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基礎化学 ( 問題 ) 光速 c = m/s, プランク定数 h = J s, 電気素量 e = C 電子の質量 m e = kg, 真空中の誘電率 ε 0 = C 2 s 2 (kg

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Academic year: 2021

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基礎化学(問題)

光速 𝑐 = 3.0 × 108 m/s ,プランク定数 ℎ = 6.626 × 10−34 J ∙ s ,電気素量 𝑒 = 1.602 × 10−19 C 電子の質量 𝑚𝑒= 9.109 × 10−31 kg ,真空中の誘電率 𝜀 0= 8.854 × 10−12C2∙ s2⁄(kg ∙ m3) とする。 ◎物理化学分野(基本問題) 01. 速度 𝑣 [m/s]で動く質量 𝑚 [kg]の物体の持つ運動エネルギー 𝐾 を求めよ。単位もかけ。 02. 速度 7 km/s で運動する物体の運動エネルギーが 1.47 × 109 J のとき物体の質量 𝑚 を求めよ。 03. 光の速さを 𝑐 [m/s],波長を 𝜆 [nm],波数を 𝜈̃ [/cm] としたとき、振動数 𝜈 [Hz] を二通りで表せ。 04. 光速を 𝑐 として、光のエネルギー 𝐸 を波数 𝜈̃ ,波長 𝜆 を用いて二通りで表せ。 05. 波長が 200 nm の光がある。 (1) 光の振動数 𝜈 と波数 𝜈̃ を求めよ。 (2) 光の持つエネルギー𝐸を求めよ。 06. 10 V の電位差で 1 C の電荷が加速されたときに電荷が持つエネルギーを求めよ。 (1) 1 eV を[J]に単位変化せよ。ただし、電気素量 𝑒 = 1.602 × 10−19 C とする。 (2) 1 eV を[kJ/mol]に単位変化せよ。ただし、アボガドロ数 𝑁𝐴= 6.02 × 1023 /mol とする。 07. 5 eV のエネルギーをもつ荷電粒子と波長が 200 nm の光の持つエネルギーはどちらが大きいか。 基底状態の水素原子から電子を取り去るのに必要なエネルギーは 13.6 eV である。 水分子 1 個を 1 K 上昇させるのに必要なエネルギーと比べよ。ただし、1 cal = 4.184 J である。 08. 水素原子において電子(𝑛 = 1)のまわる円軌道半径 𝑎0 (これをボーア半径と呼ぶ)を求めよ。 09. 水素原子の電子のエネルギー𝐸 (𝑛 = 1)を求めよ。 10. Li2+の電子が 𝑛 = 3 から 𝑛 = 2 の準位に遷移したときに放出される光のエネルギーと波長を求めよ。 11. Li 原子の 2s 軌道にある電子がもつエネルギーを求めよ。 ただし、2s 電子に対して 1s 電子 1 個が遮蔽に寄与する遮蔽定数は 𝜎 = 0.85 である。 12. 下の表はそれぞれの原子における電子配列を表したものである。表を完成させよ。 K 殻 L 殻 M 殻 N 殻 1s 2s 2p 3s 3p 3d 4s 4p 4d 4f 10Ne 2 2 6 11Na 2 2 6 12Mg 2 2 6 13Al 2 2 6 14Si 2 2 6 15P 2 2 6 16S 2 2 6 17Cl 2 2 6 18Ar 2 2 6 19K 2 2 6 20Ca 2 2 6 21Sc 2 2 6 22Ti 2 2 6 23V 2 2 6 24Cr 2 2 6

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2 25Mn 2 2 6 26Fe 2 2 6 27Co 2 2 6 28Ni 2 2 6 29Cu 2 2 6 30Zn 2 2 6 13. 質量 50 kg の人が速さ 2 m/s で走っているときのド・ブロイ波長 𝜆 を求めよ。 14. 運動エネルギー 𝐾 = 31 eV の電子線のド・ブロイ波長 𝜆 を求めよ。 15. 水素原子の基底状態にある電子のエネルギーは 13.6 eV である。 (1) この電子の運動量 𝑝 を求め、ド・ブロイ波長 𝜆 を計算せよ。 (2) ボーア半径から基底状態にある電子の軌道の円周の長さ ℓ を計算せよ。 16. 酸素分子 O2について、次の問いに答えよ。 (1) 酸素原子 O の最外殻電子数を答えよ。 (2) 右の分子軌道ダイアグラムを完成させよ。 ただし、2p 軌道のみを抜き出している。 (3) 酸素分子 O2の結合次数を求めよ。 17. 次の原子の混成状態を推定し、答えよ。 (1) *CH 3-CH=CH2 ;*印の炭素 C (2) アンモニア NH3 ; 窒素原子 N (3) フラーレン C60(右図)中の炭素 C 18. Naと Clが無限遠から平衡核間距離 𝑟 𝑒= 0.276 nm まで近づくときの ポテンシャルエネルギーの変化 𝛥𝑈 を求めよ。 19. NaCl の格子エネルギーを求めよ。 ・Na(s) :昇華熱 108.4 kJ mol−1 ・Na(g) :イオン化エネルギー 5.14 eV ・Cl2(g) :解離エネルギー 241.8 kJ mol−1 ・Cl(g) :電子親和力

3.61 eV ・NaCl(s) :生成エネルギー

411.1 kJ mol−1 20. Cl におけるポーリングの電気陰性度 𝜒𝐶𝑙 を求めよ。 (Δ𝜒)2= (𝜒 𝐴− 𝜒𝐵)2= 𝐸𝐴𝐵− (𝐸𝐴𝐴+ 𝐸𝐵𝐵) 2 ・ H2 の結合エネルギー :4.49 eV ・Cl2の結合エネルギー :2.48 eV ・HCl の結合エネルギー :4.44 eV ・H の電気陰性度 :𝜒𝐻= 2.1 21. ポーリングのイオン結合度の式を用いて、HCl のイオン結合度 𝐼𝐻𝐶𝑙 を求めよ。 ただし、𝜒𝐻= 2.1 , 𝜒𝐶𝑙= 3.0 である。 22. HCl 分子の双極子モーメント 𝜇 = 1.03 D ,原子間距離 ℓ = 0.13 nm である。 HCl 分子のイオン結合度 𝐼𝐻𝐶𝑙 を求めよ。ただし、1 D = 3.336 × 10−30 C ∙ m とする。 ◎物理化学分野(応用記述問題) 23. 100W のナトリウムランプ(𝜆 = 589 nm)は全ての方向に一様にエネルギーを放出する。 1 秒間にランプから放出される光子数 𝑁 を有効数字 3 桁で求めよ。 24. 𝛼 線( He2+ 2 4 )を Au 79 158 原子核 に対し、まっすぐ照射したとき、𝛼 線粒子は Au 原子核の中心から

