20×20 口 蓋 裂 症 例 の 渉 出 性 中 耳 炎 に お け る 鼓 膜 チ ュ
ブ 留 置 術 の 留 置 期 間 の 検 討
昭 和 大 学 医 学 部 耳 鼻 咽 喉 科 学 講 座
山 田 尚 宏 小 林 女 池 田 賢 一 郎
許 芳 行 古 田 厚 子 工 藤 睦 男
洲 崎 春 海
昭 和 大 学 横 浜 市 北 部 病 院 耳 鼻 咽 喉 科 野 垣 岳 稔
ラ ン ニ ン グ タ イ ト ノ レ
口 蓋 裂 児 の O胞 に お け る チ ュ ー プ の 留 置 期 間
要 約 : 口 蓋 裂 症 例 は 高 率 に 惨 出 性 中 耳 炎 ( むtitis Media with Effusion : 以 下 OME) を 合 併 し , 難 治
例 が 多 い 鼓 膜 チ ュ プ ( 以 下 チ ュ プ ) の
長 期 留 置 が 必 要 と な り や す い が , 口 蓋 裂 症 例 の 適 切 な 留 置 期 間 に 関 し て は 定 ま っ て い な い
口 蓋 裂 症 例 の チ ュ プ 留 置 術 後 の 治 療 成 績 か ら 適 切 な チ ュ プ 留 置 期 間 に つ い て 検 討 を 行
っ た . 対 象 は 2001年 1 月 よ り 2004年 12 月 の 聞 に , 昭 和 大 学 病 院 に て 口 蓋 形 成 術 を 施 行 さ れ , 6
歳 以 降 ま で 観 察 し え た 口 蓋 裂 206例 412耳 で あ る OMEに 対 し チ ュ プ 留 置 術 が 施 行 さ れ た 症 例 は
全 体 の 45.1% に あ た る 93 例 179耳 で あ っ た . 最 終 観 察 時 に お け る OMEの 経 過 を 以 下 の よ う に 定 義
し た チ
プ の 再 留 置 が 行 わ れ た 症 例 を 再
留 置 , OMEが 治 癒 し た 症 例 を 経 過 良 好 , l 年 以
上 鼓 膜 穿 孔 が 残 存 し た 症 例 を 穿 孔 残 存 と し た
た
ま 口 蓋 形 成 術 と 同 時 に チ ュ プ 留 置 術 が
施 行 さ れ た 症 例 を 1 歳 時 留 置 群 , 口 蓋 形 成 術 以 降 に チ ュ プ 留 置 術 が 施 行 さ れ た 症 例 を 幼
児 期 留 置 群 と し た l 歳 時 留 置 群 と 幼 児 期 留
2
置 群 の OMEの 経 過 別 の 平 均 留 置 期 間 を 検 討 し た 1 歳 時 留 置 群 の 平 均 留 置 期 間 ( mean ± S. E. ) は 再
留 置 例 , 経 過 良 好 例 , 穿 孔 残 存 例 の ) ! 頂 に 22.3 ±
2.4か 月 , 32.6土 1.9か 月 , 43.9土 4.1か 月 で あ っ た
各 経 過 の 留 置 期 間 に 有 意 差 が 認 め ら れ た . 幼 児 期 留 置 群 の 平 均 留 置 期 間 で は , 各 経 過 の 留 置 期 間 に 有 意 差 は 語 、 め ら れ な か っ た 経 過 良
好 例 の 平 均 留 置 期 間 の 比 較 で は , 幼 児 期 留 置 群 は l 歳 時 留 置 群 よ り も 有 意 に 短 い 結 果 で あ っ た . 次 に , 1 歳 時 留 置 群 に お い て 留 置 期 間 別 の チ ュ プ 再 留 置 率 と 穿 孔 残 存 率 を 検 討 し
た 37 か 月 以 上 で は 有 意 に チ ュ ブ 再 留 置 率 が 低 く な る こ と が 認 め ら れ た ま た 49 カ=月
以 上 で は 穿 孔 残 存 率 が 28.6% と 高 く な る 傾 向 を 認 め た こ れ ら の 結 果 よ り 口 蓋 形 成 術 時 に
チ ュ ー ブ 留 置 術 を 施 行 し た 場 合 の 初 回 チ ュ ブ の 適 切 な 留 置 期 間 は 37 〜 42 か 月 と 考 え ら れ た ま た
口 蓋 形 成 術 以 降 に チ ュ プ 留 置 術 を 施 行 し た 場 合 は l 歳 時 留 置 群 よ り 留 置 期 間
を 短 く す る 必 要 が あ る と 考 え ら れ た
Key words 口 蓋 裂 小 児 口 葦 形 成 術 渉 出 性
中 耳 炎 鼓 膜 チ ュ ー ブ
4
20×20 は じ め に
口 唇 裂 ・ 口 蓋 裂 は 出 生 400〜 500人 に 対 し て l 人 発 現 し , 日 本 人 に み ら れ る 先 天 異 常 の な か で 最 も 頻 度 が 高 い と い わ れ る 1 l. 特 に 口 蓋 裂
症 例 は 高 率 に 惨 出 性 中 耳 炎 ( Oti tis Media with Effusion
以 下 OME) を 合 併 し 難 治 例 が 多 い こ と が 知 ら れ て い る 2 ) . 耳 管 の 形 態 異 常 口 蓋 帆 張 筋
や 口 蓋 帆 挙 筋 の 形 成 不 全 , 走 行 異 常 に よ る 耳 管 機 能 障 害 副 鼻 腔 炎 合 併 に よ る 耳 管 咽 頭 口
の 汚 染 , 乳 児 期 の 栄 養 状 態 な ど が 原 因 と し て
考 え ら れ て い る 3 ) . こ れ ら の 背 景 よ り 口 蓋 裂
症 例 の OMEは 保 存 的 治 療 に 抵 抗 す る 場 合 が 多 く I'
中 耳 の 換 気 を 促 す 鼓 膜 チ ュ ブ ( 以 下 チ ュ
ブ ) 留 置 が 低 年 齢 か ら 必 要 で , ま た 非 口 蓋 裂
症 例 よ り 長 期 留 置 と な る 症 例 が 多 い . チ ュ
プ 留 置 術 は 早 期 に 難 聴 を 改 善 す る 方 後 遺
症 と し て 鼓 膜 穿 孔 の 残 存 が あ る 長 期 の 留 置
期 間 は 特 に 鼓 膜 穿 孔 を 生 じ る 要 因 に な り う る
と さ れ る 1,5 ) が 口 蓋 裂 症 例 の 適 切 な 留 置 期
聞 に 関 し て は 定 ま っ て い な い の が 現 状 で あ る
そ こ で 口 蓋 裂 症 例 の チ ュ ブ 留 置 術 後 の 治 療 成 績 よ り 適 切 な チ ュ ブ 留 置 期 間 に つ い て
