日本自転車振興会補助事業
平成 16 年度連携促進型地域振興技術協力支援調査事業
有機資源の地域循環システム
(レインボープラン)に係る適用可能性調査
中国雲南省昆明市におけるケーススタディ
調査報告書
平成 16 年 12 月
社団法人 海外コンサルティング企業協会 内外エンジニアリング株式会社
立命館大学
立命館アジア太平洋大学
報告書 目次
I. 調査の概要... 1
I.1. 調査の背景... 1
I.2. 調査の目的... 2
I.3. 調査の内容... 3
I.4. 調査団の構成と調査スケジュール... 4
II. 国内調査〜有機資源の地域循環システム(レインボープラン)の把握〜... 5
II.1. レインボープランの概要... 5
II.2. 有機資源の地域循環システム... 9
II.3. システムの推進体制... 10
II.4. 堆肥化技術...11
II.5. 農産物の認証制度... 14
II.6. 効果と課題... 18
II.7. システム導入時の留意点... 20
II.8. 「有機資源の地域循環システム」の成立条件の分析... 22
III. 現地調査〜中国雲南省昆明市における有機資源の発生と活用の現状〜... 23
III.1. 有機資源に関する調査方法... 23
III.2. 生ごみなど有機物の発生・処理の現状... 25
III.3. 有機農業の現状... 34
III.4. 有機物の堆肥化技術の現状... 37
III.5. 有機農産物の流通・販売の現状... 38
III.6. ? 池の現状... 40
IV. 類似プロジェクトの実施状況... 42
IV.1. 類似プロジェクトの実施状況... 42
IV.2. その他の類似プロジェクトの実施状況まとめ... 46
V. 有機資源の地域循環システム適用に向けての課題と可能性... 47
V.1. 有機資源の地域循環システム構築の条件整理... 47
V.2. 昆明市におけるシステム構築に向けての課題整理... 48
V.3. 適用に向けての関連機関の助言... 50
V.4. 適用に向けての課題解決へのアプローチ... 51
V.5. 適用に向けての技術協力支援の必要性... 53
V.6. 想定される支援プロジェクト... 54
VI. 調査のむすびとして... 56
VI.1. 先進国の経験から... 56
VI.2. 日本の支援の教訓... 56
VI.3. 調査のまとめ... 57
VI.4. 有機資源の地域循環システム開発計画調査の業務指示書(案)... 59
参考資料
現地調査の日程 長井市、昆明市の概要
図 目次
図 I-1 調査の手順... 4
図 II-1 有機資源の地域循環システム(1998年)... 9
図 II-2 有機資源の地域循環システムの推進体制... 10
図 II-3 レインボープラン推進協議会機構図... 10
図 II-4 長井レインボープランコンポストセンター堆肥生産の流れ... 12
図 II-5 生産者登録及び農地登録... 15
図 II-6 生産物認定... 15
図 III-1 関連施設などの位置図... 24
図 III-2 昆明市4市街区のごみの流れ... 25
図 III-3 昆明市のごみの構成(2000 年)... 27
図 V-1 (仮称)有機資源の地域循環システム調査委員会(案)... 52
表 目次 表 II-1 長井レインボープランコンポストセンター概要...11
表 II-2 長井レインボープランコンポストセンター事業収支表... 13
表 III-1 ヒアリング・現地踏査の実施日・調査先など... 23
表 III-2 2003年の? 池水質... 40
表 Ⅳ-1 世界銀行の類似プロジェクトへの融資状況(抜粋)... 42
表 Ⅳ-2 アジア開発銀行の類似プロジェクトへの融資状況(抜粋)... 43
表 Ⅳ-3 JICAの類似プロジェクト実施状況(抜粋)... 44
表 Ⅳ-4 JBICの類似プロジェクト実施状況(抜粋)... 45
表 V-1 ヒアリング調査の実施日・調査先... 50
・
I. 調査の概要
I. 調査の概要
I.1. 調査の背景
我が国では、循環型社会の形成、地球温暖化防止、新たな戦略的産業の育成、農山 漁村の活性化をめざし「バイオマス・ニッポン総合戦略(2002.12)」のもとに、農林 水産資源・有機廃棄物などの生物由来の有機資源であるバイオマスを、製品やエネル ギーとして総合的に活用し、持続的に発展可能な社会の構築を試みている。
一方発展途上国では、このような総合戦略がないまま、かつての日本等の先進国と 同様、生ごみ・家畜ふん尿・農産物残さなどの有機物を、野積みや野焼き等で廃棄し 有効利用されていないだけでなく、水質汚濁や悪臭などの環境悪化の原因となってい る。
中国では、「国民経済と社会発展の第十次五ヵ年計画綱要」に関する報告において、
「人口、資源、環境のバランスのとれた発展を促し、持続可能な発展戦略をさらに際 立った位置におかなければならない。」とし「循環型経済社会」の実現をめざしてい る。さらに、その実現のひとつの対策として、食の安全保障のため、農地の保全を最 重要課題に位置づけ、「有機肥料を多用し、合理的に化学肥料と農薬を使うことで農 地地力を保つよう奨励する。」と指導している。このため、農家と農産物消費者と行 政などが連携して、現在廃棄している家畜ふん尿など有機資源のリサイクルを図るこ とで、地域環境の改善と安全な食生活を生み出し、持続的発展が可能な有機物の地域 循環システムを構築する必要性が高まっている。
I. 調査の概要
I.2. 調査の目的
I.2.1. 調査の目的
本調査は、農家と農産物消費者と行政などが連携して生ごみなど有機資源のリサイ クルを図ることで、自然環境の改善と健康な食生活を生み出し、自然と人間の永続的 な共存をめざした地域循環システムの構築に成功した山形県長井市のレインボープ ランの適用可能性について、中国雲南省昆明市を対象に分析し、この地域循環システ ムの技術協力支援の可能性を判断することを目的にするものである。
ケーススタディを中国雲南省昆明市とした理由は、「①中国政府は「循環型経済社会」
の実現をめざしている。②雲南省は農業が盛んな地域(米、野菜、果樹、畜産など)で ある。③?でん池ちの富栄養化や家畜ふん尿の排出汚濁、生活水準の向上によるごみ対策な どが環境問題となっている。④重要な産業の1つである農業の基盤となる農地は、有 機肥料投入量の低下や酸性雨汚染による土壌酸性化などにより、質が退化している。
