中 国 国 有 企 業 の 「負 担 」 につ い て
川 井 伸 一
は じめ に
近 年,中 国 に お い て 国有 企 業 の 「負 担 」 を め ぐ って 論 争 が続 い て い る。
一 部 の 論 者 は,こ の10数 年 来 の 改 革 の な か で 国 有 企 業 の留 保 利 潤 は大 き く増 大 した一 方 で,国 家 財 政 は ほぼ継 続 して 赤 字 で あ る とい う。 例 え ば, 国 有 企 業 の留 保 利 潤 額 は1978年 の27.47億 元 か ら1987年 の538.54億 へ と 19倍 余 り増 加 し,ま た 利 潤 総 額 に 占 め る留 保 利 潤 比 率 も78年 の3.7%か
ら87年 の50.9%に 増 え た。 他 方,中 央 政 府 の財 政 赤 字 は79年 か ら89年 まで で 計760余 億 元,政 府 債 務 は計1250余 億 元,あ わせ て約2000億 元 に 達 して い る と い う。 つ ま り,純 生 産 額 の配 分 は企 業(お よ び職 員 労 働 者) の 側 に過 度 に傾 斜 し,政 府 の財 政 比 重 は しだ い に低 下 して い る。 従 って, 10数 年 来 の改 革 の最 大 の受 益 者 は国 有 企 業 で あ り,そ の 税 負 担 も軽 くな っ て い るの で あ るか ら,国 有 企 業 は困 難 な国 家 財 政 に対 して も っ と積 極 的 に 貢 献 す べ きで あ る,と 主 張 す る。
他 方,一 部 の論 者 は,国 有 企 業 の 留 保 利 潤 が 改 革 の な か で増 大 した と は い え,企 業 の 「負 担 」 は依 然 と して 余 り に重 い と主 張 す る。 例 え ば,各 種 の税 金,費 用,割 当 て な ど を通 して企 業 の純 収 入(「 利 潤 税 金 総 額 」)の 80%以 上 を政 府 に納 入 しな けれ ば な らず,実 際 の留 保 利 潤 額 も純 収 入 の1 割 前 後 に ま で減 少 して い る,と い う。 従 って,政 府 は国 有 企 業 の過 重 な負 担 を 軽 く し,休 養 と息 抜 き を与 え る べ きで あ る,と 主 張 す る。 一 般 的 に い え ば,前 者 は政 府 財 政 当 局 側 の立 場 に立 った主 張 で あ るの に対 して,後 者
1
1一は企 業 経 営 者 側 の立 場 か らの 主 張 で あ る とい わ れ る(D。
この よ うに国 有 企 業 の 「負 担 」に っ い て両 者 の意 見 は相 対 立 して い るが, い った い そ の実 際 状 況 は ど うな の で あ ろ うか。 本 稿 で は中 国 の 国 有 企 業 の 負 担 問 題 にっ いて 整 理 し,検 討 して み た い。
1中 国国 有 企 業 に お け る負 担
1)負 担 と は何 か
国有 企 業 の 「負 担 」 の定 義 に っ い て 中国 で は統 一 した規 定 が あ るわ けで はな いが,中 国 の 関係 文献 で はふ っ う負 担 と は,企 業 の生 産 経 営 活 動 に直 接 必 要 な生 産性 支 出 を 除 いた 支 出部 分,す な わ ち,税 金 ・上 納 利 潤 お よ び
「費 用」支 払 い な ど の負 担 を指 して い る(2)。上 納 利 潤 とは企 業 が契 約 に基 き 毎 年,政 府 財 政 当局 に納 め る利 潤 部 分 の こ とで あ り,「費 用 」 とは政 府 諸 機 関 ・団 体 か ら企 業 に課 せ られ る税 金 ・上 納 利 潤 以 外 の公 的 ま た は社 会 的支 出 を指 す(詳 細 は後 述)。 こ の よ うな意 味 で の負 担 は企 業外 の政 府 機 関 ・団 体 か ら企 業 に対 して直 接 要 求 さ れ る公 的 社 会 的 負 担 で あ る。
国有 企 業 は これ とは異 な る負 担 も背 負 って い る。 もと も と中 国 の 国 有 企 業 は本 来 の経 営 活 動 以 外 に さ ま ざ ま な社 会 的行 政 的 活 動(例 え ば,学 校, 病 院 住 宅,養 老 保 険 な ど)を も自 ら担 って お り,一 種 の 社 会 共 同 体 と し
て の性 格 を 強 く も って い る。 企 業 が そ の単 位 内 で 行 って い る さ ま ざ ま な社 会 的行 政 的活 動 の か な りの部 分 は,本 来行 政 が 担 うべ き事 業 を肩 代 わ り し て 担 って い るわ け で あ る。 こ う した社 会 的 行 政 的 活 動 の経 費 も,企 業 の本 来 の 生 産 経 営 活動 に 直接 必 要 な 生 産性 支 出 で は な い ので,企 業 の負 担 と し て 把 握 され て い る。
中 国 の 国 有 企 業 にお け る負 担 の 問 題 を 考 え る場 合,企 業 単 位 内 の社 会 的 行 政 的 活 動 に と もな う支 出 を 負 担 に含 め た ほ うが 負 担 の実 態 を よ り反 映 さ せ る こ とがで き る と思 われ る。 しか し,本 稿 で は前 述 の税 金 ・上 納 利 潤,
中 国 国 有 企 業 の 「 負 担 」 に つ い て
費 用 支 出 な ど,企 業 外 か ら求 め られ る公 的 社 会 的 な支 出(非 生 産 性 支 出) に ほぼ 限 定 して 負担 の 問題 を検 討 す る こ と にす る。 そ の主 な理 由 は,第 一 に 企 業 内 の 社 会 的 行政 的 活動 に 伴 う経 費 を 厳 密 に区 分 し算 出す る こ とは現 状 で は困 難 で あ る こ と,第 二 に 企 業 外 か らの 税,上 納 利 潤,費 用 な ど に っ
い て は,統 計 的 な 検 討 が 比 較 的 可 能 で あ る こ と に よ る。
2)負 担 の 内 容
さて,上 述 の 意 味 で の負 担 の 内 容 に つ い て 具 体 的 に整 理 して お き た い。
(1)負 担 の 区分 方 法
負 担 は そ の性 格 や徴 収 方 法 か らい ろ い ろ に 区 分 で き る。 まず,い くっ か の 区分 法 を紹 介 して お こ う。 第 一 の 区分 法 は 前述 の 税 金,上 納 利 潤,費 用 と利 子 負 担 に分 け る もの で あ る。 政 府 統 計 資料 で も この 種 の 区 分 が 一 般 に 使 わ れ て い る(3)。た だ,こ の 区分 に は さ しあ た り二 っ の 問 題 点 が あ る。一 っ は,税 金 と上 納 利 潤 と の区 別 は現 状 で は あ ま り積 極 的 な 意 味 を もた な い こ とで あ る。 なぜ な ら,現 在 国 有 企 業 の ほ と ん ど で上 納 利 潤 を 請 負 う形 の 経 営 請 負 い制 が 実 施 され て い るが,そ の請 負 い上 納 利 潤 額 の算 定 基 準 は請 負 い契 約 の 前 年 の 所 得 税 と調 節 税 の 上 納 実 績 で あ り,従 って上 納 利 潤 は所 得 税 ・調 節 税 と事 実 上 一 体 化 され て い るか らで あ る。 も うひ とっ は,費 用 に は性 格 の 異 な る二 っ の 費 用 が 含 まれ て い る こ とで あ る。 す な わ ち,政 府 の 法 律 ・法 規 に根 拠 を もつ 費 用 とそ うで はな い費 用 で あ り,後 者 の徴 収 は ふ っ う割 当 て(「 灘 派 」)と 呼 ば れ て い る。 この 法 律 ・法 規 に根 拠 を もた な い 割 当 て はい わ ば非 合 法 の費 用徴 収 で あ り,中 央 政 府 もこれ を公 式 に禁 止 し て い る。 従 って,費 用 は二 っ に 区別 す べ きで あ ろ う。
第 二 の 区分 法 は,法 律 類 負 担,政 策 類 負 担,社 会 類 負 担 に分 け る もの で あ る。法 律 類 と は法 令 に規 定 され て い る負 担 で あ り,そ れ は① 流 通 販 売 税,
② 所 得 税 そ の他 税 金,③ 貸 付 利 子 に区 分 さ れ る。 次 に政 策 類 負 担 と は法 令 に は根 拠 を 持 た な いが,政 府 の政 策 と して規 定 さ れ た公 的 負担 で あ り,そ
