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補助事業報告書

2010 年 3 月

社団法人 プラスチック処理促進協会

平成21年度使用済プラスチックの

リ サ イ ク ル に 関 す る 技 術 開 発 等

(2)

1.目的

1.1 実験の背景

当協会は、1971年に設立して以来、廃プラスチックの有効利用システムを確立する研 究開発を行っており、具体的には機械メーカーとの共同研究で、廃プラスチックの分離、

洗浄工程等の実証実験を行うなど実践的技術開発を行って来た。

2000年以降は循環型社会形成推進基本法の下、容器包装リサイクル法など各種リサイ クル法の施行等を受け、法律の運用に寄与する様々の技術開発を行っている。

2008年度は、有効利用が難しかった積層樹脂フィルムの相溶化技術に取り組み、これま で埋立・焼却処理されてきた積層樹脂フィルムを再生材料として利用する新たな技術に取 り組んだ。本年は、2005年に施行された自動車リサイクル法の施行5年後の改正を睨み、

2008年秋から見直しの審議が開始されたため、これに着目した。

リサイクルが義務づけられた指定品目の内、ASRは2007年度実績で全体の約6割が埋立よ り替わってエネルギー回収としてサーマルリサイクルされている。一方ASR中のプラスチ ックが再生利用された例はないと言ってよい。

ASR可燃物中にはポリプロピレン(PP)が約4割強、ASR全体で見ても約2割も含まれており、

新たな技術が開発されれば経済性を持って再生利用出来る可能性がある。この度検討する 新たな技術である水を使用しない流動層を用いた乾式比重選別機が実用化されればリサ イクルの一層の高度化が図れ、地球温暖化防止にも寄与するものと期待される。

1.2 実験の目的

自動車リサイクル法の施行によりASRの6割がエネルギー回収に利用されるようになっ て来たが、含有している廃プラスチックを再生原料として利用した例はない。経済合理性 を維持可能な条件下でASRからPPを高い精度で分離し、自動車部品として再利用する技術 開発を行う。これにより循環型社会構築並びに地球温暖化防止に貢献する。

2.実験計画の概要と役割分担 2.1 実験計画の概要

実験計画の概要を時系列でポイントを示すと共に全体工程を【指導・統括一式】【再生 材評価】【流動層試験】【ASR 製造】に分けて表 2・1 に示す。

6 月-7 月

流動層実験装置の仕様検討及び装置改造実施

概要:既存の流動層試験機を実験の目的にあわせた仕様に変更する。

ASR 再資源化全体工程検討

概要:既存の工程にて流動層実験用の材料を検討し、材料を決定する。

8 月

流動層での基礎実験

概要:改造した流動層試験機にて基礎実験を実施し、結果を考察する。

(3)

9 月

流動層でのモデル実験

概要:改造した流動層試験機にて ASR 由来のモデル試料での選別実験を実施し、結果を 考察する。

10 月-2 月

ASR の流動層試験

概要:ASR 選別実験を実施し、部品製造用の材料を生産する。

再資源化工程採取試料から生じる不純物等課題への対応策を検討する。

既存工程へ流動層選別機を導入した場合の課題を検討する。

回収樹脂の評価と再生材への改質

概要:流動層にて回収した樹脂の物性、生産性を評価する。

回収した樹脂の物性から再生材への改質、バージン材への配合率を検討する。

部品成形評価

概要:部品を試作し、生産性を確認する。

再生材適用可能性を調査する。

2 月-3 月 報告書作成

概要:結果をまとめ、報告書を作成する。

表 2・1 実験計画

2.2 実験の役割分担

日産自動車株式会社:プロジェクトの指導・統括 プロジェクト全体の調整・統括

再生材を用いた成型品評価

永田エンジアリング株式会社:流動層試験の実施

4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 1 指導・統括一式 (1)開発総括

(2)報告書編集・提出

(3)部品成型評価

(4)部品評価

(5)報告書作成 2 再生材評価 (1)回収樹脂の評価

(2)再生材への改質・評価

(3)報告書作成 3 流動層試験 (1)実験装置仕様検討

(2)装置改造(3回)

(3)トライアル(2回)

(4)報告書作成 4 ASR製造 (1)材料提供

(2)ASR再資源化全体工程検討 (3)トライアル

(4)報告書作成

2009/下期

NO 公募対象 開発実施内容 2009/上期

#1☆ #2☆ #3☆

#1Try #2Try

#3Try

(4)

株式会社エコネコル:ASR 由来プラスチック試料の調整・提供

宇部興産株式会社:再生材料の改質・評価

3.自動車リサイクル法と ASR 3.1 自動車リサイクル法

自動車はもともと鉄やアルミ等の金属が多く使われているためリサイクル率は高く、総 重量の約 80%がリサイクルされ、残りの 20%は車体の解体・破砕後に残るゴミである ASR として主に埋立処分されていた。しかし、埋立処分スペースの減少、埋立処分費用の高騰 などの原因により、不法投棄・不適正処理が心配されるようになった。また、カーエアコ ンの冷媒に利用されているフロン類がきちんと処理されないとオゾン層破壊などの地球 温暖化問題を引き起こすことや、自動車をリサイクルするにあたり、爆発性のあるエアバ ッグ類を安全に処理するには専門的な技術が必要とされることも問題となっていた。

そこで、これらの問題を解決するために 2005 年 1 月から自動車リサイクル法がスタート した。この自動車リサイクル法では、自動車メーカー・輸入業者に、ASR、エアバッグ類、

フロン類の引取・リサイクルを義務づけている。 その処理費用は、リサイクル料金とし て、自動車の所有者が負担することになっている。このリサイクル料金は、廃車になるま で、資金管理法人((財)自動車リサイクル促進センター)が預かり、その厳格な管理を 行なっている。また、関連事業者等における廃車のリサイクルの実施状況等については情 報管理センターが的確に把握・管理することになっている。

詳細は下記サイトを参考願う。

自動車リサイクル促進センターHP

http://www.jarc.or.jp/automobile/law/

自動車メーカーは、Reduce(リデュース:減らす)、Reuse(リユース:再利用)、Recycle

(リサイクル:再資源化)という 3R の観点で、自動車の開発・生産・使用・廃棄の各段 階でさまざまな取り組みを進めている。

http://www.jarc.or.jp/automobile/index04.html

3.2 ASR の組成

ASR は車を解体して主に金属類が取り除かれた残りを破砕した物である。従って若干 の金属とそれ以外の様々な物質の混合物である。資料 6 P69 に記載されている(社)日 本自動車工業会提供のデータによるとその 1/3 が樹脂で構成されているとされる。

その資料を以下に示す。

(5)

