著者 稲田 真理子
雑誌名 同志社政策科学院生論集
巻 6
ページ 17‑33
発行年 2017‑03‑01
権利 同志社大学政策学部・総合政策科学研究科政策学会
URL http://doi.org/10.14988/pa.2017.0000015353
概 要
学校図書館が抱える問題は多岐にわたる。さ らに、学校図書館は、自治体、教育委員会、学 校の考え方によって予算化、運営の仕組みがさ まざまである。公的な教育施設であるために一 律なイメージで捉えられがちな学校図書館であ るが、実際は地域や学校の多様な価値観の上に 成立しており、多くの場合、外部から学校図書 館の運営状況を把握することは困難と思われる。
そこで本調査では、学校図書館内部で活動す る学校図書館員を学校図書館の重要な構成要素 と位置づけ、彼らの仕事に対する満足を分析す ることによって学校図書館の状況の理解に役立 てることを考えた。学校図書館にはさまざまな 異なった職名、立場、待遇で雇用されている学 校図書館員が存在するが、大きく正規雇用/非 正規雇用という軸で二分し、仕事に対する満足 度を
5
件法で評価する。調査をおこなった結果、正規雇用と非正規雇 用の満足度は有意に差が生じていた。探索的因 子分析を用いて非正規雇用の満足度に影響を与 えているネガティブ要因を分析した結果、「報 酬」や「雇用の継続性」等の待遇の低さに対す る不満以上に、「意見が仕事に反映できる」「研 修制度が利用できる」という仕事の質の向上に 関わる制度上の問題が強く影響していることが 明らかになった。学校図書館員として多数の非 正規職員が働いている現状があるが、彼らの不 安定且つ限定的な職分が前向きな労働意欲を否 定してネガティブに作用していると考えられ る。これが実際に学校図書館の不活化を促して いる可能性について、今後検討していく必要が ある。
1.差異と認識のズレ
― 学校図書館に影響するネガティブ要因 の探索
生徒の読書離れ、蔵書の経年劣化、コレクショ ンの偏り、予算不足、電子化、さらには学校図 書館の管理運営や指導をする人材の問題等、現 在の学校図書館は多くの問題を抱えている。し かし、これらの問題が各学校図書館において実 際どの程度生じているのか、学校図書館の責任 者、あるいは運営母体である自治体や学校の関 係者がどの程度問題を把握できているのか、よ くわかっていない。学校図書館は、自治体、教 育委員会、学校の考え方によって予算化、運営 の仕組みがさまざまであり、各学校図書館に生 じている問題もその原因も、学校図書館活動の 方向性も、千差万別の様相を呈している。地 域や学校が自ら判断した結果生じた差異(問題 とは限らない)について、簡単に批判できるも のでもないし、そもそも学校や教育委員会が差 異のあることについて問題を感じているのかも はっきりしない。
学校図書館の問題に関わる関係者のなかで、
もっとも問題を身近に感じ、直面しているのは、
学校図書館内で働く学校図書館員であろう。彼 らは、学校図書館運営に関わる「関係者」であ ると同時に、学校図書館の構成要素としての
「人
的資源」でもある。即ち、彼らはもっとも状況 をよく知る認識者であると同時に、評価される 対象として成立している。学校図書館における
「人的資源」
としての「人」
の問題は、「学校図書館法」の制定以降、継続 して大きな問題であり、学校図書館員の配置は 学校図書館充実策の
1
つとして常に社会的に意職務満足度からみる学校図書館の現状
稲 田 真 理 子
識されてきた1
。
学校図書館の指導的役割を担う人材として は、「学校図書館法」で司書教諭が規定されて いるが、教科教諭や担任と兼任で十分な時間が とれない場合が多く、司書教諭が学校図書館を 担当している時間は平均で週
2.2
時間である2。
このため、図書主任や図書係といった別の教諭 に(やはり兼任で)代任される場合や、配置が 努力義務である学校司書が担うケースのほか、学校図書館支援員、学校図書館補助職員、事務 職員、実習助手、有償ボランティア(現状はこ れら職名の雇用者も一般的に学校司書として扱 われている)等、さまざまな職名や雇用身分、
職域の職員が学校図書館に入り乱れている。各 校の学校図書館員が置かれている状況もさまざ まである。例えば、学校司書など非正規雇用で 採用された者の多くは、(事務職員や実習助手 として入職した場合は可能にも関わらず)職員
会議に参加できない、研修機会が得られない等、
学校教職員に含まれるとは言い難い立場に置か れることが多い。このように複雑な状況にある 学校図書館員を、所属や職名、待遇等から大ま かに整理して図示したものが図
1
である。学校図書館運営上の指標、あるいは参考とす るために、
「学校図書館の現状に関する調査」 (文
部科学省)や「学校図書館評価基準」(全国学 校図書館協議会)等が存在する。この両方に学 校図書館員(司書教諭・学校司書)の配置状況 を問う項目がある。しかし、これらにおいて、学校図書館員がどのような状況にあり、学校図 書館に対してどのような考え・評価を持ってい るのかは問われていない。
現実問題として、学校図書館員は一般に低賃 金
・
短時間勤務の非正規雇用であることが多く3、
低待遇が社会問題化している4,5,6。
学校図書館に人を適切に配置するための一番
1 1953年「学校図書館法」によって、学校図書館に司書教諭が配置されることが定められた。しかし、猶予規定により司書教諭の配置は
進まず、1997年の学校図書館法改正以前は無人の学校図書館も珍しくなかった。司書教諭の代替的役割を担ったのが学校司書だが、そ の職務的位置づけは曖昧であり、学校司書に法律上の位置づけがされたのはごく最近の2014年改正である。その為、1990年ごろから「本 があって人がいて」(岡山)「学校図書館に人を!」(近畿)などの学校図書館充実運動が活発化した。
2 文部科学省「平成28年度「学校図書館の現状に関する調査」結果について」http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/dokusho/link/__icsFiles/
afieldfile/2016/10/13/1378073_01.pdf、平成28年10月13日公表。
3 学校司書配置がある場合の雇用形態を「臨時・嘱託等」と回答した市町村84.3%(414市町村)。全国学校図書館協議会「学校図書館整
備施策の実施状況−2016年度悉皆調査の結果(6月30日現在)―」http://www.j-sla.or.jp/material/research/post-45.html(2016年11月20 日最終アクセス)。