⑤経済発展に伴う国民の生活水準の向上に合わせて、安全安心な食生活が注目されて いる 。⑥日本の ODA 支援の該当地域である。」の6点である。
I.2.2. 有機資源の地域循環システムを導入の意義
有機資源の地域循環システムを導入することにより、次の5点が可能になると思わ れる。
1) 有機物の再資源化:生活で排出される生ごみや、家畜ふん尿、農産物残さなど、
廃棄物となっている有機物の再資源化が可能になる。
2) 優良堆肥の生産:一般世帯、食品産業の事業所からの生ごみ、家畜ふん尿、農 産物残さ等を原材料として、優良な堆肥生産が可能になる。
3) 土づくり・有機農産物の生産:優良堆肥の農地還元により、化学肥料等に頼ら ない自然生態系に即した土づくりを行い、有機農産物を作り出すことが可能に なる。
4) 域産域消による農産物の流通:地元で生産された安全な農産物を地元消費者の 食卓へ提供していくことで、健康な食生活を培うことが可能になる。
5) 農業の育成:自然生態系を生かした農業の実践により生み出される農産物をブ ランド化し、高付加価値生産による所得増大により、農業の育成を図ることが 可能になる。
また、本調査結果は昆明市以外においても、有機資源の地域循環システムの適用可 能性を検討していく上で参考となり得る調査であると考える。
I. 調査の概要
I.3. 調査の内容
本調査の内容と作業手順は以下のとおりである。
1) 国内調査〜有機資源の地域循環システム(レインボープラン)の把握〜
有機資源の地域循環システムの構築に成功した山形県長井市のレインボープラン
(有機資源の地域循環システム)の内容を既存文献より整理する。また、関係者への ヒアリング調査より、文献調査では修得しづらいシステム導入における留意点を把握 する。以上より、有機資源の地域循環システムの成立条件を分析する。
2) 現地調査〜中国雲南省昆明市における有機資源の発生と活用の現状〜
雲南省、昆明市などの関連機関へのヒアリング調査や現地踏査より、昆明市におけ る以下の4点について現状を調査する。これによって、昆明市におけるシステム構築 に向けての課題抽出や、適用の可能性を検討する際の基礎的なデータや知見を得る。
1.生ごみ等の有機物の発生・処理 2.有機農業
3.有機物の堆肥化技術 4.有機農産物の流通・販売
3) 類似プロジェクトの実施状況
世界銀行、アジア開発銀行、国際協力機構、国際協力銀行における農業や環境関係 の類似プロジェクトの実施状況を整理する。
4) 有機資源の地域循環システム適用に向けての課題と可能性
国内調査、現地調査の結果より、有機資源の地域循環システムの構築に向けた条件 と課題を整理する。
これを受けて最後に、有機資源の地域循環システムの適用に向けて、課題解決への アプローチを検討するとともに、日本からの技術協力支援の必要性と想定される支援 プロジェクトを提示する。
I. 調査の概要
文献調査よりレインボープラン(有機資源の地域循環 システム)の内容を整理するとともに、関係者へのヒ アリング調査よりシステム導入時における留意点を明 らかにする。以上よりシステム成立の条件を分析す る。
1.国内調査(山形県長井市)
以下の4点について関係部署へのヒアリング調査、現 地踏査する。
1) 生ゴミなど有機物の発生・処理 2) 有機農準
3) 有機物の堆肥化技術 4)有機農産物の流通・販売 2.現地調査(中国雲南省昆明市)
世界銀行、アジア開発銀行、国際協力機構、国際協力 銀行の類似プロジェクトを整理する。
3.類似プロジェクトの実施状況
有機資源の地域循環システムの構築に向けた条件・課 題を整理する。
これを受けて,適用に向けての課題解決のアプローチ を検討するとともに、日本からの技術協力支援の必要 性と想定させる支援プロジェクトを提示する。
4.適用に向けての課題と可能性
図 I-1 調査の手順
I.4. 調査団の構成と調査スケジュール
本調査は調査団の構成と調査スケジュールは以下のとおりである。
【調査団】
西村俊昭:内外エンジニアリング株式会社(全体総括・エネルギー政策1)
松 優男:内外エンジニアリング株式会社(エネルギー政策2)
仲上健一:立命館アジア太平洋大学(地域政策)
周 ? 生:立命館大学(環境政策)
寸 敏 :立命館大学(業務調整・中国環境廃棄物政策)
【スケジュール】
2004年11月 国内準備作業、現地調査(中国雲南省昆明市)
2004年12月 国内調査(山形県長井市)、調査結果とりまとめ、報告書作成
Ⅱ. 国内調査〜有機資源の地域循環システム(レインボープラン)の把握〜
II. 国内調査
〜有機資源の地域循環システム(レインボープラン)の把握〜II.1. レインボープランの概要
II.1.1. レインボープランの概要
l 「台所と農業をつなぐながい計画」
l しくみは単純,土をベースにした地域循環 l 「循環」と「ともに」の世界
長井市の世帯数は,約9,000世帯。レインボープランでは旧長井町である市内中心
部の約5,000世帯を「まち・消費者のエリア」とし,周囲の旧5村 約4,000世帯を
「むら・生産者のエリア」と位置づけた。
まち・消費者のエリア5,000世帯の台所から出る生ごみは,各家庭でしっかり水切 りと分別をして,週 2回エリア内220 ヵ所の収集ステーションに持ち込み,ここから コンポストセンターに運ばれる。その量は年間約1,500t,これに籾殻や家畜のふん尿 を加え,80日前後で約600tの良質なコンポストができあがる。
コンポストは,周囲の旧5村「むら・生産者のエリア」に引き取られて,ここで安 全安心な農作物を育てる土となって,生ごみが地域を変える貴重な資源として蘇る。
収穫した農作物は,生ごみを分別してくれた消費者や学校給食などに届ける。
土がベースとなり地域を循環する終わりのない事業が,レインボープランのコアの 事業である。
長井市では,家庭の生ごみはやっかいな廃棄物ではなく貴重な資源である。これは,
消費者と生産者をはじめ,この事業にかかわる行政を含む全ての市民が相互に理解し 合うことの上に成り立つことであり,「ともにの世界」を築いているからである。
台所が農地と農業の健康を守り,農業が市民の台所と食の健康を守る仕組み。市民 の中に自信と信頼を呼び戻し,安心と安全につつまれた「誇れる田舎づくり」がはじ まっている。
