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第4章 適用事例研究   

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第4章 適用事例研究   

4.1 まえがき   

施工管理へのCGアニメーションの適用事例研究に先立ち、本章を構成する主要な既往研究につ  

いてそれらの概要を述べる。   

「施工管理へのCGアニメーションの適用」1)、2)では、CIC(情報化施工)の一環としてのCG   アニメーションの位置付けを建設プロジェクトのライフサイクル全般に渡って明らかにし、有効な   適用分野の提案を試みた。そして、録画アニメーションとリアルタイムアニメーションを使い分け   るという独自のCGアニメーションシステムを提案した。また、その適用の妥当性を確認するため  

に、高架道路震災復旧工事における橋脚の撤去施工計画を策定する段階で実際に録画アニメーショ  

ンの適用を試みた。   

「CGアニメーションを利用した協調化施工管理支援システムの開発」3)、4)では、施工管理を支   援するという目的で協調化施工という概念を導入し、CGアニメーションを核とした協調化施工管   理支援システムを提案した。さらに本システムでの電子情報の有効利用と情報伝達手段の一元化の   重要性、インターネット上でのデータの共有・共同利用の在り方について述べた。研究事例として   は、大規模土取り工事とダム建設工事を選定し、録画アニメーションだけでなくリアルタイムアニ   メーションも適用した。そして、実際にインターネットのWEB技術を利用して施工管理支援シス  

テムの構築を試みた。  

「施工段階におけるCGアニメーションの役割と有効性に関する考察:田島ダム建設工事での適用  

の総括」5)、6)では、施工段階におけるCGアニメーションの役割と有効性について田島ダム建設工   事での適用事例研究を総括し、CGアニメーションの有効性の確認と問題点の抽出を行い、考察を   加えた。また適用を通して施工管理支援システムの問題点や改良すべき点などを明らかにした。   

本章においては、第3章において展開した施工管理を中心とした建設工事のライフサイクル全般   の諸業務に対して、第2章で定義したCGアニメーションを実際の施工管理に適用する。まず、施  

工管理支援としての録画アニメーションの適用妥当性を確認するために高架道路橋震災復旧工事と  

大規模土取り工事の一部分を対象として適用事例研究を行う。また、大規模土取り工事においては   リアルタイムアニメーションを適用し、施工管理分野だけでなく建設プロジェクトの企画・設計段   階の業務での適用可能性を示すとともに、その利用における適用事例研究を行う。そして、両CG   アニメーション技術の適用の位置付けと相互補完関係を明確にする。   

これらの適用事例研究は録画アニメーションとリアルタイムアニメーションそれぞれの要素技術  

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の適用可能性を検証する目的で行う。そして、このような要素技術の適用事例の総括とそれを協調   化施工という概念を導入してシステム化を試みた施工管理支援システムとして位置付け、その実証   実験として田島ダム建設工事において適用事例研究を行った。  

59   

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4.2 CGアニメーション技術の要件定義   

建設産業でのCGアニメーションの適用事例としては、大規模プロジェクトにおけるコンセプト   提案業務や設計コンペで利用された報告がある7)、8)、9)、10)。従来、CGアニメーションの作成には    多大な初期投資と膨大な作業量を必要とし、施工管理で利用することは言うまでもなく、一般的な    建設工事の設計段階でさえ利用されることはまれであった。本研究においては建設産業、さらには    施工管理のような建設工事単位でもCGアニメーションの利用が可能となるシステムを提案する。   

本節ではパソコンを使用した施工管理支援を目的としたCGアニメーション技術の要件定義を行い、  

その有効な利用局面の抽出を行う。   

第2章において、CGアニメーションはその基本的な機能の相違から大きく、特殊撮影を駆使し   た映画などに用いられている録画アニメーションとビデオゲームなどに用いられているリアルタイ    ムアニメーションの2つに分類することができることを述べた。録画アニメーションは、事前にレ    ンダ  リング(フレーム(画面)の生成)を完了し、メディアに記録した状態で再生することができ    る。そのため、光の反射や陰影効果といった物理現象を現実に近い形で表現することができる。ま    た、録画アニメーションは、フレーム毎にレンダリングを行い、記録した状態で再生を行うので、   

膨大なデータ量であってもその再生時には影響しない、という利点が挙げられる。  

これに対しリアルタイムアニメーションは、作成過程こそ多くの点で録画アニメーションと類似    しているが、レンダリングを視点の移動毎、あるいはモデル内のオブジェクトの移動毎に行うので、   

任意の視点から連続的に3次元空間を可視化できるという利点がある。しかし、アニメーションを    実現するにはハードウェアに相当のグラフィックス処理能力を必要とする。そのため制作に際して  

は、オブジェクトの数や形状の複雑さなどが、全体のパフォーマンスに関わってくるため、そのモ   デリング段階ではオブジェクトの最適化において細心の注意を払う必要がある。したがって、施工   

管理業務において利用する場合を想定した場合、再生能力という点で、市販のパソコンでの使用を   前提とすれば、現状では録画アニメーション技術を採用することが実用性に優れていると言える。   

一方、第1章において述べたCICという概念によれば、建設産業で共有可能な様々な電子データ   やコンピュータ関連技術の相乗効果を利用して、企画、設計から施工管理、施設管理までの建設工   

事のライフサイクル全般を通じて情報の連携が可能となる。CICの利用に際しては、以下のような   事項を考慮する必要がある11)。  

①技術者間の仕事はコンピュータの利用を通して協調的なものでなければならない。  

②設計データと施工データの共有に不可欠な統合されたコンピュータシステムが必要である。   

③発注者と施工者間で工事や維持管理に必要な情報が共有されなければならない。   

④プロジェクト関係者間、たとえば、発注者や資機材供給業者、協力会社間での積極的な電子  

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情報の交換が必要である。   

CIC導入の目的は、設計や施工の生産性の向上や品質の改善のために建設プロジェクトの全ての   段階を通じて、様々なデータや工法選定などの専門知識の継続的統合を行うことである。その結果、   

建設された構造物は、発注者の要求するコスト、スケジュール、性能に見合うものとなる。さらに、  

計画の全ての段階における意志決定の方法の統合化と自動化により、積極的な情報交換を行う環境    が整い、施工管理段階における管理業務がより効率的に行われる。  

現在、建設産業におけるCGアニメーションの利用に関しては、効果的なプレゼンテーション(顧    客サービス)手法の一つとして高く評価されているようである。しかし、それらはあくまでEWS    やGWSなどの高価なシステムを利用することを前提としているため、そのシステム構築と運用、   

