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1.管内放牧場の牛白血病対策とその効果の検証 県北家畜保健衛生所 ○古田土 彰子 都筑 智子 山下 薫 須永 静二 牛白血病は 1927 年に日本での発生が報告されて以来,近年発生数が増加傾向 にあり,牛白血病ウイルス(以下,BLV)が原因とされる地方病型が問題となっ ている。平成 27 年 4 月に農林水産省が策定した「牛白血病に関する衛生対策ガイ ドライン」(以下,ガイドライン)では,放牧場における BLV の水平感染防止の ため,BLV 抗体陰性牛(以下,陰性牛)と BLV 抗体陽性牛(以下,陽性牛)を 分けて飼養する分離放牧を基本対策としているが,近隣県で分離放牧を取り入れ ている放牧場は数少ない。今回,管内放牧場で分離放牧を検討し,その効果を検 証したので報告する。 管内放牧場の概要(表1) 管内には 4 市町に 6 放牧場(以下,A~F 放牧場)があり,A 放牧場では乳用育 成牛,B 放牧場では乳用育成牛及び肉用繁殖牛,その他では肉用繁殖牛の預託育 成放牧を実施している。各放牧場では概ね 4~11 月の期間に放牧をしており,A 放牧場は冬季舎飼いを実施している。預託範囲は,A 放牧場は県内全域,他 5 放 牧場は所在市町の農家が中心であるが,そのうち E,F 放牧場の預託牛は特定農 場に限定されていた。当所では各放牧場において月 1~2 回,臨床症状の確認,ヘ マトクリット値の測定,ピロプラズマ寄生度の判定等の放牧衛生検査(以下,放 牧検査)を毎年実施していた。 各放牧場における牛白血病対策 1 A 放牧場 A 放牧場では,これまで陰性牛のみを入牧させていたが,管理者である畜産団 体が平成 26 年度からの陽性牛の受け入れも希望したこと,同時期にガイドライン 案が示されたことから,同年 5 月に陽性牛を受け入れ,他の放牧場に先駆けて放 牧場での牛白血病対策を開始した。A 放牧場では,以前から入牧前に農場で BLV 抗体検査を実施(以下,事前検査)していたため,入牧時からの分離放牧のため の群分けが可能であった。また,分離放牧に際しては,陰性牛群と陽性牛群で牛 同士の接触や吸血昆虫による感染等を避けるため,牛群間の距離を 1 小牧区以上 隔てての放牧や,忌避剤やアブトラップによる吸血昆虫対策,出血を伴う作業の 手順の考慮や器具の消毒による人為的感染防止対策等を合わせて実施し,放牧場

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内の BLV まん延防止を図った。 2 B 放牧場 B 放牧場は,町が管理し,既に乳用牛と肉用牛に群分けされている。分離放牧 には更なる群の細分化が必要であり,また,BLV 抗体検査に対する放牧場利用者 の同意が得られるか懸念された。しかし,牧区数が豊富にあることや,平成 26 年度に実施した牛白血病の説明会により疾病に対する理解が関係者から得られた ため,平成 27 年度から対策実施が可能となり,事前検査体制の検討が行われた。 初回入牧には事前検査が間に合わなかったため,1 回目の放牧検査時に初回の BLV 抗体検査を実施し,検査結果判明後,分離放牧を実施した。その後,検討を 重ね,月に 2 回,事前検査をする体制を整えたが,利用者の都合により検査前に 入牧させ,放牧場内の隔離飼育場所で検査を行う場合もあった。また,吸血昆虫 対策として当所作製のアブトラップを 2 台設置した。 3 C~F 放牧場 C~F 放牧場は利用者が管理し,事前検査も無く,比較的自由に牛を入退牧して いる。分離放牧には収容頭数,使用可能牧区数,管理の面で,平成 27 年度からの 実施は困難であったが,C~E 放牧場では平成 28 年度以降の実施に向けて牧区整 備等の前向きな検討が図られた。F 放牧場は 1 農場が利用し,管理も行っており, 自農場で既に白血病対策を行っていること,飼養牛のほとんどが放牧場に入牧す る状況から,農場と放牧場の対策を同時に実施する方向で検討した。なお,BLV 抗体検査は放牧検査時に実施し,場内の感染状況の把握に努めると共に,吸血昆 虫対策として当所作製のアブトラップを C,D,F 放牧場に各 1 台設置した。 放牧場のBLV抗体検査結果(図1) 各放牧場の事前検査及び放牧検査時の BLV 抗体検査は,牛白血病エライザキット (JNC 株式会社)を用いて実施(以下,ELISA)した。陰性牛は毎月の放牧検査時に採 血し,継続的に ELISA を実施した。なお,分離放牧を行っている A,B 放牧場では,陽 性になった牛(以下,陽転牛)は,検査結果判明後,速やかに陽性牛群へ移動した。 各放牧場における入牧牛の各月のBLV 抗体陽性率(以下,陽性率)は 0~100% で,各放牧場とも全体的には年間を通して陽性率に変動はみられなかったが,B 放牧場において乳用育成牛と肉用繁殖牛を分けると,乳用牛は下降傾向が見られ, 肉用牛は上昇傾向が見られた。なお,陽性率 0%の D 放牧場は平成 27 年度の放牧 頭数は2~4 頭,陽性率 100%の E 放牧場は 1 農場のみが利用する放牧場であった。 A牧場におけるBLV陰性牛の追跡調査 昨年度から分離放牧をしている A 放牧場において,分離放牧の効果を検討するため, 陰性牛群の追跡調査を実施した。

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1 材料及び方法 陰性牛群について,陰性牛は ELISA を,陽転牛については陽性牛群へ移動後も継 続的に採血し,ELISA 及び CycleavePCR BLV 検出キット(タカラバイオ)を用い たリアルタイム PCR(以下,r-PCR)による BLV 遺伝子検出及び遺伝子量の測定 を行った。 2 成績 平成 27 年度入牧した牛 98 頭中,陰性牛は 39 頭であった(表 2)。陰性牛群は 21~31 頭で群飼され,5 農場(a~e)13 頭が放牧期間中に陽転した。陽転率は各 月 0~12.9%,年間 33.3%で,平成 26 年度より約 11%上昇した(表 3,4)。 陽転牛 13 頭の追跡調査では,継続的に ELISA 陽性(以下,E+)の牛が 8 頭, E+後に ELISA 陰性(以下,E-)となった牛が 5 頭認められたが,うち 3 頭は 再び E+に変化した(表 5)。

陽転した 13 頭の r-PCR を実施したところ,12 頭が r-PCR 陽性(以下,P+)で あり,E+以前に P+が確認されたのは 5 頭,E+と同時に P+が 5 頭,E+後に P +が確認されたのは 2 頭であった。なお,E+後に P+が確認された 2 頭は,E+ となった翌月検査で E-に,その後 E+,P+となった。 P+が確認された 12 頭について,初回 P+時の遺伝子量は 0.42~312.37 コピー/µl で,遺伝子量の最少値は 0.42 コピー/µl,最大値は 1,612.5 コピー/µl であった。 まとめ 放牧場の牛白血病対策は分離放牧が基本となるが,各放牧場は牧場の管理体制 や面積等が異なり,管理方法の変更には管理者の抵抗感もあるため,分離放牧の 実施は困難であった。しかし,A 放牧場の実例を参考に,検査体制の構築も含め, 分離放牧を B 放牧場へ普及できたことは,放牧場の牛白血病対策の大きな進歩で あった。平成27 年度の普及に間に合わなかった C,D,E 放牧場でも,放牧場関 係者の理解は得られており,牧区整備後の普及は可能である。幸い,これらの放 牧場は少数頭飼養のため,整備完了までの間は吸血昆虫対策強化等でまん延防止 対策を行い,平成 28 年度以降の分離放牧の普及に努めていきたい。 各放牧場の陽性率は年間を通して大きな変動は認められなかった。特定利用者 の放牧場の陽性率はその農場と同等と考えられ,他の放牧場も利用者農場の陽性 率が集約していると考えると,特定地域から牛を預託している放牧場の陽性率は, その地域の陽性率を反映していると考えられる。また,F 放牧場利用者のように, 自農場で牛白血病対策を行っている生産者もおり,本来,牛白血病対策は放牧場 だけでなく農場段階でも併せて実施することが必要と考えられる。このことから 今後は,サーベイランスによる地域の BLV 浸潤状況把握とともに,放牧場利用者 の農場の牛白血病対策を進め,地域ぐるみの取り組みを進めたい。

