• 検索結果がありません。

本誌に関するお問い合わせはみずほ総合研究所株式会社調査本部アジア調査部中国室研究員劉家敏 電話 (3) まで 当リポートは情報提供のみを目的として作成されたものであり 商品の勧誘を目的としたものではありません 本資料は 当社が信

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "本誌に関するお問い合わせはみずほ総合研究所株式会社調査本部アジア調査部中国室研究員劉家敏 電話 (3) まで 当リポートは情報提供のみを目的として作成されたものであり 商品の勧誘を目的としたものではありません 本資料は 当社が信"

Copied!
54
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

中国都市部家計の所得・消費・貯蓄

~現状と株式投資による影響~

(2)

本誌に関するお問い合わせは みずほ総合研究所株式会社 調査本部アジア調査部中国室 研究員 劉家敏 jiamin.liu@mizuho-ri.co.jp 電話(03)3591-1384 まで。 当リポートは情報提供のみを目的として作成されたものであり、商品の勧誘を目的としたものでは ありません。本資料は、当社が信頼できると判断した各種データに基づき作成されておりますが、 その正確性、確実性を保証するものではありません。また、本資料に記載された内容は予告なしに 変更されることもあります。

(3)

要旨

1. 中国の個人消費の行方を見極めるには、消費関連指標だけでなく、個人消費をけん引 している都市部家計部門(Urban Household)の所得・貯蓄・投資の最新動向を把握する 必要がある。都市部世帯数は、2006 年末に約 1 億 9,571 万世帯となった。そのうち、 東部は全体の 43.5%の約 8,519 万世帯、中部は同 23.5%の約 4,588 万世帯、西部は同 22.2%の約 4,349 万世帯、東北部は同 10.8%の約 2,115 万世帯と試算される。 2. 都市部世帯当たり年間可処分所得は、平均で 1998 年の 19,693 元から 2006 年には 37,277 元(約 56 万円)となり、実質的に年平均 8%増で所得向上が進んでいる。上海や 北京などは、5 万元(75 万円)を超えているが、四川省や黒竜江省は 3 万元(45 万円)未 満である。都市部上位 10%所得層の同指標は 9 万元(135 万円)に達し、下位 10%所得 層との世帯所得格差は 4 倍から 9 倍に広がっている。 3. 都市部世帯当たり年間消費支出は、平均で 1998 年の 15,724 元から 2006 年には 27,568 元(約 41 万円)となり、実質的に年平均 7%増で消費拡大が進んでいる。広東省は 4 万 元台(60 万円台)、北京や上海などは 3 万台(45 万円台)となっているのに対し、黒竜江 省は 2 万元を下回る水準にある。都市部上位 10%所得層の同指標は 6 万元(90 万円)に 達し、下位 10%所得層との世帯消費格差も 3 倍から 6 倍に広がっている。もっとも、1 人当たり年間食品消費量や耐久消費財の世帯普及率を 2004 年時点と比較すると、階層 別世帯消費格差は縮小する傾向にある。 4. 2006 年末現在、都市部上位 20%所得層のエンゲル係数は日本の高度成長期の同指標 (31%台)を下回る 27%に低下してきたが、現在の日本(23%)よりは高い。しかし、消 費支出に占める「交通・通信」、「保健・医療」、「教育教養・娯楽」、「住宅・光熱・水道」 といった費目の割合は、合計で現在の日本とほぼ同水準(45%)にあり、上位 20%所得 層は、さらに 52%まで高まっている。 5. 2006 年の都市部家計の貯蓄率は、32%で日本やアメリカと比べ、かなり高い。その背 後には、①高齢化による老後生活に対する不安、②計画経済から市場経済へ移行する 過程における社会保障制度の不備による予備的な貯蓄動機の強まり、③持続的な高成 長を前提とした高い投資収益への過剰期待、などが原因として挙げられる。都市部世 帯当たり金融資産残高は、1991 年末の 1 万元から 2006 年末には 9 万元(約 135 万円) に達している。そのうち、世帯当たり株式保有額は 6 元(金融資産の 0.1%)から 6,391 元(同 7%)、債券保有額は 350 元(同 4%)から 4,823 元(同 5%)に増加した。金融資産 に占める預金の割合は、94%から 85%に低下したが、日本の同比率(39%)を大きく上 回る水準にある。 6. 有価証券や不動産などへの投資拡大を背景に、都市部 1 人当たり年間資産性所得は、 2006 年に前年比 26.5%増の 244 元となった。この内訳は、金融資産から 112 元、実物 資産から 132 元である。階層別に見ると、上位 10%所得層の資産性所得は、前年比

(4)

36.5%増の 1,279 元となり、そのうち、金融資産からの所得は、同 52%増の 679 元で、 資産性所得の 53%を占めている。それに対し、下位 10%所得層の資産性所得は、同 8.7%増の 35 元に過ぎず、そのうち、金融資産からの所得は、同 9%減の 7 元である。 株式投資からの 1 人当たり年間資産性所得は、2005 年の 36 元から 2006 年には前年比 56%増の 56 元となり、階層別に見ると、上位 10%所得層は、196 元から同 71%増の 336 元、下位 10%所得層は 3 元から同 33%減の 2 元となり、2006 年後半からの株価急 騰による資産性所得の増加は、高所得層を中心とするものである。 7. 一方、不動産投資からの資産性所得は、2005 年の 112 元から 2006 年には前年比 13% 増の 126 元に、小幅な上昇しか見られない。階層別に見ると、上位 10%所得層は、479 元から約 19%増の 571 元、中位 20%所得層は、70 元から約 3%減の 68 元となり、不 動産価格上昇に伴う資産性所得の増加は、株式投資ほど顕著ではない。 8. 「全民炒股」(全国民が株式取引をしていること)は 2007 年度のキーワードとなった。個 人が保有する株式の時価総額は、2006 年末に流通可能な A 株の時価総額の約 57%を占 めている。個人名義の(人民元建て)A 株取引口座数は、2007 年末現在、1.1 億口座に達 しているが、残高がなく長期にわたり利用されていない証券口座(いわゆる「休眠口 座」)や両方の取引所に開かれた同一名義口座の重複などを除くと、実際に利用されて いる A 株口座数は 2008 年 1 月末現在、約 4,000 万口座と推測される。その 99%が個人 名義であると試算すれば、中国の個人投資家は、都市人口の約 7%を占めることになる。 9. 2007 年のアンケート調査結果によれば、都市部家計の株式投資は、①高所得世帯から 中低所得世帯まで浸透しており、投資家の裾野が広い、②銀行預金や生活余剰金から の資金が主要資金源となっている、③他人や銀行からの借入で株式投資をするケース もあるが、限定的に止まっている、④株式を金融資産残高の 5 割まで保有する個人投 資家が回答者の 60%にも上る、といった特徴がある。 10. 株式投資による影響として、①株価上昇(下落)が続くと、高所得層を中心として資産 性所得が増加(減少)し、これに株式保有の正(負)の資産効果が加わり、家計部門の消 費支出を押し上(下)げる可能性がある、②株式などリスクの高い有価証券への投資拡 大により、家計の資産残高が株価変動の影響を受けやすくなり、株価下落による金融 資産の目減りが起因する社会不安を引き起こす恐れもある、などが考えられる。 11. 2007 年 10 月に開かれた第 17 次党大会で胡錦濤主席は「より多くの国民に資産性所得を 増加する環境整備に努力していく」 と宣言した。個人による株式保有を促進する政策 の下で、都市部家計の株式投資は、今後も堅調に拡大していくと思われる。もっとも、 株価変動による影響が家計にまで波及するリスクが高まっている現在、株式市場の健 全化・透明化への取り組みや株価安定対策が一層求められよう。 (みずほ総合研究所 アジア調査部中国室 研究員 劉家敏)

(5)

目次

1. はじめに ··· 1 2. 都市部家計の全体像 ··· 1 (1) 都市人口と都市化率 ··· 1 (2) 都市部世帯数 ··· 3 (3) 所得・消費・貯蓄水準 ··· 4 a. 所得 ··· 5 b. 消費 ··· 9 c. 貯蓄 ··· 24 3. 都市部家計の投資行動 ··· 29 (1) 資産性所得 ··· 31 (2) 個人による株式投資 ··· 33 a. 証券取引口座数と地域分布 ··· 34 b. 個人投資家の属性と投資規模 ··· 37 c. 投資目的 ··· 40 d. 損益状況 ··· 41 e. 保有期間と銘柄選択 ··· 41 f. 投資情報と投資家教育 ··· 42 4. 株式投資による影響 ··· 44 5. 終わりに ··· 46

(6)