維持に要する費用、CG生成に必要な時間、ビデオを媒体として使用した場合の呈示装置の可搬性、   

対話性の限界(既定パスの設定)などの問題点から、実際の施工管理業務では使用されていない。  

土木工事では、通常工事が始まると仮設備や重機などはその工事毎、工程毎に適当な場所に設置    され、使用される。また、重機自体の動きについて見れば、簡単なものから複雑な動きをするもの   

まで様々である。そのため、実際の現場をCGアニメーションで再現するに当たっては、現場にお    いてどういった重機が使われて、どのような動きをしているのか、あるいはどこに配置されている  

のかといった状況把握を可能とするCGアニメーションシステムの構築は有用である。12)さらに、   

設計内容に関して工事関係者間で意見交換を活発に行うこと、さらに工事の規模が大きくなるにつ   

れ、工事に関する情報が複雑多岐に渡るため、これらの事柄をいかに正確に理解、また実行できる    かが重要であると考えたため、相互補完的に録画アニメーションとリアルタイムアニメーションを   

用いることで、総合的な施工管理の支援を試みることとした。  

CGアニメーションを用いることで、関係者間の意志の疎通を円滑化し、共通認識を持てるよう    になる。結果として、より効率的にプロジェクトを進めることにつながることが期待される。建設   

事業が複雑になって様々な土木技術の使用の必要性が高まれば高まるほど、関係者間のコミュニケ    ーションはさらに重要なものとなっていく。ここで言うコミュニケーションとは、「建設事業の物理   

的な相関関係を素早く正確に伝達する能力」のことを意味する。CGアニメーションは、この過程    において重要な役割を果たすものと考えられる。  

実際の建設工事へCGアニメーションを適用することで、以下のような事柄が可能になると考え    られる。なお、文中のカツコは本節で後述する適用事例を示している。  

①物理的に実現可能な構造物のイメージを迅速で効率的に表現する能力を持つことで、設計者   や発注者のニーズを確認し、これらのニーズに対する解決策を早い段階で得られる。(高架道  

61   

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路橋震災復旧工事)  

②発注者の意向に沿った設計計画を、CGアニメーション画像でコンピューター画面上に、直接   

的もしくはインタラクティブに展開できる。(大規模土取り工事)   

③複雑な建設機械の操作や施工手順に対して、施工を安全に行うためのトレーニングや施工そ    のもののリハーサルができる。(高架道路橋震災復旧工事)  

④建設工事により影響を受ける沿道住民などに対し、事前に工事の進捗状況や完成予想を分か   

りやすく呈示できることで、工事に対する理解が深まり、友好的な協力が期待できる。(高架    道路橋震災復旧工事、ダム建設工事)  

⑤現場作業開始前にコンピュータ画面上に施工計画そのものを作り出し、不明瞭な作業工程を    見つけだすことができる。(高架道路橋震災復旧工事)  

⑥設計を改善するためのあらゆる意見を取り入れるため、設計の早い段階で、設計・管理・施   

工・運用・維持に携わるすべての分野の人々を計画に参加させることができる。(大規模土取  

り工事)   

なお、1996年度からは建設省直轄工事の一部で建設CALS/ECの実証フィールド実験が実施され   ており、1998年度には建設省の全地方建設局の全工事事務所(253工事事務所)において実施され  

ている。また、IAl(IndustryAllianceforInteroperability:建設関連産業における情報の共有化・  

相互運用を目指す組織)での活動も本格的に始動するなど、建設プロジェクトでのデータの共有や   

その2次利用がこれまで以上に活発になることが予想される。これにより企画・計画段階で生成さ  

れたCADデータは施工計画段階だけでなく、運用・維持管理段階でも利用できる環境が整うこと  

になる。本システムは、建設プロジェクトのライフサイクルでのCADデータの有効利用を進める  

上で重要な役割を果たすことになるが、設計段階でのCADモデルに施工管理上の知識や価値を付   

加し、施設の維持管理段階へ受け渡すことを最終目的としている。  

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4.3 録画アニメーションの適用事例  

4.3.1 はじめに  

録画アニメーション技術を施工管理支援に用いる場合、次のような利点が考えられる。   

①複雑な施工手順や危険作業のトレーニングやリハーサルを事前にコンピュータ上で行うこと  

ができ、現場の状況、施工方法、手順を視覚的に把握できる。さらに現場での失敗や躊曙を   減少させ安全性の向上も考えられる。また、重機の操作性の確認、仮設材の搬出経路の検討、  

物理的干渉の事前調査も可能となる。   

②工事関係者はもちろん現場見学者、地域住民へプレゼンテーションとして利用し、経験、知   識のない人にも工事への理解を深めてもらうことができる。   

③工事の進捗状況、施工前から完成後までを再現でき、実際の現場と比べると工程の遅れがわ   かり設計変更や工程計画変更の検討に有効である。  

④施工後の維持管理、運用段階や周辺整備計画などへ2次的に利用できる。   

⑤従来の模型では設計変更の際、初めから作成し直さなければならなかったが、CGアニメー   ションを利用した場合、変更には容易に対応できる。   

工事状況を3次元的にかつ動的に把握できることが録画アニメーションの技術の最も優れた利点   である。これにより、従来の2次元で表現された図面情報や文書情報だけでは把握しにくい施工状   況や進捗状況といった工事のイメージが、工事経験の少ない人にでも容易にイメージできるように   なる。さらに、録画アニメーションを適用する際、設計者からのCAD図面の電子データを共有可   能とすれば、容易にアニメーションデータを作成することが可能となり、その作成時間短縮という  

効果も期待できる。これらの利点を確認するため本節において、高架道路橋震災復旧工事と大規模   土取り工事において録画アニメーションを適用した事例を示し、それぞれの適用事例について考察    を加える。  

4.3.2 高架道路橋震災復旧工事への適用事例  

(1)高架道路橋震災復旧工事の概要   

浜手バイパスは、国際貿易都市神戸の中心市街地を通過する一般国道2号のバイパスであり、重   要な幹線道路である。(図4−1施工場所位置図参照)本路線は神戸港内を通過しており、1995年  

1月17 日に発生した阪神淡路大震災により他の交通機関と同様、甚大な被害を受けた。高架道路  

橋は変形または傾斜し、コンクリートは破壊され、鉄筋には座屈による変形の跡が見られた。工事   期間中、同バイパスは通行止めを行って、一日も早い復旧を目指して、昼夜間の突貫工事で復旧さ  

れた。本事例研究では浜手バイパスの震災復旧工事の一部として施工している浜辺通工区の鋼桁及  

63   

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図4−3 施工場所平面及び施工場所縦断面図   

図4・4に浜手バイパス浜辺通り工区において撤去対象の被災橋脚の現場写真とCGアニメーショ   ンの一コマとの比較図を示す。図4−4の(a)及び仲)は浜手バイパスの北東側からの写真を比較したも   のである。図4・4の(c)及び(d)は現場付近の建物の屋上から撮影した写真との比較である。  

