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平成16年度 発展途上国への環境技術の啓発・普及に関する報告書

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序 

  本報告書は、日本自転車振興会の「自転車等機械工業振興資金」の交付を受けて、社団 法人日本産業機械工業会が実施した「発展途上国における環境技術の啓発・普及に関する 事業‐タイ・マレーシアへの環境ビジネスの拡大‐」の成果をまとめたものである。

  今日の環境問題は、産業公害、都市・生活型公害など地域の環境問題から、地球温暖化 等の地球環境問題まで大きく広がっており、各国がグローバルなパートナーシップのもと 環境保全対策と技術開発に取り組むことが必要である。特に、今後ますます経済発展の進 むタイ・マレーシアにおいては都市化、工業化進展による大気汚染、水質汚染や廃棄物問 題等の解決が重要な課題である。一方、日本は過去に深刻な産業公害を産・官・学が一体 となって克服した知見と環境技術を有している。

  これらの背景から、世界水準にある環境装置技術とこれまでの経験と多くの知見を有す るわが国に、タイ・マレーシアから環境保全に対する支援要請が高まっている。

  本事業は、工業化が著しく進展し、産業公害が深刻化しているタイ・マレーシアを対象 としてこれら対象国の社会、経済、産業の実情と環境政策を踏まえ、対象国に最も適合し た環境保全技術を抽出し、環境技術移転推進のための手法提案を行うとともに今後の環境 ビジネスの拡大に向けて、調査を行ったものである。

  本事業の実施に当り、格別のご支援を賜りました経済産業省、日本貿易振興機構、新エ ネルギー・産業技術総合開発機構、盤谷日本人商工会議所、マレーシア日本人商工会議所、

国際協力機構、地球環境センター及び関連団体、会員企業に対し、心から謝意を表すると ともに、本報告書によりタイ・マレーシアにおける環境保全対策の促進及び地球環境問題 解決に貢献するとともに、今後の環境ビジネスの拡大に期待するものである。

平成17年 3 月 

社団法人日本産業機械工業会 会 長   相 川   賢 太 郎

(3)

 

平成 16 年度 

発展途上国への環境技術の啓発・普及に関する報告書 

―タイ・マレーシアへの環境ビジネス拡大に向けて― 

 

‐目 次‐ 

   

1. タイ、マレーシアの基礎情報···1 

1.1  タイの基礎情報···1 

1.2  マレーシアの基礎情報···2 

  2. タイ、マレーシアにおける環境政策および環境法規制の現状 ···5 

2.1  タイにおける環境政策および環境法規制の現状···5 

2.2  マレーシアにおける環境政策および環境法規制の現状···9 

  3. タイ・マレーシアにおける水処理・廃棄物処理の現状 ···13 

3.1  タイ···13 

3.1.1  タイにおける水処理に関する動向···13 

3.1.2  タイにおける廃棄物処理に関する動向···24 

  3.2  マレーシア···48 

3.2.1  マレーシアにおける水処理に関する動向···48 

3.2.2  マレーシアにおける廃棄物処理に関する動向···58   

 

 

 

(4)

4. タイ・マレーシアにおける適合技術の検討···81 

4.1  タイ···81 

4.1.1  廃水処理···81 

4.1.2  廃棄物処理···86 

  4.2  マレーシア···94 

4.2.1  廃水処理···94 

4.2.2  廃棄物処理···99 

  5. タイ・マレーシアへの技術移転に向けた戦略···103 

  6. 環境技術フォーラムの開催···109 

6.1  マレーシア···109 

6.1.1  環境技術情報交流フォーラム···109 

6.1.2  現地環境施設調査···116 

6.1.3  講演会···117 

  6.2  タイ···120 

6.2.1  環境技術フォーラム···120 

6.2.2  現地環境施設調査···139 

6.2.3  講演会···140   

 

参考資料 

      環境技術フォーラム技術資料 

 

(5)

1.  タイ、マレーシアの基礎情報  1.1  タイの基礎情報 

(1)国土、気候、人口、言語、宗教等の状況 

タイの国土面積は約 51 万 km2で、日本の約 1.4 倍である。タイは熱帯気候に属しており、3 月

〜5 月は暑期、6 月〜10 月は雨期、11 月〜2 月は乾期となっている。 

タイの人口は約6千万人であり、日本のおよそ半分である。共通語はタイ語で国民の 95%が仏 教徒である。 

 

(2)経済の状況  

タイでは、近年工業化が進み、GNP に占める工業部門の割合は約3割となっている。GNP に占め る農業部門の割合は1割未満であるが、就業人口で見ると、約4割を占めており、依然として重 要な産業となっている。 

主要輸出品目は、コンピュータ・同部品、IC、自動車・同部品、天然ゴム、衣料、冷凍えび、

宝石、米であり、主要輸入品目は、機械・同部品、電子機器・同部品、原油、化学製品、プリン ト基板、鉄鋼、IC である。 

 

タイでは、30 年前頃から外国からの投資を積極的に受け入れるようになり、その結果、急速な 経済発展を遂げた。特に 1980 年代後半からはタイの経済は高い成長率を示していたが、その裏で は不動産バブルが発生していた。しかし、1996 年に入り、輸出が減少し不動産バブルが崩壊の兆 しを見せたことにより、タイ経済とタイの通貨であるバーツに対する信用度が低下して 1997 年 7 月に通貨・金融危機が発生した。 

その後、国際通貨基金や日本の支援のもとで、経済回復の為の政策を推進した結果、1999 年以 降、経済は回復基調にある。 

現在、タイの GDP は約 1,000 億ドル(2003 年)で日本(約 43 千億ドル/2003 年)の 1/43、1 人 当たり GDP は約 2,200 ドル(2003 年)で日本(約 33 千ドル/2003 年)の 1/15 となっている。 

 

(3)インフラの整備状況 

タイの社会インフラ整備状況は以下の通りである。 

■ 建設投資額比率(対 GDP):20.75%(1994 年) 

■ 公共投資額比率:33.2% 

■ 水関係: 

・  下水道人口普及率(下水道のサービスを受ける人口/全人口):2.15%(バンコク) 

・  下水管渠延長:619km 

・  下水処理場数:63 

・  年間処理水量:526,650m3/日 

・  主な下水処理方法:酸化溝方式 

※本格的な下水処理場は、2001 年時点で、バンコクで 3 施設が稼 働し、4 施設が建設中である。(廃水公社資料より) 

・  下水道経営主体:公共事業 

・  下水道料金徴収の有無:無料 

(6)

・  安全な水を享受しうる人口割合:80%(2000 年) 

■ 道路: 

・  道路延長:64,600km(1999 年) 

・  舗装率:97.5%(1999 年) 

・  道路密度(道路延長/国土面積):0.13km/km2(1999) 