3.3 ASR 処理の現状

ASR は自動車メーカー・輸入業者が指定した「指定引取場所」に持ち込まれる。指定引 取場所とは、自動車リサイクル法第 21 条にもとづき、自動車メーカー・輸入業者がシュ レッダー業者ごとに ASR 再資源化施設を指定引取場所として指定される。 指定引取場所 のうち、自動車リサイクル法施行規則第 26 条第 1 号にもとづく主務大臣告示において、

ASR を再資源化する際に回収できる電力・燃料等のエネルギーとスラグ等のマテリアルの 割合(以下、「ASR 投入施設活用率」と言う。)が 0.4 以上である施設を「基準適合施設」

と定めている。ASR リサイクル率は、「基準適合施設」の対象期間における基準適合状況 と ASR のリサイクル実績に応じて、算出している。

ASR 投入施設活用率は、サーマルリサイクルを含む ASR 再資源化をリサイクルとして妥 当であると判断するための指標として策定された。ASR は、使用済自動車の処理・リサイ クルにおいて多量に発生する廃棄物である。ASR は、すでに有価物を回収された残さであ るという性質上、そのリサイクルには困難が伴うものであり、他の廃棄物のようなマテリ アルリサイクル中心の処理は難しいものと考えられる。自動車リサイクル法においても、

「再資源化」にはリユース、マテリアルリサイクルに加えてサーマルリサイクルも含むも のとしている(第 2 条第 9 項)。 こうした ASR のサーマルリサイクルを含む再資源化がリ サイクルとして妥当であると社会一般に認められるための条件とはどのようなものであ るかについて、経済産業省と環境省では諮問機関である産業構造審議会(産業構造審議会 環境部会廃棄物・リサイクル小委員会自動車リサイクルWG特定再資源化等物品関係検討

(6)

タスクフォース、委員長:早稲田大学理工学部教授 永田勝也氏)並びに中央環境審議会

(中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会自動車リサイクル専門委員会特定再資源化等物 品関係検討小委員会、委員長:早稲田大学理工学部教授 永田勝也氏)において有識者に よる検討を行ってきた。「ASR 投入施設活用率」は、これらの機関での結論として、社会 一般に理解されやすく、かつサーマルリサイクルとマテリアルリサイクルを統合的に評価 する指標として確立されたものである。施設は下記五つに類別されている。

施設活用率計算事例(ASR 処理の現状)

タイプ①

非鉄金属製錬プロセスに ASR を投入し、そのうちの可燃分等を燃料代替として発電・蒸気 回収及び灰分の融解に、また灰分を非鉄金属・スラグ原料として活用することを想定して いる。

ASR 以外の投入物として、鉱石及び石炭を想定している。

想定条件:発電端効率約 10%、灰分の加熱+融解熱:200Mcal/t、灰分からのスラグ等の 回収率約 90%

タイプ②

廃棄物焼却炉に ASR を投入し、可燃分等のエネルギーを電力及び灰分の融解に、また灰分 をスラグ原料として活用することを想定している。

ASR 以外の投入物として、その他の廃棄物を想定している。

想定条件:発電端効率約 10%、灰分の加熱+融解熱:200Mcal/t、灰分からのスラグ等の 回収率約 90%

(7)

タイプ③

③ガス化炉に ASR を投入し、可燃分等のエネルギーを燃料ガスとして、また灰分を金属原 料として活用することを想定している。 投入物は ASR のみを想定している。

想定条件:冷ガス効率約 50%、灰分からのマテリアル等の回収率約 90%

タイプ④

ガス化炉に ASR を投入し、可燃分等はガス化燃焼により発電及び灰分の融解、また灰分を スラグ原料として活用することを想定している。 ASR 以外の投入物として、石炭を想定 している。

想定条件:発電端効率約 10%、灰分の加熱+融解熱:200Mcal/t、灰分からのスラグ等の 回収率約 90%

(8)

タイプ⑤

ASR を投入し、可燃分等はマテリアルリサイクル向けの回収素材及び固形燃料、また灰分 を非鉄金属・ガラス原料として活用することを想定している。

ASR 以外の投入物として、混合材料を想定している。

想定条件:可燃分からの素材回収は重量比で 50%、可燃分からの固形燃料回収は重量比 で 25%、灰分からの金属等の回収率約 90%

ART:自動車破砕残さリサイクル促進チーム HP http://www.asrrt.jp/place.html http://www.asrrt.jp/ASR-01.html

http://www.asrrt.jp/ASR-06.html

(9)

4.流動層選別技術 4.1 流動層技術の原理

流動層とは、粒状媒体底部から送風することで媒体を流動化させたものであり、比重や 粘度など液体に類似した性質を持つ。従って、流動層に物体を投入した際、流動層の見掛 け比重よりも小さな比重の物体は層内で浮上し、大きな比重の物体は沈下するために、比 重の異なる物体の選別が乾式で可能である(図 4・1)。

同様の選別技術として、重液を用いた湿式選別(Wet Gravity Separation)が古くから 用いられているが、1)廃液処理や選別後の乾燥工程が必要、2)装置からの液漏れ、3)

比重調整剤のコスト高などの問題を抱えており、代替となる乾式選別方法として流動層選 別技術が開発されてきた。流動層内の浮上物と沈降物をそれぞれ回収可能な装置開発が進 められ、これまでに ASR 由来の非鉄金属などの選別で実用化を果たしている。

図4・1 流動層による浮沈選別モデル

4.2 連続系流動層設備のイメージ

連続系流動層設備の概要を図 4・2 に示す。矩形の流動層が直線的に連結された構造とな っている。

図中の①の位置で、流動層内に流動媒体が充填される。②で選別対象となる ASR が供給 され、③で必要に応じてさらに流動媒体が追加される。④の区間で流動化が行われ、この 区間を通過する過程で ASR は浮上物と沈降物に分離される。⑤で流動層上層にある浮上物 だけが回収され、⑥で沈降物と媒体が回収される。回収された浮上物および沈降物に随伴 して排出された流動媒体は、それぞれスクリーンで回収されて再び流動媒体として循環さ れる。

(10)

図4・2 連続系流動層選別機概念図

5.ASR の採取場所と組成分析法

5.1 対象混合プラスチック採取場所 5.1.1 再資源化プロセスフロー

使用済自動車からエンジン、足回り、ハーネス等を取り外した車両を廃車ガラとし、破 砕施設にて破砕後、ライト ASR とヘビーASR に分けて再資源化施設へ投入している。

回収物名称 内容 ライン 個別回収物名称 回収物名称 内容 ライン 個別回収物名称 回収物名称 内容 ライン 個別回収物名称

Jライン 非鉄雑品(第1フロスECS反応物) 樹脂(ARTライト)

Hライン 基盤ハーネスMix 樹脂(TSライト)

Sライン (第2フロスECS非反応物) 樹脂(水選フロス)

Aライン ステン・ハーネスMix 樹脂(第1重選フロス)