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A 放牧場の追跡調査では平成 27 年度の年間陽転率は 33.3%であり,平成 26 年 度より上昇したものの,対策前の 97.4%に比べて格段に陽転率は低下し,2 年間 の実績から分離放牧が牛白血病対策に有効であることが証明された。また,陽転 時期が初夏から秋に多いことは,BLV 感染を媒介する吸血昆虫の発生時期と一致 し,この時期は感染を防止するのに重要な時期であることが改めて示唆された。 陰性牛群で抗体陽転した 13 頭中 5 頭がその後陰転した。翌月に陰転した 4 頭 の初回 E+の判定値は 0.32~0.40 で,陽性限界(0.3)付近が多くみられたが,再 び陽転した 3 頭の判定値は 1.0 以上であった。この結果から,感染初期に抗体量 の変動が起こりやすいと考えられるが,比較的少量の抗体でも ELISA で検出可能 と推察された。 陽転した 13 頭の ELISA と r-PCR の比較では,同時,若しくは r-PCR が早く陽 性となった。一方,濱谷ら 1)は,繋ぎ牛舎で陽転した 5 頭中 4 頭が高コピー牛(≧ 1,000 コピー/10ngDNA)に隣接した位置で飼養されており,高コピー数の牛が感 染源としてリスクが高いことを報告している。今回,E+が確認された時点での r-PCR の遺伝子量は 5.12~312.37 コピー/μl であったことから,この時点では感染 源としてのリスクは低いと考えられる。また,放牧は常に牛同士が隣接する環境 ではないため,感染の機会はさらに減少することからも,月 1 回の ELISA でも十 分な感染リスクの排除が出来ていたと推察できた。 陽転牛の遺伝子量を個別にみると,b,c 農場から預託された牛では比較的短期 間で上昇する傾向が見られた。特に c-1 は 6 月に 252.24 コピー/μl だった遺伝子量 が約 2 か月で 1200.9 コピー/μl まで上昇し,高コピー牛として感染源となるリス クが懸念された。 これらの追跡調査結果を踏まえ今後の検査体制を検証した。平成 26 年度から 分離放牧を取り入れた A 放牧場の陽転率は,分離放牧未実施時より抑えられ,平 成 27 年度,分離放牧を開始した B 放牧場でも陽性率は年間を通して変化が見ら れなかったことから,分離放牧による BLV 感染防止対策は有効であると考えられ た。検査方法として r-PCR が先行して陽性になる場合もあるが,高コピー牛の遺 伝子量に達するには数ヶ月を要することから,ELISA で摘発された時点で陽性牛 群に移動することは,陰性牛への感染防止に有効であると考える。平成27 年度は 毎月検査を実施したが,今後は吸血昆虫の発生等で陽転する可能性が高い夏季を 中心に検査を実施し,多くの生産者が放牧場を安心して利用できるよう,分離放 牧の普及定着を推進していきたい。 引用文献 1)濱谷景祐ら,野外における牛白血病ウイルスの感染動態と分離飼育による感染 予防効果の検証,平成 24 年度(第 54 回)栃木県畜産関係業績発表会

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表 1 県 北 管 内 6 放 牧 場 の 概 要 ( 平 成 27 年 度 ) 放 牧 場 名 A B C 飼 養 頭 数 54 ~ 8 9 頭 19 ~ 5 6 頭 8~ 18 頭 預 託 範 囲 県 内 全 域 ,一 部 県 外 町 民 と 一 部 の 市 民 和 牛 改 良 組 合 員 預 託 農 場 数 23 農 場 30 農 場 6 農 場 種 類 乳 用 育 成 牛 乳 用 育 成 牛 肉 用 繁 殖 牛 肉 用 繁 殖 牛 B LV 抗 体 検 査 入 牧 前 入 牧 前 入 牧 後 特 徴 ・ 以 前 よ り 入 牧 前 B LV 抗 体 検 査 で 陰 性 牛 の み 入 牧 ・H2 6 年 度 よ り 陽 性 牛 受 け 入 れ に 伴 い 白 血 病 対 策 実 施 ・ 月 1 回 の B LV 抗 体 検 査 で 陰 性 牛 群 を モ ニ タ リ ン グ ・H2 6 年 度 は 入 牧 後 B LV 検 査 を 実 施 し , 不 完 全 な 分 離 放 牧 実 施 ・利 用 者 を 集 め 牛 白 血 病 説 明 会 開 催 ・H2 7 年 度 は 完 全 な 分 離 放 牧 を 開 始 ・家 保 作 製 の ア ブ ト ラ ッ プ 2 台 提 供 ・H2 7 年 度 放 牧 検 査 時 に 利 用 者 に 牛 白 血 病 に つ い て 説 明 ・H2 7 年 度 は 入 牧 後 B LV 抗 体 検 査 実 施 ・ 分 離 放 牧 な し ・家 保 作 製 の ア ブ ト ラ ッ プ 1 台 提 供 放 牧 場 名 D E F 頭 数 2~ 3 25 12 ~ 17 預 託 範 囲 和 牛 改 良 組 合 員 和 牛 改 良 組 合 員 和 牛 部 会 預 託 農 場 数 2 農 場 1 農 場 1 農 場 種 類 肉 用 繁 殖 牛 肉 用 繁 殖 牛 肉 用 繁 殖 牛 B LV 抗 体 検 査 入 牧 後 入 牧 後 入 牧 後 特 徴 ・H2 7 年 度 放 牧 検 査 時 に 利 用 者 に 牛 白 血 病 に つ い て 説 明 ・H2 7 年 度 は 入 牧 後 B LV 抗 体 検 査 実 施 ・ 分 離 放 牧 な し ・家 保 作 製 の ア ブ ト ラ ッ プ 1 台 提 供 ・H2 7 年 度 放 牧 検 査 時 に 利 用 者 に 牛 白 血 病 に つ い て 説 明 ・H2 7 年 度 は 入 牧 後 B LV 抗 体 検 査 実 施 ・ 分 離 放 牧 な し ・家 保 作 製 の ア ブ ト ラ ッ プ 1 台 を 利 用 者 農 場 に 提 供 ・H2 7 年 度 放 牧 検 査 時 に 利 用 者 に 牛 白 血 病 に つ い て 説 明 ・H2 7 年 度 は 入 牧 後 B LV 抗 体 検 査 実 施 ・ 分 離 放 牧 な し ・家 保 作 製 の ア ブ ト ラ ッ プ を 放 牧 場 と 利 用 者 農 場 に 1 台 ず つ 提 供

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図 1 各 放 牧 場 ( 左 ) 及 び B 放 牧 場 の 乳 用 育 成 牛 と 肉 用 繁 殖 牛 ( 右 ) の BLV 抗 体 陽 性 率 の 推 移 表 2 A 放 牧 場 の 平 成 27 年 度 入 牧 状 況 農 場 入 牧頭 数 入 牧 時陽 性 牛 ( 陽 性 率 ) 入 牧 時陰 性 牛 陽 転 牛 ( 陽 転 率 ) a 30 17 (56.7%) 13 7 (53.8%) b 6 3 (50.0%) 3 2 (66.7%) c 6 0 (0%) 6 2 (33.3%) d 7 2 (28.6%) 5 1 (20.0%) e 5 3 (60.0%) 2 1 (50.0%) そ の 他 18 農 場 44 34 10 0 頭 数 計 98 59 39 13 農 場 数 計 23 21 12 5 表 3 A 放 牧 場 の 平 成 27 年 度 の BLV 抗 体 陰 性 牛 の 陽 転 状 況 H27 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 検 査 頭 数 31 30 30 29 30 27 25 21 陽 転 頭 数 4 0 1 0 3 0 3 2 陽 転 率 (%) 12.9 0 3.3 0 10.0 0 12.0 9.5 年 間 の 陽 転 率 : 陽 転 頭 数 13 頭 /陰 性 牛 頭 数 39 頭 ×100=33.3% 表 4 A 放 牧 場 の 平 成 26 年 度 の BLV 抗 体 陰 性 牛 の 陽 転 状 況 H26 4 月※ 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 検 査 頭 数 76 33 34 40 44 42 39 43 陽 転 頭 数 74 0 0 3 2 4 2 0 陽 転 率 (%) 97.4 0 0 7.5 4.5 9.5 5.1 0 年 間 の 陽 転 率 : 陽 転 頭 数 11 頭 /陰 性 牛 頭 数 49 頭 ×100=22.4% ※ 分 離 放 牧 前