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3 どれくらいの距離まで近づくか。ただし、 He2+ 2 4 の初速度𝑣 0= 2.0 × 107 m/s であったとし, He2+ 2 4 の質量 𝑚 = 6.6 × 10−27 kg ,電気素量 𝑒 = 1.6 × 10−19 C を用いてもよい。 25. 高温の He+ イオンから放出される光のうち、あるスペクトル系列の最小波長は 91.2 nm であった。 電子がどの電子殻に遷移したときのスペクトル系列か答えよ。 26. (1) 斥力とは何か、述べよ。 (2) 内側にある電子によって、外側にある電子のエネルギーが高くなるのはなぜか。 “斥力”という語句を用いて説明せよ。 27. 水分子 H2O の形状を電子雲の重なりを模式的に書いた図とともに説明せよ。 28. 原子あるいはイオンの全エネルギーが、各電子のエネルギーの合計で表されるとして、 Li の 第 1 及び第 2 イオン化ポテンシャル[eV]を求めよ。ただし、1s 電子 1 個が他の 1s 電子, および 2s 電子 1 個に対して遮蔽に寄与する遮蔽定数は,それぞれ 𝜎1= 0.30, 𝜎2= 0.85 である。 ◎無機化学分野(基本問題) 原子量 : H = 1.0 , C = 12 , N = 14 , O = 16 , Na = 23 , Cl = 35.5 , K = 39 , Mn = 55 とする。 31. KMnO4 1.58 g の物質量 𝑛 と、これを純水に溶かして 250 cm3 に希釈した溶液の濃度 𝐶 を求めよ。 32. 28 𝑤𝑡% 濃 NH3 𝑎𝑞 ( 17g/mol )の密度が 0.90 g/cm3 であるとき、4 M NH3 𝑎𝑞 1.0 L を調製するのに、 必要な濃 NH3 𝑎𝑞 の体積 𝑉 を求めよ。 33. 質量パーセント濃度 37%の濃 HCl 𝑎𝑞 (密度 𝑑 = 1.19 g/cm3) を希釈して、0.1 M HCl 𝑎𝑞 1.0 L を 作るときに必要な濃 HCl 𝑎𝑞 の体積 𝑉 を求めよ。 34. C2H5OH 10.0 g と純水 90.0 g を混合した溶液中の C2H5OH のモル分率 𝑥 およびモル濃度 𝐶 を求めよ。 ただし、混合液の密度は 0.98 g/cm3 である。 35. 次の各反応式における物質が、酸・塩基の、どちらの働きをしているか答えよ。 (1) CO32− + H2O ⇄ HCO3−+ OH− (2) NH3 + H2S ⇄ NH4+ + HS− (3) [: SnCl3]− + (CO)5MnCl ⇄ (CO)5Mn − SnCl3 + Cl− 36. (1) 250 mℓ 中に Na2SO4を6.0 μmol 含む溶液がある。Na の含有量を百万分率で求めよ。 (2) 次のイオンを 100 ppm 含む溶液をそれぞれ 1.0 L ずつ調整するのに必要な NaCl の質量を求めよ。 (a) Na+ (b) Cl− (3) KClO3を 500 ppm 含む溶液 1.0 L に含まれる K+ の質量 𝑚 [kg]をもとめよ。

37. Ca(NO3)2を 0.10 mol, HCl を 0.20 mol, CaCl2を 0.30 mol だけ水に溶かして、1L とした。 溶液中に存在する各イオン濃度を求めよ。また、この溶液が電気的中性であることを示せ。 38. 化学物質 A,B が反応し、C,D が生成する反応 A + B ⇄ C + D がある。

反応物 A,B の初濃度は 0.20 mol/L, 0.50 mol/L で反応の平衡定数が 0.30 のとき、 平衡時の反応物 A,B と生成物 C,D の濃度𝐶A~𝐶Dをそれぞれ求めよ。 39. pH = 3.00 の強酸 2.0ml と pH = 10.00 の強塩基 3.0ml の混合液の pH を求めよ。 40. 1.00 × 10−8 mol/L の HCl𝑎𝑞 の pH を求めよ。 41. 25℃,0.100 M の溶液中に CH3COOH は 1.34 % 解離することが確認されたとき、 CH3COOH の酸解離定数 𝐾𝑎 を求めよ。 42. 0.0100 mol/L の CH3COOH𝑎𝑞 の電離度𝛼と pH を求めよ。ただし、酸解離指数p𝐾𝑎= 4.76 である。 43. 0.055 mol/L の NH3𝑎𝑞 の pH を求めよ。ただし、塩基解離指数p𝐾𝑏= 4.76 である。 44. 0.10 mol/L の CH3COOK𝑎𝑞 の pH を求めよ。ただし、酸解離指数p𝐾𝑎= 4.76 である。

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4 (1) HCl𝑎𝑞 を 49.9 ml 加えた時の pH を求めよ。 (2) HCl𝑎𝑞 を 50.1 ml 加えた時の pH を求めよ。

46. 0.10 mol/L の CH3COOH𝑎𝑞 50ml を、0.10 mol/L NaOHaq で中和滴定した。

滴定前の pH と当量点の pH をそれぞれ求めよ。ただし、酸解離指数 p𝐾𝑎= 4.76 である。 なお、強塩基による弱酸の滴定で当量点の pH は、 pH =1 2(p𝐾𝑎+ log10 𝐶HA𝑉HA 𝑉HA+ 𝑉OH + p𝐾𝑤) 47. 0.020 mol/L の H3PO4𝑎𝑞 の pH を求めよ。 ただし、H3PO4の第一解離定数 𝐾𝑎 = 7.52 × 10−3 mol/L は第二解離定数より大きい。

48. 0.020 mol/L の CH3COOH𝑎𝑞 50cm3と 0.200 mol/L の CH3COONa𝑎𝑞 30cm3を混合し調整した 緩衝溶液の pH を求めよ。また、この溶液に 0.10 mol/L の NaOH𝑎𝑞を 2.0cm3加えた時の pH を 求めよ。ただし、酸解離指数 p𝐾𝑎= 4.75 である。 49. PbF2は 1L 中に 0.736 g 溶解する。PbF2の溶解度積 𝐾𝑠𝑝を求めよ。 50. 純水中および Na2SO4𝑎𝑞(1.0 × 10−2 mol/L)中の BaSO4の溶解度 𝑆, 𝑆

をそれぞれ求めよ。 ただし、𝐾𝑠𝑝(BaSO4) = 1.08 × 10−10(mol L⁄ )2 である。 51. 金属イオンM2+は 中性配位子 L と 1:1 錯体を生成し、生成定数 𝐾 𝛿= 1.0 × 10−3 mol/L である。 同体積の 0.10 mol/L のM2+水溶液と 0.20 mol/L の L 水溶液を混合したとき、 金属イオンの平衡濃度を求めよ。 52. 次の各問に答えよ。 (1) 二クロム酸カリウム K2Cr2O7の各原子の酸化数を求めよ。 (2) Fe2+ の水溶液に Cl 2 を通じると、Fe3+ と Cl− が生じる。この反応の化学反応式をかけ。 (3) 酸素と水が反応して水酸化物が生じる化学反応式を書き、酸化反応か還元反応か示せ。 53. ボルタ電池 (Zn|H2SO4𝑎𝑞|H2(Cu)) の起電力を求めよ。 ただし、Zn2++ 2e→ Zn ; 𝐸= −0.762 V , 2H++ 2e→ H 2 ; 𝐸∘= 0.00 V である。 ◎無機化学分野(応用記述問題) 54. 塩化アンモニウム水溶液が弱酸性を示す理由を説明せよ。 55. ある一価の弱酸 2.0 g を水に溶かして作った 50 mL 水溶液の pH は 2.5 であった。 この水溶液 10 mL を中和するのに、0.10 mol L⁄ の NaOH𝑎𝑞 を 66.5 mL 要した。 弱酸のモル質量を求めよ。また、この中和滴定での当量点での pH を求めよ。 56. H2S の第一段階と第二段階の電離定数はそれぞれ、𝐾1= 1.0 × 10−7 mol/L , 𝐾2= 1.0 × 10−14 mol/L (1) 0.10 mol/L の H2S 水溶液を pH = 2 および pH = 8 にした時の[S2−]を求めよ。 (2) Cu2+, Zn2+, Fe2+がそれぞれ 0.10 mol/L ずつ含まれる水溶液に、pH を一定に保ったまま H 2S を 十分に通じる。pH = 2 に保った場合と、pH = 8 に保った場合に生じる沈殿の化学式を答えよ。 ただし、pH によらず H2S の水に対する溶解度は 0.10 mol/L とし、溶解度積の値はそれぞれ、 𝐾𝑠𝑝(CuS) = 6.5 × 10−30, 𝐾𝑠𝑝(ZnS) = 2.2 × 10−18, 𝐾𝑠𝑝(FeS) = 2.5 × 10−9 である。 57. (1) 緩衝溶液は pH を一定に保つ働きをもつ。その理由を記せ。 (2) 0.300 mol/L の酢酸水溶液 60.0 ml と 0.300 mol/L の酢酸ナトリウム水溶液 40.0 ml を 混合して作成した緩衝溶液に 1.00 mol/L の NaOH𝑎𝑞を 10.0 ml 加えた時の pH を求めよ。 ただし、酢酸の酸解離定数 𝐾𝑎= 2.0 × 10−5とする。

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◎解答:物理化学分野(基本問題)

