な援助、 日本国内での教育活動や消費生活の見直 しなど、国際協力の多様な内容を幅広

甑             剛

リ       ー

      リ

よ     一   一     よ

ランキングカー ド

:

A  国の生産が増 し、それによっ て富や仕事が増えること

B  権 力や権限がよ り平等 に人々 にいきわた り、行使できるよ うに なること

C  人々が もっと健康 にな り、い っそ う自信を持ち、そ して身の回 りのことに疑間を持った り発言 し た りできること

D  産業基盤 (例 えば交通網 )が

十分整備 され、経済が成長するこ と

E  近代農法や大工場な どのよう な進んだ技術 を導入すること

F  生活維持や福祉のために、他 の国々に依存することを止めるこ と

G  強力で安定 した政権 を樹立す ること

H  誰もが中学高校教育を受ける ことができ、より良い家族計画が なされ、充実した保健サービスを 受けられること

I  貧困をな くす こと

(7)

図 2  教材「 バ ング ラデ シュを救 う 9つ の方法」

[出 所

]

く盛 り込んでいる。 自分たちにもできる国際協力が身近にあることを理解 させ る選択肢 もある。援助 の実施団体 も、政府、 NGOや 先進国の市民個人まで多様性が持たせてあ り、さまざまな国際協力の形 態があることを気づかせ る。 さらに、複数の国への援助案の中か らどの国への支援を優先す るべきか 選ぶ場合には、開発途上国政府はそれぞれ政治、経済、社会に特徴があ り、それによって も要請 され

る援助の内容が異なることなどがわかるようになっている。

いずれにせよ、教材事例 1の ような ランキ ングの手法を使 って選択肢に優先順位をつけ、その理由や それぞれの選択肢 の長所短所を考え ることか ら望 ま しい国際協力を考えるとい う手法は共通 して い る。同様に、正解はな く、 グループ内、 グループ間で結果を検討、考察する過程が重要 とされる。

図 3  教材「援助国 になる」

設定 :「 日本人一人 あた り約 1万 円の ODAを 負担 している。 日本の ODAが 100億 円、予算未消化で残 ったので、広 く市民 に使途 について意見を求めることにな った。」

ランキ ングカー ド

:

A  援助しない

援助は、発展途上国の権力者や特権階級を豊かに するだけで、住民に届かない。さらに実は日本に 利益が還元されるだけで、発展途上国の自立に役 立っていない。日本国内の社会福祉のために予算 を回したほうがよい。

B

援助はするが、日本の若者が発展途上国の生活を 体験 したり、ボランテイア活動をするための奨学 金に使う。そのようなプログラムを持つ NGOヘ

の資金援助に回してもよい。

F国 (ア フリカ )

小学校 (義 務教育 )の 建設と教科書や文房具の支 給に使う。

国の概要 :最 貧国。部族社会。民主主義にはかな り遠い。小学校就学率 40%。 粗放的な農業 と遊 牧に頼る経済。飢饉が頻発 している。

G国 (中 南米 )

熱帯林に埋蔵 されている原油の掘削に使 う。

国の概要 :低所得国。軍事政権。地主、財閥 とも に政府を支持。親 日的である。石油が売れれば、

貧 しい農民の暮 らしもよ くなる。

ランキングカー ド:バ ングラデシュの貧困解決のために私たちはどう関わるべきなのか

A  バングラデシュの産物を日本 に輸入する

B  バングラデシュの工業基盤を 整備するために道路や港湾施設を 作るプロジェク トに日本の oDA

を供与する

C  日本の国内においてバングラ デシュの実状を正確に伝えるよう な広報、教育活動を行 う

D  毎年起きる洪水の時期にバン グラデシュに日本の食料を送る

E  農業に変わる産業の技術者を 養成するためにバングラデシュか ら日本に研修生や留学生を受け入 れる

F  資源や食物を節約するな ど日 本で私たちの消費生活 を見直す

G  バングラデシュ政府への政府 開発援助 (oDApを 削減する

H  バ ングラデシュの農村開発 を 行 う民間開発団体 (NGO)に 資金 を提供する

I  バ ングラデシュの農業研修セ ンター に日本の oDAを 供与する 出所 1  開発教育協議会 ,1999,『 購 1発 教育実践マニュアル   わ くわ く開発教育 :参 加型学習へのヒン

開発教育協議会

.