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表 5 A 放 牧 場 の BLV 抗 体 陽 転 牛 13 頭 の ELISA 及 び r-PCR 結 果 個 体 識 別※ 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 a-1 E 値 - - - 1.4 9 1.0 2 P 値 - - - 42. 99 134 .8 1 269 .2 1 a-2 E 値 - - - 1.5 5 P 値 - - - 0.4 6 8.1 0 a-3 E 値 1.7 6 2.0 3 1.1 7 1.2 0 1.0 6 1.5 9 1.2 1 1.1 4 P 値 154 .2 0 138 .1 7 310 .6 1 259 .4 8 397 .3 5 259 .7 7 456 .6 2 a-4 E 値 - - - 1.1 0 P 値 - - - 0.4 2 6.6 7 10. 27 a-5 E 値 0.3 9 - - - 1.0 8 1.5 6 1.1 6 P 値 - - - - 259 .6 0 544 .3 2 130 .9 6 a-6 E 値 0.4 0 - - - 1.1 2 P 値 - - - 3.5 8 5.1 2 a-7 E 値 0.3 9 - - - - P 値 - - - - b -1 E 値 - - - - 1.0 4 1.6 0 1.2 0 1.0 8 P 値 - - - 1.0 7 77. 65 247 .2 3 255 .8 4 694 .2 4 b -2 E 値 - - - 0.6 5 1.6 1 1.1 9 - P 値 - - - 80. 98 66. 48 333 .0 5 749 .5 9 c-1 E 値 - - 0.3 2 - 1.0 8 1.6 2 P 値 - - 252 .2 4 807 .5 4 120 0. 90 161 2. 50 c-2 E 値 1.0 7 1.5 6 1.2 1 1.1 0 P 値 218 .5 2 242 .2 6 505 .2 1 760 .6 7 d -1 E 値 - - - 1.4 9 1.1 0 P 値 - - - 52. 50 94. 18 134 .6 4 e-1 E 値 - - - 1.1 0 P 値 - - - 312 .3 7 ※ 個 体 識 別 の 符 号 に つ い て は 農 場-牛 個 体 番 号 の 順 に 表 示 。 ま た E 値 は ELISA 値 , P 値 は 遺 伝 子 量 ( コ ピ ー /µl) を 表 示 。

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2.肉用牛一貫経営農場における牛白血病対策の取り組み 県西家畜保健衛生所 ○川西菜穂子 古谷 道栄 石井 正人 菊池 理之 牛白血病は全身性の悪性リンパ腫を主徴とする疾病であり,牛白血病ウイルス (以下,BLV)の感染により発症する地方病性牛白血病(以下,EBL)と,原因 不明の散発性牛白血病に大別される。わが国における EBL の発生数は年々増加し ており,平成(以下,H)21~23 年に実施された全国的な抗体保有状況調査で BLV が国内に広く浸潤していることが明らかとなった 2)。 今回,管内の肉用牛一貫経営農場における BLV の浸潤状況及び 8 年間に渡り実 施している BLV 感染伝播阻止対策(以下,BLV 対策)の取り組みについて報告 する。 農場の概要 当該農場(以下,農場)は繁殖牛 84 頭,育成牛 15 頭及び肥育牛 150 頭を飼養 する肉用牛一貫経営農場であり,繁殖農場の他に肥育農場が 1 か所ある。妊娠牛 は種付け・妊娠鑑定後,分娩直前まで水田放牧しており,現在放牧地として利用 している水田は農場周辺に点在し,広さは合計で約 12ha である(写真 1)。 農場は H20 年度から国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構動物衛 生研究所(以下,動衛研)の指導のもと BLV 対策に取り組んでおり,H25 年度後 期以降は当所が引き継いで指導を実施している。 BLV浸潤状況調査 H20~27 年度までの 8 年間,繁殖牛及び育成牛を対象に定期的な BLV 検査を実 施し,BLV 浸潤状況を調査した。H20~25 年度前期は繁殖牛を対象に,ELISA に よる抗体検査,リアルタイム PCR(以下,rPCR)による遺伝子検査を実施し, H25 年度後期~27 年度は繁殖牛及び育成牛の ELISA による抗体検査を実施した。 rPCR の結果得られた BLV 遺伝子量は DNA 10ng あたりのコピー数で示した。抗 体検査で陽性となった牛を BLV 感染牛(以下,感染牛)とし,その割合を陽性率 で示した。 当所が指導を引き継いだ H25 年度後期以降の繁殖牛の検査は,H25 年度後期に 感染牛及び BLV 非感染牛(以下,非感染牛)50 頭,H26 年度に非感染牛 14 頭, H27 年度に非感染牛全頭(55 頭)で実施し,育成牛は H25 年度後期~27 年度に 43 頭(2 回検査した 7 頭を含め,のべ 50 頭)を検査した(表 1)。

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繁殖牛は感染牛及び非感染牛を容易に区別できるように,感染牛は赤色,非感 染牛は白色のビニールテープを頭絡に取り付けて識別した(写真 2,3)。 育成牛について,牛の個体識別情報検索サービスを用いて母子関係を確認し, 検査結果を整理した。 BLV対策 農場では H20 年度から現在まで 8 年間 BLV 対策に取り組んでおり,H22 年度 までは放牧場における対策を中心に,H23 年度以降は牛舎内での対策も実施して いる。 1 放牧場における対策 感染牛群と非感染牛群を牧区毎に分けて分離飼育し,感染牛群と非感染牛群の 牧区は隣り合うことのないように留意して配置している。 2 牛舎内における対策 (1)分娩・哺乳時等の作業による感染経路の遮断 分娩時は母牛を分娩房に隔離し,子牛は生後3 日間母牛の初乳を直接摂取させ, 4 日目以降は母牛と分離飼育し,人工乳を給与している。なお,特に遺伝的に優 良な系統の子牛は生後すぐに母牛と分離し,人工初乳を給与している。 (2)牛の配置(図 1) 感染牛と非感染牛を分離飼育し,牛舎入り口側が非感染牛群,奥側が感染牛群 としている(境界にネットや空房は設けていない)。また,H23 年度前期の半年間 は感染牛群をコピー数によって高コピー数(1,000copies/10ng DNA 以上)の牛(以 下,高コピー牛)群と低コピー数(1,000copies/10ng DNA 未満)の牛群の 2 群に 細分類し,分離飼育していた。しかし,群の中で相性の悪い牛同士の争いが起こ るなど群編成が困難となり,継続できなかった。 (3)人為的な感染経路の遮断 ア 出血を伴う作業への対応 人工授精や妊娠鑑定を実施する際に用いる直検手袋や注射針は 1 頭ずつ交換し ている。除角は 1 産目分娩後の繁殖牛で実施し,その際同居牛と隔離し,使用し た器具は洗浄消毒している。 イ 作業手順の徹底 作業の動線が非感染牛群から感染牛群となるように徹底している。 3 その他 (1)自家育成 H21 年度以前は県内外から繁殖牛を導入していたが,H21 年度以降は導入を原 則中止し自家育成している。 (2)定期的な BLV 検査

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育成牛は移行抗体の影響を考慮して生後 6 か月齢以降に抗体検査を実施し,陽 性の場合は繁殖供用せずに肥育している。また,感染牛の早期摘発と群の清浄性 確認のため,非感染牛群を対象に定期的に BLV 抗体検査を実施している。 BLV浸潤状況調査結果 1 繁殖牛のrPCR 結果 rPCR で陽性となった感染牛は 22 頭(7.8~7,670 copies/10ng DNA)であり,そ のうち高コピー牛は 11 頭であった。 2 繁殖牛の陽性率の推移 陽性率は H21 年度 52.2%(47/90),H24 年度 47.7%(42/88),H25 年度前期 43.0% (37/86)(以上,動衛研で実施)であった。また,当所で実施した非感染牛全頭 (55 頭)及び過去の検査で感染牛と判明している 29 頭の結果から,H27 年度の 陽性率は 34.5%(29/84)であった(図 2)。 3 非感染牛の陽転の有無 H27 年度に検査を実施した非感染牛(繁殖牛)55 頭は全て抗体陰性で,陽転し た繁殖牛は確認されず,H24 年 4 月以降現在までの陽転率は 0%であった。 4 育成牛の検査結果 育成牛 43 頭のうち,感染牛は 3 頭であった。 5 母子関係 検査を実施した育成牛 43 頭のうち,母子関係が確認され,母牛の検査結果が判 明した牛は 41 頭であった。感染母牛から生まれた子牛の 25%(3/12)が感染牛で あり,非感染母牛から生まれた子牛で感染牛はいなかった(0/29)(表 2)。 また,感染した子牛 3 頭の母牛は全て高コピー牛であった(図 3)。 考察 農場は BLV 対策前 52.2%と高い陽性率を示していたが,遺伝的に優良な系統を 維持するため,感染牛の積極的な更新は難しい状況であった。加えて,BLV の農 場内伝播に関するリスク要因として挙げられている「除角を実施すること」,「つ なぎ飼いをしないこと」1)に該当する飼養形態であり,農場内での BLV 感染拡大 が懸念されていた。こうした状況の中,農場では感染牛と非感染牛を頭絡のテー プで識別し分離飼育を常に意識して作業するなど,実施可能な BLV 対策をルーチ ンワークとして日々の飼養管理に組み込み,継続して行ってきた。農場で取り組 んだこれらのBLV 対策は,H27 年 4 月に農林水産省が示した「牛白血病に関する 衛生対策ガイドライン」3)にも則した内容であった。 H24 年 4 月以降現在まで非感染牛の陽転率は 0%であり,また繁殖牛群の陽性 率も年々減少し,現在 34.5%まで低下している。高い陽性率に加え,感染伝播リ

