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4.2 設定誤差とビーム方向誤差の関係 

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Academic year: 2021

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(1)

 

制御誤差を考慮したマルチビーム衛星通信システムにおける  相互変調干渉抑圧とビーム方向制御の検討 

日大生産工(院)   ○劉 志東  日大生産工      田中 將義 

1 はじめに 

通信のサービスエリアを複数のビームで覆うマルチビーム 通信は,送信電力と受信電力の増大が可能であ り,衛星移動体通信に導入されている.従来,

衛星移動体通信用のマルチビームシステムの送信機とし て,マルチポート増幅器[1‑5]が多数使用されている がアナログ RF(無線周波数)回路で構築されており,

ビーム数が多くなると回路が複雑となり,回路損 による性能劣化や生産コストの増加を伴う.一 方,ディジタルビームフォーミング型マルチビームシステムは,回路 規模を縮小することができ,高性能で経済的な システムの実現が期待できる[6].また電力増幅器を マルチビーム間で共用するために相互変調歪が発生 し干渉が発生するが,各ビームへの周波数を最適 に割り当てることにより干渉の影響を緩和する 方法が提案されている[6]. 

マルチビーム

アレイアンテナ

電力増幅器

重み付け

ディジタル信号処理

ビーム1 ビーム2 ビーム3

Fig.1 デジタルビームフォーミングネットワーク型マルチビームシステ ムの送信機構成 

   フェイズドアレイアンテナは等間隔で複数個のアンテナが並 んだアンテナであり,各アンテナ素子に供給する信号の 位相を制御すると任意の方向に信号を放射させ ることができる. 

本システムでは,フェイズドアレイを使用しており,アン テナ間隔の偏差,経路の偏差などにより位相と利 得に誤差が存在すると放射ビームの方向に誤差が 発生する.そこで本研究では,現実のシステム状況 を考慮して,これらの設定誤差が存在する時の 放射ビームの方向制御法を提案し,その評価を行 うとともに,電力増幅器(HPA)で発生する相互変 調歪の影響を緩和する制御法が設定誤差のある 状況でも有効であることを検証する. 

2.2 ビームフォーミングネットワーク型マルチビームシステムの課題  フェイズドアレイアンテナでは,各素子に給電する信号 の位相と振幅を制御し,各素子から放射される 電波を所望の方向にベクトル合成する.

しかし現実のシステムでは,アンテナ間隔の偏差,経 路の偏差などにより,ビーム方向が所望の方向か ら偏移する.このため,ビーム方向を測定し,そ の誤差を検出して,所望の方向に制御する必要 があるが,効果的な制御法については十分検討 されていない. 

2 ビームフォーミングネットワークシステムの概要 

2.1 システムの構成 

 ビームフォーミングネットワークを用いたマルチビームシステムの 構成を Fig1 に示す.マルチビーム放射を 1 つのフェズ イドアレイで実現しており,それぞれのビームごとに 異なる複素重み処理を行い,電力増幅器(HPA) を経由して,複数のアレイアンテナ素子に給電される. 

一方,本システムでは電力の有効利用を図るため に,各マルチビームへの信号を HPA で共用して増幅す る構成である.このため HPA の非線形特性によ り相互変調歪が発生し,干渉が発生する.相互 Beam Direction Control and Intermodulation Interference Reduction in Multibeam Satellite Communications System Considering Setting Errors

Zhidong LIU, Masayosi TANAKA

(2)

4.2 設定誤差とビーム方向誤差の関係 

変調歪の中では,三次相互変調歪(IM3)による 影響が最も大きい.理想状態では各ビームへの 周波数配置を最適にすると,干渉を削減できる ことが示されている[6]が,設定誤差を伴う実際 の状況での干渉削減効果は不明である. 

 Fig.4 に示すように7つのビーム配置を検討し, 

同一の設定誤差を与えて7つの放射パターンの変 化を解析した.Fig.5 に示す誤差による放射パタ ーンの変化を Fig.6 に示す.7 つのビームは同じ方 向に偏移していることがわかる[8]. 