検 討 を 行 っ た の で 報 告 す る
研 究 方 法 1 . 対 象
対 象 は 2001年 1 月 よ り 2004年 12 月 の 聞 に , 昭 和
大 学 病 院 に て 3 歳 ま で に 口 蓋 形 成 術 を 施 行 さ れ , 6 歳 以 降 ま で 観 察 し え た 口 蓋 裂 206例 ( 男 児 114例 , 女 児 92 例 412耳 で あ る 口 蓋 形 成 術
時 の 平 均 月 齢 は 13.1か 月 ( 10 30 か 月 ) , 最 終 観
察 時 の 平 均 年 齢 は 8.4歳 (6 11 歳 ) で あ る 観 察 期 間 中 に チ ュ ブ 留 置 術 を 行 っ た 症 例 は 全 体 の 45.1% に あ た る 93例 179耳 両 耳 86 例 , 片 耳
7 例 で あ っ た 対 象 の 裂 型 と チ ュ ブ 留 置 術 の 有 無 を 表 1 に 示 し た 今 回 の 検 討 で は Down
症 候 群 , Treacher‑Collins症 候 群 , Dandy‑Walker 症 候 群
22qll. 2欠 失 症 候 群 の 症 例 を 除 外 し た 2 チ ュ ブ 留 置 術 の 適 応
チ ュ ー プ 留 置 術 の 適 応 は 拡 大 気 密 耳 鏡 , 顕
6
微 鏡 , 内 視 鏡 を 用 い 鼓 膜 の 観 察 を 行 い , 3 か
月 以 上 持 続 す る 貯 留 液 の 存 在 を 認 め , か つ 鼓 膜 の 可 動 性 不 良 で あ る 場 合 と し た . こ の 他
聴 力 検 査 で 30dB以 上 の 難 聴 が あ る 症 例 , 言 語 発
達 の 遅 れ の 認 め ら れ る 場 合 も 適 応 と し た . 1 歳 未 満 の 症 例 に 対 し て 0肥 を 認 め た 場 合 は 主 に
保 存 的 に 加 療 す る そ の 後 も 継 続 す る OMEの 症
例 に 対 し て は l 歳 l 歳 半 ま で に 行 わ れ る
口 蓋 形 成 術 と 同 時 に チ ュ プ 留 置 術 を 行 っ た
口 蓋 形 成 術 時 に OMEを 認 め な い 症 例 は 経 過 観 察
を 行 い , そ の 後 OMEが 認 め ら れ た 場 合 , 適 宜 鼓
膜 切 開 や チ ュ プ 留 置 術 を 行 う こ と を 基 本 方
針 と し た 初 回 の 留 置 術 に は 基 本 的 に 高 研 製
鼓 膜 ド レ イ ン B タ イ プ ⑧ 内 径 1.2皿 以 下 高
研 B タ イ プ を 用 い て い る 今 回 の 検 討 で は チ ブ 留 置 術 を 施 行 し た 179耳 の う ち 高 研
B タ イ プ 176耳 , そ れ 以 外 で は 2 耳 に Paparella 型
チ ュ プ l 耳 に T 型 チ ュ プ を 使 用 し た
2 回 目 以 降 の チ ュ ブ 留 置 術 に お い て も 基 本
的 に 高 研 B タ イ プ を 使 用 し た が , 鼓 膜 の 萎 縮
20×20 や 癒 着 傾 向 が 強 い 耳 に は T 型 チ ュ ー プ を 使 用
し た
3 チ ュ プ 抜 去 の 時 期
チ ュ プ 抜 去 の 時 期 は 基 本 的 に で き る だ け
長 期 留 置 を す る 方 針 と し チ ュ プ が 脱 落 す る ま で 留 置 し て い る チ ュ ブ が 脱 落 せ ず 十 分 な 留 置 が で き た と 判 断 し た 場 合 は 難 聴 が
認 め ら れ ず ま た 側 頭 骨 レ ン ト ゲ ン ( シ ュ フ 法 で 乳 突 蜂 巣 の 発 育 や 含 気 の 程 度 を 確 認 し 良 好 で あ っ た 場 合 に 意 図 的 に 抜 去 し た
4 観 察 頻 度
当 科 で は 昭 和 大 学 口 葦 裂 診 療 班 の 員 と し
て
。
歳 時 よ り 口 唇 口 蓋 裂 症 例 の 耳 疾 患 の 管 理 を 原 則 的 に 1 2 か 月 毎 に 鼓 膜 の 観 察 を 行 っ て い る 遠 方 か ら 通 院 さ れ て い る 場 合 は ,通 常 は 近 隣 の 耳 鼻 咽 喉 科 で 診 療 を 行 い 当 院 へ は 3 6 か 月 毎 に 鼓 膜 の 観 察 な ど の 診 察 を
行 つ
5 検 討 項 目
チ ュ ブ の 適 切 な 留 置 期 間
8
最 終 観 察 時 に お け る 初 回 の チ ュ プ 脱 落 ・ 抜 去 後 の O胞 の 経 過 を 以 下 の よ う に 定 義 し た
OMEの 再 発 の た め チ ュ ブ 再 留 置 が 行 わ れ た 症
例 を 再 留 置 , OMEが 治 癒 も し く は 軽 度 OME を 認 め
た が チ ュ ブ 再 留 置 の 必 要 の な か っ た 症 例 を 経 過 良 好 , l 年 以 上 鼓 膜 穿 孔 が 残 存 し た 症 例 を 穿 孔 残 存 と し た ま た チ
ブ 留 置 術 が
施 行 さ れ た 179耳 を 留 置 時 期 に よ り 2 群 に 分 類
し た . 乳 児 期 に O M E を 発 症 し 生 後 l 歳 〜 1 歳 半 前 後 に 行 わ れ る 口 蓋 形 成 術 と 同 時 に チ ュ
プ 留 置 術 を 施 行 し た 症 例 が 74.3% と 最 も 多 く
1 歳 時 留 置 群 ( 67 例 133耳 ) と し た 幼 児 期 に 0 M E が 発 症 ・ 増 悪 し 口 蓋 形 成 術 以 降 に チ ュ ー ブ 留 置 術 を 施 行 し た 症 例 を 幼 児 期 留 置 群
( 26 例 46 耳 ) と し た ( 表 2 ) . 両 群 の 平 均 の 留
置 時 の 年 齢 チ ュ プ 留 置 期 間 チ
プ 回 数 を 表 3 に 示 し た
ブ の 平 均 留 置 期 間
各 群 の O胞 の 経 過
留 置 期 間 別 チ ュ
チ
ブ 再 留 置 率 ・ 穿 孔 残 存 率 か ら チ ュ
期 間 に つ い て 検 討 し た
プ の 適 切 な 留 置
20×20 2) チ ュ プ の 脱 落 原 因
初 回 の チ ュ プ 脱 落
.