・  1000 人当り乗用車台数:27.4 台(1999) 

■ 住宅: 

・  1 世帯あたり住宅数:0.998 戸/世帯(1990) 

・  1 住宅あたり延べ床面積:30m2/戸 

・  住宅投資割合(対 GDP):7.69% 

 

タイの建設投資額比率(対 GDP)は、20.75%とマレーシア(14.40%)や日本(16.4%)に比 べてが高い。下水道人口普及率は、日本(58%)やマレーシア(53%)の 1/20 以下の 2.15%で ある。下水道は公共事業として運営され、料金は徴収されていない。タイの道路密度はマレーシ ア(0.20km/km2)、日本(3.06km/km2)と比較して小さく、また、人口 1,000 人あたりの所有乗用 車数もマレーシア(144.6 台)の 1/5、日本(395 台)の 1/14 と小さくなっている。タイにおけ る住宅投資割合(対 GDP)はマレーシア(1.5%)、日本(4.7%)に比べて高くなっているが、1 住宅あたりの延床面積はマレーシア(140m2/戸)、日本(93.45m2/戸)に比べて小さくなっている。 

 

1.2  マレーシアの基礎情報 

(1)国土、気候、人口、言語、宗教等の状況 

マレーシアの国土面積は約 33 万 km2で、日本と同程度である。マレーシアは熱帯気候に属して いる。マレー半島の東海岸、東マレーシアは 11 月〜2 月が雨期であり、マレー半島西海岸では、

雨期、乾期は明確ではない。 

マレーシアの人口は約 2 千万人であり、日本のおよそ 6 分の1である。マレー語が国語と なっているが、それ以外にも、中国語やタミール語、英語が話されている。また、イスラム 教が国教となっているが、信仰の自由が認められており、仏教、儒教、ヒンドゥー教、キリ スト教、原住民信仰等、様々な宗教が信仰されている。 

 

(2)経済の状況 

マレーシアの主要産業は、製造業、農林業や鉱業であり、主要産品は電気機械、天然ゴム、パ ーム油、木材、錫、原油、LNG である。 

主要輸出品目は、電気製品、原油、LNG、パーム油、繊維製品であり、主要輸入品目は、製造機 器、輸送機器、食料品である。 

 

マレーシアは、1980 年代後半から外国からの投資を積極的に受け入れ、輸出指向型政策を推進 した結果、高度経済成長を達成した。しかし、1997 年 7 月に発生したタイの通貨・金融危機の影 響を受け、マレーシアでも通貨や株価の下落といった経済危機が発生した。 

タイと異なり、マレーシアは国際通貨基金の支援を受けずに経済回復政策を推し進め、現在で は経済は回復基調にある。 

(7)

現在、マレーシアの GDP は約 577 億ドル(2002 年)で日本(約 40 千億ドル/2002 年)の 1/69、

1 人当たり GDP は約 3.6 千ドル(2002 年)で日本(約 31 千ドル/2002 年)の 1/9 となっている。 

 

(3)インフラの整備状況 

マレーシアの社会インフラ整備状況は以下の通りである。 

■ 建設投資額比率(対 GDP):14.40%(1993 年) 

■ 公共投資額比率:25.20%(1993 年) 

■ 水関係: 

・  治水関連投資額:2,474 億 US ドル(96〜00 の5ヵ年計画で河川分野に投資予定) 

・  水資源関連投資額:9,421 億 US ドル(96〜00 の 5 ヵ年計画で河川分野に投資予定) 

・  下水道人口普及率(下水道のサービスを受ける人口/全人口):53%(1998.6 末) 

・  下水管渠延長:7,554km(1998.6 末) 

・  下水処理場数:5,375(浄化槽を含む)(1998.6 末) 

・  年間処理水量:94,500 万 m3(1998.6 末) 

・  年間汚泥処分量:721,000m3(1998.6 末) 

・  主な下水処理方法:浄化槽、機械的処理、酸化池 

・  主な汚泥処理方法:汚泥乾燥床、機械的脱水 

・ 下水道経営主体:民間(IWK):94〜22 までの 28 年間全国の下水サービスを行う権利を

与えられた民間会社 

・  下水道料金徴収の有無:有料 

・  安全な水を享受しうる人口割合:−(2000 年) 

■ 道路: 

・  道路延長:65,877km(1999 年) 

・  舗装率:75.8%(1999 年) 

・  道路密度(道路延長/国土面積):0.20km/km2(1999) 

・  1000 人当り乗用車保有台数:144.6 台(1999) 

■ 住宅: 

・  1 世帯あたり住宅数:1.19 戸/世帯(1991) 

・  1 住宅あたり延べ床面積:140m2/戸(1991) 

・  住宅投資割合(対 GDP):1.50%(1997) 

 

マレーシアにおける建設投資額(対 GDP)はタイ(20.75%)や日本(16.4%)よりも小さくな っており、公共投資比率もタイ(33.2%)や日本(42.4%)よりも小さい。 

また、下水道人口普及率は半数を超え、管渠延長や下水処分場数を見てもタイよりインフラ整 備が進んでいることがわかる。下水道人口普及率は日本(58%)と同程度となっている。 

マレーシアにおける道路舗装率はタイより低いが、1,000 人あたりの乗用車保有台数はタイ

(27.4 台)の 5 倍以上、日本(395 台)の 1/3 強となる。1 世帯あたりの住宅数や 1 住宅あたり の床面積はタイや日本に比べて大きくなっている 

(8)

2. タイ、マレーシアにおける環境政策および環境法規制の現状  2.1  タイにおける環境政策および環境法規制の現状 

(1) 環境政策 

タイにおける環境政策は 1990 年代初期にスタートした国家開発計画、主要な環境法、及び環境 にかかる政策と計画によって示されている。 

 

国家開発計画 

○  第 7 次国家開発計画(1992-1996 年) 

第 7 次計画では、土地および森林資源の保全と回復、ならびに表層水質(特定河川の BOD 低 減、飲料水の保全)、大気質(燃料燃焼に由来する鉛、CO および SO2の低減)および有害廃棄 物の改善が強調された。汚染者負担原則(PPP)が排水、大気汚染および有害廃棄物に対処す る際の鍵として言及された。組織の改革および対応する法令もまた整備され、地方機関は、

環境計画を作成し環境課金やサービス料を徴収するうえで重要な役割を果たすよう強く督励 された。また、環境に係る議論に公衆の参加が認められ、タイの新憲法(1997 年)に盛り込 まれた。 

○  第 8 次国家開発計画(1997-2001 年) 

