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推進室ニュースレター第28
号1
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BSR 推進室ニュースレター第 28 号
平成 28 年 7 月 10 日
発行:大正大学 BSR 推進室
〒170-8470 東京都豊島区西巣鴨 3-20-1 03-3918-7311(代)
本学に赴任してすでに 3 年が経つ。それがずいぶんと短 く感じられるのは何故だろうか。ところで、それ以前に勤務し ていたキリスト教系大学ではクリスマス期に聞こえてくる荘 厳なパイプオルガンの幾重もの音色以外には、その宗教性 をさして意識することはなかった。それためか、赴任前には 仏教系大学であっても、そこに大きな変化はないものと考 えていた。だが、本学における始めての入学式で奏でられた 雅楽には、我が寝ぼけ眼を啓かされた。それは決して「上 級者」のものではないのだが、それでも、あるいはそれ故に こそ、その音色はまさに〈現在に活きている伝統〉を眼前に 呈示されるものとしてあった。
私が敗戦後の「民主主義と進歩主義」との只中で成長 したためだろうか、「伝統」とは暗黙裡に〈離脱すべき場〉と 非主題的に感じられていたのかもしれない。そのために、青 年期に出会った『真理と方法』(H-G.ガダマー)には心 底、驚かされた。そこで示された、どこかで何がしか〈疑わ しき伝統〉として意識されるのでなければそもそも〈伝統の
獲得という課題〉が生起しないという指摘を、自らの社会 学的方法として重ね合わせることができないか、この焦点の 定まらぬ確信から浅学の身を省みることのない悪戦苦闘が 続いてしまった。その後、『創られた伝統』(E.ホブズボウム
& T.レンジャー)によって、「伝統」への実証的なまなざしの 必要性も痛感させられるに至る。
そうしたなかで、私の若き研究仲間が呈示した「近代仏 教」(大谷栄一)には再度、眼を啓かされた。そこで仏教 は、私の知る輪郭とは明らかに異なり、明治期の青年たち によって〈発見された伝統〉として存立していた。本学に赴 任し、巣鴨キャンパスのそこここで〈形式へと昇華された伝 統の継承〉に日常的に出会う機会も多い。じつはたんなる
「仏教オンチ」であるにも拘わらず、その度に、かつて〈発見 された伝統〉がこのように〈現在に活きていること〉、それが日 常という奇跡と同じく、私にはただただとても深い驚きとして 体験されている。
「伝統の発見」に思いを馳せて
心理社会学部人間科学科 教授 張 江 洋 直
目次
1 頁 : 巻頭言
2 頁 : BSR トピックス① 3 頁 : さざえ堂だより
4 頁 : BSR トピックス② / 今後の予定
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7 月 8 日(金)、9 日(土)に第 6 回鴨台盆踊りが 大正大学で開催された。このイベントは 1960 年代に始まり、
今の礼拝堂の所にあったグラウンドでおこなわれていた。長年 途絶えていたが、2011 年に全国に先駆けた域学連携イベン トとして、そしてこの年に起きた東日本大震災の物故者追悼 行事として再開された。
再開当初は現在のような立派な櫓はなく、まさしく手作りの 盆踊りであったが、このときから多くの方が参加していたのを覚 えている。以来、盛夏の風物詩として西巣鴨地域に浸透し、
徐々に規模は拡大していった。昨年は 2 日間とも雨天のため 屋内での開催であったが延べ 2,000 人を集め、域学連携の イベントとして定着したといっても過言ではないだろう。
さて、地域に開かれたイベントとして成長し続ける鴨台 盆踊りであるが、再開当初より授業のなかで学生自らの手に よって企画・運営が進められている点に大きな特徴を持つ。さ らに 2014 年度から 「サービスラーニング」の一科目となり、
全学生の履修が可能となった(2016 年度は地域創生学 部以外が履修可能)。この授業を筆者は今年度から担当 したが、いかに大学/学生が地域に貢献できるか、さらにその 貢献をどのようにして学びへと変換できるかを最も重視した。
そして、先にも述べたが、特筆されるのが、この授業は学部 学科学年の垣根を越えて学生が集まる点だ。必然的に、各 自がこれまで培ってきた知識や専門性を、盆踊りの成功という 一つのミッションのために応用・実践する機会となる。そうであ れば、この授業を大正大学独自の発展的共通教育として位 置づけることができればと考えた。