3
一3一れ に は,① 補 助,② 政 府 債 権,③ 基 金,④ 「調 資 」(賃 金 調 整),⑤ 「調 価 」 (価格 調 整),⑥ 「収 費 」(費 用 徴 収),⑦ 罰 金,な どが あ る。 社 会類 負 担 と は政 府 の法 令 ・政 策 に根 拠 を もた な い社 会 的行 政 的 な費 用徴 収 で あ り,① 評 定 費,② 割 当て,③ 賛 助,④ 学 会 ・協 会 費,⑤ 招 待 費 な どか らな る。 こ
の 区分 法 は こ う して負 担 を3分 類 計15項 目 に分 け て い る(4)。この 区 分 はす で に一 部 の政 府 関 係 機 関 が 公 式 に使 用 して い る。 こ の区 分 は前 述 の 費 用 に あ た る部 分 を政 策 類 負 担 と社 会 類 負 担 に区 分 して い る点 で,第 一 の区 分 法 に比 べ 実態 を よ り反 映 して い る とい え る。
第 三 の 区分 法 は,財 政 性 負 担,非 財 政 性 負 担(=社 会 性 負 担),金 融 利 子 負 担 に分 け る もの で,負 担 の徴 収 主 体 が財 政 部 系 統 で あ るか金 融 系 統 で あ るか と い う組織 系統 に主 な 区分 基 準 を置 い て い る(5)。この区 分 法 に よれ ば, 財 政 性 負 担 と は財政 部 系統 に納 め る税 金 負 担 とそ の 他 の 財 政 性 上 納 か らな る。 財 政 性 上 納 と は例 え ば,上 納 利 潤,エ ネ ル ギ ー交 通 基 金,予 算 調 節 基 金,教 育 費 付 加 な どで あ る。 次 に,非 財政 性 負 担 と は財 政 部 系 統 以 外 の 政 府 機 関 や 団 体 が 徴 収 す る もの と さ れ る。 非 財 政 性 負 担 は三 つ に区 分 さ れ る。 す な わ ち,固 定 的 上 納,非 固 定 的 割 当 て お よ び企 業 の社 会 事 業 支 出 で あ る。 固 定 的 上 納 とは お もに各 級 の地 方 政 府 と企 業 の関 係 主 管 部 門 が 公 的 文 書 を発 して徴 収 す る各 種 の費 用(基 金)で,毎 年,規 定 さ れ た算 定 基 準 に基 づ き納 め る もの。 他 方,非 固 定 的 割 当て は,地 方 政 府 や団 体 が 各 種 の 名 目で 臨時 に徴 収 す る もの で,一 定 の徴 収 基 準 もな く従 って 徴 収 額 も固 定 され て い な い。 企 業 の社 会 事 業 支 出 とは企 業 が そ の 内部 で 営 む 社 会 的 行 政 的 事 業 に要 す る支 出 で あ る。 この 区 分 法 は,第 一 の区 分 法 に お け る 「費 用 」
を財 政 性 上納,非 財 政 性 固定 上 納,非 財 政 性 非 固 定 割 当 て の三 つ に分 けて い る点 が 特 徴 で あ る。 この非 財 政 性 非 固 定 割 当 て が ほぼ第 二 の分 類 法 の社 会 類 負 担 や 前 述 の 割 当 て に相 当 す る もの と思 わ れ る。
本 稿 で は以 上 の 区 分 法 を 参 考 に しっ っ,負 担 を 税 金(上 納 利 潤 を 含 む), 費 用,徴 発(法 規 に拠 らな い強 制 的 割 当 て)お よ び貸 付 利 子 に 区分 した い。
中国国有企業 の 「負担」 につ いて (2)負 担 の 具 体 的 内 容
現 在,国 有 工 業 企 業 に か か る税 金 は20種 類(請 負 い上 納 利 潤 を 含 め る と 21),費 用 の 数 は60余 種 に 達 して い る と い わ れ る(6)。判 明 す る範 囲 で 税 金 ・費 用 の具 体 的 内 容 を 列 挙 す る と次 の とお りで あ る。
税 金 ・費 用 項 目 の 一 覧(7)
[税金]
a流 通 課 税 製 品 税 ・付 加 価 値 税 ・営 業 税 ・塩 税 ・関 税 b所 得 課 税 所 得 税 ・調 節 税 ・上 納 利 潤 ・賃 金 改 革 調 整 利 潤 c財 産 ・行 為 課 税 … … 土 地 使 用 税 ・車 船 使 用 税 ・家 屋 税 ・印 紙 税 ・資 源 税 ・油 消 費 特 別 税 ・賃 金 調 節 税 ・投 資 方 向調 節 税 ・奨 金 税 ・建 築 税 ・都 市 維 持 建 築 税
[費 用]
エ ネ ル ギ ー交 通 建 設 基 金,国 家 予 算 調 節 基 金,教 育 基 金,電 力 開 発 基 金(電 力 建 設 費),農 業 開 発 基 金,市 場 調 節 基 金,「 菜 藍 子 工 程 」(8),汚 物 排 泄 施 設 費,緑 化 費(衛 生 費),地 下 水 資 源 費,治 安 協 同 防 衛 費(消 防 経 費),契 約締 結 費 道 路 使 用料(渡 橋 費),賃 金 増 加 費 食 糧 ・油 手 当基 金,労 働 保 護 統 一 按 配 基 金,国 家 支 給 流 動 資 金 占有 費,教 育 費 付 加,小 中学 校 管 理 費,労 務 管 理 費,契 約 制 労 働 者 食 糧 手 当,従 業 員 待 業 保 険 金,車 両 保 険 金,車 両 鑑 札 費,貨 物 付 加 費,船 舶 専 用 基 金, 都 市 女 性 労 働 者 統 一 按 配 基 金,退 職 労 働 者 統 一 按 配 基 金,契 約 労 働 者 養 老 基 金,計 画 出産 統 一 按 配 基 金,市 場 調 節 基 金,科 学 発 展 基 金,商 業 網 開 発 基 金,商 品 豚 基 金,副 食 品 基 金,食 糧 価 格 抑 制 基 金,退 職 幹 部 経 費,都 市 人 口増 収 容 費,教 育 施 設 配 置 費,上 級 管 理 費,
(以上,40種) 5‑5一
国 有 工 業 企 業 にか か る税 金 は改 革 前 の1978年 に は2種 類(工 商 税,所 得 税)の み で あ った が,1984年 の第2段 階 「利 改 税 」 実 施 時 に7種 類(製 品 税,付 加 価 値 税,営 業 税,資 源 税,塩 税,所 得 税,調 節 税)に な り,そ し て1989年 に20種 に増 加 した(9)。
費 用 の項 目数 は中 国 工 業 経 済 協 会 の統 計 に よ れ ば,1989年 で60余 りに 達 して い る。 例 え ば,湖 北 省 税 務 局 の調 査 で は費 用 の名 目 は52種 で あ り, その う ち中 央 政 府(国 務 院)の 規 定 に よ る もの7種,省 政 府 の規 定 に よ る も の19種 県 ・市 政 府 の 規定 に よ る もの26種 で あ った(10)。下 級 の政 府 に い くほ ど費 用 項 目 は増 え て い る よ うで あ る。 各 企 業 に か か る費 用 の 数 も さ ま ざ まで,同 調 査 で は最 少 の 場 合 で9種 最 多 の 場 合 で63種 もあ った と い う(11)。ま た広 州 市 の工 業 統 計 で は税 金 と費 用 を 合 せ た数 が100種 で あ った と い うか ら,約80種 ほ ど の費 用 項 目が あ った こ と にな ろ う。 もっ と も,こ の場 合,そ の一 部 は実 際 に は強 制 割 当 て で あ った 可能 性 も考 え られ る。
徴 発,す な わ ち地 方 の政 府 機 関,軍 隊,事 業 単 位,社 会 団 体 に よ る法 規 に基 か な い資 金 ・物 資 ・人 力 の 強制 割 当 て に つ い て は,さ まざ まな 名 目が あ る。国 務 院 の 「企 業 へ の 割 当 て 禁 止 暫 行 条 例 」(1988年4月28日 公 布) に明 示 さ れ て い る形 式 だ け で も20近 くあ る。す な わ ち,職 員労 働 者 子 女 の 入 学 費,田 畑 建 設 費 ・開 墾 費 ・都 市 移 転 家 庭 の 人 頭 費,ガ ス開 発費,集 中 電 力 供 給 費,道 路 通 行 料,橋 通 行 料,排 水 容 量 増 加 費,治 安 管 理 費,衛 生 費,緑 化 費,農 業 支援 費,会 議 費,そ の他 の費 用(以 上 第4条),他 に 法 規 に よ らな い賛 助 ・資 金 援 助 ・献 金,有 価 証 券 購 入,保 険加 入,公 益 性 義 務 労 働 に代 わ る物 資 徴 収 そ の他(以 上 第6条 〜 第10条)で あ る。張 泰 は最 少 限 で10数 種 か ら最 大 限 で100余 り に達 して い る とい う(12)。また 陳 永 忠 ら は少 な くと も40余 種 を下 らな い と い う(13)。さ らに基 本 建設 や 技 術 改 造 項 目 に対 す る割 当 て ・費 用 徴 収 の種 類 は 合 計 で400余 り にな る と さえ い わ れ る(14)0上述 の費 用 の名 目で徴 発 が 行 な わ れ る場 合 もあ る よ うで あ る。 い ず れ に せ よ,徴 発 に は公 式 の 徴 収 基 準 が あ るわ けで もな く,そ の 項 目や 金 額