第 8 次計画は、公衆の参加にさらなる支持を与え、監視と評価のシステムの開発に優先度を おいている。マングローブ林の保全、ならびにチャオプラヤ川とタチン川の下流および沿岸 水域の水質を第 7 次計画のレベルに維持することが特定の目標として含められた。計画は水 管理問題(水分配、実費での原水利用のための課金、農業や灌漑および保全を目的とした土 地利用の指定)についてもふれている。工業における自己監視が奨励されているが、グリー ン・テクノロジーの奨励に結びつく汚染者負担原則を除いて、経済的措置についてはとくに それ以上言及されていない。 

○  第 9 次国家開発計画(2001-2004 年) 

第 9 次計画では以下のとおり環境戦略が定められている。 

1) コミュニティー、地方機関および人びとの参加を活用しつつ劣化が深刻な天然資源、とく に森林、マングローブ、水および沿岸域を保全し回復させること。 

2) 天然資源および環境の管理と行政に係る法律の厳格な施行を行うこと。 

3) 天然資源の持続可能な利用は、環境に深刻な影響を及ぼすことなく、公正にそれらのポテ ンシャルに応じて推進すること。 

4) 社会と環境の双方の目的を達成するための適切かつ効果的な天然資源の利用に向けて、農 業、工業、住居および森林の利用に対して土地利用区分を設定し、政府が灌漑設備に投資 した良好な耕地を保護する法律を発効させること。 

5) 農地改革や土地権利プログラムの管理システムの改善を行うこと。これは、土地をもたな い農民や非効率的な土地利用の問題を解決するものである。 

6) 水資源は効率的に利用され、地方のニーズに従って公正に分配されなければならないこと。

流域の管理は、人びと、コミュニティーおよび地方機関の十分な参加を得なければならな いこと。 

7) 沿岸域の利用に関し、その区分は、環境影響に十分配慮して最適な便益を得るために実施

(9)

すること。 

また、第 9 次計画では環境に関する目標が設定されている。 

・  水質汚濁及び大気汚染は法令により 20%の汚染物削減、及び PPP、環境管理、ISO14000 シ リーズ、リサイクルなどの手段導入により 40%を削減する 

・  有害廃棄物は法令により全有害廃棄物発生事業所に対して管理システムを導入し、また、

20%はリサイクルを行う。 

・  一般廃棄物は全一般廃棄物発生事業所に管理システムを導入するとともに 20%はリサイ クルによる対策を実施する。 

 

○  国家環境質の向上と保全のための政策と将来計画(PPPECNEQ)(1997-2016) 

1996 年 11 月に内閣に承認された標記計画は、長期的な環境問題と国の天然資源の管理にふれ た 20 年計画であり、1992 年制定の国家環境質法(NEQA)のもとで確立された。計画は 5 ヵ年ご とに 4 つの実施期間に分かれており、それぞれに対して環境質管理計画が策定されることになっ ている。 

計画は第 7 次計画、汚染者負担原則を推進し利用すべき市場メカニズムを確認している。これ らは、上水道および/または排水処理のための料金を含める一方、有害廃棄物の処理および処分 に対しては課税、サービス課金あるいはそのほかのメカニズムを示唆し、利用者に対して水の真 のコストを課す原則を支持している。鉱物資源の抽出に関しては、採掘許可料金や鉱物抽出によ る歳入を地域コミュニティーと共有するメカニズムを推奨している。 

 

○  環境質管理計画(EQMP)(1999-2006 年) 

環境質管理計画は、NEQA にもとづいて策定される国家行動計画である。上記の国家環境質の向 上と保全のための政策と将来計画(PPPECNEQ)のもとで策定され、1999 年に施行された。環境質 管理計画は、長期的環境政策の目標を達成するために必要な特定の方策、計画およびプログラム が制定されており、本計画の実施に関わる各政府機関の運用計画や予算の基礎となっている。 

計画は、以下の 16 の環境問題分野を掲げている。 

 

・  天然資源の劣化  6 項目 

(土地、森林、水、鉱物、エネルギー、沿岸域の資源) 

・  環境質の低下  7 項目 

(水質汚濁、大気汚染、騒音、下水、有害廃棄物処分、固形廃棄物処分、アメニティ価値 の喪失) 

・  構造上の問題  3 項目 

(天然資源管理担当機関の貧弱な機能と調整、時代遅れの法規定、公衆の関心の欠如) 

 

計画では、これらのうち編成を多少変えた6分野(土地及び土地利用、森林及びマングロー ブ林、水、水質汚濁、大気汚染、固形廃棄物処理と下水)を「緊急に修復が必要」と位置付け ている。 

(10)

(2) 環境法規制 

タイには、50 以上の環境関連事項を取り扱う法規則がある。この中で最も中心的な役割を果た すのが、環境保全法、工場法、有害物質法、公衆衛生法など 4 つの基本法である。国家環境保全 法、工場法、有害物質法、公衆衛生法は、1992 年に環境悪化に対応するために法体系を見直し、

改訂されたものである。現在のタイの環境政策は、汚染者負担の原則(PPP)や環境汚染者の責任 を明確に位置づけており、環境汚染者に対する賠償義務の明確やペナルティーの強化などを導入 している。 

 

○ 国家環境保全推進法(1992) 

環境保護を主たる目的とする法律はこれが唯一。環境管理に関する様々な項目を含み、基本的 かつ包括的な内容。 

また、国家環境保全推進法の規定に基づき深刻な環境汚染の発生やそのおそれのある地域を指 定して、総合的な公害防止対策を実施する。総合排水処理設備や総合廃棄物処理施設などを建設 する場合には国家予算からの資金配分や環境基金からの貸し付けが受けられる。現在、バンコク 周辺の4県サムットプラカーン、ノンタブリ、パトムタニ、ナコンパトムと、パタヤ、プーケッ トなどが指定されている。それぞれの地域ではすでに廃水処理・廃棄物処理施設の建設、環境モ ニタリング体制の整備などが進められている。 

 

○ 工場法 

業種と規模により工場を3つのカテゴリーに分けてその操業を管理する法律。管理対象のひと つに廃棄物の管理があげられる。排水、ゴミ(有害廃棄物・生活廃棄物)について、排水は工場 外に排出される前に法に定められた基準を満たすように処理すること、有害廃棄物は安全で密閉 された容器に保管すること、他の種類の廃棄物とは厳格に区分することなどが定められている。

より具体的な処理方法や処理基準は、工業省の告示第 6 号に示されている。 

 

○ 公衆衛生法 

住民の健康、健全な暮し、及び生活の質に直接的に関係する法律で、地方公共団体により実施 される。ゴミと排水の収集及び輸送の手数料を規定されている。この法律によると地方公共団体 の許認可を得れば民間セクターでもゴミと排水の処理を実施できることとなっている。 

 