図表目次

図表 1 都市人口と都市化率の推移 ...2 図表 2 地域別 都市人口と都市化率(2006 年) ...2 図表 3 都市人口の地域分布(2006 年) ...3 図表 4 地域別都市部世帯数(2006 年末) ...4 図表 5 都市部世帯数の地域分布(2006 年末) ...4 図表 6 都市部 1 人当たり年間可処分所得の推移 ...5 図表 7 地域別 都市部 1 人当たり年間可処分所得(2006 年) ...6 図表 8 都市部世帯当たり年間可処分所得とその実質伸び率の推移 ...7 図表 9 地域別 都市部世帯当たり年間可処分所得(98/06 年) ...7 図表 10 都市部 1 人当たり年間可処分所得と階層別所得格差の推移 ...8 図表 11 都市部上位 10%層と他の階層との所得格差(98/06 年) ...8 図表 12 地域別 都市部域内総生産に占める個人消費の割合の推移 ...9 図表 13 都市部 1 人当たり年間消費支出の推移 ...10 図表 14 地域別 都市部 1 人当たり年間消費支出の推移 ...11 図表 15 地域別 都市部 1 人当たり年間消費支出(2006 年) ...11 図表 16 都市部世帯当たり年間消費支出とその実質伸び率の推移 ...12 図表 17 地域別 都市部世帯当たり年間消費支出(98/06 年) ...12 図表 18 都市部 1 人当たり年間消費支出と階層別消費格差の推移 ...13 図表 19 都市部上位 10%層と他の階層との消費格差(98/06 年) ...14 図表 20 都市部における主要食品の 1 人当たり年間消費量(2006 年) ...15 図表 21 食品消費における都市部階層別格差(04/06 年) ...16 図表 22 地域別 都市部における主要耐久消費財の世帯普及率(2006 年末) ...17 図表 23 都市部における階層別耐久消費財の世帯普及率(2006 年末) ...18 図表 24 都市部における耐久消費財普及の階層別格差(04/06 年) ...19 図表 25 地域別 都市部消費パターンの変化(98/06 年) ...20 図表 26 地域別 都市部 1 人当たり消費支出に占める 4 費目の割合(98/06 年) ...23 図表 27 都市部家計の預金残高の推移 ...24 図表 28 地域別 都市部世帯当たり平均預金残高(2006 年末) ...25 図表 29 都市部家計貯蓄率の推移 ...26 図表 30 所得階層別 都市部家計貯蓄率の推移 ...27 図表 31 都市部世帯当たり金融資産平均残高の推移 ...28 図表 32 都市部世帯当たり金融資産平均残高の構成比の推移 ...28 図表 33 都市部家計の貯蓄・消費・投資(概念図) ...29 図表 34 年齢層別 都市部家計の金融資産構成比(2005 年末) ...30 図表 35 都市部 1 人当たり資産性所得と年伸び率(05/06 年) ...31 図表 36 階層別 金融資産・実物資産による現金収入(05/06 年) ...32 図表 37 都市部 1 人当たり株式・不動産関連収入(05/06 年) ...32 図表 38 市場・投資家別:証券取引口座の構成比(03~07 年) ...35 図表 39 証券取引口座数の年間純増減の推移 ...35 図表 40 証券取引口座数の純増減(月次ベース) ...36 図表 41 個人投資家の性別・年齢・学歴(07/08 年末) ...38 図表 42 個人投資家の収入や投資資金(2007 年) ...39 図表 43 個人投資家の投資目的と投資収益(2007 年) ...40 図表 44 個人投資家の株式保有期間・投資銘柄・投資方向(2008 年 2 月現在) ...42 図表 45 投資情報の獲得ルートと投資家教育の現状(2007 年) ...44 図表 46 上海家計の所得・消費・貯蓄と期末株式取引口座数の推移 ...45

(7)

1. はじめに 「市場としての中国」を捉える時、個人消費をけん引している都市部家計(Urban Household)の実態究明が課題となっている。家計部門の「当期消費水準」を決める「所得」、 「次期消費水準」に影響する「貯蓄」と、資産形成に寄与する「投資」は、都市部家計の消費行 動を左右する主な要因となっている。個人消費の行方を見極めるには、消費関連指標だけ でなく、家計部門の所得・貯蓄・投資の最新動向を把握する必要もある。 中国では、個人消費の「晴雨計」と見なされる都市部小売売上高は、2004 年の 3 兆 9,696 億元から 2007 年にはその 1.5 倍の 6 兆 411 億元に、前年比 17%増で堅調な拡大を見せてい る1。同指標は 2010 年の 8 兆元を経て、2015 年にはさらに 16 兆元に達する見込みである2 しかし、2006 年下半期からの株価急騰を背景に、都市部家計を中心に急増する個人による 株式投資は、個人消費にどのような影響があるかが注目されている。 本稿では、まず、都市人口と地域別都市化率から都市部世帯数とその地域分布を試算し てみる。また、内需拡大政策が打ち出された 1998 年を境目に、都市部家計の所得、消費、 貯蓄の実態とその変化を地域・階層別に分析する。さらに、都市部世帯当たり金融資産残 高を試算し、金融資産構成とその変化を検討する。最後に、都市部家計による株式投資の 実態を明らかにし、その個人消費への影響を考えてみよう。 2. 都市部家計の全体像 (1) 都市人口と都市化率 中国の都市人口は、2006 年末現在、5 億 7,706 万人に達している。地域別に見ると、東 部都市3は、前年比 897 万人増の 2 億 5,387 万人、中部都市は、547 万人増の 1 億 3,396 万 人、西部都市は、493 万人増の 1 億 2,916 万人、東北部都市は、76 万人増の 6,007 万人と なり、いずれも上昇し続けている。都市人口の前年比伸び率は、全体として 1996 年の 6% から 2006 年には 2%に鈍化したが、都市化率(全人口に占める都市人口の割合)は、持続的 な上昇を見せている4(図表 1)。 2006 年の都市化率は、44%に達し、1978 年の 18%から倍増した。地域別に見ると、東部 地域は 54%、中部地域は 38%、西部地域は 36%、東北地域は 56%となり、東部・東北地 域が 5 割を超える水準にある。省(直轄市、自治区)別に見ると、上海市は 89%に達し、都 市部トップとなっているのに対し、貴州省は 28%に過ぎず、上海市の約 3 分の 1 に止まっ 1全国の「小売売上高」は 2004 年の 5 兆 9,501 億元から 2007 年には 8 兆 9,210 億元に拡大している。 2劉家敏「中国経済における個人消費の行方~98 年以降の消費実態と 2015 年までの見通し~」みずほリポー ト、2006 年 4 月 13 日。 3東部地域=3 直轄市(北京、上海、天津)+広東省+浙江省+江蘇省+山東省+河北省+福建省+海南省(3 市 7 省)、中部地域=山西省+安徽省+江西省+河南省+湖南省+湖北省(6 省)、西部地域=重慶市(直轄 市)+陜西省+四川省+貴州省+雲南省+甘粛省+青海省+内蒙古自治区+寧夏自治区+広西壮族自治 区+西蔵自治区+新疆自治区(1 直轄市 6 省 5 自治区)、「東北地域」=遼寧省+黒竜江省+吉林省(3 省)、 とする(以下同じ)(「中国統計年鑑」中国統計出版社、2006 年 9 月)。 4改革・開放初年度の 1978 年の都市部人口は 1.7 億人で、全人口の約 18%を占めている。

(8)

ている(図表 2)。 図表 1 都市人口と都市化率の推移 (資料)CEIC DATA より作成。 図表 2 地域別 都市人口と都市化率(2006 年) (注)地域定義は脚注 3 を参照 (資料)「中国統計年鑑(2007 年)」中国統計出版社、2007 年 9 月より作成。 5.8億人(43.9%) 貴州省:27.5% 上海:88.7% 0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000 70,000 全 体 東 部 地 域 中 部 地 域 西 部 地 域 東 北 地 域 上 海 市 北 京 市 天 津 市 広 東 省 遼 寧 省 浙 江 省 黒 竜 江 省 吉 林 省 江 蘇 省 内 蒙 古 自 治 区 福 建 省 重 慶 市 山 東 省 海 南 省 湖 北 省 寧 夏 自 治 区 山 西 省 青 海 省 陜 西 省 湖 南 省 江 西 省 河 北 省 新 疆 自 治 区 安 徽 省 広 西 壮 族 自 治 区 四 川 省 河 南 省 甘 粛 省 雲 南 省 西 蔵 自 治 区 貴 州 省 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 都市部人口 都市化率(右目盛) 万人 % 5.8億人(43.9%) 1.7億人(17.9%) 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 0506年 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 都市人口(右目盛) 総人口に占める割合(居住者ベース) 年伸び率(右目盛) % 億人

(9)

都市人口の地域分布は、東部 57%、中部 19%、西部 23%、東北 1%となっており、東部 都市に都市人口の 6 割弱が集中している(図表 3)。省(直轄市、自治区)別に見ると、都市人 口の上位 5 省は、広東省(都市部人口の 10%)、山東省と江蘇省(いずれも 7%)、河南省と 浙江省(いずれも 5%)である。「市場としての中国」を見る時、所得格差は、考察すべき重要 な指標であるが、都市人口の地域分布と地域別都市化率も見落とせない指標となろう。 図表 3 都市人口の地域分布(2006 年) (注)地域定義は脚注 3 を参照 (資料)「中国統計年鑑(2007 年)」中国統計出版社、2007 年 9 月より作成。 (2) 都市部世帯数 「世帯数」は、消費市場を分析する際に欠かせない指標である。しかし、改革・開放後、 人口移動が激しいことから、従来の戸籍制度が実態を反映できなくなったため、居住者ベ ースの都市部世帯数を正確に把握することが難しい。本稿は、公表データである「都市人口」、 「都市化率」、「世帯構成員数」などで、都市部世帯数とその地域分布を試算してみた。その 結果によれば、都市部世帯数は 2006 年末現在、1 億 9,571 万世帯に達している。そのうち、 東部は全体の 43.5%を占める 8,519 万世帯、中部は同 23.5%の 4,588 万世帯、西部は同 22.2%の 4,349 万世帯、東北部は同 10.8%の 2,115 万世帯である(図表 4)。省(直轄市、自 治区)別に見ると、都市部世帯数の上位 5 省は、①広東省(1,719 万世帯、都市部全体の 9%)、 ②山東省(1,460 万世帯、同 8%)、③江蘇省(1,306 万世帯、同 7%)、④浙江省(991 万世帯、 同 5%)、⑤四川省(943 万世帯、同 5%)、である(図表 5)。 東部地域 57% 東北地域 1% 西部地域 23% 中部地域 19% ②山東省 7% ③江蘇省 7% ④河南省 5% ⑤浙江省 5% ⑥四川省 5% ①広東省 10% ⑦河北省 5% ⑧遼寧省 4% ⑨湖北省 4% ⑩湖南省 4% その他 44%