Ⅱ. 国内調査〜有機資源の地域循環システム(レインボープラン)の把握〜
II.1.2. レインボープラン誕生の背景
① 土が危ない
② 食への不安
③ 焼却場の老朽化
リーダーの「農」へのこだわり、地域の愛情と誇り
レインボープランは、農の世界を真摯に見つめる農民が、「命の資源である土」が農 薬や化学肥料でぼろぼろの状態になっていることの認識を原点に置いて事業展開の 理念を創り上げた。すなわち、昭和 30 年代以降の農業は大量生産と効率化をはかる ため、化学肥料と農薬を多用する農法にせまられ、「土」の疲弊を招いた。持続する 農業を再生するには、農地に堆肥を入れ、微生物が住む豊かな農地を再生する必要が あった。
一方、消費者特に女性は、疾病の増加など「食への不安」が年々高まっていること に危機感を募らせていた。農村地帯であるにもかかわらず、新鮮で顔の見える地元産 の農産物は、農家の生産事情、市場原理などで市内の店頭には出回らず食べられない 現実があり、平成4年の実態調査では地場農産物の自給率は 8%程度であった。
この両者の思いを背景に、市民主導で土・農を基盤とした地域循環社会の構想づく りが進められた。
さらに、行政は、ごみ焼却施設の延命策をはかるため、市民が練り上げた生ごみ利 用の事業構想を支援する決断をした。
Ⅱ. 国内調査〜有機資源の地域循環システム(レインボープラン)の把握〜
II.1.3. レインボープラン取り組みの歴史
l まちづくりデザイン会議('88)
発端は 1988 年、市がまちの将来計画つくりを中央のコンサルに頼らず市民の 提案を引き出そうと呼びかけた。これに加わった農家の青年たちが、環境保全と 結びついた農業で地域自給を高め、農作物の地域ブランドも高めようと、レイン ボープランの原型を模索した。
l 快里デザイン計画('90.8)
デザイン会議のまとめをさらに深めようと18名のボランティアが立ち上がり、
市も支援、部会活動結果を「まちに恋して」・快里デザイン計画としてまとめた。
3名の農業部会が構想づくり:長井市の農業を「自然と対話する農業」「農業は文 化であり市民共通の財産である」と位置づけた。
2本柱:①農作物の地域循環 ②有機質肥料の地域受給
l 台所と農業をつなぐながい計画調査委員会('91.6)
3名が調査委員会の設置を呼びかけ、市がこれに応じた。
市民が参加しやすい環境を整備しようと、発案者が組織づくりに奔走した。
市民の一部の提言を全市民の関心事に高めるべく、消費者、生産者、商工団体、
農業団体、医師まで広範な有為の方々の参画を得た。
市がこの委員会に生ごみ減量化の計画(生ごみのリサイクルの可能性調査)づ くりを委託、答申書に「推進すべし」と明記し提出。
豊かな農地を消費者が支え、農家が市民の食と健康を支える、安心と安全に裏 打ちされた一級の田舎まちづくりのためには官も民もない、それぞれがこの地域 で生き、死んでいく者として対等の関係で討論し、決定を分かち合う体制づくり に向けた取り組みとなる。
l 台所と農業をつなぐながい計画推進委員会('92.11)
市農林課にレインボープラン推進係創設('93.4)
具体的計画づくり着手、プラント建設計画、敷地確保、分別収集モデル事業実 施、有機農産物栽培研究事業、視察、シンポジウム開催などの啓発事業、市民に 具体 的説明開始
環境保全型農業推進方針策定('97.3)
行政とのパートナーシップ発揮
l コンポストセンター操業('97.2)
シルバー人材センターの協力
Ⅱ. 国内調査〜有機資源の地域循環システム(レインボープラン)の把握〜
l 現レインボープラン推進協議会発足('97.3)
レインボープラン推進室設置('97.4)事務局4名
現在の推進体制《市民と行政がパートナーシップでの推進》
• レインボープラン推進協議会
レインボープラン調査委員会、推進委員会を経て、平成9年3月設立/主要事業 の討論決定/平成 16 年機構改革を実施。市民が自由に参加できる総会、専門部 会間の調整や連携や活動の活性化を担う役員会、役員会定時の核計画、提案に助 言・評価で応えるアドバイザリーグループ、公募による自主性を重視した専門部 会を設置
• 行政内の組織
レインボープラン推進室(平成 13 年度からは企画調整課レインボープラン推進 係に)
・ コンポストセンター管理運営
・ 推進協議会事務局
・ レインボープランの理念をまちづくりに浸透させる(ISO14001 取得を道具に)
・ 視察対応業務(年間 2,000 名以上の国内外の視察者が「地域循環型のまちづく りを長井に学べ」と来庁、類似のシステムを立ち上げた自治体もある)
Ⅱ. 国内調査〜有機資源の地域循環システム(レインボープラン)の把握〜
II.2. 有機資源の地域循環システム
地域循環システム(有機資源の収集・運搬、堆肥化、有機農業、有機農産物の販売の 一連ライフサイクルシステム)の仕組みは下図のとおりである。
<台所>
水切り用網目 二重バケツ
一般家庭 約5、000世帯
有機資源廃棄物 事業所
畜ふん・畜尿 畜産農家
籾 殻 カントリーエレベーター
籾 殻 稲作農家
ごみ集積所 のコンテナ
220ヵ所
山形おきたま農協 レインボープラン推進協議会
認証制度審査委員会
市直営堆肥センター
生産堆肥 搬入原料
消費者 農 家 学校給食等
野菜等
委託販売 市が収集
JA等搬入 畜産農家が搬入 事業所で搬入
収集委託業者が回収 分 別 水切り
トラック(週2回)
1,351t/年
600t/年 450t/年
週4回 434t/年
図 II-1 有機資源の地域循環システム(1998年)
Ⅱ. 国内調査〜有機資源の地域循環システム(レインボープラン)の把握〜
II.3. システムの推進体制
農家と農産物消費者と行政など様々な利害関係者を連携した「有機資源の地域循環シ ステムの推進体制」は下図のとおりである。
レインボープラン推進協議会 w 企画開発専門委員会 w 生産流通専門委員会 w コンポスト専門委員会 w 認証制度専門委員会 w 学校給食調整協議会
堆肥センター 消費者
(学校給食など)
朝 市
小売店 スーパー
卸売市場等
審査委員会
↑ (加入) 生 産 者
生産者 組 織
⑤ 認定
② 審査諮問
① 登録申請
④ 結果報告
運営内容検討
農作物
③ 現地調査・指導
JA経由で販売 委員として参画
