大阪ガス㈱の地震防災対策
藤 田 裕 介
■アブストラクト
大阪ガス㈱の地震予防対策は①予防対策②緊急対策③復旧対策の三本柱か らなる。予防対策すなわちすべての設備の耐震性を高くすると地震における 被害は極小化できる。しかし,この対策には時間と費用を要するため,現時 点で地震が発生すると被害が発生する。ガス事業者のミッションとして,安 全・保安を確保する必要があるため,緊急対策として被害甚大地区について はガスの供給を直ちに停止できるしくみを構築しておく必要がある。ガス事 業者のもう1つのミッションである安定供給を図るべく,停止したエリアの ガス供給を早期に再開したり,お客様に代替燃料の提供を行なう復旧対策も 推進している。
大阪ガス㈱では,兵庫県南部地震以降,地震対策5カ年計画にて緊急対策 を早期に完成させ,以降 予防・緊急・復旧対策をバランスよく継続して強化 している。
■キーワード
予防対策,緊急対策,復旧対策
1.都市ガス事業とは
ガス事業には①一般ガス事業②簡易ガス事業③LPガス販売事業がある。
都市ガス事業とは一般ガス事業をさし,大阪ガス㈱も含め全国で209事業者
*平成24年6月18日の日本保険学会関西部会報告による。
/平成24年10月1日原稿受領。
がガス事業法に基づき事業を展開している。
2.大阪ガスの概要
2.1 原料の調達
天然ガスは石油と同じく,世界各地で採掘されている。大阪ガス㈱ではこ れらの天然ガスを
LNG(液化天然ガス)の形で輸入している。近年,アメ
リカやカナダのガス田にて,シェールガスの権益も取得している。※
LNG(液化天然ガス):メタンを主成分とする天然ガスを冷却(−162℃)&圧
縮し液体としたもの液化石油 ガス法 ガス事業法
2,400万件 142万件 2,890万件
21,693 1,475
うち 公営8
209 うち 公営29
LPG
ボンベ 等 を,集 中(70戸 未 満)または個別に設置してガスを 供給LPG
ボンベを集中するなど,簡 易な設備でガスを製造,導管によ り供給(70戸以上の団地等に供給 地点を設定)LNG,天然ガスなどを主原料に,
工場でガスを製造,供給区域を設 定し,その区域内のお客さまに対 して導管によりガスを供給
LP
ガ ス 販 売 事業 簡易ガス事業 一般ガス事業=都市ガス
適用法令 お客さま数
事業者数 事 業 形 態
事 業 名
平成24年3月末現在 表1.1 ガス事業について
2.2 都市ガスの製造・輸送・供給
輸入した
LNG
は,製造所にて 海 水 を か け る 等 し て 気 化 し,高 圧(1MPa
以上)にて供給エリア全域に送出している。そしてガバナー(整圧器)にて段階的に圧力を落としつつ,最終一般のお客さま宅では約2KPaの圧 力でガスを供給している。
図2.2 都市ガスの輸送・供給について 図2.1 大阪ガス㈱の組織図
2.3 大阪ガス㈱の供給エリアと主要導管網
大阪ガス㈱は関西一円を供給エリアとしており,平成24年3月末時点で顧 客数は約700万戸,ガス管総延長は約60,000
km
である。3.業界としての地震対策
3.1 兵庫県南部地震以前
1978年に発生した宮城県沖地震をうけガス事業における地震対策のあり方 について答申がなされ,㈳日本ガス協会にて地震防災対策ガイドラインや各 種耐震設計指針も策定された。その後,1993年の釧路沖地震までの地震を経 て,ほぼ地震対策の原型ができていた。
3.2 兵庫県南部地震の振り返り(概要)
1995年1月17日5:46淡路島北端部,深さ14㎞を震源としたマグニチュー ド7.3の兵庫県南部地震が発生した。神戸市等阪神地域や淡路島北部の一部 にて震度階としては最大の震度7が観測された。二次災害防止のため都市ガ ス史上最大の86万戸の供給停止をおこなった。
図2.3 大阪ガス㈱の供給エリアと導管ネットワーク
⑴ 被害状況
製造所・供給所・高圧幹線の被害はなく,中圧もほとんど被害はなかった が,低圧はねじ継手等で多数の漏れが発生した。