(a)P12橋脚(震災直後)   (b)録画アニメーションの1コマ  

(C)浜辺通り工区上空写真(震災直後)(d)録画アニメーションの ̄コマ   

図4・4 被災橋脚の現場写真とCGアニメーションの1コマとの比較  

(2)録画アニメーションの適用   

施工場所は構造物が錯綜し、同時に数箇所で復旧工事が行われた。この様な混乱した都市内での   突貫工事を無事終了しなければならないような状況の現場では、全関係者の協調的な施工体制が必   要とされるだけでなく、沿道住民の工事への協力も不可欠であった。  

65   

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施工管理CGアニメーションとして制作した録画アニメーションの適用事例を以下に示す。これ    らの録画アニメーションは実際に現場で施工管理用に使用され、CGアニメーション適用による復    旧作業の施工管理支援を可能としたことは、現実レベルでの利用価値が高いことを示している。こ    れらのCGアニメーションは交錯地点での施工場所や作業過程を視覚的に分かりやすく表現してい  

るため、施工現場では交通規制のため夜間工事を余儀なくされた場合でも、あたかも昼間の施工の   ように工事現場や撤去手順などを再現できた。  

本研究において、浜手バイパスの高架道路橋震災復旧工事は最初のCGアニメーション適用事例    のためCGアニメーションに登場するオブジェクトである浜手バイパス上下路、阪神高速道路高架    道路橋、浜手バイパスの上下路間を抜け阪神高速の上を通過しポートアイランドへ向かうポートラ    イナー、貿易センタービル、360t吊りトラッククレーン、解体用重機バックホー、運搬用トレーラ   

ー 

、ビティ足場、桁仮受鋼材などはすべて作成する必要があった。しかしこれらの内、施工機械や   

仮設資材などは、次期工事への適用時に流用できるため、その時に新たに作成し直す必要はない。  

実際、後述する田島ダム工事ではこれらのオブジェクトは再利用された。  

a.浜手バイパス上部桁撤去作業アニメーション  

被災して撤去対象となった浜手バイパス上部工は地上より約25mの高さにあり、下方では阪神高   速道路3号線、ポートライナーと立体交差しており、地上は一般国道2号が供用中という厳しい条   件下での鋼橋撤去工事であった。  

撤去工法としては一般に仮受け構台(ベント)を設置し、現位置にて小劃して撤去する工法が考   えられるが、本工事では、(D阪神高速道路3号線と新交通(ポートライナー)の上方にあり、同構   造物も被災しているため、仮受け構台(ベント)の設置ができない、②ポートライナー運行開始ま   での短期間で撤去する必要がある、③一般国道2号(現国道)は、生活道路(復旧道路)として使    用しているために通行止めはできないなどの厳しい現場および施工条件を考慮し、施工計画を立案   

することとなった。  

浜手バイパスでの桁撤去作業は災害直後の混乱した状況の中で早急な処理を要し、付近の安全確   

保や都市機能の復元ためにはできるだけ早く被災した桁を撤去することが必要であった。さらに施    工場所は高架道路橋構造物や鉄道高架橋構造物など数多くの構造物が平面的、空間的に非常に込み    入った場所で、かつそれぞれの復旧作業が重複して行われている作業状況であった。本作業施工管   

理を支援する目的で録画アニメーションを適用し、事前に桁撤去工事の施工手順を検討した14)。   

まず、現場条件を3次元的にモデリングし、仮想空間の中に3台のクレーンを擬似的に配置し、  

さらに稼動させることで重機の作業が可能かどうかを上空から視覚的に把握した。図4−5(a)のケー  

(10)

スではクレーンの配置は可能であるが、ブームの旋回は不可能であり、図4−5(b)のケースの位置に   配置すれば問題のないことが確認できた。このように熟練度が要求される事柄に対し、仮想空間内   で実際に配置実験を行うことにより、 

業の様子を示している。このように、事前に撤去作業手順を作業員全員で共有することにより、鳶   工や鍛冶工、重機オペレーターなどあらゆる職種の作業員総勢100名近くが参加し、無事一晩での  

撤去作業を終えることができたものと確信している。  

図4−5(b)クレーンの適性配置   図4−5(a)当初計画でのクレーン配置   

図4−6 鋼桁撤去状況  

67   

(11)

b.施工管理アニメーションシステムとしての利用   

以下に示す一連の録画アニメーションの適用によって、撤去、復旧の作業手順の確認が容易にな   り、また作業手順が上空視点からでも確認可能になり、本工事現場のように複数の構造物が3次元  

的に錯綜している場合、位置関係や物理的制約条件などが明確となった。   

図4−7は施工管理アニメーションシステムと称して作成したプレゼンテーション用の録画アニメ   ーション選択画面である。画面上で複数の選択ボタンの1つをマウスでクリックする事によって、  

以下に示すような幾つかの復旧工事録画アニメーションを再生することができる。これは、工事内   容の広報用に流用され、実際に工事広報用のインフォメーションブース「学べる建設ステーション」  

に約1年間出展され、復旧工事の広報活動の一役を担った15)。  

図4−7 録画アニメーション選択画面   

図4−8〜図4●15は浜手バイパスにおけるCGアニメーションの適用事例において作成した錬画ア   ニメーションを図4−7の選択画面のボタンにより選択した場合のタイトル画面である。更にマウス   クリックすることで各録画アニメーションの再生が始まる。図4・8は壊れた道路橋脚(P7)を撤   去する際に大型クレーンの設置場所を選定し、橋脚をブロック上に撤去する手順を再現した録画ア  

ニメーションの選択画面である。図4−9は同じく壊れた道路橋脚(P7)を撤去する施工手順を上  

空から可視化した録画アニメーションの選択画面である。  

(12)

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(13)

図4・12 道路橋脚(P12)の撤去手順   図4−13 道路橋脚(P12)の部分撤去手順   

図4−14は壊れた道路橋脚(P12)の下部を撤去し、耐震補強及び復旧の施工手順を可視化した   録画アニメーションの選択画面である。図4−15は復旧の完了した阪神高速道路を運転した場合の録   画アニメーションの選択画面である。これらのアニメーションの中で、施工管理上特に評価の高か  

ったものについてはそれぞれアニメーション表示画面の複数画面を用いて、それぞれの工夫した点、   

適用効果などについて詳細に述べる。  

図4−14 壊れた橋脚(P12)下部の撤去手順  図4−15 復旧の完了した阪神高速道路を運転  

c.p7橋脚撤去施工手順   

図4−16の桁撤去完了後の浜辺通り工区全景写真に示すように今回撤去対象となるP7橋脚は狭院   な場所での施工となった。一般国道2号は復旧道路として通行止めにはできない状況であった。そ  