生 ご み
図 II-2 有機資源の地域循環システムの推進体制
協議会に関わる市民に留まらず、一般市民が団体、個人を問わず参加し、日 常生活や社会活動の生の声をまちづくりに反映させようという機関。
各専門部会の協議や活動の進捗状況を把握し、各部会間の調整連携を図 り、活動の活性化につなげる。またアドバイザリーグループに対して活動の状 況を公開し評価を求めると共に、意見や提言を求めていく。
メンバー:協議会会長・副会長・各部会長・各副部会長 協議会事務局長など
役員会より提案された案件に対し、レインボー プランの推進に寄与するに相応しい大所高所 から助言・評価を行う。
また域内外への普及啓蒙や、情報発信の一 翼を担う。
メンバー:農業委員会・長井市消費者団体連 合会・飲食業衛生組合・JA・商工会 議所・農林課・市民有識者・外部有 識者 ほか
①生産・販売部会 ②企画交流部会 ③認証部会 ④土づくり・環境部会 メンバー:市民に公募・現委員会および役員会による推薦者
総 会
役 員 会
専 門 部 会
アドバイザリーグループ
提示・求評
助言・評価
図 II-3 レインボープラン推進協議会機構図
Ⅱ. 国内調査〜有機資源の地域循環システム(レインボープラン)の把握〜
II.4. 堆肥化技術
2,400t/年(9t/日)の処理規模の「集約資源混合型の堆肥化技術(コンポストセンター)」
の内容は以下のとおりである。
表 II-1 長井レインボープランコンポストセンター概要
(1)工事名 平成7年度リサイクルコンポストセンター建設工事
(2)建設場所 長井市五十川地内(長井市五十川5632)
(3)工期 平成8年3月25日〜平成8年11月30日
(4)工事請負業者 株式会社荏原製作所
(5)工事請負金額 385,220,000円(内消費税11,220,000円)
(6)施設の規模 2,400t/年(9t/日)
(7)処理方式 原料受入設備・発酵設備(横型パドル式発酵槽)
異物除去設備・精選設備(振動篩)
(8)敷地 9,690m2
合計2,008.8m2
(9)建物面積
1.プラント棟 (鉄骨造平屋) 延べ面積 1,262.45m2
2.事務管理棟 (鉄骨造平屋) 延べ面積 168.10m2
3.籾殻貯蔵棟 (鉄骨造平屋) 延べ面積 300.00m2
4.土壌脱臭棟 (鉄骨造平屋) 延べ面積 247.50m2
5.トラックスケール棟 (鉄骨造平屋) 延べ面積 30.75m2
(10)建設工事に係る補助事業名 地域資源リサイクル推進整備事業(農水省補助)
補助率 国1/2 県9%
写真 II-1 長井レインボープランコンポストセンター外観
Ⅱ. 国内調査〜有機資源の地域循環システム(レインボープラン)の把握〜
l 堆肥生産の流れ
もみがら
畜ふん
生ごみ
粉砕機
原料貯留槽
原料貯留槽
一次発酵槽 二次発酵槽 篩分機 三次発酵槽
製品置場
袋詰め 出 荷
汚水槽
発酵槽曝気ブロア
土壌脱臭装置
15日 25日
30〜40日
図 II-4 長井レインボープランコンポストセンター堆肥生産の流れ
l 処理手数料
1. 事業活動に伴って排出された厨芥 10kgにつき 70円
2. 畜ふん(敷料を含む。) 10kgにつき 5円
3. 畜尿 10kgにつき 10円
4. その他の有機物資源(籾殻を除く。) 10kg につき 70円
l コンポスト(堆肥)の成分(乾物値)(平成10年3月分析値)
○窒素 2.20% ○りん酸 1.10% ○カリ 2.50% ○炭素率 14.0〜15.0
l 堆肥の販売
生産した堆肥(コンポスト)は、山形おきたま農業協同組合に販売を委託している。
堆肥の価格は、袋詰めの場合は15kgで320円、5kgで170 円、バラ売り(計量販 売)の場合は、4,000円/t(いずれも消費税別)になっている。
袋詰めの堆肥については、同農協の長井グリーンセンターと西根グリーンセンター で店頭販売されている。バラ売りについては、同農協の購買課にあらかじめ注文いた だいてから、直接コンポストセンターに取りに行って頂いている。
Ⅱ. 国内調査〜有機資源の地域循環システム(レインボープラン)の把握〜
l 事業収支(平成15年10月作成)
事業収支を見ると、歳入3,600千円/年、収集経費含め歳出40,700 千円/年と37,100 千円/年の赤字である。この37,100千円/年の不足分は市が負担している。これだけを 見るとランニングコストに相当の負担がかかるシステムと思われる。しかし、生ごみ の分別収集によりごみ焼却施設の生活系可燃物が3分の1減少している。この3分の
1減少量1,400t/年によるごみ焼却施設の負担減分(処理費27,000 円/t)は37,800千
円/年となる。以上より、ランニングコストの面だけを捉えると概ね収支はとれている。
表 II-2 長井レインボープランコンポストセンター事業収支表
単位:円
【歳 入】
合 計 項 目 金 額 内 訳 畜ふん処理手数料 209,595 419.19t×500円
3,602,607
コンポスト販売収入 3,393,012 15kg袋詰 7,560袋 バラ重量331.00t
【歳 出】
合 計 項 目 金 額 内 訳
人件費 13,026,070
作業員賃金 3,171,010 事務管理後者委託料 6,750,000 コンポストセンター業務委託料 3,105,060 消耗品費 1,047,304 堆肥袋、作業着等
燃料費 319,763 ガソリン、軽油、灯油
光熱水費 3,502,169 上下水道 941,053
電気料 2,561,116
修繕費 7,284,005 センター機械・施設修繕、部品交換等
役務費 339,904
電話料 111,884
成分分析等手数料 189,840 機械器具検査点検手数料 38,180
委託料 1,618,386
警備委託料 403,200 自家用保安管理委託料 165,186 施設点検委託料 1,050,000
賃借料 836,063 籾殻運搬用ダンプトラック・タイヤショベル借上料
27,973,664
備品購入
その他 収集経費 12,688,200 生ごみ収集運搬費
Ⅱ. 国内調査〜有機資源の地域循環システム(レインボープラン)の把握〜
II.5. 農産物の認証制度
レインボープランを一層推進するため、1999 年より「レインボープラン農産物認証 制度」を設け、独自ブランド「レインボープラン農産物」のブランド化を行っている。