全国の事業者から応援を頂き,最大時で155事業者から約3,700名,最大復 旧人数約9,700名,復旧延べ人数約72万人・日の応援を受け,地震発生から 85日間で復旧完了した。
3.3 兵庫県南部地震以降
兵庫県南部地震後,ガス導管に被害が発生する地震動(SI値60カイン以 上)では,即時にガスの供給を停止するという新たな基準が策定された。ま た,迅速にガスを供給停止できるよう,緊急措置ブロックを形成していくこ ととなった。また高レベルの地震動(レベル2)や液状化に対する耐震設計 指針も策定された。
その後,各事業者が耐震対策を進める中,2004年新潟県中越地震が発生し た。この地震では,耐震管の多いエリアでは被害が少なく,短時間でブロッ ク内の被害が軽微であることが確認できた場合,SI値が60カインを上回っ ても直ちにそのブロックのガスの供給を停止しなくてもよいという特例措置 が導入された。
図3.1 ガス設備と被害状況
4.大阪ガス㈱の地震対策
4.1 概 要
ガス事業者のミッションとして,①安全・保安の確保②安定供給がある。
地震対策もこのミッションを勘案し検討している。
大阪ガス㈱の地震防災対策は①予防対策②緊急対策③復旧対策の三本柱か らなる。まず予防対策だが,設備の耐震性をすべて高くすると,地震時にお ける被害は極小化できる。しかし,この対策には時間と費用を要するため,
現時点で地震が発生すると被害が発生する。ガス事業者のミッションとして,
安全・保安を確保する必要があるため,緊急対策として被害甚大地区につい てはガスの供給を直ちに停止できる仕組みを構築しておく必要がある。そし てもう一つのミッションである安定供給を図るべく,停止したエリアのガス 供給を早期に再開したり,お客様に代替燃料の提供を行う復旧対策も推進す る必要がある。
大阪ガス㈱では,地震対策5カ年計画にて緊急対策を早期に完成させ,以 降予防・緊急・復旧対策をバランスよく継続して強化している。主要な地震 対策は図4.1の通り。
●復旧資機材の充実(管内カメラ,抽水機,臨時供給設備等の整備)
●マニュアルの整備や訓練の実施,その他
●情報収集機能の強化
(地震計・ガバナ遠隔監視装置の増強,地震防災システムの導入)
●供給停止システムの強化
(遮断方法の自動化・遠隔化,供給停止ブロックの細分化)
●中央指令サブセンターの建設(本社バックアップ拠点)
●通信システムの強化(社内電話の強化,衛星通信の活用等)
●ガス設備の耐震性の向上(PE管への入替等)
●マイコンメーターの普及促進(現在99%(家庭用は100%)) 図4.1 大阪ガス㈱の主要な地震対策
◆復旧対策:早期の供給再開
◆緊急対策:二次災害の防止
◆予防対策:地震に強い設備の普及促進
4.2 予防対策
⑴ 製造設備
兵庫県南部地震では製造設備に被害がなく,ガス地震対策検討会(資源エ ネルギー庁)にて,現行基準が高レベルな地震動における耐震性が確保でき ていることが確認された。
LNG
タンクは,地下約30ⅿの強固な支持地盤に打ち込まれた数百本の鋼 管杭に支えられ,不等沈下や地震に対しても安全である。また,LNGタン クは内槽と外槽の金属二重壁構造で,内槽には超低温に強い特殊な金属を採 用している。二重壁の間(約1ⅿ)には保冷材と不燃性の窒素ガスが封入さ れた安全性の高い構造になっている。(世界で150基以上が建設)その他,万一に備え,断熱性に優れた防液堤や水幕設備,高発泡設備
(Hi‑
Ex),低温検知器,炎検知器など,さまざまな防災設備を充実させる
とともに,24時間ガスの製造・送出を常時監視し,安定的にガスを送出して いる。更にオペレーターの保安教育,防災訓練,日常のパトロールも徹底し実施 し,安全の確保に努めている。
⑵ 輸送・供給設備
・高圧幹線
強度の高い鋼管を溶接接合しており,優れた耐震性を有している。兵庫県 南部地震でも被害がなく,高レベル地震動に対しても耐震性の確保ができて いることが確認できた。また,定期的に検査もしており,その高い性能の維 持に努めている。