3 二次元フェーズドアレイアンテナの指向性

電波を(θ00)の方向に放射する場合のアンテナ の指向性を示すアレイファクタ F(u,v)は, 以下の式で 与えられる[7]. 

Target

φ

θ Error

z

y

x

( )

( ) ( )

( )

; sin

; sin

. sin sin

; cos sin

;

1 ,

0 0

0 2

) 1 sin(

0 ) 1 sin(

0

v u

d

v u

d d

e B e

A v

u F

y x

l v ld j l L l k u kd j k K k

x y

κ β κ

α

φ θ φ

θ

λ

β α κ

κ

=

=

=

=

=

=

 ∑

 ∑

= +

=

+

=

l

k B

A ,

 ただし, ,kα,lβ はそれぞれ

( )

k,l 番 目の素子に与えられる重みと位相量,dはアンテナ 素子の間隔である.κ = 2π λ ,λは波長,

θ,φは Fig.2 に示す角度である.  Fig..2 放射ビームの目標方向と実際の方向

4 設定誤差によるビーム方向誤差の修正 

4

3 2

5 6

7 1

4

3 2

5 6

7 1

  4.1 設定誤差要因とビーム方向誤差 

 素子間隔

Fig.3 に示すようにアンテナ間隔の偏差,経路の 偏差などにより,設定誤差が発生する.これに よって,放射するビームの方向に誤差が発生する.  

ビームの方向を Fig.2 に示すθとφで表す,A をビームの目標方向ベクトル, をビームの実際の 放射方向ベクトルとすると,誤差角度は次式で 与えられる. 

B





= ⋅

|

|

|

| cos 1

B A

B

B A    (2) 

Fig..4 7つのビーム配置 

 

1 2 3 4

5 6

7 8 S1S2S3S4S5S6S7S8 -10

-8 -6 -4 -2 0 2 4 6 8 10

Error [degree]

Antenna position X Antenna position Y

Fig.5 仮定したフェイズドアレイの位相誤差分布 

 

   

d

d +

・ ・

  経

路長

d

・ ・

・ ・

重み付け

Fig.3 設定誤差の要因 

(3)

-0.2 -0.2 -0.1 -0.1 -0 0 0.04 0.08 0.12 0.16 0.2-0.2 -0.12

-0.04 0.04

0.12 0.2

0 0.005 0.01 0.015 0.02 0.025 0.03 0.035 0.04

B[degree]

d̲theta[degree] phs[degree]

-0.2 -0.1 0 0.1 0.2

-0.2 -0.1 0 0.1 0.2 0.3

[rad]

[rad]

Error exist No Error

 Fig6 制御誤差によるビーム方向の変化   

 つぎに設定誤差とビーム方向誤差の関係を検討 した Fig.7 に種々の誤差ΔθとΔφ(θ,φの誤 差)に対するビーム方向の誤差を示す.誤差は下に 凸の単純な曲線であることが分かる. 

Fig.7 設定誤差によるビーム方向の誤差分布 

0 0.5 1 1.5 2

1 2 3 4 5 6 7

制御回数

誤差ΔB[degree]

α=0.5 α=1 α=2 α=3

4.3 ビーム方向制御のアルゴリズム 

設定誤差がある時にビームを目標方向に向ける 制御方法として,設定誤差に応じて仮想の目標 方向を変化させて,ビーム方向を制御するアルゴリズ ムを検討した.誤差曲線が単純な曲線であること から逐次制御法を適用した. 

  θ00を目標方向,θnnを実際の方向,α 加 速 係 数 と す る と 次 回 の 仮 想 目 標 方 向

) 1 , 0 (0,n+1)( n+

θ は次式で与えられる. 

α ϕ ϕ ϕ

α θ θ θ

ϕ φ φ θ θ θ

n n n

n n n

n n

n

=

=

=

=

+ + ) 1 , 0 (

) 1 , 0 (

0 0

;

;

;

 (3) 

Fig.8 放射ビームの目標方向への収束経過 

5 マルチビーム相互変調干渉の軽減法 

 マルチビームシステムにおける相互変調歪の例を Fig.9 に示す.3 キャリアを同時に電力増幅する際に発生 する三次混変調歪(IM3)の主な歪は以下の式で 表される. 