4 西日本新聞「「やりがい」…でも低待遇 非正規司書、年収200万円以下が9割」2016年11月8日朝刊。
5 J-CASTニュース「非正規の乱「図書館員」編 ツイッターで怒りの「辞めた理由」相次ぐ」http://www.j-cast.com/2016/03/08260756.
html?p=all、2016年3月8日配信(2016年11月19日最終アクセス)。
6 毎日新聞「転売:図書室の本、古本屋へ 司書、5年で550万円分」2013年5月31日、東京朝刊27頁。
図 1 学校図書館で働く人の雇用上の立場の差異 ※ 筆者作成
の障害になっているのが予算の問題と思われ る。
学校図書館の予算については、以前から不 足が認識されていた7
。例えば、学校図書館の
年間図書購入予算は、全国学校図書館協議会の2016
年度報告では平均85.4
万円(高校)
だが8、
実際には1
校20
数万円〜数百万円の範囲に分 布しているとみられる9。各校による差異は大
きい。「学校図書館図書整備5
か年計画」(1993 年〜)に基づき地方財政措置が20
年以上に渡っ てなされてきたが、交付は一般財源としてなさ れ、2016年に第4
次計画の完了を迎えて、各 地域の教育委員会による学校図書館への予算化 状況は33%と思わしくない
10。
学校図書館は公的な教育施設である学校を構 成する要素の
1
つである以上、適切な規模と水 準で維持されて然るべき職場であるが、そうと は言えない現状があり、差異が生じている。各 校で運営の方向性が異なっており、活動にも差 異が生じている。「人」の問題も例外といえず、学校図書館の置かれている状況はそのまま雇用 されている人材に投影されているものと考えら れる。
そこで、本研究では、学校図書館の内部で働 く
「人」
である学校図書館員の主観(職務満足)
をスケールとして用い、学校図書館という職場 の内部状況を分析することを試みる。その際、
異なった立場、待遇で雇用されている学校図書 館員を大きく正規雇用/非正規雇用という軸で 二分して満足度を調査する。満足度が低い場合 は何によって彼らの満足度が損なわれたのか、
そのネガティブ要因の分析を試みる。さらに、
その要因が学校図書館にどのような影響を与え ているのか検討する。
2.調査方法 2. 1 調査内容
同志社大学総合政策科学研究科図書館情報 学コース
2015
年秋学期共同研究「図書館員の 幸福感を規定する要因分析」(2016年1
月6
日~2016
年1
月24
日実施)において、インターネッ ト上にアンケート・フォームを設置、現役図書 館員の研究会等組織的ネットワークを用いて全 国の536
名から回答を得た。この536
通から、学校図書館員
117
名(正規雇用51
名、非正規 雇用66
名)分を抽出、本研究のデータとして 用いた。質問票では、「生活」「仕事」「報酬」「職場の 設備」「職場の人間関係」について、満足して いるか否かを
5
件法で評価した。さらに「性別」
「年齢」「仕事の継続性(働き続けることができ
る)」「仕事の裁量権 (意見が仕事に反映できる)」
「研修制度」「労働時間」「収入の家計割合(家
計費を負担する割合)」についても質問した。本稿における分析は、上記の共同研究データ を流用した二次分析であるが、一定量のサンプ ルを集めており、参考として利用できる程度の 内容を担保しているものと考える。
2. 2 分析手順
まず、「正規雇用」と「非正規雇用」という 雇用形態を軸に職務満足に差はあるのか評価す る。仕事の満足度を目的変数、
「年齢」 「報酬」 「職
場の設備」 「職場の人間関係」 「仕事の継続性」 「仕
事の裁量権」「研修制度」「労働時間」「収入の 家計割合」を説明変数としてクロス集計し、そ れぞれ雇用形態によってどの程度の差異が示さ れるのかをみる。差が生じている場合、それは 何に起因するものか説明することを試みる。また、9種類の説明変数のうち、仕事の満足 度と強い相関があるのはなにか、グッドマン=
7 公立小学校・中学校の学校長(各2500校、全国から無作為抽出)を対象に平成18年12月に行われた調査によると、増やす必要のある
予算として「図書館の整備」がトップ(87.1%)。ベネッセ教育総合研究所「学校長の裁量・権限に関する調査」、平成18年度文部科学 省委託調査研究報告書新教育システム開発プログラム(採択番号18)、6頁。
8 全国学校図書館協議会「「2016年度学校図書館調査」の結果」http://www.j-sla.or.jp/material/research/2008-2.html、(2016年11月10日最終 アクセス)。
9 2015年の独自調査。例えば、愛媛県立のある公立高校の学校図書館年間予算は35万円だったが、京都市内のある私立高校の学校図書
館年間予算は500万円を軽く上回った。
10 前掲 3)。
クラスカルの
γ
とケンドールのτbを用いて評 価し、クロス集計に現れた傾向を数値的に検証 する。最終的に探索的因子分析を用いて職務満足に 影響を与えている要因はなにか分析する。さら に調査対象者の因子得点を用いて、現在の学校 図書館がどのような状況にあるのか、また学校 図書館の将来的な発展の可能性について判別す ることを試みる。
3.結果
3. 1 生活満足度と仕事満足度
学校図書館員の「正規雇用」(n=51、うち女 性
43
人)と「非正規雇用」 (n=66、
うち女性61
人)の生活/仕事の満足度を比較する。グラフ化し た結果が図
2、図 3
である。「とても満足して いる」「満足している」の回答を合わせた満足 度を点線でつないで図示した。パーセントで示 すと、生活に「満足している」「とても満足し ている」とした「正規雇用」は約75%(51
人 中の39
人)、「非正規雇用」は約48%(66
人中の
32
人)である。仕事に「満足している」「と ても満足している」とした正規雇用は約65%
(51
人中の33
人)、非正規職員は約44%(66
人中の29
人)であった。報酬を生活給と捉え、生活満足と仕事満足が相互に影響しあう可能性 についてはこれまでも指摘されているが11
、実
際、正規雇用で「満足している」人は生活・仕 事ともに2/3
以上を占めている。非正規雇用も「満足している」/「満足していない」で比べ
れば、満足と回答する人の方が多いが、正規雇 用と比較すると満足度が低いことがわかる。グラフ上は正規雇用/非正規雇用で満足感に 差が生じているように見えるため、ウィルコク スンの順位和検定を用いて実際に両群に差があ るのか検定した。生活満足度について両側有意
確率
0.013、仕事満足度について両側有意確率
0.021
であり、有意水準5%で帰無仮説を棄却
した。正規雇用と非正規雇用の間で生活満足度、
仕事満足度ともに有意な差が認められる。学校 図書館員の満足感は雇用形態に左右されている といえる。
11 田中規子(2009)「職務満足の規定要因 : フレデリック・ハーズバーグの「 動機づけ衛生理論」を手がかりとして」、『人間文化創成科学
論叢』第12巻、pp.257-266。
図 2 雇用形態別の生活満足度 図 3 雇用形態別の仕事満足度 単位:人
正規規雇用 非正規雇用 正規雇用 非正規雇用
3. 2 セグメントの評価
学校図書館員の職務満足を左右するセグメン トとして、「年齢」「報酬」「労働時間」「職場設 備」「職場の人間関係」「仕事の継続性(働き続 けることができる)」「仕事の裁量権(仕事に意 見を反映できる)」「研修制度」「収入の家計割 合(家計費を負担する割合)」を設定し、それ ぞれの満足度の評価をみる。得られたサンプ ルデータのうち、「仕事の満足」について「ど ちらでもない」と回答した正規雇用のサンプル
11
標本、非正規雇用のサンプル13
標本を除去 してクロス集計した(正規雇用n=40、非正規
雇用
n=53)。
傾向をより分かり易くみるために、5
件(1.満足していない、2.あまり満足してい ない、3.