・球形ガスホルダー
球体部分は強度の高い高張力鋼を採用,基礎杭は強固な支持基盤まで打設 している。兵庫県南部地震では神戸市中央区の葺合にある球形ガスホルダー も被害が全くなかった。
・中圧導管
中圧導管は一部被災したが,それは液状化地区や断層周辺など地盤変状の 大きい地区に埋設されている,裏波が出ていない古い溶接鋼管(非裏波溶接 鋼管)であった。被災管と同条件の古い導管は,継手部分の補強や入替えを 行い,対策を完了している。
・低圧導管
低圧導管ではねじ管にて多数の被害が発生した。現在では低圧の新設管は すべて耐震性の高いポリエチレン管としたり,ねじ管をポリエチレン管に入 れ替えたりするなど,その導入促進をはかり,震災当時1,200㎞であったポ リエチレン管の延長が現在では11倍の13,200㎞となっている。
図4.2.3 地表に露出しても破損のなかったポリエチレン管
図4.2.2 裏波溶接鋼管の健全事例
(苅藻橋) 図4.2.1 裏波溶接部
このポリエチレン管は下記の通り耐震性・耐腐食性に非常に優れた導管で ある。
・腐食に強い
ポリエチレン管は酸,アルカリ等の薬品に安定した管で,土中に埋設して も腐食することもなく,耐久性に優れた管である。
・地震に強い
ポリエチレン管は埋設管として柔軟性を有しており,不等沈下及び地震に 対して高い安全性を発揮する。
⑶ マイコンメーター
マイコンメーターは震災当時75%の設置率だったが,現在は99%(家庭用 は100%)となっている。このマイコンメーターは,地震時に揺れを検知し て自動遮断する他にも,異常な流量が流れた場合遮断するなど安全機能を有 している。
⑷ その他
お客さま設備については可とう性の高いガス管を使用するなど,二重三重 の安全設備を設置している。
図4.2.4 お客様設備の安全多重化
4.3 緊急対策
⑴ 情報収集機能
地震計,流量・圧力等の情報は
SCADA
システムを用いて中央指令室に 集約し,地震防災システム等を活用し,迅速な被害状況の把握と適確な供給 停止判断を支援している。地震計については,兵庫県南部地震当時34箇所設置していたが,現在では その約8倍の241箇所と増強している。
図4.3.1 地震時における情報収集について
図4.3.3 現在の地震計配置状況 (平成24年3月末現在) 図4.3.2
兵庫県南部地震時の 地震計配置状況
⑵ 供給停止システム
・ブロック・供給停止の仕組み
ガスの供給停止の基本単位であるブロックのしくみは以下の通りである。
ブロックの境界においてガス管を切断もしくはバルブを閉止することでブ ロックを確立し,圧力をおとすガバナを供給ソースとして,ブロック内のガ スを供給している。ガスの供給を遮断するには,この供給ソースとなるガバ ナからのガス送出を断つと,そのブロック内のガス供給が停止する仕組みと なっている。
大規模地震発生時, 被害が大きいエリアの供給停止 , 被害が無いエリ アへの供給継続 のために,供給エリア全域の導管網についてブロック化を 実施している。
低圧供給の基本ブロックであるリトルブロックの停止は,図4.3.5に示す ように供給ソースとなる中圧Bガバナを遮断することで,ブロック全域の低 圧供給停止が可能である。中圧B供給の基本ブロックであるミドルブロック の停止は,図4.3.6に示すように,供給ソースとなる中圧Aガバナを遮断す ることで,ブロック全域の中圧B,低圧供給停止が可能である。
図4.3.4 ブロックの仕組み
中圧A供給の基本ブロックであるスーパーブロックの停止は,図4.3.7に 示すように,供給ソースとなる高圧ガバナ及び隣接ブロックとの境界部のス ーパーブロックバルブを閉止することで,ブロック全域の中圧A,中圧B,
低圧供給停止が可能である。
・供給停止システムの強化
被害発生が予測される低圧導管網の供給停止は感震自動遮断にて,被害が ほとんどない中圧以上の導管網の供給停止は遠隔遮断する仕組みを構築して おり,二次災害防止と早期復旧を図っている。
図4.3.5