問 01 (1) 速度 𝑣 [m/s]で動く質量 𝑚 [kg]の物体の持つ運動エネルギー 𝐾 を求めよ。単位もかけ。 (2) 速度 7 km/s で運動する物体の運動エネルギーが 1.47 × 109 J のとき物体の質量 𝑚 を求めよ。 (1) 運動エネルギーの式は次のとおりである。 𝐾 =1 2𝑚𝑣 2 単位は J[ジュール] = kg・m/s (2) (1)より、次式で計算される。 𝑚 =2𝐾 𝑣2 = 2 × (1.47 × 109 J) (7.0 × 103 m/s)2 = 60 kg 問 02 光の速さを 𝑐 [m/s], 波長を 𝜆 [nm], 波数を 𝜈̃ [/cm] としたとき、振動数 𝜈 [Hz] を二通りで表せ。 光速とは 1s あたりに光が進む距離、波長とは波が 1 周期の間に 進む距離、波数とは単位長さあたりに含まれる波の個数、振動数と は 1s あたりに波が振動する回数、である。 これを言い換えると、波数とは単位長に何波長分の波が含まれる か、振動数とは光が 1s に進む間に何個の波をつくるか、となる。 それぞれ光速 𝑐 [m/s]に単位を合わせると、次のようになる。 光速 𝑐 [m/s], 波長 𝜆 × 10−9 [m], 波数 𝜈̃ × 102 [/m], 振動数 𝜈 [/s] ここで、これらの関係式を求めると、(単位も両辺で等しいことを確認!!) 𝑐 = 𝜈𝜆 × 10−9 ⋯ ① , 𝜈̃ × 102= 1 𝜆 × 10−9 ⋯ ② 従って、①式より、 𝜈 = 𝑐 𝜆 × 10−9= 𝑐 × 109 𝜆 ⋯ ③ ②式を③式に代入して、 𝜈 = 𝑐𝜈̃ × 102 問 03 光速を 𝑐 として、光のエネルギー 𝐸 を振動数 𝜈 の代わりに、波数 𝜈̃ あるいは波長 𝜆 を用いて表せ。 問 02 より(単位が書かれてないときは、文字内に接頭辞を含まない単位が省略されている)、 ν =𝑐 𝜆= 𝑐𝜈̃ であるから、光のエネルギーの式(2.4) 𝐸 = ℎ𝜈 は、次のように書き換えられる。 𝐸 =ℎ𝑐 𝜆 = ℎ𝑐𝜈̃ 問 04 波長が 200 nm の光がある。 (1) 光の振動数 𝜈 と波数 𝜈̃ を求めよ。 (2) 光の持つエネルギー 𝐸 を求めよ。 (1) 光の速さ 𝑐 と波長 𝜆 と振動数 𝜈 の関係式 𝑐 = 𝜈𝜆 より、 𝜈 =𝑐 𝜆= 3.0 × 108 m/s 200 × 10−9 m= 1.5 × 10 15 Hz 光の波長 𝜆 と波数 𝜈̃ の関係式 𝜈̃ = 1 𝜆⁄ より、

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6 𝜈̃ = 1 200 × 10−9 m× 10 −2= 5.00 × 104 cm−1 (2) 問 03 より、 𝐸 =ℎ𝑐 𝜆 = (6.62 × 10−34 J ∙ s) × (3.0 × 108 m/s) 200 × 10−9 m = 9.94 × 10 −19 J 問 05 10 V の電位差で 1 C の電荷が加速されたときに電荷が持つエネルギーを求めよ。 (3.5)式より、 𝑊 = 𝑞𝑉 = 10V × 1C = 10 J 問 06 次の問いに答えよ。 (1) 1 eV を [ J ] に単位変化せよ。ただし、電気素量 𝑒 = 1.602 × 10−19 C とする。 (2) 1 eV を [kJ mol⁄ ] に単位変化せよ。ただし、アボガドロ数 𝑁𝐴= 6.02 × 1023 /mol とする。 (1) 電子の電気量 𝑞𝑒= 𝑒 = 1.602 × 10−19 C であるから、(3.5)式より、 𝑊 = 𝑒𝑉 = (1.602 × 10−19 C) × 1V = 1.602 × 10−19 J (2) (1)では、電子一個当たりの運動エネルギーを求めた。これを、電子 1mol 集まった時の全体の運動エネルギ ーに拡張すればよいので、(1)で求めた値にアボガドロ数をかけてあげればよい。 𝑊 = (1.602 × 10−22 kJ) × (6.02 × 1023 /mol) = 96.5 kJ/mol 問 07 次の問いに答えよ。 (1) 5 eV のエネルギーをもつ荷電粒子と波長が 200 nm の光の持つエネルギーはどちらが大きいか。 (2) 基底状態の水素原子から電子を取り去るのに必要なエネルギーは 13.6 eV である。 水分子 1 個を 1 ℃ 上昇させるのに必要なエネルギーと比べよ。ただし、1 cal = 4.184 J である。 (1) 問 06(1)より、荷電粒子のエネルギー 𝐸1 は、 𝐸1= 5 eV = 5 × (1.602 × 10−19 J) = 8.01 × 10−19 J 問 03 より、波長 200nm の光のもつエネルギー 𝐸2 は、 𝐸2= ℎ𝑐 𝜆 = (6.62 × 10−34 J ∙ s) × (3.0 × 108 m/s) 200 × 10−9 m = 9.94 × 10 −19 J 従って、波長が 200nm の光のほうが、エネルギーが高い。 (2) 問 06(1)より、基底状態の水素原子から電子を取り去るのに必要なエネルギー 𝐸1 は、 𝐸1= 13.6 × (1.602 × 10−19 J) = 2.18 × 10−18 J さて、水分子 1 個について直接計算することはできないので、水分子がアボガドロ数 𝑁𝐴= 6.02 × 1023 個集 まったときを考えよう。このとき物質量は 1 mol で、水全体の質量は分子量に等しく 18 g である。 ここで 1 cal とは、水 1 g を 1 ℃ あげるのに必要なエネルギーのことであるから、 1 mol = 18 g の水を 1 ℃ 上昇させるには、18 cal の熱量(エネルギー)が必要である。改めて、1 mol あたりアボガドロ数𝑁𝐴= 6.02 × 1023 個の水分子が含まれることから、水分子 1 個を 1 ℃ あげるのに必要なエネルギー 𝐸 2 は、 𝐸2= (18 g/mol) × (4.184 J/g ∙ K) × 1K 6.02 × 1023 /mol = 1.25 × 10 −22 J 問 08 水素原子において電子 (𝑛 = 1) のまわる円軌道半径(これをボーア半径と呼ぶ)を求めよ。 (5.7)式において、水素の原子番号 𝑍 = 1 であるから、ボーア半径 𝑎0 は、 𝑎0= 𝑛2∙ 𝜀0ℎ2 𝜋𝑍𝑒2𝑚= 1 2(8.8 × 10 −12 s2∙ C2/kg ∙ m3) × (6.62 × 10−34 J ∙ s)2 3.14 × 1 × (1.60 × 10−19 C)2× (9.1 × 10−31 kg) = 0.053 nm