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スクの高いとされる高コピー牛が 11 頭存在する中,農場が非感染牛の陰性を維持 することができたのは,分離飼育と複数の対策を組み合わせて実行してきた成果 であると考えられる。今回の調査で,感染牛の存在下でも飼養管理の工夫により 感染をコントロールすることが可能であることが確認された。これまで感染牛の 更新が進んでいないため陽性率の著しい低下は見られないが,現在非感染の繁殖 牛を増頭しており,今後積極的に感染牛を更新する予定であることから,数年の うちに BLV 清浄化が可能であると考えられる。 今回,母子感染の結果を整理したところ,母牛が感染牛の場合は,非感染牛の 場合と比較して,子牛が感染する割合が高く,また感染子牛の母牛は全て高コピ ー牛であった。感染子牛はいずれも生後 3 日間母牛の初乳を摂取していたことか ら,母牛から感染した可能性が高いと考えられた。しかし,検体数が少ないこと もあり,今回の結果に統計学的な有意差は認められず,育成牛舎での水平感染等 その他の要因の可能性も否定できない。今後は検体数を増やして,感染牛の産子 の感染リスクや母牛のコピー数と産子の感染リスクとの関連等,母子感染のリス クについて統計学的に判断できるよう検証していきたい。 畜主は 8 年が経過した現在でも変わらず高い意識を持って日頃の衛生管理を行 っており,この間,家畜衛生対策の専門家である動衛研や当所が定期的な検査と 最新知見の情報提供を行う等,畜主と協力しながら BLV 対策に取り組んできた。 今回,EBL の清浄化において関係者が一体となって BLV 対策に取り組むことの 重要性を改めて痛感した。 今回の取り組みは,畜主のBLV 清浄化に向けた強い意志による継続的な対策が 奏功し,陽性率の低下,陽転率 0%という目に見える効果につながっており,今 後他の農家を指導する上で大変参考になる成功事例となった。こうした知見をモ デル事例として広く啓発し,さらに個々の農家の実情に合った実施可能な対策を 提案していきたい。 稿を終えるにあたり,ご助言を頂いた動衛研ウイルス・疫学研究領域 小西美 佐子先生,小林創太先生に深謝いたします。 参考文献 1)小林ら,牛白血病ウイルスの農場内伝播に関するリスク要因の評価,畜産技術, 2010

2)Murakami K.et al,Nationwide Survey of Bovine Leukemia Virus Infection among Dairy and Beef Breeding Cattle in Japan from 2009-2011,J Vet Med Sci,75,1123-1126, 2013

3)農林水産省消費・安全局動物衛生課,牛白血病に関する衛生対策ガイドライン, 2015

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表 1 当所で実施した年度別の抗体検査頭数 (頭) H25後期 H26 H27 感染牛

18

-

-

18

非感染牛

32

14

55

101

-

35

15

50

50

49

70

169

合計 繁殖牛 育成牛 合計 検査対象 検査年度

分娩房

感染

牛群

非感染

牛群

入口 繁殖 牛舎 (非感染)

育成牛舎

繁殖牛舎

図 1 牛舎配置図

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図 2 繁殖牛の陽性率の推移 表 2 母牛と子牛のBLV感染の有無 (頭) 感染 非感染 感染 3 9 12 非感染 0 29 29 合計 3 38 41 母牛 子牛 合計 子牛の感染の有無 感 染 母 牛 の コ ピー 数 copies/10ng DNA 図 3 感染母牛のBLVコピー数と子牛の感染の有無

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写真 1 水田放牧の様子

写真 2 感染牛(赤色テープ)

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3.預託前検査で牛ウイルス性下痢ウイルス持続感染牛が摘発された酪農場に おける清浄化対策と衛生指導 県北家畜保健衛生所 ○鈴木 篤実 赤上 正貴 山下 薫 田中 信明 牛ウイルス性下痢ウイルス(以下,BVDV )は,通常,感染牛に激しい臨床症 状が認められることは少ないが,妊娠牛がBVDV に感染した場合, BVDV に対し て免疫寛容となって出生した牛は,持続感染(以下,PI)牛として牛群内の汚染 源となる。PI牛は CP 株との重複感染を受けると粘膜病(牛ウイルス性下痢粘膜 病:BVD-MD)を発症するが,その発症率は極めて低く,臨床上これに遭遇する ことは稀である。PI牛からの急性感染は,牛群の繁殖成績の低下や牛呼吸器病症 候群(以下,BRDC )の要因となることからも,その生産性低下は,PI牛自体の 損失より遥かに大きいと考えられ,世界各地で様々な対策が取られてきている。 今回,管内酪農場において,預託先育成牧場の入牧検査でPI牛が摘発された事 例に遭遇したので,当該農場におけるPI牛の摘発とその対策について報告する。 PI牛の摘発と経緯 当該農場は,フリーストール牛舎でホルスタイン種270 頭を飼養していた。平 成24年度から北海道の育成放牧場へ子牛の預託を開始したが,平成27年 5 月,北 海道に預託した育成牛のうち1 頭が入牧検査でPI牛として摘発された(No.1 )。 これを受け,平成27年 6 月~ 7 月にかけて,当所で当該農場における BVDV 感 染状況を調査した。検査方法は表1 のとおりである。初めに,No.1の母牛・祖母 牛がPI牛であるかを確認するために, BVDV ・agエリーザキット(IDEXX社)に よるBVDV 抗原検査を実施したところ,陰性が確認された。同時に,過去の BVDV 浸潤状況を把握するために,平成25年11月に実施した家畜伝染病予防法第 5 条による検査(以下,牛定期検査)時に採取した血清のうち66頭の血清を用い, BVD-ELISAkit ( Bio-X 社)による BVDV 抗体検査を実施したところ,16頭の抗 体陽性牛を確認,抗体陽性率は約24% であった。これは当所が調査したPI牛を飼 養する農場のBVDV 抗体陽性率 87.1 ± 14.4% に比べ低い結果であった。 そこで,牛定期検査を実施した平成25年11月以降に生まれた育成牛95頭につい て,平成27年 7 月までに BVDV 抗原検査を実施したところ, 5 頭(No.2~No.6) のPI牛が摘発され,全て自主淘汰した。 また出生牛がPI牛であるかを確認するため,PI牛最終摘発から10か月間出生牛 についてBVDV 抗原検査を実施することとした。平成27年 7 月から12月までの出

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生牛は44頭について BVDV 抗原検査を実施した結果, 1 頭のPI牛を平成27年10月 に摘発し,淘汰した(No.7 )。 PI牛の摘発場所は図 1 のとおりである。 PI牛の概要 PI牛No.1~No.7は自家産子であり,また母牛も移動歴がないことが判明した (表2 )。 またPI牛は母牛が妊娠初期(胎齢80~ 120 日)に BVDV に感染すると 出生するため,それぞれのPI牛の生年月日から母牛が BVDV に感染した時期を推 定した(表3 )。 最も早い胎子感染時期は,平成25年11月頃であり,先述した牛 定期検査時の抗体陽性率は24% と低かったため,この直後に BVDV の流行があっ たものと推定された。また,農場における月別の分娩頭数とPI牛の出生数は図 2 のとおりであり,経産牛から生まれたPI牛が多かった。 PI牛の体重を測定し,同月齢のホルスタイン種雌牛月齢別標準発育値と比較し た(図3 )ところ,No.3,No.4,No.5,No.6の発育は基準範囲内であったが, No.2,No.7は基準範囲を下回っていた。また,No.3は,外貌上巻き毛を呈してい た(写真1 )。 さらにNo.2~ 7 に感染した BVDV の遺伝子型を RT-PCR 法にて調べた結果,全 頭の血清,鼻腔スワブ及び膣スワブからBVDV 特異遺伝子が検出され, 1 型であ ることが分かった。 清浄化対策 当該農場でのPI牛No.7摘発後も新たなPI牛を摘発するために,出生牛に加え, 預託先から下牧する牛についてもBVDV 抗原検査を行い,摘発した牛はすべて自 主淘汰することとした。 一方,当該農場では,BRDC 対策として生後約60日で BVDV を含む 6 種混合生 ワクチン(カーフウィン6 )を接種していたが,今回の BVDV 流行を踏まえ,現 行のワクチン接種時期が適切かどうかを確認するため,BVDV 抗体検査を実施し た。結果,生後 1 日齢から42日齢までの子牛23頭中22頭が移行抗体を保有し,う ち1 頭は65日齢で生ワクチンを接種したにもかかわらず,接種後約30日後ではワ クチン抗体の保有は認められなかった(図4 )。 このことから,これまでのワク チン接種時期ではワクチンブレイクが起きる子牛が存在することが判明した。そ こで,89~ 107 日齢でワクチン接種した牛 4 頭について中和試験を行い,中和抗 体価の推移を調査したところ,図5 及び図 6 のとおり,ワクチン接種後約30日目 に BVDV1 型の中和抗体価は 4 頭中 3 頭, BVDV2 型の中和抗体価は 4 頭中 4 頭 で上昇していた。 以上の結果から,ワクチン接種時期は3 か月齢以降が適正と考えられたため,

