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密教文化 Vol. 1966 No. 77-78 004長部 和雄「漢訳三種悉地法の系譜 P57-78」

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(1)

一 拙 稿 ﹁ 唐 代 後 期 胎 蔵 系 密 教 学 の 二 流 派 と 三 種 悉 地 法 ﹂ の 中 (弘 法 大 師 高 野 開 山 ) (千 百 五 十 年 記 念 論 集 ) で 、 私 は 、 唐 代 後 期 の 胎 蔵 系 密 教 学 に は 、 一 行 の 流 れ を 汲 む 法 全 の ﹃ 玄 法 ﹄ ・ ﹃ 青 龍 ﹄ の 両 軌 の 内 容 か ら 判 る ﹃ 大 日 経 ﹄ 巻 七 の ﹁ 供 養 法 ﹂ や 、 金 剛 智 訳 の ﹃ 要 略 念 論 経 ﹄ に 則 る 主 流 と 、 今 一 つ は ﹃ 蘇 悉 地 経 ﹄ に そ の 源 を 発 す る と 考 え ら れ る 三 種 悉 地 法 の そ れ と 、 二 流 派 の あ る こ と を 指 摘 し て お い た 。 前 者 は 純 粋 の 正 純 密 教 学 の 流 派 で あ る が 、 後 者 は 雑 密 の 特 色 で あ る 世 俗 的 な 内 容 を 持 つ た 胎 蔵 系 密 教 学 派 で あ る 。 こ の 小 考 に 於 て 、 私 は 漢 訳 三 種 悉 地 法 の 系 譜 を 辿 り 、 私 の 持 論 で あ る 唐 代 後 期 の 密 教 が 民 俗 的 な 密 教 す な わ ち 世 間 的 な 密 教 の 羽 振 り を き か す に 至 る 過 程 を 、 三 種 悉 地 法 の 上 か ら 、 明 か に し て み た い と 思 う の で あ る 。 二 三 種 悉 地 法 を 説 い て 最 も 完 壁 な の は 、 何 と い つ て も 、 ﹃ 蘇 悉 地 経 ﹄ で あ る 。 今 日 こ の 経 文 は 麗 太 ( 大 正 蔵 経 。 十 八 。 ) ( 八 六 三 号 。 ) ・ 宋 本 ( 同 上 。) ( 別 本 一 。 ) ・ 宝 寿 院 本 ( 同 上 。 ) ( 別 本 二 。 ) 各 三 巻 を 現 存 し 、 善 無 畏 訳 と 伝 え る も の で あ る 。 ま た 其 の ﹁ 供 養 法 ﹂ と し て 、 同 じ く 善 無 畏 訳 と 伝 え る も の 二 巻 ( 同 上 。 八 九 四 号 。 麗 ) (本 ・別 本 高 山 寺 本 。 ) が あ る 。 ﹃ 蘇 悉 地 経 ﹄ は 全 篇 こ れ 三 種 悉 地 法 を 説 い て い る と い つ て も 決 し て 過 言 で は な い が 、 こ の ﹁ 供 養 法 ﹂ は 必 ず し も 三 種 悉 地 法 を 主 題 と し て 扱 つ て い る と は 言 え な い 。 我 が 慈 覚 大 師 に も ﹃ 蘇 悉 地 掲 羅 経 略 疏 ﹄ 七 巻 ( 日 本 大 蔵 経 本 。 大 ) ( 日 本 仏 教 全 書 本 。 ) が あ る が 、 大 師 も 三 種 悉 地 法 の 系 譜 を 明 か に し よ う と い う 考 え は な か つ た ら し い 。 漢 訳 三 種 悉 地 法 の 系 譜

(2)

密 教 文 化 こ れ は 、 一 千 年 も 前 の 学 問 と 、 今 日 の 学 問 で は 、 そ の う ち た て ん と す る 学 問 の 体 系 を 異 に す る か ら 、 已 む を 得 な い と し て 、 ま ず ﹃ 蘇 悉 地 経 ﹄ に 説 か れ て い る 三 種 悉 地 法 か ら 考 究 し て み よ う 。 そ れ に し て も 、 漢 訳 ﹃ 蘇 悉 地 経 ﹄ の 成 立 を 先 き に 論 じ て お く 必 要 が あ る 。 こ の 経 文 を 伝 の 如 く に 善 無 畏 訳 と す る な ら ば 、 玄 宗 の 開 元 年 間 の 訳 出 で あ ろ う 。 大 村 西 崖 居 士 は こ の 時 期 を 開 元 十 四 年 と す る 。 ( 密 教 発 達 志 。 巻 五 。 ) 。 (経 軌 章 疏 一 覧 。 ) 漢 訳 経 軌 を 読 ん で 常 々 気 に な つ て い る と こ ろ で あ る が 、 巻 上 真 言 相 品 ( 正 蔵 。 十 八 。 ) ( 六 〇 三 中 。 ) の 中 に 、 ﹁ 此 蘇 悉 地 経 云 云 ﹂ と は 本 来 経 の 文 句 と し て は あ り 得 な い 。 こ れ は 経 の 編 輯 者 、 こ の 場 合 は 漢 訳 者 が こ の 経 文 を 翻 訳 し つ つ 書 き 入 れ た 文 句 と し て 読 み と る な ら ば 、 至 極 素 直 に 理 解 出 来 る 。 更 に 、 巻 上 分 別 阿 閣 梨 品 ( 同 上 。 ) (困 〇 四 下 。 ) と 同 棟 択 処 所 品 ( 同 上 。 ) ( 六 〇 七 中 。 ) に 、 ﹁ 転 読 大 乗 経 典 ﹂ と い う 文 句 が あ る の も 、 漢 訳 の 際 に 筆 者 が 書 き 入 れ た 一 部 で あ る と 見 る 外 は な い 。 な お ま た 、 同 真 言 相 品 筒 止 。 ) ( 六 〇 三 下 。 ) に 、 ﹁ 如 別 経 中 説 ﹂ と あ る 一 節 も 亦 訳 述 の 時 の 訳 者 の 辞 句 で あ る と 解 す る 外 は な い で あ ろ う 。 こ の ﹁ 別 経 ﹂ と は 何 経 を 指 す か 。 五 大 院 安 然 は 之 を ﹃ 毘 (1) 盧 遮 那 別 行 経 ﹄ で あ る と す る 。 こ こ で 私 も 試 案 を 提 起 し よ う 。 復 次 上 中 下 成 就 法 。 如 別 経 中 説 。 欲 求 成 就 者 。 須 解 真 言 上 中 下 法 。 此 経 通 摂 三 部 所 作 曼 茶 羅 法 。 仏 部 真 言 扇 底 迦 。 観 音 真 言 補 狂必 微 迦 。 金 剛 真 言 阿 毘 遮 噌 迦 。 従 腋 至 頂 為 上 品 。 従 膀 至 腋 為 中 品 。 従 足 至 膀 為 下 品 。 於 真 言 中 。 亦 応 分 別 。 三 種 成 就 於 此 三 部 。 各 分 三 。 善 須 了 解 。 ( 正 蔵 。 十 八 。 蘇 悉 地 経 。 ) 。 (真 言 相 品 。 六 〇 三 下 。 麗 本 。 ) 右 に 掲 げ た 一 節 は ﹃ 蘇 悉 地 経 ﹄ に 説 く 三 種 悉 地 法 の 総 説 と で も い う べ き 原 理 で あ つ て 、 ﹁ 此 経 ﹂ と は 勿 論 ﹃ 蘇 悉 地 経 ﹄ の 意 で あ り 、 こ れ を 判 り や す ぐ 示 す と 、 左 の 通 り に な る 。 上 成 就=仏 部 真 言 ( 息 災 cantikah)=従 腋 至 頂=上 品 中 成 就=観 音 真 言 ( 増 益 pustikah)=従 膀 至 腋=中 品 下 成 就=金 剛 真 言 ( 調 伏 bhicgrgah)=従 足 至 膀=下 品 そ う し て 漢 訳 者 は 、 右 の 上 中 下 の 三 種 悉 地 法 は 、 ﹁ 別 経 ﹂ 中 の 説 の 如 し と い う 。 さ て そ こ で ﹁ 別 経 ﹂ と は 何 経 か 。 漢 訳 ﹃ 蘇 悉 地 経 ﹄ 以 前 に 已 に 三 部 を 説 く 経 文 に は 阿 地 盟 多 訳 ﹃ 陀 羅 尼 集 経 ﹄ 十 二 巻 ( 正 蔵 。 隔 十 八 。 九 ) ( 〇 一 号 。 麗 本 。 ) が あ る 。 そ の 麗 ・ 宋 ・ 元 の 三 本 に つ い て い る 翻 訳 序 を 読 む と 、 こ の 経 は ﹃ 金 剛

(3)

大 道 場 経 ﹄ か ら 要 抄 し て 翻 訳 し た も の で 、 永 徽 四 年 ( 西 紀 。 六 ) ( 五 三 年 。 ) 三 月 十 四 日 に 起 首 し 、 同 五 年 四 月 十 五 日 に 、 慧 日 寺 に 於 て 、 十 二 巻 に ま と め 畢 つ た こ と が 明 記 さ れ て い る 。 現 形 で は 、 仏 部 巻 上 (巻一)・同巻 下 ( 巻 二 ) 、 観 世 音 巻 上 (巻四)・同 巻 中 ( 巻五)・同 巻 下 ( 巻 六 ) 、 金 剛 部 巻 上 (巻七)・同 巻 中 (巻八)・同巻 下 ( 巻 九 ) と い う 分 け 方 に な つ て い る 。 こ の 外 に 、 漢 訳 ﹃ 蘇 悉 地 経 ﹄ 以 前 の 経 軌 で あ つ て 、 上 中 下 の 三 種 悉 地 法 を 説 く 先 例 が あ る か と 探 し て み る と 、 菩 提 流 志 訳 ﹃ 一 字 仏 頂 輪 王 経 ﹄ ( 正 蔵 。 十 九 。 九 ) ( 五 一 号 。 麗 本 。 ) が あ る 。 此 の 経 は 同 じ 菩 提 流 志 訳 の ﹃ 五 仏 頂 三 昧 陀 羅 尼 経 ﹄ ( 正 蔵 。 十 九 。 九) ( 五 二 号 。 麗 本 。 ) と 同 本 (2) 異 訳 と 解 せ ら れ て い る が 、 三 種 悉 地 法 を 説 い て は 、 前 者 が 超 か に 詳 細 で あ る 。 注(2)の(一)に 於 て は 、 三 種 悉 地 法 の 行 わ れ る 場所を、(二)に 於 て は 、 時 分 を 、 (三) に 於 て は 、 焼 悼 供 養 の 木 を 説 い て い る 。 こ れ ら を ﹃ 蘇 悉 地 経 ﹄ に 比 較 す る と 、 相 い 対 応 す る 内 容 を 持 つ て い る 部 分 も あ る け れ ど も 、 両 者 は 全 く 同 一 と は 言 え な い し 、 そ の 他 の 部 分 は 両 本 は 相 違 す る 。 ﹃ 蘇 悉 地 経 ﹄ の 方 は こ の (3) よ う で あ る 。 今 ﹃ 蘇 悉 地 経 ﹄ と ﹃ 一 字 仏 頂 輪 王 経 ﹄ を 比 較 す る に 、 そ の 内 容 は 略 ぼ 同 一 で あ る が 、 行 法 の 細 部 に 於 て は 、 両 本 に 相 違 が あ る 。 つ ま り ﹃ 蘇 悉 地 経 ﹄ の 漢 訳 者 は ﹃ 一 字 仏 頂 輪 王 経 ﹄ の 漢 訳 を そ の ま ま 踏 襲 し て い な い こ と が 判 明 す る と 同 時 に 、 両 者 の 内 容 が 略 ぼ 同 一 で あ る と い う こ と は 、 両 者 の 三 種 悉 地 法 に 関 す る 藍 本 が 恐 ら く 一 つ で あ つ た こ と も 想 像 に 難 く な い 。 両 本 の 基 本 的 な 相 違 は 、 ﹃ 蘇 悉 地 経 ﹄ で は 三 種 悉 地 法 を 胎 蔵 界 の 仏 ・ 蓮 ・ 金 の 三 部 に 配 釈 し て い る の に 対 し 、 ﹃ 一 字 仏 頂 輪 王 経 ﹄ で は 一 字 頂 輪 王 秘 密 法 を 成 就 せ ん が た め で あ る こ と を 明 示 し て い る 。 そ う し て 、 こ れ は 現 世 滋 増 福 善 円 満 の た め 、 所 生 の 処 に て 常 に 福 楽 を 受 け ん が た め の 成 就 法 で あ り 供 養 法 で あ る 旨 を 記 し て い る 。 こ の 点 に 関 し て は 、 ﹃ 蘇 悉 地 経 ﹄ も 亦 同 様 で 、 身 分 悉 地 為 上 品 成 。 諸 薬 悉 地 為 中 品 成 。 富 饒 悉 地 為 下 品 成 。 ( 正 蔵 。 十 八 。 六 一 四 ) ( 下 。 分 別 成 就 法 品 。 ) と あ る 通 り で あ る 。 彼 の 一 行 禅 師 が 同 じ く 三 種 悉 地 法 を 解 し 、 息 災 即 是 罪 滅 。 福 生 之 義 。 ( 正 蔵 。 三 十 九 。 疏 。 十 二 。 七 ) ( 〇 三 上 。 悉 地 出 現 品 之 余 。 ) ・ 能 摂 伏 煩 悩 。 ( 伺 ) ( 上 ) ・ 増 益 万 物 。 (上) (同 ) と 言 い 、 観 念 的 な 理 解 を 示 し て い る の と 大 相 違 が あ る 。 私 は 、 ﹃ 蘇 悉 地 経 ﹄ に は 漢 訳 者 の 辞 が 混 入 し て い る 疑 い の あ る こ と を 注 意 し て お い た が 、 今 こ こ に脚注記(3)の 抄 録 中 に 現 漢 訳 三 種 悉 地 法 の 系 譜