○ 環境基金 

92 年の環境法制改正にともない、工業部門の環境保護投資を奨励するための金融的な支援の一 環として環境基金が導入された。この基金は排水処理や大気汚染設備のために政府機関や地方政 府に拠出されているほか、民間企業や環境 NGO などが環境対策や環境保護活動に取組む際の資金 に対する貸し付けが行われている。この基金の実施したタイの環境技術市場の予測を表に示す。

タイの環境技術市場は 144million バーツ(2006 年)と予測されている。このうち約 77%が排水関 連、20%が廃棄物関連、1%が大気及び騒音とされている。 

 

(11)

表 2.1-1  環境基金による環境技術市場の予測  市場規模(100 万バーツ) 

汚染分類 

1999  2000  2001  2002  2003  2004  2005  2006  Total  水質汚濁  11,645  11,471  11,784 16,884 15,850 16,112 14,829  12,205  110,650 大気汚染・騒音  530  597  253  164  147  141  141  136  2,109  廃棄物  1,529  2,101  4,049  4,503  5,123  3,322  3,877  4,177  28,681

有毒廃棄物  90  225  95  410 

有害廃棄物  609  798  60  102  50  50  50  50  1,769  合計  14,403  15,192  16,241 21,553 21,140 19,625 18,897  16,568  143,619 源資料:1996-2006 Environmental Management Plan, Office of Policy and Planning, June 1998 

 

○ 財政危機が環境政策に及ぼす影響 

1997 年に始まる財政危機はタイの環境政策に大きな影響を及ぼしている。表は最近 10 年の タイの環境予算であるが、1999 年に環境予算が急激に落ち込んでおり、特に汚染防止における 環境支出の落ちこみは急激である。財政危機以来タイの環境戦略の将来的方向に関して不確実 性が増大しており、環境保護への財政支援が少なくなっているためか、いくつかの事業が延期 又は中止されている。 

 

表 2.1-2  タイにおける環境管理予算配分(1989〜1999 年を抜粋) 

汚染防止  天然資源 保全

行政事務 合計  全政府 

予算  年 

単位:100 万バーツ  単 位 : 10 億バーツ 

全政府予算にお ける環境管理合 計 予 算 の 割 合

(%) 

1989  91  1,007 37 1,134 285 0.40 

1990  129  1,898 60 2,087 335 0.62 

1991  328  2,289 196 2,753 387 0.71  1992  896  3,093 655 4,645 450 1.01  1993  2,708  4,685 1,735 8,162 560 1.46  1997  8,014  5,809 3,185 17,007 944 1.80  1998  6,107  5,690 4,985 16,782 800 2.10  1999  2,778  2,732 3,451 8,961 825 1.09  出典:予算局「年次歳出予算」(1989〜1999 会計年度) 

注)1 バーツ=約 3.3 円(1999 年 6 月時点) 

           

(12)

2.2 マレーシアにおける環境政策および環境法規制の現状 

(1) 環境政策 

<長期展望計画> 

マレーシアは 91 年に、マレーシアを 2020 年までに政治、経済、社会、文化的に十分に発達し た先進国家にすることを目標とすると長期ビジョン「2020 年ビジョン」を発表。これを実現する 政策を推進するのが長期展望計画である。2001 年からは第 3 次がスタートしている。 

 

○  第 3 次長期展望計画(OPP3:2001-2010) 

目標は「活力と競争力を備えた国家建設」であり、その内容は①マレーシアを知識集約型 社会に発展させる、②国内投資強化と国内潜在力向上を通じ、内発的成長を促すと同時に、

戦略的分野への外国直接投資誘致を継続する、③知識注入を拡大し、農業、製造業及びサー ビス業の活力を向上させる、④僻地、マレー半島、サバ及びサラワク州の少数民族の貧困問 題に取組み、最低所得層に当たる国民の 30%の所得と生活の質の向上に努める、⑤2010 年ま でにブミプトラの株式所有比率を最低 30%まで生活の質の向上に努める、⑤2010 年までにブ ミプトラの株式所有比率を最低 30%まで拡大する、⑥経済の主要分野へのブミプトラの参画 を促す、⑦知識集約型経済に向け、人材開発の方向を修正する、である。また、その要点は 以下のとおりである。①協調心を育み、愛国心を植え付け、政治的成熟を促し、寛容で思い やりがあり、優れた価値観を備えた社会を作り、生活の質を向上させ、経済を活性化させ、

活力溢れる国家を建設する、②貧困撲滅、民族及び地域間の格差を解消し、平等な社会を作 る、③成長の基盤、金融機関、企業とマクロ経済運営の強化により、経済成長を持続させる、

④グローバリゼーションと自由化の挑戦に対応し得る競争力を付ける、⑤経済のあらゆる分 野の付加価値を向上させる戦略として知識集約型経済を発展させ、国の知識層を拡大する、

⑥人材開発を強化し、生産性が高く、知識を備えた優れた労働力を養成する、⑦環境にやさ しい持続的開発を実行し、長期的成長を成し遂げる。 

 

<マレーシア 5 ヵ年計画> 

  5 年ごとに経済社会政策の指針となる「マレーシア計画」を策定。1976-1980 年を対象とした第 3 次計画に初めて開発計画に環境配慮を統合するという環境政策に関する方針が盛り込まれた。 

○  第 7 次マレーシア計画(1996-2000) 

国家の環境政策の目標として「次世代を含むすべての世代のために良好・安全・健康な生活 環境を実現する」「全てのひとの参加によって、国の天然資源と多様な文化遺産を保全する」「持 続可能な開発の原則に従ったライフスタイルと生産消費生活を促進する」を挙げた上で、具体 的な政策の柱として 

①  大気汚染・河川水質の改善 

②  廃棄物の適正な処理 

③  省エネ・新エネの導入 

④  土地利用における環境配慮の組み込み  などを挙げている。 

 

(13)

また、企業の民営化を進めるにあたり、民営化の対象となる組織・プロジェクトがリストアップされ、

廃棄物処理もこの中に挙げられている。 

 

○  第 8 次マレーシア計画(2001−2005) 

第 8 次マレーシア計画(2001〜2005 年)の狙いとするところは弾力性の高い持続可能な経 済を実現することである。これを実現するため、環境面では持続可能な開発を実現するため、

環境、資源問題に包括的、全体的アプローチを採用することの方策が考えられている。 

第 7 次 5 ヵ年計画で謳われた基本政策を踏襲しつつ、特に環境と天然資源の適正管理に力点 を置くとしている。第 8 次 5 ヵ年計画で述べているところは以下のとおり。 

 

・  目標は環境と天然資源の目指すところを効率的に達成すること、開発に伴う負の影響を最 小限に留めることである。 

・  経済的競争力に富み、持続可能にして、且つ弾力性の高い将来を築くため、複数の便益が 生まれるよう、失敗のない、コスト効率のよい適切な手法を決めて、それを実行すること。 