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ワクチンの接種時期を遅らせるように畜主に指導した。また,入牧前(約8 か月 齢)に2 回目の生ワクチン接種により入牧中の BVDV 感染予防を図ることに加え, 初乳免疫の強化をするため,約20か月齢の初妊牛と乾乳牛に不活化ワクチンを接 種するように畜主に提案した。また,初乳給与の遅れや難産の影響で移行抗体が 十分に賦与されていないと考えられる子牛に対しては30日齢で不活化ワクチンを 初回接種するように指導した。 経済的被害の試算 本事例における経済的損失を,口蹄疫に関する特定家畜伝染病防疫指針にある 家畜の評価額の算定方法を参考に算出した。 牛の評価額算定方法を,産み落とし価格+飼養日数に応じた増価額(1 日当た りの増価額×育成日数)とし,産み落とし価格は,直接的な指標となる価格がな いことから,農業物価統計のホルスタイン種雄の平均取引価格(生後7 ~10日齢) ×ホルスタイン純粋種雌(6 か月齢程度)の平均販売価格÷肥育用乳用雄(生後 6 ~ 7 か月齢程度)の平均販売価格から算出した。一日当たりの増価額は,農業 物価統計におけるホルスタイン純粋種雌(6 か月齢)とホクレン乳牛市場におけ るホルスタイン純粋種雌(10か月齢)の平均販売価格から算出した。農業物価統 計とホクレン市場における平均価格は平成27年 1 月から 9 月までの価格を参照し, 産み落とし価格は93,341 円,一日当たりの増価額は 689 円と算出した。

PI牛それぞれの評価額は,No.1は 255,256 円,No.2は 342,759 円,No.3は 165,686 円,No.4は 155,351 円,No.5は 129,858 円,No.6は 124,346 円,No.7は 108,499 円であった。評価額を被害額とすると,No.1~No.7の評価額の合計 1,281,755 円が本件の損害であると考えられた。 考察 当該農場におけるPI牛の出生状況と摘発場所に搾乳牛と育成牛が隣接する場所 があることを考慮すると,No.3~No.7はNo.1又は No2 からの水平感染が原因と推 測される(写真 2 )。 しかしながら,No.1とNo.2の感染源は特定されていない。 当該農場では,平成25年11月以降に出生し,現在県外に預託され, BVDV 抗原検 査が未実施の牛が1 頭いるため,感染源の特定のため当該牛の検査を継続する。 当該農場では,PI牛が摘発されたことを受け,育成牛の移動動線を見直し,哺 乳牛及び育成牛の飼養場所を成牛から分離し,今後PI牛が出生した場合でも妊娠 牛に影響を与えないような対策をとることとなった。 BVDV 感染症対策は,農場内で飼養されるPI牛の摘発淘汰だけでなく,導入 牛・その産子・預託牛の産子のBVDV 抗原検査が必要であるため, BVDV 清浄化 には長い期間を要す。また,PI牛が生まれるリスクを軽減するため,牛群全体の

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BDVD 抗体の保有が必要である。本事例において,初回のワクチン接種が移行抗 体の影響を受けることが判明したため,その接種時期についても検討し,従来の ワクチネーションプログラムを見直した。出生牛のBVDV 抗原検査は分娩後すぐ に実施することが望ましいが,当該農場では,月の分娩数が約16頭と多いため, 分娩毎に検査を実施することが困難である。そこで,妊娠牛と出生牛の接触を絶 った上で,虚弱子牛が出生した際にはすぐに当所に連絡するよう指導し,月に1 回程度BVDV 抗原検査を実施している。これまでも出生後 2 週間以内と十分早期 にPI牛を摘発できており,本方式は有効と考えられる。よって,今後も導入牛及 び出生牛の検査を継続することで,当該農場のBVDV 清浄化を推進していく。 当該農場では,乳量減少や繁殖成績の低下及び流産数の増加などはなかったが, 管内ではPI牛の出生後に繁殖成績が低下する事例も報告されている。本事例で経 済被害を試算したところ,その額は約 130 万円にもなり,今後もPI牛が摘発され れば,淘汰に伴う経済的損失が増えることになる。仮にPI牛が発見されていなけ れば,PI牛の損失だけでなく,牛群の BRDC の発生リスクは増大し,繁殖成績の 低下に関する損害も含め,農場経営に多大な影響を及ぼしたのではないかと推察 された。 BVDV 感染症は生産性を低下させ経済損失の大きい感染症の一つである。国際 的には欧州を中心として,BVDV 対策の重要性が認識され,撲滅対策を実施して 成功している国もある。国内でも酪農家,臨床獣医師,家畜保健衛生所が協力し て積極的に生産地のBVDV 清浄化を推進している地域も出てきている。一方で, 当所管内ではBVDV 感染症の認知度は決して高くない。当所としては今回の事例 を踏まえ,農家指導においてBVDV 感染症による経済的損失を説明し,啓発を図 ると共に,異常産などが増加した場合には,すぐに連絡をしてもらえるような信 頼関係を構築し,PI牛の早期発見・早期淘汰を行い, BVDV 感染症対策を推進し ていきたい。

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表1 検査方法 図1 農場図及びPI牛の摘発場所 表2 PI牛と母牛の移動歴 PI 牛 No. 検 査 区 分 出 生 農 場 摘 発 年 月 摘 発 時 月 齢 母 牛 移 動 歴 1 入 牧 検 査 自 家 産 H27.5 8 な し 2 病 性 鑑 定 自 家 産 H27.6 12 な し 3 病 性 鑑 定 自 家 産 H27.7 4 な し 4 病 性 鑑 定 自 家 産 H27.7 3 な し 5 病 性 鑑 定 自 家 産 H27.7 2 な し 6 病 性 鑑 定 自 家 産 H27.7 2 な し 7 病 性 鑑 定 自 家 産 H27.10 1 な し 種類 判定 BVDVⅠ型(Nose株) BVDVⅡ型(KZ91CP株) CPEを指標に中和抗体価を判定 MDBK-SY細胞 RT-PCR法 RT-PCR産物の制限 酵素による切断

QIAGEN One Step RT-PCRkit(キアゲン) プライマー324-326(Vilcekら) 制限酵素 PstⅠ BVDVⅠ型 方法 ELISA法 BVD-ELISAkit(Bio-X社) 陽性コントロールに対して20%以上の吸光度を陽性。20%毎に5段階に区分 中和試験 抗原検出 抗体検出 ELISA法 BVDV・agエリーザキット(IDEXX社) SN値0.3以上を陽性

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表3 PI牛の出生年月日及び推定胎子感染時期 PI 牛 No. 出 生 年 月 日 胎 児 感 染 時 期 ( 推 定 ) 1 H26.9.25 H26.2. ~ H26.4 2 H26.6.26 H25.11 ~ H26. 1 3 H27.3.25 H26.8 ~ H26.10 4 H27.4.10 H26.9 ~ H.26.10 5 H27.5.18 H26.10 ~ H.26.12 6 H27.5.27 H26.10 ~ H.26.12 7 H27.9.23 H27.2 ~ H26.4 図2 月別の分娩頭数とPI牛出生数 図3 月齢別標準発育曲線と PI 牛の体重 0 5 10 15 20 25 30 H26.6 H26.8 H26.10H26.12 H27.2 H27.4 H27.6 H27.8 H27.10 PI牛(経産牛の産子) 経産牛の産子 PI牛(初産牛の産子) 初産牛の産子 頭 数 年月 0 100 200 300 400 0 2 4 6 8 10 12 14

No.3 No.4 No.5 No.6 No.2 No.7 平均±σ 月齢 体 重 ㎏

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1 2 4 8 16 32 64 128 256 0 50 100 150 抗 体 価 日齢 図4 抗体の保有状況と推移 図5 BVDV1 型中和抗体価 図6 BVDV2 型中和抗体価 写真1 PI牛No.3の巻き毛 写真2 搾乳牛群と育成牛群の間隔 0 1 2 3 4 5 6 0 20 40 60 80 100 120 移行抗体 ワクチン接種牛 ワクチン接種 エ ラ イ ザ 値 日齢 [エライザ値] 0:抗体陰性 1~5:抗体陽性 1 2 4 8 16 32 64 128 256 0 50 100 150日齢 抗 体 価