この認証制度には、次のようなメリットが考えられる。
l 消費者側のメリット
安全な農産物を購入する際の目安になる。
l 農家側のメリット
農産物のブランド化による農業の振興
l 地域全体のメリット
農薬や化学肥料の施用を抑えた栽培技術を確立することにより、環境負荷を 軽減できる。
認証制度を確立することにより、消費者と農家(台所と農業)相互の理解と信頼関係 をつくることができる。 なお、この認証制度はレインボープラン推進協議会が運営し ている。
写真 II-2 レインボープラン農産物認証マーク
写真 II-3 レインボープラン農産物の販売状況
Ⅱ. 国内調査〜有機資源の地域循環システム(レインボープラン)の把握〜
l レインボープラン農産物認証制度
生 産 者 レインボープラン
農産物栽培推進員 生産者登録・農地登録申請取りまとめ
認定・登録通知
申請
(意見添付)
認定・登録通知
レインボープラン推進協議会 図 II-5 生産者登録及び農地登録
生 産 者 レインボープラン
農産物栽培推進員 栽培計画書・栽培管理記録簿提出
認定シール配布
栽培計画書 栽培管理 記録簿提出 認定
認定シール交付
レインボープラン推進協議会 認証制度委員会
現地調査
審査結果
審査(栽培計画書・栽培管理記録簿)
を諮問
図 II-6 生産物認定
Ⅱ. 国内調査〜有機資源の地域循環システム(レインボープラン)の把握〜
l 認定の基準
1) 葉根菜類及び果菜類
① 農地の認定基準
過去における農地の管理状況 農地の認定区分
土壌消毒剤/除草剤 土づくり(堆肥の投入)
A 3年以上使用しない 土づくり3年以上の農地 B − 土づくり3年未満の農地
※ レインボープランコンポストは、10aあたり2t以上使用する。(自家堆肥を使用する場合で も、レインボープランコンポストを1t/10a以上を使用するものとする)
② 生産管理の認定基準
管理の認定区分 土壌消毒剤 化学肥料 合成化学農薬(防除回数)
A 使用しない 使用しない 使用しない
B 使用しない 三要素施用成分総量の1/2以下 慣行防除の1/2以下
※ 天然資材を使用した除草、防除は、使用回数には含めない。なお、天然資材の内容は別途定 める。
③ 総合認定区分基準
総合認定区分基準
農地認定区分 生産管理認定区分 総合認定区分
A A A
A B
B A
B B
B
2) 水稲・麦類
① 農地の認定基準
過去における農地の管理状況 農地の認定区分
除草剤 土づくり(堆肥の投入)
A 3年以上使用しない 3年以上の農地
B − 3年未満の農地
※ レインボープランコンポストは、10aあたり1t以上使用する。(自家堆肥を使用する場合で も、レインボープランコンポストを0.5t/10a以上を使用するものとする)
② 生産管理の認定基準
管理の認定区分 土壌消毒剤 化学肥料 合成化学農薬(防除回数)
A 使用しない 使用しない 使用しない
B 1回のみ 三要素施用成分総量の1/2以下 慣行防除の1/2以下
※ 天然資材を使用した防除は、使用回数には含めない。なお、天然資材の内容は別途定める。
③ 総合認定区分基準
総合認定区分基準
農地認定区分 生産管理認定区分 総合認定区分
A A A
A B
B A
B B
B
Ⅱ. 国内調査〜有機資源の地域循環システム(レインボープラン)の把握〜
3) 大豆
① 農地の認定基準
過去における農地の管理状況 農地の認定区分
土壌消毒剤/除草剤 土づくり(堆肥の投入)
A 3年以上使用しない 土づくり3年以上の農地 B − 土づくり3年未満の農地
※ レインボープランコンポストは、10aあたり0.5t以上使用する。(自家堆肥を使用する場合 でも、レインボープランコンポストを0.2t/10a以上を使用するものとする)
② 生産管理の認定基準 管理の認定区分 土壌消毒剤
除草剤 化学肥料 合成化学農薬
(防除回数)
A 使用しない 使用しない 使用しない
B 使用しない 三要素施用成分総量の1/2以下 慣行防除の1/2以下
※ 天然資材を使用した除草、防除は、使用回数には含めない。なお、天然資材の内容は別途定 める。
③ 総合認定区分基準
総合認定区分基準
農地認定区分 生産管理認定区分 総合認定区分
A A A
A B
B A
B B
B
4) そば
① 農地の認定基準
過去における農地の管理状況 農地の認定区分
土壌消毒剤/除草剤 土づくり(堆肥の投入)
A 3年以上使用しない 土づくり3年以上の農地 B − 土づくり3年未満の農地
※ レインボープランコンポストは、10aあたり0.5t以上使用する。(自家堆肥を使用する場合 でも、レインボープランコンポストを0.2t/10a以上を使用するものとする)
② 生産管理の認定基準 管理の認定区分 土壌消毒剤
除草剤 化学肥料 合成化学農薬
(防除回数)
A 使用しない 使用しない 使用しない
③ 総合認定区分基準
総合認定区分基準
農地認定区分 生産管理認定区分 総合認定区分
A A A
Ⅱ. 国内調査〜有機資源の地域循環システム(レインボープラン)の把握〜
II.6. 効果と課題
レインボープランによる直接効果、間接効果、現状における課題は以下のとおりであ りである。
直接効果
1) リサイクルで生ごみも資源(意識変化)⇒生ごみの分別に誇り
2) ごみ焼却施設の生活系可燃物が3分の1減少(処理費約4,000 万円/年の減少)。ダ
イオキシン類も減少の筈
3) コンポストは人気商品。春は品切れ 土に弾力が出てきた⇒農地が蘇りつつある
4) 有機農業生産者1994 年8戸から2002年78戸
生産者の自主組織(作目ごとの部会)が生まれ,安全でおいしい農作物の供給が始 まる⇒理念の理解者増え始める
野菜本来の味,おいしいメロン・イチゴなどは消費者が生産者を指名
⇒やりがい
5) レインボー農産物の理解者(購入者)着実に増えつつある
⇒循環のパイプつながりだす
6) 空き店舗対策・まちづくり会社「長井村塾」誕生⇒市民交流の輪が広がる レインボー農産物販売の常設コーナー,豆腐・味噌・お菓子等の商品開発販売 まちの特産物販売,レインボー関連情報交換の場,レインボーの視察コースに 7) 食堂組合,レインボー関連メニューづくりに取り組む⇒商業分野への波及
長井ラーメン,レインボー蕎麦など 8) 児童,生徒の環境教育に活用
レインボー農作物,学校給食に本格的に入り始める