中 国 国 有 企 業 の 「負 担 」 につ いて
も個 々 の企 業 に よ りさ ま ざ まで あ って,し か も公 式統 計 に は表 れ な いの で 正 確 な と ころ は よ く分 らな い。 た だ 近 年,さ まざ まな 名 目の 徴 発 が 国 務 院 の た び重 な る禁止 通 達 に もか か わ らず 急 速 に伸 び て い る と いわ れ る(15)。
2国 有企業の負担動向
全 国 の 国 有 企 業 の 財 務 数 字 に関 す る マ ク ロ統 計 に基 い て,国 有 企 業 の近 年 の 負 担 動 向 を み て み た い。 た だ,統 計 上 の 制 約 に よ り工 業 部 門 を 中心 に み て い くこ と にす る。
1)国 有 工 業 企 業 の 負 担 動 向
表1は1986年 〜90年 にお け る国 有 工 業 企 業 の負 担 率 と利 潤 留 保 率 に っ い て の動 向 を 示 した もの で あ る。
ま ず,用 語 につ き少 し説 明 して お く。「利 税総 額 」 とは利 潤 ・税 金 総 額 の こ とで,ほ ぼ 工 業 企 業 の 販 売 収 入 総 額 か ら原 材 料,販 売 費,人 件 費 な どの コ ス トを 引 いた もの,っ ま り企 業 の 「純 収 入 」 に相 当す る。 そ れ は具 体 的
表1.国 有工業企業 の負担率 と留保利潤率
(単 位:億 元 ・%) a利 税 総 額b負 担 総 額c留 保 利 潤 負担率(b/a)各 目留 保 率 実 際 留 保 率
・:・
1987
...
1989 1990
1341.3 1514.1 1774.8 1773.1 1503.1
1136.1 1205.1 1301.5 1398.9 1460.7
228.3 265.3 323.5 1....
224.1
84.7 79.6 73.3
..
97.2
17.0 17.5 18.2 17.4 14.9
5.6 8.9 13.8 11.7
(『中 国 工 業 経 済 年 鑑1991』124,133頁 よ り作 成)
*負 担 総 額 は[販 売 税+上 納 した 利 潤 ・税 ・費 用]か ら算 出。 コ ス トか ら支 出 す る税 は含 め て い な い。
*実 際留 保 額 は[利 潤 総 額 一銀 行 ロ ー ン返 済 額 一上 納 した利 潤 ・税 ・費 用]か ら算 出。 銀 行 ロー ン返 済 額 は 『財 政 』1989年11期,11頁 と 『 経 済研 究』1992 年3期,33,34頁 か ら算 出。
7
一7一に は利 潤 総 額 と製 品販 売 過 程 に か か る流 通 課 税(以 下,販 売 税),資 源 税 お よ び教 育 費 付 加 か ら構 成 され る。 この 利 税 総 額 に は生 産 コ ス トに計 上 され る税 金(土 地 使 用 税,車 船 使 用 税,家 屋 税,印 紙 税,油 消 費特 別 税,賃 金 調 節 税 な ど)は 含 ま な い(16)。次 に,負 担 総 額 とは企 業 が政 府 に納 め た 販売 税,上 納 利 潤(所 得 税 と調 節 税 を含 む),税 金(資 源 税 ・建 築 税 ・奨 金 税 な ど)・ 費 用(エ ネ ル ギ ー交 通 建 設 基 金,予 算調 節基 金,教 育 費 付 加,国 債 購 入 な ど)の 総 計 で あ る(17)。生 産 コ ス トに 計上 され る上 述 の 税 金 は含 ん で い な い(18)。
現 在,国 有 企 業 の ほ とん どで実 施 され て い る経 営 請 負 い制 度 で は基 本 的 に従 来 の所 得 税(一 律55%)と 調 節 税(企 業 ごと税 率 が 異 な る)を 合 わ せ た 額 を上 納 利 潤 の請 負 い基 準 額 と した の で,請 負 い制 国 有 企 業 で は所 得 税 ・ 調 節 税 の代 わ りに請 負 った 利 潤 を 上 納 す る形 を と る。 実 質 的 に は上 納 利 潤 の な か に 所得 税 と調 節 税 が 含 まれ て い る とみ て よ い。 留 保 利 潤 は利 潤 総 額 か ら上 納 利 潤 額(所 得 課 税 を含 む)と ロー ン返 済 額 とを 引 い た もの で あ る。
現 在,基 本 建設 投 資 と技 術 改 造 投 資 用 の 専 項 ロ ー ンの元 本 利 子 は利 潤(一 般 に は 税 引前 利 潤)の な か か ら返 済 す る こ とが 規 定 され て い る。
さて,表 に よ れ ば 国 有 工 業 企 業 の 負 担 総 額 が 純 収 入(利 税 総 額)に 占 め る比 率,つ ま り企 業 の負 担 率 は1986年84.7%,87年79.6%,88年73.3%,
89年78.9%,そ して90年 は97.2%で あ る。 負 担 率 は多 少 の 増 減 はあ る も の の,89年 ま で は お お よ そ 企 業 純 収 入 の8割 前 後 の 高 率 で あ った こ とが わ か る。
他 方,純 収 入 に 占 め る留 保 利 潤 の比 率 動 向 を み る と,86年17.0%,87年 17.5%,88年18.2%,89年17.2%,そ して90年14.9%で あ る。 留 保 利 潤 率 は87年,88年 に漸 増 し89年,90年 は減 少 して い るが,総 じて あ ま り大 きな 変化 を 示 して な い。 しか し,以 上 の 留 保 利 潤 率 は名 目の もの で あ り, 実 際 の 留 保 利 潤 率 は さ らに低 い。 実 際 の留 保 利 潤 額(名 目 の留 保 利 潤 額 か
ら企 業 が 支 払 った 費 用 ・税 金 を 除 い た もの)を 推 計 して,そ れ が 純 収 入 に
中 国 国 有 企 業 の 「負 担 」 につ い て
占 め る 比 率 を み る と,86年5.6%,87年8.9%,88年13.8%,89年11.7%
と な る(ig)。90年 は 不 明 だ が,負 担 率 が97%余 り な の で,実 際 の 留 保 利 潤 率 は3%以 下 の 水 準 に 落 込 ん だ と考 え ら れ る。
2)規 模 別 か らみ た負 担 動 向
工 業 企 業(郷 レベ ル以 上 の 独 立 採 算 企 業)は そ の 規 模 に応 じて 大 型 企 業, 中 型 企 業,小 型 企 業 に分 け られ る。90年 の工 業 統 計 で は大 型 企 業 の 数 は 3965,中 型 企 業 は9440,小 型 企 業 は403667で あ る。そ れ ぞ れ の 企 業 に 占め る国 有 工 業 企 業 の比 重 は不 明 だ が,大 型 企 業 は ほ とん ど 国有 企 業,中 型 企 業 の圧 倒 的 大 部 分 も国 有 企 業 と み て よ い だ ろ う(1989年 現 在,国 有 の 大 型 ・中 型 工 業 企 業 の数 は10707で あ った(20))。
表2は 大 型 ・中 型 ・小 型 の工 業 企 業 の負 担 動 向 を示 した もの で あ る。
表2に よれ ば,企 業 の負 担 率 は年 々変 化 して い る もの の,大 型 企 業 は ほ ぼ8割 以 上,中 型 企 業 で は ほ ぼ7割 台,小 型 企 業 で は6割 台 で 推 移 して い る。 負 担 率 の 時 系 列 変 化 をみ る と,い ず れ も86年 か ら88年 で は 減 少
し,88年 で 底 を っ き,89年,90 年 は増 大 傾 向 に あ る こ とが わか
表2.規 模 別 工 業 企 業 の負 担 率比 較 (単 位:%)
大型企業 中型 企業 小型 企業・:・
87.5 84.1 67.8
1987 82.6 76.9 66.3
...