(8)

C国 (ア フリカ )

国立大学を充実 し、学生のヨーロッパ留学の奨学 金 にあてる。

国の概要 :低 所得国。特権的支配層が経済を支配。

大学進学率は 5%。 農産物、鉱産物を輸出 してい るが、 日本 との貿易は少ない。

D国 (ア ジア )

乳児死亡率を減 らすため、保健所や上下水道 をつ くる。

国の概要 :低所得国。民主主義が未熟で、賄賂 も 多い。国内の資源は先進国の食糧や原料 として安 い値段で輸出されている。

E国 (東 ω

経済の民主化、市場経済への移行に使う。

国の概要 :中 高所得国。社会主義政権が崩壊 した 後、物不足、インフレなど経済の混乱が続 く。今 まで日本とは交流がなかった。

H国 (太 平洋 )

先進国か らの観光客を誘致するリゾ T卜 建設に 使う。

国の概要 :低 所得国。王 0貴 族・平民か らなる社 会だが、国民は王を深 く信頼する。漁業で生計を 立てているが貧しい。きれいな海は十分な観光資 源となる。

I国 (ア ジア )

外国企業を誘致するための臨海工業団地を造成 する。

国の概要 :中 所得国。政治は安定 し、援助効果も 期待できる。米作中心の農業国であったが、輸出 主導型の経済に転換しようとしている。国民の貧 富の格差は大きい。

[出 所 ]開 発教育推進セ ミナー編 ,1997,『 新 しい開 発教育のすすめ方 :地 球市民 を育て る現場 か ら』 ,古 今書院

.

教材事例 3:「 有効な国際協力」

具体的な国際協力計画の事例を挙げ、 どのよ うな点で失敗 して しまったのか、協力の成果をよりよ くするために何か必要か、考慮すべき様々な課題の検討を通 して有効な援助を考えるものである。例 えば、水力発電 プラントの建設計画に関 して考慮すべき課題 として、 「産業基盤」、 「住民の参加」、 「女 性の参加」、 「環境」、 「貧 しい人々」 などが挙 げられている。水力発電所が有効 に活用 されるために必 要な産業基盤 は整 っているのか。地域参加・女性の参加を生み出すためにはどうした らよいか。地域 の環境が損なわれないためにはどうすればよいか。最 も貧 しい人々がこの事業か ら確実に恩恵を受 け られ るようにするにはどうすればよいか。その他に考慮すべき課題はあるのか。 これ らの点 は、近年 の国際協力に欠 くことのできない「配慮項 目」であり、それを通 して国際協力を成功 させ る要因を検 討 してい く。

この教材 に関 しては、筆者の知 る範囲では、教材事例 1お よび 2と 比較 して、開発教育 としての実践 報告が圧倒的に少ない。 この教材 は、む しろ国際協力の実務従事者の研修などで多 く使用 されている

ものに近 い。

(3)教 材 の知識的内容

さて、 これ らの教材やカ リキュラムか ら、 どのような開発観や国際協力観 または援助観が読み取れ

るであろうか。何よ りもまず、開発や国際協力 に関 して多様な考え方が存在すること自体に学習者が

気づ くよう教材が工夫 されている。すなわち開発 とは、 日本や欧米先進諸国が経験 したよ うに工業が

発展 して農業の近代化が進み、産業基盤が整 うことだけを指すのではない。開発には様々な視点があ

り、それを具体化 した国際協力は、内容 も協力主体 も形態 も多様である。 また、カ リキュラム全体を

通 して、′ 経済発展のみを優先 した開発が様々な問題を引き起 こしてきた ことが理解で きるよ うにな っ

ている。

(9)

では、経済開発を否定するものではないにせよ、代替的な開発観や国際協力観 は積極的に示 されて いるのか。 この点はカ リキュラムや教材の知識的な内容か らは、必ず しも明確 に読み取 ることはで き ない。少な くとも、社会開発中心の開発や、住民参加 と社会的弱者のエ ンパ ワーメン トを中心 とした 人間開発の視点は、経済発展や産業基盤整備中心の開発 と併置 して位置付 けられて、選択肢の一つ と