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7 問 09 水素原子の電子のエネルギー 𝐸 (𝑛 = 1) を求めよ。 (5.8)式において、水素の原子番号 𝑍 = 1 であるから、電子のエネルギー 𝐸 は、 𝐸 = −𝑍 2 𝑛2 𝑒4𝑚 8𝜀02ℎ2 = −1 2 12 (1.602 × 10−19 C)4× (9.109 × 10−31 kg) 8 × (8.854 × 10−12 s2C2 kg∙ m3) 2 × (6.626 × 10−34 J ∙ s)2 = −2.179 × 10−18 J これを、単位を[eV]に変換すると、 𝐸 =−2.179 × 10 −18 J 1.602 × 10−19 J = −13.6 eV ⇒ (暗記‼) 𝑒4𝑚 8𝜀02ℎ2 = 13.6 eV 問 10 Li2+ の電子が 𝑛 = 3 から 𝑛 = 2 の準位に遷移したときに放出される光のエネルギーと波長を求めよ。 電子が遷移するときに電子が失うエネルギー∆𝐸は、 ∆𝐸 = − (3 2 32− 32 22) 𝑒4𝑚 8𝜀02ℎ2 = 9 ∙ 5 36× (13.6 eV) = 17 eV = 2.723 × 10 −18 J 電子が失ったエネルギーだけ光として放たれるので、Δ𝐸 = ℎ𝜈 ⇔ ∆𝐸 = ℎ𝑐 𝜆⁄ より、 𝜆 = ℎ𝑐 Δ𝐸= (6.626 × 10−19 J ∙ s) × (3.0 × 108 m/s) 2.723 × 10−18 J = 7.3 × 10 −8 m 問 11 Li 原子の 2s 軌道にある電子がもつエネルギーを求めよ。 ただし、2s 電子に対して 1s 電子 1 個が遮蔽に寄与する遮蔽定数は 𝜎 = 0.85 である。 Li 原子の 2s 軌道の電子は1つのみで、2s 軌道上の電子は 1s 軌道の電子 2 つからのみ遮蔽効果を受ける。Li は 原子番号 𝑍 = 3 であり、この 2s 軌道の電子が感じる原子核の有効核電荷 𝑍eff は、次式で求められる。 𝑍eff= 𝑍 − Σ𝜎𝑖= 3 − (0.85 + 0.85) = 1.3 2s 軌道の電子の主量子数 𝑛 = 2 であり、問 09 を利用することで、 𝐸 = −(𝑍 − ∑ 𝜎𝑖) 2 𝑛2 𝑒4𝑚 8𝜀02ℎ2 = −(1.3) 2 22 × (13.6 eV) = −5.75 eV 問 12 下の表はそれぞれの原子における電子配列を表したものである。表を完成させよ。 M 殻には Na から電子が入り始める。あとは、電子の配列方法に従って、表を埋めていく。ただし、電子軌道の エネルギー準位が、3s<3p<4s<3d<4p であることに注意。なお、赤字で示した部分は電子配列の方法に従わ ない例外であるから、要暗記。 K 殻 L 殻 M 殻 N 殻 1s 2s 2p 3s 3p 3d 4s 4p 4d 4f 10Ne 2 2 6 11Na 2 2 6 1 12Mg 2 2 6 2 13Al 2 2 6 2 1 14Si 2 2 6 2 2 15P 2 2 6 2 3 16S 2 2 6 2 4 17Cl 2 2 6 2 5 18Ar 2 2 6 2 6 19K 2 2 6 2 6 1 20Ca 2 2 6 2 6 2

(8)

8 21Sc 2 2 6 2 6 1 2 22Ti 2 2 6 2 6 2 2 23V 2 2 6 2 6 3 2 24Cr 2 2 6 2 6 5 1 25Mn 2 2 6 2 6 5 2 26Fe 2 2 6 2 6 6 2 27Co 2 2 6 2 6 7 2 28Ni 2 2 6 2 6 8 2 29Cu 2 2 6 2 6 10 1 30Zn 2 2 6 2 6 10 2 問 13 質量 50 kg の人が速さ 2 m/s で走っているときのド・ブロイ波長 𝜆 を求めよ。 (7.3)式より、質量を𝑚, 速さを 𝑣 としたとき、次式でド・ブロイ波長が求められる。 𝜆 = ℎ 𝑚𝑣= (6.626 × 10−19 J ∙ s) (50 kg) × (2 m/s) = 6.63 × 10 −21 m 問 14 運動エネルギー 𝐾 = 31 eV の電子線のド・ブロイ波長 𝜆 を求めよ。 (7.3)式より、電子の質量を 𝑚 とすると、次式でド・ブロイ波長が求められる。 𝜆 = ℎ √2𝑚𝐾= (6.626 × 10−19 J ∙ s) √2 × (9.109 × 10−31 kg) × (31 × 1.602 × 10−19 J)= 2.20 × 10 −10 m 問 15 水素原子の基底状態にある電子のエネルギーは 13.6 eV である。 (1) この電子の運動量 𝑝 を求め、ド・ブロイ波長 𝜆 を計算せよ。 (2) ボーア半径から基底状態にある電子の軌道の演習の長さ ℓ を計算せよ。 (1) (7.3)式より、運動量 𝑝 は次式で計算される。 𝑝 = √2𝑚𝐾 = √2 × (9.109 × 10−31 kg) × (13.6 × 1.602 × 10−19 J) = 1.992 × 10−24 kg ∙ m/s 従って、ド・ブロイ波長は次式で計算される。 𝜆 = ℎ 𝑝 = (6.626 × 10−19 J ∙ s) (1.992 × 10−24 kg ∙ m/s)= 3.33 × 10 −10 m (2) 問 08 より、ボーア半径 𝑎0 は、 𝑎0= 𝑛2∙ 𝜀0ℎ2 𝜋𝑍𝑒2𝑚= 1 2(8.8 × 10 −12 s2∙ C2/kg ∙ m3) × (6.62 × 10−34 J ∙ s)2 3.14 × 1 × (1.60 × 10−19 C)2× (9.1 × 10−31 kg) = 0.0529 nm 従って、円周の長さを ℓ とおけば、次式で表される。 ℓ = 2𝜋𝑎0= 2 × 3.142 × (5.29 × 10−11 m) = 3.32 × 10−10 m これは、若干のずれはあるが、水素原子中の電子のド・ブロイ波長のほぼ整数倍にあるとみなせる。 問 16 酸素分子 O2について、次の問いに答えよ。 (1) 酸素原子 O の最外殻電子数を答えよ。 (2) 右の分子軌道ダイアグラムを完成させよ。 ただし、2p 軌道のみを抜き出している。 (3) 酸素分子 O2の結合次数を求めよ。 (1) 酸素原子 O の最外殻電子数は 6 個である。 (2) 酸素原子における電子軌道は、(1s)2(2s)2(2p)4 であるから、2p 軌道には4つの電子が入る。

(9)

9 共有結合により分子になるときには、電子はパウリの排 他原理に従ってエネルギー順位の低い軌道から優先的 に、かつ、フントの規則によって出来るだけ別々の軌道 に再配置される。解答は右図の通り。 (3) 1s 軌道,2s 軌道による結合性軌道・反結合性軌道は、 すべて埋まっており、結合には関与しない。 2p 軌道による結合性電子数は 6 個,反結合性電子数は2個であるから、 結合次数 B. O. =(6 − 2) 2 = 2 問 17 次の原子の混成状態を推定し、答えよ。 (1) *CH 3-CH=CH2 ;*印の炭素 C (2) アンモニア NH3 ; 窒素原子 N (3) フラーレン C60(右図)中の炭素 C (1) 結合は、メタン CH4と同様に等価な4つの軌道によってなされている。 従って、*印の炭素 C の混成状態は、sp3混成である。 (2) 窒素原子 N の電子配置は、(1s)2(2s)2(2p)3 であり、最外殻電子数は 5 つである。 sp3混成により4つの等価な軌道をつくっても、そのうちの1つは非共有電子対により埋まってしまい、 実際に共有結合に使用できる腕は3本となる。これ以外にアンモニア NH3の形状を満たすものはない。 従って、アンモニア NH4の窒素原子 N の混成状態は、sp3混成と推定することができる。 (3) フラーレン C60の図を見ると、1つの炭素原子 C からは腕が3本伸びていることがわかる。 従って、炭素 C の混成状態は、3つの等価な軌道をつくる sp2混成であると推定できる。 問 18 Na+と Clが無限遠から平衡核間距離 𝑟 𝑒= 0.276 nm まで近づくときの ポテンシャルエネルギーの変化 𝛥𝑈 を求めよ。 式(11.3)より、𝑟 = ∞ → 0.276 nm に変化したときのクーロンポテンシャルの変化を求めればよいので、 Δ𝑈 = {− 𝑒 2 4𝜋𝜀0∙ (0.276 × 10−9 m) } − {− 𝑒 2 4𝜋𝜀0⋅ ∞ } = −8.359 × 10−19 J = −5.2 eV 問 19 次の値を用いて、NaCl の格子エネルギーを求めよ。 ・Na(s) :昇華熱 108.4 kJ mol−1 ・Na(g) :イオン化エネルギー 5.14 eV ・Cl2(g) :解離エネルギー 241.8 kJ mol−1 ・Cl(g) :電子親和力

3.61 eV ・NaCl(s) :生成エネルギー

411.1 kJ mol−1 ヘスの法則に従って、生成エネルギーに関する方程式をたてる。 ただし、格子エネルギー 𝑄 だけが、系(イオン)から放出される向きを正としていることに注意する。 {昇華(Na)} + {𝐼𝐸(Na)} +1 2{解離(Cl2)} + {𝐸𝐴(Cl2)} + {−𝑄} = {生成(NaCl)} ここで値を代入して、問 06(2)の 1 eV = 96.5 kJ/mol を利用して単位を揃えながら解く。 108.4 kJ mol−1 96.5 eV kJ⁄ mol−1+ 5.14 eV + 1 2 241.8 kJ mol−1 96.5 eV kJ⁄ mol−1− 3.61 eV + (−𝑄) = − 411.1 kJ mol−1 96.5 eV kJ⁄ mol−1 ⇔ 3.906 + (−𝑄) = −4.260 ⇔ 𝑄 = 8.17 eV