抜 去 し た 原 因 を 感染 を 誘 因 と し て チ ュ ブ が 脱 落 ま た は 感 染 の 継 続 に よ り や む を え ず チ ュ プ 抜 去 し た 症 例 を 感 染 脱 落 群 特 に 誘 因 が な く チ ュ プ が 自
然 脱 落 し た 症 例 を 自 然 脱 落 群 , 経 過 良 好 と 判 断 し 意 図 的 に チ ュ ブ 抜 去 し た 症 例 を 良 好 抜
去 群 と 分 類 し 歳 時 留 置 群 133耳 ) に お い
て 脱 落 原 因 別 の 平 均 留 置 期 間 お よ び O肥 の 経 過
を 検 討 し た
3) チ ュ プ 再 留 置 の 要 因
チ ュ プ 再 留 置 の 要 因 に な る も の と し て 位2 別 裂 型 乳 突 蜂 巣 面 積 に つ い て 検 討 し た (1) 性 別
206例 412耳 ( 男 児 114例 228耳 女 児 92 例 184耳 )
を 対 象 に 男 女 別 に チ ュ ブ 施 行 率 と チ ュ
ブ 再 留 置 率 を 検 討 し た (2) 裂 型
206例 412耳 の 裂 型 は 口 蓋 裂 群 軟 口 蓋 裂 + 硬
軟 口 蓋 裂 } 47 例 94 耳 片 側 唇 顎 口 蓋 裂 群 右
10
+ 左 唇 顎 口 蓋 裂 } 106例 212耳 , 両 側 唇 顎 口 蓋 裂
群 53 例 106耳 で あ る 裂 型 別 の チ ュ プ 施 行 率
と チ ュ ブ 再 留 置 率 を 検 討 し た
(3) 乳 突 蜂 巣 面 積
当 科 で は 乳 突 蜂 巣 の 発 育 を 評 価 す る た め
1 歳 時 ・ 3 歳 時 ・ 5 歳 時 に 側 頭 骨 レ ン ト ゲ ン
( シ ュ ラ 法 ) を 施 行 し て い る 今 回 は l 歳
時 留 置 群 の う ち 3 歳 時 に 側 頭 骨 レ ン ト ゲ ン
を 撮 影 し た 48 例 95 耳 を 対 象 と し , OMEの 経 過 別
に 乳 突 峰 巣 面 積 を 検 討 し た 乳 突 蜂 巣 面 積 の 計 測 は , レ ン ト ゲ ン 画 像 を PC に 取 り 込 み , 画 像 解 析 ソ フ ト
し た
6 . 統 計 分 析
Image] ; http://rsb.info. nih. gov/ij/ ) を 使 用
留 置 期 間 や 乳 突 蜂 巣 面 積 に 関 し て は Welch の t 検 定 ま た は Tukey‑Kramer法 , 再 留 置 率 や 穿 孔 残 存
率 に 関 し て は Fisher 正 確 確 率 検 定 を 用 い た . 判 定 は pく0.05 で 有 意 差 あ り と し た
な お , 本 研 究 は 診 療 記 録 か ら の retrospectivestudy
で あ り , 昭 和 大 学 倫 理 委 員 会 の 承 認 を 受 け て
い る
結 果
1 OMEの 経 過
全 チ ュ ブ 施 行 例 179耳 中 の 再 留 置 例 は 39 耳
( 21. 8 % ) ' 経 過 良 好 例 は 118 耳 ( 65. 9 % ) ' 穿 孔 残 存
例 は 22 耳 ( 12. 3 % で あ っ た チ ュ プ の 留 置
回 数 は 平 均 1.34回 1 6 回 で あ っ た
歳 時 留 置 群 133 耳 中 の 再 留 置 例 は 32 耳 ( 24. 1
%), 経 過 良 好 例 は 86 耳 ( 64. 7 % ) ' 穿 孔 残 存 例 は
15 耳 ( 11. 3 % ) で あ っ た 幼 児 期 留 置 群 46 耳 中
の 再 留 置 例 は 7 耳 ( 15. 2 % ) ' 経 過 良 好 例 は 32 耳
( 69. 6 % ) ' 穿 孔 残 存 例 は 7 耳 ( 15. 2 % ) で あ っ た
( 図 1 歳 時 留 置 群 と 幼 児 期 留 置 群 に お い
て 各 割 合 に 統 計 学 的 な 有 意 差 は 認 め ら れ な か っ た
2 平 均 留 置 期 間
1 歳 時 留 置 群 と 幼 児 期 留 置 群 に お い て OME の
経 過 ご と に 平 均 留 置 期 間 を 検 討 し た
歳 時 留 置 群 ( 133耳 の 平 均 留 置 期 間 ( mean
12
± S.E. ) は 再 留 置 例 ( 32 耳 ) , 経 過 良 好 例 86 耳 I)
穿 孔 残 存 例 ( 15 耳 の 順 に 22.3土 2.4か 月 , 32.6
土 1.9 か 月 , 43.9土 4.1か 月 で あ っ た . 3 群 の 留 置
期 間 に 有 意 差 が 認 め ら れ た Tukey 法 , 図 2 ) .
幼 児 期 留 置 群 ( 46 耳 の 平 均 留 置 期 間 は 再
留 置 例 ( 7 耳 ) , 経 過 良 好 例 ( 32 耳 ) , 穿 孔 残 存
例 ( 7 耳 ) の ) | 頂 に 15.4土 3.5か 月 , 21.4 ± 2. 2 か 月
位2.3土 7.4か 月 で あ り , こ れ ら の 聞 に は 有 意 差 は
認 め ら れ な か っ た ( 図 3 ) . 次 に l 歳 時 留 置 群
の 経 過 良 好 例 32.6土 1.9 か 月 と 幼 児 期 留 置 群 の 経
過 良 好 例 21.4 ± 2. 2 か 月 を 比 較 す る と 有 意 差 が 認
め ら れ た Welch 検 定 , 図 4) .