・  特に、目標は国民にクリーンな水、空気を保証すること、化学薬品を過剰に用いない食品 を提供すること、環境を劣化しないエネルギーを供給すること、健康な都市環境の開発を 行うこと、危機に瀕している生息環境と資源を保全すること。 

 

そのため、政府は早期の予防措置を取り、環境、天然資源問題には事前警戒原則によって 対応する事とされ、この観点から環境と持続的天然資源の利用、管理には次の戦略手法を取 ることとする。 

 

①  空気の汚染、水質の劣化防止や廃棄物処理を目的に都市活動におけるエネルギー、物 材の利用、公害、廃棄物を減らす。 

②  環境保全の目的に財政政策を用いると共に、産業レベルにおいては市場に基礎を置い た手段や自己規制的措置を導入する。 

③  環境面で成果の上がる手段を促すこと、また、環境面で意志決定する際に必要なデー タベースを強化すること。 

④  地方行政官庁の権限強化、環境問題へのコミュニティの参画。 

⑤  土地利用計画の充実、生物多様性の保全、海洋の維持、保全と共に森林の持続的管理 を強化。 

 

(2) 環境法規制 

○ 1974 年環境法 

環境庁長官に環境規制全般の権限を与え、また環境問題に対する国家的諮問機関である環境質 委員会の設置を規定する法律。何人も定められた許容基準に違反して陸水域汚染、海域汚染を発 生させてはならない、また指定産業廃棄物について環境局長官の承認がない限り廃棄または輸送 をしてはならないなどと規定している。具体的な規制内容はこの法律に基づいて規制対象別に策

(14)

水関連では工場排水基準値などを規定した 1979 年下水・産業排水に関する環境規則があり、廃 棄物関連では指定産業廃棄物について指定物質リスト、処理・処分方法、輸送方法などを詳細に 規定した 1989 年指定産業廃棄物に関する環境規則等がある。 

しかし、人材や予算の不足、適切な技術の欠如、省庁間の調整の困難と言った理由から、政府 は課題に十分対応し切れない状況にある。環境基準法とそれに基づく諸規則も公害の防止に重点 を置いており、環境影響評価も計画段階のもので、一度その事業が許可されると違反が野放しに なってしまうといった批判もある。政府はこういった人材や技術の不足を補うため、環境分野に ついて他のセクターと同様、民営化を進めている。上下水道、廃棄物処理のほか、大気汚染監視 システム、有害産業廃棄物の中央処理施設の建設、運営等もその対象になっている。 

 

(15)

3. タイ・マレーシアにおける水処理・廃棄物処理の現状  3.1  タイ 

3.1.1  タイにおける水処理に関する動向  (1)水質の状況及び環境対策の動向 

・  人口の集中するバンコク首都圏地域を中心に、生活排水や工場排水を原因とする河川の水 質汚濁が深刻化している。最も水質汚濁が進むチャオプラヤ川は、下流域の水質が DO の 最低値が 0.2mg/liter、BOD が平均 3.50mg/liter、全大腸菌群数 95 万 9000MPN/100ml と非 常に悪い。 

・  重金属が長年川底に堆積してきたことによる汚染がみられる。チャオプラヤ川河口では基 準値を大きく超える水銀が測定された。 

・  チャオプラヤ川に流入する有機汚濁物質の 75%が住居や商業施設から排出される未処理の 生活排水であり、水質汚濁の最大原因となっている。残りの 25%は工場排水で、これらは 地場資本の製糖、紙パルプ・製紙、ゴム、皮革産業などが要因。 

・  河川以外の水質汚濁では、1995 年タイ東北部のラムタコンダム湖で藻の異常発生が起こっ た。原因は生活用水、レストランからの排水、農業用水の流入で、タイ東北部の主要都市 コラートの上水道が大きな被害を受けた。 

 

表 3.1-1  2000 年までの主要な水供給プロジェクトの概要 

所轄公社  プロジェクトの種類  数  予算(百万ドル) 

計画の拡張  3 904

新規プラント  1 308

上水用運河  1 196

首都圏水道公社 

(MWA) 

水道網の拡張  1 188

都市の水供給  201 986

地方水道公社 

(PWA)  農村の水供給  356 540

源資料:タイ科学・技術・環境省 

 

・  タイでは、排水処理施設の普及が必要規模に対して極めて低い割合である、また従来まで は排水処理より水供給の方に重点が置かれてきたため、排水処理の市場が急速に拡大しつ つある。1995 年7月に科学・技術・環境省(MOSTE)の下に廃水管理庁(WMA)が設立され た。廃水管理庁は、排水の収集・処理を担当し、30%以内の株式保有において公共事業を 民営化している。 

・  92 年に設立された環境基金による排水処理事業への支援推移を表に示す。 

(16)

 

表 3.1-2  1994〜1998 年の環境基金による中央排水処理プラント関連予算(地域別) 

Year  Fund for  予算(バーツ) 

    Northern  Northeastern  Central  Eastern  Southern  Whole  Kingdom  1994  FS&DS 

CC  Total 

184,358,040  184,358,040 

64,876,226 136,082,719 200,958,945

20,393,667 555,304,260 575,697,927

29,452,992 131,737,545 161,190,537

24,280,000  852,840,000  877,120,000 

139,002,885 1,860,322,564 1,999,325,449 1995  FS&DS 

CC  Total 

9,000,000  68,000,000  77,000,000 

0 43,500,000 43,500,000

6,900,000 0 6,900,000

3,300,000 273,700 3,573,700

1,639,850,000  1,639,850,000 

19,200,000 1,751,623,700 1,770,823,700 1996  FS&DS 

CC  Total 

38,500,000  70,900,000  109,400,000 

48,000,000 49,960,000 97,960,000

92,000,000 10,440,000 102,440,000

16,000,000 37,000,000 53,000,000

30,500,000  617,600,000  648,100,000 

225,000,000 785,900,000 1,010,900,000 1997  FS&DS 

CC  Total 

27,800,000  393,859,000  421,659,000 

30,500,000 615,199,375 645,699,375

132,500,000 642,977,500 775,477,500

16,000,000 343,877,500 359,877,500

5,000,000  26,920,033  31,920,033 

211,800,000 2,022,833,408 2,234,633,408 1998  FS&DS 

CC  Total 

234,949,000  234,949,000 

91,580,000 84,570,000 176,150,000

0 74,451,000 74,451,000

13,518,000 0 13,518,000

56,000,000  56,000,000 

105,098,000 449,970,000 555,068,000 注:PE:設備購入、Improve:既存プラントの改良 

FS&DS:フィージービリティー調査とシステムデザイン、CC:建設 

出典:(社)日本産業機械工業会「平成 14 年度  発展途上国への環境技術の啓蒙・普及に関する事業(タイ・マレーシアに適合し た環境技術移転の推進に向けて)」、2003 年 