どちらともいえない、4.
満足している、5.
とても満足している)を3
件(1.満足してい ない、2.どちらともいえない、3.満足)にまと めた。3. 2. 1 年齢
表
1
は、正規雇用、非正規雇用の仕事の満足 度を年齢別に集計したものである。まず合計の部分を見ると、正規雇用の仕事満 足度が
82.5% (40
人中の33
人)と高いのに比べ、非正規雇用は
54.7%(53
人中の29
人)にとど まった。
「年齢」からみると、正規雇用では全年齢層
において仕事満足度が75%以上であったのに
対して非正規雇用では年齢によって差が見られ た。とくに非正規雇用の若年層(20代)におい ては「仕事に満足していない」と回答する率が
72.7%であり、「仕事に満足」と回答する率を
上回っている。その一方で、非正規雇用の40
代は
85.7%が、50
代は58.3%が「仕事に満足」
と回答している。
このように非正規雇用で年齢における差が大 きい要因としては、学校図書館員の多くが女性 であり、結婚・妊娠・出産といった女性のライ フサイクルが影響している可能性が考えられる。
満足していない 満足 満足していない 満足
人数 1 3 8 3
当該雇用形態・
年齢に占める割合
25.0% 75.0% 72.7% 27.3%
集計対象全体に 占める割合
2.5% 7.5% 15.1% 5.7%
人数 0 7 9 7
当該雇用形態・
年齢に占める割合
0.0% 100.0% 56.3% 43.8%
集計対象全体に 占める割合
0.0% 17.5% 17.0% 13.2%
人数 4 14 2 12
当該雇用形態・
年齢に占める割合
22.2% 77.8% 14.3% 85.7%
集計対象全体に 占める割合
10.0% 35.0% 3.8% 22.6%
人数 2 9 5 7
当該雇用形態・
年齢に占める割合
18.2% 81.8% 41.7% 58.3%
集計対象全体に 占める割合
5.0% 22.5% 9.4% 13.2%
人数 7 33 24 29
集計対象全体に 占める割合
17.5% 82.5% 45.3% 54.7%
合計
50歳以上
年齢 と 仕事満足度 のクロス表 正規雇用 非正規雇用
仕事満足度 仕事満足度
年齢 20~29歳
30~39歳
40~49歳
表 1 年齢と仕事満足度の関係
正規雇用においてもライフサイクルは同じで あるが、正規雇用に保障されている有休や子育 て支援制度、非正規雇用のおよそ
3
倍とみられ る年収格差12がそのネガティブな影響を吸収 している可能性がある。3. 2. 2 報酬
表
2
は、正規雇用、非正規雇用の仕事の満足 度を報酬の満足度別に集計したものである。正規雇用では全体として報酬に満足している 人が多い。報酬に「満足していない」と回答し た正規雇用が
10%(40
人中の4
人)にとどま る一方、「満足」とした率は62.5%(40
人中の25
人)である。非正規雇用においては、報酬に「満足してい ない」と回答した率は
67.9% (53
人中の36
人)である。逆に「満足」と回答した率は
18.9%で
ある(53人中の10
人)。尚、正規雇用で報酬に「満足していない」と
回答した
10%のうち、全員(100%)が「仕事
に満足」と回答している。非正規雇用では、報 酬に
「満足していない」
と回答した67.9%のうち、
「仕事に満足」と回答した率は 41.7%であった。
逆に、非正規雇用で報酬に「満足」と回答し
た人で、「仕事に満足」と回答した率は
90%で
ある。3. 2. 3 労働時間
表
3
は、正規雇用、非正規雇用の仕事の満足 度を労働時間の長短の評価別に集計したもので ある。
「労働時間」からみると、正規雇用で労働時
間が「短い」と回答した者は存在しなかった(0%)。労働時間が「長い」と回答した率は全
体の62.5%(40
人中の25
人)。このうち、「仕 事に満足していない」と回答した正規雇用は24%(25
人中の6
人)であった。非正規雇用においては、労働時間が「短い」
と回答した率は全体の
33.9% (53
人中の18
人)、逆に労働時間が「長い」と回答した率は全体の
26.4%であった (53
人中の14
人)。このうち「仕
事に満足していない」と回答したのは、「短い」と回答した者で
66.7% (18
人中の12
人)、「長い」
と回答した者で
50% (14
人中の7
人)であった。ここで示す「労働時間」に関する意識と仕事 満足度の関係は,単純に「労働時間が短い」と 感じている者に仕事満足度が高いとか、その逆 といった関係は見られなかった。
12 正規雇用の学校職員の年収を600万円、臨時採用の学校図書館員の年収を200万円と見積もって概算。市町村等の勤務地や勤続年数等
によって収入が異なってくるため概算するしかないが、正規雇用の年収は400万〜600万、非正規雇用の年収は100万〜200万の間に 多くが分布している。各市町村が公表している公務員給与や求人票等から独自調査。
満足していない 満足 満足していない 満足
人数 0 4 21 15
当該雇用形態・
報酬満足度に占める割合
0.0% 100.0% 58.3% 41.7%
集計対象全体に 占める割合
0.0% 10.0% 39.6% 28.3%
人数 4 7 2 5
当該雇用形態・
報酬満足度に占める割合
36.4% 63.6% 28.6% 71.4%
集計対象全体に 占める割合
10.0% 17.5% 3.8% 9.4%
人数 3 22 1 9
当該雇用形態・
報酬満足度に占める割合
12.0% 88.0% 10.0% 90.0%
集計対象全体に 占める割合
7.5% 55.0% 1.9% 17.0%
仕事満足度
報酬満足度 満足していない
どちらともいえな い
満足
報酬 と 仕事満足度 のクロス表 正規雇用 非正規雇用
仕事満足度
表 2 報酬と仕事満足度の関係
3. 2. 4 職場設備
表
4
は、正規雇用、非正規雇用の仕事の満足 度を職場設備の満足度別に集計したものであ る。「職場設備」とは、物理的な労働環境の良 し悪しを意味している。これについては、正規 雇用で「満足」と回答する率は55%(40
人中 の22
人)、非正規雇用で「満足」と回答する率は
37.7%(53
人中の20
