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ヒューマンセントリックコンピューティングへの 取り組み

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Academic year: 2021

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ヒューマンセントリックコンピューティングへの 取り組み

1.はじめに

 近年,スマート端末や無線ネット ワークの普及により,いつでもどこで も IT サービスにアクセスできる環境 が整ってきた.しかし,利用できるサー ビスが増える一方で,人が必要なサー ビスを探したり情報を入力したりする ことが負担となっている.そこでわれ われは,日常さまざまな場所に移動す る人に対し,必要な時に適切な形で自 律的にサービスを提供する IT システ ムを目指す「ヒューマンセントリック コンピューティング」(図 1)を提唱し,

研究を進めている.本稿では,その実 現に向けて,逐次変化する実世界の人 や環境の状況を把握し,人に自然なイ ンタフェースで提供するためのわれわ れの取り組みについて紹介する.

2.ロケーションアウェア サービス基盤技術

 人の状況に合わせたサービスを提供 する取り組みの一つとして,人が今い る“場所”に応じたサービスをプッシュ 型で提供するロケーションアウェア サービス基盤技術を開発している(1). その場所で必要なサービスを提供し,

逆に,今いる場所に関係のないサービ スは見えないようにすることで,利便 性を向上させる.たとえば,オフィス では業務アプリケーションだけを利用 可能とし,顧客訪問中は顧客に関連す る情報だけを利用可能とすることで,

セキュアかつ使いやすい業務環境をモ バイルワーカに提供する.

 これを実現するためには,スマート 端末や環境センサから収集したさまざ まな情報をもとに,人の居る場所を屋 内外でリアルタイムに推定し,人に とって意味のある“場所”という粒度 の情報に変換,さらに,その場所への

“出入り”をリアルタイムで判定する 必要がある.

  し か し, 屋 内 で は GPS(Global Positioning System:全地球測位シス テム)の電波が受信できないなど,一 つのセンサで正確に場所を把握するこ とは困難である.そこで,無線 LAN のアクセスポイントを用いる Wi-Fi

(Wireless Fidelity)測位技術,スマー ト端末の加速度・ジャイロ・地磁気な どのセンサを用いる慣性航法技術な ど,さまざまな性質の異なる測位エン ジンをプラグインし,状況に応じて組 み合わせて場所を推定するハイブリッ ド測位技術を開発した.

 この基盤を用いて,展示会の来場者 へ端末を貸し出し,場所に応じたアプ リケーションを提供する実証実験を実 施し,成果を確認した(図 2).

3.自然なインタフェース技術

 端末のユーザインタフェースとし

て,従来はマウスやタッチパネル,ディ スプレイが中心であった.しかし今後 は,画面を注視し操作するのでなく,

人の活動を妨げない自然な方法で IT サービスを利用できることが望まし い(2)

 それを実現するアイズフリー/ハン ズフリーのインタフェースの一つとし て,聴覚の特徴を生かした音声インタ フェースを提案している.このインタ フェースでは,人の頭部の姿勢に連動 してリアルタイムに方向や距離を変化 させた音を作り出す(音像定位).た とえば,人が見た方向にある物から,

あたかもその物が音源であるかのよう に音が聞こえる.これにより,展示説 明サービスと連携し,展示物を見る と,その展示物から説明が聞こえてく る,といったアプリケーションが実現 できる. また,一般家庭などで日常生活に溶 け込み,人と共生しながら IT サービ スと連携し,見守りなどの生活支援を 行う「人に優しい端末」を目指し,子 ぐま型ソーシャルロボットを開発して いる(図 3).自然なインタラクション の中で人の表情や振る舞いなどの反応 を確認しながら,情報の重要性等を考 慮しつつ,さり気なく情報提供を行う といった行動戦略の研究を行っている.

4.おわりに

 本稿では,ヒューマンセントリック コンピューティングに向けた取り組み

として,ロケーションアウェアサービ ス基盤技術,自然なインタフェース技 術について紹介した.これらの技術に よって,IT システムが人の生活に自 然な形で入り込むことで,IT サービ スの利用に慣れていない人に対しても サービスを提供しやすくし,生活をサ ポートすることが可能となると考えて おり,今後も実用化に向けた開発を進 める予定である.

(原稿受付 2013 年 1 月 21 日)

〔植木美和 (株)富士通研究所〕

( 1 )ロケーションアウェアサービス基盤技術「い●文 献 まだけ・ここだけ・あなただけ」のサービ スをスマートデバイスに提供,http://jp.

f u j i t s u . c o m / j o u r n a l / s t r e n g t h / technologies/201210.html, (2012).

( 2 )神田真司・ほか,“IT とロボット技術の融 合を目指す富士通の取り組み”,第 30 回日 本ロボット学会学術講演会予稿集,DVD- ROM, (2012-9).

業務サービス

検索サービス 位置情報 サービス

乗換案内 サービス

コミュニティ サービス

健康サービス 動画サービス チケット発券

サービス GPS

RFID 温度

図1 ヒューマンセントリックコンピューティングの狙い アプリ切り替え

サービス実行

出口 端末 クラウド

入口 移動

展示会場 Wifi,慣性航法 センサデータNFC

ハイブリッド 位置センシング

ロケーションアウェアサービス基盤 サービス配信

場所判定 イベント

図2 ロケーションアウェアサービス基盤

図3 子ぐま型ソーシャルロボット

─ 50 ─

日本機械学会誌 2013. 4 Vol. 116 No.1133 222

参照

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