(10)

10 問 20 下のデータと式を用いて、Cl におけるポーリングの電気陰性度 𝜒𝐶𝑙 を求めよ。 (Δ𝜒)2= (𝜒 𝐴− 𝜒𝐵)2= 𝐸𝐴𝐵− (𝐸𝐴𝐴+ 𝐸𝐵𝐵) 2 ・ H2 の結合エネルギー :4.49 eV ・Cl2の結合エネルギー :2.48 eV ・HCl の結合エネルギー :4.44 eV ・H の電気陰性度 :𝜒𝐻= 2.1 与式より、 (2.1 − 𝜒𝐶𝑙)2= 4.44 − (4.49 + 2.48) 2 ⇔ (2.1 − 𝜒𝐶𝑙) 2= 0.995 ⇔ 𝜒 𝐶𝑙 = 3.1 問 21 ポーリングのイオン結合度の式 𝐼 = 1 − exp[−0.25(Δ𝜒)2] を用いて、 HCl 分子の結合イオン性 𝐼𝐻𝐶𝑙 を求めよ。ただし、𝜒𝐻 = 2.1 , 𝜒𝐶𝑙= 3.0 である。 電気陰性度の差Δ𝜒 = 𝜒𝐶𝑙− 𝜒𝐻= 0.9 より、 𝐼 = 1 − exp[−0.25(0.9)2] = 0.1833 ⇔ 𝐼 = 18.3 % 問 22 HCl 分子の双極子モーメント 𝜇 = 1.03 D ,原子間距離 ℓ = 0.13 nm である。 HCl 分子の結合イオン性 𝐼𝐻𝐶𝑙 を求めよ。ただし、1 D = 3.336 × 10−30 C ∙ m とする。 1 D = 3.336 × 10−30 C ∙ m より、 𝐼 = 𝜇 𝑒𝑙= 1.03 × (3.336 × 10−30 C ∙ m) (1.602 × 10−19 C) × (0.13 × 10−9 m)= 0.1650 ⇔ 𝐼 = 16.5 %

◎解答:物理化学分野(応用記述問題)

23. 100W のナトリウムランプ(𝜆 = 589 nm)は全ての方向に一様にエネルギーを放出する。 1 秒間にランプから放出される光子数 𝑁 を有効数字 3 桁で求めよ。 光子 1 個のエネルギー 𝐸 =ℎ𝑐 𝜆 = (6.626 × 10−34 J ∙ s) × (3.0 × 108 m s⁄ ) 589 × 10−9 m = 3.375 × 10 −19 J より、 1 秒間に放出される光子数 𝑁 = 100 W 3.375 × 10−19 J= 2.96 × 10 20 s 24. 𝛼 線( He2+ 2 4 )を Au 79 158 原子核 に対し、まっすぐ照射したとき、𝛼 線粒子は Au 原子核の中心から どれくらいの距離まで近づくか。ただし、 He2+ 2 4 の初速度𝑣 0= 2.0 × 107 m/s であったとし, He24 2+の質量 𝑚 = 6.6 × 10−27 kg ,電気素量 𝑒 = 1.6 × 10−19 C を用いてもよい。 無限遠で与えた運動エネルギー 𝐾 が、すべてクーロンポテンシャル 𝑈 になる位置まで近づく。 𝛼 線( He2+ 2 4 )のもつ電気量 𝑞 1= 2𝑒 ,15879 Au 原子核のもつ電気量 𝑞2= 79𝑒 より、 𝐾 = 𝑈 ⇔ 1 2𝑚𝑣0 2= 𝑞1𝑞2 4𝜋𝜀0𝑟 ⇔ 𝑟 = 𝑞1𝑞2 2𝜋𝜀0𝑚𝑣02 = 158𝑒 2 2𝜋𝜀0𝑚𝑣02 = 2.8 × 10−14 m 25. 高温の He+ イオンから放出される光のうち、あるスペクトル系列の最小波長は 91.2 nm であった。 電子がどの電子殻に遷移したときのスペクトル系列か答えよ。 He+ は電子一個なので、他の電子による影響は考えなくてよく、ボーア理論が成り立つ。 原子番号 Z の原子において、主量子数 𝑛2→ 𝑛1 の遷移で放出される光の波長 𝜆 との関係は、 エネルギー𝐸 =ℎ𝑐 𝜆 = 𝑒4𝑚 8𝜀02ℎ2 (𝑍 2 𝑛12 − 𝑍 2 𝑛22 ) ⋯ (∗) で表される。

(11)

11 同一スペクトル系列内の最小波長の条件より、放出される光のエネルギーは系列内最大であり、 即ち、エネルギー準位差が最大なので、𝑛2= ∞ からの遷移を考えればよい。 𝑒4𝑚 8𝜀02ℎ2 = 13.6 [eV] = 13.6𝑒 [J] かつ、 𝜆 = 91.2 [nm] = 91.2 × 10−9 [m] より、 (∗) ⇔ ℎ𝑐 𝜆 = 13.6𝑒 × 𝑍2 𝑛12 ⇔ 𝑛1= √ 𝑍2× 13.6𝑒 × 𝜆 ℎ𝑐 = 2.0 ∴ L 殻 26. (1) 斥力とは何か、述べよ。 (2) 内側にある電子によって、外側にある電子のエネルギーが高くなるのはなぜか。 “斥力”という語句を用いて説明せよ。 チェックポイントに網掛けを付した。そこの記述ができているか確認しよう。 (1) 2 つの物体の間にはたらく相互作用のうち、反発しあう(互いを遠ざけようとする)力のこと。 (2) 内側の電子とその側の電子との間で斥力がはたらき、外側の電子と原子核との間にはたらく 引力の影響が弱まることで、クーロンポテンシャルが小さくなるため。 27. 水分子 H2O の形状を電子雲の重なりを模式的に書いた図とともに説明せよ。 チェックポイントに網掛けを付した。そこの記述ができているか確認しよう。 (解) 共有結合時に酸素原子Oは励起して、sp3混成軌道を描く。 混成軌道のうち、2 つは非共有電子対により占有され、 余った軌道にそれぞれ水素原子Hの電子雲が重なり、 結合が生じるので、水分子は折れ線の形状となる。 28. 原子あるいはイオンの全エネルギーが、各電子のエネルギーの合計で表されるとして、 Li の 第 1 及び第 2 イオン化ポテンシャル[eV]を求めよ。ただし、1s 電子 1 個が他の 1s 電子, および 2s 電子 1 個に対して遮蔽に寄与する遮蔽定数は,それぞれ 𝜎1= 0.30, 𝜎2= 0.85 である。 Li ,Li+ ,Li2+ の電子配置は、それぞれ (1s)2(2s)1 , (1s)2 , (1s)1 である。 1 つの電子が持つエネルギー 𝐸𝑖= −(𝑍 − ∑ 𝜎𝑖) 2 𝑛2 𝑒4𝑚 8𝜀02ℎ2 = −(𝑍 − ∑ 𝜎𝑖) 2 𝑛2 ∙ 13.6 [eV] 𝐸0= 2 × {−(3 − 0.30) 2 12 ∙ 13.6} + {− (3 − 0.85 × 2)2 22 ∙ 13.6} = 2 × (−99.1) + (−5.75) = −204.0 eV 𝐸+= 2 × {−(3 − 0.30) 2 12 ∙ 13.6} = 2 × (−99.1) = −198.2 eV 𝐸2+= 1 × {−3 2 12∙ 13.6} = − 32 12∙ 13.6 = −122.4 eV 従って、 第一イオン化ポテンシャル 𝐼𝐸1= 𝐸+− 𝐸0= 5.8 eV 第二イオン化ポテンシャル 𝐼𝐸2= 𝐸2+− 𝐸+= 76 eV

(12)

12

◎解答:無機化学(基本問題)