(10)

図表 4 地域別都市部世帯数(2006 年末) (注)地域定義は脚注 3 を参照 (資料)「中国統計年鑑(2007 年)」中国統計出版社、2007 年 9 月より作成。 図表 5 都市部世帯数の地域分布(2006 年末) (注)地域定義は脚注 3 を参照 (資料)「中国統計年鑑(2007 年)」中国統計出版社、2007 年 9 月より作成。 (3) 所得・消費・貯蓄水準 本節では、都市部世帯数と地域別構成を用いて、①世帯当たり可処分所得、②世帯当た り消費支出、③世帯当たり預金残高、を地域・階層別に試算し、都市部家計の所得・消費・ 貯蓄の実態を明らかにしよう。 中部地域 23% 西部地域 20% 東北地域 11% 東部地域 46% ②山東省 8% ③江蘇省 7% ④浙江省 5% ⑤四川省 5% ⑥河南省 5% その他 44% ⑩湖南省 4% ⑨河北省 4% ⑧湖北省4% ⑦遼寧省 5% ①広東省 9% 0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 14,000 16,000 18,000 20,000 全 体 東 部 地 域 中 部 地 域 西 部 地 域 東 北 地 域 ① 広 東 省 / 東 ② 山 東 省 / 東 ③ 江 蘇 省 / 東 ④ 浙 江 省 / 東 ⑤ 四 川 省 / 西 河 南 省 / 中 遼 寧 省 / 東 北 湖 北 省 / 中 河 北 省 / 東 湖 南 省 / 中 安 徽 省 / 中 黒 竜 江 省 / 東 北 上 海 市 / 東 福 建 省 / 東 北 京 市 / 東 江 西 省 / 中 吉 林 省 / 東 北 広 西 壮 族 自 治 区 / 西 陜 西 省 / 西 重 慶 市 / 西 山 西 省 / 中 内 蒙 古 自 治 区 / 西 雲 南 省 / 西 貴 州 省 / 西 天 津 市 / 東 甘 粛 省 / 西 新 疆 自 治 区 / 西 海 南 省 / 東 寧 夏 自 治 区 / 西 青 海 省 / 西 西 蔵 自 治 区 / 西 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 都市部世帯数 対全体比(右目盛) 万世帯 %

(11)

a. 所得 (a) 平均可処分所得 都市部家計の所得水準を反映する指標の 1 つである「1 人当たり年間可処分所得」5は、1998 年の 5,425 元(約 8 万円、1998 年末現在、1 元=14 円、以下同じ)から 2007 年には 13,785 元(約 21 万円、2007 年末現在、1 元=15 円、以下同じ)に、実質的に年平均 10%増で向上 している6(図表 6)。 図表 6 都市部 1 人当たり年間可処分所得の推移 (注)2007 年は速報値である(「消費対 GDP 貢献 7 年来首超投資 08 年或有更大作用」中国証券報、 2008 年 1 月 30 日)。 (資料)CEIC DATA などより作成。 (b) 地域別可処分所得 地域別に見ると(図表 7)、東部都市は 1998 年の 6,875 元(約 10 万円)から 2006 年には 14,894 元(約 22 万円、2006 年末現在、1 元=15 円、以下同じ)、中部都市は 4,600 元から 9,911 元に、西部都市は 4,906 元から 9,545 元に、東北部都市は 4,364 元から 9,776 元に、 向上している。1998 年時点で同指標が最も低かった東北部都市7は、2006 年に西部都市を 上回ったが、東部都市と比べると、依然として低い水準にある。省(直轄市、自治区)別に 見ると、トップ 10 省(直轄市)のうち、8 省(直轄市)が東部地域にあり、特に上海市、北京 市、浙江省、広東省は、平均水準を大きく上回っている。上海市の「1 人当たり年間可処分 所得」は、2006 年に 20,668 元(約 31 万円)に達しており、都市部トップである。1998 年時 5都市部 1 人当たり可処分所得=総収入―個人所得税―社会保障負担支出―家庭副業生産支出―その他。 6市場経済へ移行し始めた 1992 年と内需拡大政策が打ち出された 1998 年との比較では、2007 年の都市部 1 人当たり可処分所得は、1992 年の約7倍、98 年の約 3 倍である(「消費対 GDP 貢献 7 年来首超投資 08 年 或有更大作用」中国証券報、2008 年 1 月 30 日、CEIC DATA)。 7国有企業が集中した東北地域は、1998 年に本格的に始まった国有企業改革を背景に、大量の余剰労働者が レイオフされたこともあり、当時の 1 人当たり可処分所得は他の地域を下回る水準にあった。 07年:13,785元 86年:901元 98年:5,425元 92年:2,027元 0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 14,000 16,000 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 0607年 0 5 10 15 20 25 30 35 都市部1人当たり年間可処分所得 実質年伸び率(右目盛) 元 %

(12)

点8と比べ、中低所得地域(省、直轄市、自治区)の同指標は、年間 10,000 元台(15 万円台) に上り、所得水準の均等化が進んでいる。 図表 7 地域別 都市部 1 人当たり年間可処分所得(2006 年) (注)地域定義は脚注 3 を参照 (資料)CEIC DATA より作成。 (c) 世帯当り可処分所得 都市部世帯当たり年間可処分所得を見ると(図表 8)、平均で 1998 年の 19,693 元(約 28 万円)から 2006 年には 37,277 元(約 56 万円)となり、実質的には年平均 8%増となっている。 地域別に見ると(図表 9)、1998 年と比べ、各地域とも上昇傾向にあるが 5 万元(75 万円)を 超える上海市、広東省、北京市、浙江省といった地域もあれば、3 万元(45 万円)未満の四 川省(西部地域)や黒竜江省(東北地域)といった地域もある。もっとも、東部の上昇幅を超 えて所得向上が進んでいる中西部都市もあり、それらの都市の東部都市との所得格差は縮 小傾向にある。 (d) 階層別可処分所得 さらに、都市部世帯を最低所得層(Lowest、都市部世帯の 10%)、低所得層(Low、同 10%)、 中低所得層(Lower Middle、同 20%)、中所得層(Middle、同 20%)、中高所得層(Upper Middle、 同 20%)、高所得者層(High、同 10%)、最高所得層(Highest、同 10%)に分けて、年間可処 分所得を比較してみよう。 上位 10%層(最高所得層、Highest)の 1 人当たり年間可処分所得は、1998 年の 10,962 元 (約 15 万円)から 2006 年には約 2.9 倍の 31,967 元(48 万円)になったのに対し、下位 10% 層(最低所得層、Lowest) の1人当たり年間可処分所得は、2,477 元(約 3 万円)から約 1.4 81998 年時点で、中西部都市 1 人当たり可処分所得は、4,000~6,000 元に止まり、高所得都市(7,000~8,000 元台)とのギャップが大きい。 20,668元 8,871元 0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 全 体 東 部 地 域 中 部 地 域 西 部 地 域 東 北 地 域 ① 上 海 市 / 東 ② 北 京 市 / 東 ③ 浙 江 省 / 東 ④ 広 東 省 / 東 ⑤ 天 津 市 / 東 ⑥ 江 蘇 省 / 東 ⑦ 福 建 省 / 東 ⑧ 山 東 省 / 東 重 慶 市 / 西 湖 南 省 / 中 遼 寧 省 / 東 北 内 蒙 古 自 治 区 / 西 河 北 省 / 東 雲 南 省 / 西 山 西 省 / 中 広 西 壮 族 自 治 区 / 西 河 南 省 / 中 湖 北 省 / 中 吉 林 省 / 東 北 安 徽 省 / 中 江 西 省 / 中 海 南 省 / 東 四 川 省 / 西 陜 西 省 / 西 黒 竜 江 省 / 東 北 寧 夏 自 治 区 / 西 貴 州 省 / 西 青 海 省 / 西 西 蔵 自 治 区 / 西 甘 粛 省 / 西 新 疆 自 治 区 / 西 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 2006年 対98年比 元 倍

(13)

倍の 3,569 元(約 5 万円)となり、最高・最低間の所得格差は、4 倍から 9 倍に拡大した。世 帯当たり構成員数を 3 人として世帯当たり年間可処分所得を試算すれば、上位 10%層の世 帯当たり可処分所得は、32,886 元(約 46 万円)から 95,900 元(約 144 万円)に、下位 10%層 は 7,431 元(約 1 万円)から 10,707 元(約 16 万円)に増加した。 図表 8 都市部世帯当たり年間可処分所得とその実質伸び率の推移 (資料)CEIC DATA より作成。 図表 9 地域別 都市部世帯当たり年間可処分所得(98/06 年) (注)地域定義は脚注 3 を参照。 (資料)CEIC DATA より作成。 最低所得層(Lowest)の各年の1人当たり年間可処分所得を 100 とし、他の階層との比率 を見ると、80 年代後半には、階層別所得格差は 3 倍以下に抑えられていたが、90 年代に入 06年 上海市:54,770元 北京市:52,741元 都市平均:37,277元 0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000 70,000 80,000 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06年 -5 5 15 25 35 45 都市部平均 上海 北京 実質年伸び率(都市部平均、右目盛) 元 % 0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000 70,000 全 体 東 部 地 域 中 部 地 域 西 部 地 域 東 北 地 域 上 海 市 / 東 広 東 省 / 東 北 京 市 / 東 浙 江 省 / 東 西 蔵 自 治 区 / 西 福 建 省 / 東 天 津 市 / 東 江 蘇 省 / 東 海 南 省 / 東 雲 南 省 / 西 山 東 省 / 東 広 西 壮 族 自 治 区 / 西 重 慶 市 / 西 山 西 省 / 中 河 北 省 / 東 寧 夏 自 治 区 / 西 甘 粛 省 / 西 河 南 省 / 中 青 海 省 / 西 湖 南 省 / 中 貴 州 省 / 西 江 西 省 / 中 新 疆 自 治 区 / 西 内 蒙 古 自 治 区 / 西 遼 寧 省 / 東 北 湖 北 省 / 中 安 徽 省 / 中 陜 西 省 / 西 吉 林 省 / 東 北 四 川 省 / 西 黒 竜 江 省 / 東 北 1.0 1.2 1.4 1.6 1.8 2.0 2.2 2.4 2.6 2.8 3.0 1998年 2006年 対98年比(右目盛) 元 倍