こでP7橋脚に隣接する側道に360t吊りのトラッククレーンを設置し、所定の作業範囲が確保で  

きるかを事前に録画アニメーションで検討した。さらにクレーンの配置場所について、実際にクレ  

(14)

ーンの進入からブーム越し作業、ブロック状での撤去作業、トレーラによる場外搬出までの一連の   撤去作業手順を再現した。  

図4t16 桁撤去完了後の浜辺通り工区全景   

図4.17にP7橋脚撤去手順の録画アニメーションの一部分を示す。各画面右下のには同じ作業手   順を別角度から見た場合の作業状況を表示している。  画面の左端から、①クレーンの設置状況、②  

ブームの旋回および伸張状況、③作業半径確認状況、④撤去ブロックの吊上げおよび場外搬出状況   

を示している。  

図4・17 P7橋脚撤去手順  

d.P12橋脚撤去復旧手順   

図4_16の桁撤去完了後の浜辺通り工区全景写真に示すように、P12橋脚も震災による被害を受   け、撤去後、現位置への復旧の対象となった。図4−18はその撤去の施工手順を表現した録画アニメ  

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(15)

ーションの内、代表的な場面を抜き出したものである。  

図4−18 P12橋脚撤去施工手順   

図4−18の左から順番に、①被災直後の応急復旧工施工状況で、落橋などの二次災害を防ぐため、  

赤色の仮受け橋台(ベント)を設置した状況である。②クレーンで吊上げ可能な大きさまで、ブロ   ック状に切断するための支保工を設置した状況である。③切断作業のための足場を設置した状況で   ある。④橋脚の上半部分を撤去完了し、下半部分を大型ブレーカで撤去する作業状況を示している。  

この録画アニメーションにより当初の撤去計画での施工が可能か否かについて検討がなされた。  

e.360t吊りクレーンによる上部桁撤去施工手順   

この区間では浜手バイパス、阪神高速道路、ポートライナーが交錯し、既設構造物が錯綜した非  

常に込み入った場所での施工となった。またクレーンの配置が一般国道2号上となるため、交通規   制によって夜間だけの作業となった。桁の撤去作業を行うには3台の360t吊りクレーンが必要で   あった。図4・19は3台のクレーンによる桁撤去手順を再現した録画アニメーションの代表的な画面   である。この錬画アニメーションは最終的に図4−19に示されているようなクレーン配置が決定され  

た後で、当夜、撤去作業に参加する技術者や作業者への施工手順の事前周知(ツールボ.ックスミー    ティング)に活用された。  

図4−19 3台の360t吊りクレーンによる被災桁撤去作業手順  

(16)

4.3.3 大規模土取り工事での適用事例   

(1)工事の概要   

関西国際空港二期工事に係わる空港島造成に必要となる埋立用土砂の供給については大阪府、兵   庫県、和歌山県などからそれぞれ調達することになっている。大阪府では岬町多奈川地区の山林か  

ら概算数量で6,000万立方メートル程度の供給を予定している。工事はその設計業務も含めて、「岬   町多奈川地区多目的公園用地造成事業土砂採取供給工事」として正式に発注され、現在施工計画策   定の最終段階である。図4・20土取り予定地位置図に予定地を示す。  

図4・20 土取り予定地位置図   

土砂供給に関しては、第一期工事においては大阪府の阪南町丘陵地から約5,000万立方メートル   の土砂を採取した。第二期工事においては、土砂採取コストの縮減の要請、ならびに土取り跡地の   利用計画などの検討課題を抱えつつ、同程度の土量を第一期工事よりも短期間での搬出という施工   計画立案が要求された。そこで、第2章で展開したCGアニメーションによるプレゼンテーション   の利用性能や表現性能に着目し、①施工予定地全体の位置関係の把握、②土取り施工手順の検討、  

③土砂搬出ルートおよび方法の検討、そして④土砂採取跡地利用計画の検討などにCGアニメーシ   ョンの利用を試みた。本検討においては施工管理支援システムの要素技術としての録画アニメーシ   ョンとリアルタイムアニメーションの双方を利用し、相互補完関係や連携方法の提案を試みるべく、   

要素実験を行った。本節においては、これら一連の適用の内、録画アニメーションの適用事例につ  

73   

(17)

いて述べ、適用効果について考察する。   

本適用事例は大規模かつその工事区域は広範囲であるために、図面や模型では十分な計画立案・  

検討が行えない。そこで、仮想空間内に施工計画通りに建設現場を再現することとした。これによ   り、仮設備配置計画・施工法選定の検討、施設の周辺環境への影響などを検討した。本適用事例で  

は、録画アニメーションとリアルタイムアニメーションの2つのCGアニメーション技術を併用し、  

その相互補関係により現在のハードウェアの限界を補った。さらに、情報の提供方法としてインタ   ーネットのWEB技術利用の可能性について言及した。  

(2)録画アニメーションの適用   

施工計画は土工事の設計担当者、機械設備計画担当者および工事施工管理担当者などがプロジェ  

クトチームを組織し、進められた。文字通り、あらゆる分野の専門技術者が意見を出し合って計画    をまとめて行く体制を整えたことになる。CGアニメーションはこのプロジェクトチームメンバー   

による設計施工計画の妥当性を確瓢するために適用された。   

CGアニメーションデータ作成手順としては、図面上での計画により選定された仮設備、機械を   設計図面より実寸法にてモデリングした。別途作成しておいた3次元の地形データに計画通り配置   することで、仮設備や機械選定の妥当性、あるいはそれらの配置の検討が可能となった。図4−21(b)  

の仮設備・機械選定とその配置の検討は大阪湾側から土砂積み出し基地に設置されるシップローダ   による土砂積込及び運搬作業を再現した録画アニメーションの代表画面である。図4−21(a)画面右奥   にはストックパイルが配置されていることが確認できる。この録画アニメーションは土砂の積出基   地設備設置計画及び設備の規模の決定などに利用された。   

図4−22は土砂採取計画策定において、約3年間の全工期に渡る土取り工事場内の土砂擁削状況を  

再現した録画アニメーションの代表的な画面である。毎月の掘削状況を再現することで、仮設道路  

の設置場所適否や破砕設備の配置計画の優劣などが確瓢できた。  

(18)

75   

(19)
(20)

図4−23と図4−24の土砂運搬方法のシミュレーションでは、ベンチ発破から土砂のダンプトラッ   クへの積込作業、クラッシャへの投入までの土砂採取作業を再現した録画アニメーションの代表画  

面である。本録画アニメーションでは地下部分も再現しているので、土砂採取開始直後から採取完  

了までの地盤面と破砕設備各部分との位置関係や制約条件などが表現されている。  

図4−24 土砂運搬方法のシミュレーション   

本適用では実際に行えなかったが、ダンプトラックもその機能も含めモデリングしているので積    込から場内運搬、ダンプアップまでの一連の運搬作業を疑似体験することも可能である。これによ   