 

また、各地域についてはバンコク首都圏行政府(BMA)、PWD、PCD など各機関によって排水処理 プロジェクトが計画されている。 

   

<環境基準> 

水質基準;河川及び湖沼の表流水、海岸、飲料水などについて規定がある 

排水基準;工場排水基準では、12 種類の重金属を含む 27 項目に関して全国一律基準値が示さ れている。このほか個々の工場に対しては規模、立地場所などの工場の条件によって上記の基準 値を超えない範囲で数値が定められ、または新たな項目が設定される。 

 

<排水基準の概要> 

タイ政府では全国一律の排水基準値を設定しているが、個々の工場への設定にあたっては当該 工場を管轄する政府機関によって工場の条件、すなわち、規模、業種、立地場所、排水の性質な どを考慮して基準値が定められている。また、制度的には可能ではあるが、地方自治体による上 乗せ基準値は制定されていない。 

 

(17)

国が定める排水基準 

出典:1996 年制定  1992 年国家環境保全推進法に基づく科学技術環境省告示 1996 年第 3 号  タイ政府では 27 項目について全国一律の排水基準値を設定している。同時に、水質汚濁対策が 難しい特定業種については現実的で実施可能な水質汚濁対策を重視する観点から BOD,COD,全ケル ダール窒素の 3 項目に関しては基準値の緩和措置が設けられている。 

開発途上国の排水基準値は、欧米における最も厳しい基準値を抽出して用いていることが多く、

その国の技術レベルでは実現困難なほどに厳しい排水基準値を定めている場合もある。タイにお ける工場排水基準値についても、BOD,COD,重金属類について日本の排水基準値よりも厳しい数値 となっている。但し、今後の規制の方向としては、基準値をさらに厳しくするのではなく、むし ろ排水の質により合理的な基準値を定めることとし、特定業種等に対する緩和措置が 1996 年の公 害規制委員会の告示として出されている。 

 

工場へ設定されている排水基準 

例えば、排水が灌漑用水として使われる立地場所では農業・協同組合省の灌漑局から塩害を防 止するために排水中の塩濃度を厳しく規制され、また、工業団地に立地している場合にはタイ工 業団地公社法に基づいて全国一律基準よりも緩い基準が示されているなど、工場排水の放流先な どによって所轄官庁による排水規制が別途定められている場合がある。 

なお、工業団地に立地している場合には、団地事務所が運転管理する中央排水処理場で生物処 理により最終処理をしてから公共水域へ放流することが前提となっているため、全国一律基準値 より緩い排水基準となっている。 

 

<排水基準に関する留意事項> 

水質分析方法 

タイにおける水質分析方法は米国 EPA が定めている方法が採用されており、COD は重クロム酸 カリウム法による測定が定められている。 

 

違反者への制裁 

排出基準に違反した場合、所管官庁から警告を受け、これに従わない場合には操業停止処分を受 ける。また、工業団地で団地事務所の設定する基準値に違反し、給水を停止されて操業できなく なった例もある。 

 

課徴金の導入 

一部の工業団地では排水処理費用の徴収のために BOD 値と排出量を掛け合わせた総排出量に基づ いて賦課金を徴収する制度を採用しているが、国レベルでの課徴金導入が検討されている。 

 

【参考資料】 

「日系企業の海外活動にあたっての環境対策  タイ編」環境省企画調整局地球部環境協力室  1998 

(18)

表 3.1-3  タイにおける表流水(河川、湖沼)の環境基準

(mg/liter)

項目 統計値 日本

1 2 3 4 5

Color,odor and Taste/色度、臭気、味 - n n n n -

Temperature/温度(℃) - n n' n' n' -

pH - n 5-9 5-9 5-9 - 6.5〜8.5*'

DO:Dissolved Oxgen/溶存酸素 20%値 n 6 4 2 - 7.5*'

BOD/生物化学的酸素要求量(5日20℃) 80%値 n 1.5 2.0 4.0 - 1.0*'

Coli.Bacteria/大腸菌(MPN/100ml) 50*'

-Total Coliform/全大腸菌 80%値 n 5,000 20,000 - -

-Fecal Coliform/糞便性大腸菌 80%値 n 1,000 4,000 - -

NO3-N/硝酸性窒素 最大許容 n 5.0 5.0 5.0 - 10

NH3-N/アンモニア性窒素 〃 n 0.5 0.5 0.5 -

Phenol/フェノール 〃 n 0.005 0.005 0.005 -

Cu/銅 〃 n 0.1 0.1 0.1 -

Ni/ニッケル 〃 n 0.1 0.1 0.1 -

Mn/マンガン 〃 n 1.0 1.0 1.0 -

Zn/亜鉛 〃 n 1.0 1.0 1.0 -

Cd/カドミウム 〃 n 0.005*

0.05**

0.005*

0.05**

0.005*

0.05**

- 0.01

Cr6+/6価クロム 〃 n 0.05 0.05 0.05 - 0.05

Pb/鉛 〃 n 0.05 0.05 0.05 - 0.01

T-Hg/全水銀 〃 n 0.002 0.002 0.002 - 0.0005

As/ひ素 〃 n 0.01 0.01 0.01 - 0.01

T-CN/全シアン 〃 n 0.005 0.005 0.005 - -

Radioactivity/放射能(Bq./liter) 〃

-総量(alpha) 〃 n 0.1 0.1 0.1 -

-総量(beta) 〃 n 1.0 1.0 1.0 -

Pescticides/殺虫剤 〃 n 0.05 0.05 0.05 -

DDT/ジクロロジェフェニルトリクロエタン(μg/liter) 〃 n 1.0 1.0 1.0 - α-BHC/ベンゼンヘキサクロライド(μg/liter) 〃 n 0.02 0.02 0.02 -

Dieldrin/デルドリン(μg/liter) 〃 n 0.1 0.1 0.1 -

Aldrin/アルドリン(μg/liter) 〃 n 0.1 0.1 0.1 -

Heptachlor & Heptachlor epoxid/ヘプ タクロール及びヘプタクロルエキスポサイド

(μg/liter)

〃 n 0.2 0.2 0.2 -

Endrin/エルドリン(μg/liter) 〃 n none none none -

1)n=自然な状態

2)n'=自然な状態、ただし温度変化は3℃を越えないこと 3)*=水の硬度がCaCO3として100mg/liter より多くない場合 4)**=水の硬度がCaCO3として100mg/liter より多い場合

5)*'=河川における生活環境の保全に関する環境基準のうち、最も厳しい基準を定められている用途のもの    (利用目的水道1級自然環境保全)

級別 1級

2級

3級

4級

5級

<資料>国家環境委員会告示1994年第8号 (Notification of the National Environmental Board, No.8,A.D.1994) 中程度に洗浄で新鮮な表流水源で、次に利用されているもの

