出席管理システムについて
著者 橋本 直樹, 花岡 郁安
雑誌名 東京家政大学研究紀要 1 人文社会科学
巻 45
ページ 177‑185
発行年 2005
出版者 東京家政大学
URL http://id.nii.ac.jp/1653/00009176/
出席管理システムについて
橋本 直樹1),花岡 郁安2)
(平成16年9月30日受理)
On the Attendance Management System
HAsHIMoTo, Naoki and HANAoKA,Kuniyasu
(Received on September 30,2004)
キーワード:出席システム,カードリーダ Key words:Attendance system, Card reader
1.はじめに
授業において学生の出欠を確認することは重要なこと で,その作業も大変である.各授業における受講人数に よりその作業量は異なり,数百名が受講する授業におい ては,毎回の出欠確認作業は膨大なものと思われる.ま た,受講者が50名以下の授業においても遅刻を含めた より厳格な出欠管理を行う場合の作業量も多く,授業内 および授業後の集計に費やす時間をなるべく軽減するこ とが望まれる.出席状況を把握するということは,個人 の学業成績にも反映するため,単に事務処理的なもので はなく,授業の一環として捉えることもできる.出席管 理は,教室への入室管理と似ているが若干異なるとも考 えることができる.例えば,情報処理教室へ入室した人 がその特定の授業を受講するかどうかは不明であり,こ れは一般教室でも同様であるので入室管理と出席管理は 必ずしも同一視できない.従って,入室管理から得られ
るデータを成績に反映させることには疑問を持っ.しか し,これまで,なぜ出席をとらなければいけないのかと いう教育学的あるいは学問的な研究は余りなく,本稿で も扱わない.
現在,出欠管理は担当教員に任されており,そこでは 出席カードを利用したり,点呼等のいろいろな工夫によ り運用されている.大学全体に出欠管理システムを導入 し,教員及び受講学生の出欠を管理することも現在のI T技術を用いれば可能であると思われるが,本論文にお いては各教員が,より簡単に出欠管理をする小規模シス
1)英語英文学科 第3英語コミュニケーション学研究室 2)英語英文学科 第1英語コミュニケーション学研究室
テムの方法を探る.
授業形態や受講人数により出欠管理システムの規模や 方法も異なると考えられる,本研究においては,カード
リーダを使用するシステムと,情報関連の授業で用いる ソフトウェアのみによるシステムを考える.ハードウェ アを用いても,またソフトウェアのみによる管理でも出 席状況を把握することの問題点は同じである.以下2節 においては,市販のカードリーダを用いた出欠システム の導入について述べ,3節ではソフトウェアのみによる 簡単な出席管理システムの構築を示す.4節でまとめと 議論を行う.
2.カードリーダを用いる出欠管理システム
カードを利用する出欠管理システムにも多くの種類が 存在する.最近はICチップを用いたICカードが重要視
され,各大学で導入されっっあるが,本学では現在磁気 カードの学生証を用いているので,これを利用したシス テムを用いるのが最も安価で容易であると考え,そのシ ステムを考察する.ここでは,各教員がなるべく簡単に 利用でき,また情報の専門家がいなくてもその運用が可 能であると思われるシステムを取り上げその評価を試み る.小規模な出欠管理システムはほとんど存在しないが 本論文では,はじめに市販のΣ授業管理システム1)を 用いて,その導入に必要な物の作成,また運用方法や形 態を議論する.このシステムは磁気カードリーダとその データを処理するパソコン上の授業出欠管理システムソ フトウェアから構成される.磁気カードリーダには充電 式の電池が内臓されておりそれ単体でも充電時間1時間 で,約24時間ほど動作する.また延べ1700人分のデー タを記録できる.パソコンとのカードリーダとのインタ
橋本 直樹・花岡 郁安
フェースはUSB接続で行い,同時に電池への充電もで きる.このシステムを構築するにあたり予め必要とする のは次のものである.