副読本で紹介,学校への出前講座⇒環境に配慮した生き方のできる人間教育 9) 視察者がまちに情報とお金を落としてくれる⇒事業充実,地域経済に寄与
視察者との交流,山形鉄道(三セク),ホテル・旅館,みやげ
10) マスコミなどの取材で地方のまちが一躍有名⇒取り組みに市民の自信と誇り
11) 各種受賞で市全体の評価が高くなった⇒取り組みに市民の自信と誇り
12) 市民と行政,商議所,JA,女性団体,PTAなど同じテーブルで身近な課題解決に
取り組む⇒自治意識の改革,新しい行政のあり方
Ⅱ. 国内調査〜有機資源の地域循環システム(レインボープラン)の把握〜
間接的効果(期待を含めて)
1) たべもの,健康への安全思考が強くなる
本物を見分ける力,自らの消費行動を見直すことができる賢い消費者が育つ 流通への疑問,社会の矛盾などを考える市民が育つ
2) 生産者・消費者が相互理解で思いやりが育つ
生ごみを分別する行動が土づくりへの参加であり,台所から生産に参加している認 識が育つ⇒しっかり分別
消費者に応えようとする良識が育つ 3) 環境問題について感度の良い市民が育つ
分別収集開始(平成6年)記名排出で⇒−25%
4) 市民自らが身近な問題を解決することで,自治の原点を学ぶことができる 5) 市民に誇りと自信が生まれる
6) 市民が燃えれば,行政も燃えまちづくりへの相乗効果が期待できる
7) 誰もが住みたくなるような環境にやさしい日本一のリサイクルタウンをめざせる 8) 生ごみ資源化の地域循環理念をかかげれば「小さな世界都市」として発信できる。
課 題
1) 理念や義務感でなく,経営が成り立つ農業(安定供給の確保)
環境保全型農業の具体的な推進 2) 栽培技術と認証制度の確立
県の全面的な支援を受けているが栽培技術の早期確立 認証制度の運営はボランティア事業としては限界が来る 3) 流通業界の協力(既得権意識を軟化させられるか)
生産者の対応と流通関係者の理解が得られる新たな流通の模索 4) 地域循環先進自治体として,市民意識の継続と高揚
レインボーを核に,環境に配慮した生活や地域社会を如何に構築するか 5) センターのランニングコスト対応(補修費用が嵩む時期に入る)
6) 理念や手法を多様なまちづくりへどのように活かすか
市環境基本計画にある「商業のレインボープラン」「工業のレインボープラン」の 具体的推進
「市民主役」で進めてきたレインボープランの推進手法を多様なまちづくりに活か すこと
7) 「命の前の平等」立場を超えて全市民での取り組みを確立 関係者相互に「信頼」という虹の架け橋づくり
8) 産業としての「農業」と,生命をつなぎ次の世代に地域を残そうとする「農」との 調整
農業者,行政,市民が相互に両者の立場を理解しあうことから始める
Ⅱ. 国内調査〜有機資源の地域循環システム(レインボープラン)の把握〜
II.7. システム導入時の留意点
長井市レインボープランのシステム導入時における留意点を、2004年12月8日に、
レインボープラン推進の市担当である長井市企画調整課寒河江補佐、及び、レインボー プラン推進協議会の渡辺役員からヒアリング調査より、以下の項目で整理した。(●は 現在の反省などからの助言)
1)レインボープラン立ち上げ時の留意点
○レインボープランにおいても、レインボープラン調査委員会設立(1989)から レインボープランのスタートまで(1997)まで約8年かかっている。このため、
段階的な戦略のもとシステム構築させるともに、市民へ理解を浸透させる。
○調査委員会の段階から、様々な立場の住民を構成員とした組織とする。
○アドバイザーリーグループを設置して、地区外の関係者や専門家の意見を取り 入れる仕組みをつくる。
○生ごみ分別収集モデル地区事業など、小規模な範囲で実証実験をして、手法検 討、住民意識の把握、発生量把握などを行う。
2)生ごみの分別収集導入時の留意点
○急な分別の実施は住民の反発をかう可能性があり、説明会を何回も開催するな ど、住民へ分別収集システムを周知させるために、十分に時間をかける。
○生ごみも含めたごみの分別方法については、子供からお年寄りまで誰でもわか るように絵などを用いて説明する。
○ごみは分別するのがあたり前という意識を醸成する。
●水切りバケツの網目は、洗浄を考えて下部だけにした方がよい。(長井市では現 在改良中)
●家庭の段階から、堆肥化を始めるシステムを考えた方がよい。(家庭での簡易コ ンポスト化の検討)
3)コンポストセンター建設時の留意点
●腐敗防止のため、1次発酵段階の初期段階で高温になるような設備とした方が よい。
○コンポストセンターの近隣集落に対する補償対策が必要である。
○堆肥の成分分析は県農業試験場と連携する。
●作目に応じた堆肥のブレンド化も検討した方がよい。
●堆肥の生産量を確保するために、家畜ふん尿など様々な原料を検討した方がよ い。(現時の施設規模ではこれ以上堆肥は増産できない状況である。)
4)有機農産物販売の留意点
○有機農産物の価格は、周辺スーパーの価格を調査して、あまり高くならないよ うに設定している。このため、農家の収益確保のため、流通コスト削減のため の直接販売などの検討が重要である。
Ⅱ. 国内調査〜有機資源の地域循環システム(レインボープラン)の把握〜
●有機農産物の付加価値をあげるために、農産物加工品を検討した方がよい。ま た、その加工品を提供するレストランも検討した方がよい。(長井市では有機大 豆の加工品として豆腐を検討している。)
●生ごみを出す市民と有機農産物を繋ぐために、生ごみの収集場の横に有機農産 物の無人販売所の設置を考えた方がよい。
Ⅱ. 国内調査〜有機資源の地域循環システム(レインボープラン)の把握〜
II.8. 「有機資源の地域循環システム」の成立条件の分析
長井市におけるレインボープランの調査より、有機資源システムの成立条件を分析す る。
最適な地区設定
有機資源の安定した発生があり、収集・運搬の効率化などから最適な収集範囲を設 定することが重要である。
システムに対する市民意識の醸成
地域循環システムの構築のためには、生ごみの分別をはじめ、食の安全、環境保全 型農業、地産地消など市民のシステムに対する理解が不可欠である。このためには、