SDPライン (第2シンクECS非反応物)

Jライン アルミ銅Mix(第2シンクECS反応物)

Aライン コンデンサー系アルミMix ゴム Jライン 手選ゴム

SDPライン (第2フロスECS反応物) Jライン

ステンレス Jライン 手選ステン ステン・ハーネスMix SDPライン

手選アルミ (第2シンクECS非反応物) Sライン

アルミ(第2フロスECS反応物) 非鉄Mix(ARTヘビー) 塩素系ゴム・樹脂類

Hライン アルミ(第2シンクECS反応物) 非鉄Mix(TSヘビー) (第2フロスECS非反応物)

非鉄Mix(ECS反応物) 手選銅粉

Hライン RPF固形燃料 プラスチック類

集塵機ダスト

ハーネス

Sライン Hライン RPF 軟質プラ軽量物 RPFライン

硬質 プラスチック片

非鉄MIX

Sライン 塩素系ダスト

手選非鉄Mix Aライン

残渣類 集塵ダスト

メタル類 メタル類 非鉄MIX

SDPライン Jライン

Hライン Jライン

鉄屑(磁選機反応物)

手選ハーネス

アルミニューム

 投入物 廃車ガラ

  破砕施設

S HP

ヘビー

AS R

計量

(紐付け)

ライト

AS R A

ライン

〔篩分級・風力選別〕

J

ライン

〔篩分級・比重選別〕

メタル類

RPF

メタル類

プラスチック類 残渣類

廃プラ・古紙 固化用AS R

AS R 再資源化施設

RPF ライン 細粒物

混合プラ

S DP

ライン 粒状物

〔破砕・E C S選別〕

H

ライン

〔篩・比重選別〕

S

ライン

〔篩・比重選別〕

5・1

㈱エコネコル再資源化施設簡略フロー及び設備説明

(11)

5.1.2 対象混合プラスチック採取場所

既に稼働中の㈱エコネコルの再資源化施設の工程中で、乾式比重選別装置に適した条 件(混合プラスチックが多く破砕サイズが大きめ)を満たす場所として A ラインの一次 破砕機出口の 30mm アンダー品(30mm 未満のサイズのもの)を直接 H ラインに持ち込み 水比重選別にて浮上した樹脂(原料 A)を最適試料として用いた。更に現在、樹脂(燃料)

として有価売却をしている混合プラスチックも採取し、流動層選別対象とした。具体的 には、H ライン水比重選別にて浮上した樹脂(原料 B)であり、サイズは 5~15mm である。

破砕施設 再資源化施設

15~100mm 100mm↑ 手選

 15mm↓

:仕掛品、回収口、その他回収物 他社より

5mm↓

手選

:設備等 5mm↓

5mm↑

80mm↑

:有価売却 手選  

5mm↓

5~15mm↓

5mm↓

ヘビー ASR

ライト ASR 不明

ダスト S H P

J

A

15mm↑

軽量物 5mm↓

重量物 40~80mm

重量物

手選プラ (樹脂)

破砕重量 物 (樹脂)

15mm↑

重量物

15~40mm 重量物

破砕軽量 物 (ウレタン) ダスト

樹脂 ゴム

(ダスト) その他 混合物

SHP リターン

5mm (Sラインへ) 集塵 ダスト

樹脂、木屑等 (水選フロス) 水選

ドラム 第1重選

ドラム 第2重選

ドラム

第1フロス

ECS 第2フロス

ECS 第2シンク

ECS

ファインダー

非鉄混じりプラ (反応物) 塩ビ樹脂類

(非反応物)

S D P

H

ECS

1次

破砕機 風選

第2フロス ECS

第2シンク ECS 水選

ドラム 第1重選

ドラム 第2重選

ドラム

集塵 ダスト

2次 破砕機

樹脂 (軽量物)

樹脂 (重量 物) 銅粉

風選 風選

ART

風選 TS

セパレーター TS ヘビー TS ライト

軽量物 軽量物

ART

ライト ART

ミドル ART ヘビー

ウレタン

類 樹脂

(水選フロス) 樹脂 (第1フロス)

R P F 篩・風選

15mm↑風選軽量物 のみ破砕

破砕 RPF成形 5~15mm

(Hラインへ)

基盤ハーネスMix (非反応物) 非鉄雑品

(反応物) アルミ

(反応物)

ステン・ハーネスMix (非反応物) アルミ銅Mix (反応物)

コンデンサー系アルミMix (反応物)

アルミ (反応物)

ステン アルミ ハーネス

塩素系ゴム樹脂類 (非反応物)

ダスト

ステン・ハーネスMix (非反応物) 非鉄Mix

非鉄Mix

非鉄Mix 鉄

SHP リターン 手選 混合物

鉄 鉄

非鉄 類

ハーネス 鉄

ハーネス

モーター コア

ハーネス

樹脂 (燃料)

樹脂 (燃料)

樹脂 (燃料)

樹脂 (燃料)

RPF 固形燃料 SDPへ

廃プラ・古紙 S

鉄 鉄

集塵 ダスト

5・2 ㈱エコネコル再資源化施設工程フロー図

5.2 組成分析法

5.2.1 FT-IR における ATR 測定法の原理

ASR には黒色の物質が多いため、通常の光学測定方法では光が吸収され物質の特定が 出来ない。そのため黒色でも測定が可能な測定方法を探索し以下の手法を採用すること とした。

FT-IR とは(Fourier Transform IR Spectroscopy:フーリエ変換型赤外分光法)の 略であり、透過法、反射法、RAS 法、ATR 法、拡散反射法、光音響分光法、赤外顕微鏡、

FT-ラマン等がある。ATR 法は試料の表面分析法で最も一般的な手法で、高分子、ゴム、

半導体、バイオ関連等で広く利用されている。ATR(Attenuated Total Reflectance)

は全反射測定法とも呼ばれており、減衰した全反射で、IRE(Internal Reflection

採取場所

(12)

Element:内部反射エレメント)を通過する赤外光は IRE と試料界面で試料側に滲み出 した赤外光(エバネッセント波)が試料により吸収され、スペクトルを得ることができ る。このエバネッセント波の滲み出し量(試料への潜り込み深さ:dp)は試料の屈折率

(n2)、IRE の屈折率(n1)、IRE への入射角(θ)、波長(λ)の関数で、以下のような 計算式が成り立つ。

図 5・3 ATR 法計算式及び概念図

5.2.2 組成分析装置と測定例

組成分析装置としてブルカー・オプティクス社製 ALPHA を用いた。本装置は上記の原 理から対象物の色に制限なく、材質を特定することができる。本装置にて測定したスペ クトル例を図 に示す。比較すると、PP と PE では違いがあり、材質を特定することが できる。