り、土砂運搬用の仮設道路の設計が、ダンプトラック運転手にとって安全に走行できるように設計   

されているかが確認できる。200haにおよぶ広大な施工現場内のあらゆる部分から土砂を採取する  

必要から、ダンプトラックの運転時間は相当なものとなることが予想される。これは、工事を無事   故で完工するためには、重要な施工計画検討項目でもある。  

77   

(21)

4.3.4 事例研究考察   

第2章において提案した2種類のCGアニメーション技術である録画アニメーションとリアルタ   イムアニメーションの内、高架道路橋道路復旧工事と大規模土取り工事施工計画および管理でのCG   アニメーションめ適用を試みた。以下に本節を通しての考察をまとめる。  

(1)施工計画への適用の有効性   

本適用事例より、施工法選定、仮設計画、機械設備配置といった施工計画において録画アニメー   ションが活用できることを示した。さらに録画アニメーション技術を利用した工程計画の3次元可  

視化により、計画検討において時間と空間の概念も取り入れることで、作業のし易さといった施工   性の優劣も考慮に入れることが可能となり、さらに質の高い施工計画の策定が可能となることを示   

した。  

(2)施工管理への適用の有効性   

安全管理については、工事現場における事故発生要因として、常に変化する現場の状況の把握が   不十分であることが多く挙げられている。本システムの適用により、あらゆる専門の技術者だけで   なく、建設工事の専門技術や知識を有さない一般の地域住民でさえも、現場の状況を事前に把握す   ることが可能となり、安全管理についてもその効果が期待される。  

(3)施工計画・施工管理の問題点の解決   

本システムは、実際にまだ行われていない作業状況を誰にでも理解できる形で表示できる。熟練  

者はそれを頭の中で3次元化し、その状況をイメージできるが、未熟練者にとっては、言葉や図面  

のみの情報からそれを的確に判断できないことが予想される。そこで本システムによる視覚的情報  

の提示はこの熟練者の思考をコンピュータ上に事細かに映し出すことにより未熟練者の判断を補助  

する。また、施工技術や手順が複雑化し多様化すれば、たとえ熟練者であっても個人の能力には限  

界があり、頭の中の経験のみに頼っていては合理的な計画立案であるかどうかの判断が困難となる  

であろう。そこで録画アニメーションにより工事内容再現することで、このような場合でも的確な  

施工管理を行うことができると考える。  

(22)

4.4 リアルタイムアニメーションの適用事例  

4.4.1 はじめに  

CGアニメーションを建設工事に適用する有効性は次の2点である。①施工前に実構造物の工事   中あるいは完成後の具体的なイメージを得ることができる。②仮想空間内は現実では許されないこ  

とが表現可能である。このことにより、たとえば計画段階に完成後の周辺整備について考えたり、  

工事中に危険作業のリハーサルを行ったりする際にその威力を発揮する。  

CGアニメーションは録画アニメーションとリアルタイムアニメーションの2つに大別されるこ    とは先に述べたとおりであるが、事例を蓄積する中で、それらの特徴を様々な角度から検討した結   果、次のことが分かった。①録画アニメーションはCGデータが大容量であっても再生時に影響し  

ない特徴から、ほぼ忠実に現場の状況を再現でき、特に施工段階に有効である。②リアルタイムア   ニメーションは、仮想空間内を利用者の観点で自由に視点移動できることから、特に設計段階での   関係者間の合意形成に有効である。しかし、この2つのアニメーションは、長所・短所を相互補完  

する関係にあるため、施工段階ではその併用が重要と考え、リアルタイムアニメーションの適用事    例研究を行った。  

リアルタイムアニメーションを建設工事に使用することによって、以下のような長所や短所が存    在する。まず、長所としては、   

①客先の要望に応じ、人の視点や航空機からの視点など、あらゆる角度から現場を視察するこ   とで、建設プロジェクトの全体像や周辺の地形・地物の位置関係が容易に理解できる。   

②工事着工前と竣工後の現場状況を一瞬にして切り替え、計画の概要が容易に理解できる。   

③施設設計完了前に周辺との景観的な関係や干渉を検査でき、設計終盤での変吏が削減できる。   

④特殊な画像表示装置(エンジン)は一切使用せず、インターネットのWEBブラウザで再生   可能なため、通常のパソコンで再生可能である。  

⑤上記④のようにパソコンレベルでの情報交換が可能となるので、物理的には遠く各地に離れ  

て仕事をするスタッフが仮想プロジェクトチームを編成し、作業を進めることが可能となる。   

一方、短所としては、   

①内容に現実味を持たせれば持たせるほど表示速度は遅くなり、動きが滑らかではなくなる。   

②面数(ポリゴン数)を最小化しているため3次元モデルがやや現実味に欠ける。  

などが挙げられる。  

以上のようなリアルタイムアニメーションにおける表示能力の制限はあるが、その制約部分をも    う1つのアニメーションである録画アニメーションで補うことにより、両手法の相乗効果でより効  

79   

(23)

果的なプレゼンテーション手法として利用することが可能になる。本節においては、以上のような    リアルタイムアニメーションの特性を確認する目的で実施した適用事例について解説し、考察を加    える。  

4.4.2 大規模土取り工事での適用事例   

設計施工計画立案におけるリアルタイムアニメーションの適用事例として、大規模土取り工事の    施工計画において適用した結果を報告する。同工事は大規模かつその工事区域は広範囲であるため  

に、図面や模型では十分な計画立案・検討が行えない。そこで、リアルタイムアニメーションを用   いて仮想空間内に施工計画通りに建設現場を再現した。これにより、仮設備配置計画の検討や施設   の周辺環境への影響などを検討した。本適用事例では、録画アニメーションとリアルタイムアニメ  

ーションの2つのアニメーションを併用し、その相補関係により現在のハードウェアの限界を補っ    た。さらに、情報の提供方法としてインターネットを利用した。  

図4−25 リアルタイムアニメーションの操作画面   

リアルタイムアニメーションでは、建設予定地周辺地区の航空写真と道路地図を用いて仮想空間  

に建設現場を再現した。図4−25に本適用事例において作成したリアルタイムアニメーションの操作   画面を示す。本適用事例において作成したリアルタイムアニメーションはインターネットブラウザ  

に第3章で紹介したプラグイン(Superscape社が無償で配布しているⅥSCAPE5.0)を追加イン  

ストールすることで一般のパソコンで再生可能である。また、インターネットのWEBページに掲  

載することで、ファイルをダウンロードする操作は必要ない。実際にはダウンロードして再生する  

(24)