(4)

-59-密 教 文 化 わ れ て い る 如 く 、 二 十 八 宿 中 の 朱 鳥 七 宿 の 第 二 宿 に あ た す 鬼 宿 が 示 さ れ て い る の は 、 明 か に 漢 訳 者 自 身 の 辞 が 使 用 さ れ て い る 証 拠 で あ る 。 ﹃ 蘇 悉 地 経 ﹄ に 常 楽 転 読 大 乗 経 典 ( 正 蔵 。 十 八 。 ) ( 六 〇 四 下 。 ) ・ 当 須 転 読 大 乗 経 典 ( 同 上 。 六 ) ( 〇 七 中 。 ) と あ る 如 く 、 こ の 経 文 を 漢 訳 す る に あ た り 、 そ こ に 説 か れ て あ る 三 種 悉 地 法 は 単 一 の 経 文 を 参 照 し た の で な く し て 、 複 数 の そ れ を 想 像 し な け れ ば な ら な い 。 同 じ く 三 種 悉 地 法 を 説 い て は 、 ﹃ 蘇 悉 地 経 ﹄ よ り な お 古 い ﹃ 一 字 仏 頂 輪 王 経 ﹄ を 見 て も 、﹃ 蘇 悉 地 経 ﹄ は 之 を そ の ま ま 踏 襲 し て い な い こ と が 判 明 し た 。 故 に 復 次 上 中 下 成 就 法 。 如 別 経 中 説 。 と あ る ﹁ 別 経 ﹂ の 如 き も 、 単 一 の 経 文 と は 思 わ れ な い 。 ま し て や 、 こ れ を 以 て 中 晩 唐 時 代 の 作 と す べ き ﹃ 毘 盧 遮 那 別 行 経 ﹄ を 指 す と 考 え た 五 大 院 安 然 の 説 は 、 遺 憾 な が ら 見 当 は ず れ で あ る 。 善 無 畏 訳 ﹃ 蘇 悉 地 経 ﹄ と 概 ね 時 代 を 同 じ く す る 盛 唐 時 代 の 経 軌 に て 、 三 種 悉 地 法 を 説 く も の に 、 同 じ く 善 無 畏 訳 の ﹃ 蘇 婆 呼 童 子 請 問 経 ﹄ ( 大 正 蔵 。 十 八 。 ) (八 九 五 号 。 麗 本 。 ) が あ る 。 そ の 内 容 は ﹃ 蘇 悉 地 経 ﹄ と 違 う し 、 こ の 方 も 極 め て 断 片 的 で あ る 。 そ の 他 の 三 種 悉 地 法 を 説 く 経 軌 は 、 善 無 畏 訳 よ り 後 れ て 出 た も の で あ る の み な ら ず 、 こ れ 亦 断 片 的 な も の に 過 ぎ な い か ら 、 私 の 主 題 で あ る 三 種 悉 地 法 の 系 譜 を 辿 る に は さ ほ ど 重 要 な 資 料 で は な い か ら 、 こ れ ら を 見 送 る こ と と す る 。 三 盛 唐 期 の 三 種 悉 地 法 は 、 一 つ は 以 上 の 如 き ﹃ 蘇 悉 地 経 ﹄ に 依 り 代 表 せ ら れ る 胎 蔵 三 部 の 仏 ・ 蓮 ・ 金 に 、 そ れ ぞ れ 扇 底 迦 =息 災 ・ 補 班 必 微 迦=増 益 ・ 阿 毘 遮 噌 迦=調 伏 の 真 言 を あ て 、 上 中 下 の 三 悉 地 を 説 い え も の で 、 い わ ば 現 世 利 益 を ね ら つ た も の で あ る 。 盛 唐 期 三 種 悉 地 法 に 今 一 つ ﹃ 大 日 経 ﹄ 巻 七 の 供 養 法 に 説 か れ て い る も の が あ る 。 (一) 当 知 地 有 三 種 。 寂 災 増 益 降 伏 心 。 ( 正 蔵 。 十 八 。 五 三 ) 。 (上 。 持 諦 法 則 品 。 ) と あ る か ら 、 そ の 形 は ﹃ 蘇 悉 地 経 ﹄ と 全 く 同 じ で あ る 。 こ れ は 恐 ら く イ ン ド に 於 て 已 に 定 型 と な つ て い た の で あ ろ う 。 ﹃ 大 日 経 ﹄ 巻 七 と 同 系 統 と 見 ら れ て い る ﹃ 要 略 念 講 経 ﹄ ( 大 正 蔵 。 十 八 。 八 ) ( 四 九 号 。 縮 蔵 本 。 ) こ ま 、 (一) 喩 伽 疾 得 悉 地 。 凡 有 三 品 。 謂 上 中 下 。 随 事 相 応 。 復 有 三 種 。 所 謂 寂 静 除 災 増 益 降 伏 。 ( 正 蔵 。 十 八 。 ) 。 ( 六 二 上 。 )

(5)

(二) 復 次 若 依 水 中 作 念 請 時 。 水 或 至 頂 。 為 上 成 就 。 水 或 至 腰 。 為 中 成 就 。 水 若 至 膝 。 為 下 成 就 。 如 是 三 相 。 随 得 一 相 。 於 上 中 下 。 皆 能 成 就 。 ( 同 右 。 ) 。 (六 三 下 。 ) と あ り 、 三 種 悉 地 法 を 息 災 ・ 増 益 ・ 降 伏 の 三 種 に 別 け て 説 い て あ る 基 本 型 は 、 ﹃ 蘇 悉 地 経 ﹄ や ﹃ 大 日 経 ﹄ 巻 七 と 同 一 で あ る か ら 、 愈 々 以 て こ れ が イ ン ド 三 種 悉 地 法 の 原 型 で あ ろ う か と 想 像 す る 。 更 に 亦 ﹃ 大 日 経 ﹄ 巻 七 に は (二) 如 是 受 持 者 。 復 為 一 方 便 。 諸 有 修 福 聚 。 成 就 諸 善 根 。 当 習 意 支 法 。 無 有 定 時 分 。 苦 楽 求 現 法 。 上 中 下 悉 地 。 応 以 斯 方 便 。 先 作 心 受 持 。 ( 正 蔵 。 十 八 。 五 二 ) 。 (上 。 持 請 法 則 品 。 ) と あ り 、 善 根 を い い 、 心 受 持 を 表 明 し て い る か ら 、 こ こ に 説 か れ て い る 三 種 悉 地 法 は 、 已 に 私 が 前 節 に 於 て 、 一 行 の ﹃ 大 日 経 疏 ﹄ を 引 用 し て 注 意 し た 通 り 、 こ れ は 観 念 的 で あ る 。 こ の ﹃ 大 日 経 ﹄ 巻 七 の ﹁ 供 養 法 ﹂ に 対 し て は 、 唐 の 不 可 思 議 撰 の ﹃ 大 毘 盧 遮 那 経 供 養 次 第 法 疏 ﹄ 二 巻 ( 大 正 蔵 。 三 十 九 。 ) ( 一 七 九 七 号 。 ) が あ る が 、 彼 は 三 種 悉 地 法 に 興 味 が な か つ た と 見 え 、 こ れ を 取 り 上 げ 、 特 に 解 釈 を 施 し た と こ ろ は な い 。 ﹃ 大 日 経 ﹄ に よ る 三 種 悉 地 法 を 解 釈 し て い る の は 、 言 う ま で も な く 、 一 行 禅 師 の ﹃ 大 日 経 疏 ﹄ で あ る 。 ﹃ 疏 ﹄ で は 、 巻 三 住 心 品 ・ 巻 三 具 縁 品 ・ 巻 四 具 縁 品 之 余 ・ 巻 十 世 間 成 就 品 ・ 巻 十 一 悉 地 出 現 品 ・ 巻 十 二 悉 地 出 現 品 之 余 ・ 巻 十 四 秘 密 曼 茶 羅 品 ・ 巻 十 五 秘 密 曼 祭 羅 品 之 余 ・ 巻 二 十 世 出 世 護 摩 法 品 等 に 分 散 し て 解 説 す る と こ ろ が あ る が 、 一 貫 し て 纒 つ た 見 解 を 表 現 し た も の で は な い の を 見 る と 、 彼 も 亦 三 種 悉 地 法 に 対 し て 特 に 熱 意 を 有 し て い な か つ た こ と が 判 る 。 (一) 大 本 具 説 方 軌 。 蘇 悉 地 亦 有 次 第 。 ( 正 蔵 。 一二 十 九 。 琉 。 十 一 。 ) 。 ( 六 九 八 下 。 悉 地 出 現 品 。 ) (二) 金 剛 頂 大 本 及 蘇 悉 地 等 経 広 説 地 相 。 ( 同 右 。 疏 。 三 。 六 。 ) 。 ( 一 五 上 。 具 縁 品 。 ) と あ る の を 見 る と 、 一 行 禅 師 は ﹃ 蘇 悉 地 経 ﹄ を 読 ん で は い る が 、 三 種 悉 地 法 に 関 し 此 の 経 文 を 原 文 の ま ま 引 用 し て い る 箇 所 は 一 つ も な い 。 勿 論 そ の 内 容 に 関 し て は 、 両 者 相 い 通 ず る と こ ろ は あ る が 、 総 じ て 以 て 一 行 禅 師 の 三 種 悉 地 法 に 対 す る 見 解 は 、 行 法 上 は ﹃ 蘇 悉 地 経 ﹄ と 同 様 で あ る け れ ど も 、 已 に 私 が 指 示 し た 通 り 、﹃ 蘇 悉 地 経 ﹄ に 見 る 現 世 利 益 の た め だ け の 行 法 で は な く し て 、 観 念 的 で あ り 、 純 密 の 立 場 を 逸 脱 し た も (4) の で は な い 。 今 こ れ を 脚 注 記 に 転 写 し 、 両 者 の 対 比 を 試 み よ 漢 訳 三 種 悉 地 法 の 系 譜

(6)