人)であった。正規雇用の学校図書館員を置いている学校図書館は、
設備においても予算をかける等、学校図書館の 充実に対する意識が高い傾向があるように思わ
れる。
3. 2. 5 人間関係
表
5
は、正規雇用、非正規雇用の仕事の満足 度を人間関係の満足度別に集計したものであ る。
「人間関係」については、正規雇用で「満足」
と回答する率が全体の
67.5% (40
人中の27
人)、非正規雇用で全体の
52.8%であった(53
人中 の28
人)。「人間関係に満足」と回答した正規 雇用/非正規雇用はともに「仕事に満足」と回満足していない 満足 満足していない 満足
人数 6 19 7 7
当該雇用形態・
労働時間に占める割合
24.0% 76.0% 50.0% 50.0%
集計対象全体に 占める割合
15.0% 47.5% 13.2% 13.2%
人数 1 14 5 16
当該雇用形態・
労働時間に占める割合
6.7% 93.3% 23.8% 76.2%
集計対象全体に 占める割合
2.5% 35.0% 9.4% 30.2%
人数 0 0 12 6
当該雇用形態・
労働時間に占める割合
0.0% 0.0% 66.7% 33.3%
集計対象全体に 占める割合
0.0% 0.0% 22.6% 11.3%
短い
正規雇用 非正規雇用
労働時間と 仕事満足度 のクロス表
仕事満足度 仕事満足度
労働時間 長い
どちらともいえな い
表 3 労働時間と仕事満足度の関係
満足していない 満足 満足していない 満足
人数 4 4 15 7
当該雇用形態・職場設備 の満足に占める割合
50.0% 50.0% 68.2% 31.8%
集計対象全体に 占める割合
10.0% 10.0% 28.3% 13.2%
人数 0 10 5 6
当該雇用形態・職場設備 の満足に占める割合
0.0% 100.0% 45.5% 54.5%
集計対象全体に 占める割合
0.0% 25.0% 9.4% 11.3%
人数 3 19 4 16
当該雇用形態・職場設備 の満足に占める割合
13.6% 86.4% 20.0% 80.0%
集計対象全体に 占める割合
7.5% 47.5% 7.5% 30.2%
職場設備と 仕事満足度 のクロス表 正規雇用 仕事満足度
職場設備の満足度 満足していない
どちらともいえな い
満足
非正規雇用 仕事満足度
表 4 職場設備と仕事満足度の関係
答する率も高かった。逆に、「人間関係に満足 していない」と回答した正規雇用は
10%(40
人中の4
人)、非正規雇用は 17%(53
人中の9
人)。「人間関係に満足していない」と回答し た者のうち、「仕事に満足」と回答した者は、正規雇用/非正規雇用ともに存在しなかった
(0%)。「人間関係」については、正規雇用/非
正規雇用の別なく似た傾向を示している。人間 関係の満足は仕事の満足と強く相関しているよ うに思われる。3. 2. 6 仕事の継続性
表
6
は、正規雇用、非正規雇用の仕事の満足 度を、仕事の継続性(働き続けることができる かどうか)の期待度別に集計したものである。
「仕事の継続性」については、当然ではある
が、正規雇用の77.5%(40
人中の31
人)が「働 き続けることが期待できる」と回答し、このう ち「仕事に満足」と回答した率は90%を超え
た。ただし,本表でも明らかなように正規雇用 であっても「働き続けることが期待できない」満足していない 満足 満足していない 満足
人数 4 0 9 0
当該雇用形態・人間関係 の満足に占める割合
100.0% 0.0% 100.0% 0.0%
集計対象全体に 占める割合
10.0% 0.0% 17.0% 0.0%
人数 1 8 8 8
当該雇用形態・人間関係 の満足に占める割合
11.1% 88.9% 50.0% 50.0%
集計対象全体に 占める割合
2.5% 20.0% 15.1% 15.1%
人数 2 25 7 21
当該雇用形態・人間関係 の満足に占める割合
7.4% 92.6% 25.0% 75.0%
集計対象全体に 占める割合
5.0% 62.5% 13.2% 39.6%
仕事満足度
人間関係の満足度 満足していない
どちらともいえな い
満足
仕事満足度
人間関係と 仕事満足度 のクロス表 正規雇用 非正規雇用
表 5 人間関係と仕事満足度の関係
満足していない 満足 満足していない 満足
人数 3 3 17 6
当該雇用形態・仕事の継 続性に占める割合
50.0% 50.0% 73.9% 26.1%
集計対象全体に 占める割合
7.5% 7.5% 32.1% 11.3%
人数 1 2 5 5
当該雇用形態・仕事の継 続性に占める割合
33.3% 66.7% 50.0% 50.0%
集計対象全体に 占める割合
2.5% 5.0% 9.4% 9.4%
人数 3 28 2 18
当該雇用形態・仕事の継 続性に占める割合
9.7% 90.3% 10.0% 90.0%
集計対象全体に 占める割合
7.5% 70.0% 3.8% 34.0%
正規雇用 非正規雇用
仕事満足度 仕事満足度
働き続けることが できる
期待できない
どちらともいえな い
期待できる
仕事の継続性と 仕事満足度 のクロス表
表 6 仕事の継続性(働き続けることができる)と仕事満足度の関係
と回答した人が
15%(40
人中の6
人)存在し ていた。正規雇用で「働き続けることが期待で きない」者のうち、仕事に満足/仕事に満足し ていないと回答した者は同数(50%)
であった。非正規雇用においては、「働き続けることが 期待できる」と回答した率が
37.8%(53
人中 の20
人)、「期待できない」と回答した率が43.4%(53
人中の23
人)であった。働き続けることが期待できる」と回答した非正規が「仕 事に満足」と回答した率は
90%(20
人中の18
人)、一方、「働き続けることが期待できない」と回答した非正規が「仕事に満足」と回答した 率は
26.1%(23
人中の6
人)であった。3. 2. 7 仕事の裁量権
表
7
は、正規雇用、非正規雇用の仕事の満足 度を、仕事の裁量権(意見が仕事に反映できる)があるのか否かという状況別に集計したもので ある。
「仕事の裁量権」に関する質問では、「意見が
仕事に反映できる」と回答した率は正規雇用で90% (40
人中の36