ことになるが、操作感としてはインターネット上のリアルタイムアニメーションを直接実行してい   るかのようである。図4・26には図4・25の最下部に位置するリアルタイムアニメーションの操作パ   ネルを拡大表示したものである。これらの操作ボタンをドラッグ(マウスボタンを押しながら移動  

させる)することで、利用者は自分自身の上昇・下降や左右への移動、前進・後退が可能となる。  

また、視点の移動という意味においては左右旋回や見上げたり見下げたりすることが可能となる。  

図4−26 リアルタイムアニメーション操作パネルの説明   

また、図4−27〜図4・30にリアルタイムアニメーションの代表的な画面を示す。自由に視点を移   動できるリアルタイムアニメーションの利点により、土取り予定地と周辺地区、仮設備などの相対   位置関係が明白となる。さらに、表示・非表示の機能により現状(工事着工前)と計画案(工事中  

及び土取り完了後の跡地利用)の比較や、複数の施工計画案の比較検討が可能となる。  

図4−28 大阪府上空から望む    図4−27 和歌山県上空から望む  

81  

(25)

図4・29 大阪湾上空から土取り予定地を望む  図4−30 大阪湾上空から土取り予定地を望む  

(予定地表示した場合)   (予定地非表示した場合)   

図4−27はリアルタイムアニメーションの初期位置で、和歌山県上空から関西空港と土取り予定地   を見下ろした位置である。この場面からは埋立予定地と土取り予定地の位置関係がわかる。図4−28   は図4−27の位置からほぼ同じ高度を保った状態で大阪府河内長野市上空に移動した場合の画面表示   である。図4−29は高度を下げながら大阪湾上空に移動し、土取り予定地を見た状態の画面表示であ   る。図中の茶色部分は土取り予定地、緑色に着色された部分は大阪府土地開発公社有地、赤色及び  

緑色の線はベルトコンベアを示している。  これらの土砂採取設備は画面上のボタン操作で表示・非   表示の選択が可能である。(図4−30参照)  

(2)インターネットを通しての利用   

WEBのホームページとい  う性格上、情報提供者は各関係者に情報を配布する作業を行わずに済   み、情報の更新に関してもデータのアップロード、ダウンロードという操作で随時行うことが可能  

である。つまり、それぞれの専門分野の技術者が任意に最新の情報を提供できる環境が整うことに  

なる。リアルタイムアニメーションの再生環境(インターネットWEBブラウザ)で録画アニメー   ションを再生することで、リアルタイムアニメーションでは表現しきれない立体感や現実感を補完  

することが可能となる。図4−31はインターネットブラウザ上で録画アニメーションを再生した時の   画面表示である。画面左上はリアルタイムアニメーションを表示した場合も画面表示である。残り  

の3画面は録画アニメーションを再生した場合の画面表示である。本適用事例においては、この機  

能を実現するためにMicrosoft社のアニメーションデータ圧縮保存形式であるAVI形式のファイル  

(26)

に変換し、ActiveX技術を利用して再生環境を実現した。  

ヵィ柑、隕t ■帰 帆・人ヽこ叫} へ▲‥旬   日  

よ・イ・孟 ぷ 且 孟 よよu よ,ふ..孟;見 ㌔  

▼れtエ1」ち・t・ヽ■・▲!亡?こ●lゝ・トー′一叫−・→り・  

可   ゴーイ={ 膏  

図4−31インターネットWEBブラウザ上で録画アニメーションを再生した時の画面表示  

4.4.3 事例研究考察   

本節では、CGアニメーションの内、リアルタイムアニメーションの果たす役割を建設プロジェ   クトの施工計画策定段階において適用および評価し、有効な適用分野を提案するとともに、独自に   

リアルタイムアニメーションの再生環境を構築し、その可能性を述べた。また、適用事例を通して    提案したシステムの有効性と適用の効果を確認し、以下のようなことが明らかとなった。  

(1)アクセス性   

入力される画像データは、従来のようにCG専門の画像製作スタッフ(外注によるデータ作成を   含む)のみが行うのではなく、設計や施工のチームあるいは発注者からの数値データを基にして画  

83   

(27)

像が作成されていく。また、それらの画像はインターネットを通して見ることが出来る。通常のパ    ソコンレベルで構築されたリアルタイムアニメーションの適用意図は発注者、設計者、施工者、あ    るいは地域住民も含んだ第三者が画像にアクセス可能である点にある。  

(2)3次元での現場再現   

工事計画の3次元可視化の例として大規模土取り工事への適用例を示した。リアルタイムアニメ   ーションの適用からは、任意の視点からの工事現場を3次元的に措き、現場の状況を検討できるこ  

とが確認できた。また、録画アニメーションによる現実感や立体感の補完も可能であることを示し   た。リアルタイムアニメーションにおいても周辺の景観整備も含めた設備配置計画や仮設工事計画  

が可能となることが明らかとなった。  

(3)合意形成手段  

本事例研究において、広範囲におよぶ地域の建設プロジェクトへのリアルタイムアニメーション  

の適用を試みた。開発地域の現況を任意の視点から見ることができるため、多様な価値観を持つ不   

特定多数の人に対してそれぞれの視点からの検討が可能となり、プロジェクトの全体像や地形、構  

造物の位置関係が容易に理解でき、全体の意識続−が図れることを示した。  

(28)

4.5 施工管理支援システム実証実験  

4.5.1 はじめに   

CGアニメーションを建設工事に適用する有効性は次の2点である。①施工前に実構造物の工事   中あるいは完成後の具体的なイメージを得ることができる。②仮想空間内は現実では許されないこ  

とが表現可能である。これらのことにより、たとえば計画段階に完成後の周辺整備について考えた   り、工事中に危険作業のリハーサルを行ったりする際にその威力を発揮する。そのような観点から、  

幾つかの大規模建設プロジェクトにおいてCGアニメーションが利用されるようになった。16)これ  

らの事例では主としてGWSやEWSなどのワークステーションを利用しており、導入時のコスト   の問題や汎用性などの問題が指摘されていた。ところが、近年のCG関連のハードウェア・ソフト  

ウェアは著しく高性能化・低価格化し、数年前のGWSやEWSに匹敵する処理能力を持つように  

なってきた。それにより、CGアニメーションがパソコンレベルで利用可能となった。   

これまでの研究過程で、1996年に阪神淡路大震災後の高架道路橋復旧工事へCGアニメーション  

を適用した。この工事は構造物が錯綜し同時に数カ所で復旧工事が行われた上に、多くが夜間作業   であった。そのため、現場の全貌や作業状況の把握のために録画アニメーションを用いた。その結   果、夜間の作業手順の確認や重機などの配置の検討に有効であることが確認された。この事例以降  

建設工事、特に施工段階にCGアニメーションを適用する研究を行っている。さらに、欧米諸国で   研究が行われていたCIC、CICC といった概念を参考にして、建設プロジェクトライフサイクルの  

