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防災教育拠点の必要性

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Academic year: 2021

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- 4 - 東海地震発生の危険性が指摘されてから, 何こともなく 20 年余が経過した。緊急予防 対策として着手した地震対策緊急整備事業 も,平成 12 年度から 4 回の延長を経て,また 新たに 1 兆 578 億円の 5 ヵ年(指定 6 県分) 整備事業が始まった。更に,阪神・淡路大震 災後に成立した「地震防災対策特別措置法」

による五箇年整備事業が平行して,一層充 実した対策事業が粛々と進められている。

ところでこうした箱物整備を担当する部 署では,整備事業を業務として取り扱って いるので,担当者が交替しても予算さえ確 保されていれば,いずれは事業を終了させ て責任をはたすことになる。しかし,これら 箱物の管理・運営となると,整備事業を担当 する部署と同じように,機械的な事務処理 では目的を満たすことは難しい。

さて,東海地震の対策推進にたずさわっ た当時の職員はすでに去り,新しい組織と 体制の中で防災対策が取られている。20 余 年前は防災を専門とする職種は無く,試行 錯誤を繰り返しながら対策が進められてき た。その後,北海道南西沖地震や阪神・淡路 大震災などの調査にもとついて,住民の安 全を確保する諸事業に着手したが,計画が 先行している状況である。また,地震予知に ついても研究の進展に伴って,前兆現象出

現に対応する行動も複雑となって,個人の 責任にまかされる部分が多くなった。

一方,耐震工法の開発や防災用品の普及 とは裏腹に,地域住民の防災意識が低下し, 行政へのニーズも変化してきた。家庭では 少子化,老齢化に加え独居化,そして家庭婦 人の就労化と,生活形態の多様化が予防対 策の実行を難しくしている。

この様な状況を踏まえ,防災対策を専門 とするポストに従事するといっても,防災 関係機関間の調整を図る業務,防災計画の 策定や応急計画の審査に当たる業務,建築 や構造物の耐震設計をする業務,通信訓練 や避難訓練を企画し実施する業務,地域住 民を対象に防災知識の啓発や自主防災組織 を育成する業務など,処理する事案は数え きれないほど多く複雑である。これらの業 務は担当するポストと責任によって,求め られる水準は変わるものの,理学,工学,社 会学などの知識が必要であって,単純に学 科目を積み上げただけでは対応できない。

強い地震を感じた時,担当者として災害 が発生する状況であるか,被害が発生して いるとすればどのような種類なのかを予測 して,必要があれば救援隊の派遣を要請し, 更に上部機関や相互支援協定先に対して応 援を求め,住民に対して避難指示や勧告の

●巻頭随想

防災教育拠点の必要性

富士常葉大学環境防災学部

井 野 盛 夫

学部長

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- 5 - 実施を市町村長に進言する。例えばこうし た業務の処理は,学校における修学と現場 の断片的な経験からでは,期待するレベル までに達することが難しい。

現在の教育体制において,防災について の研究業務は大学の専門課程等,技術と技 能業務が各種大学校や専門学校等において 修得できる。しかし,縦型社会で成り立つ我

が国では,多方面の分野を同時に取得でき る施設は無い。静岡県,兵庫県,岐阜県等の 地方自治体では地域の特徴を出しながら, 防災専門家を養成しているが満足できるも のではない。学際的な内容の研究・技術・技 能を,誰でも自由に受講・訓練できる国家レ ベルの組織と施設が欲しいと思っている。

・財団法人静岡総合研究機構防災情報研 究所所長

・静岡県立大学客員教授

参照

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