では、発展的共通教育の理念に何を据えるか。初代学長 澤柳政太郎は大正大学創立当時、次のように述べている。
「我が大正大学には宗教的空気がなければならぬ。又実に 大乗仏教的の精神が充ち満ちていなければならぬ」と。この 言葉に則り、盆踊りを単なる地域に開かれたイベントとして開
催するのではなく、大乗仏教としての「利他の精神」を来場者 に伝えることができる盆踊りにしたいと考えた。また、言うまでも なく盆踊りは仏教と民俗・習俗が交わった行事である。それゆ え、利他の精神を行動に移すことによって、仏教という言葉を 使わないとしても、来場者の方々に仏教系大学らしいと思わ れるイベントにできるよう授業を計画した。
4 月から始まる授業での最初の作業は目標設定である。
今回は特に地域の方を多く呼ぼうということになり、2 日間で 延べ 3,000 人を集客することを目標とした。そして、地域向 けの広報を強化すると同時に、盆踊り以外でも地域の方が 長く楽しめるように、地域に関する情報を活用した企画の実 施、地域の方が多く座れるような座席の増設、地域の方を案 内できるスタッフの配置などを学生たちは立案していった。そし て利他の精神を「おもてなし」という言葉に換えることによって、
来場者の方々に満足してもらえるような盆踊りにしようと誓っ た。
本番当日。晴天であった 8 日は今まで見たことのないほど の数の人がキャンパスに溢れかえった。特に親子連れの近隣 者が多くみられ、屋台の列が絶えることはなかった。これまでで 最大の来場者を数え、老若男女、あるいは学生・地域の方 を問わず、数多くの方が盆踊りの輪に加わった。
一方で 9 日は朝から雨が降り、盆踊りの時刻までの企画 物は屋内での開催を強いられた。9 日の地域向け学生企画
「鴨台○×クイズ」は屋内で実施することが難しく、当日午前 に教職員と幹事学生間で打ち合わせをした際は、地域の方 に傘を持ってもらって櫓回りで実施しようという話になった。しか し、それを学生らに伝えると、濡れている地面を見た企画担 当の学生が異を唱えた。「傘を持ってクイズを実施したらこの 濡れている地面では滑って転んでしまうかもしれない。おもて
BSR トピックス① 第 6 回鴨台盆踊り報告
~仏教と言わずに仏教を伝える~
教育開発推進センター 専任講師齋 藤 知 明
〈授業の様子〉
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なしを大事にするなら中止しましょう」。そこで学生らは討議し、
結果、自分たちが長い時間かけて準備した企画を、自ら中 止する決断をした。そして、この企画に替わり、在庫があったラ ムネを親子連れの子どもに限定して無償配付することになった。
ここで見られたのは、学生らが自分たちで何がおもてなしか、ど
うすれば利他の精神を発揮できるかを模索している姿だった。
その後、夕方には幸いにも雨が上がり、2 日目も屋外で盆 踊りを実施できた。盆踊りの輪は前日の 2 列から 3 列へと増 え、盛り上がりの余韻を残したまま第 6 回鴨台盆踊りはフィ ナーレを迎えた。2 日間での来場者数は目標を大きく超えて
表紙の写真のとおり、さざえ堂前にある大鉢に植えられた 蓮がきれいな花を咲かせました(6 月 28 日頃)。この蓮は 今からおよそ 10 年前、元学長・常務理事の多田孝文先生
(当時は人間学部長)のご尽力により前監事山田俊和先 生より株をいただき、本学日本庭園で栽培していたものを職 員有志の手により昨年度・今年度とさざえ堂前の大鉢に株 分けしたものです。
蓮の原産地は仏教と同じインドで、観賞用、食用として重 用されています。地下茎はいわゆるレンコンです。種子は蓮の 実としてお菓子や生薬になります。葉・芽・花、これらは蓮茶と して飲まれます。古くは、花托の形状を蜂の巣に見立て、「ハ チス」と言っていたのが転訛して「ハス」となったようです。他にも
「水芙蓉」または単に「芙蓉」、「不語仙(ふごせん)」、「水 の花」等とも呼ばれます。
ご存じのとおり蓮は仏教を象徴するものとされています。
仏様の台座は蓮の花です。蓮は汚泥に染まらず清浄な花を 咲かせます。むしろ汚泥の中でないときれいな花が咲かないそ うです。また蓮の葉は表面が特殊な構造をしていて水に濡れ ることなく、水銀のような水滴となって汚れや小さな虫、異物を
絡め取る自浄機能がありま す。これはロータス効果と呼ば れます(カップ入りのヨーグル トで、蓋にヨーグルトがべったり と付かないものはこのロータス 効果を応用したものです)。