うち施工段階に着目し、ネットワーク関連技術、CAD・CG関連技術を核とする協調施工管理支援  

システム(後に施工管理支援システムと改名し現在に至っている)の構築を試みている。また、本   システムのもう一つのCGアニメーション要素技術として、リアルタイムアニメーションを提案し、  

その実験として大規模土取り工事などの現場に適用し、本システムにおけるCGアニメーションの    役割と有効性について明確にしてきた。   

CGアニメーションは録画アニメーションとリアルタイムアニメーションの2つに大別されるが、  

事例を蓄積する中で、それらの特徴を様々な角度から検討した結果、次のことが分かった。①録画  

アニメーションはCGデータが大容量であっても再生時に影響しない特徴から、ほぼ忠実に現場の  

状況を再現でき、特に施工段階に有効である。②リアルタイムアニメーションは、仮想空間内を利   用者の観点で自由に視点移動できることから、特に設計段階での関係者間の合意形成に有効である。  

しかし、この2つのアニメーションは、長所・短所を相互補完する関係にあるため、施工段階では  

その併用を提案した。   

本節ではまず、前節までの研究事例をもとに、再度、施工段階におけるCGアニメーション適用  

の有効性を整理し、まとめ直すことにする。さらに、ダム工程計画へのリアルタイムアニメーショ  

85   

(29)

ンの適用と、周辺整備へのCGデータの2次的利用を提案し、その有効性について述べる。  

実証実験として次の5つのステップを実行した。  

①現場関係者からの情報を収集  

②CAD・CG技術を用いたCGアニメーションの作成  

③インターネット・ホームページを通して画像の提供  

④現場関係者による評価(アンケート)  

⑤著者らによる考察   

以下に、実証実験で適用したCGアニメーションの紹介と現場関係者による評価をもとにして、  

施工管理やダム周辺景観整備へCGアニメーションを適用することの有効性、データ作成時の注意   点などを列挙し、考察を加える。本実証実験では、これまでの適用事例研究でのCGデータ作成者   による評価でだけはなく、現場関係者(施工者側、発注者側の現場技術者計12名)に対する聴取  

り調査を中心として、施工管理を職務とする現場技術者の評価を中心に客観的な適用効果を述べる。  

4.5.2 田島ダムの概要と特徴   

阿賀野川水系高野川の福島県南会津郡田島町大字高野地先に多目的ダムとして建設するもので、  

高野川総合開発の一環をなすものである(図4−32田島ダム位置図)。ダムは重力式コンクリートダ   ムで、諸元については高さ36.Om、総貯水量523,000m3、有効貯水容量451,000m3で、洪水調節、  

流水の正常な機能の維持及び水道用水の供給を目的としている。図4−33に田島ダムの完成予想CG   静止画像を示す。本工事の工事期間は、平成6年10月から平成11年3月までを予定している17)。  

図4−32田島ダム位置図  

(30)

図4・33 CG静止画による田島ダム完成予想図全景  

図4−34 CGデータと実際の現場との比較(同工程を再現)   

本工事の特徴は、一般的なダム工事と同様に、掘削工、基礎処理工、堤体工、仮設備工といった    多くの工程を経ることで、多くの施工関係者が関わる。また、現場が広く、工事期間が長いため工   

事の全容を理解することが困難であることなどが挙げられる。さらに、本工事固有の特徴としては、   

冬季に施工場所が雪に覆われ作業ができなくなり、工程の少しの遅れが工事の大幅な遅れとなるた   

め、綿密な計画が必要であったことなどが挙げられる。  

図4−34にCGデータ(モデル)による同工程の現場作業状況との比較を示す。このように、ダム    本体を忠実に再現したことに始まり、バッチャープラントやトランスファーカーなどの仮設備、ク   

ローラクレーンなどの重機、さらに型枠などの仮設資材に至るまで、実寸法で各オブジェクの形状  

87   

(31)

配置を含めてすべてモデリングを行い、以下に示す実証実験を行った。  

4.5.3 施工管理支援システムの適用事例   

(1)録画アニメーションの適用   

録画アニメーションの利点は、①CGデータが大容量であっても再生時に影響しない。②多数の  

光の反射や現実に近い陰影効果など洗練された表現ができるなどが挙げられる。そのため、重機な   ど複雑な動きを再現でき、事前調査により得られたデータ(地形、既存の構造物など)を取り込む   ことで、ほぼ忠実に現場の状況を再現できる。それにより熟練していない現場関係者でも施工計画   や現場の状況把握が容易になる。なお、状況把握を重要視した場合、施工計画のうち、工程計画、  

仮設備・機械配置計画をシミュレートしたものなどが有効であると考えられる。図4−35に録画アニ   メーションを用いた施工管理支援システムのアニメーション選択画面を示す。画面左右に配置され  

ている選択ボタンを押すことで録画アニメーションが再生される。以下の代表的な録画アニメーシ    ョンを紹介する。  

図4−35 録画アニメーションによる施工管理支援システムの選択画面  

①施工計画の検討:仮設備や地形などを含めた施工状況を再現できるので施工上の不具合を   

事前に確認できる。たとえば、物理的干渉部分の発見や搬出経路の確保などが挙げられる。  

②作業の効率化・安全性の向上:複雑な施工や危険を伴う作業を事前にシミュレートするこ  

(32)

とにより、現場での誤った判断や蹄躇を減少させ作業の効率化や安全性の向上につながる。  

③発注者や地域住民へのプレゼンテーション:工事広報のために沿道住民や現場見学者に施  

工要領、工事進捗状況の説明用として用い、工事への理解を深めてもらい、協力を得やす   くする効果が期待できる。  

(2)録画アニメーションの適用事例と評価  

田島ダム建設工事における録画アニメーションの適用目的は以下に述べる2つが考えられた。ま    ず、これまでの高架道路橋復旧工事や大規模土取り工事における録画アニメーションの適用実績を    踏まえて、田島ダム建設工事の施工管理において録画アニメーションの適用効果を総括することで    ある。次に、録画アニメーションの施工管理支援システムにおける役割の明確化とリアルタイムア    ニメーションとの適用分野の差別化である。田島ダム建設工事における施工管理支援システムの実    証実験においては、録画アニメーションによる①工程計画シミュレーション、②コンクリート打設   

シミュレーション、③仮設備及び重機配置シミュレーションシステムを提案した。さらに現場関係    者による実施工管理業務への適用を経て、聴き取り調査による適用性の評価を行った。以下に各録   