図 5・4 ATR 法 FTIR 装置及びスペクトル例(左 PP 右 PE)

6.流動層選別基礎実験

6.1 実験の到達目標と実験方法 6.1.1 実験の到達目標

自動車部品の中で最も PP と比重が近く分離が難しい ABS(比重 1.05)と PP(比重 0.9-1.0)を選別対象とし、選別媒体としてガラスビーズとポリスチレンビーズの混合物 を用いて、乾式比重選別試験装置の選別精度を確認する。

6.1.2 実験試料

PP と ABS からなる自動車部品を破砕し、無作為に 50 個ずつ取り出して混合したもの を用いた(図 6・1)。PP と ABS の総重量、重量割合および等体積球相当径は、表 6・1 に

試料 IRE

赤外光

試料 IRE

赤外光

⎟ ⎠

⎜ ⎞

− ⎛

=

1 1 2

2

2

sin 2

n n n

dp

θ π

λ

(13)

示す通りである。選別媒体として、ガラスビーズ(粒径 150~250

μ

m)とポリスチレン ビーズ(粒径 450~460

μ

m)を混合したものを用いた。

図6・1

PP

ABS

表6・1 PPとABSの総重量、混合物中の重量割合および等体積球相当径

PP ABS

PP ABS

44.9 52.2 総重量 [g]

44.9 52.2 総重量 [g]

46.2 53.8 重量割合 [wt%]

46.2 53.8

重量割合 [wt%] 等体積球相当径 [mm]

11.7

±

2.1 12.1

±

1.9

6.1.3 実験装置

永田エンジニアリング㈱所有の乾式比重選別試験装置(図 6・2)を使用して選別実験 を実施した。選別槽本体は、選別槽・空気分散板・空気室・沈下物回収カゴからなり、

流動層表面の面積は 600mm×900mm である。ブロワーからの送風を空気室に送り込み、

選別槽に入れたガラスビーズとポリスチレンビーズの混合物を流動化させた後に、PP と ABS(合計 100 個)を流動層表面に投入した。3 分後に送風を止め、流動層表面の浮 上物を手で回収し、再度送風して沈下物回収カゴを引き上げて沈下物を回収した後に、

浮上物と沈下物に含まれる PP と ABS の重量をそれぞれ測定した。

図6・2 乾式比重選別試験装置 選別槽

空気分散板 空気室

沈下物回収カゴ

(14)

6.1.4 実験水準、分析項目 a) 実験水準

・PP と ABS の選別精度の確認

・選別条件の評価(風速・ガラスビーズの重量割合)

b) 分析項目

・以下に示す PP の純度・PP の回収率・ABS の浮揚率による選別精度の評価

PP の純度(%)= FP/(FP+FA)×100 PP の回収率(%)= FP/RP×100

ABS の浮上率(%)= FA/RA×100

6.1.5 実験条件 風速 1.5, 1.6, 1.7m

3

/min

ガラスビーズの重量割合 75.0, 75.3, 76.3, 77.5, 79.5, 81.2wt%

6.2 実験結果と考察 6.2.1 実験結果

図 6・3 にガラスビーズの重量割合を 75.0wt%とし、風速を変化させて選別実験を行っ た結果を示す。風速の増加に伴い PP の純度は 80%から 100%へと増加した。一方、PP の 回収率は 27%から 6%へと減少し、ABS の浮上率は 6%から 0%へと減少した。

試料(Raw material)

RP:

試料中の

PP

の重量

流動層

RA RP

RA:

試料中の

ABS

の重量

浮上物(Floats)

FP:

浮上物中の

PP

の重量

FA:

浮上物中の

ABS

の重量

FP FA

沈下物(Sediments)

SP:

沈下物中の

PP

の重量

SA:

沈下物中の

ABS

の重量

SA SP

図6・3 試料および各産物の名称

(15)

図6・3 風速とPPの純度、PPの回収率およびABSの浮上率の関係 風速 [m

3

/min]

1.4 1.5 1.6 1.7 1.8

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

PPの純PPの回収率・ABのS浮上率[%]

PPの純度 PPの回収率 ABSの浮上率 PPの純度 PPの回収率 ABSの浮上率

図 6・4 に風速を 1.7m

3

/min とし、ガラスビーズの重量割合を変化させて選別実験を行 った結果を示す。PP の純度は、ガラスビーズの重量割合が 75.0~79.5wt%では 95%以上 の高い値を維持し、81.2wt%では 77%へと減少した。PP の回収率は、ガラスビーズの重 量割合の増加に伴い単調に増加する傾向を示し、6%から 53%へと増加した。ABS の浮上 率は、ガラスビーズの重量割合が 75.0~79.5wt%ではほぼ 0%を維持し、81.2wt%では 13%

へと増加した。

図6・4 ガラスビーズの重量割合 とPPの純度、PPの回収率およびABSの浮上率の関係 ガラスビーズの重量割合 [wt%]

74 78 80 82

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

PPの純度PPの回収率ABのS浮上率[%]

77 79 81

76 75

PPの純度 PPの回収率 ABSの浮上率 PPの純度 PPの回収率 ABSの浮上率

6.2.2 実験結果の考察

図 6・3 に示した風速増加に伴う PP の回収率の減少に関しては、風速の増加に伴い流 動層が膨張し流動層の見掛け比重が減少したために、PP の浮上量が減少したことに起 因すると考えられる。また、同様の理由により ABS の浮上量も減少し、1.7m

3

/min では

(16)

ABS が全く浮上しなかったために、PP の純度が 100%を示した。

図 6・4 に示したガラスビーズの重量割合の増加に伴う PP の回収率の増加に関しては、

ガラスビーズの重量割合の増加に伴い流動層の見掛け比重が増加したために、PP の浮 上量が増加したことに起因すると考えられる。ただし、ガラスビーズの重量割合が 75.0

~79.5wt%では、ABS が浮上する見掛け比重を下回っており、ABS の浮上率はほぼ 0%の ため、PP の純度が 95%以上を維持したと考えられる。ガラスビーズの重量割合が 81.2wt%

では、見掛け比重の増加に伴い 13%の ABS が浮上したために、PP の純度が 77%へと低下 する結果となった。

以上の結果、風速とガラスビーズの重量割合を変化させて流動層の見掛け比重を制御 することで、PP を浮上させかつ ABS を沈下させることが大よそ可能であることが明ら かとなり、風速が 1.7m