延べ 3,500 人。地域の風物詩としての定着段階から発展 段階へとステージが上がる機運を感じた。
帰路につく地域の方々からは「年々参加しやすくなっている」
「子どもが多くていいね」などの声をかけていただいた。一方で
「屋台の列整理を徹底してほしい」「盆踊りの曲がわかりづら い」などの声もいただいた。このような称賛・批判を真摯に受け 止めながら、今後も来場者に満足してもらえるような鴨台盆 踊りを試行錯誤していきたい。その果てに「大乗仏教的の精 神が充ち満ちている」学風の醸成があると信じている。
更には蓮の花は咲くのと同時に花托に種子を抱えています。
これは生きとし生けるもの全てが仏となる可能性を持っている ということ、因の中に果があり、果がまた因になるという、因果 同時・因果の連続性という真理を顕現していると言えます。
さざえ堂のご本尊聖観自在菩薩様も左手に蕾の蓮の花
(未開敷蓮華)をお持ちです。未だ開いていない蕾は仏性
(仏となる可能性)を持っていながら、欲望や煩悩に囚われ たままの私たちの心です。右手でそれを開こうとしているのは、
観音様の衆生救済を表しています。
大正大学では、昨年度あらためて「ユニバーシティ・カラー」
を定めました。従前から校旗等で使 用されている「古代紫」は、仏教では 高貴な色として尊ばれており、大正 大学の歴史と伝統、建学の理念
「智慧と慈悲の実践」を表しています。
それに蓮桃色(はすももいろ;ロー
タスピンク)を加えました。 【ユニバーシティ・カラー】
蓮の桃色は、泥の中に咲く美しい蓮の花のように、どのよう な時代でも清く正しくあるべきという「未来への決意」を表して います。2 つの色で、伝統を基盤に明るい未来を目指す大正 大学の教育理念を象徴しています。このようなことから大正大 学の建学の精神を具象化して建てられたさざえ堂の前にて
「蓮の花」が咲くことはとても意義深いことですし、その意義をし っかりと伝えていかなくてはならないと感じました。 (M)
さざえ堂だより 蓮が開花しました
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今後の予定
7 月 16 日(土) 11 時~12 時 9 時~13 時 13 時~15 時
8 月 20 日(土) 11 時~12 時 13 時~15 時
※8 月は「あさ市」を開催しません。
花会式(時宗) 鴨台観音堂前
あさ市 南門 けやき広場
お坊さんカフェ「僧話花」 5 号館 1 階
花会式(夏休み特別企画) 鴨台観音堂前 お坊さんカフェ「僧話花」 5 号館 1 階
巻頭言執筆者 紹介
張江 洋直(はりえ ひろなお)
大正大学 心理社会学部 教授 ・ 人間科学科 学科長 東洋大学 文学部 卒業
東洋大学大学院 社会学研究科 修士課程修了(社会学修士)
同 博士課程 単位取得満期退学 千葉明徳短期大学助教授、稚内北星学園大学教授 等を経て、平成 25 年より本学教授。 専門は現象学と社会学を融合させた「現象学的 社会学」の始祖といわれるアルフレート・シュッツを中心とした社会学理論・
社会学説史。
巻頭写真
さざえ堂前に咲く蓮の花 去る 6 月 29 日、大正大学礼拝堂の阿彌陀如来様の
ご宝前で結婚式が行われました。
新郎新婦のお二人は本学卒業の同級生で、在学中に
「大学入門」という仏教を体験的に学ぶ科目の中に模擬の
「仏前結婚式」を見る講義があり、非常に感銘を受けて 自分たちも「仏前結婚式」を挙げたいと思っていたそうです。
お二人とも本学茶道部に所属していたご縁で、現茶道部 顧問の仏教学部准教授勝野隆広先生が戒師となり、
天台宗の法則にのっとり、大正大学礼拝堂での挙式が執り 行われました。
式には両家の親族、知人の他に「大学入門」の内容を 継承した科目である「文化の探究(仏教を体験する)」の 受講者約 140 名も参列しました。
宗派によって多少の違いはありますが、仏前結婚式で
BSR トピックス② 仏前結婚式 執行
は、仏様の前で、戒師より戒めを受け、結婚にあたっての誓 いを申し述べます。それに念珠授与あるいは交換といった仏 教的なことや神前式と同じように三三九度・親族固めの盃 等も加わります。それらが、雅楽や「唄(ばい)」などの聲明
(しょうみょう)の調べの中で執り行われます。
さらに今回は模擬ではなく本物の結婚式です。授業の受 講者として参列した学生も、厳粛な雰囲気の中、緊張しつ つも幸せそうなお二人の晴れ姿を見て、至福の時間・空間 を共有し、とてもあたたかい気持ちになったのではないかと 思います。 (M)