(14)

ると、そのギャップは広がり始め、2000 年以降、さらに拡大する傾向にある。特に上位 20% 層(Highest+High)とのギャップが目立っている(図表 10)。上位 10%層(Highest)と各所得 層(都市部高所得層(High)から最低所得層(Lowest)まで)との比率の変化を図表 11 で比べて 見ると、いずれの比率も 1998 年の 1.4~4.4 から 2006 年の 1.7~9.0 に拡大したことが見 て取れる。 図表 10 都市部 1 人当たり年間可処分所得と階層別所得格差の推移

(注)Lowest=下位 10%、Low=10%、Lower Middle=20%、Middle=20%、 Upper Middle=20%、High=10%、Highest=上位 10%。 (資料)CEIC DATA より作成。 図表 11 都市部上位 10%層と他の階層との所得格差(98/06 年) (注)都市部所得階層別 1 人当たり年間可処分所得で算出した。 (資料)CEIC DATA より作成。 0 3 6 9 12 対「L o we st 」 比 対「 Lo w」 比 対「 Lo we r Middle 」 比 対「Middle 」比 対「Uppe r Middle 」 比 対「 High 」 比 98年 06年 (倍) 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1,000 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06年 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 4,000 Lowest(右目盛) Low Lower Middle Middle Upper Middle High Highest 都市部平均 (lowest=100) (元)

(15)

b. 消費 (a) GDP に占める個人消費の割合 2007 年中国の実質 GDP 成長率は 1996 年以降の最高となる 11.4%9に達しており、GDP ベ ースの個人消費は、1998 年の 39,230 億元から 2006 年にはその約 2 倍の 80,120 億元に増加 した。そのうち、都市部個人消費は 16,812 億元から 59,433 億元へ約 3.5 倍となり、個人 消費全体に占める割合は 43%から 74%に上昇した。また、2007 年は個人消費の実質 GDP 成長率への寄与率が 2001 年以来初めて固定資産形成の同寄与率を上回ったと見込まれてい る10 GDP ベースの個人消費を地域別に見ると、東部都市は、1998 年の 7,823 億元から 2006 年 には約 4 倍の 3 兆 3,073 億元に、中部都市は 3,230 億元から約 3 倍の 1 兆 982 億元に、西 部都市は 3,190 億元から約 3 倍の 1 兆 360 億元に、東北都市は 2,568 億元から約 2 倍の 5,019 億元になり、東部都市の急伸、中西部都市の堅調な拡大と東北部の伸び悩みが特徴として 捉えられる。 個人消費の対 GDP 比は、全国ベースでは、1998 年の 45%から 2006 年には 36%に低下し た。地域別でも、東部地域は 36%から 33%、中部地域は 45%から 40%、西部地域は 48% から 40%、東北地域は 44%から 32%へ、いずれも低下を辿り、東北地域や西部地域の下げ 幅が比較的に激しい。もっとも、都市部だけを取り上げて見ると、東北都市の同比率は 31% から 25%に低下したが、東部都市は 19%から 26%、中部都市は 19%から 25%、西部地域 は 22%から 26%へ、むしろ小幅な上昇が見られた(図表 12)。従って、全国ベースで見た個 人消費の対 GDP 比の低下は、主に農村部個人消費の伸び悩みによるものである。 図表 12 地域別 都市部域内総生産に占める個人消費の割合の推移 (注)地域定義は脚注 3 を参照 (資料)CEIC DATA より作成。 9国家統計局は 2008 年 4 月 10 日にその数字を 11.9%に上方修正した。それによれば、2007 年の GDP は 24 兆 9,530 億元(約 370 兆円)となった。 10国家統計局が発表した速報値によれば、2007 年の GDP は 24 兆 6,619 億元(約 370 兆円、2007 年 12 月末現 在、1元=15 円)であり、「個人消費」の寄与度は 4.4 ポイントで「固定資産形成」の寄与度(4.3 ポイント) をやや上回った(「消費対 GDP 貢献 7 年来首超投資 08 年或有更大作用」中国証券報、2008 年 1 月 30 日)。 30 35 40 45 50 55 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06年 全国 東部地域 中部地域 西部地域 東北地域 % 0 10 20 30 40 50 60 70 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06年 全国 東部都市 中部都市 西部都市 東北都市 %

(16)

(b) 平均消費支出 家計部門の消費水準を反映する「1 人当たり年間消費支出」は、都市部平均では 1998 年の 4,332 元(約 6 万円)から 2006 年にはその 2 倍の 8,697 元(約 13 万円)に達し、実質的に年平 均 9%増で拡大している(図表 13)11 図表 13 都市部 1 人当たり年間消費支出の推移 (資料)CEIC DATA より作成。 (c) 地域別消費支出 地域別に見ると、東部都市は 5,446 元から 2.0 倍の 10,829 元、中部都市は 3,695 元から 2.0 倍の 7,227 元、西部都市は 3,945 元から 1.8 倍の 7,233 元、東北部都市は 3,548 元から 2.1 倍の 7,332 元に拡大した(図表 14)。GDP ベース個人消費が伸び悩んでいる東北都市の 1 人当たり年間消費支出はむしろ他の地域を上回るスピードで拡大している。東部都市と比 べ、出稼ぎ労働者を中心とする農村部からの人口流入が少ないことが原因の1つとして考 えられる。 1998 年時点で消費水準が低かった東北部都市12は、2006 年には中西部平均水準(年間 7,000 元前後)に達している(図表 15)。省(直轄市、自治区)別に見ると、東部都市が上位 10 省の大半を占めており、都市部消費市場のリード役となっている。一方、他の地域におい ては 1 人当たり年間消費支出は 2006 年に 7,000 元(約 11 万円)に揃い始め、1998 年時点13 比べ、消費能力の増強とともに、地域間の消費水準の均等化が進んでいる。年間可処分所 11日本の 2007 年 (総世帯) 世帯当たり消費支出は、実質で前年比 1.2%増である(「家計調査報告~平成 19 年平均速報結果の概況について(要約)」総務省統計局、2008 年 2 月 15 日)。 12国有企業が集中した東北地域では、1998 年に本格的に始まった国有企業改革により、大量のレイオフが 発生し、同地域の所得低下に繋がったと考えられる。 131998 年時点で、多くの中西部都市の 1 人当たり年間消費支出は 3,000~4,000 元で、東部都市(5,000~6,000 元台)とのギャップが大きい。 06年:8,697元 98年:4,332元 92年:1,672元 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 8,000 9,000 10,000 92 94 96 98 00 02 04 06年 0 5 10 15 20 25 30 1人当たり年間消費支出 実質年伸び率(右目盛) 元 %

(17)

得(図表 7)と比べ、年間消費支出の上昇幅(対 98 年比)は各地域とも比較的に小さい。 図表 14 地域別 都市部 1 人当たり年間消費支出の推移 (注)地域定義は脚注 3 を参照 (資料)CEIC DATA より作成。 図表 15 地域別 都市部 1 人当たり年間消費支出(2006 年) (注)地域定義は脚注 3 を参照 (資料)CEIC DATA より作成。 (d) 世帯当たり消費支出 都市部世帯当たり年間消費支出は(図表 16)、平均で 1998 年の 15,724 元(約 22 万円)から 2006 年には 27,568 元(約 41 万円)に達し、実質的に年平均 7%増で拡大している。地域別 に 2006 年の水準を見ると(図表 17)、広東省は 4 万元台(60 万円台)、北京市や上海市など 6 省(直轄市)は、3 万元台(45 万円台)、その他の都市は 2 万元台(30 万円台)となっている。 東北地域の黒竜江省は、都市部世帯当たり年間消費支出が 2 万元を下回る水準にあり、同 地域の遼寧省や吉林省と比較しても低い。世帯当たり年間消費支出は 1998 年から地域を問 わず、拡大してきたが、一部の都市では、小幅な上昇に止まっている。 6,193元 14,825元 0 4,000 8,000 12,000 16,000 20,000 全 体 東 部 地 域 中 部 地 域 西 部 地 域 東 北 地 域 ① 北 京 市 / 東 ② 上 海 市 / 東 ③ 浙 江 省 / 東 ④ 広 東 省 / 東 ⑤ 天 津 市 / 東 ⑥ 福 建 省 / 東 ⑦ 江 蘇 省 / 東 重 慶 市 / 西 山 東 省 / 東 湖 南 省 / 中 遼 寧 省 / 東 北 内 蒙 古 自 治 区 / 西 陜 西 省 / 西 四 川 省 / 西 湖 北 省 / 中 雲 南 省 / 西 吉 林 省 / 東 北 河 北 省 / 東 安 徽 省 / 中 寧 夏 自 治 区 山 西 省 / 中 海 南 省 / 東 甘 粛 省 / 西 貴 州 省 / 西 広 西 壮 族 自 治 区 / 西 新 疆 自 治 区 / 西 河 南 省 / 中 黒 竜 江 省 / 東 北 江 西 省 / 中 青 海 省 / 西 西 蔵 自 治 区 / 西 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 2006年 対98年比(右目盛) 元 倍 10,829元 8,697元 0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06年 東部都市 中部都市 西部都市 東北都市 都市部平均 元

(18)