-61-密 教 文 化 う 。 ﹃ 疏 ﹄ は ﹃ 大 正 蔵 経 ﹄ 巻 三 十 九 所 収 本 に 、 ﹃ 義 釈 ﹄ は ﹃ 大 日 本 続 蔵 経 ﹄ 第 三 十 六 套 本 に 依 り 対 校 し た が 、 ﹁ 世 間 成 就 品 ﹂ と ﹁ 悉 地 出 現 品 ﹂ だ け は 両 本 の 間 に 文 辞 上 相 当 に 出 入 が あ る け れ ど も 、 内 容 に 於 て は 本 質 的 に 異 質 の も の で は な い か ら 、 ﹃ 義 釈 ﹄ は 抄 録 し な い こ と に し た 。 ま ず 第 一 に 成 就 相 を 説 い た 脚注(4)(一)(二)(四)(六)の う ち か ら 、(一) と (四) と を ﹃ 蘇 悉 地 経 ﹄ に 比 較 す る と 、 (一) 疏=上 成 就相 (日出)・中 成 就 相 ( 夜半)・ 下 成 就 相 ( 初 夜 ) ( 正 蔵 。 三 十 九 。 ) 。 ( 六 九 〇上-中 。 ) 蘇=下 成 就 時 ( 初 夜 分 ) 扇 底 迦 事 時 ・ 中 成 就 時 ( 中 夜 分 ) 阿 毘 遮 櫓 迦 事 時 ・ 上 成 就 時 ( 後 夜 分 ) 補 狂必 微 迦 事 時 ・ ( 正 蔵 。 十 八 。 六 二 五 下 。 ) 。 (分 別 悉 地 時 分 品 。 ) 右 の ﹃ 疏 ﹄ と ﹃ 蘇 ﹄ と の 間 に は 、 上 中 下 時 分 の 配 分 に 相 違 す る と こ ろ が あ る が 、 ﹃ 蘇 ﹄ 自 身 に も 、 用 扇 底 迦 法 。 為 上 成 就 。 補 班 必 微 迦 法 。 為 中 成 就 。 阿 毘 遮 噌 迦 法 。 為 下 成 就 。 ( 正 蔵 。 十 八 。 六 一 ) 。 ( 一 中 。 献 食 品 。 ) と あ る の と 矛 盾 が あ る 。 惟 う に 、 こ れ は 漢 訳 ﹃ 蘇 悉 地 経 ﹄ が 原 典 に つ い て 取 捨 選 択 を 怠 つ た 結 果 が そ の ま ま 漢 訳 の 上 に 遺 つ て い る の で あ ろ う 。 (四) 疏=上 事 山 峯 。 中 事 牛 満 欄 。 下 事 林 間 。 或 河 灘 。 乃 至 四 衛 天 室 。 ( 正 蔵 。 三 十 九 。 ) 。 (六 九 七 上 。 ) 蘇=上 成 就 於 山 上 。 中 成 就 於 池 辺 。 下 成 就 随 処 。 (正 蔵 。 十 八 。 六 二 六 中-)。 ( 下 。 諸 尊 加 被 成 就 品 。 ) 頂=天 上 有 三 勝 地 。 成 上 悉 地 。 大 河 岸 海 岸 山 中 。 成 中 悉 地 。 大 泉 池 有 蓮 華 処 。 多 花 菓 林 処 。 屍 陀 林 処 。 成 下 悉 地 。 ( 正 蔵 。 十 九 。 二 六 一 下 。 ) 。 ( 一 字 仏 頂 輪 王 経 。 巻 五 。 ) 右 は ﹃ 疏 ﹄ と ﹃ 蘇 ﹄ と ﹃ 一 字 仏 頂 輪 王 経 ﹄ を も 加 え 、 三 種 悉 地 法 の 類 型 を も と め て み た が 、 具 体 的 な 類 型 を 発 見 す る こ と は 困 難 で あ る 。 こ れ は 、 三 種 悉 地 法 な る も の が 、 胎 ・ 金 未 分 の 時 代 の 行 法 で あ る こ と を 有 力 に 物 語 る こ と を 意 味 す る も の で 、 蘇 悉 地 法 が 雑 密 的 で 正 純 性 が 稀 薄 で あ る と す る な ら ば 、 そ れ を 三 種 悉 地 法 に 於 て 発 見 す る こ と が 出 来 る 。 そ れ は 兎 も 角 と し て 、 ﹃ 疏 ﹄ の 解 説 し て い る 三 種 悉 地 法 は 、

(7)

﹃ 蘇 悉 地 経 ﹄ の 扇 底 迦 ・ 補 葺 必 微 迦 ・ 阿 毘 遮 喚 迦 の 三 真 言 を 上 中 下 の 三 悉 地 に 配 し 、 こ れ を 胎 蔵 の 仏 ・ 蓮 ・ 金 の 三 部 に あ て 、 そ の 本 来 の 姿 で あ る 息 災 ・ 増 益 ・ 調 伏 の 三 法 と す る も の で 、 ﹃ 蘇 悉 地 経 ﹄ の 三 種 悉 地 法 の 基 本 的 な 型 と 同 じ で あ る 。 詳 し く は 脚 注(4) (十内)に つ い て 見 ら れ た い 。 但 し 、 扇 底 迦 ( 巻 五 。 (疏 。 十 二 。 七 。 二 下 。 悉 ) 地 出 現 品 之 余 。 ) の 名 称 だ け は 前 き に 私 が 脚 注(4)に 抄 録 し た (九) に 見 え る が 、 補 班必 微 迦 と 阿 毘 遮 噌 迦 の 名 称 は ﹃ 疏 ﹄ に は 終 始 全 然 見 え な い し 、 ま た 明 か に こ れ を 仏 ・ 蓮 ・ 金 の 胎 蔵 三 部 に 配 し た 言 辞 も 見 え な い 。 し か し 、 脚 注(4) (十四) ( 疏 。 三 。 六 一 ) ( 三 下 。 具 縁 品 。 ) ・ (十 六) (疏 。 八 。 六 六 四 中) ( 。 具 縁 品 之 余 。 ) 読 む と 、 三 部 真 言 を 三 種 悉 地 の 上 中 下 成 就 に 相 応 さ せ て 説 い で あ る か ら 、 こ れ は 勿 論 胎 蔵 三 部 の 真 言 上 中 下 成 就 と い う 意 味 で あ ろ う し 、 こ れ に 引 き 続 き 息 災 ・ 増 益 ・ 降 伏 の 三 つ の 法 を 説 い て い る か ら 、 こ れ は 胎 蔵 三 部 に 上 中 下 の 三 種 悉 地 を 配 し た よ う に 読 み と れ る 。 ﹃ 蘇 悉 地 経 ﹄ に 説 く 三 種 悉 地 法 の 基 本 形 式 を 知 つ て い る 者 に は 、 こ れ は 疑 い も な く 、 胎 蔵 三 部 の 仏 ・ 蓮 ・ 金 に 上 中 下 の 三 種 悉 地 を 配 し 、 息 災 ・ 増 益 ・ 降 伏 の 三 法 を 説 い た も の と 読 み と れ る 。 し か し 、 脚注(4)の (十内) で は 、 究 習 喩 伽 云 云 と あ つ て 、 楡 伽 に 於 て 三 種 悉 地 法 を 説 い て い る が 、 こ れ は ﹃ 蘇 悉 地 経 ﹄ に は 見 え な い と こ ろ で あ る 。 喩 伽 系 の 経 文 に 三 種 悉 地 を 説 い て い る 実 例 は 、﹃ 略 出 念 調 経 ﹄ ( 大 正 蔵 。 十 八 。 ) ( 二 二 五 下 。 ) に も あ る が 、 四 種 成 就 法 ( 十 八 会 指 帰 。 正 蔵 。 ) (十 八 。 二 ん 五 上 。 ) が 普 通 で あ る 。 こ の よ う に 、 三 種 悉 地 法 は 、 そ の 行 法 が 種 々 様 々 で 、 い ず れ を 以 て 正 統 派 の そ れ で あ る か を 判 別 す る に 苦 し む が 、 実 は そ れ に 正 閏 を つ け よ う と す る の が 無 理 で あ つ て 、 私 が 前 き に 雑 密 的 で あ る と い つ た の は 全 く こ の 意 味 で あ つ た 。 そ こ で 、 善 無 畏 訳 ﹃ 蘇 婆 呼 童 子 請 問 経 ﹄ ( 正 蔵 。 十 八 。 八 ) ( 九 五 号 。 麗 本 。 ) を 見 よ う 。 (5) そ こ に は 今 一 つ の 三 種 悉 地 法 の 原 型 が あ る 。 脚 注(5)の(一)の(1)成 真 言 法と(5)入修 羅 官 法 と は 、 そ れ ぞ れ 脚 注(4)の ﹃ 疏 ﹄(三)・(十三) に 見 え る し 、 脚注(5)の(二) に 関 し て の 類 型 (6) は ﹃ 蘇 悉 地 経 ﹄ に あ る 。 以 上 、 菩 提 流 志 訳 ﹃ 一 字 仏 頂 輪 王 経 ﹄ 、 善 無 畏 訳 ﹃ 蘇 悉 地 経 ﹄・﹃蘇 婆 呼 童 子 経 ﹄ ・ ﹃ 大 日 経 ﹄ 、 金 剛 智 訳 ﹃ 要 略 念 論 経 ﹄ 、 一 行 撰 ﹃ 大 日 経 疏 ﹄ 等 に あ ら わ れ て い る 三 種 悉 地 法 を 比 較 対 照 し た が 、 そ の 結 果 を 言 う な ら ば 、 そ れ ら の 内 容 は 本 質 的 に 異 つ た も の で は な い が 、 各 々 そ れ ぞ れ の 行 法 の 具 体 的 な 次 第 に 関 し て の み 相 違 し て い る と い う 点 か ら 、 私は、(一)こ れ ら は 概 ね イ ン ド 三 種 悉 地 法 の 種 々 相 を 伝 え て い る も の で あ ろ う と 漢 訳 三 種 悉 地 法 の 系 譜

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-63-密 教 文 化 想 像 す る し 、 (二)漢 訳 に 伝 え る と こ ろ の イ ン ド 三 種 悉 地 法 は 極 しめ て 統 一 性 が な く 、 こ う い う の を 称 し て 雑 密 の 行 法 と 名 づ け た い 、 と 言 い た い の で あ る 。 次 に 漢 訳 に 移 さ れ た 三 種 悉 地 法 は 、 唐 代 撰 述 家 の 手 に よ り 、 そ の 後 如 何 に 変 化 し て 来 た か 。 こ れ を 考 察 し て み よ う 。 四 唐 代 撰 述 の 三 種 悉 地 法 に 関 す る 経 軌 と し て ま ず 第 一 に あ げ た い の は 、 善 無 畏 訳 と 伝 え る ﹃ 尊 勝 仏 頂 修 喩 伽 法 軌 儀 ﹄ 二 巻 ( 正 蔵 。 十 九 。九 七 三 号 。 ) ( 旱 菌 刊 本 兜 豊 山 版 兜 ) で あ る 。 唐 訳 の 尊 勝 陀 羅 尼 に 関 す る 儀 軌 は 、 こ の 外 に 、 仏 陀 波 利 訳 ﹃ 仏 頂 尊 勝 陀 羅 尼 経 ﹄ ( 正 蔵 。 ( 十 九 。 九 六 七 号 。 ) 、 麗 本 。 ) 杜 行 顎 訳 ﹃ 仏 頂 尊 勝 陀 羅 尼 経 ﹄ ( 正 蔵 。 十 九 。 九 ) ( 六 八 号 。 麗 本 。 ) 地 婆 詞 羅 訳 ﹃ 仏 頂 最 勝 陀 羅 尼 経 ﹄ ( 正 蔵 つ 十 九 。 九 ) ( 六 九 号 。 麗 本 。 ) ・ ﹃ 最 勝 仏 頂 陀 羅 尼 浄 除 業 障 呪 経 ﹄ ( 正 蔵 。 幽 十 九 。 九 ) 、 ( 七 〇 号 。 麗 本 。 ) 義 浄 訳 ﹃ 仏 説 仏 頂 尊 勝 陀 羅 尼 経 ﹄ ( 正 蔵 。 十 九 。 九) 、 ( 七 一 号 。 麗 本 。 ) 不 空 訳 ﹃仏 頂 尊 勝 陀 羅 尼 念 調 儀 軌 法 ﹄ ( 正 蔵 。 十 九 。 九 ) ( 七 二 号 。 麗 本 。 ) の 六 本 、 計 七 本 が 現 存 す る が 、 善 無 畏 訳 以 外 の 六 本 は 悉 く 麗 本 で あ る 。 そ う し て 独 り 善 無 畏 訳 だ け が 本 邦 刊 行 の 豊 山 軌 で あ つ て 、 こ れ だ け に 三 種 悉 地 法 が 説 か れ て い る と こ ろ に 問 題 が あ る 。 ﹃ 大 正 蔵 経 ﹄ 本 の 巻 末 の 蹟 に よ る と 、 善 無 畏 訳 は 、 慈 覚 ・ 円 行 ・ 慧 運 の 三 家 の 請 来 で あ る が 、 今 の 本 は 敦 れ の 師 の 請 来 家 の 本 か 未 だ 決 し な い と 、 豊 山 長 谷 輪 下 無 等 誌 の 署 名 が あ る 。 こ の 善 無 畏 訳 の ﹃ 尊 勝 軌 儀 ﹄ が 善 無 畏 訳 と い う よ り も 善 無 畏 撰 で あ る と す べ き 証 拠 は 、 大 村 西 崖 居 士 が 道 破 せ ら れ た 通 り で あ つ て 、 今 略 金 剛 頂 。 大 毘 盧 遮 那 経 。 井 釈 義 十 巻 。 ( 正 蔵 噂 十 九 。 三 七 七 下 。 ) ( 巻 下 。 大 灌 頂 曼 茶 羅 品 。 ) と あ る に よ り 、 想 像 し て 十 分 で あ る し 、 更 に 蘇 悉 地 ・ 蘇 摩 呼 ・ 如 意 輪 ・ 七 倶 脂 ・ 盟 醗 且 但 羅 ・ 不 空 羅 索 等 の 経 文 か ら 撰 集 し た 旨 を も 明 記 し て い る 。 (7) さ て ﹃ 尊 勝 軌 儀 ﹄ の 三 種 悉 地 法 は 脚 注 に 抄 出 し た 通 り で あ る が 、 こ れ を 読 ん で み る と 、 悉 地 相 の 上 か ら 、 前 半 は 有 相 悉 地 を 説 き 、 後 半 は 無 相 悉 地 を 説 い て い る 。 有 相 の 三 種 悉 地 法 は 、 ﹃ 蘇 悉 地 経 ﹄ 巻 中 の 分 別 成 就 法 品 ( 正 蔵 。 十 九 。 六 ) ( 一 四 上-中 。 ) に 依 つ た ら し く 、 こ こ に 説 か れ て い る 蔵 形 隠 跡 。 為 中 成 就 。 世 間 諸 事 。 為 下 悉 地 。 入 修 羅 宮 。 得 長 寿 薬 。 若 欲 成 就 薬 拘 等 者 。 謂 得 勝 処 転 輪 処 長 寿 之 仙 。 と あ る を 読 め ば 、 想 像 に 難 く な い 。 い う な ら ば 、 こ れ は 世 間 一 切 の 勝 事 に 関 す る 全 く 在 家 法 と し て の 三 種 悉 地 法 で あ る と い う こ と が 出 来 る と 思 う 。 故 に ﹃ 蘇 悉 地 経 ﹄ で は 、 こ れ を 仏 ・ 蓮 ・ 金 の 三

