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分担研究報告書

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Academic year: 2021

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厚生労働科学研究費補助金(政策科学推進研究事業)

分担研究報告書

人口減少期に対応した人口・世帯の動向分析と 次世代将来推計システムに関する総合的研究:

「施設人口と高齢者の移動」

研究分担者  林玲子  国立社会保障・人口問題研究所

研究要旨 

  近年、施設人口は増加しており、2015年では65歳以上人口の6%、85歳 以上人口の22%は施設入所者である。国勢調査の施設人口と厚労省統計によ る施設在所者数は必ずしも一致せず、その差は非認可施設入所者によるので はないかと考えられる。近年特に介護老人福祉施設(特養)と有料老人ホー ムの在所者数が増えているが、サービス付き高齢者向け住宅も増加してお り、施設人口の健康・障害状況が多様化している可能性もある。

75歳以上では移動率が反騰するが、それは施設への移動によるものであ り、その反騰は1990年以降顕著となり、施設定員の増加に呼応していると 考えられる。また県を超えて施設に移動した人は、施設居住者の4%程度で 1990年から2010年まで不変であるが、数としては増加しており、また都道 府県間の格差も大きく、近年特に東京都から近県の施設へ移動する人が増え ている。今後の高齢人口動向の地域間格差も見通したうえでの適切な施設整 備計画が求められよう。

施設が重要な高齢者の生活の場となっていることを踏まえ、これまでのよ うに「例外」とするのではなく、調査・分析の対象とすることが必要である。

 

A.研究目的

  2015年の国勢調査によれば、65歳以上 の「施設等の世帯」人口は200万人近くに なり、1970年の20万人から10倍程度に なっている。人口の高齢化に伴い、増加し 続けている施設人口について、国勢調査と 厚労省統計を比較分析したうえで、増加の 要因である施設への移動について明らかに することを目的とした。

B.研究方法

公表されている国勢調査、厚労省統計、

国立社会保障・人口問題研究所「社会保障 統計年報」等を用い、施設人口を比較検討 した。また、施設人口の移動の分析は、公

表データおよび統計法33条第1号の規定 に基づき総務省統計局『国勢調査』調査票 情報の提供を受け、独自集計したデータを 用いて行った。

C.研究成果

国勢調査による施設人口は数でみれば高 齢のどの年齢層でも増加しているが、それ ぞれの年齢別人口に対する割合でみると 84歳までは低下の傾向があり、割合も増え ているのは85歳以上のみである。施設数 の制限により、施設入所者は85歳以上の 超高齢者に集中していると考えられる。ま た、高齢者の施設人口は、その79%は社会

施設、20%は病院・療養所の入院者であり、

(2)

 

 

矯正施設を含めたその他の施設の割合は 1%程度で少ない。近年は病院・療養所の入 院者数は低下の傾向にあるが、社会施設の 入所者の増加が著しい。

施設の種類別に、厚労省調査(社会福祉 施設等調査、介護サービス施設・事業所調 査)等を用いて施設在所者数・定員数の推 移をみると、近年特に介護老人福祉施設、

有料老人ホームが著しく増加している。

2015年の厚労省統計と国勢調査の施設人 口を比較すると、社会施設人口について差 がみられ、その75%は未届老人施設による ものではないかと考えられる。

国勢調査の5年前居住地を用いた移動率 は、75歳以上から反騰することが知られて いるが、それは施設人口への移動によるも のであり、反騰は1990年から近年にかけ て著しくなり、市区町村内の移動が多い。

都道府県を超えて施設に入所する人の施 設入居者に対する割合は4%で1990年から 2010年にかけて同程度であるが、この割合 は都道府県別に差が大きく、特に東京都近 県で非常に高く、これらの県において県を 超えて施設に入所した人の過半数は5年前 居住地が東京都であり、東京都で施設が足 りないことにより近県へと移動しているこ とが示された。

D.結果の考察

65歳以上人口における施設人口割合は 2015年で6%であるが、85歳以上では22%

にも上り(2015年)、特にこの年齢層にと って施設が重要な生活の場であること同時 に、施設人口を調査分析の対象とすること が今後必要になると思われる。

東京都の施設不足により近県の施設に移 動する人が増えており、今後増加する東京 都の高齢者数に応じた施設の整備が求めら れる。一方、高齢人口も減少することが見 込まれる都道府県もあり、今後の地域別需

要を適切にとらえたうえでの施設整備計画 が必要となるだろう。

E.結論

施設人口は増加しており、高齢者の重要 な生活の場となっており、これまでのよう に例外とするのではなく、各種調査間のデ ータの整合性、移動を含めた施設人口の変 動を適切に調査・分析することが求められ る。

G.研究発表 1.論文発表

- Reiko Hayashi “Long-term Care of Older Persons in Japan” SDD-SPPS PROJECT Working Papers Series:

Long-Term Care for Older Persons in Asia and the Pacific, UNESCAP, Bangkok (2016.5)

2.学会発表

- 林玲子「高齢者の移動施設人口に注目し て」日本人口学会2016 年度第1回東日本 地域部会、北海道札幌市(2016.11.20)

- 林玲子「高齢者の施設人口の動向-政府統 計調査における課題」人口学研究会、東京 都文京区(2016.9.24)

- Hayashi,Reiko “Aging in place?

Geographical mobility of the elderly in Japan”8th International Conference on Population Geographies, Brisbane, Australia (2015.6.30)

H.知的財産権の出願・登録状況 なし

参照

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