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ダイズリポキシゲナーゼが種子生存力に及ぼす影響に関する研究

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Academic year: 2021

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北海道大学 大学院農学院 修士論文発表会,2017 年 2 月 7 日

ダイズリポキシゲナーゼが種子生存力に及ぼす影響に関する研究

生物資源科学専攻 植物育種科学講座 植物遺伝資源学 中屋 楓

1.はじめに

ダイズ種子の生存力や発芽力は,登熟期間や収穫後の環境の影響を受けやすい。特に高温多湿環 境で貯蔵された種子は発芽力を急速に失う。本研究では種子生存力の異なる品種を用いて,登熟環 境が種子の生存力に及ぼす影響ならびに種子劣化の原因と考えられる脂質の過酸化について,脂質 過酸化酵素であるリポキシゲナーゼ(以下LOXと省略する)に着目して検討した。

2.材料と方法

早生ダイズ73系統から選抜された種子生存力の異なる7系統,ならびに北海道品種「ユキシズ カ」「ユキホマレ」およびすべてのLOXを欠失した品種(リポ欠品種)「十育243号」を異なる播 種期の下で栽培し,得られた種子を実験に供試した。またつくばで収穫されたLox遺伝子型の異な る品種の種子を供試した。種子生存力は,系統当たり10粒を加齢処理(AA処理)し,正常に出芽 した種子数で評価した。脂質の過酸化生成物であるマロンジアルデヒド(MDA)の発生量を「ユ キホマレ」「トヨムスメ」および「十育243号」について,種子肥大完了期(R6期)から異なる 温度条件(20℃および30℃)下で登熟させ,登熟温度がLoxの発現量,収穫種子のMDA量や種 子生存力に及ぼす影響を検討した。

3.結果と考察

供試系統の種子生存力は,播種期の間で異なり,標準植え区(527日播種)より遅植え区(6 26日播種)で全体的にやや低下した。しかし系統間の種子生存力の大小には一定の傾向が認め られ,種子生存力は登熟期の環境にも影響を受けるが遺伝的要因の効果が強いと考えられた。また,

つくばで収穫された種子を用いた実験では,リポ欠品種ならびに一部のLOXを欠失した品種は全 てを持つ品種よりも種子生存力が高く,LOX の欠失が種子生存力の維持に寄与することが示され た。しかし,北海道で育成された「十育243号」は必ずしも高い生存力は示さなかった。解析した リポ欠品種では,AA処理の有無にかかわりなく種子のMDA量が著しく低く,LOXの欠失が種子 の脂質の過酸化を抑えることが確認された。しかし,リポ欠品種ならびにLOXを有する品種にお いてもAA処理前後でMDA量はあまり変化しなかった。したがって,種子生存力と関連する脂質 の過酸化は,MDA量で評価できるほどの大きな変化ではなく,リン脂質など一部の重要な脂質で 生じている可能性が考えられた。Lox遺伝子の発現量は品種によって異なり,「十育243号」なら びに種子生存力の高い「UK7」で低かったが,温度処理開始10日目では温度の効果は観察されな かった。

4.まとめ

本研究の結果,LOX の欠失は種子の脂質の過酸化を抑えるが,種子生存力に及ぼす効果は品種 により異なることが分かった。早生ダイズ遺伝資源から見出された種子生存力の高い系統は,いず れもLOX活性を持つが,Loxの発現量は異なっていた。今後これらの材料を用いて,LOXの作用 に関するより詳細な解析や抗酸化物質量などLOX以外の側面から,種子生存力に関与する要因の 解析が必要である。

参照

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