77.2 70.3 59.7
1989 82.7 73.9 67.3
1990
・・1 92.3し 1(「中 国 工 業 経 済 統 計 年 鑑1991』125‑
126,134‑135頁 よ り作 成)
る。 この 変 化 は表1で み た動 向 と一 致 して い る。
大 中 型 企 業 にっ い て は 全 国14省 ・自治 区 ・市 の193の 国 有 大 型 ・中 型 工 業 企 業 の サ ンプ ル調 査 が あ る。 そ れ に よ れ ば,企 業 の純 収 入 に 占 め る負 担 率 と実 際 留 保 率 は それ ぞ れ1986年 で82.6%,12.5%,1989年 で81.6%, 8.2%で あ っ た(21)。この 負 担 率 は表1の 全 国 統 計 に み る平 均 負 担 率 に近 い
と いえ よ う。
9
一g一3)所 有 制 別 か ら み た負 担 比 較
表3は 全 国 の国 有 工 業 企 業,集 団 所 有 制 工 業 企 業,私 有 制 ・外 資 系 工 業 企 業 の それ ぞれ の負 担 率 と利 潤 留 保 率(名 目)の 動 向 を示 した もの で あ る。
表 に よれ ば,国 有 企 業 の 負 担 率 が 最 も高 く,次 に集 団 所 有 制 企 業 で,私 有 制 ・外 資 系 企 業 が 最 も低 い。 負 担 率 の時 系 列 変 化 で は,87〜88年 は減 少,88年 が 底 で89〜90年 は増 大 して い る。 これ は表1,表2で み た動 向 と同 じで あ る。 他 方,純 収 入 に 占 め る留 保 利 潤 率(名 目)で は,国 有 企 業 は一 貫 して集 団 企 業 よ り も低 く,90年 に は最 底 水 準 に落 ち て い る。私 有 ・ 外 資 系 企 業 の留 保 率 は86年 で最 も低 か った が,そ の後 増 大 し90年 で は最 高 水 準 に達 して い る。1990年 の天 津 市 の企 業 調 査 に よ れ ば,大 中 型 国 有 企 業,国 有 企 業,「 三 資 企 業」(合 弁 企 業 ・合 作 企 業 ・単 独 外 資 企 業 の こ と)
の利 潤 ・税 金 総 額 に 占 め る留 保 利 潤 の比 率(名 目)は,そ れ ぞ れ15.0%, 19.8%,66.0%で あ った とい う(箆)。実 質 の留 保 利 潤 率 で み れ ば,国 有 企 業 と 他 の所 有 制 企 業 との ギ ャ ップ は さ らに広 が る で あ ろ う。
表4は,湖 北 省 の100企 業 を所 有 制 別 に分 け て み た場 合 の税 金 ・費 用 ・ 割 当 て の負 担 動 向 を示 した もの で あ る。100企 業 の 内訳 は国 有 企 業(大 中 型)47,都 市 ・鎮 集 団 所 有 制 企 業26,郷 村 企 業13,私 営 企 業14で あ る。
税 負 担 で は,い ず れ の項 目で も国 有 企 業 が 他 の タイ プ の企 業 に比 べ て重 表3.所 有制別工業企業の負担率 と留保利潤率(全 国統計)
(単位:%)
負 担 率 留保利潤率(名 目)
国有 集団 私有 ・外資系 国有 集団 私有 ・外資系
・:.
1987
・..
1989 1990
84.759.161.3 79.660.756.2 73.356.945.8 78.964.659.5 97.279.162.7
17.019.012.2 17.520.719.4 18.220.819.2 17.419.220.0 14.918.426.3
(『 中 国 工 業 経 済 統 計 年 鑑1991』,124,133頁 よ り作 成)
中 国 国 有 企 業 の 「負担 」 に っ いて
い負 担 を課 せ られ て い る こ とが わ か る。 ま た実 際 の税 負 担 が 名 目の 税 負 担 に比 べ か な り少 な い こ と は興 味 深 い。1990年 現 在 の 中国 企 業 の 法 定 所 得 税 率 は国 有 の大 中型 企 業 が55%,私 営 企 業 が35%,外 資 系 企 業 が33%,国 有 小 型 企 業 と集 団 所 有 制 企 業 は8級 超 過 累 進 税 制(10〜55%),個 人経 営 企 業 は10級 超 過 累 進 税 制(10〜60%)と い うよ うに さ ま ざ まで あ る㈱ 。 た だ,現 在,固 定 資 本 投 資 の 専 項 ロー ンは一 般 に税 引 き前 利 潤 か ら返 済 す る こ とが認 め られ て い る た め,所 得 税 の課 税 対 象 額 は実 現 利 潤 か らロ ー ン返 済 額 を 差 引 い た 額 で あ る。 従 って,実 現 利 潤 に対 す る実 際 の 所 得 税 率 は,
ロー ン返 済 額 が 増 え る ほ ど55%よ り少 な くな るの で あ る。
90年 の 実 際 の 所 得 税 率 は,全 国 の国 有 大 中型 企 業 で38.3%,都 市 ・鎮 の 集 団 所 有 制 企 業 で31.4%,郷 鎮 企 業 で24.8%,私 営 ・個 人 経 営 企 業 で20%
以 下 で あ った とい わ れ る(24)。易 運 和 は全 国 の国 有 企 業(小 型 も含 め て)の 実 際 所 得 税 率 は30%に 達 して い な い と もい う(25)。
次 に費 用 負 担 の場 合,表4の 利 潤 額 に 占 め る費 用 の比 率 は国 有 大 中 型 企 業 と都 市 ・鎮 集 団 所 有 制 企 業 は ほぼ 同 じで43%,郷 鎮 企 業 と私 営 ・個 人経 営 企 業 が34%で あ る。た だ し,上 納 した 所 得 税 に対 す る上 納 費 用 の倍 率 を
表4.湖 北 省 の所 有 別100企 業 の 負 担 状 況 の比 較 (単 位:%) 大 中 型 国 有 都 市 ・鎮 集 団 郷 村 企 業 私 営 ・個 人
企 業(47)企 業(26)(13)企 業(14)
上納 した税費/販 売収入 販売税/販 売額 所得税/所 得額 上納 した費用/利 潤額 上納 した割当て/利 潤額 上納 した費用/所 得税 実際税負担/各 目税 負担
5.75 3.56 30.4 43.1 10 175
63(工 業)
61(商 業)
4.58 2.95 7.4 43 18 182
54(工 業) 49(商 業)
5.13 3.39 2.3 34 38 313 37
4.25 2.92 23.9 34 27.8 259
36
(王 文 重,肖 厚 雄 「百 戸 企 業 税 費 負 担 的 調 査 報 告 」 『湖 北 日報 』1991年11月8日
『復 印 報 刊 資 料F31工 業 企 業 管 理 』1991年12期,112,113頁)
11
11み る と,郷 鎮 企 業 が最 も高 く(3.13倍),次 に私 営 ・個 人 企 業 で(2.59倍), 国 有 企 業 は最 も少 な い(1.75倍)。 この よ うな 傾 向 は徴 発(強 制 割 当 て)に
もみ られ る。 す な わ ち,利 潤 に 占 め る徴 発(強 制 割 当 て)の 比 率 で み る と 郷 鎮 企 業 が最 も高 く(38%),以 下,私 営 ・個 人企 業(28%),都 市 ・鎮 の 集 団 所 有 制 企 業(18%),国 有 企 業(10%)の 順 で あ る。比 較 的 に い え ば都 市 よ り農 村,国 有 よ りは集 団 所 有 制 や 私 営 ・個 人 経 営 の企 業 が 徴 発 を受 け や す い状 況 が うかが え る。 集 団 所 有 制 や私 営 ・個 人 経 営 の企 業 は国 有 企 業 に比 べ て一 般 的 に経 営 状 態 が よ く利 潤 率 も高 い こと,そ して こ の種 の企 業 は地 方 政 府 に対 す る バ ー ゲ ニ ング ・ポ ジ シ ョ ンが 国 有 企 業 に比 べ 弱 い こ と な ど が,そ の原 因 で は な いか と思 わ れ る。
3国 有企業の負担構成 と変化
この節 で は国 有 企 業 の負 担 の構 成 を企 業 の財 務 会 計 の レベ ルか ら具 体 的 に み て み た い。
1)税 ・費 用 の 徴 収 レベ ル