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4.大規模酪農場におけるヨーネ病検査方法の検討 県北家畜保健衛生所 ○神谷 朝咲 木村 将士 田中 信明 飯島 知一 近年,酪農経営では企業化が進展し,飼養頭数が 1,000 頭を超えるような大規 模な酪農場も存在する。このような大規模酪農場でヨーネ病が発生すると,その 後の清浄確認までに農場,家畜保健衛生所(以下,家保)双方とも,多大な時間 と労力を要する。特に,採血を行う場合,設備等の問題で保定等に手間取り,作 業終了まで多くの人員と時間を要し,加えて,牛に蹴られるなど危険性が増すこ とも考慮しなければならない。 今回,管内A 大規模酪農場におけるヨーネ病清浄化対策を実施するにあたり, 採血をより安全で安心に行えるよう改善し,あわせて来年度の検査方法について も検討を行ったので報告する。 当該農場の概要 当該農場は,乳用牛 1,700 頭を飼養する企業経営の大規模農場で,現在ヨーネ 病清浄化対策中であるが,北海道から毎月40頭程度の外部導入を行うため,常に ヨーネ病の侵入リスクを抱えており毎年1 ~ 2 頭の患畜が摘発されている。加え て,全頭を対象とした抗体検査によるスクリーニング法検査(以下,S 検査)を 行うと1 割程度が陽性となるため糞便リアルタイム PCR 検査(以下,糞便 PCR 検 査)対象牛が毎年 100 頭を超える。 なお,当該農場はフリーバーンの敷料には戻し堆肥を利用し,堆肥は発酵処理 後,最終的にホームセンター等に出荷している。 当該農場における清浄化対策と課題 第55回本業績発表会において,赤上らは,外部導入農場のヨーネ病感染拡大は 導入牛の感染率で一定になり,年1 回の S 検査による摘発とう汰でも,ヨーネ病 防疫対策要領に基づくまん延防止検査と同等に,ヨーネ病感染率の半減効果が見 込めると報告している。そこで,当該農場ではこの考え方に基づき,搾乳牛全頭 について年1 回 S 検査と, S 検査陽性牛の糞便 PCR 検査を実施し,ヨーネ病患畜 を摘発とう汰しており,採血は2 回に分けて実施している。 平成27年度の検査実施状況は表 1 のとおりで, 6 月の S 検査後に患畜が相次い で摘発されたことから糞便PCR 検査を10月まで断続的に行わざるをえなかった。 採血は,ロータリー式ミルキングパーラー(以下,パーラー)の搾乳に合わせて

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行っているため, 1m 以上の高さを移動する牛を相手に個体識別,スプレー塗布, 積み上げたパレット上での採血など特殊な状態での作業を行っており(図1 ), 平成25年度と27年度には,家保職員が負傷し,職員の安全対策が急務であった。 また,採血場所の不安定さにより,採血針つきシリンジ(以下,針)の落下があ っても通常の採血のようにすぐに拾うことができなかった。そのため,農場から, 針の落下により堆肥製品の安全性が心配されるという苦情が寄せられ,針の徹底 管理が課題となった。 加えて,本年度は6 月の S 検査後 8 頭の患畜が摘発されたことから(図 2 ), 検査期間の長期化を招き,S 検査を年 1 回にまとめて実施したいとの要望があっ たことから,来年度以降の検査体制についても検討した。 本年度の課題設定 6 月の S 検査の結果を受け,本年度11月に行う S 検査の採血を安全に安心して 実施するために,以下の課題に取り組んだ。 1 家保職員の安全対策 採血作業全体で特に危険度の高い作業を洗い出し,事故防止対策を検討する。 2 堆肥への針の混入対策 作業工程の改善と,厳重な針とキャップの管理体制の構築を行う。 本年度の取り組み 1 家保職員の安全対策 安全対策については,家保職員が気をつけ,注意喚起や周囲の清掃などを行っ ていたものの負傷者が出てしまった。特殊な状況での採血の場合,潜在的な危険 性が存在していることからリスクアセスメントを導入した。 (1)リスクアセスメント リスクアセスメントとは,職場環境の潜在的な危険性又は有害性を見つけ出し, これらを除去,低減するための手法であり,建設業等の事業者はリスクアセスメ ントに基づく労働者の安全と健康の確保が労働安全衛生法で規定されているなど 様々な企業で取り入れられている。リスクアセスメントの手順は図3 のとおりで, 安全対策を検討するに当たり,作業の危険性を特定し,リスクの見積もりを行っ た。リスクの見積もりは,けがをする可能性基準とけがの程度基準の加点方式で 行った(表2 )。 リスク低減措置は,特にリスクの高いランクⅢの対策を優先した。ランクⅢに 評価されるリスクとしては,採血番号スプレー者と採血者が牛と柵の間に手足を はさまれる,高所から落ちるが挙げられた。 措置内容については,職員への注意喚起,身を守るためのヘルメットの着用ま

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たは軍手や特殊手袋の装着(写真1 ),高所から滑らないための足元の定期的な 清掃(写真2 ),柵と牛に挟まれないよう立ち入り禁止という意味の柵への標識 (写真3 , 4 ),交代要員の配置等を行った。 (2)成果と評価 柵に標識を行い,立入を禁止したことから牛に挟まれるリスクも低減でき,ま た,足元を定期的に清掃したことにより高所から落ちるリスクが低減した。加え てヘルメット,軍手や特殊手袋などの防護具装着により,事故時のけがの程度を 低減した。リスクアセスメントを行うことで,採血時のリスクが明確になり,採 血中は周囲に気を配るといった,職員の危険に対する意識が向上し,事故を未然 に防止できた。しかし,防護具については邪魔だという意見もあったので,代わ りとなれる防護具の検討を続けたい。 2 堆肥への針の混入対策 旧採血法において,針の落下防止は各採血者が注意していたが,採血者が積み 上げたパレット上で移動しながら採血をしていると,落ちても拾えない状況があ った。加えて,作業終了後にはパレットを移動させて落下物がないかの点検もし ていたが,パレットの下に落ちてしまった針は水に流されるとすぐに排水溝に入 ってしまい,見逃されてしまう可能性もあった。そのため,作業工程の改善と, 厳重な針とキャップの管理体制の構築を行った。 針の落下原因について,旧採血法の各工程で針が落下する可能性のある作業を 洗い出し(図4 ), 落下防止のための見直しを行った(図 5 )。 加えて,針の本 数の確認は行っていなかったため,受払簿を作成し,受払簿上の残本数=実際の 残本数となることを確認できるようにした。 (1)針の落下防止策 旧採血法では,採血者は25本の針の入ったビニール袋をウエストポーチの中に 入れ,採血を実施していたため,針を落下させてしまうことがあった。そこで落 下防止のため,採血者が持つ針は1 本に限定し,採血者に 1 本ずつ針を渡す「針 渡し者」と針の出納を管理する「針管理者」を設置した。また,「牛保定者」を 設置し,採血者が採血に専念できるようにした。採血者は「針受け者」に採血が 終了した針を渡し,「針受け者」は採血管ラック内の採血管に刺す。採血管ラッ クを移動する際に,採血管に刺さった針が落下する可能性があることから,「針 管理者」はラック内の採血管すべてに針が刺さっていることを確認し,採血管ラ ックごとビニール袋に入れ封をした。採血済み針が刺さった採血管ラックに触る 職員は「針管理者」のみとした。また,採血に失敗して余った針は「針管理者」 が専用のボックスに入れ管理した。 (2)針数のモニタリングと記録 針の受払を管理するため,準備する針は,事前に 1,000 本と定め,25本を 1 袋