3 留 置 期 間 別 チ ュ プ 再 留 置 率 と 穿 孔 残 存
率
l 歳 時 留 置 群 ( 133耳 ) に お い て , 留 置 期 間
を 12 か 月 ご と に 分 け 留 置 期 間 別 の チ ュ ブ
再 留 置 率 と 穿 孔 残 存 率 を 検 討 し た
チ ュ } プ 再 留 置 率 は 穿 孔 残 存 耳 15 耳 を 除 く
118耳 を 対 象 に 検 討 し た 留 置 期 聞 が 1 〜 12 か
月 は 6 耳 /20耳 中 で 再 留 置 率 30.0% 13 〜 24 か 月
は 13 耳 /30 耳 中 の 43.3 % 25 〜 36 か 月 は 10 耳 /28 耳
中 の 35.7 % 37 48 か 月 は l 耳 /20耳 中 の 5.0%
49 か 月 以 上 は 2 耳 /20耳 中 の 10.0 % で あ っ た ( 図
5 ) . 各 々 の 留 置 期 間 別 の 再 留 置 率 を 検 討 す る
と 37 48 か 月 49 か 月 以 上 の 群 は 有 意 に 低 く
な る こ と が 認 め ら れ た ( Fisher 片 側 検 定 ) .
穿 孔 残 存 率 は 133耳 を 対 象 に 検 討 し た . 留 置
期 間 が 1 〜 12 か 月 は 0 耳 /20 耳 中 で 穿 孔 残 存 率
0 % 13 〜 24 か 月 は 2 耳 /32 耳 中 の 6.3 % 25 〜
36 か 月 は 3 耳 /31 耳 中 の 9.7 % 37 48 か 月 は 2
耳 /22耳 中 の 9.1 % ' 49 か 月 以 上 は 8 耳 /28耳 中 の
l s . 6
% で あ っ た ( 図6)
有 意 差 は 認 め ら れ な か っ た が 37 〜 48 か 月 で は 9.1 % で あ っ た 穿 孔 残 存 率 が 49 か 月 以 上 で は 28.6 % と 高 く な る 傾 向 を認 め た
4 チ ュ ブ の 脱 落 原 因
1 歳 時 留 置 群 ( 133耳 ) に お い て 初 回 の チ ュ
プ 脱 落 ・ 抜 去 し た 原 因 を 分 類 す る と , 感 染 脱 落 群 は 13 耳 ( 9. 8 % ) , 自 然 脱 落 群 は 76 耳 ( 57. 1
% ) , 良 好 抜 去 群 は 44 耳 ( 33. 1 % ) で あ っ た ( 図
14
7 ) .
次 感 染 脱 落 群 と 自 然 脱 落 群 を 合 わ せ て
感 染 + 自 然 脱 落 群 と し , { 感 染 + 自 然 }
脱 落 群 と 良 好 抜 去 群 の 平 均 留 置 期 間 ( mean土 S.E.
を 検 討 し た { 感 染 + 自 然 } 脱 落 群 89 耳 の 平
均 留 置 期 間 は 22.6 ± 1. 3か 月 , 良 好 抜 去 群 44 耳 は
で あ っ た こ れ ら の 聞 に は 有 意 差
が 認 め ら れ た Welch 検 定 図 8 )
各 群 の 0肥 の 経 過 は 感 染 + 自 然 } 脱 落 群
I ( 89 耳 ) で は 再 留 置 例 は 27 耳 ( 30. 3 % ) ' 経 過 良
l好 例 は 56 耳 ( 62. 9 % ) , 穿 孔 残 存 例 は 6 耳 ( 6. 7 %
で あ っ た 良 好 抜 去 群 ( 44 耳 ) で は 再 留 置 例
lま 5 耳 ( 11. 4 % ) , 経 過 良 好 例 は 30 耳 ( 68. 2 % ) ' 穿
孔 残 存 例 は 9 耳 ( 20. 5 % で あ っ た ( 図 9 ) .
感 染 + 自 然 脱 落 群 と 良 好 抜 去 群 の 再 留 置 率
と 穿 孔 残 存 率 に 有 意 差 が 認 、 め ら れ た Fisher 両
| 側 検 定 ) .
チ ュ ー プ 再 留 置 の 要 因 11) 性 別
男 女 別 の チ ュ ー ブ 施 行 率 は 男 児 95 耳/228耳
中 の 41.7 % , 女 児 84 耳/184耳 中 の 45.7 % で あ っ た 男 女 別 の チ ュ ブ 施 行 率 に 有 意 差 は 認 め ら れ
な か っ た 次 に 穿 孔 残 存 22 耳 を 除 き , 男 女 別 に チ ュ ブ 再 留 置 率 を 検 討 し た 男 児 は 13 耳
/83耳 中 の 15.7 % , 女 児 は 26 耳 /74耳 中 の 35.1% で 再 留 置 が 行 わ れ , 統 計 学 的 に 有 意 差 が 認 め ら れ
た ( Fisher 両 側 検 定 図 10) . チ ュ ブ の 平 均 留
置 回 数 は 男 児 1.26回 / 耳 , 女 児 1.42回 / 耳 で あ っ た . 男 女 別 の 留 置 期 間 や 穿 孔 残 存 率 に 有 意 差 は 認 め ら れ な か っ た
出 ) 裂 型
裂 型 別 の チ ュ ブ 施 行 率 は 口 蓋 裂 群 は 40 耳 /94耳 中 の 42.6% , 片 側 唇 顎 口 蓋 裂 群 は 86 耳/212 耳 中 の 40.6% , 両 側 唇 顎 口 蓋 裂 群 は 53 耳/106耳 中
の 50.0 % で あ っ た 裂 型 別 の チ ュ ブ 施 行 率 に 有 意 差 は 認 め ら れ な か っ た 次 に 穿 孔 残 存 22
耳 を 除 き 裂 型 別 の チ ュ プ 再 留 置 率 を 検 討 し た . 口 蓋 裂 群 は 5 耳 /33耳 中 の 15.2 % , 片 側 唇 顎 口 蓋 裂 群 は 14 耳 /78耳 中 の 17.9 % , 両 側 唇 顎 口
蓋 裂 群 は 20 耳 /46耳 中 の 43.5 % で , 両 側 唇 顎 口 蓋
16
裂 群 は 他 の 2 群 と の 有 意 差 を 認 め た ( Fisher 両
側 検 定 図 11) . チ ュ ブ の 平 均 留 置 回 数 は 口
蓋 裂 群 1.18回 / 耳 , 片 側 唇 顎 口 蓋 裂 群 1.30問 / 耳 , ,
両 側 唇 顎 口 蓋 裂 群 1.51回 / 耳 で あ っ た 裂 型 別
の 留 置 期 間 や 穿 孔 残 存 率 に 有 意 差 は 認 め ら れ
な か っ た
t
3) 乳 突 蜂 巣 面 積
l 歳 時 留 置 群 の う ち 3 歳 時 に 側 頭 骨 レ ン
ト ゲ ン を 撮 影 し た 48 例 95 耳 を 対 象 に 乳 突 蜂 巣
面 積 ( mean土 S.D. に つ い て 検 討 し た 再 留 置 例
21 耳 は 3.5 ± 1. 4cm2 経 過 良 好 例 61 耳 は 4.4土 1.6cm2 , ,
穿 孔 残 存 例 13 耳 は 4.8 ± 2. 0cm2 で あ っ た . 再 留 置
例 と 経 過 良 好 例 の 聞 に 有 意 差 を 認 め た ( Welch 検 定 , 図 12) .