3

/min でガラスビーズの重量割合が 79.5wt%において、PP の純度 が 95.9%かつ PP の回収率が 32.7%となる結果が得られた。

7.ASR 選別モデル試験

7.1 実験の到達目標と実験方法 7.1.1 実験の到達目標

ASR 中のプラスチックを選別対象とし、乾式比重選別試験装置の選別精度を確認する。

7.1.2 実験試料

㈱エコネコルの2つの選別工程から得た ASR 中のプラスチックの破砕物を選別対象 として用いた。あらかじめ水中での浮き沈みにより比重が 1.0 以下のものと 1.0 以上の ものに分類し(図 7・1)、さらに篩いにより 9.5~15.9mm、15.9~25.4mm、25.4mm 以上 の 3 サイズに分類して合計 6 種類の試料を用意した。選別媒体として、ガラスビーズ(粒 径 150~250

μ

m)とポリスチレンビーズ(粒径 425~500

μ

m)をガラスビーズの重量割合 79.5wt%で混合したものを用いた。

図7・1 選別に用いたプラスチック(右の白黒と黄は比重が1.0以下のもの、左の赤と青は比重が1.0以上のもの)

(17)

a)プラスチックサイズが選別精度に与える影響の検討

比重 1.0 以下と 1.0 以上でサイズが 9.5~15.9mm、15.9~25.4mm、25.4mm 以上の合計 6 種類を 60g ずつ用意し、同サイズで比重の異なる試料を混合した合計 3 種類を用い、

プラスチックサイズが選別精度に与える影響を風速 1.7m

3

/min で検討した。

b)プラスチック投入量が選別精度に与える影響の検討

サイズが 15.9~25.4mm のプラスチックを選別対象とし、比重 1.0 以下と 1.0 以上の ものの重量割合を 4:1 で一定とし、総重量を 100~1000g に変化させたものを用い、プ ラスチック投入量が選別精度に与える影響を風速 1.5m

3

/min で検討した。

7.1.3 実験装置

第6章と同じ乾式比重選別試験装置を使用して選別実験を実施した。選別媒体を流動 化させた後に、サイズもしくは投入量が異なるプラスチックを流動層表面に投入し、3 分後に送風を止め、流動層表面の浮上物を手で回収し、再度送風して沈下物回収カゴを 引き上げて沈下物を回収した後に、浮上物と沈下物に含まれる比重 1.0 以下のプラスチ ックと比重 1.0 以上のプラスチックの重量をそれぞれ測定した。

7.1.4 実験水準、分析項目 a) 実験水準

・比重 1.0 以下のプラスチックと比重 1.0 以上のプラスチックの選別精度の確認

・選別条件の評価(プラスチックサイズ・プラスチック投入量)

b) 分析項目

・以下に示す 1.0 以下のプラスチックの純度および回収率による選別精度の評価

試料(Raw material)

RP:

試料中の

1.0

以下のプラ重量

流動層

RA RP

RA:

試料中の

1.0

以上のプラ重量

浮上物(Floats)

FP:

浮上物中の

1.0

以下のプラ重量

FA:

浮上物中の

1.0

以上のプラ重量

FP FA

沈下物(Sediments)

SP:

沈下物中の

1.0

以下のプラ重量

SA:

沈下物中の

1.0

以上のプラ重量

SA SP

図7・2 試料および各産物の名称

(18)

浮上物純度(%)= FP/(FP+FA)×100 回収率(%)= FP/RP ×100

7.1.5 実験条件

プラスチックサイズ 9.5~15.9mm, 15.9~25.4mm, 25.4mm 以上 プラスチック投入量 100g, 250g, 500g, 750g, 1000g

7.2 実験結果と考察 7.2.1 実験結果

図 7・3 にプラスチックサイズを変化させて選別実験を行った結果を示す。サイズが大 きくなるに伴い純度は 93%から 100%へと増加し、回収率は 76%から 29%に減少した。

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

9.5~15.9 15.9~25.4 25.4以上

プラスチックサイズ [mm]

純度・回収率

[%]

純度 回収率

図7・3 プラスチックサイズと比重 1.0 以下のプラスチックの純度および回収率の関係

図 7・4 に各投入量でプラスチックを選別媒体に散布した様子を示す。100g と 250g で は各プラスチックが接触することなく存在するが、500g 以上ではプラスチックの重な りが見られ、1000g では 2~3 個のプラスチックが層をなして存在した。図 7・5 にプラ スチック投入量に対する純度と回収率を示す。いずれの投入量においても純度は 90%以 上となったが、回収率は投入量の増加に伴い 51%から 15%へと減少した。

(19)

図7・4 各投入量でプラスチックを選別媒体表面に散布した様子

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

0 250 500 750 1000

プラスチック投入量[g]

度および回収

[% ]

純度 回収率

図7・5 プラスチック投入量と比重 1.0 以下のプラスチックの純度および回収率の関係

7.2.2 実験結果の考察

図 7・3 に示したプラスチックサイズの増加に伴う回収率の減少に関しては、以下のよ うに考察する。板状のプラスチックを流動層表面に投入した際、下部からの気泡上昇お よびそれに起因する選別媒体の動きにより、横向きになるプラスチックの割合が多いと 考えられる。横向きのプラスチックの上には選別媒体が堆積し、それらの選別媒体は下 部からの送風がプラスチックによって遮られ流動化せずにプラスチックの上に存在す る。流動化しない選別媒体の見掛け比重は 1.0 以上であるため、比重 1.0 以下のプラス

100g 250g 500g

750g 1000g

(20)

チックは上に堆積した選別媒体の影響を受けて沈下すると考えられる。この影響は、サ イズが大きなプラスチックに対してより顕著であり、サイズの増加に伴い回収率が減少 したと考えられる。本結果は、流動層選別技術を比重の異なるプラスチックの選別に適 用する場合に、前処理であるプラスチックの破砕工程におけるサイズ制御の重要性を示 唆している。

図 7・5 に示したプラスチック投入量の増加に伴う回収率の減少に関しては、以下のよ うに考察する。プラスチック投入量が増加すると、比重 1.0 以上のプラスチックの沈下 量が増加し、流動層底部に設置した空気分散板の上に存在するプラスチックの量が増加 する。それらのプラスチックの存在により、空気分散板からの送風が断面方向で不均一 となり、局所的に風速が大きい部分と小さい部分が形成されるため、気泡および選別媒 体の動的挙動が激しくなり流動層表面の揺れが大きくなることが目視により観察され た。プラスチック投入量の増加に伴い流動層表面の揺れがより大きくなったため、比重 差の観点では浮上すべき比重 1.0 以下のプラスチックが安定して浮上できず、回収率が 減少したと考えられる。

8.ASR 選別試験

8.1 実験の到達目標と実験方法 8.1.1 実験の到達目標

再資源化施設から採取した ASR 中のプラスチックを選別して比重 1.0 以下のプラスチ ックの純度を重量換算で 95%以上とすることで、自動車部品用材料用の原料を分離回収 する。