リトルブロックの供給停止
図4.3.6
ミドルブロックの供給停止
図4.3.7 スーパーブロックの供給停止
被害が発生していないエリアの供給停止を極力回避できるように,震災当 時に比べ,ブロックを細分化している。また,震災当時は手動遮断であった ミドルブロック停止も遠隔遮断とし,またリトルブロックを構築し,感震自 動遮断を可能とした。震災当時はミドルブロックにて低圧供給を停止してお り,震災後リトルブロックにて供給停止をできるようにし,そのブロックの 数も約3倍の148ブロックに細分化した。
図4.3.8 供給停止システム
表4.3.1 供給停止システムの推移(平成24年3月末現在)
ブロック数 停止方法
スーパーブロック ミドルブロック
中A 中B
震災時 8 55
現 状 10 77
震災時 遠隔遮断 手動遮断
現 状 遠隔遮断 遠隔遮断 感震自動遮断※
― 148
― 低圧 リトルブロック
※現在,遠隔遮断も出来るよう強化中
ミドルブロック,スーパーブロックも細分化し,きめ細やかな供給停止が 出来るようにしている。
以上のように,供給エリア全域をブロック化することで,必要な供給停止 が迅速・確実に可能となった。また,平成15年東南海・南海地震に係る特別 措置法をうけ,各行政で浸水予測図の作成等,推進計画が策定されているが,
大阪ガス㈱でも浸水予想エリアを含むブロックに細分化を行っている。
図4.3.9 震災当時の 低圧供給停止単位
図4.3.10
現在の低圧供給停止単位 (平成24年3月末現在)
図4.3.11 ミドルブロックの細分化
(平成24年3月末現在)
図4.3.12
スーパーブロックの細分化 (平成24年3月末現在)
⑶ 中央指令サブセンターの建設
大阪地区における大規模地震によって本社中央指令室が被災した場合でも,
ガスの製造・供給調整に関する遠隔監視・制御機能を即座にバックアップし,
必要な緊急操作を実行する 中央指令サブセンター を建設,平成10年3月 より運用を開始し,地震に強い都市ガス供給システムを確立している。
この中央指令サブセンターは,大阪地区と同時被災の可能性の低い京都地 区に建設され,建物全体を免震構造(水平免震)にしており,特に主要シス テムは上下免震床上に設置することで大地震時もシステムが機能するように している。
また,中央指令サブセンターのような免震構造建築物の引込み部には可と う性の高い金属フレキ管継手を用いている。
図4.3.14 水平免震装置(構造) 図4.3.13 中央指令サブセンター(外観)
⑷ 通信システムの強化
遠隔監視・制御機能に活用する自営無線通信網は,兵庫県南部地震以前か ら多重化しており,震災時も被害はなく,輻輳することなく内線電話を活用 し,情報伝達・共有化ができた。震災後,内線電話網をループ化し,その信 頼性をさらに向上させた。
また,自営無線通信網のほか,衛星通信を地上系無線の代替手段として① 地上電波が届かない山間部などの高圧ステーションの流量・圧力情報の遠隔 監視(テレメータ)②遠隔地事業所(滋賀東事務所,東京支社等),保安基 地等との内線電話③地震対策として衛星通信車,衛星可搬局を現場前進基地 に配備し,対策本部との情報共有化・伝達に活用している。
4.4 復旧対策
⑴ ガスの復旧作業の流れ
ガスの復旧作業は,以下の手順で進めていく。①まずこれから復旧する地 区の境界にあるバルブ,メーター部のバルブを閉止し,道路面に埋設された
図4.3.15 免震構造建築物への引込み配管
ガス管(外管)だけを区分する。②境界部のバルブを開にし,区分された外 管にガスを注入し,気密試験,漏洩箇所調査を行う。そして漏洩箇所がある と掘削・修繕を行う。管内が浸水している場合は,まず水が入ってくる場所 と浸水範囲を特定し,修繕・抽水を行っておく。③外管復旧完了後に,メー ター部のバルブを開にし,敷地内のガス管(内管)に一旦ガスインし,気密 試験を行い,漏洩箇所があると修繕し,開栓する。
⑵ 復旧資機材の充実