して提示 されているのみである。

かか る観点か ら、さらに教材を充実 させ る余地があると思われる箇所を二つ挙 げることができよ う。

一つは、国際協力の内容を先進国側が優位に立 って一方的に決めてきた ことによる問題を考 える教材 である。確かに経済開発中心の援助が環境悪化や強制的な住民移転、受益層の偏 りを生 じさせた こと などを考えるための教材は存在するし、特 に ODA案 件では失敗事例は頻繁 にマスコ ミに報道 されるの で、教材を作成するにも困難はない。 しか し、次のステ ップとして失敗を繰 り返 さないためにどうす ればよいかを考える段になると、国際協力する先進国側の私たちが一方的に経済開発中心でない、代 替的な望 ま しい援助を考 えるとい う設定の ものが多 いのである。教材事例 3の よ うに先進国側の行動 として女性や貧 しい人々の要望を「配慮」するにはどうした らよいのかを考える教材 はあって も、途 上国の人々が主役でない国際協力の構造 に挑むまでには至 らない。換言すれば、国際協力 における意 志決定 という場面で、先進国側の私たちと途上国側の人々の関係性を問い直す教材は少ないのである。

二つ 日は、地球規模での国際協力による開発 と、 自分が暮 らす地域の開発をつなげて考えるような 教材の不足である。地域の課題を取上 げて開発 とは何かを考え、地元の NGOと 共同で地域つ くりを検 討す る、または地域の開発課題を検討す るという実践報告は増えているが、教材事例で挙 げた ランキ ング教材に比べると、実践数は遥かに少ないようである。 この部分はもはやモジュール化 された教材 に頼 ることができず、地域の実社会の文脈の中で、模索 しなが ら実践 していくしかないとい うのが実 情か もしれない。

開発や国際協力 に関する開発教育の教材やカ リキュラムを内容か らまとめると、第一 に途上国住民 の主体性を中心 として、先進国側 と途上国側の関係性を問 うという内容の教材が少ない。 そ して第二 に、 「知 り」、 「考える」ための教材は充実 しているが、 「行動する」 ことに結 びつける教材が不足 して いるよ うである。教材 の対象 とな っている開発途上国の現場での住民の主体性や参加を考 える教材 と、教室の中で体験 した参加を実社会への参加 に結びつける教材、その両方が整備 されていないので ある。

(4)学 習手法が もつメッセージ性 一理念 と学習手法の乖離

では、 「国際協力」 に関す る開発教育のカ リキュラムや教材は、採用 している学習手法 とうい点で、

途上国住民のエ ンパ ワーメ ントを念頭 に置 いた新 しい開発観や国際協力観の提示 に耐 え うるものだろ うか。 この点 にこだわ るのは、学習手法その ものが学習者 に対 して与えるメッセー ジは決 して小 さ く ないと考えるか らである。

まず、選択肢の中か らランキ ングする、それに基づいてプランニ ングす るという手法が多用 されて いることを問題 としたい。 まさに、 ここに国際協力す る側の立場の優位性が表 されている。相手が何 を必要 としているか、相手が自分たちの国や地域をどのように開発 したいと考 えているのか、そ う考 えなが らも実行で きないでいるのはなぜか、 といった視点を欠 いている。国際協力の内容 と形態 は、

先進国側が提供できるパ ッケー ジの中か ら、先進国の人間が判断 して選ぶ。確かに、 それが国際協力

の現実であるか もしれない。 しか し、 このような手法をそのまま開発教育が「国際協力」の教材 に持

ち込 めば、国際協力の内容 は先進国が選ぶ ものであり、途上国側はそれを甘ん じて受 け入れ るのだ と

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いうことに、学習者が疑間を持たないようになるだろう。む しろ、その現実か らこそ問題が生 じてい るのだ ということに学習者が気づ く工夫が必要である。

また、教材事例3の「有効な援助」のように、具体的に貧 しい人々や女性の参加を促すためにはどう した らよいのか、具体的な案を出 して計画する (プ ランニ ング )と いうような教材は、開発現場の実 際に関 して詳 しい知識を持たない学習者や ファシリテーターにとっては扱 いに くいものではないだろ