考 察
口 蓋 裂 症 例 は 多 く が OME に 擢 患 す る た め , 鼓 膜 チ ュ ブ 留 置 術 は 頻 回 に 行 わ れ る 治 療 で あ
る 方 鼓 膜 チ ュ ブ 留 置 術 に よ る 鼓 膜 の 萎 縮 石 灰 化 抜 去 ・ 脱 落 後 の 穿 孔 残 存 な ど
が 問 題 と な る 口 蓋 裂 症 例 は 耳 管 機 能 が 不 良
で 乳 突 蜂 巣 の 発 育 も 抑 制 さ れ て い る た め , 非 口 蓋 裂 症 例 よ り 低 年 齢 か ら 鼓 膜 チ ュ ブ を 行 う こ と が 必 要 と さ れ て い る ま た 短 期 の チ ュ
プ 留 置 期 間 で は 再 発 も 多 く 長 期 留 置 が 必 要 で あ る が 必 然 的 に 穿 孔 残 存 の り ス ク は 高 く な る . 鼓 膜 穿 孔 の 残 存 は 聴 力 低 下 を き た し
両 耳 の 難 聴 は 言 語 発 達 の 遅 れ を 生 じ る 可 能 性 が あ る 残 存 し た 場 合 , 穿 孔 閉 鎖 術 を 要 す る
ま た チ ュ ブ 留 置 を 反 復 す る 場 合 鼓 膜 の 癒 着 や 萎 縮 , 石 灰 化 に よ り 2 回 目 以 降 の チ ュ ブ 留 置 は 技 術 的 に も 難 し く な り 鼓 膜 の 非
薄 化 に よ る 穿 孔 残 存 の 危 険 性 も 上 が る . 患 者 自 身 の 負 担 医 療 経 済 を 考 え る と い か に で
き る だ け 少 な い チ ュ プ 留 置 回 数 で OMEを 治 癒 さ せ チ
プ 抜 去 後 の 穿 孔 残 存 率 を 下 げ る か が 臨 床 で の 課 題 と い え る そ の た め , チ ュ
プ 抜 去 の 時 期 が 重 要 に な る
1 チ ュ ブ 施 行 率
今 回 全 口 蓋 裂 症 例 ( 206例 ) の う ち 45.l % ( 93
18
20×20 例 ) が チ ュ プ 留 置 を 経 験 し て お り そ の う ち 92.5 % ( 86 例 ) が 両 耳 に チ ュ プ 留 置 が 行 わ れ て い た 口 蓋 裂 症 例 の チ ュ ブ 施 行 率 に つ い て は , 前 田 ら 6 は 60.9% 小 河 原 ら 7 I土
住7.3% と 報 告 し て い る 口 蓋 裂 症 例 で は 半 数 近 く が チ ュ ブ 留 置 を 必 要 と す る OMEに な る と 考 え ら れ た 乳 幼 児 期 の 難 聴 は 正 常 な 言 語 発 達
認 知 や 情 緒 発 達 に 悪 影 響 を 生 じ う る が
Val tonen H8 > ら は 口 蓋 裂 例 に 対 す る 早 期 の チ ュ
プ 留 置 は 聴 力 を 改 善 す る こ と に よ り 非 口 蓋 裂 児 と 差 が な く , 予 後 を 良 好 に す る と 報 告 し た 口 蓋 裂 児 に お い て は 中 耳 炎 が 必 発 と 考 え 口 蓋 形 成 術 時 に は 全 例 に 鼓 膜 チ ュ プ 留 置 術 を 行 う 方 針 と す る 意 見 め が あ る 方 チ ュ
ブ 留 置 後 の 後 遺 症 と し て 穿 孔 性 中 耳 炎 や 真 珠 腫 中 耳 炎 が 多 く み ら れ る 報 告 10 ) や ノレ チ ン な チ ュ ブ 留 置 は 利 益 が な い と い う 報 告 11 I >
も あ る 小 河 原 ら 7 は 口 蓋 裂 児 の 鼓 膜 チ ュ
ブ 留 置 を 行 わ な か っ た 症 例 で も 成 長 し て 90
% 以 上 が OMEな し の 状 態 に な る こ と よ り 全 例 に
20×20
チ ュ ー ブ 留 置 を 行 う こ と は 賛 成 で き な い と 述
べ て い る 自 験 例 で も チ ュ プ 施 行 率 は 約 半
数 で あ っ た こ と や 施 行 例 の う ち 約 1 割 が 穿
孔 残 存 に な る こ と よ り 口 蓋 裂 症 例 全 例 に 必
ず し も チ ュ
れ る
チ ュ ー ブ 留 置 時 の 年 齢 は 非 口 蓋 裂 症 例 で は ブ 留 置 は 必 要 で は な い と 考 え ら
5
〜
6 歳 の 頻 度 が 高 い 4 ) 12‑14 ) と す る 報 告 が多 い が , 自 験 例 で は l 歳 時 留 置 が 74.3
% (
133 耳|)と 大 部 分 を 占 め て お り , 非 口 蓋 裂 症 例 に 比 較
し て 0肥 の 発 症 が 早 い こ と が 推 察 さ れ た . そ の
た め 口 蓋 裂 症 例 で は チ ュ ブ 適 応 の あ る 症
例 に は 早 期 の チ ュ ブ 留 置 が 望 ま し い と 考 え
ら れ る 乳 児 期 か ら 定 期 的 な 注 意 深 い 診 察 を
行 う こ と が 重 要 で あ る と 考 え ら れ た
チ全
プ 施 行 例 179耳 中 の 再 留 置 例 は 39 耳
( 21. 8 % ) , 経 過 良 好 例 は 118耳 ( 65. 9 % ) , 穿 孔 残 存
例 は 22 耳 ( 12. 3
%
で あ っ た チプ の 留 置
回 数 は 平 均 1.34回 ( 1
〜
6 回 ) で あ っ た . 非 口蓋 裂 症 例 の 穿 孔 残 存 率 は , 高 研 A タ イ プ ( 内
20
径 LO mm ) は 11.1 % 15 ,> Paparella E 型 チ ュ プ ( 内
径 1.5皿 は 15.3 % 4 19. 6 % 16 ) , 高 研 B タ イ プ
( 内 径 1.2皿 ) は 9.4 % 12 ) の よ う に 10 % 前 後 の
報 告 が 多 く , 自 験 例 と 同 様 の 値 で あ っ た
2 チ ュ ブ 留 置 期 間