システムの意義や分別の方法などについて、子供からお年寄りまでだれでも理解でき る説明会を十分に行う必要がある。また、導入の際には,生成堆肥を利用した有機農 産物を学校給食へ提供するなどして、子供たちが食べる食品の安全のため分別や有機 農業を正しく行おうというように、市民に対して行動へのインセンティブを与える仕 掛けが重要である。
有機農産物の販売ルートの開拓
堆肥を生成して、労力をかけて有機農産物を生産しても、農家に適正な利益還元が できなければシステムの持続性は確保できない。このため、アンテナショップや朝市 などによる直接販売や学校給食との連携など、農産物の流通コストを低減できる販売 ルートを開発することが大切である。また、有機農産物を使用した加工品の開発など 付加価値をつける対策も必要である。
有機農産物に対する認証制度の確立
消費者へ有機農産物の品質保証を行うため、認証制度が不可欠である。また,これ により有機農産物をブランド化することがポイントである。
調査段階からの地区内の様々な市民が参加した組織の構築
地域循環システムは、市民、農業者、食品関連業者、行政など様々な利害関係者で 構成させる。このため、調査段階から様々な市民が参加して利害調整を行いながらシ ステムを構築することが重要である。また、このような調査段階からの議論や勉強を 通して、システムの核となる推進協議会のメンバーの人材教育も大切である。
地区外からのバックアップ体制の確立
システムの継続的な改善のためには、地区内の関係者だけでは限界がある。このた め、アドバイザリーグループなど地区外の専門家や有識者と意見交換を行う仕組みづ くりが重要である。
実証実験による試行錯誤期間の確保
計画したシステムをすぐに導入すればかなりのリスクが発生する。このため、有機 資源の収集・運搬や堆肥化などは実証実験を行い、市民理解や経済性、効率などを十 分に検討する期間を確保することが重要である。
Ⅲ. 現地調査〜中国雲南省昆明市における有機資源の発生と活用の現状〜
III. 現地調査
〜中国雲南省昆明市における有機資源の発生と活用の現状〜III.1. 有機資源に関する調査方法
ヒアリング及び現地踏査により、昆明市における以下の現状を調査した。
1) 生ごみ等の有機物の発生・処理 2) 有機農業
3) 有機物の堆肥化技術 4) 有機農産物の流通・販売
表 III-1 ヒアリング・現地踏査の実施日・調査先など
調査日 ヒアリング・現地踏査先 内 容
11/24 雲南省環境観測センター 有機農産物の基準、家畜ふん尿、ごみの発
生・処理の現状
有機食品生産基地視察 有機農園及び有機食品のレストラン 雲南省環境科学研究所 堆肥化技術の現状
11/25 昆明市都市建設管理局 ごみの発生・処理の現状
昆明市環境保護局 危険廃棄物の処理の現状
昆明市農業局 農業、有機農産物、畜産、施肥基準の現状 雲南省牧畜局 畜産、家畜ふん尿処理の現状
11/26 ごみ処理施設視察 ごみ処理施設の現状
?でん
池ちの視察 ?でん池ちの現状
昆明市?でん池ち管理局 ?でん池ち及び水質保全対策の現状
11/27 宜ぎりょう良県の家畜、農業の現状視察 家畜ふん尿の処理、農業生産の現状
Ⅲ. 現地調査〜中国雲南省昆明市における有機資源の発生と活用の現状〜
図 III-1 関連施設などの位置図 有機生産緑地
ごみ処分場
堆肥施設(計画)
Ⅲ. 現地調査〜中国雲南省昆明市における有機資源の発生と活用の現状〜
III.2. 生ごみなど有機物の発生・処理の現状
III.2.1. 調査対象とする有機物の種類
本調査の対象とする有機物は、堆肥化を主な変換物と想定しているため、生ごみ、
家畜ふん尿、農産物残さとする。
III.2.2. 生ごみ
(1) ごみ管理の流れ l 生活ごみ
昆明市4市街区から排出される生活ごみの管理は、都市建設管理局の指導のもと 各区で行っている。4市街区以外には生活ごみの収集システムはなく、通常、生活 ごみの処理は各世帯で野積み又は焼却処分されている。
生活ごみは 1)収集→2)中間処理場(減量化)→3)最終埋立処分場の順で処理され ている。現在、中間処理場は 64 ヵ所、最終埋立処分場は2ヵ所ある。なお、食品 産業・レストランの生ごみも生活ごみといっしょに収集されている。また、レスト ラン等の生ごみを集める個別業者もある。
ごみ処理費(運搬・処理費)は、一般世帯5元/世帯・月、企業70元/t、行政60 元/tである。
人力三輪車
(毎日収集)
中間処理場
(減量化) ゴミ収集車 2,400t/日
家庭・事業所
64ヵ所
(処理規模50t/日・施設)
最終埋立処分場 2ヵ所
(A=15,000ha・11,250ha)
図 III-2 昆明市4市街区のごみの流れ
l 危険廃棄物
生活ごみ以外の医療廃棄物、危険廃棄物、放射能性廃棄物の処理は昆明市環境保護 局が行っている。これら危険廃棄物は一般ごみとは分けて別途特別に処理している。
現在、医療廃棄物の処理施設は建設中であり、危険廃棄物処理施設は建設予定であ る。
(2) 生活ごみの発生量 l 生活ごみの発生量
昆明市4市街区(人口約300万人)の生活ごみの発生量は3,000〜4,000t/日であ り、収集量は2,400t/日である。ちなみに、雲南省における1人あたりの生活ごみの
発生量0.5〜1.1kg/人・日である。昆明市の一般ごみの特徴として、くだもののシー
ズンには、ごみの発生量が400t/日程度増加する。
Ⅲ. 現地調査〜中国雲南省昆明市における有機資源の発生と活用の現状〜
l ごみの分別
現在、ごみの分別に関するルールはない。しかし今後、生ごみ、建設廃棄物など の分別が問題になると考えられている。
ちなみに、昆明市では2年前からごみの分別収集のテストを開始しているが困難 な状況にある。主な原因としては、1)分別収集のためのコストが高い、2)住民の意 識改革はすぐには困難、3)全体的に住民所得が低いの3つである。関係者の希望的 観測では分別収集が市民に認知させるまでに 8〜10 年はかかるとの意見があった。
また、ごみの分別収集には人の意識改革が必要であるが、意識改革には概ね GDP
で3,000 ドル/人必要という見解もあり、現在中国のGDPは1,000ドル/人というこ
とから、経済成長が重要という意見もあった。
写真 III-1 市街区のごみ箱(橙色:再利用不可、緑色再利用可能)
(3) 収集、運搬(各世帯→中間処理場)
生活ごみの収集は人力3輪車で毎日朝早く実施している。また、2〜3年前、昆明 市では生活ごみのごみ袋による排出方針を打ち出し、結果現在、90%がごみ袋によ り排出している。