①授業識別用カード(JIS llカードにコードをエン コード)
②教員の受講生リスト(各授業毎及び,その教員 の受講生の全データ)
③各授業の時間帯,曜日,前期・後期・年間の区 別
授業識別用カードは,自分で定めたコードをエンコー ドする.大学で使用している各授業の「授業コード」を 用いてもよいが,桁数等の関係もあり本研究においては 自分で定めることにした.以下,この自分で定あたコー ドをカードコードということにする.このカードは業者 に作成を依頼し,JIS llタイプで定めたコードをエンコー ドしてもらう.授業識別用カードは作成するのに時間が かかり,また数が少ない場合はその単価もかなり高価な
ものになる.このカードは出欠を取る授業の数だけ必要 となる.一人の教員の場合でも最大十数枚必要になる場 合があると考えられる.本研究では25枚作成したが,
導入した本年度の前期に使用した授業数は4である.ま た,同時に本学と協定を結んで相互の授業の受講を可能 にしている他大学の学生用に25枚のカードも作成した が,もし使用する場合はこのカードを長期間その学生に 持たせることになり,学生にとって不便さが増すと考え 保留している.なお,この25枚のカードは授業識別用 にも使用できるように,コードをエンコードしている.
これらのコード設計を失敗すると後で面倒なことになる.
また,教員毎のカードは不要である.授業名および識別 コードだけで教員名も区別されるからである.
本研究で使用するカードリーダは,磁気カード対応の 機器のため本学の学生が使用している学生証を利用して 出欠を取ることを行った.当初,受講学生すべてに新た なカードを作成し学生証とは別にすることを考えたが,
費用がかさむこと,また学生がそのカードを忘れたり,
他人に貸与したりする危険性があるので,学生証が利用 できるのであればそれを使うという方針をとった,研究 目的という事由で大学事務によりその学生証に書かれて いるデータのフォーマットの一部を教えてもらい,また 本カードリーダでは,学生証内の学籍番号のみを利用す
るということの了承の下にその学生証にエンコードされ ているデータを利用することの許可を得た.
以上のいくっかの準備の下にカードリーダと「授業出欠 管理システム」を導入した.このソフトウェア「授業出 欠管理システム」は,カードリーダからのデータをパソ コン内に読み込み,それを集計・処理するソフトウェア である.中間出力のデータとして,CSVまたはXMLデー タのいずれか一方を選択できるのが特徴の1っである.
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滴 己 ウltり斡
照,
鱗
図1カードリーダ
「授業出欠管理システム」のソフトウェアには,管理 用パスワードが付けられており,その設定を行うには必 ずパスワードが必要となる.そしてこのパスワードは導 入時に定められており変更できない.しかし,通常の運 用の場合にはこのパスワードは不要である.パスワード を必要とする初期設定には,カード読取設定の他に,運 用期間の設定やシステムフォルダの設定,帳票設定など がある.帳票設定はExcelファイルとして授業出欠帳票 を出力するときに用いるフォーマットのことである.
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LV ・ 5は u鍔 v 褒 L 愚
購蟻ウイッケ敢り込み
豊嚢Σデータ琢㊨込み処理ウィザード
盤授業幽欠席箆録毘力 璽譲幾力済み帳票の保春
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鍔…舜徹}撫該ny灘騰諜灘騰畿}錨_
図2出欠管理ソフト・起動画面
次に,マスタデータの設定をする.この設定は,半年毎 または1年毎に行う必要があり,インストール時の初期 設定とは分けた方がよい.設定するマスタデータには,
「学生マスタ」,「授業マスタ」,「履修マスタ」の3種類 がある.「学生マスタ」は,出欠をとる対象の全学生の
「氏名」と「学生コード」などからなるデータである.
ここでは「学生コード」を「学籍番号」と同一視する.