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部 の 法 と し て 説 い て い る が 、 ﹃ 尊 勝 軌 儀 ﹄ で は 此 の 必 要 が な か つ た の で あ ろ う 。 次 に 無 相 の 三 種 悉 地 法 に つ い て 考 え て み よ う と 思 う が 、 そ も そ も ﹃ 尊 勝 軌 儀 ﹄ が 三 種 悉 地 法 を 解 し て 、 有 相 と 無 相 と に 分 け て い る の は 、 ﹃ 大 日 経 ﹄ 巻 七 の ﹁ 供 養 法 ﹂ に 、 甚 深 無 相 法 。 劣 慧 所 下 堪 。 為 応 彼 等 故 。 兼 存 有 相 説 。 ( 正 蔵 。 十 八 。 五 四 ) ( 下 。 真 言 事 業 品 。 ) と あ る に 範 を と つ た も の で あ ろ う 。 さ て 無 相 悉 地 の 三 種 悉 地 の 立 場 か ら い う な ら ば 、 ﹁ 有 相 悉 地 の 三 種 悉 地 は 上 中 下 と も に 無 相 悉 地 の 下 悉 地 と な る 。 無 相 悉 地 の 中 悉 地 は 本 尊 身 を 得 て 、 応 身 ・ 化 身 乃 至 十 地 位 の 菩 薩 身 を 得 る 如 き で あ る 。 ま た 無 相 悉 地 の 上 悉 地 は 、 三 業 す な わ ち 是 れ 三 密 で あ り 、 三 密 す な わ ち 是 れ 三 身 で あ り 、 三 身 す な わ ち 是 れ 大 毘 盧 遮 那 如 来 智 で あ る 。 法 界 が 普 ね く 色 身 を 現 す を 証 す る 如 き は 、 同 一 の 法 界 で あ り 、 同 一 の 体 性 で あ る 。 一 心 の 外 は 更 に 無 一 物 に し て 、 立 つ を 得 べ し 。 諸 仏 は 虚 空 の 相 に し て 、 虚 空 は 亦 無 相 心 で あ り 、 虚 空 に 同 じ 。 故 に 喩 砥 を 修 む る 者 も 亦 同 一 の 体 で あ る 。 一 念 の 頃 、 三 妄 執 を 越 え 、 三 僧 砥 行 を 度 る 。 初 発 心 の 時 に 、 す な わ ち 正 覚 を 成 ず 。 こ れ 悉 地 の 身 で あ る 。 此 れ が 無 相 悉 地 中 の 最 上 悉 地 の 法 で あ る 。 ﹂ と ﹃ 尊 勝 軌 儀 ﹄ が 解 説 し て い る の は 、 こ れ は ﹃ 大 日 経 疏 ﹄ に よ る 胎 蔵 法 門 の う ち に 於 て 、 純 密 の 立 場 か ら 説 い た 三 種 悉 地 法 で あ る 。 こ と に 三 種 悉 地 法 が 喩 伽 に 於 て 説 か れ て い る 例 は 、 已 に 私 が 示 し た 通 り 、 ﹃ 略 出 経 ﹄ や ﹃ 疏 ﹄ に そ の 先 躍 が あ る が 、 ﹃ 大 日 経 ﹄ の 巻 三 ( 正 蔵 。 十 八 。 二 〇 中-) ( 三 中 。 悉 地 出 現 品 。 ) ・ 巻 七 ( 同 上 。 五 一 中 。 五 二 ) (中 。 五 四 上 。 五 四 下 。 ) に も 喩 伽 に よ つ て 説 い て い る し 、 ﹃ 要 略 念 請 経 ﹄ に も 、 喩 伽 疾 悉 地 。 凡 有 三 品 。 謂 上 中 下 。 随 事 相 応 。 復 有 三 種 。 所 謂 寂 静 除 災 増 益 降 伏 。 ( 正 蔵 。 十 八 。 ) 。 ( 六 二 上 。 ) と あ つ て 、 三 種 悉 地 を 楡 伽 悉 地 と し て 説 い て い る し 、 次 に 扇 底 迦=増 益 ・ 布 葺 必 致 迦=相 摂 ・ 阿 毘 遮 羅 迦=降 伏 と い う 解 説 が 続 い て い る が 、 こ れ は 勿 論 ﹃ 蘇 悉 地 経 ﹄ の 三 種 悉 地 法 の 基 本 型 で 、 ﹃ 大 日 経 ﹄ や ﹃ 大 日 経 疏 ﹄ に は 見 え な い と こ ろ で あ る 。 ﹃ 大 日 経 ﹄ 巻 七 の ﹁ 供 養 法 ﹂ と ﹃ 要 略 念 講 経 ﹄ と は 同 本 異 訳 で あ る と 今 日 迄 の 密 教 学 上 の 常 識 で あ つ た が 、 最 近 こ れ に 修 正 を 加 え た 新 ら し い 研 究 が 出 て い る 。 (小 野 塚 幾 澄 教 授 。﹁ 漢 (訳 大 日 経 供 養 法 に つ い て ﹂ 。 豊 山 ) 。 学 報 。 五 。 ) 私 は 、 こ れ と は 別 途 に 、 漢 訳 両 本 の 相 違 の 一 つ と し て 、 三 種 悉 地 法 に お け る そ れ を 発 見 し た の で 、 今 こ こ に 御 披 露 に 及 ん だ 。 漢 訳 三 種 悉 地 法 の 系 譜

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-65-密 教 文 化 そ れ は そ れ と し て 、 ﹃ 尊 勝 軌 儀 ﹄ の 三 種 悉 地 法 の 系 統 を 判 り や す く 示 す と 左 の 通 り で あ る 。 大 日 経 巻 七 ・ 疏 ← 略 出 念 調 経↓=喩 伽 法 と し て ← 要 略 念 論 経 ← 蘇 悉 地 経=在 家 法 と し て ← 尊 勝 軌 儀 無 相 有 相 こ れ を 要 す る に 、 三 種 悉 地 法 は 、 ﹃ 蘇 悉 地 経 ﹄ に 於 て は 、 後 日 胎 蔵 界 に 成 長 す る 三 部 の う ち に 説 か れ て 居 る し 、 ﹃ 大 日 経 ﹄ 巻 七 の ﹁ 供 養 法 ﹂ と ﹃ 要 略 念 講 経 ﹄ や ﹃ 略 出 念 論 経 ﹄ に 於 て は 、 楡 伽 法 亦 は 之 を 加 味 し た 胎 蔵 法 の う ち に 説 か れ て い る が ﹃ 尊 勝 軌 儀 ﹄ に 於 て は 、 胎 蔵 法 を 混 え た 金 剛 界 法 の う ち に 説 か れ て い る と い う こ と に な る 。 こ こ に 於 て 、 三 種 悉 地 法 と 胎 ・ 金 の 合 行 軌 と の 関 係 と い う 新 ら し い 問 題 が 生 じ る 。 尤 も 、 こ れ に は 更 に 胎 ・ 金 の 両 部 と 蘇 悉 地 と を 併 せ た 三 部 の 合 軌 と い う 問 題 も 付 随 し て く る が 、 こ れ は 十 八 道 次 第 を 考 慮 に 入 れ な い と 全 面 的 解 決 が 出 来 な い 。 次 は 一 連 の ﹃ 破 地 獄 軌 ﹄ と ﹃ 毘 盧 遮 那 別 行 経 ﹄ と に お け る 三 種 悉 地 法 を 考 察 し て み る 段 階 と な つ た 。 五 私 が こ こ に 一 連 の ﹃ 破 地 獄 軌 ﹄ と い つ た の は 、 ﹃ 三 種 悉 地 破 地 獄 転 業 障 出 三 界 秘 密 陀 羅 尼 法 ﹄ ( 大 正 蔵 。 十 八 。 九 ) (〇 五 号 。 豊 山 版 。 ) こ れ は ﹃ 三 種 悉 地 軌 ﹄ と 略 称 せ ら れ る も の 、 ﹃ 仏 頂 尊 勝 心 破 地 獄 転 業 障 出 三 界 秘 密 三 身 仏 果 三 種 悉 地 真 言 儀 軌 ﹄ ( 大 正 蔵 。 十 八 。 九 ) ( 〇 六 号 。 豊 山 版 。 ) こ れ は ﹃ 破 地 獄 軌 ﹄ と 略 称 せ ら れ る も の 、﹃ 仏 頂 尊 勝 心 破 地 獄 転 業 障 出 三 界 秘 密 陀 羅 尼 ﹄ ( 大 正 蔵 。 十 八 。 九 ) ( 〇 七 号 。 豊 山 版 。 ) こ れ は ﹃ 破 地 獄 陀 羅 尼 軌 ﹄ と 略 称 せ ら れ る も の 、 以 上 の 三 本 を 指 す 。 そ れ に 今 一 つ 、 ﹃ 清 浄 法 身 毘 盧 遮 那 心 地 法 門 成 就 一 切 陀 羅 尼 三 種 悉 地 ﹄ ( 大 正 蔵 。 十 八 。 八 九 九 ) (号 。 大 日 本 続 蔵 本 。 ) こ れ は ﹃ 毘 盧 遮 那 別 行 経 ﹄ ( 日 本 大 ( 蔵 経 。 三 十 六 。 密 経 部) 章 疏 。 下 二 。 ) と 略 称 せ ら れ る も の を 併 せ 、 一 括 し て 考 究 し て み た い 。 前 の 三 本 は 悉 く 善 無 畏 訳 と な つ て い る が 、 夙 に 大 村 西 崖 居 士 が 説 破 さ れ た 如 く 、 善 無 畏 訳 と は 固 よ り 、 盛 唐 善 無 畏 時 代 の 述 作 と す ら 思 わ れ ず 、 私 見 に 依 れ ば 、 中 晩 唐 時 代 の 作 で あ る と の 見 解 を 表 明 し て お い た 。 、拙 稿 。 ﹁ 唐 代 後 期 純 密 の (代 表 作 ﹂ 。大 山 教 授 頒 寿 記 念 ﹁ 密 教 文 化 ﹂ ) 。 特 集 の 二 。 ) ﹃ 毘 盧 遮 那 別 行 経 ﹄ は 失 訳 と な つ て い る が 、 こ れ 亦 善 無 畏 訳 と 伝 え る 前 三 本 と 同 じ く 、 私 は こ れ を 中 晩 唐 時 代 の 撰 述 と 思 つ て い る 。 そ の 構 想 を 窺 う に 、 巻 首 に 於 て 、

