論文内容要旨
繰り返す凍結および解凍が長期間保存された造血細胞移植用臍帯血の 品質に与える影響の検討
小児科 外山大輔
非血縁臍帯血移植は近年移植数が増加しているが, その欠点としてドナ ーリンパ球輸注などの細胞治療を行えないことがある. 以上より, 臍帯 血の一部からT細胞を増幅培養して, 輸注する細胞治療が考案されてきた.
通常, 移植時に解凍した臍帯血の一部を用いるが, 培養開始時期を選択 できないといった問題がある. 一旦解凍した臍帯血の一部を再凍結して これらに用いることが可能であれば使用時期を容易に選択できる. 本研 究では, 長期間保存された移植用臍帯血を用いて, 繰り返しの凍結およ び解凍が造血能などの品質に与える影響について検討した.
10年以上長期保存された移植用臍帯血で品質の検討後にその残検体を 再凍結し6年以上保存された18検体を対象とした. 初回凍結前(PF), 初回 解凍後(PT1)および再解凍後(PT2)の総細胞数, CD34陽性(CD34+)細胞数, 顆粒球マクロファージ由来コロニー数(CFU-GM), 生細胞率, CD34陽性か つCD38陰性(CD34+/CD38-)細胞の割合, CD34陽性かつCXCR4陽性
(CD34+/CXCR4+)細胞の割合を測定した. 総細胞数, CD34+細胞数, CFU-GM 数はPT1で各々5.47± 2.14×108個, 0.66± 0.33×106個, 1.96± 1.32×
106個, PT2で各々5.31±2.12×108個, 0.60± 0.34×106個, 1.27±0.52×
106個(p=0.45, p=0.33, p=0.69)でありPT2はPT1と比較していずれも有 意差を認めなかった. 生細胞率, CD34+/CD38-細胞率,CD34+/CXCR4+細胞 率はPT1で各々83.7 ±9.45%, 9.11 ±4.13%, 81.65±10.82%, PT2で各々 64.45± 8.0%, 10.22± 3.76%, 76.79±8.36% (p<0.01, p=0.16, p=0.09) であり, PT2の生細胞率はPT1と比較して有意に低値であった.
今回の検討から生細胞率を除いて, 繰り返す凍結および解凍が長期保 存された移植用臍帯血の品質に与える影響は軽微であることが示唆され た. 生細胞率が有意に減少していた理由として, 再凍結までの時間が長 かったことが原因として考えられた. 移植時に解凍した臍帯血の一部を 速やかに再凍結することで, 生細胞率の低下を防ぐことが可能であれば, 再凍結された移植用臍帯血を用いた細胞治療が可能であると考えられた.