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に入れ,40袋作成した。使用した針や採血失敗の針,未使用の針も前述のとおり, 針管理者が農場内で確認,管理を行った。また,針の受払簿を作成し,採血中は 100 本ずつ受払を記載し,採材終了後に針の落下がないことを確認,記録した。 受払簿は,農場担当者と家保職員が署名し双方が同じ書類を共有することとした。 (4)成果と評価 採血における新工程(図5 )を作成し,針の管理を徹底した結果,針の紛失は 1 本もなくなり,堆肥への針等の混入を防止することで,安全な堆肥生産を確保 した。 来年度の検査方法の検討 本年度は,全 1,686 頭の S 検査を 6 月と11月に分けて行ったが,来年度は 1 回 で全頭S 検査を行う計画のため,搾乳牛と乾乳牛約 1,500 頭はパーラーで採血し, 翌日に,導入牛約 200 頭は牛舎内で採血を行うように検討している。 来年度の採血を行うにあたっては,パーラーでの採血は早朝 4 時から15時ごろ までの長時間の連続作業となるため,より一層の安全対策が必要である。特に危 険性の高い採血者とスプレー者の計4 人は,負担軽減のために 8 人に増員後 2 班 体制とし,交代職員を待機させ,必ず交代で休憩をとることが必要である。また, 新たにリスクアセスメントの実施を重ねながら,リスクの見積もりを正確にとら え,分かりやすく伝え合い事故を未然に防止するとともに,異物混入防止につい ても引き続き努めていきたい。 まとめ 今回はヨーネ病清浄化対策中の特殊な施設を有する大規模酪農場でリスクアセ スメント方式を取り入れた採血を行った。今後,酪農場の規模拡大が進行してい くなか,大規模酪農場での特殊な採血に直面する機会が全国的に増えていく可能 性がある。その中で,いかに効率的に安全に採血を行うかは,状況に応じて対応 していくしかないのが現状である。今回のようなパーラーに限らず,特殊な形態 をとる大規模酪農場の場合,家保職員の安全対策や落下物防止対策は大きな課題 となる。また,採血に限らず動物に接する家保職員は負傷する可能性が高く,女 性職員も増加していくことを考えると,通常の業務においても安全対策を進めて いかなければならず,リスクアセスメントのように潜在的な危険性まで検討する 手法も取り入れるべきである。また,消費者が求める安全で安心な製品を生産す る企業の取り組みに対し,家保としても安全な堆肥生産のための異物混入対策等 に取り組んでいかなければならない。 今後は,県全体の家保職員が安全で安心して働けるようにリスクアセスメント の手法を発信していきたい。

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表 1 平 成 27 年 度 検 査 実 施 状 況 図2 患 畜摘発状 況 日時 実施内容 頭数 陽性数 6 月22日 S 検査 1 回目 1,150 128 7 月 2 日 糞便 PCR 検査 1 回目 7 5 7 月 9 日 ( 殺処分 ) ( 5 ) 7 月28日 環境検査 8 月11日 環境検査 9 月18日 糞便 PCR 検査 2 回目 23 1 9 月28日 ( 殺処分 ) ( 1 ) 9 月29日 糞便 PCR 検査 3 回目 23 2 10月 7 日 ( 殺処分 ) ( 2 ) 10月15日 糞便 PCR 検査 4 回目 24 0 11月24日 S 検査 2 回目 536 43 図 1 パ ー ラ ー で の 採 材

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けがの可能性 けがの程度 リスクポイント リスク見積もり リスク合計 耳標確認者 牛に蹴られる 2 3 5 Ⅰ 5 牛に蹴られる 2 3 5 Ⅰ 牛と柵の間に手足をはさまれる 6 6 12 Ⅲ 突出物にぶつかる 4 6 10 Ⅱ 高所から落ちる 6 6 12 Ⅲ 牛に蹴られる 2 3 5 Ⅰ 牛と柵の間に手足をはさまれる 6 6 12 Ⅲ 突出物にぶつかる 4 6 10 Ⅱ 高所から落ちる 6 6 12 Ⅲ 落下針を拾う際,牛に踏まれる 6 3 9 Ⅱ 針を自分にさす 4 1 5 Ⅰ 針を自分にさす 4 1 5 Ⅰ 高所作業者とぶつかる 2 3 5 Ⅰ 39 53 10 スプレー者 採血者 針受け者・管理者 図3 リスクアセスメント工程 表2 リスク見積もり 写真1 防護具の着用 写真2 足元の清掃 写真3 柵への標識 写真4 柵への標識

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担当者 採血者 採血者 採血者 ← 袋に入らずキャップが落下 採血者 採血者と針受け者 針受け者 針受け者 ← ラックを持ち歩いたとき に針が落下 全員 未定 ← 針捨てから針が落下 未定 ← 複数人が針に触ることで,針が落下,紛失 ↓ 採血をする 採材終了 ↓ ← ← 牛が暴れウエストポーチ から針が落下 採血失敗の針が落下 ↓ ↓ 採血後の針は針受け者に渡す 工程 ↓ 採血管ラックから針をとり,針捨てに捨てる 未使用針,使用針ともに持ち帰る 針の落下原因 ↓ 針を試験管にさす ↓ 100本ごとに採血管ラックをかえる ウエストポーチに針が入った袋を入れる ↓ 採血時にポーチから針を取り出す ↓ キャップをとってポーチにつけたごみ袋に入れる ← ← 取り出すとき に別の針が落下 持っている針が落下 担当者 工程 確認点 針渡し者 針を1本とり,採血者に渡す 針管理者 針が1本ずつ渡されているかチェックする ↓ 保定者 牛を保定する ↓ 採血者 キャップをとって採血をする ← ↓ 採血者 採血後の針とキャップを針受け者に渡す ↓ 針受け者 針とキャップをうけとる ↓ 針受け者 針は採血管に,キャップはキャップ入れに入れる ↓ 針管理者 採血管ラックに100本刺さった針を確認し袋詰め ↓ 全員 採材終了 ↓ 針管理者 使用した針数,未使用の針数を確認する 針受け者 失敗した針数を確認する ↓ 針管理者 針受払簿を記入 農場担当者 署名しコピーを保存 針が落下した ら , パーラーを 止め 探す 図4 旧 採血 法の工程 図5 新 採血 法の工程

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5.管内大規模酪農場におけるヨーネ病清浄化への取り組み

県南家畜保健衛生所

○藤原 謙一郎 新海 桐子 渡邊 晃行 栗山 伸人

ヨーネ病は,ヨーネ菌(Mycobacterium avium subsp. paratuberculosis)の感染に

より慢性の水様性下痢,乳量の低下,削痩等の症状を主徴とする疾病で,家畜伝 染病予防法(以下,家伝法)において法定伝染病に指定されている。本病は,平 成22 年から平成 26 年の 5 年間に,全国では 1,396 戸,2,832 頭が摘発されており, 本県でも 19 戸,25 頭が摘発されている(表 1)。平成 25 年 4 月,防疫措置を強化 するため家伝法施行規則及び牛のヨーネ病防疫対策要領が改正され,従来のエラ イザ法に加え,確定診断検査にリアルタイム PCR 法による検査(以下,r-PCR 検 査)が追加された。 今回,当所管内の大規模酪農場において,平成26 年度にヨーネ病感染牛が摘発 されたが,発生後 1 年で清浄化が達成されたのでその概要を報告するとともに, 当該農場における今後の検査方法についても検討したので,併せて報告する。 管内の乳用牛飼養状況 平成 27 年 2 月 1 日現在,当所管轄 14 市町村のうち,乳用牛飼養農家は 11 市町 村に 127 農場あり,約 6,000 頭が飼養されている。このうち搾乳牛が 200 頭を超 える大規模農場は 2 農場存在している。今回発生した農場が所在する市では,27 農場,約 1,800 頭の乳用牛が飼養されており,大規模農場が 2 農場とも所在する など管内でも飼養頭数が最も多く,酪農が盛んな地域である。 管内のヨーネ病発生状況 管内における過去 5 年間(平成 22 年度~平成 26 年度)のヨーネ病発生は,3 戸,7 頭であった(表 2)。平成 22 年度及び平成 23 年度に発生が確認された農場 のうち 1 戸は,飼養規模約 80 頭の農場で,平成 18 年度の初発以来,6 年間継続 的に発生を認め,計 15 頭を摘発,とう汰後に清浄化を達成した。他の 1 戸は飼養 規模約 30 頭の農場で,平成 23 年度に 2 頭摘発,とう汰後,続発はなく 1 年で清 浄化を達成した。平成 24 年度及び平成 25 年度については,管内で発生は確認さ れていなかった。 当該農場の概要 当該農場は,フリーバーン式牛舎が 7 棟あり,乳牛約 700 頭を飼養する管内最