図表 16 都市部世帯当たり年間消費支出とその実質伸び率の推移 (資料)CEIC DATA より作成。 図表 17 地域別 都市部世帯当たり年間消費支出(98/06 年) (注)地域定義は脚注 3 を参照 (資料)CEIC DATA より作成。 (e) 階層別消費支出 都市部世帯を所得階層別に見ると、上位 10%層 (最高所得層、Highest)の 1 人当たり年 間消費支出は、1998 年の 7,594 元(約 11 万円)から 2006 年には約 2.8 倍の 21,062 元(約 32 万円)に、下位 10%層 (最低所得層、Lowest)は、2,398 元(約 3 万円)から約 1.4 倍の 3,423 元(約 5 万円)となっている。最高・最低所得層間の消費格差は 3 倍から 6 倍に拡大してい るが、所得格差の拡大幅(4 倍から 9 倍へ)よりは小さい。各階層の世帯当たり構成員数を 3 0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000 全 体 東 部 地 域 中 部 地 域 西 部 地 域 東 北 地 域 広 東 省 / 東 北 京 市 / 東 上 海 市 / 東 浙 江 省 / 東 天 津 市 / 東 福 建 省 / 東 西 蔵 自 治 区 / 西 江 蘇 省 / 東 海 南 省 / 東 重 慶 市 / 西 雲 南 省 / 西 寧 夏 自 治 区 / 西 甘 粛 省 / 西 湖 南 省 / 中 山 東 省 / 東 陜 西 省 / 西 貴 州 省 / 西 山 西 省 / 中 新 疆 自 治 区 / 西 河 北 省 / 東 青 海 省 / 西 広 西 壮 族 自 治 区 / 西 遼 寧 省 / 東 北 内 蒙 古 自 治 区 / 西 湖 北 省 / 中 河 南 省 / 中 安 徽 省 / 中 吉 林 省 / 東 北 江 西 省 / 中 四 川 省 / 西 黒 竜 江 省 / 東 北 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 2006年 1998年 対98年比(右目盛) 元 倍 0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000 35,000 40,000 45,000 50,000 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06年 0 10 20 30 都市部平均 上海 北京 実質年伸び率(都市部平均、右目盛) 元 % 06年 北京市:39,139元 上海市:39,119元 都市部平均:27,568元

(19)

人と仮定し、世帯当たり年間消費支出を計算すると、最高所得層は 2 万 2,782 元(約 31 万 円)から約 2.8 倍の 6 万 3,186 元(約 95 万円)、最低所得層は 7,194 元(約 10 万円)から約 1.4 倍の 1 万 269 元(約 15 万円)に拡大した。 最低所得層(Lowest、下位 10%)の1人当たり年間消費支出を 100 とし、各階層との消費 格差の推移を見ると(図表 18)、80 年代後半には、階層別消費格差はほぼ 3 倍以下に抑えら れていたが、90 年代に入ると、格差が広がり、2000 年以降は、急拡大している。特に上位 20%層(Highest+High)と下位 10%層(Lowest)との消費格差が顕著である14(図表 18)。さら に、1人当たり年間消費支出の上位 10%層(Highest)と各所得層(都市部高所得層(High)か ら最低所得層(Lowest)まで)との比率は、1998 年の 1.3~3.2 倍から 2006 年には 1.6~6.2 倍へ拡大した(図表 19)。もっとも、上位 10%層(Highest)と下位 10%層(Lowest)との拡大 幅(3 倍から 6 倍へ)は、年間可処分所得の拡大幅(4 倍から 9 倍へ、図表 11)より小さい。 図表 18 都市部 1 人当たり年間消費支出と階層別消費格差の推移

(注)Lowest=下位 10%、Low=10%、Lower Middle=20%、Middle=20%、Upper Middle=20%、 High=10%、Highest=上位 10%。 (資料)CEIC DATA より作成。 142006 年には、高所得層(High) の消費支出の伸び悩みにより、同所得層との比率が大幅に低下した。 100 200 300 400 500 600 700 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06年 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 4,000 Lowest(右目盛) Low Lower Middle Middle Upper Middle High Highest 都市部平均 (lowest=100) (元)

(20)

図表 19 都市部上位 10%層と他の階層との消費格差(98/06 年) (注)都市部階層別 1 人当たり年間消費支出で算出した。 (資料)CEIC DATA より作成。 (f) 階層別消費行動と階層間消費格差 以下では、都市部家計の階層別消費行動には、どのような変化があるかを食品と耐久消 費財から確認しよう。まず、日常生活に欠かせない食品の階層別(都市部所得層を最低所得 (第 1 分位)から最高所得(第 5 分位)まで 5 段階に分け、各所得層が全体の 20%を占める)1 人当たり年間消費量を見ると(図表 20)、「穀物」は都市部平均では 2004 年の 78.2 kg から 2006 年は 75.9kg に低下している。しかし、最高所得層(第 5 分位、以下同じ)は 68.6 kg から 70.5kg に増加する一方で、最低所得層(第 1 分位、以下同じ)は 82.5 kg から 78.0 kg に減少しており、最高・最低所得層間の比率は 0.8 倍から 0.9 倍へ上昇した。これに対し、 「鶏肉など」は、都市部平均では 2004 年の 6.4kg から 2006 年には 8.3kg に増えた。そのう ち、最高所得層は 8.2 kg から 10.5kg に増加(28%増)、最低所得層も 4.2 kg から 6.2kg(48% 増)に増加しており、最高・最低所得層間の比率は 2.0 倍から 1.7 倍に低下した。所得向上 に伴い、穀物のような「必需品」だけでなく、肉類などのような「贅沢品」にも消費格差の縮 小(最高・最低所得層間の比率が 1 に近づいていく傾向)が見られた。 0 3 6 9 12 対「 L o we st 」 比 対「 L o w」 比 対「 L o we r Middle 」 比 対「 Middle 」 比 対「 Uppe r Middle 」 比 対「 High 」 比 06年 98年 (倍)

(21)

図表 20 都市部における主要食品の 1 人当たり年間消費量(2006 年) 平均 第1分位 第2分位 第3分位 第4分位 第5分位 第5/第1 穀物    (kg) 75.9 78.0 78.2 76.7 75.0 70.5 0.9 食用植物性油(kg) 9.4 9.0 9.6 9.8 9.4 8.9 1.0 野菜 (kg) 117.6 107.9 116.1 121.2 123.7 120.9 1.1 卵 (kg) 10.4 8.8 10.4 10.9 11.2 11.0 1.3 豚肉 (kg) 20.0 17.4 19.4 20.6 21.4 21.9 1.3 牛羊肉 (kg) 3.8 2.8 3.7 4.1 4.3 4.2 1.5 鶏肉など    (kg) 8.3 6.2 7.8 8.5 9.4 10.5 1.7 新鮮なミルク (kg) 18.3 10.9 16.3 19.1 22.3 25.2 2.3 魚・海老 (kg) 10.9 7.5 9.5 10.8 12.6 14.9 2.0 果物 (kg) 60.2 40.6 54.8 63.4 69.8 78.0 1.9 (注)1.所得者層は最低所得層(第 1 分位)から最高所得層(第 5 分位)まで 5 段階に分け、各所得層が全体 の 20%を占める。 2.2004 年の同数字は「中国の個人消費を支える家計部門~所得・消費・貯蓄・投資から捉えた実態~」 (みずほリポート、2006 年 9 月 28 日、ページ 12、図表 15)を参照。 (資料)「2007 年中国統計年鑑」より作成。 都市部 1 人当たり年間消費量を 100 とし、2004 年と 2006 年の階層別消費格差の変化を比 べてみよう(図表 21)。各品目の階層別曲線は、右向きに開いたラッパの形状となっている が、品目が横軸の右になるほど、「贅沢品」の性格が強い。また、「贅沢品」の性格が強い品 目ほど、高所得層が全体平均(縦軸=100)を上回る量(>100)を、低所得層が全体平均に至 らない量(<100)を消費している傾向にあり、最高・最低所得層間の開きも大きくなる。 点線を 2004 年、実線を 2006 年とし、それぞれの品目曲線を結び、2004~2006 年の変化 を考察してみると、穀物や食用植物性油などの「必需品」の消費量は、各階層とも都市平均 に収斂する傾向にある一方で、肉、魚・海老、果物などの「贅沢品」の消費量は、所得向上 に伴い、都市平均を上回って増加している。2006 年の都市部低所得層(第 1、2 分位)の 1 人当たり「贅沢品」の年間消費量は 2004 年と比べ、都市平均(100)に回帰するようになって おり、所得向上による消費拡大効果が相当大きい。都市部高所得層(第 4、5 分位)の 1 人当 たり「贅沢品」の年間消費量は、都市平均に接近するようになり、最高・最低所得層間の開 きは 2004 年から収斂する傾向にある。高所得層の「贅沢品」の割合低下は、①低所得層の消 費能力向上による都市部平均値の底上げ、②高所得層の健康志向による食生活の見直し(消 費支出品目が「贅沢品」から「穀物」に回帰)、③「贅沢品」の値上がりによる消費量の減少、な どが原因として考えられる。

(22)