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千 百 億 化 身 釈 迦 の 出 現 を 説 い て い る の は 、 華 厳 ・ 梵 網 に 倣 つ た の で は あ る け れ ど も 、 偽 撰 と い う 疑 い の あ る 不 空 訳 の ﹃ 大 乗 喩 伽 金 剛 性 海 曼 殊 室 利 千 腎 千 鉢 大 教 王 経 ﹄ 十 巻 、 (大 正 蔵 。 ( 二 十 。 一 一 七 七 号 。 ) 麗 本 。 ) と 全 く 同 様 で あ る 。 故 に こ の 経 の 成 立 と 関 連 し て 、 ﹃ 毘 盧 遮 那 別 行 経 ﹄ の 撰 述 年 代 を 推 定 す る 必 要 が あ る が 、 詳 し く は 後 説 に 譲 る 。 さ て 一 連 の 破 地 獄 軌 は 、 ﹃ 破 地 獄 陀 羅 尼 軌 ﹄ が 略 本 で 、 こ れ が 他 の 二 本 の 原 本 と 考 え ら れ 、 ﹃ 破 地 獄 軌 ﹄ が 広 本 で 、 ﹃ 三 種 悉 地 軌 ﹄ が そ の 異 本 と さ れ て い る が 、 こ れ が 最 も 詳 し い か ら 、 こ の ﹃ 三 種 悉 地 軌 ﹄ が 最 終 に ま と め 上 げ ら れ た 形 体 で あ ろ う 。 ( 慈 円 撰 。 毘 盧 遮 那 別 行 経 砂 。 日 ) 。 (本 大 蔵 経 。 三 十 六 。 四 八 六 下 。 ) こ う し て 三 種 悉 地 を 標 題 と し た 一 連 の 破 地 獄 軌 が 出 来 た 。 そ こ で 、 此 の 一 連 の 破 地 獄 軌 に 示 さ れ て い る 三 種 悉 地 法 を 判 り や す く 図 示 す る と 左 の 通 り で あ る 。 下 品 悉 地=出 悉 地=化 身 成 就=化 身 文 殊 師 利 菩 薩 身 中 品 悉 地=入 悉 地=報 身 成 就=応 身 大 日 如 来 身 上 品 悉 地=蘇 悉 地=法 身 成 就=法 身 摩 詞 毘 盧 遮 那 如 来 身 そ う し て 、 仏 頂 尊 勝 心 真 言=大 日 如 来 三 身 真 言 と あ る か ら 、 三 種 悉 地 の 真 言 は 仏 頂 尊 勝 心 真 言 で あ つ て 、 皆 こ れ 大 日 如 来 三 身 真 言 で あ る と い う 。 そ う す れ ば 、 尊 勝 仏 頂 な る も の は 即 ち 是 れ 毘 盧 遮 那 如 来 身 で あ る と い う こ と に な る 。 ( 正 蔵 。 十 八 。 ) 。 ( 九 一 三 下 。 ) こ れ を 以 て み る と 、 一 連 の 破 地 獄 軌 の 三 種 悉 地 法 な る も の は 、 一 連 の 仏 頂 系 の 経 軌 、 す な わ ち 菩 提 流 志 訳 の ﹃ 一 字 仏 頂 輪 王 経 ﹄ 以 下 同 系 の そ れ と 、 ﹃ 蘇 悉 地 経 ﹄ と 、 ﹃ 大 日 経 ﹄ と 、 そ れ に ﹃ 要 略 念 調 経 ﹄ や ﹃ 略 出 念 講 経 ﹄ と い つ た 風 に 、 一 連 の 破 地 獄 軌 以 前 の 漢 訳 三 種 悉 地 法 の 総 べ て を 統 合 し た も の に な つ て い る 。 而 し て 一 連 の 破 地 獄 軌 の 成 立 時 期 は 、 こ れ ら の 中 に 説 か れ て い る 道 教 風 の 中 国 思 想 の 混 入 に よ り 、 恵 果 以 後 唐 代 中 期 だ と い う 説 が 出 て い る が 、 (松 永 有 見 僧 正 ﹁ 三 種 悉 地 破 地 ( 獄 軌 の 研 究 ﹂ 。 ﹁ 密 教 研 究 ﹂ 。 三 十 ) 、 五 。 ) 私 も 同 じ 理 由 か ら 、 中 晩 唐 期 に 降 る も の と 主 張 し て い る 。 (拙 稿 。 ﹁ 唐 代 後 期 純 密 の 代 表 作 ﹂ 。 ) 。 ( ﹁ 密 教 文 化 ﹂。 七 一 ・ 七 二 合 併 号 。 ) 以 上 こ こ に 、 漢 訳 三 種 悉 地 法 の 系 譜 の 上 か ら 、 先 き に 発 表 し た 一 連 の 破 地 獄 軌 の 成 立 期 に 関 す る 鄙 見 を 更 に 強 化 す る こ と が 出 来 た と 信 ず る 。 一 連 の 破 地 獄 軌 に 説 か れ て い る 三 種 悉 地 法 の 特 色 は 、 ﹃ 大 日 経 ﹄ 巻 七 と ﹃ 要 略 念 請 経 ﹄ や ﹃ 略 出 念 請 経 ﹄ に そ の 先 躍 が あ つ て 、 喩 伽 事 法 に 約 し て 説 い て い る か ら 、 ( 大 正 蔵 。 十 八 。 九 ) 、 ( 〇 九 上 。 九 一 五 上 ) 本 来 は 胎 蔵 系 の う ち に 説 か れ て い た の が 三 種 悉 地 法 で あ る が 、 こ こ に 入 口 行 軌 的 な 性 格 が 繭 し て 来 る 。 漢 訳 三 種 悉 地 法 漢 訳 三 種 悉 地 法 の 系 譜

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-67-密 教 文 化 は 、 ﹃ 蘇 悉 地 経 ﹄ で は 未 だ 両 部 未 分 の 状 態 で あ る か ら 、 合 行 性 を 云 云 す る に は 早 き に 失 す る 。 ﹃ 大 日 経 ﹄ 巻 七 や ﹃ 要 略 念 調 経 ﹄ に な る と 、 漸 く そ の 繭 し が 見 え 初 め て い る の は 、 今 私 が こ こ に 指 摘 し た 通 り で あ る 。 そ う し て 、 中 晩 唐 期 の 一 連 の 破 地 獄 軌 に な る と 、 完 全 な 合 行 軌 と し て 登 場 し た 。 つ ま り 、 三 種 悉 地 法 な る も の は 、 盛 唐 の 漢 訳 初 期 に 於 て は 、 ﹃ 蘇 悉 地 経 ﹄ に 見 る 如 く 、 後 日 胎 蔵 法 と し て 発 展 す る 三 部 の 中 に 単 純 に 説 か れ て い る が 、 ﹃ 大 日 経 ﹄ に な る と 明 か に 胎 蔵 法 中 に 説 か れ 、 中 晩 唐 の 末 期 に な る と 、 一 連 の 破 地 獄 軌 に 見 る 如 く 、 金 剛 界 法 の う ち に 合 行 と し て 説 か れ る よ う に な る 。 漢 訳 三 種 悉 地 法 が 盛 唐 期 で は 、 ﹃ 略 出 念 請 経 ﹄ に は 見 え る け れ ど も 、 未 だ 金 剛 界 法 の う ち に 合 行 法 と し て 説 か れ て い な い 理 由 も 、 こ こ に 更 め て 解 明 し て お く 必 要 が あ る 。 そ こ で ﹃ 喩 祇 経 ﹄ を 姐 上 に の せ よ う 。 ﹃ 金 剛 峯 楼 閣 一 切 喩 伽 喩 祇 経 ﹄ 二 巻 。 ( 大 正 蔵 。 十 八 。 八 ) ( 六 七 号 。 明 本 。 ) ま 金 剛 智 訳 と 伝 え る が 、 唐 代 撰 述 の 疑 い が 濃 厚 で あ る 。 ( 三 崎 (良 周 教 授 。﹁ 慈 鎮 和 尚 の 仏 眼 信 仰 ﹂ 。) 。 大 山 教 授 頒 寿 記 念 論 集 上 。 ) 大 村 西 崖 居 士 は 、 此 の 経 が ﹃ 貞 元 録 ﹄ に 載 つ て い な い し 、 不 空 撰 の ﹃ 都 部 陀 羅 尼 目 ﹄ に も 載 つ て い な い の で 、 不 空 時 代 に は 未 だ 訳 述 な ら ず 、 恐 ら く 不 空 以 後 に 於 て 名 を 金 剛 智 に 仮 り て 出 た も の と 想 像 し て い る 。 ( ﹁ 山必 山 掛 杁 発 達 士 心 ﹂ 。 ) 。 ( 巻 三 。 五 二 〇 。 ) し か し 、 大 村 説 は 訳 述 と な つ て い る が 、 実 際 こ の 経 文 を 読 ん で み る と 、 七 曜 二 十 八 宿 ( 正 蔵 。 十 八 。 二 六 〇 (中 。 巻 下 。 金 剛 吉 祥 大 成 就 ) 品 。 ) ・ 日 月 吉 凶 ( 同 上 。 二 ) (六 三 上 。 ) ・ 夢 中 吉 凶 ( 同 上 。 二 ) ( 六 四 上 。 ) 等 、 中 国 風 に 占 星 法 が 説 か れ て い る し 、 私 が 最 も 気 に し て い る 勿 妄 伝 授 与 未 受 具 誓 兼 無 智 慧 人 。 ( 正 蔵 。 十 八 。 二 六 六 中 。 ) (巻 下 。 一 切 如 来 内 護 摩 品 。 ) ・ 勿 妄 伝 与 人 。 当 付 智 慧 者 。 ( 同 上 。 二 ) ( 六 九 下 。 ) と い つ た 本 邦 中 古 天 台 の 口 伝 法 門 に 直 結 し て い る 中 晩 唐 時 代 の 民 俗 風 な 密 教 の 筆 法 の 特 色 が 見 ら れ る 。 ( 拙 著 。 ﹁ 一 行 禅 師 の 研 ) 。 ( 究 ﹂ 。 二 五 五-以 下 。 ) 故 に 私 は ﹃ 楡 祇 経 ﹄ な る も の は 、 盛 唐 時 代 に 成 立 し 、 恐 ら く 金 剛 智 三 蔵 に 名 を 仮 り て 、 中 晩 唐 時 代 の 手 直 し を 経 て い る も の と 信 ず る 。 さ て 、 こ の ﹃ 楡 祇 経 ﹄ は 、 三 崎 良 周 教 授 も 言 わ れ る 通 り 、 胎 金 合 揉 思 想 を 考 え る 上 に 重 要 な 資 料 で あ り 、 そ の 証 拠 は 随 所 に あ ら わ れ て い る 。 金 剛 界 法 の 五 智 五 部 を 以 て 説 い て あ る 経 文 の う ち に 、 大 悲 胎 蔵 八 字 真 言 を 説 か れ て い る 如 き が そ の 著 し い 実 例 で あ る 。 ( 正 蔵 。 十 八 。 二 五 ) 。 ( 六 中 。 二 六 三 中 。 ) ま た ﹃ 蘇 悉 地 経 ﹄ の 三 種 悉 地 法 の 基 本 型 で あ る 扇 底 迦 ・ 布 狂 必 置 迦 ・ 阿 毘 左 噌 迦 を 説 い て い る が 、 ( 正 蔵 。 十 八 。 二 五 ) 、 ( 六 中 。 二 五 七 中 。 ) 三 種 悉 地 と い う 名 称 を 出 し て い な い 。 し か し 、 こ れ を 漢 訳 し て 、 息 災 ・ 増 益 ・ 降 伏 と し て

