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神戸製鋼における自動車車体用材料・技術の開発 木村雅保

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神戸製鋼技報/Vol. 57 No. 2(Aug. 2007) 1

■特集:自動車車体用材料  FEATURE : New Materials and Technologies for Automobile Bodies

(巻頭言)

神戸製鋼における自動車車体用材料・技術の開発

木村雅保

執行役員 ・ 鉄鋼部門

The Research and Development of Materials and Technologies for Automobile Bodies in Kobe Steel

Masayasu Kimura

 世界的なモータリゼーションの発展はめざましく,全 世界の自動車保有台数は 2003 年において 8.5 億台を突破 した。さらに,近年急速な経済成長を続ける BRICs(ブ ラジル・ロシア・インド・中国)諸国をはじめ各国の自 動車市場規模は拡大が続き,2030 年には 16 億台に達す るとの想定(国連予測による)もなされている。

 しかし,自動車の普及拡大が進む一方で,地球環境問 題とりわけ温暖化防止対策,さらには搭乗者と歩行者双 方の安全確保対策を求める社会的要求はますます高まり をみせている。

 日本では,2005 年に発効した京都議定書において温室 効果ガスの排出量を 2008 年から 2012 年までに 6 %削減 することが義務づけられており,車体軽量化による燃費 向上が期待されている。一方,乗員の安全確保から前面 および側面衝突安全性に対する車体評価基準が主力マー ケットとなる日米欧でさらに厳格化し,高剛性化の傾向 にある。これを受け自動車業界では,車体軽量化と高剛 性化という相反する課題に対して,これらを両立させる 解決策が求められている。さらには,燃料としてのエネ ルギーが石油一辺倒からバイオエタノール,電気,燃料 電池と多様化していくことにどう対応するかも問われて いる。

 当社は,創業以来 100 年余の歴史を経て,鉄鋼,アル ミ・銅,溶接棒,の各事業領域で培った技術を進化させ,

「特長ある高機能材料」「材料の評価技術力向上」「自動 車部材構造と加工技術の最適化」を追求する研究開発を 進めてきた。本特集号では,前述した自動車業界の抱え る技術的課題に対し材料メーカの立場から支援すべく当 社が取組んでいる研究開発成果の一端を,市場への即戦 力となる商品の実用化技術と中長期的視野に基づくブレ ークスルー技術の両面より具体的に紹介する。

 鉄鋼材料では,車体軽量化と高剛性化を同時に達成す るために,ボディ骨格部品やシート骨格部品へ適用拡大 ニーズの強い,強度クラス 780MPa 級以上の高強度薄鋼 板(超ハイテン)の成形性や化成処理性向上に加え,よ り複雑な形状を超高強度で可能にする新組織創出に向 け,先端領域の技術開発に取組んでいる。また,プレス 加工における独自の寸法精度向上対策技術の開発によ

り,超ハイテンのより広い実用展開を可能とした。安全 部材への取組み例としては,ドアインパクトビームにお ける超高強度焼入れ用熱延鋼板を開発している。さらに 将来に向けては,超高強度素材とロールフォーム工法を 複合した新コンセプトで,車体設計に新たな可能性を見 出した。

 アルミニウム材料では,軽量化を主目的に車体への適 用拡大が一層期待されている。当社は,パネル部材に対 する 5000 系,6000 系合金板の成形限界向上に材料特性 と加工技術の両面から技術開発に取組むとともに,安全 部材に対しては 6000 系,7000 系といった高強度素材の 開発を進め,ボディ構造設計のあり方を含めた新技術を 提案している。また,足回り部材へのアルミ鍛造品適用 拡大に向け,高機能の新合金材料開発と並行して部材設 計・製造プロセスの最適化に取組んでいる。

 高強度鋼板および高機能アルミ材の開発進展ととも に,それぞれ同種材料における接合技術のブラッシュア ップに取組んできた。近年になり「ハイブリッド構造」

を実現した新コンセプト車体の提案ニーズが高まりつつ あり,当社は鋼板とアルミ材との異種金属接合について も新たな技術開発を進めることで,次世代の車体軽量化 に向けた材料選択手段の拡大を目指している。

 自動車の車体には,自動車会社,車種ごとに固有の設 計思想に基づき,求められる性能,コスト,調達性など が異なるため,種々の機能と価値を持った多様な材料と 技術が適用されている。当社は,鋼板,アルミニウムな どさまざまな材料と加工,溶接技術を用意し,各車両の 設計思想ごとに最適なものを供給するとともに,評価技 術も提供していくことを目指している。

 自動車産業のさらなる発展に貢献できる新製品と新技 術を提案し続けることが,当社グループの果たすべき使 命と認識し,今後とも特徴ある新製品・新技術の創出を 目指して鋭意研究開発に取組む所存である。需要家の皆 様より忌憚のないご意見,ご指導,ご鞭撻をいただけれ ば幸甚である。

参照

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