写真 III-2 ごみを収集する人力三輪自転車
Ⅲ. 現地調査〜中国雲南省昆明市における有機資源の発生と活用の現状〜
(4) 中間処理場
市街区には中間処理場が64ヵ所あり、処理規模50t/日程度である。3輪自転車で 収集してきたごみを、ごみ収集車で減量化して、そのまま最終埋立処分場まで搬送 する。
写真 III-3 中間処理場 写真 III-4 ごみ収集車で減量化 l ごみの成分
2000年3月上旬に都市建設管理局では、ごみの構成比調査を実施した。調査方法 は64カ所の中間処理場のうち10ヵ所を対象に、ここで減量化されたごみ25kg の うち1kg を抽出して、構成比を測定した。都市住民の生活ごみ以外に、農産物自由 市場、小売店舗、ホテルと町通りの掃除ごみなどを全部含めており、全体的に代表 性がある。
l ごみの構成(16種類)
1)野菜の屑、2)果物の皮と核、3)家畜の骨、4)木竹雑草、5)人と畜の糞、
6)石炭灰、7)残土、8)レンガ、素焼、陶磁器のかけらと小石など、
9)プラスチック、10)廃紙、廃木綿、11)皮類、12)廃紡績品類、13)廃ゴム、
14)廃金属、15)廃ガラス、16)廃電池 l ごみの平均単位重量:0.23t/m3 l ごみの構成率
有機物平均含有量 無機物平均含有量
その他
67.7%
7.0%
25.4%
ごみの 構成率
図 III-3 昆明市のごみの構成(2000年)
Ⅲ. 現地調査〜中国雲南省昆明市における有機資源の発生と活用の現状〜
(5) 最終埋立処分場 l 現状
昆明市には最終埋立処分場が2ヵ所あり、2000年5月10日から供用している。
その規模は15,000haと11,250haであり、世界銀行の借款を活用して整備を行った。
この整備は事業費 2.4 億元で、内容は、最終埋立処分場2ヵ所のほか、処理場への アクセス道路、中間処理場 100tクラス 12 ヵ所、200tクラス 2 ヵ所、300〜500t クラス5ヵ所等である。
当初の処理計画量は 1,700t/日であったが、現在の収集量が 2,400t/日と近年ごみ の発生量が増加傾向にあり、中長期的には別途の処理対策が必要である。
埋立処分場は汚水の地下浸透を考慮して、下層から 1層目:プラスチック・土の 圧縮、2層目:DPHE膜、3層目:土砂という3層処理が施されている。
また、2000年に埋立処理した生活ごみを掘り起こし分別して堆肥化するテストを 実施した。しかし、分別に手間がかかり実現化は困難との結果であった。
l 関連基準
最終埋立処分場には、以下の関連基準がある。
l 有害物質の排出規制がかかる。
l 地質、水の状況から場所を選定する。
l 地下浸透10−8cm/sec 以内が基準である。
l 1/20年確率降雨量で設計されている。
l 昆明市環境衛生管理条例(2003 年)に 該当して、建設プロジェクトの際には、
計画段階から環境アセスメントや環境 配慮事項の検討の必要性が位置づけて いる。
写真 III-5 昆明市環境衛生管理条例表紙 l 計画
今年から生活ごみ収集処理の管理については、昆明市都市建設管理局から4市街 区ごとに権限委譲した。このため、昆明市都市建設管理局のごみ収集処理に関する 役割は、1)統一的指導、2)区への権限委譲、3)社会的監督、4)一般民衆の参加促進 となった。今後の4市街区には、区ごとに新たなごみ最終処分場が必要である。処
理方法は1)埋め立て、2)焼却、3)堆肥化の3つあり、処理方法は各区に委任してい
る。現在、2 ヵ所でごみ焼却・発電所の計画がある。1 つはアメリカフロリダの会 社、2)中国華能グループが関連業者である。
Ⅲ. 現地調査〜中国雲南省昆明市における有機資源の発生と活用の現状〜
l 11,250ha の最終埋立処分場
管理は昆明市東埋立衛生管理所が所管している。2000年5月より第1期の供用が 開始され、3期まで計画されている。1期は供用開始から6〜8年で完了予定であり、
3期終了までは概ね20年を予定している。ここでは、中間処理場から搬送されてき たごみを80cm埋め、その上に土を30cm覆い処理されている。
第1 期処分場の下流には、汚水の調整池がある。雨期に貯留した汚水は、降雨量 より蒸発散量が多い昆明の気候を活用して、乾期に埋立処分場に散布して蒸発させ 処理している。
問題点としては、悪臭とごみ回収車の往来等のため、周辺住民よりクレームがあ る。なお、20の候補地からこの場所に決定までに2年を費やしている。
写真 III-6 最終埋立処分場 写真 III-7 最終埋立処分場の調整池
(6) 関連法及び計画
循環型社会形成に向けた関連法としては、「グリーン生産促進法」がある。この法 の基本方針は、1)資源の再利用、2)汚染防止、3)生産を高めることである。
Ⅲ. 現地調査〜中国雲南省昆明市における有機資源の発生と活用の現状〜
III.2.3. 家畜ふん尿 (1) 畜産業の現状
2000年において、市の農畜業産出額は97億元、うち畜産は30.28億元で概ね1/3 を占める。飼養頭羽数は、豚27万頭、肉用牛14万頭、乳用牛3万頭、家畜(鶏、
アヒル等)24万羽である。今後、人口の増加に伴い、飼養頭羽数も増加するものと 思われる。
(2) 家畜ふん尿の発生量
家畜ふん尿の発生量は、1,000万t/年(水分量含む)である。
(3) 家畜ふん尿の処理の現状
大半が野積みで処理されている。このため、家畜ふん尿による水質汚濁や悪臭な どの環境問題が発生している。特に雨期における水質汚濁がひどい状況である。野 積みされている家畜ふんは一部,野菜・果樹の肥料として利用されている。
野積み以外の処理方法としては、メタンガス化、堆肥化がある。
(4) 関連法及び計画
家畜廃棄物の適正処理に関する法律はない。しかし、環境保全にかかる管理条例 はある。管理条例としては、水源地及び住宅地での畜産を禁止している。このため、
?でん
池ちの流域の家畜農家は移転させられた。
政府における畜産廃棄物処理の基本方針は、1)資源化、2)無害化、3)減量化、4) 生態系配慮、5)産業化、6)処理コストの低減である。
(5) 補助制度
家畜ふん尿の汚水処理対策には補助金があり、大規模な家畜経営体に促進してい る。しかし、コスト等の問題より広まりにくい状況である。
家畜ふん尿の処理に関する補助金はない。技術指導は実施している。なお、国債
の資金1,000 元/戸はある。