画アニメーションの特徴と機能を述べる。  

a.工程計画シミュレーション  

ダム建設の主要工程の内、転流工、掘削工、仮設備工、提体工、基礎処理工を対象として年間作   

業工程表のバーチヤートをもとに1ケ月間隔で各種作業内容の3次元視覚化を試みた。バーチヤー    トでは互いに関連している工程の棒グラフの位置関係や制約条件などを施工管理技術者の頭の中で   しか捉えられなかった。この工程表の情報を録画アニメーションに登場する各オブジェクトと関連    付けし、工程情報に従って表示・非表示することで、実際の工事施工状況のイメージが容易に理解    できるものと考えられる。工程の変更時にも表示・非表示の設定変更で容易に対応でき、その効果   

も期待される。図4−36はダム本体工事工程を月毎に表示させる録画アニメーションの選択画面であ    る。画面下に配置したボタンによりその月の施工内容が表示される。図4−37は図4−36の工程計画    シミュレーション表示月選択画面の選択ボタンによる任意の月の施工内容を再現した録画アニメー    ションの代表画面である。着工から本体完成までの全工程を1ケ月単位で表示可能である。各月の    画面の左上には同月の作業工程内容が表示されている。  

89   

(33)

図4−36 工程シミュレーション表示月選択画面  

図4−37 ダム本体工事内容表示画面の例   これにより、ダム本体のコンクリート打設施工手順やその時の現場の状況変化を把握できるほか、   

工程上の制約関係も確認できる。工程計画の視覚的確認が可能となり、作業の効率化が期待できる。   

図4−36画面右下の「アニメーション」ボタンは一カ月毎に作業の流れを確認するために、一連の作    業内容が録画アニメーションで確認できる。  

b.コンクリート打設シミュレーション  

ダム本体工のコンクリート打設状況を工事現場の地理的情報や仮設構造物を含め、重機やバケッ  

トの動きと共に再現した。図4−38はコンクリート打設シミュレーションの録画アニメーションの体  

表画面である。コンクリート製造施設と打設場所の位置関係や、重機作業半径や作業に必要なスペ  

ースなどが検討可能となる。このように視点を上空に置くと、コンクリート打設の施工手順や作業  

状況、機械設備の配置状況の把握、建設資材の仮置場所の選定などが容易になる。  

(34)

図4−38 コンクリート打設シミュレーションの一コマ   

図4−39は録画アニメーションを用いた施工管理支援システムにおいて、クレーンの操縦シミュレ    ーションを選択した場合の画面表示である。そのままボタンをマウスクリックすることで再生を始   

める。本録画アニメーションはダム天端近くのブロックのコンクリート打設作業に伴うコンクリー   

トバケットの揚重作業をクレーンの運転席からの視点での確認することを目的に作成した。図4−40    はコンクリート打設シミュレーションによる打設サイクルを再現したものである。クレーンのオペ  

レーターの視点であるので、その死角となる場所、つまり危険な箇所を実作業に取り掛る前にその    有無を確認することが可能となる。  

図4−41は同じブロックの打設状況を上空から確認したものである。これらの2種類の視点からの    打設作業の比較により、クレーンのオペレーターからは打設箇所がほとんど見えないことがわかる。   

このことから、実際の打設作業開始前に当日作業に参加する職員や作業員、オペレータ、重機誘導   員などを含めて、打設作業手順の確認や安全指示を行うことにより、安全作業の教育に役立つ。結    果として、作業の効率化につながると考えられる。  

91   

(35)
(36)

c.クレーン配置計画シミュレーション  

クレーンの最適配置を決定するため事前に仮想空間で配置検討を行う。これにより現場での配置   のやり直しなど、作業の手戻りをなくすことが可能となる。図4・42は施工管理支援システムにおけ   るクレーンの配置計画シミュレーションを選択した場合の画面表示である。そのままボタンをマウ   スクリックすることで再生を始める。図4−43はクレーン配置計画シミュレーションの代表的な画面   表示である。それぞれの画面の上部分には施工部位や数量、打設予定日が表示される。また、シミ  

ュレーション画面はコンクリート受取時と打設時のクレーン配置が表示されている。  

図4−42 施工管理支援システムにおけるクレーンの配置計画シミュレーション  

図4−43 クレーン配置計画シミュレーションの代表的な画面  

図4−44はクレーン配置計画シミュレーションによる同一箇所におけるコンクリート打設のための  

93   

(37)

クレーン配置を比較したものである。(a)の配置ではクレーン旋回角度が870と大きいが、ブームの   回転角度は620と適切である。一方仲)の配置ではクレーン旋回角度が630と小さいが、ブームの回   転角度が500と大き過ぎるため作業半径が危険域に入り、転倒の危険性が高くなる可能性がある。   

図4−45は本体コンクリート打設工程の終盤において、A・2ブロックでのコンクリート打設箇所で  

のクレーン配置失敗例である。右図ではクレーンのブームがコンクリート躯体に接触し、予定の位  

置にコンクリートバケットを移動できないことがわかる。このように事前に机上(パソコン上)で   

失敗することにより実施工での失敗が回避できることになる。  

(a)適性配置の場合  

(b)転倒危険域の配置の場合  

図4−44 クレーン配置計画シミュレーション配置計画  

図4−45 A−2ブロックにおけるクレーン配置の失敗例  

(38)

クレーンの配置は数百回、コンクリート打設の累計打設量は80,880m3、バケットの容量は2〜3m3、  

さらに型枠のスライド作業も必要である。よって、1回の打設工程で少しの時間短縮になればその   効果も多大なものとなる。クレーンの旋回速度、走行速度なども考慮に入れるとかなりの時間短縮  

と安全性の向上が期待できる。  

d.仮設備配置シミュレーション  

仮設備配置シミュレーションでは仮設備の配置・使用状況だけでなくコンクリート打設工程にお  

ける使用機械の稼動状況などが再現できる。遊休資材の確認、資機材の使用状況を確認することで   機械調達・作業量管理を円滑に行うことが可能になる。また、仮設備はいずれ撤去されるため、コ   スト面や機能的にも最適な設備でなければならない。   

図4−46の左側の画面表示では録画アニメーションにおける配置計画の検討を容易にするため、  

限定的ではあるが、インタラクションを設けた。システム利用者がある程度アニメーションを制御  

できるようにボタンを作成している。この機能により図4−46の右半分では左岸から、工事場内を   確認するための録画アニメーションである。このように4方向の静止画だけでなく、施工場所まで    近づいて見みて、確認するための録画アニメーションを作成した。  

図4−46 録画アニメーションにおける設備配置計画の検討  

(3)現場関係者による評価  

①工程順序や現場の状況変化の大まかな把握に有効である。コンクリート打設にはグリーンカッ   ト、ダムフォームスライド、鉄筋組などの工程がある。そのため工程上の制約まで理解するた    めには、さらに詳しく工程を再現する必要がある。  

②熟練者でなくても施工手順・作業状況を容易に把握できるため、着工前の説明用として有効で  

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