現 在,国 有 企 業 の 財 務 会 計 か らみ る と政 府 の税 ・費 用 は4っ の レベ ルか ら徴 収 され る シ ス テ ム にな って い る。 す なわ ち,① コ ス トか ら,② 販 売 収 入 か ら,③ 利 潤 総 額 か ら,④ 企 業 の 留 保 利 潤 か らで あ るC26)。これ らの 税 ・ 費 用 を 企 業 の 「利 潤 表」(損 益 計 算 書)に 位 置 づ け る と,概 略 次 の よ う にな る。
中 国 国 有 企 業 の 「負 担 」 に つ い て
国 有 企 業 の 利 潤 表 と税 ・費 用 の 徴 収 レベ ル
製 品 販 売 収 入
一 コ ス ト[財 産 行 為 課 税,す なわ ち土 地 使 用 税 ・車 船 使 用 税 ・家 屋 税 ・印 紙 税 ・油 消 費 税 特 別 税 ・賃 金 調 節 税,お よび 利 子 を含 む]
1純 収 入[利 税 総 額]
一 販 売 税[製 品 税or付 加 価 値 税or営 業 税,塩 税 ・都 市 建 設 税]
一 資 源 税
一 費 用[教 育 費付 加]
II利 潤
一 専 項 ロ ー ン返 済
一 請 負 い上 納 利 潤[所 得 税 ・調 節 税 を含 む]
皿 留 保 利 潤
一 費 用[エ ネル ギ ー交 通 基 金 ・予 算 調 節 基 金 ・国 債 購 入 な ど]
一 税 金[建 築 税 ・奨 金 税]
IV実 際留 保 利 潤
以 下,上 に記 した 税 ・費 用 に つ い て 若 干 説 明 して お く。 まず,販 売 税 と 資 源 税 は原 則 と して特 定 の製 品 を 生 産 す る企 業 に対 して 課 され る。 製 品 税 は規 定 さ れ た製 品(工 業 品270種,農 林 水 産 品10種)に つ き,そ の販 売 収 入 に課 さ れ る。 付 加 価 値 税 は特 定 の工 業 製 品(50税 目)に 対 して,そ の販 売 収 入 か ら原 材 料 費 を控 除 した 部 分 に課 せ られ る。 営 業 税 は商 業,交 通 運 輸,物 資 供 給 な ど の サ ー ビ ス企 業 に 対 して,そ の 販 売 収 入 に課 さ れ る。 一 般 的 に は各 企 業 は この三 種 の税 の うち の一 つ を 納 付 す る こ と に な り,複 数 の 税 を 支 払 うこ と は な い。 っ ま り,一 般 的 に は工 業 企 業 は製 品 税 を,商 業 企 業 は営 業 税 を 納 付 し,ま た工 業 企 業 が付 加 価 値 税 を 納 付 した 場 合 に は製
13
一13一品 税 は徴 収 され な い。 都 市 維 持 建 設 税 は 上 記 三 種 の 税 を納 付 す る企 業 か ら 販 売 利 潤 の7%(市 区)ま た は5%(県 城 ・鎮)を 徴 収 す る。 資 源 税 は石 油,天 然 ガ ス,石 炭,金 属 鉱 産 物 を採 掘 す る企 業 に課 さ れ る。 教 育 費 付 加 (86年)は 製 品 税 ・付 加 価 値 税 ・営 業 税 を納 付 す る企 業 か らそ れ らの税 額 の1%が 課 され る。所 得 税 に つ い て は す で に み た とお り。エ ネ ル ギ ー 交通 建 設 基 金(82年 開 始)と 予 算 調 節 基 金(89年 開始)は す べ て の 国有 企 業 ほ か に課 さ れ,そ れ ぞ れ 税 後 利 潤 の15%,10%が 徴 収 さ れ る。建築 税 は 自己 調 達 に よ る基 本 建 設 投 資額 お よ び更 新 改造 措 置 の な か の 建築 工 程投 資額 に 対 して そ の10%が 課 さ れ る。 奨 金 税 は企 業 の 年 間 支 給 ボ ー ナ ス が規 定 の 標 準賃 金 を超 過 した場 合 に課 され る もの で あ る(27)。
2)国 有企 業 の 負担 構 成
上 述 の 利 潤 表 の 枠組 み を 使 って,国 有 企 業 の 負 担 構 成 の 状 況 を 具 体 的 に み て み よ う。 表5は1989年 に お け る全 国 国 有 工 業 企 業 の財 務 統 計 を 示 し た もの で あ る。 この 統 計 は表2で み た統 計 数 字 とす こ し相 違 して い るが, こ こで は一 応 これ に基 いて 負 担 の 構 成 を み て お こ う。
表 か ら① 販 売 税,② 上 納 利 潤(所 得 税 ・調 節 税 を含 む),③ 留 保 利 潤 か ら の上 納 税 ・費 用 の 純 収 入 に 占め る割 合 い は それ ぞ れ53.7%,14.8%,4.5%
で あ り,純 収 入 の 半 分 以 上 が 販 売 税 で 占 め られ て い る。 ま た,ま た統 計 に 示 され た負 担 総 額(税 ・上 納 利 潤 ・費 用 の合 計 額,1308.9億 元)に 占 あ る 比 率 をみ る と,販 売 税 が73.6%,上 納 利 潤(所 得 税 ・調 節 税 を 含 む)が 19。8%,留 保 利 潤 か らの上 納 税 ・費 用 が6.0%,そ して コ ス トか ら支 払 う財 産 ・行 為 課 税(表10に は載 って い な いが,計6種34億 元)が2.6%で あ る。 李 忠 凡 論 文 は1989年 の国 有 企 業 の販 売 利 潤(純 収 入)を100と す る と,販 売 税 の 比 重 は約70%,上 納 利 潤 は約10%,留 保 利 潤 か らの上 納 は約
5%と 述 べ て い る(28)。
この 間,販 売 税 が この よ うに高 い比 重 を 占め て い る こ と は,表1の 典 拠
中国 国有 企 業 の 「負担 」 に つ い て
表5.国 有 工 業 企 業 の 利 潤 分 配(1989年) (単位:億 元 ・%) 1純 収 入
一 販 売 税
皿 利 潤
一 専 項 ロー ン返 済 一 上 納 利 潤
皿 留 保 利 潤 一 税 ・費 用
IV実 際留保利潤 三項基金+単 項留利 福利基金
奨励基金
1742.1100 936.553.7
:1 179.3 259.3
46.3 10.3
,・
367.021.0 79.14.5
287.9 198.1 47.5 42.3
16.5
(何平 ・最明篤論文 『経済研究』1992年3期, 32‑34頁 か ら作成)
で あ る 『中国 工 業 経 済 年 鑑1991』 の 統 計数 字 か ら も うか が え る。 そ れ に よ れ ば,1986年 か ら1990年 まで の毎 年 の企 業 純 収 入 に しめ る販 売 税 の比 重 は,48.5%,48.0%,49.7%,58.1%,74.1%で あ り,ま た同 様 に税 ・上 納 利 潤 ・費 用 の 負 担 総 額 に 占 め る販 売 税 の比 率 は57.3%,60.3%,67.8%,
73.6%,76.3%で あ った(2s)。っ ま り,最 近 の 数 年 間 にお い て販 売 税 の比 重 は 次 第 に増 大 して い るの で あ る。
次 に,表6は 安 徽 省 の 予 算 内 工 業 企 業 の 財 務 統 計(一 部 推 計)を 示 した もの で あ る。
安 徽 省 の 場 合,全 国 統 計 に比 べ 企 業 純 収 入 に 占 め る上 納 利 潤 比 率 が や や 低 い もの の,販 売 税 比 率 と利 潤 留 保 か らの 上 納 分 比 率 は高 い。 と くに留 保 利 潤 か らの 税 ・費 用 負 担 の 比 率 は全 国 統 計 の そ れ の 約2倍 の 高 さで あ る。
以 上 か ら,実 際 の留 保 利 潤 比 率 は6.6%と か な り低 くな って い る。
っ ぎに,大 中型 の 国有 工 業 企 業 の負 担 構 成 を み て み た い,表7は 全 国14
15
一15一表6.安 徽省の予算内工業企業 の利潤分配
(単位:億 元 ・%)
項
目 1986年 1989年
1純 収 入 一 販 売 税
皿 利 潤 総 額
一 専 項 ロ ー ン返 済 一 上 納 利 潤
皿 留 保 利 潤
一 エ ネ ル ギ ー交 通 基 金
・予 算 調 節 基 金 一 費 用 ・税 金 ・割 当 て
IV実 際 留 保 利 潤
17.01
..