l 歳 時 留 置 群 の 平 均 留 置 期 間 の 検 討 で は 再 留 置 例 , 経 過 良 好 例 お よ び 穿 孔 残 存 例 の 3 群 の 留 置 期 間 に 有 意 差 が 認 め ら れ た こ れ よ
り l 歳 時 に チ ュ ブ を 留 置 し た 場 合 は 再 留
置 例 の 22.3土 2.4か 月 で は 不 十 分 で あ り , 経 過 良
好 例 の 32.6 ± 1. 9か 月 が 望 ま し い 留 置 期 間 と 考 え
ら れ た し か し , 穿 孔 残 存 例 の 43.9土 4.1か 月 は 超 え な い よ う に す る の が 望 ま し い と 考 え ら れ
た . 次 に , l 歳 時 留 置 群 に お け る 留 置 期 間 別 の チ ュ ブ 再 留 置 率 と 穿 孔 残 存 率 の 検 討 か ら チ ュ ー プ 再 留 置 率 が 有 意 に 低 下 す る 37 か 月 以
上 が 望 ま し い 留 置 期 間 と 考 え ら れ た . ま た 穿 孔 残 存 率 が 高 く な る 傾 向 の 49 か 月 以 上 の 長
期 留 置 は 避 け る こ と が 望 ま し い と 考 え ら れ た
こ れ ら の 結 果 よ り 口 蓋 形 成 術 時 に チ ュ ー ブ
留 置 術 を 施 行 し た 場 合 の 口 蓋 裂 症 例 に お け る
OME の チ ュ ブ 留 置 術 の 初 回 の チ ュ ブ の 適 切
な 留 置 期 間 は 37 〜 42 か 月 と 考 え ら れ た
笹 村 ら 9 ) は 口 蓋 形 成 術 時 に チ ュ ブ 留 置
術 を 同 時 施 行 し た 症 例 を 報 告 し て お り , 高 研
B タ イ プ 使 用 の OME32 耳 ( 平 均 留 置 期 間 24.7土 8.6
か 月 ) で は 再 留 置 例 34.4% , 経 過 良 好 例 56.2%
穿 孔 残 存 例 9.4% で あ っ た 自 験 例 と 比 較 す る と 再 留 置 率 が 高 い 印 象 で あ る が , 自 験 例 よ り
平 均 留 置 期 聞 が 短 い こ と が 影 響 し て い る と 考 え ら れ た 非 口 蓋 裂 症 例 で は , 歌 橋 ら 13 ) は 小 児 渉 出 性 中 耳 炎 ( 平 均 留 置 期 間 21.5か 月 ) に お け る 留 置 期 間 別 の 再 留 置 率 は , 12 か 月 未 満
は 31 % 12 〜 17 か 月 は 19.4% 18 〜 23 か 月 は 12.3
% ' 24 か 月 以 上 は 1.7 % で あ り , 有 意 に 再 発 率 が 低 下 し た 18 〜 24 か 月 以 上 の チ ュ ブ 留 置 が
有 効 と 報 告 し た 自 験 例 の 口 蓋 裂 症 例 で は 留 置 期 間 25 〜 36 か 月 で も 再 留 置 率 は 35.7 % と 高 く
口 蓋 裂 で は 難 治 例 が 多 い と 考 え ら れ た . 他 に も 非 口 蓋 裂 症 例 で は 留 置 期 聞 が 18 か 月 以 上 に
22
な る と 再 発 率 が 低 下 す る 報 告 が 多 く 松 原 ら は 18 か 月 以 上 山 口 ら 14 ) は 19 か 月 以 上
か っ 36 か 月 以 下 の よ う に 適 切 な チ ュ ブ 留 置 期 間 を 報 告 し て い る い ず れ も 自 験 例 の 結 果
よ り も 短 い 留 置 期 間 で あ り , 口 蓋 裂 症 例 は 非 口 蓋 裂 症 例 よ り チ ュ
考 え る
ブ の 長 期 留 置 を 必 要 と
幼 児 期 留 置 群 の 検 討 で は 経 過 別 の 平 均 留 置 期 間 に は 有 意 差 は 認 め ら れ な か っ た . 理 由 と
し て 1 歳 時 留 置 群 は 留 置 時 期 が ほ ぼ 同 一 で あ る の に 対 し , 幼 児 期 留 置 群 は 留 置 時 期 に ば ら
つ き が あ り , 鼓 膜 の 状 態 や 耳 管 機 能 に 個 人 差
が あ る た め と 考 え ら れ た l 歳 時 留 置 群 と 幼
児 期 留 置 群 の 経 過 良 好 例 の 平 均 留 置 期 間 の 比 較 で は , l 歳 時 留 置 群 32.6土 1.9 か 月 , 幼 児 期 留
置 群 21.4 ± 2. 2か 月 で あ り こ れ ら の 聞 に 有 意 差 を 認 め た こ の こ と よ り 幼 児 期 留 置 群 の 適 切 な
留 置 期 間 は 具 体 的 に 明 確 で は な い が , I 歳 時
よ り も 留 置 期 間 を 短 く す る 必 要 が あ る と 考 え ら れ た 口 蓋 裂 症 例 に お い て も 成 長 と と も に
耳 管 機 能 が 成 熟 す る , 上 気 道 感 染 に 対 す る 免 疫 応 答 が 良 好 と な る , 口 蓋 形 成 術 後 で 耳 管 咽
頭 口 の 汚 染 も 軽 減 す る な ど の 理 由 に よ り , 短 い 留 置 期 間 で 0肥 が 改 善 す る と 推 察 さ れ た . 幼
児 期 留 置 群 の 経 過 良 好 例 の 平 均 留 置 期 間 21.4土
2. 2か 月 は 非 口 蓋 裂 症 例 の 報 告 12,13 ) 16 ) と ほ ぼ
同 様 の 結 果 で あ っ た こ の よ う に 口 蓋 裂 症 例 の 場 合 , チ ュ ブ 留 置 術 の 施 行 時 期 に よ っ て 適 切 な 留 置 期 間 を 変 え る 必 要 が あ る と 考 え ら れ た
3 チ ュ プ の 脱 落 原 因
チ ュ ブ 留 置 期 間 中 に 図 ら ず も 早 期 に 感 染 に よ り 脱 落 あ る い は 自 然 脱 落 し て し ま う ケ ー ス も 少 な く な い 1 歳 時 留 置 群 ( 133耳 )