人)、非正規雇用は73.6% (53
人中の39
人)。「意見が仕事に反映できる」と 回答した者で「仕事に満足」と回答する率は、正規雇用が
86.1%(36
人中の31
人)、非正規雇用では
66.7%(39
人中の26
人)であり、非正規雇用が正規雇用より低い傾向にあった。学 校図書館は一般に
1
人職場であるケースが多く、日常業務においてはその判断が多く学校図 書館員に委ねられている。一方で、非正規雇用 の学校図書館員においては正規雇用の教職員が 出席する職員会議に参加できる権利を持たない ことが多く、公的な発言権という視点からは非 正規雇用は正規雇用に劣る。その影響が非正規 雇用の数値の低さに反映されている可能性があ るだろう。
3. 2. 8 研修制度
表
8
は、正規雇用、非正規雇用の仕事の満足 度を、研修制度を利用できるかどうかの状況別 に集計したものである。
「研修制度」からみると、正規雇用は 92.5%
(40
人中の37
人)が「利用できる」。このうち89.2% (37
人中の33
人)が「仕事に満足」
である。実数ベースでの数は少ないが、「研修制度を利 用できない」「どちらともいえない」と回答し た正規雇用では「仕事に満足」と回答した者は いなかった(0%)。
非正規雇用においては、「研修制度を利用で きる」のは全体の
37.7% (53
人中の20
人)であっ た。このうち、「仕事に満足」と回答した率は75%(20
人中の15
人)。「研修制度を利用できない
」と回答した非正規雇用 45.3%(53
人中 の24
人)のうち「仕事に満足」と回答した率 は33.3%(24
人中の8
人)であった。正規雇用にとって、研修制度が利用できる/
満足していない 満足 満足していない 満足
人数 1 0 7 3
当該雇用形態・裁量権に 占める割合
100.0% 0.0% 70.0% 30.0%
集計対象全体に 占める割合
2.5% 0.0% 13.2% 5.7%
人数 1 2 4 0
当該雇用形態・裁量権に 占める割合
33.3% 66.7% 100.0% 0.0%
集計対象全体に 占める割合
2.5% 5.0% 7.5% 0.0%
人数 5 31 13 26
当該雇用形態・裁量権に 占める割合
13.9% 86.1% 33.3% 66.7%
集計対象全体に 占める割合
12.5% 77.5% 24.5% 49.1%
裁量権と 仕事満足度 のクロス表 正規雇用 非正規雇用
仕事満足度
意見が仕事に反映 できる
反映できない
どちらともいえな い
反映できる
仕事満足度
表 7 仕事の裁量権(意見が仕事に反映できる)と仕事満足度の関係
利用できないという問題は仕事満足と強く相関 しているように見えるが、非正規雇用において は「研修制度が利用できない」と回答した者の
1 / 3
が「仕事に満足」と回答している。正規 雇用と非正規雇用の間には制度の利用について 認識的な差が生じているのではないだろうか。3. 2. 9 収入の家計割合
表
9
は、正規雇用、非正規雇用の仕事の満足 度を、学校図書館員が得た収入(報酬)のうち どのくらいを家計費(家族及び自分の生活費)として負担しているのか、その割合別に集計し
満足していない 満足 満足していない 満足
人数 2 0 16 8
当該雇用形態・研修制度 に占める割合
100.0% 0.0% 66.7% 33.3%
集計対象全体に 占める割合
5.0% 0.0% 30.2% 15.1%
人数 1 0 3 6
当該雇用形態・研修制度 に占める割合
100.0% 0.0% 33.3% 66.7%
集計対象全体に 占める割合
2.5% 0.0% 5.7% 11.3%
人数 4 33 5 15
当該雇用形態・研修制度 に占める割合
10.8% 89.2% 25.0% 75.0%
集計対象全体に 占める割合
10.0% 82.5% 9.4% 28.3%
正規雇用 非正規雇用
仕事満足度 仕事満足度
研修制度 利用できない
どちらともいえな い
利用できる
研修制度と 仕事満足度 のクロス表
表 8 研修制度と仕事満足度の関係
満足していない 満足 満足していない 満足
人数 0 0 7 4
当該雇用形態・収入の家 計割合に占める割合
0.0% 0.0% 63.6% 36.4%
集計対象全体に 占める割合
0.0% 0.0% 13.5% 7.7%
人数 1 2 12 13
当該雇用形態・収入の家 計割合に占める割合
33.3% 66.7% 48.0% 52.0%
集計対象全体に 占める割合
2.5% 5.0% 23.1% 25.0%
人数 2 12 1 3
当該雇用形態・収入の家 計割合に占める割合
14.3% 85.7% 25.0% 75.0%
集計対象全体に 占める割合
5.0% 30.0% 1.9% 5.8%
人数 3 3 1 7
当該雇用形態・収入の家 計割合に占める割合
50.0% 50.0% 12.5% 87.5%
集計対象全体に 占める割合
7.5% 7.5% 1.9% 13.5%
人数 1 16 3 1
当該雇用形態・収入の家 計割合に占める割合
5.9% 94.1% 75.0% 25.0%
集計対象全体に 占める割合
2.5% 40.0% 5.8% 1.9%
仕事満足度
収入の家計割合
100%
収入の家計割合と 仕事満足度 のクロス表 正規雇用 非正規雇用
0%
25%
50%
75%
仕事満足度
表 9 収入の家計割合と仕事満足度の関係
たものである。
「収入の家計割合」において、全く家計を負
担していないと回答した正規雇用はいなかった が、非正規雇用は11
人(22%)存在した。全 く家計費を負担していない非正規雇用のうち、「仕事に満足している」と回答した者は 36.4%
(11
人中の4
人)、「仕事に満足していない」と 回答した者は63.6% (11
人中の7
人)であった。参考として、雇用形態別の「収入の家計割 合」と「報酬満足度」の集計を表
10
に示した(正規雇用 n=51、
非正規雇用n=65(欠損値 1))。
「報酬」
についてはすでに3.2.2
で取り上げたが、正規雇用には「報酬に満足していない」と回答 する率は低く、多くが「満足」と答えている。
家計費の負担割合は報酬満足に相応するように
家計費の
50%以上を負担しているとする者が
大半である(51人中の