学生を一意的に区別するものであれば「学籍番号」でな くてもよいが本研究では学生証のカード利用を行うため 学生番号として「学籍番号」を採用した.この学生マス
タには,授業ごとではなくすべての授業を受講する学生 を1っのファイルに登録しておくものである.追加があ る場合には,後で手入力でもできる.登録するデータは,
「学籍番号」,「氏名」,その他に学年や学科,氏名ふりが な等も登録可能であるが省いてもよい.
授業マスタは,出欠をとる授業数が多くない場合は,
設定画面で手入力すればよい.必要なデータは「授業コー ド」である.前述のように,「授業コード」には,大学 事務で定めた授業コードでなく,授業識別用に作成した カードコードを用いた.大学で定めている授業コードは,
毎年変わる可能性があるが,自前で作ったカードコード は,翌年同じコードを別の授業に利用できる利点がある.
前期と後期のカードコードの共有も同様である.
履修マスタは,各授業と学生マスタに登録された学生 の学籍番号を対応づけるものである.このファイルは,
各授業ごとのデータの「学籍番号(学生コード)」とそ の「カードコード(授業コード)」を必要とする.大学 事務より得られるデータにはカードコードはないので,
「カードコード」という項目を追加してマスタデータに カードコードを付ける.これは授業ごとの各登録学生す べてに付ける.基本的なデータ構造は次のER図で表す
ことができる.
学生マスタ 学籍番号 氏名
日常の運用手順は次のようにする.
①授業出欠管理ソフトをインストールしたパソコンとカー ドリーダをUSBコードで接続し,カードリーダを充 電しておく.
②カードリーダからUSBコードをはずし,授業に持っ て行く.同時に授業識別用カードも持参し,当該授業 用カードをカードリーダに通す.あるいは,研究室内 でそのカードを通してからカードリーダだけを持って いく.
③授業では,カードリーダを学生間で巡回させて出席 をとる.または,教員の目前において確認しながらカー ドリーダを使わせてもよいが,学生が列を作るなどの ことが起きる場合があるので注意する.
④授業終了後,あるいは1日の終わりに授業出欠管理ソ フトの入ったパソコンとカードリーダを接続して,図 2の「クイック取り込み」メニューまたは,「Σデー タ取り込み処理ウィザード」メニューからカードリー ダ内の出欠データをパソコン内に取り込む.
⑤集計をとりたいときは,授業出欠記録出力から当該の 授業を選択して印刷するとその集計結果が,Exce1形 式で印刷される.
以上の運用時のデータの流れを次の図式で示す.
匠・
履修マスタ カードコード 学籍番号
授業出欠管理システム
図3データ構造
..イ./
授業マスタ カードコード 授業名
/
ズ「薦7−1
フ7イル
図4 システム内のデータの流れ
橋本 直樹・花岡 郁安
本システムはデータベースがシステムフォルダ内に格 納され,エンドユーザからは隔離されている.通常のユー ザが扱うのは,「出力フォルダ」内のファイルで,そこ にはCSVファイルとExcelファイルが置かれる.
カードリーダ内の出欠データは,授業数がそれほど多く なければ半年分をまとめておくこともできるかもしれな い.しかし,安全性の観点から,授業でカードリーダを 使ったその日のうちにパソコンにデータを取り入れるの がよい.実際の運用は,本年度前期の4つの授業に対し て6月10日から運用した,受講人数は,それぞれ117,
98,86,72名の講義科目である.