図表 21 食品消費における都市部階層別格差(04/06 年) (注)1.所得者層は最低所得層(第 1 分位)から最高所得層(第 5 分位)まで 5 段階に分け、各所 得層が全体の 20%を占める。 2.階層別各食品の 1 人当たり年間消費量で算出した。 (資料)「中国統計年鑑 2005 年、2007 年」より作成。 次に、2006 年末の耐久消費財の普及状況を見てみよう。都市部における主要耐久消費財 の世帯普及率(100 世帯に占める所有台数)から、耐久消費財の品目を 3 つのグループに分け ることができる(図表 22 の(注)1)。グループ1はすでに普及した耐久消費財(携帯電話から 冷蔵庫まで、世帯普及率 90%以上の耐久消費財)であり、今後、こうした消費財は買い替え 需要が期待できる。グループ 2 は普及が進行している耐久消費財(エアコンから PC まで、 世帯普及率 20~89%の耐久消費財)であり、家計の所得向上により、新規需要が期待できる。 グループ 3 はこれから普及し始める耐久消費財(ビデオカメラからピアノまで、世帯普及率 20%未満の耐久消費財)であり、全面的な普及まではなお時間がかかる。地域別に見ると、 普及格差が比較的に小さい耐久消費財は、洗濯機、冷蔵庫、固定電話であり、比較的に大 きい耐久消費財は、エアコンである。洗濯機、冷蔵庫、固定電話は、各地域が同水準の普 及率を維持しながら普及している。2004 年の水準から普及が大幅に進んだ耐久消費財は、 ①携帯電話(26 ポイント増)、②カラーテレビ(19 ポイント増)、③エアコン(18 ポイント増)、 ④PC(14 ポイント増)、である。また、2006 年で普及水準が最も高い耐久消費財は、携帯電 話、カラーテレビ、電子炊飯器である15 152004 年の地域別耐久消費財普及率は「中国の個人消費を支える家計部門~所得・消費・貯蓄・投資から捉 第1分位(04年) 第1分位(06年) 第2分位(04年) 第2分位(06年) 第3分位(04年) 第3分位(06年) 第4分位(04年) 第4分位(06年) 第5分位(04年) 第5分位(06年) 30 50 70 90 110 130 150 穀 物 食 用 植 物 性 油 野 菜 豚 肉 卵 鶏 肉 な ど 牛 肉 魚 ・ 海 老 果 物 新 鮮 な ミ ル ク 各年都市部平均=100 点線―04年 実線―06年

(23)

地域別普及率から捉えた特徴としては、①東部都市のみグループ1の耐久消費財に、エ アコンが入っていること、②東部都市はグループ 2 の耐久消費財の普及率も都市部平均を 凌ぐ水準にあること、などが挙げられる。中・西部都市の主要耐久消費財の普及率も 2004 年から大幅に上昇したが、東部都市との普及格差は依然として大きい。地域間普及格差が 最も大きい消費財は、エアコンである。エアコンの普及率は最高(東部都市)・最低(東北都 市)間で 119 ポイントの普及格差がある。所得格差に加え、気候、生活習慣、居住環境など がその理由として考えられる。一方、普及率が高水準にあり、地域間普及格差が最も小さ い耐久消費財は洗濯機である。居住環境が改善し、共働きの割合が高い都市部世帯にとっ て、洗濯機はもはや日常生活に欠かせない耐久消費財となっている。世帯普及率が 100%を 超えた携帯電話、カラーテレビ、電子炊飯器は、新製品の開発によって買い替え需要が喚 起できる耐久消費財となっている16 図表 22 地域別 都市部における主要耐久消費財の世帯普及率(2006 年末) (注)1.都市部平均で世帯普及率が 90%以上はグループ1、20~89%はグループ2、 20%未満はグループ3と定義される。

2.VDP は Visual Disk Player、PC は Personal Computer を指す。 (資料)「中国統計年鑑 2007 年」より作成。 えた実態~」(みずほリポート、2006 年 9 月 28 日、ページ 13、図表 17) を参照。 162006 年の農村部家計の世帯普及率は、携帯電話 62%(東部 98%、中部 71%、西部 57%、東北部 73%)、 カラーテレビ 89%(東部 114%、中部 90%、西部 84%、東北部 102%)となっている(「2007 年中国統計年 鑑」国家統計局、2007 年 9 月)。 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 携帯電話 カラーテレビ 電子炊飯器 洗濯機 固定電話 冷蔵庫 エアコン 湯沸かし器 VDP 電子レンジ カメラ PC ビデオカメラ マイカー ピアノ 都市部平均 東部都市 中部都市 西部都市 東北都市 所有台数/100世帯 グループ1 グループ2 グループ3

(24)

階層別主要耐久消費財の普及率を見ると(図表 23、左)、2006 年末現在、各所得階層間で 平均的に普及しているのは携帯電話、カラーテレビ、洗濯機、固定電話、冷蔵庫である。 また、普及率にバラツキがあるのは、エアコン、カメラ、パソコンである。低所得層でも 携帯電話の世帯普及率は、2004 年の 30%台から 2006 年には 100%近くまで上昇した。一方、 ビデオカメラやマイカーは、都市部上位 20%層から普及が始まっているが、他の耐久消費 財と比べ、世帯普及率は極めて低い水準にある。 主な耐久消費財を取り上げてさらに世帯普及率の上昇幅を比較してみると(図表 23、右)、 2006 年末現在で、1998 年より、携帯電話は都市部平均では 150 ポイント、階層別では 93 ~195 ポイント上昇している。カラーテレビは前者 32 ポイント、後者 22~47 ポイント、冷 蔵庫は前者 16 ポイント、後者 13~17 ポイント、洗濯機は前者 6 ポイント、後者 5~7 ポイ ント上昇した。これに対し、カメラは、都市部平均で 12 ポイント、階層別では-3~34 ポイ ント変動しており、中高所得層を中心に普及が緩やかに進んでいる。つまり、携帯電話、 カラーテレビ、洗濯機、冷蔵庫といった耐久消費財は、都市部世帯の欠かせない「必需品」 になっている一方で、カメラやマイカーは、高所得世帯が保有する「贅沢品」に止まってい る。 図表 23 都市部における階層別耐久消費財の世帯普及率(2006 年末) (注)所得者層は最低所得層(第 1 分位)から最高所得層(第 5 分位)まで 5 段階に分け、各層が全体の 20%を 占める。 (資料)「中国統計年鑑 2005 年、2007 年」より作成。 さらに、都市部耐久消費財の世帯普及率を 100 とし、2004 年と 2006 年の階層別普及格差 の変化を見てみよう(図表 24)。各消費財を結んだ階層別曲線は、右向きに開いたラッパの 形状となっているが、食品消費量で見た形とやや異なっている(図表 21)。食品消費量の曲 線と同様に、横軸は右になるほど、「贅沢品」の性格が強い。「贅沢品」の性格が強いほど、 高所得層が全体平均(縦軸=100)を上回る普及水準(>100)、低所得層が全体平均に至らな い普及水準(<100)にあり、最高・最低所得層間の開きも大きくなる。点線を 2004 年、実 線を 2006 年とし、期間内変化を見ると、所得向上に伴い、都市生活ではすでに「必需品」と 0 50 100 150 200 250 携 帯 電 話 カ ラ ー テ レ ビ 洗 濯 機 固 定 電 話 冷 蔵 庫 エ ア コ ン 湯 沸 か し 器 カ メ ラ パ ソ コ ン ビ デ オ カ メ ラ マ イ カ ー 第1分位 第2分位 第3分位 第4分位 第5分位 都市部平均 (所有台数/100世帯) 0 50 100 150 200 250 都市平均 第1分位 第2分位 第3分位 第4分位 第5分位 携帯電話 カラーテレビ 冷蔵庫 カメラ 洗濯機 (世帯普及率の上昇幅、98/06年)

(25)

なっているカラーテレビ、洗濯機、冷蔵庫、固定電話、電子炊飯器は、普及率の階層間の 均等化が進んでいる(縦軸=100 に収束している)。これらの耐久消費財より右側にある携帯 電話、パソコン、エアコンは、中所得層(第 3 分位)まで普及が進んでいるが、低所得層(下 位 20%)の一部にとってまだ手の届かない高額耐久消費財である。もっとも、所得向上によ り、低所得層(下位 20%層)の携帯電話、パソコン、エアコンなどの世帯普及率の対都市平 均比は、2004 年と比べ、2006 年は小幅ながら 100 に近づいている。中低所得層(第 2、3 分 位、40%層)への普及が都市部平均水準を底上げる効果もあり、高額耐久消費財(携帯電話 より右側にあるもの)の高所得層(第 4、5 分位、40%層)の世帯普及率の対都市部平均比は、 2004 年から大幅に下方シフトし、都市平均(100)に近づいている。つまり、食品消費量と同 様に、耐久消費財で見た所得階層間の普及格差も縮小する傾向にある。 図表 24 都市部における耐久消費財普及の階層別格差(04/06 年) (注)1.所得階層は最低所得層(第 1 分位)から最高所得層(第 5 分位)まで 5 段階に分け、 各層が全体の 20%を占める。 2.階層別各耐久消費財の世帯普及率で算出した。

3.VDP は Visual Disk Player、PC は Personal Computer を指す。 (資料)「中国統計年鑑 2005 年、2007 年」より作成。 (g) 地域別消費構造の変化 都市部家計の消費支出の増加に伴い、消費構造(項目別消費支出の割合)にも変化が見ら れた。1 人当たり消費支出を 8 つの費目(①食料、②被服及び履物、③住居・光熱・水道、 ④家具・家事用品、⑤交通・通信、⑥保健・医療、⑦教育教養・娯楽、⑧その他)に分類し、 1998 年と 2006 年の都市部家計の消費パターン(消費支出額に占める各費目の割合)の変化 第1分位(04年) 第1分位(06年) 第2分位(04年)第2分位(06年) 第3分位(04年) 第3分位(06年) 第4分位(04年) 第4分位(06年) 第5分位(04年) 第5分位(06年) 0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 500 洗 濯 機 固 定 電 話 カ ラ ー テ レ ビ 冷 蔵 庫 電 子 炊 飯 器 V D P 湯 沸 か し 器 携 帯 電 話 電 子 レ ン ジ カ メ ラ P C エ ア コ ン ピ ア ノ ビ デ オ カ メ ラ マ イ カ ー 各年都市部平均=100 点線―04年 実線―06年