47
人)。非正規雇用で は逆に「報酬に満足していない」と回答する者 が多くを占め(65人中の47
人)、こちらも報 酬満足に相応して家計費の負担割合は25%以
下の者が多い(65人中の45
人)。表
9
から、家計費を50
%以上負担してい る正規雇用で「仕事に満足」と回答した人は84%(37
人中の31
人)、家計費の負担が25%
以下の非正規雇用で「仕事に満足」と回答した 人は
47%(36
人中の17
人)である。以上のことから、正規雇用は収入に相応しく 家計割合の負担も大きいが、仕事満足度も高い ことがわかった。非正規雇用においても収入に 応じた家計割合を負担している者が大半とみら れるが、仕事満足は「満足」(66人中の
29
人)/「満足していない」(66
人中の24
人)と、
二分される(3.1 生活満足度と仕事満足度 参 照)。いわば家計(生活費)の負担が免除され ている状況でも、仕事に「満足していない」と する人が一定を占めている状況がある。
3. 3 仕事満足とセグメントの相関 セグメント「年齢」「報酬」「労働時間」「職 場設備」「人間関係」「仕事の継続性」「仕事の 裁量権」「研修制度」「収入の家計割合」につい 表 10 報酬満足度と収入の家計割合の関係
単位:人
0% 25% 50% 75% 100% 0% 25% 50% 75% 100%
満足していない 0 0 3 1 1 5 14 19 4 5 5 47
どちらともいえない 0 2 4 3 7 16 1 5 1 1 0 8
満足 0 2 11 2 15 30 1 5 0 3 1 10
0 4 18 6 23 51 16 29 5 9 6 65
収入の家計割合 非正規
雇用 合計 用
雇 規 正 非 用
雇 規 正 収入の家計割合
合計
正規 雇用 合計 報酬満足度
※近似有意確率が5%以下のセルに*を付けて示した γ値 正規雇用 非正規雇用
年齢 -0.143 * 0.429
報酬 0.285 * 0.724
労働時間 0.631 -0.257
職場設備 0.468 * 0.65
人間関係 * 0.815 * 0.769
継続的 0.735 * 0.805
意見が反映 0.730 * 0.687 研修制度 *1.000 * 0.604 収入の家計割合 0.300 0.301
τb値 正規雇用 非正規雇用
年齢 -0.062 * 0.277
報酬 0.125 * 0.38
労働時間 0.221 -0.158
職場設備 0.223 * 0.408
人間関係 * 0.472 * 0.487
継続的 0.382 * 0.545
意見が反映 0.293 * 0.368
研修制度 * 0.613 * 0.368
収入の家計割合 0.154 0.181 表 11 グッドマン=クラスカルのガンマによる評価 表 12 ケンドールのτb による評価
て、それぞれ仕事満足とどの程度相関が強いの か数値から評価することを試みる。グッドマン
=
クラスカルのγ
とケンドールのτbを用いて 評価したものが表11、表 12
である。2つの評価を併せて判断すると、仕事満足に あまり関係していないとみなされるのは、正規 雇用においては「年齢」、非正規雇用において は「労働時間」である。逆に強く影響するとみ なされるセグメントは、正規雇用においては
「研
修制度」と「人間関係」、非正規雇用において は「継続的に働けるか」
と「人間関係」
であった。4.因子分析による現状把握
これまで検討してきたように、非正規雇用の 職場満足は正規雇用と比べ、比較的差異の少な かった「人間関係」を含めて、多くの面で満足 度が低い傾向にある。とくに「報酬」や「仕事 の継続性」に対する満足度は低く、ネガティブ な影響を及ぼしていそうである。また、「裁量 権
(意見が仕事に反映できる)」
や「研修制度」、
「職場設備」においても同様の傾向にあるが、
こちらはやや満足度が分かれる傾向にあった。
そこで、探索的因子分析を主因子法で行い、非 正規雇用の職務満足に影響を与えている因子を 割り出して各変数(セグメント)の因子負荷量 を以下のように算出した
(表 13)。
各因子グルー プの特徴からみて、非正規雇用の学校図書館員にネガティブな影響を与えている要因は以下の ように考えられる。
第
1
因子グループは、「仕事の裁量権(意見 が仕事に反映できる)」「研修制度」の負荷量が 大きいので、「仕事の質を向上させる前向きな 取組(学校図書館の伸びしろ)」を表している と考えられる。第
2
因子グループは、「仕事の継続性(働き 続けることができる)」「報酬」の負荷量が大き いので、「職場の待遇(仕事への定着性)」を表 していると考えられる。第
3
因子グループは、「人間関係」「職場設備」
の負荷量が大きいので、「職場環境(職場にお ける居心地の良さ)」を表していると考えられ る。
次に、主因子分析によって得られた因子得点 係数行列(付録
2
を参照)から、第1
因子(仕 事の質を向上させる前向きな取組)の因子得点 係数行列をサンプル(回答者)の得点順に並び かえてみると、得点が大きくなるにつれて「意 見が仕事に反映できる」「研修制度が利用でき る」「働き続けることができる」「人間関係に満 足している」「職場設備に満足している」とい う職場を評価するポジティブな回答が共通して 並ぶ傾向にあった。逆に小さい方には「研修制 度が利用できない」「意見が反映できない」「働 き続けることが期待できない」「人間関係に満 足していない」「職場設備に満足していない」というネガティブ回答が共通している。つま
KMO=0.517>0.5 Bartlettの球面性検定 有意確率3.193E-12<有意水準0.05
1 2 3 共通性
報酬の満足度 -0.050 0.499 0.249 0.314 労働時間の長短 0.111 -0.044 -0.192 0.051 職場設備の満足 0.124 0.190 0.581 0.388 人間関係の満足 0.408 0.223 0.877 0.986 継続的に働ける 0.253 0.949 0.173 0.995 仕事への意見 0.938 -0.068 0.120 0.899 研修制度の利用 0.504 0.255 0.026 0.320
固有値 1.395 1.307 1.010