運用時の注意点の一っに,学生マスタに登録されてい ない学生がその授業に出て,カードリーダに磁気カード を通してしまう場合があった.後で判ったことであるが,
その人は,早稲田大学の学生で,自分の大学の学生証を カードリーダに読ませてしまったのである.本学では,
早稲田大学の学籍番号は使用せず,本学独自の学籍番号 を割り振っているため早稲田大学の学生証に書かれてい ると思われる学籍番号と一致しないことがその原因であ る.なお,その早稲田大学の学生証はその誤って通して しまった以外,一切触れていないことをここに明記して おく.学生マスタに登録されていない学籍番号の学生が,
このように磁気カードを通したときは,図4のCSVファ イルの作成で止まってしまい,その後のデータベースへ の登録,Excelファイルへの出力ができない.このよう な場合,ログにエラーが表示される.この対処法が,導 入当初はよく分からずかなり困惑した.しかし,問題点 が判り,学生マスタに登録されていないそのデータをC SVファイルから削除して,図2の授業出欠管理システ ムの「Σデータ取り込み処理ウィザード」から,その修 正したCSVファイルを読み込むと以降の処理が実行さ れた.ただし,このCSVファイルの修正は,テキスト エディタにより行うことに注意する必要がある.
3.出席システムソフトウェアの構築
以下で,情報教員が「情報」に関する授業において用 いることが可能な出席管理システムを考察する.我々は,
学生がログイン時に出席管理システムを利用して,その 学生氏名などをデータベースに登録するシステムを構築
した.この節ではその詳細を述べる.
.Microsoft Windows上で,データベースにアクセスす る場合,DAO(Data Access Object)
やRDO(Remote Data Object), ADO(Active Data Objects)などがある.いずれもMicrosoft社が提供して
いるものであるが,最新のものは,ADONETが Windows XP上で使用できる. DAOやRDOは過去の 方法である.我々は,この中で,ADOを使ってシステ ムを構築した.ADOまたはADO.NETの方法では,リ モートであるか否かの区別がなく,ネットワーク接続し ているものに対して同一の方式でアクセスが可能となる.
最新の方法のADO.NETを使わない理由は,出席管理ソ フトウェアを稼動させる場所が授業用の共有フォルダの ため,Windowsシステムのうちの1っであるNet.
Frameworkのセキュリティシステムの働きによりその ままではその実行ができないことによる.セキュリティ を弱めると実行が可能であるが,そのためにはすべての 授業のセキュリティシステムを再構築する必要があり,
他の授業にその影響が生じてしまう.ADO.NETではな く,ADOによるデータベース接続のプログラムを作成 するには,Visual Basic Ver.6.0(以下VB6と略記する)
を用いる.したがってそのライブラリ等もすべてVB6 対応のものを使用する.
ADOによるデータベースへのアクセスは,データベー スの種類ごとに異なる「OLE DB プロバイダ」とい うシステムにより実行される.このたあ,我々はデータ ベースとしてAccess2000を採用し,「Microsoft ADO Data Control 6.0(OLEDB)」というコンポーネントを VB6の中で用いた. SQLServerへの拡張も容易である が本稿では扱わない.ADOを用いると,アプリケーショ ンソフト(VBプログラム)から所定のデータベースへの レコードの更新,追加,削除などができる.しかし,我々 のシステムでは,データベースをイントラネット内のど こに設置してもよく,必ずしも固定する必要がない.従っ てそのデータベースのデータの更新等を行う場合,VB プログラムから実行する必要はなく,データベースその
ものを操作すればよい.
6プログラムー一一一一>ADO接続 コンボポックス
ata Bas
図5基本構成
Access2000
(Jet OLEDB 4.0)
本システムの基本構成は図5のような単純なものである が,このまま出席システムとして用いると他の学生への 成りすまし等の不正が行われる可能性がある.このため,
クライアントの「出席登録」の画面は,あらかじめ登録 された氏名をコンボボックスから選択するようにし,同 時にその動作が行われているパソコンのコンピュータ名 を自動的にデータベースに登録するようにする.また同 様に,その時刻も「分」の単位で正確に記録する.これ らの登録内容をいったん各自に確認をさせるがその時刻 表示はしない.もちろん,途中でキャンセルして出席登 録のプログラムを終了することもできるように構成した.
