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大畑一幸 論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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大畑一幸 論文内容の要旨

主 論 文

Hepatic Steatosis Is a Risk Factor for Hepatocellular Carcinoma in Patients with Chronic Hepatitis C Virus Infection.

C型慢性肝疾患における肝細胞脂肪化の肝発癌に対する影響の検討

大畑一幸、濱崎圭輔、鳥山寛、松本幸二郎、佐伯哲、柳謙二、阿比留正剛、中川祐一、

重野賢也、宮副誠司、市川辰樹、石川博基、中尾一彦、江口勝美 Cancer 97:3036-43, 2003

長崎大学大学院医学研究科 内科系専攻

(指導教授:江口勝美 教授)

【緒 言】

肝臓癌はわが国のみならず欧米諸国においても近年増加傾向にあり、わが国において はその約 70%が C 型肝炎ウイルス(HCV)関連肝臓癌である。肝臓癌を早期に発見し 早期に治療を行うことは重要であり、そのためには high risk group の囲い込みが必 要と考えられる。これまでに種々の risk factor の報告がなされているが、発癌の機 序は未だ明らかでなく他の risk factor の検討が必要と考えられる。

一方、肝細胞の脂肪化は、胆管障害やリンパ濾胞形成等と並び C 型慢性肝炎の組織学 的特徴の一つとされている。また、基礎的研究において脂肪肝の肝発癌への関与が示 唆されている。そこで C 型慢性肝疾患における脂肪化が肝発癌の risk factor となり うるかどうか検討した。

【対象と方法】

対象は 1980 年〜1999 年の期間に長崎大学医学部附属病院第一内科において肝生検を 施行した症例で、HCV 抗体陽性かつ HBsAg 陰性、観察期間 6 ヶ月以上の 161 例。

肝発癌に寄与する因子として年齢、性別、糖尿病の有無、BMI、飲酒歴、ALT 値、HCV セロタイプ、HCV コア蛋白量、IFN 治療歴、肝硬変の有無、組織学的炎症の程度、肝 細胞の脂肪化の 12 項目を用いて解析をおこなった。また、肝脂肪化を認める群と認 めない群での臨床的な差異に関して、年齢、性別、BMI、飲酒歴、糖尿病の有無、

AST値、ALT値、γ-GTP値、中性脂肪値、コレステロール値、HCVセロタイプ、

HCVコア蛋白量、組織学的炎症の程度、肝硬変の有無の 14 項目で検討を行った。

(2)

【結 果】

対象症例の平均年齢は、53 才。男女比は約 2:1。平均 BMI22.7 で BMI>25 の症例は全 体の約 20%であった。大酒家は 7%、糖尿病は 16%の症例に認めた。対象症例のうち IFN 施行例は 71 例(44%)であった。対象症例の組織学的背景は、F1 45 例、F2 28 例、

F3 25 例、F4 63 例で肝硬変が全体の約 40%を占めていた。肝細胞の脂肪化の程度に 関しては、脂肪化を認めなかったものは 44%、全肝組織に占める割合が 1-10%の症例 が 49%、11-30%の症例が 5%、30%をこえる症例が 2%であった。対象症例の累積発癌率 は、5 年発癌率 24%、10 年 51%、15 年 63%であった。発癌に関する検討対象 12 項目で の単変量解析の結果、年齢、IFN 治療歴、肝硬変、肝細胞の脂肪化が肝発癌に関する 有意な因子であった(p=0.0001,0.0001,0.0001,0.0007)。多変量解析の結果も、年齢、

IFN 治 療 歴 、 肝 硬 変 、 肝 細 胞 の 脂 肪 化 が 肝 発 癌 に 関 す る 有 意 な 因 子 で あ っ た (p=0.0390,0.0142,0.0068,0.0135)。また、肝細胞の脂肪化の有無による累積発癌率 の差を Kaplan-Meier 法により Log-Lank test を行った結果、肝細胞の脂肪化を認め る群の方が認めない群に比べ、有意に発癌率が高い結果であった(p=0.0012) さらに、肝細胞の脂肪化を認める群と認めない群での臨床的な差異の検討の結果、肝 細胞の脂肪化を認める群の方が認めない群に比べ、BMI、ALT 値、中性脂肪が有意に高 い結果であった(p=0.0067,0.0260,0.0044)。BMI と肝細胞の脂肪化の程度との関連に 関しても検討を行ったが、両者には明らかな関連を認めなかった。

【考 察】

C 型慢性肝疾患において、肝細胞の脂肪化を伴った症例は脂肪化を伴わない症例に比 べ、有意に発癌率が高い結果であった。また、発癌に寄与する因子としては、年齢、

IFN 治療、肝硬変、肝細胞の脂肪化であった。臨床的に単純な脂肪肝からの発癌は少 なく、脂肪肝と発癌との直接的な因果関係は不明であるが、肝細胞の脂肪化は C 型慢 性肝疾患において肝癌の risk factor の一つと考えられた。肝細胞に肝脂肪化を伴う 症例は、肝癌の発生に関してより厳重な follow up が必要と考えられた。

参照

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