二重大学教育学部研究紀要 第 58巻 人 文科学 (2007)39‑52頁
じ日
要
葡萄美酒夜光杯 欲飲琵琶馬上催 酔臥沙場君莫笑 古来征戦幾人回
葡萄の美酒 夜 光の杯
飲 まんと欲すれば 琵 琶 馬 上 に催す 酔 うて沙場 に臥す とも 君 笑ふ莫れ 古来征戦 幾 人か回る
漢詩教育 の脆弱性 を補完す る形式美 と逸話
別 府 直 苗
On Formal Beauty and Anecdotes in Chinese Poetry to Enhance its Teaching
Naoi Bnppu
本研究 は、衰退をたどる漢詩教育 について、その要因を探 り、 その脆弱性を補完す る方法 として、絶句 に限 らず様々の形式の詩を呈示 し、その形式美を味わ うことと、学習者の興味 ・関心を引き出すために、詩人の来 歴や伝記、逸話を活用す ることを提案するものであり、先人の残 して くれた漢詩 ・漢文 という偉大な文化遺産 を継承 し、活性化することによって、人生の内面的、精神的な生活をより豊かにすることを期待するものである。
1 漢 文 学習 の衰 退 とい う現状 に対 して
次 は有名な 「 涼州詞」 という王翰の七言絶句であるが、 この詩を知 らない人 はどのような印象を抱 く であろうか。
「葡萄美酒」 にせ よ、「夜光杯」 にせ よ、「琵琶」 にせ よ、 はたまた 「沙場」 や 「征戦」 にせ よ、 およ そ この詩 は現代離 れ した古 いイメー ジに包 まれてお り、現代社会 に生 きる上 で何 らの勇気 もヒン トも与 えない、 とい う感想 を持つ人 がいるか もしれない。 そ うい う人 に とって は、前半 の ロマ ンチ ックな表現 です ら、退廃 的でマイナーな ノスタル ジアと感 じられ るので はないだろ うか。
漢詩 に特別 な関心 を抱 いて いる人 を除 けば、 このイメー ジの古 さと絶句 とい う形式 の古 さと、用 い ら れている漢字 とい う複雑 な字形 に拒否反応 を示す人 が多 い。特 に学生 は、小学生 か ら大学生 に至 るまで、
漢字 が並 んで いるだ けで 目を背 け、書 かれている内容 を読 み取 ろ うとす る意志 が見 られない。
漢文 が入試 か ら外 され、教科書か らも姿 を消 してい く理 由が、 このよ うな現代 の若者像か ら説 明づ け られ るよ うな気がす る。
で は、 なぜ、若者 はこんなに も漢字嫌 いにな ったのであろ うか。 その主 な理 由 は、 日本社会 における 極端 な ほどの欧米偏重 であろ う。 この問題 は明治 か ら始 まったよ うであ る。加藤 (秀)は 日本 における 漢字 の扱 いにつ いて 「明治十三年夏 になると 『羅馬字會』 の会員数 は千人 を突破。新聞 は 『漢字 は亡 び ん』 とい う見 出 しをつ けた」 と歴史的過程 を記 して い るにつ。文化 的な ものに接 す る態度 にお いて明治
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