8.42 1.54 3.07
3.81
100%26.10100 50.515.1458.0
49.510.9641.9 9.03.53*13.5 18.03.37*12.9
22.34.0615.5
‑1 .043.9
‑1 .284.9
‑1 .746.6
*は 筆 者 の推 計 値(黄 雲 論 文 「 経 済 管理 』1990年12期,41‑42頁)
表7.193の 大 中型 国 有 工 業 企 業 の 利 潤 分配(単 位:億 元 ・%)
項
目 1986年 1989年
1純 収 入 一 販 売 税
II利 潤 総 額
一 専 項 ロー ン返 済 一 所 得税 ・利 潤 上 納
皿 留 保 利 潤
一 エ ネル ギ ー 交通 基 金
・予 算 調 節 基 金 一 そ の 他 の 費 用 ・税 金
(債 権 購 入,割 当 て 等)
IV実 際 留 保 利 潤
1!
41.45
43.55 4.10 23.79
15.66
2.56 2.44
10.66 100
..
51.2 4.8 28.0
18。4
3.0 2.8
12.5
95.36 53.51
41.85 9.72 15.50
16.63
5.40 3.36
7.78 100
56.1
43.9 10.2 16.3
17.4
5.7 3.5
8.2
(中 国 工 業 経 済 協 会 「関 於 工 業 税 負 担 状 況 的 調 査 報 告 」 『改 革 』1991年
4期,73頁)
中国 国 有 企 業 の 「 負 担 」 に つ い て
省 ・自治 区 ・市 の193の 大 中 型 国 有 工 業 企 業 の 財 務 統 計 を示 した もの で あ る。
国 家 財 政 に 納 あ る負 担 の構 成 比 率(対 純 収 入)は1986年 で,① 販 売 税 が 48.8%,② 利 潤 上 納(所 得 税 を含 む)が28.0%,③ 留 保 利 潤 か らの上 納 税 ・ 費 用 が5.8%で,合 計 で純 収 入 の82.6%を 占 め る。1989年 で は,① 販 売 税 56.1%,② 利 潤 上 納 が16.3%,③ 留 保 利 潤 か らの 上 納 税 ・費 用9.2%で,合 計 で 純 収 入 の81.6%を 占 め た。 この間 ② の比 率 は減 少 した が,① と③ の比 率 が 増 大 して(特 に③ の増 加 率 は高 い),企 業 の実 際留 保 利 潤比 率 は86年 の12.5%か ら89年 の8.2%に 減 少 して い る。
表5の 全 国 の 国 有 工 業 統 計(1989年)と 比 べ て 総 じて 各 項 目 の負 担 比 率 が 大 き く,そ の 結 果,実 際 の 留 保 利 潤 比 率 が か な り小 さ くな って い る こ と が わ か る。 大 中型 の 国 有 工 業 企 業 の 負 担 が 特 に 重 い とい わ れ る所 以 で あ る。
3)負 担 要 素 の変 化
租 税 で は と くに販 売 税 の 占 め る比 率 が次 第 に増 加 して,財 政 上 納 額 全 体 の大 部 分 を 占 め るに至 って い る こ とは既 に み た。
表8は 遼 寧 省 の15の 大 中型 国 有 企 業 に お け る負 担 項 目 の変 化 を示 した もの で あ る。
表 の法 律 類 負 担 とは租 税 と利 子 返 済,政 策 類 負 担 は お もに各 種 費 用,社 会 類 負 担 は お もに徴 発(強 制 割 当 て)を 示 して い る と考 え て よ い。 これ に
よ れ ば,法 律 類 負 担 は この間,負 担 全 体 の ほ ぼ半 分 以 上 を 占 め,政 策 類 負 担(費 用)は 負 担 全 体 の20%台 後 半 を推 移 し,社 会類 負 担 は1%か ら
3%に 増 大 して い る。
遼 寧 省 の調 査 で は,1984年 に比 べ た1989年 の負 担 項 目 の伸 び率 を挙 げ て い る。 そ れ に よれ ば,こ の間,15企 業 の 実 現 利 税 総 額(純 収 入)は 108.8%,企 業 留 保 利 潤(税 後 ロー ン返 済,エ ネ ル ギ ー交 通 基 金 ・予 算 調 節
17
一17一表8.15大 中 型 国 有 企 業 の 負 担 構 成 比 の 変 化(総 負 担=100) 1988年 1989年1990年3月
法律類負担税金負担 販売 税 その他 貸付利子 政策類負担 社会類負担
(max)(max) 40.9(60.8)36.0(63)
8.8(26.4)10.6(46) 14.323.4(40.5)
29.7
1.0
23.5
3.0
40 to 20
27
c
(「遼寧省大中型企業負担問題的調査報告」『改革』1991年4期,77 頁)
基 金 を除 く)は108.5%そ れ ぞ れ増 大 した。 他 方,税 金 ・返 済 利 息 額 は 200%,各 種 の政 策 類 負 担 は650%,そ して社 会 類 負 担 は な ん と2670%,そ れ ぞ れ伸 び た と い う(3°)。っ ま り企 業 の純 収 入 や留 保 利 潤 の伸 び に比 べ企 業 負 担 の伸 び が か な り大 き く,ま た,負 担 の な か で は税 金 ・返 済 利 息 よ りは 費 用負 担 が,費 用 負 担 よ り も徴 発(強 制 割 当 て)負 担 が極 め て高 い伸 び率 で増 え た の で あ る。
この費 用 と徴 発 の負 担 の伸 び は,多 くの事 例 が示 して い る。 こ こで い く っ か の事 例 を あ げ て お こ う。
①7省 市 の451企 業 の調 査 で は,地 方 政 府 が徴 収 す る費 用 と社 会 的 な割 当 て の 合計 額 は1985年 か ら89年 ま で に452.6%増 大 した。 そ れ らの 負 担額 は1985年 で は利 潤 の3.93%,留 保 利 潤 の9.45%で あ った が,1989 年 に はそ れ ぞ れ14.58%,29.66%に な った(31)。
② 貴 州 省 の40の 大 中 型 企 業 の調 査 で は,社 会 的 な割 当て 額 は,1986年 788万 元(企 業 留 保 利 潤 の9.1%一 以 下 同 じ),1987年920万 元 (10.9%),1988年883万 元(9.2%),1989年1284万 元(14.4%),1990年 2443万 元 に増 大 した(32)。
③ 上 海 市 の15企 業 の統 計 で は,1989年 に 支 出 した 各 種 の割 当 て は14項
中国 国 有 企 業 の 「負 担 」 に つ い て
目で計1073.7万 元 で,そ れ は1985年 に比 べ20倍 近 く増 え た(33)。
④ 遼 寧 省 の 大 中 型 国 有 企 業 で あ る錦 西 化 工 機 械 工 場(従 業 員1万 余)は, 1989年 に は84年 に比 べ て,販 売 収 入 が2.5倍 増 加,販 売 税 が170%増 加,ロ ー ン利 子 返 済 が14.4倍 増 加 した な か で,各 種 割 当 て は40倍 増 加
した(鈎)。
以 上 の事 例 の よ うに,近 年,国 有 企 業 に対 す る費 用 徴 収 と徴 発(強 制 割 当 て)が 増 大 して い る が,企 業 側 は ど こか らそ の支 出 を賄 って い るの だ ろ うか 。宝 鶏 市 の59の 国有 企業 の調 査 に よ れ ば,1986年 か ら89年 ま で に徴 発(強 制 割 当 て)は 合 計900.8万 元 で あ った。そ の 負 担 額 の 出 所 は,自 己 資 金 か ら224.7万 元,コ ス トか ら88.14万 元,付 け(「 掛 帳 」)が70.6万 元,予 算 外 収 入 が9.1万 元,利 潤 か ら7.8万 元,行 政 管 理 経 費 か ら3.8万 で あ った
と い う(35)。残 額 の部 分 が ど こか ら支 出 され たか 不 明 で あ るが,要 す る に さ ま ざ ま な項 目か ら支 出 して い る よ うで あ る。 徴 発 は公 式 の徴 収 基 準 や一 定 の 徴 収 方 法 が な いだ け に,企 業 側 もか な り臨機 応 変 に対 応 して して い る と