を 対 象 に し た 脱 落 原 因 の 検 討 で は , 感 染 脱 落 群 は 13 耳 ( 9. 8 % ) , 自 然 脱 落 群 は 76 耳 ( 57. 1 % ) '
良 好 抜 去 群 は 44 耳 ( 33. 1 % で あ っ た 感 染 脱 落 群 と 自 然 脱 落 群 を 合 わ せ て 感 染 + 自 然 脱 落 群 と す る と 全 体 の 66.9% を 占 め る 結 果 で あ っ
た . 良 好 抜 去 群 の 平 均 留 置 期 間 は 49.3 ± 2. 0 か 月
24
と 長 く , 穿 孔 残 存 に な り や す い 結 果 に な っ た こ れ は 今 後 改 善 の 余 地 が あ る 今 回 の 検 討 か
ら 37 か 月 の 留 置 を 超 え た 場 A口 ,、 抜 去 を 検 討 す
る こ と で 穿 孔 残 存 を 少 な く す る こ と が 出 来 る と 思 わ れ る 感 染 + 自 然 } 脱 落 群 の 平 均 留 置 期 間 は 22.6 ± 1. 3か 月 と 良 好 抜 去 群 に 比 べ て 有
意 に 短 く チ
ブ の 再 留 置 率 も 高 い 結 果 で あ っ た
4 チ ュ ブ 再 留 置 の 増 悪 因 子
女 児 , 両 唇 顎 口 蓋 裂 , 乳 突 蜂 巣 面 積 の 小 さ い 症 例 は チ ュ ブ 再 留 置 に な り や す い と い う
結 果 と な っ た 性 別 は チ ュ ブ 留 置 を 施 行 し た 難 治 性 小 児 0肥 は 男 児 が 多 い と す る 報 告 が 多 い 13 ) 15, 16 ) . 理 由 と し て 幼 小 児 期 の 感 染 症 が 男
児 に 多 い こ と か ら 上 気 道 感 染 ( 副 鼻 腔 炎 な ど を 起 こ し や す く OMEが 遷 延 化 し や す い た め 17,18 )
と 考 え ら れ て い る し か し 今 回 の 検 討 で は ,
チ ュ ー ブ 施 行 率 に 性 差 は 認 め ら れ な か っ た が チ ュ プ 再 留 置 率 の 検 討 で は 女 児 の 方 が チ
:::z.. ブ の 再 留 置 例 が 多 い 結 果 で あ っ た 藤 田
ら 17 ) は , 難 治 性 OMEの 病 因 と し て 耳 管 障 害 と
炎 症 ( 副 鼻 腔 炎 な ど ) の 因 子 が あ り , 耳 管 機 能 検 査 の 結 果 , 高 度 の 耳 管 障 害 は 男 女 に 等 し く 認 め ら れ る . 加 え て 男 児 は 炎 症 合 併 例 が 多
い た め 炎 症 に 対 す る 積 極 的 な 治 療 が ま ず 必 要 で あ る が , 女 児 は 男 児 と 比 較 す れ ば 耳 管 障 害 型 の 割 合 が 相 対 的 に 多 い た め チ ュ ブ 留 置 を ま ず 考 慮 す べ き と 述 べ て い る 口 蓋 裂 症 例 で
は 副 鼻 腔 炎 よ り 耳 管 機 能 障 害 の 方 が 優 位 に OME
の 難 治 化 に 関 わ っ て い る と 考 え ら れ る . 今 回 の 結 果 よ り 口 蓋 裂 症 例 に お い て は 男 児 よ り 女 児 に 耳 管 機 能 障 害 が 強 い 可 能 性 が 考 え ら れ た 裂 型 の 検 討 で は 裂 型 別 の チ ュ ブ 施 行 率
に 有 意 差 は 認 め ら れ な か っ た 裂 型 別 の チ ュ ブ 再 留 置 率 の 検 討 で は 両 側 唇 顎 口 蓋 裂 群 は 口 蓋 裂 群 お よ び 片 側 唇 顎 口 蓋 裂 群 と の 有 意 差 を 認 め 両 側 唇 顎 口 蓋 裂 は チ ュ ブ の 再 留
置 例 が 多 い と い う 結 果 で あ っ た 口 蓋 裂 片
側 唇 顎 口 蓋 裂 , 両 側 唇 顎 口 蓋 裂 の 順 に 裂 が 大 き く な る に つ れ て 口 蓋 帆 張 筋 や 口 蓋 帆 挙 筋 の
26
形 態 異 常 が 高 度 と な る こ と や 耳 管 咽 頭 口 の 汚
染 の 機 会 も 多 く な る こ と よ り 耳 管 機 能 障 害 が 強 く な る こ と が 推 測 さ れ た 小 河 原 ら 7 lま
裂 が 大 き い ほ ど 初 診 時 の OMEの 頻 度 が 高 い 傾 向
が み ら れ た と 報 告 し て い る
乳 突 蜂 巣 面 積 の 検 討 で は , 3 歳 時 に 撮 影 し
た 側 頭 骨 レ ン ト ゲ ン で 乳 突 蜂 巣 面 積 を 計 測 し | 再 留 置 例 の 乳 突 蜂 巣 面 積 が 経 過 良 好 例 よ り も 有 意 に 小 さ い 結 果 で あ っ た こ れ よ り 乳 突 蜂 巣 面 積 が 小 さ い と チ ュ ブ 再 留 置 に な り や す
い と 考 え ら れ , 乳 突 蜂 巣 面 積 の 大 き さ は OMEの
予 後 の 予 測 に 役 立 つ と 考 え ら れ た Sade J19
は 乳 突 蜂 巣 面 積 が OMEの 予 後 と 関 連 し て い る と
報 告 し て お り , Kobayashi H20 は 1 歳 時 に 撮 影 し
た レ ン ト ゲ ン で 乳 突 蜂 巣 面 積 が 小 さ い 症 例 は 予 後 が 悪 い た め 積 極 的 に チ ュ ブ 留 置 を 施 行 す べ き と 報 告 し て い る
今 回 の 研 究 で は , 口 蓋 裂 症 例 の 渉 出 性 中 耳 炎 に お け る 適 切 な チ ュ プ 留 置 期 間 を 中 心 に 検 討 を 行 っ た 口 藁 裂 症 例 で は チ ュ ブ の 長
期 留 置 が 必 要 な 結 果 と な っ た が , 途 中 で 脱 落