VBは,データベースヘデータの登録をする部分のみに 使用し,データベースでのデータの扱いは,Accessの 機能・操作に任せることにした.
臨籍鰯隈灘鐡鑛灘羅.
磯怠なの義叢を選んで下δい
…蔑鷲響豊無鞍vて下燦。、〉
ヂ………苗鶯
廻
図6 起動画面
_____」
の授業では種々の事由から学生の席を固定するのでこの 方法は大変有効である.これはコンピュータ名と学生の 席が1対1対応しているためで,あらかじめすべてのコ ンピュータ名を調べておけばよい,しかし,パソコンの 不調により席を変更する場合もあるので,その時は,そ の場所を紙面等に記録しておくことが必要になる.また,
出席登録の時間を集計の段階で処理できるので,遅刻の 取り扱い方も柔軟な対応ができる.ただし,データベー ス(Access2000)の操作で,単純なクロス集計クエリーだ けでなく,他のもう少し複雑な操作ができる技術を持っ ている必要がある.図8は,本システムのプログラム内 容をUML(Unified Modeling Language)によるクラ ス図を記述したものである.
この図はシステムの静的な構造を表すもので「Com Name」のクラスの「属性」と「操作」を示す.「+」は
「Public属性」,「一」は,「Private属性」を表す.コン ボボックスをクリックして(Combo1_Click),その中の
氏名 を選択することによりプログラムは進行する(図 6参照).その 氏名 には,正確には「前に下3桁の学籍 番号がっいた氏名」が表示される.次のステップで,学 籍番号付の氏名から,氏名の部分のみを切り取り,
氏名越.澗違いあ弓窪せんか・
隔一… 團
tue=G艶纂鑑
一cn:Cenoection
−rs:Rocoピdset 憂GetCornNerneO
−Combo1−Click()
℃ommand董.CliokO
−bommand2−ClickO
−Command3 Gliok()
・榊秩Forr罰 Aciしiv{馨te(}
−Form.し08dO
−Form_Unlo{葦d{〉
図7 氏名選択後の画面
VB6でコンピュータ名を取得するには, API
(Application Program Interface)を用いる.これは,
ダイナミックリンクライブラリに用意された関数を,
VB 6などの他のプログラムから呼び出してその機能を 利用する方法である.Visual Basic.NETの場合は,固 有のプログラム命令だけでコンピュータ名を取得できる がその前のバージョンによるシステム開発ではAPIを 用いる,コンピュータ名を登録すると,同じパソコンか ら2人の氏名を登録した場合,データベースで集計する 段階で容易に発見できる.通常,我々の多くの「情報」
図8 クラス図
それが最終的にデータベースに登録される氏名となる.
すなわち,データベースに登録される氏名は,コンボボッ クスの中の学籍番号付の氏名で決定される.コンボボッ クスの氏名選択が終わると,内容確認の画面に変わる
(図7参照).ここでは,同じフォーム内の各コントロー ルオブジェクトの表示,非表示を切り替えている.氏名 を確認してもらうが同時にコンピュータ名,日付も表示 する.氏名を間違えた場合は,「まちがい」ボタンをク リックして前の画面に戻り再選択をし,強制終了する場 合は「キャンセル」を選択する.その内容確認の画面で,
橋本 直樹・花岡 郁安
確認画薗
初期画聞
コンボボックス
OK
隠しフオルダ
図9 内容の変更がない場合は,「OK」ボタンをクリックす
るとデータベースへ「氏名」,「日付」,「時間」,「コンピュー タ名」が登録される.データベースは排他処理をするが,
多数の人が全く同時に出席登録することは,極めて稀で あるので,この処理に時間がかかることはほとんどない.
システム運用上の注意点として,時刻の登録に各クライ アントのパソコンの内臓時計を用いているので,その内 臓時計を全ユーザのパソコンで一致させる必要がある.