いえ よ う。
4)徴 発 の背 景
中 央 政 府 で あ る国務 院 が法 規 に根 拠 の な い徴 発(強 制割 当 て)を 禁 止 す る指 示 を た び だ び 出 して い る に もか か わ らず,ま た 企 業 に は不 法 な徴 発 (割 当て)を 拒 否 す る権 限 が 法 令 に よ り与 え られ て い るに もか か わ らず,不 法 な 徴 発 が年 々増 加 して い るの は,ど の よ うな事 情 な の で あ ろ うか。 この 点 に関 して 国務 院 当局 は次 の よ うな説 明 を して い る㈱。 す な わ ち,① 長 年 来 の 「平 均 割 当 て」 の 習慣 と考 え が残 って い る こ と,② 地 方 政 府 の 自 己調 達(予 算 外 資金)に よ る建 設 項 目 が増 加 して い る こ と(主 要 な原 因),③ 地 方 の指 導 者 が任 期 内 に成 果 を あ げ るた め に基 本 建 設 を積 極 的 にや ろ う とす る こ と,④ 指 導 者 の党 性 が 弱 く法 制 観 念 の薄 い こ と,⑤ 企 業 の 自主 経 営 メ カ ニ ズ ム の外 部 条 件 が ま だ な い の で企 業 側 が抵 抗 で きな い こ と,な どで あ
19
一19一る。
この徴 発 の要 因 構 造 につ いて,す で に上 原 一 慶 氏 は次 の 三 点 を 指 摘 して い る。す な わ ち,(1)財 政 請 負 い制 の も とで 地 方政 府 指 導 者 が利 己 的 地 域 的 利 益 か ら地 域経 済 の拡 大 発 展 の 強 い動 機 を も って い る こ と,(2)地 方 政 府 ・団 体 の 割 当 て 要求 が 強 い 「権 威 性 」 と強制 力 を も って い る こ と,(3) 企 業 側 は割 当 て に 応 じる こ とに よ り,地 方 政 府 か ら見返 りや便 宜(原 材 料 の 調 達 や 資 金 の 融 資 な ど)を 期待 す る こ と,で あ る。 恐 ら くそ の通 りで あ ろ う。た だ,(3)の 点 にっ い て,企 業側 の徴 発 受 入 れ の行 動 に はそ の よ う な 期 待 や 打 算 が あ る と して も,そ れ は恐 ら くマ イ ナ ー な部 分 で あ って,基 本 的 に は 「や む な く従 い」 「いや いや なが ら応 じて 」 い る もの と思 われ る。
例 え ば,遼 寧 省 の484の 大 中 型 工 業 企 業(省 内 の 大 中 型 工 業 企 業 数 の 51.4%)の 指 導 者(内 訳 は工 場 長241人,副 工 場 長149人,党 委 正 副 書 記19 人,そ の他25人)に 対 す るイ ンタ ビュー調 査 報 告 は,勝 手 な徴 発(割 当 て) や 罰 金 に対 す る企 業 指導 者 の 対応 行 動 の状 況 に つ い て伝 え て い る(39)。そ れ に よれ ば,① 敢 然 と 自信 を もって 拒 否 した者,4.2%,② 拒 否 したが,怖 い と感 じた者,14.9%,③ 敢 え て 拒 否 しな か っ た し,そ う しよ う と も思 わ な か った者,4.4%,④ や む な く従 った者,自 分 の 意思 に 反 して い や い や な が ら応 じた者,76.5%,で あ る。 こ こか らは,経 営 者 の 大 多 数 が 自分 の 希 望 に 反 して,や む な く支 払 って い る状 況 が み て とれ る。 恐 ら く見 返 りを 期 待 し て 徴 発 を 容 認 した経 営 者 は,あ っ た と して も少 数 にす ぎ な か っ たで あ ろ
う。
5)貸 付 利 子 の 負 担
最 後 に,銀 行 の貸 付 利 子 負 担 の 動 向 を み て お こ う。 企 業 へ の 銀 行 貸 付 は 流 動 資 金 貸 付 と固 定 資 産 投 資(基 本 建 設 と更 新 改 造)・ 専 項 資 金(技 術 改 造 な ど)の 貸 付 に区 別 され る。 中 国 の現 在 の政 策 規 定 で は,流 動 資 金 貸 付 の返 済 利 子 は コス トに繰 入 れ る こ とを認 め て い るが,後 者 の返 済 は それ を
中 国国 有 企 業 の 「 負 担 」 に つ い て
認 めず,す べ て実 現 利 潤(一 般 に は税 引 き前 利 潤)か ら返 済 す る もの とさ れ て い る。
近 年,国 有 工 業 企 業 へ の 貸 付 利 子 の 負 担 が 増 大 して い る背 景 に は 第 一・
に,企 業 の 自 己資 金 が 少 な い こ と もあ って 銀 行 か らの借 入 額 が 極 め て速 い テ ンポで 伸 び,銀 行 の貸 付 残 高 が 大 き く膨 脹 して い る こ とが あ る。 全 国 の 予 算 内 国 有 工 業 企 業 へ の 貸 付 残 高 は1981年 の 約100億 元 か ら1988年 の 1699億 元 に拡 大 した(年 平 均50%増)。 そ の 結 果,毎 年 の返 済額 も81年 の 20.2億 元 か ら88年 の192.9億 元 に増 加 した(年 平 均38%増)(40)。 ち な み に,同 期 間 の 予 算 内 国 有 工 業 企 業 の 実 現 利 潤 の 年 平 均 増 加 率 は4.3%で あ った(41)。
第 二 に,こ の 間,国 有 企 業 に対 す る貸 付 利 子 率 が 次 第 に上 昇 した こ とで あ る。 貸 付 利 子 率 は 一 般 に 国 有 企 業 の 資 金 利 潤 率 よ り低 か った の で あ る が,80年 代 末 に この状 況 が逆 転 して 貸付 利 子 率 の ほ うが 高 くな っ た。 そ し て第 三 に,企 業 の実 現 利 潤 に 占 め る返 済 額 ・支 払 い利 子 額 の 比 重 が 次 第 に 増 え て い る こ とで あ る。 特 に,前 述 の よ うに 固 定 資 産 投 資 と専 項 の 技 術 改 造 用 の貸 付 返 済 は企 業 の実 現 利 潤 か ら支 払 う こ とに な って い るた め にそ の 返 済 額 の増 大 は直 接 に企 業 の留 保 利 潤 を圧 迫 した。1989・90年 は経 済 引 締 あ の影 響 で 企 業 経 営 が悪 化 し,利 潤 額 が大 幅 に減 少 した が,表7の よ う に一 部 の大 中 型 企 業 で は税 前 利 潤 か らの返 済 額 が か え って増 え た と こ ろが 少 な くなか っ た よ うで あ る。
以 上 の第 二,第 三 の点 を全 国 の国 有(工 業)企 業 の統 計 か ら具体 的 に み た のが 表9で あ る。
実 現 利 潤 に 占 め る利 子 支 払 い額 の比 率 は個 別 の事 例 で は全 国統 計 よ り も は るか に高 い。例 え ば,1989年 に お い て河 南 省 の118の 大 中型 国有 企 業 で は75.5%,広 東 省 の 企 業(数 不 明)で は88.8%,表6で み た安 徽 省 の予 算 内 工 業 企 業 で は55.9%で あ っ た(42)。安 徽 省 の 場 合,そ の 比 率 は86年 の 23.6%に 比 べ大 幅 に伸 びて い る(43)。
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一21表9.国 有企業向 け貸付利子率 と利子負担比率の変化
(単位:%)
a流 動資金b固 定資本投資貸付利子率 貸付利 子率 ABC
c国 有工業のd利 潤に 占め るe利 潤 に占め る 資金利潤率 利 子支払比 率 返 済額比 率
(流動 資金貸付)(固 定 資産 貸付)
19825.76 19845.76 19857.92 1986同 1987同 19889.00 198911.34 199010.08
一鷹同同㎜㎜同
麗讐同膿同
珊膿同同翻同
14.4 14.9 13.2 10.6 10.6 10.4 7.2 3.2
2.79(78年) 6.43
16.83
21
5.65
・