し て し ま え ば 目 標 と ーす る 適 切 な チ ュ ブ 留 置 期 間 ま で 留 置 が で き な い 自 然 脱 落 を 防 ぐ こ
と は 難 し い が , 留 置 期 間 を 延 長 す る た め に
感 染 時 の 適 切 な 治 療 や 定 期 的 な チ ュ ブ 周 囲 の 痴 皮 の 清 掃 を 長 期 的 に 行 フ .,」、 と や 自 院 の み で 不 十 分 で あ れ ば 積 極 的 に 近 隣 の 耳 鼻 咽 喉 科 医 と 連 携 し な が ら 診 療 に あ た る な ど 良 質 な チ ュ ブ 管 理 を 提 供 す る .、,」 と も 重 要 と 考 え ら
れ る
ま と め
1 月 よ り2004年 12 月 ま で の 聞 に 昭 和 大 学 病
院 に て 口 蓋 形 成 術 を 受 け た 口 蓋 裂 症 例 の 206例 412耳 を 対 象 と し 渉 出 性 中 耳 炎 の チ ュ ブ 症 例
に つ い て 検 討 を 行 つ た
11. 口 蓋 裂 症 例 ( 206例 ) の 45.1% ( 93 例 ) が チ ュ ブ 留 置 を 経 験 し て い た
チ ニL ブ 留 置 の 時 期 lま 口 蓋 形 成 術 と 同 時 施
行 し て い る 症 例 が 74.3 % を 占 め た
28
口 蓋 裂 症 例 の 場 合 チ ュ プ 留 置 時 の 年 齢
よ っ て 適 切 な 留 置 期 間 を 変 え る 必 要 が あ る
口 蓋 形 成 術 時 に チ ュ ブ 留 置 し た 症 例 の 場 合 は 初 回 の チ ュ プ の 適 切 な 留 置 期 間 は 37
42 泊五 月 と 考 え ら れ た 口 蓋 形 成 術 以 降 に
チ ュ ブ 留 置 し た 症 例 の 場 合 は 歳 時 留 置
群 の 適 切 な 留 置 期 間 の 検 討 結 果 よ り 留 置 期 聞 を 短 く す る 必 要 が あ る
あ
. 脱 落 原 因 は , 感 染 脱 落 9.8% ' 自 良 好 抜 去 33.1% で あ っ た
チ ュ ブ 再 留 置 の 要 因 と し て 女 児 両 唇 顎 口 蓋 裂 , 乳 突 蜂 巣 面 積 の 小 さ い 症 例 が 挙
げ ら れ た
利 益 相 反
本 研 究 に 関 し 開 示 す べ き 利 益 相 反 は な い
30
文 献
宇 田 川 晃 一 口 唇 口 蓋 裂 の 治 療 − 日 本
医 事 新 報 2001 ; 4031 : 33‑36
田 坂 康 之 佐 藤 宏 明 JI I 野 通 夫 ほ か 口
蓋 裂 と 耳 疾 患 日 口 蓋 誌 1986 ; 11 (2) 206‑212
小 林 女 口 蓋 裂 と 渉 出 性 中 耳 炎 小 児 耳
鼻 2001 ; 22 (2) 77‑78
4) 岩 城 詠 子 斎 藤 武 久 , 斎 藤 等 ほカ= 小 児
lを お け る 鼓 室 内 チ コ. ブ 抜 去 後 の 鼓 膜 穿 孔
耳 鼻 臨 床 1993 ; 補 63 67‑73
仲 野 敦 子 , 有 本 友 季 子 , 工 藤 典 代 小 児
主をけ る 鼓 膜 換 気 チ ;:z. ブ 留 置 後 の 後 遺 症 に 関
す る 検 討 Oto] Japan 2009 ; 19(5) 649‑653
6) ミ.円1J 田 ~. 宮 原 孝 和 中 川 文 夫 ほカ= 当 院
口 蓋 裂 術 後 児 に お け る 渉 出 性 中 耳 炎 の 経 過
岡 山 済 生 会 総 合 病 院 雑 誌 1996 ; 28 49‑52
小 河 原 昇 松 島 明 美 南 部 多 加 子 当 セ ン
タ に お け る 口 蓋 裂 児 の 渉 出 性 中 耳 炎 の 検 討
小 児 耳 2011 ; 32 1 86‑90
Dietz A , Qvarnberg Y Long‑Term Clinical , Audiologic 1 ,
and Radiologic Outcomes in Palate Cleft Children Treated with Early
| 円 四
1pan国os回to開my for Otitis Media with Effusion A Controlled Prospective Study2005 115 1512‑16
9) 笹 キナ 佳 美
石 ) 1 J 浩 太 良日 , 菊 池 恒 , lま 台、 口
蓋 形 成 術 時 鼓 膜 換 気 チ ユ
一
プ 留 置 術 を 施 行し た 症 例 の 検 討 児 耳 2012 33 6‑11 lO)Sheahan P , Blayney AW , Sheahan刀4 et al Sequelae of otitis
media with effusion among children with cleft lip and/or cleft palate Clin Otolaryngol Allied Sci 2002 ; 27(6) 494‑500
ll)Ponduri S , Bradley R , Ellis PE , et al The Management of Otitis
Media With Early Routine Insertion of Grommets in Children With Cleft Palate ー
A ̲Systematic Review The Cleft Palate‑Craniofacial Journal 2009 46
( 1 ) : 30‑38
12) 松 原 尚 子 稲 光 ま ゆ み 田 中 俊 良日 ほカョ 小 児 惨 出 性 中 耳 炎 の 予 後 に 関 す る 検 討 . 耳 鼻 , .
包005 ; 51 319‑324
13) 歌 橋 弘 哉 , 三 谷 幸 恵 , 社 富 彦 , ほ か . 小 児
渉 出 性 中 耳 炎 の 治 療 成 績 . 耳 展 . 1999 ; 42 (5)
493‑500
14) 山 口 晋 太 郎 . 小 児 渉 出 性 中 耳 炎 治 療 の た め
32