(26)

を見てみよう。 1 人当たり消費支出に占める食料の割合は、エンゲル係数と呼ばれている。エンゲル係数 の高低は、他の費目への支出をどの程度まで拡大することができるかを示している。都市 部のエンゲル係数は 1998 年の 44.5%から 2006 年には 35.8%に低下している(図表 25)。所 得階層別に見ると、2006 年の都市部の上位 20%層のエンゲル係数は 27.3%まで低下したが、 下位 20%層は 46.3%に高止まっている。下位 20%層は食品支出の割合が高いことから、耐 久消費財への消費支出が拡大しにくい状態にある。地域別に見ると、東部都市のエンゲル 係数は 1998 年の 45.3%から 2006 年には 35.1%、中部都市は 45.3%から 36.7%、西部都 市は 44.6%から 37.4%、東北部都市は 44.7%から 35.3%にいずれも低下した。2006 年時 点において東部・東北部都市は都市部平均を下回り、中西部都市はそれを上回る状況にあ る。 図表 25 地域別 都市部消費パターンの変化(98/06 年) (注)1.地域定義は脚注 3 を参照。ここでは、都市部のみ対象とする。 2.2004 年地域別耐久消費財普及率は「中国経済における個人消費の行方~98 年以降の消費実態と 2015 年までの見通し」(みずほリポート、2006 年 4 月 13 日、ページ 6、図表 6) を参照。但し、地域定義 はやや異なっている。 (資料)「中国統計年鑑」1999 年、2007 年、CEIC DATA より作成。 1 人当たり消費支出に占める割合が低下しているのはエンゲル係数だけではない。「被服 及び履物」と耐久消費財への支出などを含む「家具・家事用品」の割合も低下した。前者の都 市部平均は、1998 年の 11.1%から 2006 年には 10.4%に、後者は 8.2%から 5.7%に低下し た。2006 年の都市部上位 20%層の同比率は、前者は都市部平均を下回る 9.3%となり、後 者はそれを上回る 6.7%となった。一方、下位 20%層は前者 8.4%、後者 4.1%となり、高 0% 20% 40% 60% 80% 100% 1998年 2006年 上位20%層 中位20%層 下位20%層 (東部)1998年 2006年 (中部)1998年 2006年 (西部)1998年 2006年 (東北部)1998年 2006年 2006年 食料 住居・光熱・水道 家具・家事用品 被服及び履物 保健医療 交通・通信 教育・教養娯楽 その他 中国都市部 2006年 日本

(27)

所得層よりかなり低い水準に止まっている。 「被服及び履物」の 1 人当たり消費支出に占める割合を地域別に見ると、東部都市は 1998 年の 8.9%から 2006 年には 8.7%、西部都市は 12.0%から 11.4%、東北都市は 14.7%から 12.4%に低下し、中部都市は 11.8%から 12.2%にやや上昇した。エンゲル係数の低い東部 都市は、「被服及び履物」の割合も他の地域より低い。「家具・家事用品」の 1 人当たり消費 支出に占める割合を地域別に見ると、東部都市は 1998 年の 9.3%から 2006 年には 5.8%、 中部都市は 7.1%から 5.9%、西部都市は 7.9%から 5.9%、東北都市は 6.4%から 4.5%に、 いずれも低下した。 一方、消費支出に占める割合が上昇しているのは、①「交通・通信」、②「保健・医療」、 ③「教育教養・娯楽」、④「住居17・光熱・水道」、である。1 人当たり消費支出に占める「交 通・通信」の割合は、都市部平均で 1998 年の 5.9%から 2006 年には 13.2%に倍増した。2006 年の階層別同割合を見ると、都市部上位 20%層は 20.5%、中位 20%層は 10.9%、下位 20% 層は 7.5%となっており、所得水準がその割合の高低を決める要因となっている。地域別同 割合を見ると、東部都市は 1998 年の 6.3%から 2006 年には 14.9%、中部都市は 5.5%から 10.8%、西部都市は 5.8%から 11.6%、東北都市は 5.3%から 10.4%に、いずれも大幅な 上昇を見せている。その背景には、携帯電話の普及による通信費の支出増18がある。 1 人当たり消費支出に占める「保健・医療」の割合は、同期間に都市部平均で 4.7%から 7.1%に上昇した。2006 年の階層別同割合を見ると、都市部上位 20%層は 6.2%、中位 20% 層は 7.5%、下位 20%層は 6.9%に上昇している。地域別同割合を見ると、東部都市は 1998 年の 4.3%から 2006 年には 7.0%、中部都市は 4.2%から 7.1%、西部都市は 5.1%から 6.9%、 東北都市は 6.1%から 9.4%に上昇している。その背景には医療費の高騰と高所得層の健康 志向の強まりがある19 1 人当たり消費支出に占める「教育教養・娯楽」の割合は、同期間に都市部平均で 11.5% から 13.8%に上昇した。2006 年の階層別同割合を見ると、都市部上位 20%層は 15.1%、 中位 20%層は 13.3%、下位 20%層は 11.9%となっている。地域別同割合を見ると、東部 都市は 1998 年の 11.8%から 2006 年には 14.6%、中部都市は 12.0%から 13.4%、西部都 市は 11.6%から 12.9%、東北都市は 9.9%から 11.8%に、小幅ながら上昇している。同割 合上昇の背後には、①学費の値上がりなどによる教育費の支出増、②所得向上による娯楽 費の支出増、がある20 17住居費とは家賃と建築用材料である。家賃は持ち家の帰属家賃を含まない。建築用材料は内装工事費や住 宅改装費がある。家計調査において住宅購入費は消費支出から除かれている。 18都市部 1 人当たり年間通信費は、1998 年の 142 元から 2006 年には 280%増の 540 元となった。そのうち、 東部都市は 188 元から 252%増の 661 元、中部都市は 116 元から 308%増の 473 元、西部都市は 124 元か ら 282%増の 474 元、東北都市は、109 元から 294%増の 429 元に上昇した。 19都市部 1 人当たり年間保健医療費は、1998 年の 250 元から 2006 年には 148%増の 621 元になった。その うち、東部都市は 235 元から 220%増の 754 元、中部都市は 157 元から 225%増の 510 元、西部都市は 199 元から 153%増の 503 元、東北都市は、215 元から 221%増の 691 元に上昇した。 20都市部 1 人当たり教育費は、1998 年の 275 元から 2006 年には 123%増の 612 元になった。東部都市は 330

(28)

1 人当たり消費支出に占める「住居・光熱・水道」(住宅関連支出を含む)の同割合は、同期 間に都市部平均で 9.4%から 10.4%21に上昇した。2006 年の階層別同割合を見ると、都市 部上位 20%層は 10.4%、中位 20%層は 10.1%、下位 20%層は 12.5%に、上昇している。 地域別同割合を見ると、東部都市は 1998 年の 9.3%から 2006 年には 10.3%、中部都市は 9.7%から 10.7%、西部都市は 8.2%から 10.2%、東北都市は 8.9%から 12.0%に上昇が見 られた。その背景には光熱費の支出増がある。1998 年以降の住宅制度改革22を背景に新築 住宅の内装などを含む住宅関連消費支出は年々拡大している23が、その 1 人当たり消費支出 に占める割合は 1998 年の 4.0%から 2006 年には 3.3%にむしろ低下している。 2006 年末現在、都市部家計の消費構造には、以下の特徴が見て取れる。それは、①最も 豊かな階層(都市部所得上位 20%)のエンゲル係数は 27%に低下し、日本の高度成長期の同 指標(31%台)を下回るようになった(もっとも、2006 年の日本 (全世帯平均、23%)と比べ、 やや高い)。②都市部平均の「交通・通信」、「保健・医療」、「教育教養・娯楽」、「住宅・光 熱・水道」といった 4 費目の消費支出に占める割合は、合計で 45%となり、現在の日本と同 じ水準(45%)にあり、上位 20%層はさらに 52%まで高まっている(図表 26)、などである。 元から 132%増の 765 元、中部都市は 270 元から 89%増の 510 元、西部都市は 236 元から 100%増の 473 元、東北都市は、219 元から 126%増の 496 元といずれの地域でも増加している。都市部 1 人当たり娯楽 費は、1998 年の 224 元から 2006 年には 123%増の 591 元になった。東部都市は 310 元から 162%増の 812 元、中部都市は 173 元から 164%増の 457 元、西部都市は 219 元から 109%増の 457 元、東北都市は、133 元から 176%増の 367 元に上昇した。 211995 年時点では 7.1%である(成思危「中国城鎮住房制度改革―目標模式与実施難点」民主与建設出版社、 1999 年 10 月)。 22「住宅制度改革」は、主に、①国有企業などが賃貸住宅(福祉住宅)を低家賃で提供する制度を廃止し、代 わりに住宅補助金を支給する、②福祉住宅の家賃は住宅建設コスト及びリフォーム費用に見合うレベル まで引き上げる、③既存の福祉住宅の払い下げを推進する、④住宅金融制度を整備し、個人のマイホー ム取得を促進する、などを軸に推進されている(劉家敏「急成長を見せた中国都市部の住宅投資」国際金融、 2003 年 2 月 1 日)。 23都市部 1 人当たり年間光熱費は、1998 年の 235 元から 2006 年には 569 元に 142%増となった。東部都市 は 293 元から 632 元(116%増)、中部都市は 191 元から 502 元(163%増)、西部都市は 186 元から 490 元 (163%増)、東北都市は、214 元から 633 元(196%増)に上昇した。一方、都市部 1 人当たり年間住居関連 費用は、1998 年の 173 元から 2006 年には 285 元に 65%増となった。東部都市は 213 元から 418 元(96% 増)、中部都市は 165 元から 239 元(45%増)、西部都市は 136 元から 207 元(52%増)、東北都市は、102 元から 221 元(117%増)に上昇した。