この操作を繰り返し行い,目標方向に制御す る. 

4.4 検討結果 

 検討結果を Fig.8 に示す.α=0.5 の場合には,

ビームは目的方向に近づいたり,離れたりするこ とを繰り返し,収束しないことがわかる.α=1,

α=2,α=3 の場合には,ビームは目的方向に収束 することがわかる.その中において,α=1 のと き,ビームは一番早く目的方向に収束することが 明らかになった. 

n m l

IM f f f

f 3 = + −    (4) 

 

f1 f2 f3 電 力 増 幅 f1 f2 f3

Fig.9 多ビームの信号を同時に電力増幅する際 に発生する相互変調歪 

(4)

6 まとめ

ビームに割り当てる周波数を変えることで、

IM3(歪)のビーム方向を制御し,干渉を回避するこ とが可能である[6]. 

本研究では,ビームフォーミングネットワーク型マルチビーム衛 星通信システムにおいて,理想状態からの設定誤差 が存在する時に,マルチビームを目的方向に制御する 方法,および多ビームの信号を同時に電力増幅す る際に発生する相互変調歪を軽減する制御法を 検討した.この結果,マルチビームの各ビームの方向は,

設定誤差によって同じ方向に偏移していること,

設定誤差とビーム方向誤差の関係が単峰性である ことを明らかにし,この特徴を利用したビーム方 向制御法を提案し,少ない制御回数で有効に機 能することを確認した. 

Fig.10(a)に設定誤差がない時の信号ビームと IM3 ビームの配置を示している.信号波とこれに 干渉を与える同一周波数の IM3 は別のビームに放 射され,干渉が発生していない. 

一方,誤差を考慮した時,IM3 ビームは信号ビー ムと同一方向に偏移するために、IM3 ビームと信号 ビームの関係は誤差のない時の相対位置関係を維 持しており,干渉が発生していない. 

以上の検討より,設定誤差が存在しても理想 状態と同様に,マルチビームへの周波数を最適に割り 当てることで干渉軽減効果が有効であることが 明らかとなった. 

さらにマルチビームに割り当てる周波数を最適に 割り当てることで IM3 のビーム方向を制御し,干 渉の影響を緩和する方法が,設定誤差が存在す る現実のシステムでも有効であることを明らかにし た. 

-0.2 -0.15 -0.1 -0.05 0 0.05 0.1 0.15 0.2

-0.3 -0.2 -0.1 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6

[rad]

[rad]

singal beam center IM3 beam center

 

参考文献 

[1]山本,田中,信学論 B‑II, Vol.J72‑B‑II,  7,pp.337‑342,1989.  

[2] 山本,田中,信学論, B‑II, Vol.J74‑B‑II,  No.8, pp.431‑439, 1991.  

[3]M.Tanaka and K.Yamamoto, AIAA (17Th  ICSSC), AIAA‑98‑1248, pp190‑200, 1998. 

       

(a)誤差がない時 

 

[4]M.Tanaka, K.Yamamoto, S.Egami,K.Ohkubo,  AIAA (16Th ICSSC), AIAA‑96‑1159‑CP, pp80‑85,  1996. 

-0.2 -0.15 -0.1 -0.05 0 0.05 0.1 0.15 0.2

-0.3 -0.2 -0.1 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5

[rad]

[rad]

singal beam center IM3 beam center

 

[5] M. Tanaka, IAF2003, IAC‑03‑M.2.06,  Bremen, Germany, Oct, 2003 

[6]M, Tanaka, Multibeam Mobile Satellite   Communication Payload with Beam‑forming  Network, AIAA, 25thICSSC, AIAA‑2007‑3179,  2007 

[7]J.Litva,T.Lo, Digital Beamforming in  Wireless Communications, Artech House, 1996 

       

(b)誤差がある時 

       

[8]劉志東,田中將義,制御誤差を考慮したディ ジタル・マルチビームフォーミングシステムの相互変調干渉,信 学会総全大,B‑3‑7(2008) 

Fig.10 3つのビーム方向とこれらの信号から発生 するIM3のビーム方向の相対関係 

 

参照

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