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説 い て い る が 、 や は り 三 種 悉 地 と い う 名 称 を 与 え て い な い 。 そ れ は 、 此 の ﹃ 喩 祇 経 ﹄ が 金 剛 界 法 を 主 軸 江 書 か れ て あ る と こ ろ に 問 題 が あ る 。 ﹃ 喩 祇 経 ﹄ は 五 大 院 安 然 以 来 、 克 く ﹃ 蘇 悉 地 経 ﹄ と 相 い 対 比 し て 論 ぜ ら れ る こ と が 多 い が 、 私 は そ の 内 容 の 上 か ら 、 こ の 経 が 金 ・ 胎 の 合 行 で あ る と い う 点 と 、 民 俗 風 な 密 教 の 筆 法 が 使 用 さ れ て い る と い う 点 か ら 、 ﹃ 蘇 悉 地 経 ﹄ よ り そ の 成 立 が 新 ら し い と 推 定 す る と 同 時 に 、 未 だ 金 胎 習 合 の 上 に 三 種 悉 地 の 名 を 以 て 説 か れ て い な い か ら 、 一 連 の 破 地 獄 軌 よ り は 古 い と い う こ と に な る と 思 つ て い る 。 つ ま り ﹃ 喩 祇 経 ﹄ は 、 盛 唐 期 に 於 て 、 ﹃ 蘇 悉 地 経 ﹄ に 次 ぎ 、 こ れ に 倣 い 、 金 剛 界 法 を 主 軸 と し 、 金 胎 の 合 軌 と し て 書 か れ 、 中 晩 唐 期 に 降 つ て 、 更 め て 手 直 し を 受 け た も の で あ ろ う 。 三 種 悉 地 法 に お け る 合 行 性 と い う 点 か ら 推 論 す る な ら ば 、 そ の 初 期 に 於 て は 、 胎 金 習 合 の 胎 蔵 法 中 に だ け 説 か れ て い る 。 そ の 実 例 は 、 ﹃ 要 略 念 調 経 ﹄ に 見 る 如 く 、 已 に 私 が 明 か に し た 通 り で あ る 。 し か し 、 未 だ 金 胎 習 合 の 金 剛 界 法 中 に 説 か れ た 例 は な い 。 そ の 証 拠 は 此 の ﹃ 喩 祇 経 ﹄ に つ い て 見 れ ば 判 る 。 金 胎 習 合 の 金 剛 界 法 中 に 三 種 悉 地 法 が 説 か れ る よ う に な つ た の は 、 漸 く 末 期 に 近 づ い て 実 現 し た 。 そ の 実 例 が 此 の 一 連 の 破 地 獄 軌 で あ る 。 初 期 の 三 種 悉 地 法 は 、 や が て 胎 蔵 法 に 成 長 す る 仏 ・ 蓮 ・ 金 の 三 部 の 別 に よ り 説 か れ 、 後 期 に な つ て 、 喩 伽 法 と し て 金 剛 界 法 の う ち に 説 か れ る よ う に な つ た 。 故 に 三 種 悉 地 法 が 合 行 法 と な つ た 由 来 は 、 こ の 辺 の と こ ろ に そ の 事 情 を 探 し あ て る こ と が 出 来 る 。 六 ﹃ 毘 盧 遮 那 別 行 経 ﹄ は 標 題 に 破 地 獄 と い う 文 辞 が は い つ て い な い が 、 こ れ も や は り 一 連 の 破 地 獄 系 の 儀 軌 で あ る こ と は 、 如 是 之 人 。 是 真 悉 地 。 能 救 地 獄 。 ( 大 正 蔵 。 十 八 。 ) ( 七 八 〇 中 。 ) あ る に よ り 明 白 で あ る 。 こ の 破 地 獄 思 想 は 、 捨 此 身 巳 。 得 生 西 方 浄 土 。 (伺 土 。 毛 ) ( 八 一 上 。 ) と あ り 、 弥 陀 の 西 方 浄 土 に つ な が つ て い る 。 ﹃ 破 地 獄 陀 羅 尼 軌 ﹄ に は 、 金 剛 界 五 仏 の 一 と し て 西 方 阿 弥 陀 如 来 。 ( 大 正 蔵 。 十 八 。 ) ( 九 一 五 上 。 ) の 名 が 見 え る が 、 浄 土 思 想 を 表 明 す る よ う な 文 句 は な い 。 ﹃ 破 地 獄 軌 ﹄ に も 、 や は り 金 剛 界 五 仏 の 一 と し て 、 西 方 阿 弥 陀 如 来 。 ( 同 上 。 九 ) ( 一 二 中 。 ) 受 用 智 慧 身 阿 弥 陀 仏 。 ( 同 上 。 九 ) ( 一 三 上 。 ) の 名 が 見 え 、 随 願 命 終 之 後 。 生 蓮 華 台 蔵 世 界 。 ( 同 上 。 九 ) ( 一 四 中 。 ) と が る が 、 此 の 方 は 寧 ろ 華 厳 の そ れ で あ つ て 、 明 漢 訳 三 種 悉 地 法 の 系 譜

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-69-密 教 文 化 か に 西 方 浄 土 思 想 を 表 明 し た 箇 所 は な い 。 ﹃ 三 種 悉 地 軌 ﹄ に も 、 西 方 阿 弥 陀 如 来 。 ( 同 上 。 九 ) ( 一 〇 中 。 ) の 名 は 見 え る が 、 そ れ 以 上 に 西 方 浄 土 思 想 に 徴 す べ き 辞 句 は 出 な い 。 こ の ﹃ 毘 盧 遮 那 別 行 経 ﹄ は 、 ビ ル シ ャ ナ 仏 が 蓮 華 造 世 界 に あ つ て 、百 千 億 の 化 身 釈 迦 牟 尼 仏 に 、 三 種 悉 地 成 就 相 を 告 げ た 経 文 で あ る と い う こ と は 、 ( 同 上 。 七 八 一 下 。 七 ) ( 七 六 下 。 七 八 〇 下 。 ) 百 億 万 衆 を 化 作 す る と い う こ と で あ る 。 ( 同 上 。 七 ) 。 ( 七 九 上 。 ) ﹃ 毘 盧 遮 那 別 行 経 ﹄ が 、 仏 部 ・ 菩 薩 部 ・ 金 剛 部 の 三 神 呪 に よ り 、 三 種 悉 地 を 説 い て い る の は ( 同 上 。 七 七 九 上 、 中 、 ) ( 下 。 七 八 〇 上 。 ) ﹃ 蘇 悉 地 経 ﹄ と 同 様 で あ る が 、 扇 底 迦 ・ 補 鉦 必 微 迦 ・ 阿 毘 遮 噌 迦 を 出 し て い な い の は 、 一 連 の 破 地 獄 軌 と 同 じ で あ る 。 一 連 の 破 地 獄 軌 は 、 金 剛 界 法 を 軸 に 、 金 胎 合 行 の 上 に 、 三 種 悉 地 を 説 い た も の で あ る が 、 ﹃ 毘 盧 遮 那 別 行 経 ﹄ は 、 胎 蔵 法 を 軸 に 、 そ れ を 説 い た も の で あ る 。 ﹃ 毘 盧 遮 那 別 行 経 ﹄ の 三 種 悉 地 法 は 、 概 ね 右 の 様 で あ る が 、 以 下 左 に 詳 説 す る よ う に 、 こ れ 亦 独 自 の も の に て 、 ﹃ 蘇 悉 地 経 ﹄ 及 び そ の 他 の そ れ を そ の ま ま 転 記 し た も の で は な い 。 三 種 悉 地 法 な る も の は 、 本 来 金 胎 両 部 正 純 密 教 の 行 法 の よ う な 厳 格 な 出 家 法 で な く し て 、 現 世 生 中 増 益 得 福 持 諸 余 呪 悉 得 成 就 。 ( 同 上 。 七 ) ( 八 一 上 。 ) と 言 う 如 く 、 所 定 の 儀 軌 に 拘 束 せ ら れ な い 気 楽 な 在 家 法 的 な 行 法 で あ つ た 。 ﹃ 毘 盧 遮 那 別 行 経 ﹄ の 構 想 は 、 已 に 紹 介 し た 通 り 、 ビ ル シ ャ ナ 仏 が 千 百 億 化 身 釈 迦 牟 尼 仏 の た め 、 即 ち 一 切 衆 生 の た め 、 釈 迦 牟 尼 仏 と と も に 、 教 を 説 く と い う 形 態 を と つ て い る が 、 こ れ は 不 空 訳 の ﹃ 曼 殊 千 腎 千 鉢 経 ﹄ と 同 形 式 に て 、 正 し く 華 厳 ・ 梵 網 の 説 相 で あ る 。 な お 、 説 心 地 戸 羅 浄 行 品 。 教 菩 薩 法 。 証 菩 提 道 。 ( 正 蔵 。 十 八 。 ) (七 六 六 下 。 ) と あ る尸 羅 は 、 ﹃ 略 出 念 請 経 ﹄ に 、 現 一 切 如 来 尸 羅 三 摩 地 。 ( 正 蔵 。 十 八 。 ) ( 二 二 八 上 。 ) や ﹃ 大 日 経 ﹄ の ﹁ 具 縁 品 ﹂ に 、 尸 羅 浄 無 欠 。 ( 正 蔵 。 十 八 。 ) ( 五 上 。 ) の 尸 羅 で 、 ﹃ 大 日 経 疏 ﹄ は 之 を 解 釈 し て 、 尸 羅 浄 無 欠 者 。 謂 於 在 家 出 家 律 義 乃 至 於 本 性 受 諸 禁 戒 。 ( 大 正 蔵 。 三 十 九 ) ( 。 六 二 四 下 。 ) と あ る 如 く、Oila. 持 戒 の 意 で あ つ て 、 在 家 ・ 出 家 に 共 通 す る 点 が そ の 特 色 で あ る 。 権 田 雷 斧 は 、 ﹃ 千 腎 千 鉢 経 ﹄ を 以 て 、 唐 末 の 偽 作 に し て 、 イ ン ド 伝 来 の 経 に 非 ず 、 と さ れ る か ら 、 (我 観 密 教 発 達 ) ( 志 。 一 五 八 頁 。 ) 此 の 経 と 同 構 想 の ﹃ 毘 盧 遮 那 別 行 経 ﹄ も 亦 唐 末 の 作 か と い う 想 像 が 可 能 で あ る 。 ﹃ 千 腎 千 鉢 経 ﹄ は 、 大 村 西 崖 居 士 の ﹁ 経 軌 章 疏 一 覧 ﹂ に 依 れ ば 、 金 剛 界 法 と 華 厳 の 合 経 だ と す る が 、 そ こ に 説 か れ て い