寄与率 19.934 18.677 17.860
累積寄与率 19.934 38.610 56.470 因子
表 13 主因子法:バリマックス回転後の因子負荷量
り、これによって回答者の学校図書館において 前向きな取組がなされているか、希望をもって 継続して働ける職場であるかどうか、即ち学校 図書館が人材的な面から将来的な展望が持てる 状況にあるかどうかを判別することができるだ ろう。
第
2
因子の因子得点係数行列で並び変えてみ ると、上位に「働き続けることができる」、下 位に「働き続けることができない」と、分かれ る傾向はあるものの、「報酬」については全体 的に「満足していない」
という回答が多い。「仕 事の裁量権」や「研修制度」について「満足し ていない」という回答も得点上位層にあがる傾 向にあり、綺麗に分かれなかった。低待遇が問 題化している現況では、第2
因子が示す「職場 の待遇」の得点から学校図書館という職場をう まく評価することは難しいのかもしれない。第
3
因子の因子得点係数行列を用いて並べ替 えてみると、こちらも「人間関係」「職場設備」を共通因子として上位下位で並び方に一定の傾 向がみられるものの、はっきり分かれるほどで はなかった。
5.考察
本研究は、学校図書館で働く「人」の満足感 を、学校図書館の現状の把握に役立てようとす る試みである。学校図書館を実質的に運営して いく当事者としての学校図書館員には、すでに 述べたようにさまざまな呼称・立場の人間が存 在する(図
1
参照)。これを大きく正規/非正 規という雇用軸で二分し、学校図書館を職場と いうカテゴリから捉えたとき、彼らの職務満足 に差が生じているのかどうか、生じているとす れば、職務満足が低いグループはどのような面 からネガティブとなっているのか、それが学校 図書館にどのように作用し影響していると考え られるのかを分析した。雇用軸で差異のあることが確認され、職務満 足と
「年齢」 「報酬」 「労働時間」 「職場設備」 「人
間関係」「仕事の継続性」「仕事の裁量権」「研修制度」
「家計の負担割合」
との関係をみた結果、まず、正規雇用においては「研修制度」、非正 規雇用においては「年齢」が満足度を左右する 影響因子と考えられる。「研修制度」は正規雇 用に本来保障されていてしかるべき制度である ことから、「制度が利用できない」「どちらとも いえない」と回答した者の学校図書館には重大 な問題が発生している可能性がある。
非正規雇用においては、若年層ほど不満が大 きい傾向があった。併せて、3.2.9「収入の家計 割合」から判明したように、家計をまったく負 担していない立場であっても「仕事に満足して いない」と回答した率が
63.6%であったこと等
から、「報酬」の低さばかりが(それが一因で あるとしても)非正規雇用のネガティブな影響 因子であるとは考えづらい。主因子法を用いてネガティブ要因を分析した 結果、一般社会における非正規雇用と同様に、
「報酬」「仕事の継続性」等の「待遇」に関する
因子が洗い出された(第2
因子)が、それ以上 に「仕事の裁量権(自分の意見を反映できる)」「研修制度」など、
仕事力の向上やモチベーショ ンに関わる部分が大きな影響を及ぼす因子であ ることが見えてきた(第1
因子)。また、第1
因子グループでは「仕事の継続性(働き続ける ことができる)」もよく関連性があったことか ら、第1
因子得点は学校図書館の将来的な発展 性(伸びしろと表現するとわかり易い)を表す と考えられる。学校図書館活動を活発化するに あたっては、まず学校図書館の整備や改善、プ ログラムの充実等を考える必要があるが、一朝 一夕にできるようなものではなく、おそらくは 数年次にわたる計画と担当者の能力の研鑽が必 要となるはずだからである。学校図書館の役割はこれまで読書指導や授業 支援という形で考えられてきたが、それに加え て、文部科学省は、これからの学校図書館にお いては、生徒の情報活用能力等の育成を支え、
主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラー ニングの視点からの学び)を効果的に進める基 盤としての役割が期待されるとしている13
。具
体的には、生徒が学校図書館の提供する情報・13 文部科学省「これからの学校図書館の整備充実について(報告)の公表について」、学校図書館の整備充実に関する調査研究協力者会議、
2016年10月20日。
資料を用いて、それぞれの興味・関心等に応じ て学習内容の背景を探ったり、問いを見出して 解決したりすること、また情報を利活用できる 技能を身につけたり、さらには情報を多角的多 面的に吟味しながら新しい価値の創造にチャレ ンジしたりできるような施設となることを求め ている。
より積極的な学校図書館活動を展開できる人 材が求められているが、今回の調査結果から判 断する限り、学校図書館員の雇用形態として多 数を占めている非正規雇用において、これに対 応する余力があるのは全体の
1/5
程度かそれ以 下と思われる。学校図書館の伸びしろの程度を 示していると考えられる第1
因子の因子得点係 数行列から判別して、発展性のあるポジティブ な雇用環境が現状あると考えられるのは、満足 度を尺度とする(説明変数の)ネガティブ回答 の許容範囲を1
セグメント(1と回答したセグ メントがないか1つ、
あるいは2
が2
つ以内。「年
齢」「労働時間」「収入の家計割合」を除く)と 設定すれば、非正規雇用53
人中の上位8
人程 度が該当するとみられるためである(付録2
参 照)。もちろん、この数は許容範囲の設定によっ て変わるが、非正規雇用の不安定且つ限定的な 職分や制度に縛られた職場環境においては、期 待される学校図書館活動(専門性の発揮)を阻 まれる可能性があるといえるだろう。本稿の作成に関しては、同志社大学経済学部 の八木匡教授、同志社大学免許資格課程セン ターの佐藤翔助教、原田隆史教授、「図書館員 の幸福度を規定する要因分析アンケート調査」
の共同研究者である是住久美子氏、戸田久美子 氏、中島晴子氏に厚く御礼申し上げます。
参考文献
田中規子(2009)「職務満足の規定要因 : フレデリック・ハーズ バーグの「動機づけ衛生理論」を手がかりとして」『人間文化 創成科学論叢』12:257-266.