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大飼養規模の農場である。育成牛は飼養せず,初妊牛を毎月約 16 頭県外から導入 している。飼養管理は約 20 名の従業員で行っている。 発生の概要 平成 26 年 10 月 6 日~8 日の 3 日間にわたり,家伝法第 5 条に基づく定期検査 により 675 頭を検査した。予備的抗体検出法で検査(以下,スクリーニング検査) したところ 23 頭が陽性になった。この 23 頭の糞便について r-PCR 検査を実施し たこところ,1 頭から 0.01pg/well のヨーネ菌特異遺伝子が検出されたため,患畜 と決定した。また,患畜以外からはヨーネ菌特異遺伝子は検出されなかった。 なお,当該牛は,平成 22 年 9 月 6 日生まれで,産歴は 3 産であった。当該農場 へは平成 24 年 7 月に導入されていた。 病性鑑定結果 剖検所見では回腸粘膜に軽度の肥厚が認められた。病理組織学的検査では,回 盲部より 10cm 上,30cm 上,50cm 上,1m 上に肉芽腫性腸炎が認められたととも に,Ziehl-Neelsen 染色により同部位に抗酸菌が確認された。細菌学的検査では, 空腸リンパ節,回腸リンパ節,回盲リンパ節,回盲部より 10cm 上,1m 上,回盲 部から 0.001pg/well 以上のヨーネ菌特異遺伝子が検出された。 まん延防止のための検査 患畜とう汰後,茨城県牛のヨーネ病防疫対策要領に基づき,1 年間に 3 回の同 居牛検査(以下,まん延防止検査)を実施した(表 3)。 1 1 回目検査(平成 27 年 2 月 3 日,4 日) 696 頭についてスクリーニング検査を行った結果,10 頭が陽性となり,糞便 を用いたr-PCR 検査を実施したところ,全頭で定性及び定量ともに陰性であった。 2 2 回目検査(平成 27 年 6 月 23 日,24 日) 737 頭についてスクリーニング検査を行った結果,2 頭が陽性となり,糞便を用 いた r-PCR 検査を実施したこところ,全頭で定性及び定量ともに陰性であった。 3 3 回目検査(平成 27 年 10 月 28 日,29 日) 744 頭についてスクリーニング検査を行った結果,6 頭が陽性となり,糞便を用 いた r-PCR 検査を実施したこところ,全頭で定性及び定量とも陰性であった。 3 回のまん延防止検査の結果,全て陰性であったため,発生から 1 年で清浄農 場へ復帰した。 飼養牛の移動履歴 平成26 年 10 月の定期検査から平成 27 年 10 月のまん延防止検査を行った牛 995

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頭について,その移動履歴を調査した。導入元の農場は 158 農場であり,導入頭 数の多い上位8 農場で全頭数の 50%を占めた。患畜と同じ農場で生まれた牛は他 には導入されていなかった。また,購入市場は 4 か所であったが,一番購入が多 い市場で全体の 97.6%(971 頭)を占めており,直近 4 年間は全てこの市場から 購入していた。 当該農場におけるヨーネ病シミュレーションモデル 当該農場におけるヨーネ病感染頭数の推移と今後の検査方法を検討するため, 小谷 2)が紹介した「Collins-Morgan Model」を参考にシミュレーションを実施した。 このモデルは,感染の時期は子牛の時期に限られることや,症状の進行が緩慢な ため感染個体は成牛となるまで感染源とならないこと,感染個体は生涯にわたっ て感染源となること,浸潤の過程が長期に及ぶことから群内の個体の更新を考慮 すること等ヨーネ病の特徴を反映したモデルである。 条件設定は,当該農場の飼養状況から飼養頭数 700 頭,年間更新率 30%,後継 牛は全て外部導入であるため,子牛の年間出生率及び自家育成牛率は 0%,成牛 と子牛の接触回数 0 回,外部導入牛の感染率は,導入地域の過去 5 年間(平成 22 年~平成26 年)に摘発された患畜の頭数を導入地域の牛飼養頭数で除した 0.16%, 摘発率はスクリーニング検査を実施した場合の 50%1)とした。初年次の感染牛頭 数は,ヨーネ病感染牛が 1 頭導入されたと仮定し 1 とした(表 4)。 1 感染頭数の推移 感染牛 1 頭が導入され,その後対策を行わなかった場合の感染牛頭数の推移を 図 1 に示した。導入後 3 年目までは,緩やかであるが 1.3 頭まで増加し,その後 は減少し 1.1 頭で推移した。 2 今後の検査方法の検討 ヨーネ病感染牛が農場に導入された 2 年後に定期検査(摘発率 50%1))を行い, それに続き年 3 回のまん延防止検査(摘発率 88%1))を実施した場合(以下,検 査 1)の感染率の推移を図 2 に,定期検査後に年 1 回のまん延防止検査(摘発率 50%)を 3 年間実施した場合(以下,検査 2)の感染率の推移を図 3 に示した。 検査 1 では,対策開始後 0.06%まで低下するが,検査が終了すると 0.16%まで上 昇した。検査 2 についても,検査を実施している期間は,0.08%まで低下するが, 検査が終了すると 0.16%まで上昇した。これは,当該農場が全て外部導入という 飼養形態であるため,農場の感染率は導入牛の感染率に影響され,検査による摘 発とう汰を継続しなければならないことを示している。 考察 当該農場のように,後継牛を全て外部導入している農場では,ヨーネ病感染の

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リスクは導入元のヨーネ病発生状況に影響され,導入頭数が多いほどそのリスク は高くなる。そのため,導入元のヨーネ病発生状況を把握する必要があるが,現 状では当該農場が導入している地域の牛は,出生農場から直接市場に上場される ことはなく,育成農場等を経由して市場に上場されることが多いため,導入元の ヨーネ病発生状況を把握することは困難である。また,上場される牛の発育状態 が悪い場合,日頃の飼養管理や畜舎内の清掃や消毒等の衛生管理が十分行き届い ていないと考えられ,そのためそのような牛を導入するということは,ヨーネ病 をはじめ様々な疾病を農場に持ち込むことにつながりかねない。規模が大きく導 入頭数が多い農場では,導入頭数が優先されてしまう。しかし,当該農場では, 必ず農場主自らが牛の状態を見て良好な牛を特定の市場から購入することで,飼 養牛の移動履歴からも明らかなように,結果的に導入元が固定されることになり, 導入時の疾病侵入のリスクを下げているのではないかと考えられた。 シミュレーション結果から,感染牛の頭数は経時的に増加を続けるのではなく, ある一定の頭数で推移する結果となった。これは,当該農場では更新率が 30%で あるため約 3 年という短期間で牛群が更新されることや,子牛を育成していない ため場内での感染機会が少ないことがその要因であると考えられた。しかし,後 継牛は全て外部導入という飼養形態では,導入元が清浄化されない限りヨーネ病 の侵入リスクが継続することも示された。今後の検査方法についても検討したが, 検査 1 及び検査 2 ともに,農場の感染率は導入牛の感染率に左右されるため,継 続的な検査が必要である結果となった。今回,当該農場については,飼養規模が 1,000 頭以下であったことや,定期検査時の糞便の r-PCR 検査の結果で患畜以外 からはヨーネ菌特異遺伝子が検出されなかったこと,導入元が固定されていたこ と,農場主が年 3 回のまん延防止検査実施に前向きであったこと等から,検査 1 を行い,清浄性を確認することができた。しかし,現在より飼養規模が大きくな り導入頭数が増加した場合,外部からの侵入リスクがさらに高くなることを考慮 すると,今後は検査 2 のような継続的な検査の検討も必要であると考えられる。 今後,当該農場については,飼養規模や導入頭数等を把握し,その状況に応じ た検査を実施することで,ヨーネ病清浄化維持に努めていきたい。 参考文献 1)赤上正貴ら,大規模農場におけるヨーネ病防疫対策の問題点と今後の方向性, 第 55 回茨城県家畜保健衛生業績発表会,1-8,2013 2)小谷貴彦,乳用牛群におけるヨーネ病浸潤シミュレーション,獣医疫学雑誌, No.1,39-46,2000

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全国 茨城県 年 戸数 頭数 戸数 頭数 平成22 年 235 456 8 8 平成23 年 331 615 5 7 平成24 年 211 405 0 0 平成25 年 293 573 2 6 平成26 年 326 783 4 4 合計 1,396 2,832 19 25 年度 戸数 頭数 平成22 年度 (1) 2 平成23 年度 1(1) 4 平成24 年度 0 0 平成25 年度 0 0 平成26 年度 1 1 合計 2(1) 7 ( )内は継続発生 検査年月 検査名 検査頭数 スクリーニング検査 陽性頭数 r-PCR 検査 陽性頭数 平成26 年 10 月 定期検査 675 23 1 平成27 年 2 月 まん延防止検査 (1 回目) 696 10 0 平成27 年 6 月 まん延防止検査 (2 回目) 737 2 0 平成27 年 10 月 まん延防止検査 (3 回目) 744 6 0 表1 全国及び県内におけるヨーネ病発生状況 表2 管内におけるヨーネ病発生状況 表3 検査成績

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項目 設定値 設定条件 飼養頭数 700 農場の飼養状況調査から 年間更新率 0.3 農場の飼養状況調査から 子牛の年間出生率 0 外部導入 自家育成牛率 0 外部導入 成牛と子牛の接触回数 0 外部導入 外部導入牛の感染率 0.0016 導入地域の感染率 初年時感染牛頭数 1 感染牛 1 頭を導入したと仮定 摘発率 0.5 スクリーニング検査 表4 ヨーネ病シミュレーションの項目と設定値 図1 ヨーネ病感染頭数の推移

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図2 検査 1 によるヨーネ病感染率の推移

参照

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