31. KMnO4 1.58 g の物質量 𝑛 と、これを純水に溶かして 250 cm3 に希釈した溶液のモル濃度 𝐶 を求めよ。 KMnO4= 158 g mol⁄ より、 物質量 𝑛 = 1.58 g 158 g mol⁄ = 1.00 × 10 −2 mol 体積 𝑉 =1000 mL/L 250 mL = 0.250 L より、 濃度 𝐶 = 1.00 × 10−2 mol 0.250 mL = 4.00 × 10 −2 mol/L 32. 28wt% 濃 NH3𝑎𝑞 (17 g/mol) の密度が 0.90 g/cm3 であるとき、4M NH3𝑎𝑞 1L を調製するのに、 必要な濃 NH3𝑎𝑞 の体積 𝑉 を求めよ。 濃NH3𝑎𝑞 の濃度を 𝐶 とすると、 𝐶 = 10𝑑𝑎 𝑀 = 10 × 0.90[g cm 3] × 28[%] 17[g mol⁄ ] = 14.8 mol L⁄ NH3の物質量の関係より、 𝑉 = 4[mol L⁄ ] × 1[L] 14.8[mol/L] = 0.27 L 33. 質量パーセント濃度 37%の濃 HCl𝑎𝑞 (密度𝑑 = 1.19g/cm3) を希釈して、0.1M HCl𝑎𝑞 1L を 作るときに必要な濃 HCl𝑎𝑞 の体積 𝑉 を求めよ。 濃 HCl𝑎𝑞 の濃度を 𝐶 とすると、 𝐶 =10𝑑𝑎 𝑀 = 10 × 1.19[g cm⁄ 3] × 37[%] 36.5[g mol⁄ ] = 12.1 mol L⁄ HCl の物質量の関係より、 𝑉 =0.10[mol L⁄ ] × 1[L] 12.1[mol/L] = 8.3 × 10 −3 L 34. C2H5OH 10.0g と純水 90.0g を混合した溶液中の C2H5OH のモル分率 𝑥 およびモル濃度 𝐶 を求めよ。 ただし、混合液の密度は 0.98 g/cm3 である。 C2H5OH = 46 g mol⁄ , H2O = 18 g mol⁄ より、 モル分率 𝑥 = 10.0 46 10.0 46 + 90.0 18 = 0.042 また、溶液の体積 𝑉 =質量𝑚 密度𝜌 = 100 g 980 g L⁄ = 0.102 L より、 濃度 𝐶 = 10.0 46 mol 0.102 L = 2.1 mol L⁄ 35. 次の各反応式における物質が、酸・塩基の、どちらの働きをしているか答えよ。 (1) CO32− + H2O ⇄ HCO3−+ OH− (2) NH3 + H2S ⇄ NH4+ + HS− (3) [: SnCl3]− + (CO) 5MnCl ⇄ (CO)5Mn − SnCl3 + Cl− (1) ブレンステッド・ローリーの酸塩基の定義に従えば、平衡の移動が、

右:H2O が H+を与え、CO3− が H+を受け取り、左:HCO3− が H+を与え、OH− が H+を受け取るので、

CO3−∶ 塩基、 H2O ∶ 酸、 HCO3−∶ 酸、 OH−∶ 塩基 (2) ブレンステッド・ローリーの酸塩基の定義に従えば、平衡の移動が、 右:H2S が H+を与え、NH3 が H+を受け取り、左:NH4+ が H+を与え、HS− が H+を受け取るので、 NH3∶ 塩基、 H2S ∶ 酸、 NH4+ ∶ 酸、 HS−∶ 塩基 (3) ルイスの酸塩基の定義に従えば、平衡の移動が、 右:

[

: SnCl3

]

− が電子対を与え、

(

CO

)

5MnCl が電子対を受け取り、 左:Cl− が電子対を与え、

(

CO

)

5Mn − SnCl3 が電子対を受け取るので、

(13)

13

[

: SnCl3

]

−∶ 塩基、

(

CO

)

5MnCl ∶ 酸、

(

CO

)

5Mn − SnCl3∶ 酸、 Cl−∶ 塩基 36. (1) 250 ml 中に Na2SO4を 6.0 μmol 含む溶液がある。Na の含有量を百万分率で求めよ。 (2) イオンを 100ppm 含む溶液をそれぞれ 1L ずつ調整するために必要な NaCl の質量を求めよ。 (a) Na+ (b) Cl− (3) KClO3を 500ppm 含む溶液 1L に含まれる K+の質量 𝑚 [kg] をもとめよ。 (1) 百万分率 𝑏 = 溶質の質量 溶媒の質量 = 2 × (6.0 × 10−6mol) × 23 g mol 1.0 g cm 3× 250mL × 10 6= 1.1 ppm

(2) Na = 23 g mol⁄ , Cl = 35.5 g mol⁄ , NaCl = 58.5 g mol⁄ より、 𝑚[g]の NaCl に含まれる Na の質量𝑚a= 23 58.5× 𝑚 , Cl の質量𝑚b= 35.5 58.5× 𝑚 (a) 𝑚𝑎 1000 g/L× 10 6= 100ppm ⇔ 𝑚 = 0.25 g (b) 𝑚𝑏 1000 g/L× 10 6= 100ppm ⇔ 𝑚 = 0.16 g

(3) K = 39 g mol⁄ , KClO3= 122.5 g mol⁄ より、加えた KClO3の質量を𝑀とすると、 𝑚 =

39 122.5× 𝑀 従って、 𝑀 1000 g/L× 10 6= 500 ppm ⇔ 𝑀 = 0.50 g なので、 𝑚 = 39 122.5× 0.50 = 0.16 g

37. Ca(NO3)2を 0.10 mol, HCl を 0.20 mol, CaCl2を 0.30 mol だけ水に溶かして、1L とした。

溶液中に存在する各イオン濃度を求めよ。また、この溶液が電気的中性であることを示せ。 全ての溶質が 1L の溶液中に完全に解離しているので、モル濃度は各イオンの物質量に等しい。

[Ca2+] = 0.10 + 0.30 = 0.40 mol L⁄ , [H+] = 0.20 mol L

[

NO3−

]

= 2 × 0.10 = 0.20 mol L

⁄ ,

[

Cl−

]

= 0.20 + 2 × 0.30 = 0.80 mol L

電気量の関係 2 × [Ca2+] + [H+] ∶ [NO

3−]

[Cl−] = 1.00 ∶ 1.00 より、電気的中性が示された。

38. 化学物質 A,B が反応し、C,D が生成する反応 A + B ⇄ C + D がある。

反応物 A,B の初濃度は 0.20 mol/L, 0.50 mol/L で反応の平衡定数が 0.30 のとき、 平衡時の反応物 A,B と生成物 C,D の濃度 𝐶A~𝐶D をそれぞれ求めよ。 電離平衡時における生成物Cの濃度を𝐶𝐶とすると、 A + B ⇌ C + D 電離前 0.20 0.50 0 0 変化量 −𝐶𝐶 −𝐶𝐶 +𝐶𝐶 +𝐶𝐶 電離平衡時 0.20 − 𝐶𝐶 0.50 − 𝐶𝐶 𝐶𝐶 𝐶𝐶 𝐾 =[C][D] [A][B]= 𝐶𝐶2 (0.20 − 𝐶𝐶)(0.50 − 𝐶𝐶) = 0.30 ⇔ 0.70𝐶𝐶2+ 0.21𝐶𝐶− 0.030 = 0 ⇔ 𝐶𝐶= 0.106 mol L⁄ 従って、𝐶𝐴= 0.09 , 𝐶𝐵= 0.39 , 𝐶𝐶= 0.11 , 𝐶𝐷= 0.11 39. pH = 3.00 の強酸 2.0ml と pH = 10.00 の強塩基 3.0ml の混合液の pH を求めよ。 水素イオン H+ の物質量𝑛 1= (10−3mol L⁄ ) × (2.0 × 10−3 L) = 2.0 × 10−6 mol 水酸化物イオンOH−の物質量𝑛 2= (10−4mol L⁄ ) × (3.0 × 10−3 L) = 3.0 × 10−7 mol 従って、混合液に含まれる水素イオンH+の濃度[H+] ={(2.0 × 10 −6) − (3.0 × 10−7) mol} 5.0 × 10−3 L = 3.4 × 10 −4mol L ゆえに、pH = − log[H+] = − log(3.4 × 10−4) = 3.5

(14)