久江祐司(2003)「学校図書館及び司書教諭に対する校長の意識 の在り方:東京,大阪,京都の高等学校校長の意識調査の分 析をもとに」『日本図書館情報学会誌』 49 (2): 49-64.
平久江祐司(2013)「小中学校の学習情報センターとしての学校 図書館における専門的職務の在り方」文部科学省科学研究費 助成事業研究成果報告書:基盤研究(C)2009-2012, 研究課題番
号:21500233.
高橋恵美子(2013)「1997年学校図書館法改正後の司書教諭・学 校司書の職務分担を追う」『図書館雑誌』 107 (1080): 686-687.
中内敏夫(1998)『「教室」をひらく:新・教育原論』,藤原書店.
学校図書館を考える会・近畿編『わがまちの学校図書館づくり』, 教育史料出版会,1998年.
塩見昇(2000)『学校図書館職員論―司書教諭と学校司書の協同 による新たな学びの創造』,教育資料出版会.
付録1 質問票
付録
1.あなたの性別を選択してください
(1.男性、2.女性)
2.あなたの年齢を選択してください
(1.20~29歳、2.30~39歳、3.40~49歳、4.50歳以上)
3.あなたの勤務形態を選択してください
(1.正規雇用、2.非正規雇用)
4.最近の生活全般について、どの程度満足していますか
(1. 満足していない、2.あまり満足していない、3.どちらともいえない、4.満足している、5.とても満足している)
5.最近の仕事について、どの程度満足していますか
(1. 満足していない、2.あまり満足していない、3.どちらともいえない、4.満足している、5.とても満足している)
6.最近の報酬(賃金)について、どの程度満足していますか
(1. 満足していない、2.あまり満足していない、3.どちらともいえない、4.満足している、5.とても満足している)
7.最近の労働時間について、どのように感じていますか
(1.長い、2.やや長い、3.適切である、4.やや短い、5.短い)
8.職場の環境について、施設・設備に関してどの程度満足していますか
(1. 満足していない、2.あまり満足していない、3.どちらともいえない、4.満足している、5.とても満足している)
9.職場の環境について、人間関係に関してどの程度満足していますか
(1. 満足していない、2.あまり満足していない、3.どちらともいえない、4.満足している、5.とても満足している)
10.図書館員として働き続けることが期待できる状況ですか
(1.期待できない、2.あまり期待できない、3.どちらともいえない、4.やや期待できる、5.期待できる)
11.自分の意見がどの程度仕事に反映できますか
(1.反映できない、2.ほとんど反映できない、3.どちらともいえない、4.まあまあ反映できる、5.とても反映できる)
12.図書館員として技術や能力の向上をはかることの出来る制度を利用できますか
(1.全く利用できない、2.ほとんど利用できない、3.どちらともいえない、4.ときどき利用できる、5.よく利用できる)
13.あなたの収入は主たる家計をどの程度支えていますか
(1. 0%、2. 25%、3. 50%、4. 75%、5. 100%)
付録 2 基本統計量
年 齢
生 活 満 足 度
仕 事 満 足 度
報 酬 満 足 度
労 働 時 間
職 場 設 備 の 満 足
人 間 関 係 の 満 足
働 き 続 け る こ と が で き る
意 見 が 仕 事 に 反 映 で き る
研 修 制 度
収 入 の 家 計 割 合
中央値 3 4 4 3 3 3 4 4 4 4 0.5
最頻値 3 4 4 4 3 4 4 5 4 4 0.25
範 囲 3 4 4 4 4 4 4 4 4 4 1
最 小 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 0
最 大 4 5 5 5 5 5 5 5 5 5 1
標本数 117 117 117 117 117 117 117 117 117 117 116
中央値 3 4 4 4 2 3 4 5 4 4 0.75
最頻値 3 4 4 4 2 4 4 5 4 4 1
範 囲 3 4 4 4 2 4 4 4 3 3 0.75
最 小 1 1 1 1 1 1 1 1 2 2 0.25
最 大 4 5 5 5 3 5 5 5 5 5 1
標本数 51 51 51 51 51 51 51 51 51 51 51
中央値 2 3 3 2 3 3 4 3 4 3 0.25
最頻値 2 4 4 1 3 3 4 1 4 4 0.25
範 囲 3 4 4 4 4 4 4 4 4 4 1
最 小 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 0
最 大 4 5 5 5 5 5 5 5 5 5 1
標本数 66 66 66 66 66 66 66 66 66 66 65
全 体
正 規 雇 用
非 正 規 雇 用
付録 3 「4.因子分析による現状把握」で用いた非正規雇用の質問紙調査結果及び因子得点係数行列 (第 1 因子の得点順に並び替え済)数行列(第1因子の得点順に並び替え済)
※「性別」「年齢」「収入の家計割合」の番号は、質問票の回答番号と対応している。
※「労働時間」は、1.長い、2.適切、3.短い、である。
※「継続的に働けるか」は、1.期待できない、2.どちらともいえない、3.期待できる、である。
※「意見が仕事に反映」は、1.反映できない、2.どちらともいえない、3.反映できる、である。
※「研修制度」は、1.利用できない、2.どちらともいえない、3.利用できる、である。
※その他の項目については、1.満足していない、2.どちらともいえない、3.満足、である。
ID 性別 年齢
仕事 満足度
報酬の 満足度
労働 時間
職場 設備
人間 関係
継続的 に働け るか
意見が 仕事に 反映
研修 制度
収入の 家計 割合
因子得点 1
因子得点 2
因子得点 3
263 2 2 3 1 1 3 3 3 3 3 2 0.91974 1.02049 1.01778
390 2 4 3 1 1 3 3 3 3 3 2 0.91974 1.02049 1.01778
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