うか。

次 に、地域の課題 を取 り挙 げて開発 とは何かを考え、地元の NGOと 共同で地域つ くりを検討す る、

または地域の開発課題を検討するという部分について、その学習手法を考えてみよ う。 この部分は、

「 南を視野 に入れて、日本社会の開発を考える」と言 う方向性を考えると、重要な役割を果たす可能性 を持つ。 しか し、実践の場では、教材事例で挙 げたランキ ングなどを行 うにとどまることが多 く、地 元の問題 に関与するというところまで行かないことが多い。それはなぜか。政治性を帯びかねない地 域の問題 に学校教育が関与することに対 しては、ため らいが大 きいだろう。 しか し、地域の課題その ものを教材にして参加する手法を取 り入れた、簡易的でやりやすい教材がない、というのが一番の理 由ではないだろうか。つまり、開発や国際協力 と、自らの地域の開発問題と結びつける学習手法が確 立 されておらず、地域社会への参加という方向性を実現する手段をこれから提示 していく必要性があ

る。

このことは、シミュレーションや架空のプランニングという、教室の中でのルールにのっとって「参 加を擬似体験する」 ということだけでは、社会参加は実現されないという、当然のことを改めて示 し ている。前述の PRAや PLAも 、深刻な日常の問題を題材に扱 う参加型手法でありなが ら、それを実践

したか らといって、必ずしも意識化や問題解決のための対話を生み出さず、具体的な問題解決の行動 に至 らないと指摘されている (磯 野 :2000)の と同 じことである。決められた参加の手法を経験 して みて学ぶのでなく、地域の事象に関 して政策過程に関与 していこうといぅ姿勢をつくることが重要な のだ。

3.住 民参加概念の教材への導入

「南 と向き合いなが ら、日本社会を変える」、 「開発の当事者は私たち一人ひとりであり、どのような 社会を創 り、 どのような生 き方を個人として行 うかは、他者から押 し付けられるものではないはずで ある。自分の問題 として考えないといけない。」

かかる参加指向の高い「開発」の方向性を念頭に置いた場合、カリキュラムや教材をどのような点 に注意 して発展させていけばよいのか。教材・ カリキュラムの内容面、学習手法面の両方から課題を 整理 してみよう。

学習内容としては、第一に、学習者自身が身近な例で住民参加を考えられる教材内容を盛 り込むこ とであろう。 自分が暮 らす地域の事象であっても、自分の日常生活に何 ら関係なければ、自分の問題 として考えることはできない。自分自身の生活や関心事、日常的な問題を取 り挙げることが大事であ る。その上で、その問題の解決に関する意志決定が自分たちに関与できない状態で行われていること、

しか し、それ らは本来自分たち自身が決定すべき事象であり、意志決定に参加できれば問題は遥かに

よい方向へと改善されることなどに気づ くようにすることである。開発や国際協力を、学習者自身と

は全 く関係ない問題として取 り上げたとしても、それは知識として蓄積されるだけであり、 「社会を変

えていこう」 とする原動力にはならない。開発途上国における国際協力と、地元の地域社会の開発ヘ

の参加をつな ぐ接点が見えないのは、国際協力に関する教材が、途上国住民が抱える問題を学習者の

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日常抱えている問題 と切 り離 した形で描写 しているか らではないだろうか。 ダム開発の問題は双方 に 存在す る。途上国の人口問題は、家族や女性か ら見れば、思 うよ うに子 どもの数を決め られない社会 経済的制約 という視点では、 日本社会の少子化 と類似する問題であろう。私たちは日常的に様々な問 題を抱えて生 きているも 日本社会で起 こる様々な出来事は、形 こそ違え、途上国社会で も類似の事象 が見 られ、 それは年齢を問わず、子供にとって も同 じではないか。

第二 に、 それを踏 まえた上で、多少込み入 った内容 とはなるが、例えば構造調整が導入 される前後 で、開発途上国の政策がいかに変動 したかなどを取 り挙げ、先進国側が一方的に援助の方針を決定 し、