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る 十 六 大 菩 薩 は 殆 ん ど ﹃ 略 出 念 調 経 ﹄ に 同 じ で 、 六 大 力 士 金 剛 は 頗 る 胎 蔵 法 に 類 す (密 教 発 達 志 。巻 三 。) ( 五 一 六-七。 ) と す れ ば 、 金 胎 習 合 の 徴 候 も 見 え る 。 ﹃ 千 腎 千 鉢 経 ﹄ は 、 ﹃ 毘 盧 遮 那 別 行 経 ﹄ の 如 く 、 三 種 悉 地 法 を 説 く た め に 書 か れ た も の で は な い が 、 巻 七 の 初 め に 、 外 凡 ・ 内 凡 と い う こ と を 説 き 、 云 何 内 凡 。 所 謂 菩 薩 学 習 。 菩 提 無 為 無 漏 福 。 次 第 修 行 位 中 。 学 有 三 等 。 何 者 為 三 。 一 者 下 賢 。 二 者 中 賢 。 三 者 上 賢 。 ( 大 正 蔵 。 二 十 。 ) ( 七 五 七 上 。 ) と あ り 、 ま た 十 地 等 覚 妙 覚 を 説 き 、 菩 薩 有 四 等 。 上 中 下 及 最 上 等 。 ( 同 上 。 七 ) ( 五 七 中 。 ) と あ る の は 、 三 種 悉 地 法 で は な い が 、 三 種 乃 至 四 種 を 説 く か ら 、 そ の 亜 流 と い う べ き で あ ろ う 。 と も 角 、 ﹃ 千 壁 千 鉢 経 ﹄ と ﹃ 毘 盧 遮 那 別 行 経 ﹄ と は 同 時 代 の 撰 述 と 見 て よ か ろ う か 。 さ て 、 ﹃ 毘 盧 遮 那 別 行 経 ﹄ の 三 種 悉 地 法 は 、 如 是 衆 生 。 云 何 調 伏 。 ( 正 蔵 。 十 八 。 ) ( 七 七 七 上 。 ) い う に 始 り 、 調 伏 の 一 つ に 絞 ら れ て あ る 。 衆 生 の 何 を 調 伏 す る か と 言 え ば 、 こ こ で は 、 日 夜 精 勲 。 一 心 修 学 。 求 無 上 道 。 或 有 退 者 。 更 造 悪 業 。 入 生 死 流 。 不 復 思 惟 心 地 妙 法 。 輪 廻 悪 趣 。 無 有 出 期 。 ( 同 上 。 七 ) ( 七 七 上 。 ) と あ る か ら 、 現 世 生 中 。 増 益 得 福 。 ( 同 上 。 七 ) ( 八 一 上 。 ) ﹁関 し て で は な い 。 そ う し て 、 こ れ は 心 地尸 羅 浄 行 法 門 。 ( 同 上 。 七 七 六 下 ) (-七 七 七 上 。 ) で あ る と い う か ら 、 ﹃ 毘 盧 遮 那 別 行 経 ﹄ の 三 種 悉 地 法 と は 、 此 の 心 地 戸 羅 浄 行 法 門 で あ る と い う こ と に な る 。 ﹃ 蘇 悉 地 経 ﹄ の 三 種 悉 地 法 は 胎 蔵 法 系 で あ る が 、 ﹃ 毘 盧 遮 那 別 行 経 ﹄ の そ れ は 違 う 。 善 無 畏 の ﹃ 尊 勝 軌 儀 ﹄ に 説 く 三 種 悉 地 法 は 、 尊 勝 真 言 証 喩 伽 悉 地 品 ( 大 正 蔵 。 十 九 。 ) ( 三 七 九 下 。 ) の 中 に 説 か れ て あ る か ら 、 こ れ は 喩 伽 悉 地 法 と し て 説 か れ て い る 。 ま た 一 連 の 破 地 獄 軌 も 、 前 き に 私 が 特 筆 し た 如 く 、 三 種 悉 地 法 は 喩 伽 事 法 と し て 説 か れ て い る か ら 、﹃ 尊 勝 軌 儀 ﹄ と 一 連 の 破 地 獄 軌 は 同 系 列 と 見 る べ き で あ る が 、﹃ 毘 盧 遮 那 別 行 経 ﹄ の そ れ は 、 独 自 の 法 門 を 打 ち 立 て た と 見 る べ き で あ る 。 ﹃ 毘 盧 遮 那 別 行 経 ﹄ の 別 行 た る 所 以 は 、 正 に こ の 意 味 で あ る と 私 は 理 解 す る 。 ﹃ 毘 盧 遮 那 別 行 経 ﹄ の 説 法 の 形 式 で あ る ビ ル シ ャ ナ 仏 が 、 蓮 華 蔵 世 界 に 於 て 、 百 千 億 化 身 釈 迦 す な わ ち 一 切 衆 生 の た め に 説 法 す る と 言 う の は 、 華 厳 ・ 梵 網 の 方 式 で あ る が 、 其 の 次 は ど の 様 に な つ て い る か と い う と 、 坐 中 の 忽 怒 金 剛 が 執 金 剛 に 、 云 何 に し て 三 種 悉 地 を 得 る か と 問 い し に 、 執 金 剛 が 言 う に 、 忽 怒 軍 茶 利 よ 、 釈 迦 仏 に 問 う べ き で 、 我 れ は 苔 え る 能 わ ず と 。 急 怒 金 剛 と 執 金 剛 と は 声 を 同 じ く し て 、 仏 に 白 し て 言 う に 、 仏 は 苔 え て 、 問 い を ビ ル シ ャ ナ 仏 に す べ き だ と 。 そ こ 漢 訳 三 種 悉 地 法 の 系 譜

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-71-密 教 文 化 で 釈 迦 仏 は 三 昧 に 入 り 、 神 通 力 を 作 し 、 一 切 衆 生 と と も に 、 蓮 華 蔵 世 界 に い た り 、 法 身 世 尊 に 稽 首 作 礼 し て 、 説 法 を 聴 く と い う 形 式 に な つ て い る 。 故 に 、 こ れ で は 、 華 厳 法 身 の 毘 盧 遮 那 仏 で あ る 。 こ こ に い う 大 忽 怒 金 剛 は 忽 怒 軍 茶 利 で あ り 、 ﹃ 蘇 悉 地 経 ﹄ で は 、 忽 怒 軍 茶 利 菩 薩 が 尊 者 執 金 剛 に 頂 礼 し て 発 問 す る と い う の と 全 く 同 形 式 で あ る 。 さ き に 、 私 は 、 ﹃ 毘 盧 遮 那 別 行 経 ﹄ の 説 法 形 式 が ﹃ 千 腎 千 鉢 経 ﹄ に 似 て い る 点 を 指 摘 し た が 、 ﹃ 千 膏 千 鉢 経 ﹄ で は 釈 迦 牟 尼 如 来 が 毘 盧 遮 那 如 来 と 共 に 、 金 剛 性 悔 蓮 華 蔵 会 に 於 て 説 い た こ と に な つ て い る の で 、 釈 迦 と 毘 盧 遮 那 の 地 位 が 、 ﹃ 毘 盧 遮 那 別 行 経 ﹄ に 比 べ る と 、 主 客 転 倒 し て い る 。 ﹃ 毘 盧 遮 那 別 行 経 ﹄ は 、﹃ 開 元 ﹄ ・ ﹃ 貞 元 ﹄ の 両 録 に 載 ら ず 、 我 が 入 唐 八 家 の 請 来 も な く 、 唯 一 人 成 尋 の 請 来 に て 、 日 本 に 渡 来 し た け れ ど も 、 こ れ が 偽 経 だ と い う こ と に な つ て い る ﹃ 千 腎 千 鉢 経 ﹄ (麗 本 ・ 明 本 ) の 構 想 に 類 似 し て い る と い う こ と に な れ ば 、 ﹃ 毘 盧 遮 那 別 行 経 ﹄ の 品 隣 に 問 題 が 生 ず る の も 至 極 当 然 で あ る 。 そ れ は 兎 も 角 と し て 、 毘 盧 遮 那 仏 説 法 の 内 容 は 次 の よ う で あ る 。 ﹁ 我 れ 往 昔 を 念 う に 、 初 め て 道 意 を 発 せ し と き 、 阿 蘭 若 の 処 に 在 り て 、 端 坐 し て 、 思 惟 し 、 心 地 法 門 を 修 め た が 、 智 慧 な き が 故 の た め 、 心 は 不 安 定 に し て 、 諸 法 は 前 に 現 れ ず 、 種 々 な る 妄 想 は 諸 墓 縁 を 起 す 。 こ の 義 を 以 て の 故 に 、 鬼 神 の 惑 乱 す る と こ ろ を 被 り 、 魔 境 に 錯 入 せ り 。 ( 中 略 ) 。 当 時 空 中 の 無 数 の 化 仏 は 、 我 れ に 告 げ 、 白 し て 言 う に 、 善 な る 哉 。 菩 薩 よ 。 汝 、 今 諦 ら か に 聴 け 。 汝 の た め に 、 去 魔 の 法 を 説 か ん 。 大 神 呪 あ り て 、 心 地 呪 法 と 名 つ く 。 こ れ を 持 請 す れ ば 、 速 や か に 一 切 種 智 を 得 て 、 諸 魔 の た め に 、 其 の 便 を な さ ず 、 と 。 我 れ 此 の 語 を 聞 き て 、 心 は 大 い に 歓 喜 し 、 白 し て 言 う に 、 諸 仏 よ 、 願 わ く は 、 我 が た め に 説 け 、 時 に 、 諸 化 仏 は 我 が た め に 説 け り 。 我 れ は こ れ を 聞 き 得 て 、 憶 持 し て 忘 れ ず 。 則 時 に 諸 魔 は 退 散 し 、 我 れ 此 の 時 に 、 す な わ ち 無 生 法 忍 を 得 た り 。 菩 提 は 大 道 に し て 、 自 然 は 円 満 た り 。 汝 等 は 当 に 知 る べ き で あ る 。 此 れ は 心 地 神 呪 に し て 、 一 切 諸 仏 修 心 地 法 な り 。 (中 略 ) 。 こ の 呪 を 論 す る 者 に て 、 毘 那 夜 迦 の 悩 乱 を 被 る 者 は こ こ に 居 な い 。 何 を 以 て の 故 な る か 。 此 の 呪 は 是 れ 一 切 諸 仏 心 地 法 要 に し て 、 但 し 世 間 出 世 間 法 で あ る ﹂ 。 ( 以 下 略 ) 。 ﹁ 毘 盧 遮 那 仏 が 此 の 呪 を 説 き 終 る と 、 忽 然 と 姿 を 消 し 、 清 浄 法 界 に 入 り 、 同 一 身 と な つ て 、 十 方 刹 に 遍 ね く 、 大 虚 空 の

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如 く に な る 。 一 切 衆 生 会 も 、 皆 悉 く 見 え な く な つ た 。 そ こ で 、 釈 迦 牟 尼 仏 も 亦 毘 盧 遮 那 仏 に 随 い 、 法 界 に 入 り 、 同 一 真 体 と な る 。 一 切 衆 会 は あ ら わ れ ず 、 文 殊 ・ 普 賢 ・ 観 音 ・ 弥 勒 ・ 金 剛 蔵 の 五 大 菩 薩 が 釈 迦 に 随 侍 し 、 深 く 法 界 に 入 り 、 毘 盧 遮 那 仏 説 心 地 法 要 之 門 の 甚 深 の 境 界 を 聴 き し に 、 一 切 衆 会 は 皆 我 が 本 師 釈 迦 牟 尼 仏 及 び 菩 薩 が 今 何 処 に あ る か を 知 ら ず 。 毘 盧 遮 那 仏 は 、 こ の 清 浄 法 界 に あ つ て 、 五 大 菩 薩 の た め に 、 心 地 神 呪 法 門 の 軌 則 と 威 儀 と 悉 地 相 と を 説 持 す 。 ﹂ そ う し て 、 汝 等 若 有 人 。 持 三 部 神 呪 。 欲 得 此 心 地 神 呪 助 法 成 者 。 我 今 為 汝 分 別 解 脱 之 。 持 仏 部 呪 者 。 当 先 調 心 地 呪 百 万 遍 。 若 持 菩 薩 呪 者 。 当 請 心 地 呪 二 百 万 遍 。 若 持 金 剛 部 呪 者 。 当 論 心 地 呪 三 百 万 遍 。 (中 略 ) 。 汝 等 当 知 。 若 人 持 三 部 呪 。 未 得 悉 地 者 。 為 是 凡 夫 無 明 熾 盛 。 忽 生 退 転 之 心 。 造 諸 非 法 。 貧 著 五 欲 。 於 所 持 呪 而 令 間 断 。 或 経 多 時 。 於 後 忽 然 自 発 開 悟 菩 提 之 心 。 重 持 本 呪 。 (以 下 略 ) 。 ( 大 正 蔵 。 十 八 。 ) 。 (七 七 八 中 。 ) と あ る か ら 、 三 種 悉 地 相 は 胎 蔵 法 の 三 部 に よ つ て 説 か れ て あ る 。 こ れ は ﹃ 蘇 悉 地 経 ﹄ が 三 部 に よ り 之 を 説 い て い る の に 依 つ た の で あ ろ う が 、 両 者 の 間 に は 著 し い 相 違 点 が あ る 。 ﹃ 蘇 悉 地 経 ﹄ で は 、 三 部 に 分 け て 説 い た 三 種 悉 地 を 、 そ れ ぞ れ 仏 部 真 言=扇 底 迦=息 災 ・ 観 音 真 言=補 葺 必 微 迦=増 福 ・ 金 剛 真 言 =阿 毘 遮 噌 迦=降 伏 と な し 、 こ れ を 世 間 法 と し て 説 い て い る が 、 ﹃ 毘 盧 遮 那 別 行 経 ﹄ で は 、 右 に 私 が 直 訳 乃 至 意 訳 し 一 部 原 文 の ま ま 引 用 し た 通 り 、 出 世 間 法 と し て 説 か れ て あ る 。 そ こ で 、 毘 盧 遮 那 が 言 う に 、 守 持 莫 流 転 此 呪 於 無 智 之 人 。 何 以 故 此 無 智 人 。 見 是 諸 仙 方 便 所 説 。 便 生 貧 著 慨 怠 。 不 勲 精 進 。 生 五 慾 想 。 退 菩 提 意 。 何 以 故 。 此 人 為 根 性 不 堅 牢 故 。 少 智 恵 故 。 入 生 死 流 。 復 更 修 学 。 終 無 有 益 。 ( 以 下 略 ) 。( 正 蔵 。 十 八 。 ) 。 ( 七 七 八 下 。 ) と あ る 。 此 の 表 現 の 内 容 は 、 法 身 の 出 世 間 法 と し て は 当 然 の こ と で は あ る が 、 し か し 皮 肉 な こ と に は 、 こ う い う 筆 法 は 世 間 法 を 説 く 中 晩 唐 期 の 民 俗 風 密 教 の 矛 盾 的 常 套 語 法 で あ る こ と は 巳 に 私 が 実 証 し た 通 り で あ る 。 毘 盧 遮 那 法 身 の 純 密 の 筆 法 は 、 向 人 求 自 清 浄 。 無 所 隠 秘 。 亦 可 伝 授 也 。 (大 正 蔵 。 三 十 ( 九 。六 一 六 上 疏 。 三 。 ) 具 縁 品 。 ) で あ り 、 所 謂 甚 深 秘 蔵 者 。 衆 生 自 秘 之 耳 。 非 仏 有 隠 也 。 ( 同 上 。 六 五 一 下 。 同 上 。 ) ( 七 。 具 縁 品 之 余 。 ) で あ る 。 こ れ は 密 教 と 雛 も 大 乗 仏 教 と し て は 至 極 当 然 の こ と で あ ろ う 。 漢 訳 三 種 悉 地 法 の 系 譜