8.1.2 実験試料

比重 1.0 以下のプラスチック純度を 95%以上とするために、前章7.2.1の結果から ASR のサイズが 5~30mm(原料 A)のものを対象とした。また、㈱エコネコルの再資源化 施設から最終的に製品(固形燃料)として成形される直前の工程で採取された ASR(原 料 B)(サイズ 5~15mm)も対象とした。サイズが小さくなると回収されるプラスチック 選別精度は低下する傾向があることがわかっているが、既存の再資源化施設への適用を 検討するため参考として選別を試みることとした。

選別媒体として、ガラスビーズ(粒径 150~250

μ

m)とポリスチレンビーズ(粒径 425

~500

μ

m)をガラスビーズの重量割合 79.5wt%で混合したものを用い、風速 1.5m

3

/min で選別を行った。

尚、予備検討で原料 B の比重 0.9-1.0 部分を比重液で分離し、ペレット化を行ったと ころスクリーンメッシュの目詰まりによりペレット化出来なかった。原因を解析するた め組成分析を行ったところ、発泡ゴム(EPDM)が約 10%混入しており、目詰まりの主要 原因であることが判明した。よって原料 A、B 共に前処理としてゴム選別工程を設けた。

(21)

a) サイズ 5~30mm(原料 A)のプラスチックを用いた自動車部品材料用原料の分離回収 総重量 36.4kg の試料について、風力選別によりウレタンとハーネスを除去後

(-4.8kg)、手選別によりマットなどの繊維質のものとゴム類を取り除き(-6.2kg)、最 後に篩(目開き 9.5mm)で微小サイズの ASR を除去した。最終的に得られた、主にプラ スチックからなる 25.4kg を流動層での選別対象とした。流動層選別では 1 回当たりの 処理量を 150g とし、選別後の浮上物および沈下物、各々約 1kg の試料を用いて純度と 回収率を求めた。

b) サイズ 5~15mm (原料 B)のプラスチックの選別試験

手選別によりウレタン、EPDM 等を取り除いた試料(20~25g)を 4 つ用意し、それぞ れについて選別を行い、以下に述べる純度と回収率の平均値を算出した。

8.1.3 実験装置

第6章および第7章と同じ乾式比重選別試験装置を使用して選別を実施した。選別媒 体を流動化させた後に、プラスチックを流動層表面に投入し、3 分後に送風を止め、流 動層表面の浮上物を手で回収し、再度送風して沈下物回収カゴを引き上げて沈下物を回 収した。その後、水中でのプラスチックの浮沈により浮上物と沈下物に含まれる比重 1.0 以下のプラスチックと比重 1.0 以上のプラスチックの重量をそれぞれ測定した。

8.1.4 実験水準、分析項目 a) 実験水準

・比重 1.0 以下のプラスチックと比重 1.0 以上のプラスチックの選別精度の確認

・選別条件の評価(プラスチックサイズ)

図8・1 サイズ

5~30mm

図8・2 サイズ

5~15mm

(22)

b) 分析項目

・以下に示す比重 1.0 以下のプラスチックの純度および回収率による選別精度の評価

選別前の純度(%)= RP/(RP+RA)×100 選別後の浮上物純度(%)= FP/(FP+FA)×100 回収率(%)= FP/RP×100

8.1.5 実験条件

プラスチックサイズ 5~30mm(原料 A),5~15mm(原料 B)

8.2 実験結果と考察 8.2.1 実験結果

サイズ 5~30mm(原料 A)のプラスチックの選別前後の純度および回収率を表 8・1 に示 す。選別により約 14%純度が向上し、目標の 95%以上の値となった。ただし回収率は 41.4%

であった。

次にサイズ 5~15mm(原料 B) のプラスチックの選別前後の純度および回収率を表 8・2 に示す。選別により約 20%の純度の向上が見られたが、目標として 95%以上の実現には 至らなかった。一方、回収率は 70%を越える値が得られた。

表8・1 サイズ

5~30mm(原料 A)のプラスチックの選別前後の純度および回収率

選別前の純度[%] 選別後の純度[%] 回収率[%]

82.6 96.2 41.4

試料(Raw material)

RP:

試料中の

1.0

以下のプラ重量

流動層

RA RP

RA:

試料中の

1.0

以上のプラ重量

浮上物(

Floats

FP:

浮上物中の

1.0

以下のプラ重量

FA:

浮上物中の

1.0

以上のプラ重量

FP FA

沈下物(

Sediments

SP:

沈下物中の

1.0

以下のプラ重量

SA:

沈下物中の

1.0

以上のプラ重量

SA SP

図8・3 試料および各産物の名称

(23)

表8・2 サイズ

5~15mm(原料 B)のプラスチックの選別前後の純度および回収率

選別前の純度[%] 選別後の純度[%] 回収率[%]

63.7 82.4 71.7

以上の結果、サイズ 5~30mm のプラスチックにおいて目標値の純度 95%以上が達成さ れたため、これの流動層選別での浮上物を9章の自動車部品用材料用の原料として用い ることとした。

また、サイズ 5~30mm(原料 A)のプラスチックの選別工程におけるマテリアルバラン スを図 8・3 に示す。元の ASR から 30.2%が風力選別及び手選別で除去されており、残 りの 69.8%のうち、24.2%が浮上物として回収される結果となった。

図8・3 サイズ 5~30mm のプラスチックのマテリアルバランス

8.2.2 実験結果の考察

両サイズの結果を比較すると、サイズが大きいと純度が高く、逆に回収率が低い結果 となった。この傾向は、第7章の図 7・2 と同様なものであり、プラスチックのサイズに より流動層内の動的挙動の影響が異なることに起因すると推察される。ただし、両サイ ズの選別前の純度を比較すると、5~15mm(原料 B)の場合が 63.7%であるのに対し 5~

30mm(原料 A)の場合は 82.6%と約 20%の違いがある。再資源化工程における ASR 採取場 所により、比重 1.0 以下の重量割合が大きく差が出たものと思われる。このことから各 サイズにおける純度と回収率の違いは、プラスチックサイズの影響だけではなく、選別 対象となる ASR の比重構成(比重 1.0 以下の重量割合)も選別に影響を与えている可能 性がある。

ASR を選別して自動車部品用材料とする場合は、その純度を高めるために充分な前処 理(異物除去)を行うことが必要である。

風力選別 手選別 流動層選別 浮上物

ASR 100%

ダスト 低比重:ウレタン類 高比重:ハーネス類

・EPDM

・フロアマット類 沈下物

13.2%

86.8%

17.0%

69.8%

24.2%

45.6%

・微小粒径のもの

(24)

9.回収物の物性評価と自動車部品用再生材の成形評価 9.1 回収物の物性評価

9.1.1 回収物の再生ペレット化フロー

永田エンジニアリング㈱にて比重選別し回収した回収物を宇部興産㈱にてペレット 化・配合検討の後、自動車部品用材料に再生した。以下に回収物(原料)から再生ペレ ット(製品)までのフローを示す。