阪神大震災の復旧現場にて活躍した管内テレビカメラ,抽水機等を継続保 有・改良を加えており,新潟県中越沖地震や東日本大震災でも活躍し,早期 復旧に貢献している。
管内カメラは,浸水・損傷箇所,供給管(引込み管)の取出箇所の特定な どに活用している。また,先端に抽水装置を取り付け,浸水箇所の特定後,
即座に抽水出来るようにしている。
兵庫県南部地震時に開発・導入した抽水装置は支管・供給管内の水を一括 して抽水可能であり,本管内等の水・泥を排出できるバキューム車とあわせ て,効果的な復旧活動を可能としている。
図4.4 復旧活動の流れ
⑶ 顧客支援策
ガスの供給を停止している間の顧客支援策として,カセットコンロの他,
移動式ガス発生設備などの整備を行っている。また中圧からガスを取り出し 臨時に低圧供給するハウスレギュレーターも整備するなど,顧客生活・活動 を支援するため,多岐にわたる顧客支援策を講じている。
⑷ 全社地震訓練
大阪ガス㈱では毎年9月を地震対策強化月間と定め,様々な取組み※を行 なっているが,その一環として全社地震訓練を行い,地震対応の伝承を行っ ている。
※地震対策強化活動
地震対策強化月間と定め,下記活動を実施している。
①全社地震訓練の実施 ②防災講演会の開催 ③地震対策設備の管理点検
④全社安否確認訓練の実施 ⑤マニュアル類の見直し 等
4.5 大阪ガスの地震防災対策(まとめ)
阪神・淡路大震災の貴重な経験とガス地震対策検討会報告書などをふまえ,
地震対策5ヶ年計画 を平成8年1月に策定。現在,この5ヶ年計画は完 了したが,継続して地震防災対策を強化中。今後,東日本大震災をふまえ更 に強化していく予定である。
⑴ 予防対策
ポリエチレン管(PE管)の普及促進など,ガス設備の更なる耐震性の向 上を推進している。耐震性のある管は
PE
管だけでなく,地盤の変化に追随 できる耐震性の高いメカニカル継手(GMⅡ 継手,SGM継手等)がある。兵庫県南部地震当時約68%であった耐震管の比率は平成24年3月末時点では 約83%となっている。
⑵ 緊急対策
正確な緊急判断をするためには,ガス設備の被害と相関のある地震動や流 量・圧力について,数多くの情報を収集する必要がある。兵庫県南部地震当 時34箇所であった地震計は平成24年3月末時点では約8倍の241箇所に増強 するとともに,すべてのガバナ(整圧器)の圧力情報等を遠隔監視できるよ うにしている。
また,迅速かつ確実に供給停止できるように供給停止システムを構築して いる。兵庫県南部地震当時は55の低圧を停止するブロック(当時は中圧B・
低圧を停止)を平成24年3月末時点ではその数も約3倍の148ブロックまで 細分化し,被害甚大地区のみを供給停止できるようにし,安全・保安の確保 及び安定供給も目指している。また,低圧ガス導管は強震域では被害が発生 するので,迅速に供給を停止できるよう中圧Bガバナには感震自動遮断装置 を設置し,リトルブロック単位で地震と同時に供給停止できるようにしてい る。また中圧以上のガス導管では被害がほとんど発生しないため,遠隔監視 している情報などより被害発生を確認してから,遠隔で供給停止できるよう,
遠隔遮断装置を高圧ガバナ,中圧Aガバナ等に設置している。
遠隔操作にて緊急措置を実施するために制御機能・通信網の整備も実施し ている。本社にある中央指令室が被災しても,確実に緊急措置が実行できる ように,同時被災の可能性の低い京都地区に免震構造の中央指令サブセンタ ーを平成10年に建設し,24時間365日稼動している。また対策本部‑現地基地 間で情報共有ができるように,衛星通信車やポータブル衛星通信設備を保有 している。
図4.5.1 予防対策
⑶ 復旧対策
9月を地震対策強化月間としており,マニュアル,資器材の確認・整備の 他,地震訓練などの教育・訓練も行い地震対応の伝承も行っている。
またガスの供給を停止している間,必要に応じ,代替燃料を提供できるよ う,移動式ガス発生設備などの整備を行っている。
(筆者は大阪ガス株式会社勤務)
図4.5.2 緊急対策