これは,通常は,ログイン時にサーバと時間の同期をと ることで実行できる.これを行っていないシステムの場 合でも,VBを用いてその同期をとるプログラムを簡単
に作成できる.
データの流れ
サーバ上の共有フtルダ
「剃u配ヲ季フ」ゲー一「
1 1
1 0
1 1
曇 1 5
データベース
フtルダ
出席システムi
i(v8)i AD。 i i
し・●一___一_一臨陣繭伽_獅噸胃7_冒,
難鑓
ACGO8ε2000
一一一__一一一H−一一H_.一一._.」_________一一一一r膚禽 一__一..一一.一.一一一一一Hma
図10 出席システム概念図
図10は実際に運用したシステム図である.狭山校舎の 情報教室は,すべて授業ごとのアカウントでログインす
る.
その際,サーバ上の共有フォルダをその授業ごとに割り 当てる仕組みになっており,1つの授業のアカウント でログインしている間は,他の授業用の共有フォルダは 割り当てられない.従って,個々の授業のみが共有フォ ルダ上に存在するように見える.これを利用して,我々 の出席システムを特定の授業の共有フォルダのルートに 設置する,学生に誤って消去された場合に簡単に対応で きるように出席システムのショートカットをそのルート に置いてもよいが,その必要はなかった.また,出席シ ステムからADO接続によりデータを出力されるAccess のデータベースは,その授業用の共有フォルダ内に,別 にサブフォルダを作成し,その中に格納しておく.そし てそのサブフォルダに「隠しフォルダ」属性を付けて,
学生から見えないようにする.データベースの配置をもっ と安全な場所に設定することも可能であるが,簡便さか らは上記の方法がよい.
授業用共有フォルダ上の出席システムソフトから Access 2000のデータベースにADO接続により書き込ま れるデータは,「学生氏名」,「コンピュータ名」,「日付」
なので,Access 2000では,1っのテーブルで対応でき る.それらに対応するフィールド名をテーブルに作成し ておき,またデータ型を設定する.Access 2000ではデー タ入力はしなくてよいが,修正する場合は,直接Access を開けてデータを直すことができる.出席集計は,主に クロス集計クエリを用いる.氏名と日付の項目に対して カウントする.また,特定の条件の人に対してだけクエ リを作り,その出席状況を調べることが可能で,例えば 遅刻が多い人たちの調査にも利用できる.
このようにして,作成した出席システムを本年度前期
の1っの授業「プログラミング演習2」で試験的に運用 を行った.4年生の授業なので,就職活動・教育実習の ため出席がまちまちで,その出席状況を正確に把握した いからである.その結果は,学生自身がその登録を忘れ ないように注意すれば十分満足する結果が得られた.ま た,集計は各授業の終了後あるいは前期の終了時点で実 行できるが,これを行うには,安全のため隠しフォルダ の中のAccessデータベースを自分のパソコンにコピー
して実行した方がよい.実際には光磁気ディスクにコピー したが,ファイル容量はそれほど大きくないためFDで
も対応できる.
運用上の問題点は,人数がかなり多い授業に使用する と,同時アクセスができなくなる恐れがあることである.
これは,データ伝送速度とWindowsの処理速度が関連 するので,他の共有ソフトでも同様であり,狭山校舎の 場合,数十名位ならばほとんど同時にアクセスすること が可能である。本システムは,プログラムの中に受講す る学生名簿を記述するので,前期に運用すると4月の時 点では受講者が確定していないため,毎回そのプログラ ムを変更しコンパイルし直す必要がある.この作業は,
「Combo1.Addltem 番号氏名 」という命令を追加し て受講者リストを増やすだけなので容易に再作成できる.
一方,後期の授業に利用する場合は,受講者リストは4,
5月のうちに定まっているので運用に支障はない.