(1)消費用。使用の前に通常の水処理工程を要す (2)農業

いくぶん洗浄で新鮮な表流水源で、次に利用されているもの (1)消費用。使用の前に通常の水処理工程を要す

(2)工業

(3)その他の活動

1〜4級に区分されない水源で、次に利用されているもの (1)水上交通

級ごとの基準値

条件及び受益者 特別に洗浄で新鮮な表流水源で、次に利用されているもの

(1)非消費。水処理を必要としない。ただし、通常の滅菌処理だけは必要 (2)基本的な生物体が自然に繁殖していけるような生態系保存

非常に洗浄で新鮮な表流水源で、次に利用されているもの (1)使用の前に通常の水処理工程をして消費

(2)漁業の存続や助けになる水生生物の保護 (3)漁業

(4)レクリエーション

(19)

表 3.1-4  タイにおける排水基準値例 

(特に単位を示していなものはmg/liter)

項    目

採用府県

Temperature/温度(℃) 45℃ 40℃ 40℃

pH 6〜8 6〜8 5.5-9.0 海域:5.0〜9.0・海域以外5.8〜8.6 5.8〜8.6 大阪/和歌山

BOD/生物化学的酸素要求量 450 20 20(-60) 160(120) 10(5) 大阪/和歌山/香川

CODCr/化学的酸素要求量(クロム法) 600 60 120(-400) 160(120)(CODMn) 10(5)(CODMn)大阪/大分/和歌山/香川

SS/浮遊物質 500 30 50(-150) 200(150) 10(5) 大分

Settleable Solid/沈殿性物質 1000 - - - - -

TDS/全溶解固形物 3000-5000 3000-5000 3000(-5000) - - -

Electric Conductivity/

電気伝導率(μS/cm)

- 2000 - - - -

Fat,oil & grease/油脂分 100 5 5(-15) 55)、306) 15)、26) 大阪/兵庫/山口/大分/和歌山/福岡

Tar & oil/タール油分 50 - - - - -

Cu/銅 1.0 2.0 2.0 3.0 0.5 兵庫

Zn/亜鉛 5.0 - 5.0 5 1 和歌山

Fe/鉄 5.0 - - 10(Sol-Fe) 1(Sol-Fe) 愛媛/広島

Mn/マンガン 5.0 5.0 5.0 10(Sol−Mn) 2(Sol−Mn) 愛媛/広島

T-Cr/全クロム 1.0 - - 2 0.6 兵庫

Cr6+/6価クロム 0.25 0.25 0.25 0.5 0.025 和歌山

Cr3+/3価クロム 0.75 0.75 0.75

Cd/カドミウム 1.0 0.03 0.03 0.1 0.01 福岡/大阪/奈良

Ni/ニッケル 1.0 1.0 1.0 - - -

Pb/鉛 1.0 0.2 0.2 0.1 0.05 大阪

T-Hg/全水銀 0.01 0.005 0.005 0.005 検出されないこと 奈良

Alkyl-Hg/アルカリ水銀 - - - 検出されないこと - -

重金属類3) 16 - - - - -

金属類4) 30 - - - - -

Ba/バリウム 1.0 1.0 1.0 - - -

Ag/銀 1.0 - - - - -

Al/アルミニウム 5.0 - - - - -

Ti/チタン 1.0 - - - - -

F/フッ素 - - - 15 3 兵庫

T-CN/全シアン 0.2 0.2 0.2 1.0 検出されないこと 福岡/大阪/奈良

Org.P/有機リン - - - 1.0 検出されないこと 福岡/大阪/奈良

As/ひ素 1.0 0.25 0.25 0.1 0.01 大阪

Color & odor/色度・臭気 不感知 不感知 不感知 - - -

H2S/硫化水素 1.0 1.0 1.0 - - -

SO4

2-/硫酸イオン 500 - - - - -

SO32-/硝酸イオン 10 - - - - -

Free Cl/遊離塩素 100 1.0 1.0 - - -

Se/セレン 0.02 0.02 0.02 0.1(T-Se) 0.01 大阪

T-Coli,Bacteria./全大腸菌 - - - 3000 800 京都

(number/100ml)

T-N/全窒素 100 100 100-(200) 120(60)

P/リン - - - 16(8)

PCB/ポリ塩化ビフェニル - - - 0.003 検出されないこと 大阪/奈良

Detergent/界面活性剤 100 - - - - -

Trichloroethylene/トリクロロエチレン - - - 0.3 0.03 大阪

Tetrachloroethylene/テトラクロロエチレン - - - 0.1 0.01 大阪

Formaldehyde/ホルムアルデヒド 1.0 1.0 1.0 - - -

Phenol/フェノール 10 1.0 1.0 5.0 0.1 兵庫

Glucose/グルコース 500 - - - - -

Ethylene Glycol/エチレングリコール - - - - - -

Pesticides/殺虫剤 検出されないこと 検出されないこと 検出されないこと - - -

1)1992年国家環境保全推進法に基づく科学技術環境省告示1996年第3号(The notification of the Ministry of   Science, Technology and Environment, No.3, A.D. 1996 issued under the Enhancement and Conservation   of the National Environment Quality Act, A.D. 1992)

3)亜鉛(Zn)とカドミウム(Cd)を合わせた値、及び銅(Cu)の2倍の値、さらにニッケル(Ni)の8倍の値をすべて合計した数値 4)鉄及びアルカリ土類金属を除く金属の合計

5)ノルマルヘキサン抽出物、鉱物油 6)ノルマルヘキサン抽出物、動植物油

日本2)

2)排水基準を定める総理府令(平5総令54、別表1)と(平5総令40別表2)から関係する項目だけを抜粋。()内は日間平均濃度

7)水質汚濁防止法第3条第3項に基づいて瀬戸内地域沿岸府県が定めている上乗せ排水基準より、最も厳しい基準が定められている条件(1日平均排水量10,000m3以 上の新設事業所)における基準値を抽出。さらに、瀬戸内沿岸2府10県で最も厳しい基準値を採用している府県の値を記載。

瀬戸内沿岸地域 日本上乗せ排出基準7)

      製品(立地場所) 項目

工場へ設定されている基準値例 国が定めている基準値

コンピュータ部品 (工業団地)

合成繊維

(川の流域) タイ1)

(20)

図 タイにおける排水基準値(2/2) 0.0

2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0

Cu Zn Fe Mn T-C r

Cr6+

Cr3+ Cd Ni Pb

T-Hg Ba Ag Al Ti T-CN

Org

.P As H2S

SO32- Se ホルム

アルデヒト

フェノ ール 基準(mg/L)