14 40. 1.00 × 10−8 mol/L の HCl𝑎𝑞 の pH を求めよ。 水の自己解離によって生じる水素イオンH+と水酸化物イオンOHのモル濃度を 𝑥 とすると、 水のイオン積の公式より、 (1.00 × 10−8+ 𝑥)𝑥 = 1.01 × 10−14 ⇔ 𝑥 = 9.562 × 10−8mol L

よって、pH = − log[H+] = − log(1.00 × 10−8+ 9.562 × 10−8) = 6.98 41. 25℃, 0.100 M の溶液中に CH3COOH は 1.34 %解離することが確認されたとき、 CH3COOH の酸解離定数𝐾𝑎 を求めよ。 CH3COOH は弱酸なので、 𝐾𝑎= 𝑐𝛼2 1 − 𝛼= (0.100 mol L⁄ ) × (0.0134)2 1 − (0.0134) = 1.82 × 10 −5 42. 0.0100 mol/L の CH3COOH𝑎𝑞の電離度𝛼と pH を求めよ。ただし、酸解離指数p𝐾𝑎= 4.76 である。 CH3COOH は弱酸なので、 𝐾𝑎= 𝑐𝛼2 1 − 𝛼= 10 −p𝐾𝑎 となるので、 (0.0100 mol L⁄ ) × 𝛼2 1 − 𝛼 = 10 −4.76 ⇔ 0.01𝛼2+ 10−4.76𝛼 − 10−4.76= 0 ⇔ 𝛼 = 0.0408 (∵ 𝛼 ≥ 0) [H+] = √𝑐𝐾 𝑎= √0.0100 × 10−4.76= 4.169 × 10−4mol L⁄ より、 pH = − log[H+] = 3.38 43. 0.055 mol/L の NH3𝑎𝑞の pH を求めよ。ただし、塩基解離指数p𝐾𝑏 = 4.76 である。 [OH−] = √𝑐𝐾

𝑏 = √(0.055 mol L⁄ ) × 10−4.76= 9.78 × 10−4mol L⁄ より、 pOH = − log[OH−] = 3.01

従って、 PH = 14 − pOH = 10.09 44. 0.10 mol/L の CH3COOK の pH を求めよ。ただし、酸解離指数p𝐾𝑎= 4.76 である。 CH3COOK は弱酸と強塩基の塩なので、(2.7.1)式より、 pH =1 2(p𝐾𝑎+ log10𝐶𝑠+ p𝐾𝑤) = 1 2(4.76 + log(0.10) + 14) = 8.88

45. 0.10 mol/L の NaOH𝑎𝑞 50ml を、0.10 mol/L の HCl𝑎𝑞で中和滴定した。 (1) HCl𝑎𝑞を 49.9 ml 加えた時の pH を求めよ。 (2) HCl𝑎𝑞を 50.1 ml 加えた時の pH を求めよ。 水酸化物イオンOH−の物質量𝑛 0= (0.10 mol L⁄ ) × (0.050 L) = 5.0 × 10−3 mol (1) 水素イオンH+の物質量𝑛 1= (0.10 mol L⁄ ) × (0.0499 L) = 4.99 × 10−3 mol [OH−] = 𝑛0− 𝑛1 0.050 + 0.0499= 1.0 × 10−5 0.0999 = 1.0 × 10

−4mol L⁄ ⇔ pOH = − log[OH] = 4.0

従って、pH = 14 − pOH = 10.0 (2) 水素イオンH+の物質量𝑛 2= (0.10 mol L⁄ ) × (0.0501 L) = 5.01 × 10−3 mol [H+] = 𝑛2− 𝑛0 0.0501 + 0.050= 1.0 × 10−5 0.1001 = 1.0 × 10 −4 mol L⁄ ⇔ pH = 4.0

46. 0.10 mol/L の CH3COOH𝑎𝑞 50ml を、0.10 mol/L NaOH𝑎𝑞で中和滴定した。

滴定前の pH と当量点の pH をそれぞれ求めよ。ただし、酸解離指数p𝐾𝑎= 4.76 である。 なお、強塩基による弱酸の滴定で当量点の pH は、 pH =1 2(p𝐾𝑎+ log10 𝐶𝐻𝐴𝑉𝐻𝐴 𝑉𝐻𝐴+ 𝑉𝑂𝐻 + p𝐾𝑤) CH3COOH は弱酸なので、

(15)

15 滴定前の pH =1 2(p𝐾𝑎− log10𝑐) = 1 2{4.76 − log10(0.10)} = 2.9 当量点の pH =1 2(p𝐾𝑎+ log10 𝐶𝐻𝐴𝑉𝐻𝐴 𝑉𝐻𝐴+ 𝑉𝑂𝐻 + p𝐾𝑤) = 1 2{4.76 + log10( 0.10 × 0.050 2 × 0.050 ) + 14} = 8.7 47. 0.020 mol/L の H3PO4𝑎𝑞の pH を求めよ。 ただし、H3PO4の第一解離定数𝐾𝑎= 7.52 × 10−3 mol/L は第二解離定数より大きい。 式(3.2.1)より、 𝐾𝑎= 7.52 × 10−3 mol L⁄ , 𝐶𝐴= 0.020 mol L⁄ を代入すれば、 [H+]2+ 𝐾 𝑎1[H +] − 𝐾 𝑎1𝐶𝐴= 0 ⇔ [H +] = 9.07 × 10−3mol L 従って、 pH = − log10[H+] = 2.0

48. 0.020 mol/L の CH3COOH𝑎𝑞 50cm3と 0.200 mol/L の CH3COONa𝑎𝑞 30cm3を混合し調整した

緩衝溶液の pH を求めよ。また、この溶液に 0.10 mol/L の NaOH𝑎𝑞を 2.0cm3加えた時の pH を

求めよ。ただし、酸解離指数p𝐾𝑎= 4.75 である。

CH3COOH𝑎𝑞 + CH3COONa𝑎𝑞の緩衝液では、

CH3COONa が加水分解され、CH3COOH ⇄ CH3COO−+ H+の平衡はほとんど左に偏るから、

[CH3COOH] = (0.020 mol L⁄ ) × (0.050 L) 0.050 + 0.030 L = 0.0125 mol L⁄ , [CH3COO−] = (0.020 mol L⁄ ) × (0.030 L) 0.050 + 0.030 L = 0.0075 mol/L よって、pH = −log ( [CH3COOH] [CH3COO−] 𝐾𝑎) = −log ( 0.0125 0.0075 × 10 −4.75) = 4.5 更にここにNaOH𝑎𝑞 を加えると、電離したOH−がCH 3COOHと反応するから、 [CH3COOH] = {(0.0125 mol/L × (0.080 L)} − {(0.10 mol L⁄ ) × (0.0020 L)} 0.080 + 0.0020 L = 9.76 × 10 −3 mol L [CH3COO−] = {(0.0075 mol L⁄ ) × (0.080 L)} + {(0.10 mol L⁄ ) × (0.0020 L)} 0.080 + 0.0020 L = 9.76 × 10 −3 mol L よって、pH = − log ([CH3COOH] [CH3COO−] 𝐾𝑎) = − log(1.00 × 10−4.75) = 4.8 49. PbF2は 1L 中に 0.736 g 溶解する。PbF2の溶解度積𝐾𝑠𝑝を求めよ。 PbF2(245.2 g mol⁄ )が 1L 中に 0.736 g 溶解するから、 溶解しているPbF2の物質量𝑛は、 𝑛 = 0.736 g 245.2 g/mol= 3.00 × 10 −3 mol

よって、溶解度積𝐾𝑠𝑝= [Pb2+][F]2= (3.00 × 10−3mol/L) × (2 × 3.00 × 10−3mol/L)2= 1.08 × 10−7 (mol/L)3

50. 純水中および Na2SO4𝑎𝑞(1.0 × 10−2 mol/L)中の BaSO4の溶解度𝑆, 𝑆’をそれぞれ求めよ。 ただし、𝐾𝑠𝑝(BaSO4) = 1.08 × 10−10(mol L⁄ )2 である。 共通イオン効果より、 純水中: 𝐾𝑠𝑝= 𝑆2 ⇔ 𝑆 = √𝐾𝑠𝑝= √1.08 × 10−10= 1.04 × 10−5mol L⁄ Na2SO4𝑎𝑞中: 𝐾𝑠𝑝= 𝑆′(𝑆′+ 𝐵) ⇔ 𝑆′2+ 𝐵𝑆′− 𝐾𝑠𝑝= 0 ⇔ 𝑆′2+ (1.0 × 10−2) ∙ S′− (1.08 × 10−10) = 0 従って、 𝑆′= 1.08 × 10−8mol L 51. 金属イオン M2+ は 中性配位子 L と 1:1 錯体を生成し、生成定数𝐾 𝛿 = 1.0 × 10−3 mol/L である。