(29)

図表 26 地域別 都市部 1 人当たり消費支出に占める 4 費目の割合(98/06 年) 1998年 2006年 1998年 2006年 1998年 2006年 1998年 2006年 5.9 13.2 4.7 7.1 11.5 13.8 9.4 10.4 全体平均 6.3 14.9 4.3 7.0 11.8 14.6 9.3 10.3 最高 9.1 19.3 5.9 10.0 13.8 17.0 12.9 13.0 最低 4.7 10.4 3.1 5.2 9.1 11.1 7.6 8.2 全体平均 5.5 10.8 4.2 7.1 12.0 13.4 9.7 10.7 最高 6.3 11.8 6.0 8.2 14.7 14.5 11.9 11.6 最低 4.2 9.0 2.8 5.4 9.4 11.9 7.2 10.2 全体平均 5.8 11.6 5.1 6.9 11.6 12.9 8.2 10.2 最高 6.8 14.6 8.2 8.3 12.8 16.9 12.9 12.2 最低 4.8 10.1 3.1 3.6 9.3 5.8 5.6 7.9 全体平均 5.3 10.4 6.1 9.4 9.9 11.8 8.9 12.0 最高 5.6 11.1 7.4 9.6 10.4 12.7 9.5 13.4 最低 5.2 10.0 5.2 9.1 9.6 10.7 8.3 11.3 10.6 12.8 3.4 4.4 14.3 14.5 12.6 13.8 東北部都市 日本(全国平均) 中部都市 西部都市 保健・医療 住居・光熱・水道 中国都市部(平均) 東部都市 地域 交通・通信 教育教養・娯楽 (注)地域定義は脚注 3 を参照 (資料)「中国統計年鑑」1999 年、2006 年、CEIC DATA より作成。 4 費目の消費支出に占める割合変化を地域別に比較してみると、消費支出に占める「交 通・通信」の割合は 2006 年時点で最高地域は 19.3%(東部都市)、最低地域は 9.0%(中部都 市)となっており、1998 年の最高(9.1%)・最低(4.2%)から大幅に上昇した。その背景には 通信費支出の急増がある。通信手段の近代化により、携帯電話やインターネットなどは中 国都市部家計の日常生活に欠かせないものとなっている。2006 年時点で日本の同割合(全国 平均)と比べ、東部都市に限らず、中・西部都市もかなり高い水準に達していると言えよう。 一方、消費支出に占める「保健・医療」の割合は 2006 年時点で最高地域は 10.0%(東部都 市)、最低地域は 3.6%(西部都市)となっており、1998 年と比べ、最高・最低間のギャップ が広がっている。医療サービスの値上がりが進行している中で、高所得層の健康志向の高 まりによる支出増と低所得者層の治療放棄による支出減が同時に進行している。2006 年現 在、消費支出に占める「保健・医療」の割合は都市部平均では、日本の高度成長期(1953 年の 2.2%から 1971 年の 2.6%へ) の水準を超え、2006 年の同指標(4.4%)よりも約 3 ポイント 高い。 また、消費支出に占める「教育教養・娯楽」の割合は 2006 年時点で最高地域は 17.0%(東 部都市)、最低地域は 5.8%(西部都市)となっており、1998 年と比べ、最高・最低間のギャ ップは 6 ポイントから 11 ポイントに広がった。所得・消費格差の拡大に伴い、都市部世帯 においても、教育サービスやライフスタイルの差別化が進み、「教育教養・娯楽」支出割合 に顕著な違いが生じている。ちなみに、日本では、消費支出に占める「教育教養・娯楽」の 割合は高度成長期には 1953 年の 8.1%から 1971 年の 11.9%へ上昇した。2006 年現在では 14.5%となっている。 消費支出に占める「住居・光熱・水道」の割合は、2006 年時点で最高地域は 13.4%(東北 部都市)、最低地域は 7.9%(西部都市)となっており、1998 年と比べ、最高・最低間のギャ ップは 7 ポイントから 6 ポイントに縮小した。1998 年以降のマイホーム促進策の下で、住

(30)

居関連支出の割合は、現在の日本とほぼ同じ水準にまで上昇してきた。 c. 貯蓄 (a) 家計預金残高 中国の家計部門の預金残高は 1978 年の 211 億元から 2007 年末には 17 兆 2,534 億元に、 年平均 28%増で急伸している(図表 27)。そのうち、都市部家計の預金残高は、全家計部門 預金残高の 96%を占める 16 兆 3,251 億元24に達し、内需拡大政策が打ち出された 1998 年 時点の約 3 倍となった。前述の都市部世帯数で試算すると、都市部世帯当たり預金残高は 平均で 8 万 4,000 元になる。地域別に見ると(図表 28)、東部都市 10 万 3,000 元、中部都市 6 万 4,000 元、西部都市 7 万 1,000 元、東北都市 7 万 2,000 元となっており、東部都市の平 均水準が高い。省(直轄市、自治区)別に見ると、北京市は 17 万 2,000 元で最も高く、続い て上海市 14 万 4,000 元、広東省 12 万 6,000 元、重慶市 12 万 4,000 元、山西省 11 万 2,000 元で、これらが全国の上位 5 省(直轄市)となっている。貴州省の同指標は、5 万 5,000 元で 最も低く、トップの北京市の 3 分の 1 に及ばない水準にある。 図表 27 都市部家計の預金残高の推移 (注)都市部預金残高には、農村からの出稼ぎ労働者などが都市部銀行に預ける預金なども 含まれていることから、本図表の数字が都市部家計の貯蓄状況を正確に反映していない 可能性はある。 (資料)CEIC DATA より作成。 しかし、上述の世帯当たり預金残高は、あくまでも単純計算で得られた平均値であり、「預 金の 8 割を 2 割の都市人口が所有している」25という先行研究をもとに、都市部世帯数(1 億 9,571 万世帯)で試算してみると、都市部上位 20%層(約 3,914 万世帯)の世帯当たり預金残 高は 35 万元に達し、他の都市世帯(約 1 億 5,659 万世帯)の平均水準(約 2 万元)の約 18 倍 24農村からの出稼ぎ労働者などを含む居住者ベースの数字である。 25「通脹在隠患従細節凸現」金融投資報、2006 年 6 月 19 日。 全家計:17兆2,534元 都市部:16兆3,251元 0 20,000 40,000 60,000 80,000 100,000 120,000 140,000 160,000 180,000 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07年 年末預金残高(全家計部門) 都市部 億元

図表 4  地域別都市部世帯数(2006 年末)  (注)地域定義は脚注 3 を参照  (資料)「中国統計年鑑(2007 年)」中国統計出版社、2007 年 9 月より作成。 図表 5  都市部世帯数の地域分布(2006 年末)  (注)地域定義は脚注 3 を参照  (資料)「中国統計年鑑(2007 年)」中国統計出版社、2007 年 9 月より作成。 (3)  所得・消費・貯蓄水準  本節では、都市部世帯数と地域別構成を用いて、①世帯当たり可処分所得、②世帯当た り消費支出、③世帯当たり預金残高、を地域・
図表 16  都市部世帯当たり年間消費支出とその実質伸び率の推移                  (資料)CEIC  DATA より作成。  図表 17  地域別  都市部世帯当たり年間消費支出(98/06 年)  (注)地域定義は脚注 3 を参照  (資料)CEIC  DATA より作成。  (e)  階層別消費支出  都市部世帯を所得階層別に見ると、上位 10%層 (最高所得層、Highest)の 1 人当たり年 間消費支出は、1998 年の 7,594 元(約 11 万円)から 2006 年には約
図表 19  都市部上位 10%層と他の階層との消費格差(98/06 年)  (注)都市部階層別 1 人当たり年間消費支出で算出した。  (資料)CEIC  DATA より作成。 (f)  階層別消費行動と階層間消費格差  以下では、都市部家計の階層別消費行動には、どのような変化があるかを食品と耐久消 費財から確認しよう。まず、日常生活に欠かせない食品の階層別(都市部所得層を最低所得 (第 1 分位)から最高所得(第 5 分位)まで 5 段階に分け、各所得層が全体の 20%を占める)1 人当たり年間消費量を
図表 20  都市部における主要食品の 1 人当たり年間消費量(2006 年)  平均 第1分位 第2分位 第3分位 第4分位 第5分位 第5/第1 穀物           (kg) 75.9 78.0 78.2 76.7 75.0 70.5 0.9 食用植物性油(kg) 9.4 9.0 9.6 9.8 9.4 8.9 1.0 野菜             (kg) 117.6 107.9 116.1 121.2 123.7 120.9 1.1 卵                (kg) 10.4 8.8
+7

参照

関連したドキュメント

当第1四半期連結会計期間末の総資産については、配当金の支払及び借入金の返済等により現金及び預金が減少

その目的は,洛中各所にある寺社,武家,公家などの土地所有権を調査したうえ

 事業アプローチは,貸借対照表の借方に着目し,投下資本とは総資産額

本資料は、宮城県に所在する税関官署で輸出又は輸入された貨物を、品目別・地域(国)別に、数量・金額等を集計して作成したものです。従っ

本資料は、宮城県に所在する税関官署で輸出又は輸入された貨物を、品目別・地域(国)別に、数量・金額等を集計して作成したものです。従っ

 本資料は、宮城県に所在する税関官署で輸出通関又は輸入通関された貨物を、品目別・地域(国)別に、数量・金額等を集計して作成したもので

本資料は、宮城県に所在する税関官署で輸出又は輸入された貨物を、品目別・地域(国)別に、数量・金額等を集計して作成したものです。従っ

本資料は、宮城県に所在する税関官署で輸出又は輸入された貨物を、品目別・地域(国)別に、数量・金額等を集計して作成したものです。従っ