それを押 し付 けてきたことが、途上国の財政や住民生活にどのような深刻な影響を与えてきたのかが わか るような教材を作成 していくことが必要なのではないだろうか。途上国の政府関係者や現場の住 民 は、協力する側が描 いた青写真 に沿 って、一 それ も10年単位 くらいで ころころと代わる一、開発の 方向性を定め られることに、辟易 しているのではないか。 それは、 もしか した ら、決め られた学習内 容を こなす日本の子供たちにとっては、実感 じ難 い状況ではないか もしれない。

次 に、学習手法に関 していえば、いうまで もないことだが、参加型学習を経験すれば、 自動的に社 会参加の姿勢が形成 されると期待するのは、あまりに も短絡的である。従来の開発教育教材が採用 し ている参加型学習の枠組みは、本稿の教材事例で示 したよ うに、ある程度予め決め られた ものである。

開発教育 も、ファシリテーターや実施者の都合のよいところだけ参加型 にするな らば、その欺騎性は、

す ぐに露わにな って しまうであろう。磯野 (2000)が 指摘 しているように、 「参加型学習」と「学習に おける参加」 は異なることを認識するべ きであろう。すなわち、学習が学習者の社会参加を目的 とし ているのであれば、学習を構成するすべての段階 (企 画、準備、実施、評価の各段階 )に おいて参加 を保障する必要があるとい う。学校教育 において、そこまで生徒の主体性を尊重することが果た して 可能か どうか大 いに疑間である。 その一方で、開発途上国の国際協力の現場が参加型開発を標榜 し始 め、開発教育 もまた 日本での社会参加 という新 しい方向性を明確にしたのであれば、開発教育は決め られたアクテ ィビティーに決め られたル早ルで参加する教育活動ではな く、全体のプロセスを参加型 に してい くということを真剣に考えないといけないだろう。

おわ りに

現実社会への参加へと結 びつけられるか どうか、つまり「 知 り、考える」だけでな く、 「 行動する」

ところにまでたどり着 けるか、その学習手法を提示で きるかによつて、今後、開発教育の真価が問わ れ ることとなろう。

参加型開発 という概念が開発教育に導入 されれば、一方的な国際協力 によって開発途上国の問題 を 自分たちが解決するのだ という考えか ら自らを解 き放 ち、先進国側 と途上国側は、問題の解決を相互 に学習 しあ うのだ という姿勢を身 につけることが可能 となろう。地域 という草の根の次元では、住民 参加の度合 いが日本 より高 い開発途上国は多 く存在す る。お互 いに、 自分たちの問題を自分たちで解 決するという経験を共有 し合 うということがあるか らこそ、望 ま しい国際協力のあ り方を考えてい く

ことが可能 となるのではないか。

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参考・ 引用文献

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チェンバース、 ロバー ト、 2000、 『参加型開発 と国際協力』 (野 田直人・ 白鳥清志監訳

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明石書店。

表 1  国際協力 についてのカ リキ ュラム と教材 貧 困 移住労働者 ねらい 展開の概要 (学 習手法 ) ・支援プロジェクトの選択を通して、何が良い援助か討議する(ランキン。長期/短期支援の新聞記事からそれぞれの長所短所を理解し、私にできることを考える(プ ランニ ン。地域の外国人の話を聞き、地球的視野で住みよ い町について市役所に手紙を書 く (プ ランニン ,ヽ 2000,『 いきいき開発教育   総合学習に向けたカ リキュラム と教材』 ,開 発教 育協議会。開発教育推進セミナー編 ,2000
図 1  教材「開発 とは何か ?」 ダイヤモンドランキング [出 所 ]開 発教育協議会 ,2000,『 ぃきぃ き開発教育   総合学習に向けた カ リキュラム と教材』 ,開 発教育 協議会
図 2  教材「 バ ング ラデ シュを救 う 9つ の方法」 [出 所 ] く盛 り込んでいる。 自分たちにもできる国際協力が身近にあることを理解 させ る選択肢 もある。援助 の実施団体 も、政府、 NGOや 先進国の市民個人まで多様性が持たせてあ り、さまざまな国際協力の形 態があることを気づかせ る。 さらに、複数の国への援助案の中か らどの国への支援を優先す るべきか 選ぶ場合には、開発途上国政府はそれぞれ政治、経済、社会に特徴があ り、それによって も要請 され る援助の内容が異なることなどがわ

参照

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