12.58 17.0 22.0 26.7 22.3
*a欄 とb欄 は,山 本 裕 美 「中 国 にお け る農 業 金 融 改 革 」 『ア ジ ア経 済 』1990年6月 号30頁 。b欄 のA,B,Cは そ れ ぞ れ,1〜3年 未 満,3〜5年 未 満,5〜10年 未 満 の 貸 付 を 指 す 。
*c欄 は 『中 国 統 計 年 鑑1991』,416頁 。
*d欄 は黄 宇 光 論 文 『復 印 報 刊 資 料F31工 業 企 業管 理』1991年3期,125頁 。 た だ し,1990年 の 数 字 は 『中 国 企 業管 理 年鑑1991』,296頁 。 す べ て 国 有 工 業 企 業 の 数 字。
*e欄 は 沈 起 翔 ・劉 祝 余論 文 『財政 』1989年11期,53頁 。 た だ し,1989年 の 数 字 は 何 平 ・最 明 篤 論 文 「 経 済研 究 』1992年3期,33,34頁 よ り算 出。
この よ うに国 有 企 業 の利 子 負 担 は確 か に深 刻 で あ る。 ただ,税 前 利 潤 か らの元 本 利 子 の返 済 は所 得 税 を 部 分 的 に控 除 す る効 果 を もち,従 って,そ の部 分 につ いて は実 質 的 に国 家 財 政 当 局 が 企 業 に代 わ って 銀 行 に返 済 して い るの で あ る。 この 点 を 考 え る と,国 有 企 業 の 実 際 の 利 子 負 担 は統 計 数 字 が 示 す 水 準 よ り は多 少 と も軽 い とい え る。
4ま と め
以 上,国 有 企 業 の負 担 状 況 を み て きた が,ま と め る と次 の よ うに な ろ う。
第 一 に,国 有 企 業 の 負 担 は国 有以 外 の集 団所 有 制 や私 有 制 ・合 弁 な どの
中 国 国 有 企 業 の 「負 担 」 に つ いて
企 業 に比 べ て か な り重 い状 態 に あ る。 第 二 に国 有 企 業 全体 の純 収 入 に 占あ る負 担 率 は86‑90年 の 五年 間 で は87,88年 と減 少 し,89,90年 は増 大 し て い る。87,88年 は経 済 が 加 熱 化 し,企 業 経 営 も比 較 的 好 調 で,企 業 の 純 収 入 と利 潤 が 大 幅 に伸 び た時 で あ り,こ の あ い だ負 担 総 額 も伸 び た が,前 者 の伸 び の方 が 大 き く,結 果 と して 企 業 の負 担 率 は減 少 した の で あ る。 他 方,89,90年 は政 府 の経 済 引 締 あ,総 需 要 抑 制 政 策 の も とで,経 済 環 境 は 不況 化 し,企 業経 営 も悪 化 した。 この もとで 企 業 の純 収 入 や利 潤 は か な り 減 少 した が,負 担 額 は依 然 と して増 加 したの で 負 担 率 はか な り上 昇 した。
特 に90年 の 負 担 率 の 上 昇 は顕 著 で あ る。
第 三 に国 有 企 業 で も規 模 に よ り負 担 率 は異 な り,総 じて 規 模 が 大 き い企 業 ほ どそ の 負 担 率 が 高 くな って い る。 第 四 に,負 担 の構 成 で は負 担 の 大 部 分 は 税 金,と くに販 売 税 で あ り,費 用,徴 発(割 当 て)は 項 目数 は多 い も の の そ の比 重 は まだ 小 さ い。 しか し,近 年,そ の伸 び率 は極 め て速 く,次 第 に負 担 の比 重 を 高 め つ つ あ る。 ま た利 子 負 担 の比 重 も高 ま って い る。
以 上 か ら要 す るに,国 有 企 業,と りわ け大 中 型 の 国 有 企 業 は相 対 的 に も 絶 対 的 に も重 い負 担 を 抱 え て い る と いわ ざ るを え な い。
た だ し,そ の負 担 の レベ ル を正 し く評 価 す る に は更 に い くっ か 考 慮 す べ き点 が あ る。第 一 に,本 稿 で は国 有 企 業 の負 担 支 出 の面 の み を み て きた が, 実 質 的 な企 業 負 担 を み るに は,国 家 が 国 有 企 業 に 与 え て い る財 政 補 助 を 差 引 い て み な け れ ば な らな い だ ろ う。表10は,政 府 の 国 有 企 業 に対 す る欠 損 補 助 額 と国 有 企 業 ・国 有 工 業 企 業 か らの財 政 収 入 額 を み た もの で あ る。
表 に よれ ば,1986年,87年 で,政 府 は国 有 企 業 か らの財 政 収 入 の うち の そ れ ぞ れ19.2%,22.2%に 当 た る額 を国 有 企 業 の欠 損 補 填 と して財 政 補 助 して い る。88年 以 降 の 国 有 企 業 か らの財 政 収 入 統 計 が な い の で,そ の後 の 動 向 は分 らな い。 参 考 まで に独 立 採 算 制 の国 有 工 業 企 業 が 国 家 財 政 に納 め た額 は統 計 か らわ か るの で,そ れ に対 す る政 府 補 助 額 の 比 率 は毎 年 増 大 し て お り,89・90年 で は4割 前 後 に達 して い る。いず れ にせ よ,国 有 企 業 の
23
一23一表10。 国 有 企 業 へ の 政 府 の 欠 損 補 助 (単 位:億 元 ・%)
a欠 損補助額b国 有 企 業 か らのc国 有 工 業 企 業 か
財 政収 入a/bら の財 政 収 入a/c 1986324.78
1987376.43 1988446.46 1989598,88 1990578.88
1685.4919.2 1690.2522.2
1136.1 1205.1 1301.5 1398.9 1460.7
28.5 31.2 34.3 42.8 39.6
(『中国統計年鑑1991』,211,216頁 およ び表2.よ り作成) 実 質 的 な負 担 率 は本 稿 が み て きた水 準 よ り もあ る程 度 低 い はず で あ る(その ギ ャ ップ は恐 ら く2割 以 上 に な る の で は な い か)。 この 点 の 解 明 は 今 後 の課 題 と した い。
第 二 に,全 国統 計 で は販 売 税 は 国有 企 業 の負 担 額 の 大部 分 を 占め て い る が,そ れ を も って 直 ち に,販 売 税 が 国有 企 業 負 担 の最 大 の 要 因 で あ る と は 必 ず しもい え な い。 そ れ は販 売 税 は販 売 収 入 に か か る間接 税 で あ る こ と に よ る。 確 か に 企 業 は販 売 税 の 支払 い 当事 者 で はあ るが,そ の 負 担 分 は基 本 的 に は製 品価 格 に組 込 む か あ る い は別 に購 入 者 か ら徴収 す るか た ちで,結 局,購 入 者 に転 嫁 され る。 従 って,販 売 税 は企業 の実 質 的 な 負 担 と は な ら
な い。 こ うみ る と,国 有 企 業 の実 質 的 な負 担 の水 準 は本 稿 で み た 負 担 の 水 準 よ り もか な り低 い もの とな るだ ろ う。
第 三 に,本 稿 の は じめ の部 分 で み た よ うに,中 国 の 国有 企 業 が そ の 本 来 の 経 営 活 動 以 外 に 企 業 単 位 で さ ま ざ ま な 社 会 的 行 政 的 活 動 を展 開 して お り,こ う した 活 動 は本 来,行 政 が 負 担 す べ き で あ る部 分 が 少 な くな い。
従 って,そ の点 で は企 業 は行 政 の肩 代 わ りを して,余 分 の 負担 を 背 負 って い る と考 え られ る。例 え ば,1989年 の遼 寧 省 の519の 大 中 型 国 有 工 業 企 業 の統 計 で は,当 年 度 に 支 出 した従 業 員 子 弟 の学 校 経 営,退 職 統 一 準 備 金 な どの 社 会 的活 動 経 費 は計5.5億 元 で,そ れ は企 業 の 当年 の 実 現 利 潤 の約 半 分 に相 当 した と い う㈲。 こ う した 企 業 単 位 の 社 会 的 行 政 的 活 動 の経 費 を負