これを改善する試みとして,受講者名簿をテキストファ イルの形式にして出席システムのプログラム内に読み込 むようにプログラムを修正することが考えられる.この 変更は容易に行えるが,その場合,いろいろな授業や受 講者に簡単に対応できる反面,処理速度が遅くなり,同 時アクセスするときにシステムがダウンする可能性が高 くなるので余り好ましくない.もし複数の授業でこのシ ステムを用いる場合には,データベースは授業ごとに存 在する.しかし授業毎のデータベースを一っのデータベー
スにインポートして一括して扱うこともできる.また,
Web上に出席システムを構築3)して,そこからデータ ベースへの登録をすることも考えられる.その場合セキュ
リティを厳格にしないと危険性が生じる.たとえば,本 システムに対しては,どこからでもアクセスできるので 他の場所にあるコンピュータを授業用のコンピュータ名
と同じにすることにより不正行為が可能となる.従って Webで使う場合は,個人ごとの「アカウント」,「パス ワード」による認証が必要となる.このパスワードの管
理・運用には大変労力を要し,教員個人で実行するのは 不可能である,従って,e一ラーニング等では,このよう な出席システムをWeb上で実施することが必要である が,現在の形態による通常の授業ではWeb上に出席シ ステムを構築する必然性はないと考える.
4.まとめと議論
前2節で,ハードウェアを併用する市販の出欠管理シ ステムとソフトウェアによる自前のシステムの詳細を述 べた.いずれも,学生の出席状況を把握するためのシス テムであり,その授業に出席した学生氏名とその時間を 記録して集計する点は同じである.前者は,主に講義科 目に用いるが,後者はIT教育授業用である.以下では それぞれのまとめと注意すべき点を列挙する.
はじめに,2節で述べた授業出欠管理システムについて は次のようなことがわかった.
①人数80名ほどの授業においてはカードリーダを 授業内を巡回させて出席を取る方法がよく,その 場合約10分間位の時間がかかる.この場合,遅 れて出席をする人には,定められた場所に置いて カードを通させる.はじめから,定めた場所にカー ドリーダを設置して利用する場合は,学生の列が 出来る場合があり,時間を無駄に浪費する.
②
③
④⑤
⑥
カードリーダから,パソコン本体ヘデータを取り 込む作業はなるべくその授業のあった日のうちに 行った方がよい.データ取り込みには,ほとんど 時間がかからないが,取り込んだ日付がファイル 名にも付くため,授業のある日と取り込み実行の
日は同一の方が管理しやすい.
カードリーダを使っていない場合には,パソコン とUSB接続をしておくとよい.そのとき常に充
電される.
日常の運用は,極めて簡単で,情報等の知識をほ とんど必要としないが,出力リストを作成する場 合は,Exce1の起動や印刷ができる位の知識が必 要である.
少し情報に関して専門的な人であれば,CSVファ イルの代わりにXMLファイルでシステムを運用 することもできる.この場合,データを他の用途 に使うこともできる.例えば,出席状況をHP上 に表示することなどが可能となる.
このシステムを導入するのに難しい点の一っは,
橋本 直樹・花岡 郁安
授業識別用のコード設計がある.この点はシステ ム導入業者が考えてくれないので,教員が設計し,
カード作成業者に作成依頼するためである.なお,
初回の授業出欠管理ソフトウェアのインストール 作業は業者が行ってくれる.
⑦運用上,難しいと思われる点はマスタデータを毎 年,或いは半年ごとに設定する必要があることで ある.業者はメインテナンスを行ってくれないの で,そのシステムを使用する側がこの設定を行う,
ただし,ほぼ定型業務と同じなので,一旦慣れて しまえば,その更新作業が出来ると思われる.こ れはマニュアル化することでも実現可能であろう.
⑧人数が極めて多い授業の場合,1っのカードリー ダでは対応できないと思われる.しかし,そのよ うな数百人の受講者の場合は,複数のカードリー ダを購入・ライセンス登録をすることにより1つ の授業出欠管理システムで扱える1).