再生材を試作するための前処理として、破砕品をマグネットに通して磁性金属を除去 した後、タンブラーにて均一ブレンドを行った。 再生材の試作工程を図-9・1 に示す。

図 9・1 再生材試作工程(ペレット化)

試作は、二軸混練機のシリンダー温度を 200℃で溶融混合し、混練機先端部にスクリ ーンメッシュを取付けて樹脂を押出した。

予備検討で EPDM ゴムが混入している材料のペレット化を試みたところ、押出し時に スクリーンメッシュの目詰まりが激しくペレット化することが出来なかった。原因は、

主に未溶融の EPDM ゴムがスクリーンメッシュに詰まるためと考えられる。

磁性金属除去

均 一 化

配 合 混 合

計量フィーダー

二軸混練機

真空ベント

ペレタイザー

クーリングバス 5000 ガウスのマグネット使用

タンブラーブレンド

タンブラーブレンド

スクリーンメッシュ (#20/#40/#20) 目開き #20=0.89mm #40=0.42mm

(25)

本実験では回収物から、ゴムを手選別で取り除き 対策を行った。その結果、スクリーンメッシュの目 詰まりは改良され、ペレット化が出来る様になった。

しかし、50kg 押し出しするために 5 回スクリーンメ ッシュの交換を必要とした。

図-9・2 に、破砕品を押出し後に PP 樹脂(ナチュ ラル)で押出し洗浄した後のスクリーンメッシュ目 詰まり物を示す。

本回収物からの再生は、目詰まりが多いため、再 生原料メーカーが多用するオートスクリーンチェン

ジャーを備えた設備でのペレット化が必要となる。 図 9・2 押出し後の目詰まり 生産性の向上には一層の未溶融物除去が望まれる。

9.1.2 回収物の組成

回収物をサンプリングし組成分析装置にて材質を特定した結果を以下に示す。

PP 89%

その他 4%

PE 7%

9・3 回収物の組成

今回の回収物は比重 1.0 以下であるため、PP と同様に比重が 1.0 より小さい PE が多 く含まれる。

9.1.3 回収物の物性

回収物を上記フローにて物性評価した結果を表 9・1 に示す。

#20 #40

(26)

表 9・1 回収物の物性

試験法 単位 回収物 判断

メルトフローレイト 230℃・2.16kg K7210 g/10min 8.9 ×

K7112 - 0.94

K7161 Mpa 20

K7161 % 28

K7171 Mpa 27

K7171 Mpa 1230

シャルピー衝撃強さ 23℃ K7111 kJ/m2 15

荷重たわみ温度 0.45Mpa K7191 kJ/m2 88

成形収縮率 3mm・MD - 1/1000 11.4

○:現行同等、 △:現行-50%以上、 ×:現行-50%以下 曲げ強さ

曲げ弾性率

試験項目 比重

引張降伏強さ 引張破壊ひずみ

メルトフローレイト、引張降伏強さ、引張破壊ひずみ、曲げ強さ、荷重たわみ温度を 現行材同等にする必要がある。

9.1.4 再生材の改質検討及び結果

回収物の物性結果および部品成形条件から改質目標の検討を行った。結果、メルトフ ローレイトを現行同等とすべく添加剤を加え、また、回収物の組成から、PVC の混入が 考えられるため中和剤を加えた。以下に再生材配合率と物性との関係を示す。

表 9・2 再生材配合率と物性

試験法 再生材

(配合率:50%)

再生材 (配合率:40%)

再生材 (配合率:30%)

再生材 (配合率:20%)

メルトフローレイト 230℃・2.16kg K7210 × ×

K7112

K7161

K7161

K7171

K7171

シャルピー衝撃強さ 23℃ K7111

荷重たわみ温度 0.45Mpa K7191

成形収縮率 3mm・MD -

○:現行同等、 △:現行-50%以上、 ×:現行-50%以下 曲げ強さ

曲げ弾性率

試験項目

比重 引張降伏強さ 引張破壊ひずみ

現行材同等となる配合率 20%にて部品成形を行うこととした。

9.2 自動車部品用再生材の成形評価

再生材を㈱ユニプレスにて部品を成形し成形性、部品評価を実施した。再生材で成形 した部品(部品名:ディフューザー、重量:約 1kg、車両(車体)の下面にある整流板)

を図 9・4 に示す。成形性評価の結果、生産性は現行の生産条件にて成形が可能である ことを確認した。また、部品評価は寸法、外観の評価、熱サイクル実験、落球衝撃実験 を行った。その結果、寸法、外観については、現行との差はあるが、調整可能な範囲で あった。また、熱サイクル実験、落球衝撃実験では判定基準を満足することを確認した。

ただし、1回の実験結果であるため、実験回数を増やした確認は必要である。

(27)

図 9・4 再生材にて成形した自動車部品(ディフューザー)

10.経済性評価

今回の評価では発泡ゴムを除去する為に便宜上手選別を用いた。本来解体時に事前選 別するかゴム等を選択的に選別する選別機の導入が可能か等、経済性の成り立つプロセ スイメージを固める必要がある。これが出来ていない段階で経済性を定量的に評価する のは、誤解を招く可能性があり、従って今回の検討に対しては経済性を改善すべき項目 を各工程毎に整理するに留めることとした。

10.1 解体工程での対応

流動層選別での高純度化を達成する為には、ドア周りに多用されている発泡ゴムを解 体段階で取り除くことによって後段でのゴム選別工程簡略化が可能かを検討する。但し、

解体段階で事前に発泡ゴムを取り除くことについては、自動車リサイクル法への適合性 を確認する必要がある。

10.2 再資源化工程での対応

流動層選別の精度を向上させるには破砕品サイズがある程度の大きさで揃っている ことが望ましい。極力大きなサイズの時点でプラスチック類が集約されるプロセスへの 再編成が望ましい。

10.3 前処理工程での対応

ゴム選別工程を専用の選別機(三菱電機㈱ 特許特開2006-159048、特開 2006-159051)を活用することで目的を達成可能か検討を行い、設備導入の 評価を行う。

10.4 流動層選別工程での対応

ASR 選別に当たって、6章から8章までの流動層による選別試験結果から、次のよう

(28)

な点が明らかになった。

表10・1 流動層選別における課題と対応

No. 課題 対応

(1) 試料サイズにより純度、回収率が異なる サイズの小さいものを除去し、15~25mm に 整粒する

(2) 比重 1.0 以下の回収率が目標の 50%に達 しない

サイズの小さいものを除去し、15~25mm に 整粒する

流動媒体を単体で流動性の良いものに変 更する(要調査)