(16)

16 同体積の 0.10 mol/L の M2+水溶液と 0.20 mol/L の L 水溶液を混合したとき、 金属イオンの平衡濃度を求めよ。 平衡時、[ML2+] = 𝑥 (mol L⁄ ) 存在しているとすると、[M2+] = 0.05 − 𝑥 , [L] = 0.10 − 𝑥 となる。 生成定数𝐾𝛿= [ML2+] [M2+][L]= 𝑥 (0.05 − 𝑥)(0.10 − x)= 1.0 × 10 3 において、𝑥 = 0.05 − [M2+] を代入して、 0.05 − [M2+] [M2+](0.05 + [M2+])= 1.0 × 10 3 ⇔ [M2+] = 9.6 × 10−4 mol/L 52. 次の各問に答えよ。 (1)二クロム酸カリウム K2Cr2O7の各原子の酸化数を求めよ。 (2)Fe2+の水溶液にCl 2を通じると、Fe3+とCl−が生じる。この反応の化学反応式をかけ。 (3)酸素と水が反応して水酸化物が生じる化学反応式を書き、酸化反応か還元反応か示せ。 (1) K: + 1、Cr: + 6、O: − 2 (2) 2Fe++ Cl 2→ 2Fe3++ 2Cl− (3) 2H2O + O2+ 4𝑒−→ 4OH− : 還元反応 53. ボルタ電池 (Zn|H2SO4𝑎𝑞|H2(Cu)) の起電力を求めよ。 ただし、Zn2++ 2e→ Zn ; 𝐸= −0.762 V , 2H++ 2e→ H 2 ; 𝐸∘= 0.00 V である。 電池の起電力は、各半電池の電極電位の差なので、 0.00 − (−0.762) = 0.76 V

◎解答:無機化学(応用記述問題)

54. 塩化アンモニウム水溶液が弱酸性を示す理由を説明せよ。 チェックポイントに網掛けを付した。そこの記述ができているか確認しよう。 (解) 塩化アンモニウムは水中で次のように電離する。 NH4Cl → NH4++ Cl− これにより生じたNH4+が次のように加水分解を起こし、水素イオンが生じために、弱酸性を示す。 NH4++ H2O → NH3+ H3O+ 55. ある一価の弱酸 2.0 g を水に溶かして作った 50 mL 水溶液の pH は 2.5 であった。 この水溶液 10 mL を中和するのに、0.10 mol L⁄ のNaOH𝑎𝑞を 66.5 mL 要した。 弱酸のモル質量を求めよ。また、この中和滴定での当量点での pH を求めよ。 強塩基による弱酸の滴定での当量点の pH は、 pH =1 2(p𝐾𝑎+ log10 𝐶HA𝑉HA 𝑉HA+ 𝑉OH + p𝐾𝑤) ⋯ (∗) で求められる。 まず、中和反応の量的関係より、 1 × 𝐶HA× (10mL) = 1 × (0.10 mol L⁄ ) × (66.5mL) ⇔ 𝐶HA = 0.665 mol L⁄ ここで、 𝐶HA= 2.0 g 𝑀 × 1 0.050 L= 0.665 mol L⁄ ⇔ 𝑀 = 60 g mol⁄ 弱酸水溶液の電離平衡時における pH の関係式(2.6.1)より、 pH =1 2(p𝐾𝑎− log 𝐶HA) = 2.5 ⇔ p𝐾𝑎= 2 × 2.5 + log 𝐶HA= 4.82 従って、当量点での pH は、 (∗) ⇔ pH =1 2(4.82 + log 0.665 × 0.010 0.010 + 0.0665+ 14) = 8.9

(17)

17 56. H2Sの第一段階と第二段階の電離定数はそれぞれ、𝐾1= 1.0 × 10−7 mol/L , 𝐾2= 1.0 × 10−14 mol/L (1) 0.10 mol/L の H2S 水溶液を pH = 2 および pH = 8 にした時の[S2−]を求めよ。 (2) Cu2+, Zn2+, Fe2+がそれぞれ 0.10 mol/L ずつ含まれる水溶液に、pH を一定に保ったまま H 2S を 十分に通じる。pH = 2に保った場合と、pH = 8に保った場合に生じる沈殿の化学式を答えよ。 ただし、pH によらず H2S の水に対する溶解度は 0.10 mol/L とし、溶解度積の値はそれぞれ、 𝐾𝑠𝑝(CuS) = 6.5 × 10−30, 𝐾𝑠𝑝(ZnS) = 2.2 × 10−18, 𝐾𝑠𝑝(FeS) = 2.5 × 10−9 である。 (1) 第一段階と第二段階、二つの段階を合わせたH2S ⇄ S2−+ 2H+ の電離定数𝐾を求めると、 𝐾 =[S 2−][H+]2 [H2S] =[HS −][H+] [H2S] [S2−][H+] [HS−] = 𝐾1× 𝐾2= 1.0 × 10−7× 1.0 × 10−14= 1.0 × 10−21 (mol/L)2 よって、求める硫化物イオンの濃度[S2−]は、 pH = 2 のとき、[S2−] = 𝐾 1𝐾2 [H2S] [H+]2= 1.0 × 10−21 (mol/L)2 × 0.10 mol/L (1.0 × 10−2)2 (mol/L)2 = 1.0 × 10 −18 mol/L pH = 8 のとき、 [S2−] = 𝐾 1𝐾2 [H2S] [H+]2= 1.0 × 10−21 (mol/L)2× 0.10 mol/L (1.0 × 10−8)2 (mol/L)2 = 1.0 × 10 −6 mol/L (2) 水溶液中の金属イオン(M2+とする)はいずれも0.10 mol/L であるから、 pH = 2のとき、[S2−][M2+] = 1.0 × 10−19 (mol/L)2 pH = 8のとき、[S2−][M2+] = 1.0 × 10−7 (mol/L)2 これらの値がそれぞれの沈殿物の溶解度積の値を超えているとき、沈殿物が生じるから、 pH = 2のとき、 CuS pH = 8のとき、 CuS、ZnS、FeS 57. (1) 緩衝溶液は pH を一定に保つ働きをもつ。その理由を記せ。 (2) 0.300 mol/L の酢酸水溶液 60.0 ml と 0.300 mol/L の酢酸ナトリウム水溶液 40.0 ml を混合して 作成した緩衝溶液に 1.00 mol/L の NaOH𝑎𝑞を 10.0 ml 加えた時の pH を求めよ。 ただし、酢酸の酸解離定数𝐾𝑎= 2.0 × 10−5とする。 チェックポイントに網掛けを付した。そこの記述ができているか確認しよう。 (解) (1) 弱酸は以下の解離がみられる。 H2O + HA ⇌ A−+ H3O+ ここで、H+を加えれば平衡は左へ、OHを加えれば平衡が右に傾き、 [H+]を一定に保つ働きが現れるから。

(2) H2O + CH3COOH ⇌ CH3COO−+ H3O+ の平衡が成り立ち、NaOHを加えれば平衡は右に傾く。

NaOH の物質量𝑛 = 1.00[mol L⁄ ] × 10.0 1000[L] = 0.010 mol であるから、 [CH3COOH] = (0.300[mol L⁄ ] × 60.0 1000[L] − 0.010 mol) × 1000 60.0 + 40.0 + 10.0 L= 0.072 mol/L [CH3COO−] = (0.300[mol L⁄ ] × 40.0 1000[L] + 0.010 mol) × 1000 60.0 + 40.0 + 10.0 L= 0.20 mol/L よって、求める pH は(3.4.1)式より、 pH = p𝐾𝑎+ log [CH3COO−] [CH3COOH] = − log 𝐾𝑎+ log 0.20 0.072= 5.14 2020 年 4 月 22 日最終更新 文責:まっち(2020 年卒業) 協力: 寝子 (2020 年卒業)

参照

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