⑨ある他大学では,このシステムを磁気カードでな く,ICカードで実現するということである.た だし,そのシステムは現在開発中ですぐ実現可能 とのことである2).
以上の点を考慮すると,カードリーダによる授業出欠 管理システムはそのマスタデータの設定を,情報技術を ある程度知る人にサポートしてもらうならば,十分実用 になるしシステムであると結論付けられる.
次に,3節で述べた出席システムソフトウェアによる 管理の場合,次のような点を指摘する.
(i)授業の受講人数が2〜30名位の場合は十分安 定して使用できる.もっと受講人数が増えたと きはまだ試していないが,同時に出席登録をす ることはほとんどありえないので,対応できる と思われる.情報の授業の受講人数は,パソコ ンの台数による上限がある.
(li)複数の授業で本システムを使う場合,共有フォ ルダへの教員のアクセス権が制限されているこ とにより,それぞれの授業フォルダ内に別々の データベースを設置する.これを共通化するた めには,アクセス権の変更が必要とされるが,
現在の狭山情報処理教室の授業管理体制では不 可能である.
(皿)データベースにそれほど熟達していない教員が
本システムを使うたあには,データベース操作 を簡単に行える外部ソフトを必要とする.これ はVBで作成することも可能であるが,ある程 度データベースを操作できる教員には不必要な ので現時点では作成していない.
(iv)ブラウザですぐに今までの出席状況を確認す るようにしたい,そのためには,WWWサー バを必要とするが,これは将来の課題である.
技術的にはすぐ実現できるが,プライバシー保 護の観点から他人の出席状況を見ることの是非 も考える必要がある.自分だけ見るようにする システムを構築することは,パスワード等の管 理も含めて複雑なものになる.
本出席システムは,IT技術をよく知る人が使用する ものであり,その運用もプログラム作成が伴う.したがっ てこのタイプのシステムを使いこなす人は,もっと良い システムを自ら作成することが可能であろう.このシス テムの構築は,そのような研究に役立てていただきたい という願いも込めている.
将来的に言えることは,このようなシステムの使用が 試験の採点と併用できる可能性がある点である.現在,
教員は試験問題の作成,採点を受け持って成績を付け,
その先は事務がその成績データを管理する.その教員の 部分にこのようなシステムで「出席点」を加味すること が簡単に出来る可能性がある.ただし,この場合答案用 紙がハード紙利用のマークシート方式となっているかま たは電子化されている必要がある.
出席を管理するシステムは,短時間にかっ正確に出席 状況を記録することができ,また集計も簡単に行うこと が可能である.ただし,いずれのシステムも受講学生の 名簿は必ず入力する必要があり,その部分は煩雑な操作 になる.この点は,そのことをよく知る人ないしは専門 家に依存することになる.将来,大学事務で作成するデー
タベースまたはその複製をそのまま利用するシステムが 構築されれば,受講生名簿の入力の問題は解決されるが,
セキュリティ対策を含めて考えるとかなり複雑なシステ ムとなるであろう.この場合,出席管理システムは大学 事務の処理システムの一部となる.セキュリティ対策に は,ICカードを用いて,各学生の机やパソコン等にそ れを読み取るリーダをつけることにより学生側にとって は非常に簡単なシステムとなり,より完全な出席管理に
近づくと考えられるが,その場合は,原点に戻って出席 をとる必要性の議論を行うべきである.
参考文献
1)Σ授業出欠管理システムマニュアル
2)日鋼情報システム株式会社(Private Communica−
tion)
3)Noriichi Ishida, Attendance System by Web Environment, Vol17,2004,
Bulletin of Computational Science Research Center, Hosei University
Abstract
In this paper, we consider two attendance systems. In the first, the card reader of the mag−
netic type is investigated. The availability of the system is highly excellent while we have tried the management system fbr a short time. Another system is tested to IT class. The method to treat the system would be hard to those who do not㎞ow the IT technology so well.