(3) 試料供給量の増加により、回収率が低下 する

単位面積当たりの供給量を、回収率が極端 に低下しない程度にとどめる

(4) 試料組成により浮上物品位が異なる 比重 1.0 以下の重量割合が高い試料を対象 とし、異物除去の前処理を充分行う

まず(1)試料サイズにより純度、回収率が変化するという点については、サイズ毎 に適当な選別条件があると考えられるので、流動層選別で困難な微小サイズは対象外と し、なおかつサイズ幅を狭く、揃えることで最適な選別条件を設定し易くなることが考 えられる。

(2)比重 1.0 以下の回収率が目標の 50%に達しなかった点については、(1)の対応 と同様に試料サイズを揃えることで理想的な選別が可能となれば、到達し得るのではな いかと考えている。また現状の混合媒体よりも単一粒子で適当な見掛け比重となる流動 媒体を適用することができれば、さらに改善されると思われる。適当な媒体が存在する か調査が必要である。

(3)試料供給量増加により回収率が低下する点については、試験結果を踏まえた上 で単位面積当たりの供給量を定め、実装置へのスケールアップを検討する際に考慮する ことが必要である。

(4)試料組成により浮上物品位が変化する点については、比重 1.0 以下の重量割合 が高い試料が得られる工程で採取し、発泡ゴム(EPDM)等の異物を流動層選別前に除去 することで一定の品位を保てると思われる。

流動層選別装置の実装置への適用は、上記のような対応を実施することで可能になる と考える。

10.5 自動車部品材料化工程での対応

50kg 押し出し時に、5 回スクリーンメッシュを交換するのは頻度が多く、オートスク リーンチェンジャー付の押し出し機を使用した場合、ロス率と作業量の増加要因となる。

(29)

作業性への影響を回避するには少なくともゴムなどの異物量を 1/3 程度に低下させる ことが望ましい。未溶融物の低下が難しい場合、バージン材との比率を下げる選択肢も ある。

10.6 対象自動車部品の潜在需要とその拡大対応

図 10・1 に示した部品に対して、配合率 20%の材料を適用できる可能性がある。部品 重量を 1kg とすると、配合率は 20%のため、回収物は 0.2kg となる。

仮に 100 万台の車両に使用されたとすると、回収物使用量は、

1,000,000 台×0.2kg = 200,000kg(200t) となる。

自動車の外観に影響のない類似部品(エンジンアンダーカバー 図 10・1)等への適 用が潜在需要として考えられる。

図 10・1 類似部品(エンジンアンダーカバー)

(30)

11.まとめ

11.1 流動層選別基礎実験

自動車部品の中で最も PP と比重が近く分離が難しい ABS(比重 1.05)と PP(比重 0.9-1.0)の破砕品を用いて最適な選別条件検討を行った。媒体を流動化させる最適な風 速の存在、媒体の比重設定が目的物質の選別精度向上に大きな影響を与えることがわか った。

11.2 ASR 由来プラスチック組成分析方法

ASR から発生するプラスチックは灰色から黒色の物が多く、現場で迅速に材質を判定 するのに通常の光学式分析装置で分析が出来ないことが分かり、迅速な分析法を調査し た。全反射式のフーリエ変換型赤外分光法により現場での迅速な測定が可能な事がわか り、この方法を用いて測定を行った。

11.3 ASR 選別モデル試験

ASR 由来の比重 1.0 以下と 1.0 以上のプラスチック破砕品を用いて最適な選別条件検 討を行った。試料のサイズに依存性があり一定以上のサイズを選択することで選別精度 が向上することがわかった。投入量を増やすと純度は維持出来るものの回収率が低下す る傾向があり留意が必要である。純度 95%以上回収率 50%を満たす条件が設定出来た。

11.4 ASR 選別試験

㈱エコネコルの ASR 再資源化工程の中から様々なプラスチック種よりなるプラスチ ックリッチな回収物を抜き取り試料とした。予め比重 0.9-1.0 の成分を比重液で分離し 組成分析を行ったところ発泡ゴム(EPDM)が目的比重域に混在することが判明し原因を 推定した。発泡ゴムは発泡度に広がりがあり比重も幅を持つことが確認され、目的比重 域に PP 以外のプラスチックが入らないよう事前の前処理が必要であるとの結論に至っ た。流動層の選別精度に有利なサイズの大きめの 30mm アンダー(30mm 未満のサイズの もの)試料が得られる採取場所を選定し、前処理として風力選別、ゴム選別工程を経た 後流動層選別を行った。PP のみの純度は 89%、PP と PE を合わせると 96%、回収率は 41%

であった。

11.5 自動車部品用再生材評価と経済性評価

流動層選別で得られた回収物に適切な添加剤処方を施し、それをバージン材に 20%配 合した再生材を原料として自動車の外観に影響のない自動車部品の成形を行ったとこ ろ、ペレット化の際スクリーンメッシュの目詰まり頻度が高くなったものの従来品とほ ぼ同等な製品を得られることが確認された。

経済性については定量的に評価する段階に無いため、経済性向上に有効な方策を、各

(31)

工程別に整理し今後への参考とした。

12 今後の課題

回収物のペレット化時に、異樹脂の残留率が増えると、押出機のスクリ-ンメッシュ の目詰まり頻度が増加する傾向にあった。そのため、回収物ロス率の増加や生産性低下 に繋がることが予想される。また、回収物を他の自動車用部材に用途展開するに際して も、経済性を考慮した選別方法を併用するなど、更なる異樹脂削減のための取り組みが 望まれる。

(32)

資料編

資料1.廃自動車処理の全体の流れ ㈱エコネコルより資料提供

資料2.廃棄物・リサイクル小委員会自動車リサイクルワーキンググループ・中央環境 審議会廃棄物・リサイクル部会自動車リサイクル専門委員会合同会議第 27 回 配布資料

3

資料3.同合同会議 第 7 回 配布資料 3-1 資料4.同合同会議 第 24 回 参考資料 1-1 資料5.同合同会議 第 24 回 参考資料 1-2 資料6.同合同会議 第 25 回 配布資料 3-2

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(34)

資料1 廃自動車処理の全体の流れ ㈱エコネコルより資料提供

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資料2 産業構造審議会廃棄物・リサイクル小委員会自動車リサイクルWG 中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会自動車リサイクル専門委員会 合同会議 第 27 回 配布資料 3

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助成者名 所属機関:名称 所属機関:職名 集会名称 発表題目 開催国 助成金額.

設備種目 機器及び設備名称 メンテナンス内容 協定書回数

番号 団体名称 (市町名) 目標 取組内容 計画期間

番号 団体名称 (市町名) 目標 取組内容 計画期間

会  議  名 開催年月日 審  議  内  容. 第2回廃棄物審議会

区分 授業科目の名称 講義等の内容 備考.. 文 化

授業科目の名称 講義等の内容 備考

(操作場所) 訓練名称,対応する手順書等 訓練内容