タイコンピュータ部品工場向け基準 タイ合成繊維向上向け基準 タイ排出基準

日本排出基準 図 タイにおける排水基準値(1/2)

0 200 400 600 800 1000 1200

BOD COD

Cr SS

SO42- 遊離

全窒素

面活

性剤 グルコース 殿性

物質 溶解

油脂

基準(mg/L)

タイコンピュータ部品工場向け基準 タイ合成繊維工場向け基準 タイ排出基準

日本排出基準

タイ排水基準:1992年国家環境保全推進法に基づく科学技術環境省告示1996年第3号による基準 日本排水基準:排水基準を定める総理府令から関係する項目だけを抜粋

図 3.1-1  タイにおける排水基準値(1/2)

図 3.1-1  タイにおける排水基準値(2/2)

(21)

(2)水道事業の動向 

①上水道の状況 

出典:「国内機械産業の中国・東南アジア地域での公共事業(水道産業)への進出支援」(平成 16 年 3 月,財団法人機械振興協会経済研究所) 

 

従来より、タイは水が豊富であったが、近年の急激な経済発展により水不足が深刻化してきた。

1980 年から 1990 年にかけて水需要が年率 10%の割合で増加するとともに、今後 20 年間も引き続 き同様な割合で水需要が増加するものと見られている。水需要の 9 割は灌漑であり、工業部門は 全体の 4%を占めるに過ぎない。 

タイの上水道事業は 3 つの種類がある。内務省の管轄する MWA(バンコク首都圏)と PWA(バン コク首都圏以外のタイ全土の人口 5,000 人以上の都市)と、人口 5,000 人以上の地方自治体が管 理する都市型水道事業と、5,000 人未満の衛生区やコミュニティー、村などの地方自治体が管理 する地方型水道事業である。バンコク首都圏水道公社(MWA)の給水量は 1 日当たり 3.2million m3 で、約 75%の人口カバー率である。地方水道公社(PWA)は、120 万 m3、約 60%の人口カバー率 である。首都圏水道公社(MWA)、地方水道公社(PWA)ともに、BOT 方式で民営化を進めようとし ている。 

 

MWA と PWA の比較では、前者の規模は非常に大きく、東京都の水道に匹敵するほどの規模を持 っている。特に浄水場は世界1,2を争う規模でバンケン浄水場の日量処理能力は、国内最大規 模の東京都朝霞浄水場の2倍近く(320 万 m3/日対 170 万 m3/日)もある。技術的にもバンケン浄 水場が平成 12 年に ISO9002 を取得したようにかなり高度なものを持っている。 

一方 PWA は全体規模でも MWA の半分以下で、さらに分散しているため個々には非常に小さく、

最大の浄水場でも 15 万 m3/日程度である。技術レベルもそれほど高いとは言えず、予算も少ない ため、水道施設の維持管理や改良工事に手がまわらないのが現状である。 

そんなところから欧州の水道企業が PWA の水道に進出し、現在 9 つの浄水場で民間水道が稼働 している。 

MWA は 2003 年に公社化され、PWA は 2004 年中に公社化される予定となっている。 

 

【PWA(Provincial Waterworks Authority)について】 

・PWA はバンコク首都圏を除く全国を対象とした水道事業体の集まりで、全部で 227 の水道の district を持っている。そのうちの 9district について外部との委託契約をして、Private  Company が運営管理している。契約形態は BOT やリースコントラクト等いろいろな形態で行って いる。契約年限もいろいろであるが、平均で 25 年程度である。 

・その他のものは PWA が直接管理している。規模は様々である。 

・漏水率は高いところでは 50%、低いところでは 20%以下である、平均すると 27%程度である。 

(22)

表 3.1-5  タイ国の水道(1998 年) 

名  称  MWA  PWA  東京都 

給水エリア  バンコク、ノンタブリ、

サムットプラカン 

左記を除くタイ国 全土 

東京都内  給水面積(km2) 

1,129  8,373  1,183  給水区域内人口(百万

人)  7.4  10.5  11.1 

普及率  (推定)86  80  100 

給水能力(m3/日) 

4,550,000  2,654,000  6,960,000  平均配水量(m3/日) 

4,260,000  1,810,000  4,580,000  平均給水量(m3/日) 

(料金水量)  2,506,000  1,198,000  4,110,000  有収率(%) 

58.8  66.2  89.7  消費量(m3/人日) 

395  142  370 

職員数(人) 

5,432  7,414  5,476  職員 1 人当たり 

売上水量(m3/人)  461  162  751  引用:日本水道新聞「タイ国水道事情」、2001,1 月 1 日 

 

②工場で使用する上水の状況 

・バンコク周辺地域では近年地下水の汲み上げによる地盤沈下が激しいために、政府は 2003 年末 をもってバンコクおよび周辺の 6 地区(バンコク、ノンタブリ、サムット・プラカーン、サム ット・サコーン、ナコンパトム、アユタヤ、パトンタニ)での地下水の取水を禁止した。しか し、代替策がないため実施が 3 年間据え置きされることになった。 

・各工場が使用する工業用水は、今後 3 年程度ですべて水道水に切り替えることとされている。 

・地下水に比べて水道水はコスト高のため、水道水への切り替え命令は各工場にとって死活問題 である。特に製造コストに水コストが占める割合の高いのは食料品工場と染色工場である。 

・また、コストの問題だけではなく、取水原の上流に農場があり、化学物質が流れ込んでいる可 能性が高いこと、また、上水には塩素が含まれており、その残留塩素が食品工場では製品に臭 いの問題を発生させること、染色工場では色あがりの問題となって表れることなども懸念され ている。 

・さらに、工場での生産に必要な水量が保証されていないことも、地下水から水道水への切り替 えを困難にしている。 

表 2.1-1  環境基金による環境技術市場の予測  市場規模(100 万バーツ)  汚染分類  1999  2000  2001  2002  2003  2004  2005  2006  Total  水質汚濁  11,645  11,471  11,784 16,884 15,850 16,112 14,829  12,205  110,650 大気汚染・騒音  530  597  253  164  147  141  141  136  2,109  廃棄物  1,529  2,101  4,
表 3.1-2  1994〜1998 年の環境基金による中央排水処理プラント関連予算(地域別) 
表 3.1-5  タイ国の水道(1998 年)  名  称  MWA  PWA  東京都  給水エリア  バンコク、ノンタブリ、 サムットプラカン  左記を除くタイ国全土  東京都内  給水面積(km 2 )  1,129  8,373  1,183  給水区域内人口(百万 人)  7.4  10.5  11.1  普及率  (推定)86  80  100  給水能力(m 3 /日)  4,550,000  2,654,000  6,960,000  平均配水量(m 3 /日)  4,260,000  1,
表 3.1-11  産業廃棄物及び感染性廃棄物管理に係る主な法制度  
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参照

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