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-73-密 教 文 化 七 (一) 三 種 悉 地 法 の 原 型 を も と め る こ と は 頗 る 困 難 で あ る 。 そ の わ け は 、 現 形 が 多 種 多 様 に て 、 こ れ ら を 類 型 化 す る こ と す ら 容 易 な 業 で は な い の で 、 こ れ か ら 原 型 を 推 定 す る こ と も な か な か む つ か し い 。 (二) ﹃ 蘇 悉 地 経 ﹄ は 全 篇 三 種 悉 地 法 を 説 い た 経 文 で あ る と い う も 過 言 で は な い 。 そ う し て 、 こ こ に 説 か れ て い る 三 種 悉 地 法 は 、 胎 金 未 分 の 状 態 下 に あ る 仏 ・ 蓮 ・ 金 三 部 の 別 に よ り 説 か れ て あ つ て 、 後 に 此 の 三 部 が 胎 蔵 法 の 三 部 と し て 成 長 し た 時 に は 、 三 種 悉 地 法 が 胎 蔵 法 中 の 行 法 と な つ た 。 故 に 、 三 種 悉 地 法 は 、 本 来 胎 金 分 離 以 前 の 雑 密 の 行 法 で あ る し 、 逆 に 三 種 悉 地 法 を 規 準 に 言 え ば 、 ﹃ 蘇 悉 地 経 ﹄ は 胎 金 未 分 の 状 態 を 示 す 儀 軌 で あ つ て 、 こ れ か ら 胎 蔵 法 が 出 て 来 た 。 い わ ば こ こ に は 、 こ れ 亦 分 離 以 前 の 雑 ・ 胎 の 両 密 が 雑 居 し て い る し 、 十 八 道 次 第 の 原 型 を 見 れ ば 、 後 日 成 立 す る 金 剛 界 法 を も 含 め て い る 。 分 離 以 前 で あ る か ら 、 敢 え て こ れ を 会 融 と か 習 合 と か 合 揉 と い う 風 に 言 え な い し 、 随 つ て こ れ は 合 行 で は あ り 得 な い 。 台 密 に 於 て は 、 古 来 、 蘇 悉 地 を 以 て 、 胎 金 の 合 行 に て 、 両 部 以 上 の 最 高 の 秘 密 で あ る と さ れ る の は 、 未 分 状 態 の 混 合 の 実 態 と 、 分 離 後 の 会 融 の そ れ と の 区 別 が つ い て い な か つ た か ら で あ る 。 或 は 、 ﹃ 蘇 悉 地 経 ﹄ を 以 て 、 胎 金 両 部 が 形 を 成 し て か ら 以 後 は 、 雑 部 の 経 軌 で あ る と 称 せ ら れ る の も 故 あ る と こ ろ で あ る が 、 此 の 中 に は 、 後 日 胎 蔵 法 に 成 長 す る 三 部 を 包 含 し て い る 雑 密 を 内 容 と す る も の で あ る 。 故 に 、 ﹃ 蘇 悉 地 経 ﹄ の 雑 部 密 教 は 、 両 部 成 立 以 後 の 雑 密 が た と え 純 部 を 包 含 し て い て も 、 そ れ と は わ け が 違 う 。 (三) 漢 訳 ﹃ 蘇 悉 地 経 ﹄ 以 後 の 三 種 悉 地 法 は 、 喩 伽 法 と も 抱 き 合 せ と な り 、 こ こ に 金 胎 の 合 行 と し て の 性 格 を 有 す る よ う に な つ た の で 、 三 種 悉 地 法 は 蘇 悉 地 に 於 て 已 に 胎 金 の 合 行 で あ つ た の で は な い 。 三 種 悉 地 法 は 、 胎 金 の 合 行 と な つ た だ け で は な く し て 、 そ の 合 軌 に は 道 教 を 吸 収 し た も の も 現 れ た 。 こ れ が 中 晩 唐 時 代 の 純 密 で あ る 。 趙 宋 時 代 に な る と 、 三 種 悉 地 法 は 意 外 な 形 式 に 発 展 す る 。 こ れ は 後 日 稿 を 更 め る こ と に し よ う 。 註(1) 三 埼 良 周 教 授 ﹁ 円 仁 の 密 教 に お け る 一 二 の 問 題 ﹂ 。 天 台 学 会 編 ﹁ 慈 覚 大 師 研 究 ﹂ 所 収 。 (2) (一) 密 跡 主 。 我 今 復 為 一 切 呪 者 。 略 説 三 種 地 成 就 処 。 一 者 上 地 。 二 者 中 地 。 三 者 下 地 。 浄 不 浄 処 。 如 是 三 地 。 各 復 有 三 。

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-74-智 者 善 知 。 言 上 地 者 。 所 謂 天 上 有 三 勝 地 。 成 上 悉 地 。 言 中 地 者 。 謂 大 河 岸 海 岸 山 中 。 如 是 三 地 。 成 中 悉 地 。 言 下 地 者 。 謂 大 泉 池 有 蓮 華 処 。 多 花 菓 林 処 。 屍 陀 林 処 。 如 是 三 地 。 成 下 悉 地 。 ( 正 蔵 十 九 。 九 五 一 号 。 二 六 一 下 。 ) 。 ( 一 字 仏 頂 輪 王 経 。 巻 五 。 証 学 品 。 ) (二) 密 跡 主 。 正 月 二 月 四 月 八 月 九 月 騰 月 。 此 斯 等 月 白 月 二 日 至 十 五 日 。 月 朔 時 吉 。 修 求 大 法 。 決 定 成 就 。 正 月 多 諸 難 時 。 作 上 中 法 。 若 有 雷 電 。 相 応 相 現 。 決 定 無 障 。 速 証 成 就 。 二 月 風 難 。 作 安 隠 法 。 有 大 風 相 。 四 月 雨 難 。 作 降 伏 法 。 有 大 雨 相 。 八 月 九 月 。 無 寒 熱 時 。 作 富 饒 法 。 当 有 雷 電 醇 塵 震 難 相 。 唯 於 強 月 。 作 求 法 者 。 無 諸 難 相 。 如 是 諸 難 。 皆 上 成 相 。 是 六 箇 月 白 月 時 。 一 日 至 十 五 日 。 当 令 修 趣 扇 底 迦 法 補 葺必 置 迦 法 。 一 切 成 就 無 上 願 事 。 是 六 箇 黒 月 時 。 一 日 至 十 五 日 。 亦 作 補 葺 必 置 迦 法 阿 毘 拓 噌 迦 法 。 一 切 成 就 願 求 法 事 。 如 是 二 法 。 若 鬼 宿 日 時 。 若 月 蝕 時 。 如 法 建 修 。 得 最 上 法 。 唯 日 蝕 時 。 通 上 中 下 作 成 就 法 。 如 是 作 法 。 皆 以 白 黒 等 月 一 旦 二 日 。 或 於 五 日 。 或 於 八 日 或 十 三 日 。 或 十 五 日 。 挙 修 諸 物 成 就 法 事 。 若 作 猛 利 成 就 法 者 。 還 依 猛 利 宿 曜 時 作 。 或 准 三 種 事 法 相 作 。 其 所 成 就 三 事 法 品 。 各 如 本 法 指 授 。 時 分 正 月 二 日 。 是 春 首 時 。 上 雨 初 節 。 応 於 是 時 。 通 作 上 中 一 切 事 法 。 三 月 四 日 後 春 夏 時 。 上 雨 中 節 。 応 於 是 時 。 作 阿 毘 拓 櫓 迦 法 。 五 月 六 月 。 中 夏 熱 時 。 中 雨 下 節 。 要 欲 成 者 修 下 成 法 。 七 月 八 月 。 末 夏 秋 時 。 後 雨 中 節 。 応 是 時 。 作 扇 底 迦 法 。 九 月 十 月 。 末 秋 冬 初 。 首 冬 上 節 。 応 於 是 時 作 補 悪 置 迦 法 。 如 是 春 夏 秋 冬 時 等 。 応 宜 成 就 三 種 悉 地 。 各 上 中 下 九 品 分 別 。 夜 有 三 時 。 初 夜 下 時 。 初 夜 相 現 。 是 下 成 就 。 中 夜 中 時 。 中 夜 相 現 。 是 中 成 就 。 後 夜 上 時 。 後 夜 相 現 。 是 上 成 就 。 於 初 夜 時 。 是 作 扇 底 迦 法 時 。 於 中 夜 時 。 是 作 阿 毘 拓 噌 迦 法 時 。 於 後 夜 時 。 是 作 補 葺 必 置 迦 法 時 。 如 斯 三 時 九 品 分 別 。 知 其 時 節 類 法 相 応 。 是 三 時 分 所 説 法 相 上 中 下 事 。 惟 日 月 蝕 時 。 修 諸 法 事 。 不 観 時 節 。 若 楽 猛 利 成 就 事 法 及 阿 毘 拓 噌 迦 事 法 。 於 日 月 蝕 時 。 如 法 作 者 。 得 上 相 応 。 凡 法 起 首 。 願 祈 成 者 。 皆 令 一 日 二 旦 二 日 断 食 不 語 。 其 上 中 下 修 悉 地 法 。 於 十 二 月 中 類 日 。 応 知 毎 白 月 一 日 至 十 五 日 。 作 扇 底 迦 補 狂必 置 迦 一 切 成 就 解 脱 事 法 。 毎 黒 月 中 一 日 至 十 五 日 。 作 阿 毘 拓 噌 迦 降 調 伏 法 。 若 有 災 難 。 不 応 候 時 。 随 事 作 法 亦 得 穣 除 。 ( 同 右 。 二 六 二 中-二 ) 。 (六 三 上 。 護 摩 壇 品 。 ) 日 密 跡 主 。 是 上 中 下 。 応 作 法 時 。 不 応 作 法 時 。 呪 者 善 知 則 得 成 現 三 種 法 悉 地 。 是 故 密 跡 主 。 若 当 呪 者 。 成 就 一 字 頂 輪 王 秘 密 法 者 。 応 常 持 以 楓 香 木 濫 木 柏 木 壇 木 。 斉 載 然 火 。 持 以 鳥 麻 和 翫 乳 等 。 日 旦 二 時 。 焼 悼 供 養 。 則 得 呪 神 歓 喜 守 護 。 与 三 悉 地 。 密 跡 主 。 如 是 得 証 三 悉 地 者 。 以 身 口 心 。 如 法 界 性 不 変 畢 性 。 如 如 不 動 修 習 律 法 訥 法 火 法 。 則 得 昇 証 三 種 悉 地 。 一 天 上 悉 地 。 二 虚 空 悉 地 。 三 地 上 悉 地 。 此 証 三 地 。 随 上 中 下 所 修 持 法 。 得 法 願 財 。 密 跡 主 。 若 欲 成 就 一 切 呪 法 。 応 起 正 見 慈 悲 一 切 。 供 養 諸 仏 不 居 世 法 。 求 無 上 道 偏 功 印 塔 。 則 速 成 就 。 証 三 種 地 。 現 世 滋 増 福 善 円 満 。 当 所 生 処 。 常 受 福 案 。 ( 同 右 隔。 こ 六 二 中 ) 。 (-二 六 三 土 。 ) (3) 復 次 我 今 解 釈 。 如 説 吉 祥 成 就 時 節 。 行 者 知 己 尋 求 悉 地 。 其 時 節 者 。 八 月 職 月 正 月 二 月 及 四 月 。 此 等 五 月 白 十 五 日 。 応 作 上 漢 訳 三 種 悉 地 法 の 系 譜

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